「んっあ、あああああひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!! やだやだやだぁはははははっはっはっはっはっはっはっはっ!! だめ、だめだってばぁひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!」
「ああ、やっぱりええ光景やなぁ……」
目の前の光景に、私は戦慄する事しかできなかった。
それこそマリーの『栄光』を汚しているという事態すら吹き飛ぶほど、目の前の光景に震えていた。
「アハハ、コノオンナイイカラダヲシテイル。マイラサマ、コノオンナハドレグライコワシテイイノ?」
「せやなぁ、今でも結構手加減してるんやけど……この前みたいに廃人にしない程度の加減ってのはどうやろか?」
「いぎゃあっっひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!! こん、なぁっひゃひゃひゃひゃひゃっひゃっっひゃっひゃっ!? これ、でぇへへへへへへへ!? てか、げんをぉひはははははははははは!?」
真衣羅さんの言葉にマリーと同じように驚く。
この状況で手加減? 手加減してるの?
今この地下室はスライムに覆われている。
壁や床もびっしりと、私達が立っている場所だけが安全地帯だ。
半透明のスライムがマリーの四肢を拘束し宙づりにしてくすぐっている。
マリーの近くにはスライムが変形してできた顔がありそこが人の言葉を喋っている。
「す、すごい、生物ですね、これ……」
「せやろ? 昔の時計塔のロードが使ってるのを再現したんや。本来は攻撃、迎撃用の魔術礼装なんやけど……改造してくすぐり用にしたんや」
時計塔、魔術協会の総本部。
私は教会の出身だからあまり知らないんだけどロードと言えば陰謀渦巻く時計塔での学部を総括する貴族。
そのロードの技術を再現するなんて、魔術師としての格の違いをこれでもかと見せつけられている。
それこそ自分が同じものを作るとして、自分の一生をかけても、否数世代かけて欠片が再現できるかどうかだろう。
「ふひぃははっはははははははあああああ!? ま、またつよくぅはひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!! やめ、もうやめぇへへへへへへへへへへへへ!?」
そんなスライムは責め方も凄まじい、真衣羅さんとの会話からくすぐる事に慣れているのだろう。
的確に激しく、マリーをくすぐって弄んでいる。
ここまでくると自分がされた時の事とか想像する余裕もない、只目の前の光景に呆然とするだけだ。
「マイラサマ、コイツクスグリヤスイカラセメルノタノシイヨ! アシノウラトカメチャクチャヨワイヨ!」
「へぇ、王妃様は足の裏をこそばされるのが苦手なんやねぇ? うふふ、ほんまにかわえぇなぁ王妃様は……♪」
「んっはぁあああっひゃひゃひゃひゃひゃひゃ、いや、いわにゃいれぇへへへへへへへへへへ!! やだやだぁはっはっはっはっはっはっはっはっはっあああああ!?」
バレて欲しくない自身の弱点がバレたことで更に余裕が無くなってきたのだろう。
最初に全てを恨み呪詛を吐いていた彼女はもう居ない、哀れな少女の様にくすぐられ笑い悶えるだけ。
そしてその苦しみはそれこそ真衣羅さんが飽きるまで、永遠に続けられるだろう。
(この状況、正に『栄光』をくすぐり汚しているのに私的には怖いが勝っちゃう……真衣羅さんの雰囲気のせいなんだろうけど……)
何と言うか格の違いを感じる。
この状況に興奮している、というか楽しんでいるのは解るんだけどはっちゃけては居ない。
何処か冷静なその姿に今一つ興奮できないというか、冷静な人が居ると落ち着いちゃうよねっていうか。
「やめぇへへへへへへへへ!! くすうぅひひひひひひ!! くすぐったいのいやあっひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!! もう、もうやめぇへぇへへへへへへへへへへへへ!!」
「モチロンヤメナイヨ! マイラサマガイイッテイウマデオマエハズットクスグラレツヅケルンダヨ、ホラホラヨワイバショヲ、コチョコチョコチョコチョ~」
「ひぃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!! はげひく、しないでぇへへへへへへっへへへへへへ!? くすぐっちゃだめぇへへへへへへへへへ!!」
「なんやもう余裕もあらへんなぁ、あの時の修学旅行でみた王妃様がこんな情けなく笑い悶えるなんて……ふふ、えらい可愛らしいやん?」
(……え?)
修学旅行?
今修学旅行って言った?
「え? 修学旅行?」
「ふふ、聞こえてるで?」
あやべ、口に出しちゃってた。
な、なにとぞ! なにとぞお仕置きは!
「まぁ隠す程のことや無いんやけど、こういう服着てるのも修学旅行でフランスに行ったからなんや。そこのマリー・アントワネットの自画像を見て……元々その毛はあったんやけど、目覚めてもうてなぁ」
百合ですね、ガチレズですね。
「何時か、やがて何時かは、あの王妃様をうちのモンスター達でこそばして犯したいって思うてな? ふふふ……」
「な、なるほどぉ……」
真衣羅さんが聖杯戦争に参加してくれた理由が解った。
昔からの憧れ、彼女もまた幼き頃の経験で性癖を崩された者だった。
少し烏滸がましいかも知れないが、私と同じように、彼女も煮え切らない性への満足を探していたのだろう。
「あぎゃあっはひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!! いやぁひゃひゃひゃひゃひゃははははははは!! もう、もうやべぇへへへへへへへへへっこわ、こわれちゃあっはひゃひゃひゃひゃ!!」
「アンシンシロッテ、コワサナイヨウニギリギリヲセメテヤルカラサァ♪」
「本当まに、かわええなぁ」
正直当の本人であるマリーからすればいい迷惑だろう。
しかしそんな事は関係ない、私達は敬意も人権も尊厳も矜持も全てを無視して己の性癖に従うと決めたのだ。
「やっひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!! もう、もういやぁははははっはっはっはっはっはっはっ!! ころ、ころしてぇへへへへへへへへへへ!! もういっそころひてぇへへへへへへへへへへ!!」
「そんなことする訳無いやん? 令呪によって命ずる――一切の自殺を禁ずる」
彼女にとって今最も過酷な命令だろう。
くすぐられ続け、最早王妃としての格すら失ってでもこの責めの終わりが欲しくて自ら死を望む。
生前の彼女からは考えられない、しかしそれ程の責め苦を受けている。
(ま、正直殺してとか壊れるなんて言ってる間はまだまだよ……本当に壊れるならもう喋る余裕すら無いもの)
くすぐられ続けた人間がどうなるか、エーナもその結末を知らない訳ではない。
体の感覚がおかしくなり笑い続けるだけの玩具になった者。
正気を取り戻せたが皮膚が異常に敏感になり服すら着れなくなった者。
くすぐられた時に性的快楽を得ていたのでその刺激に麻薬の様に取りつかれた者。
まさに千差万別、壊れてしまった者がどうなるかは壊してみないと分からない。
「さぁって、マリーはん。あんたさんはどんな風に壊れるんやろなぁ……楽しみやなぁ、たっぷりうちが満足するまでこそばして、じっくりじっくり壊したるでぇ?」
「いぃひぃぃぃひひひひひひひひひ!! そん、なぁははははははっはっはっはっ!? そんなのおおおいやぁひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!」
「アキラメロアキラメロ、マイラサマニネラワレタラモウニゲラレナイゾ。モウウケイレテクスグラレロ!」
残酷な宣告だろう。
狂う事も死ぬことも許されず相手が飽きるまでという実質的に無限にくすぐられる地獄の様な状況。
もう外部から誰かが助けに来ない限り彼女は永遠にくすぐりから解放される事は無い。
最初はくすぐりの事を悪趣味だとか特殊性癖だとか言っていた彼女が今や必死になってくすぐりを拒否しあまつさえ殺してくれと言っている。
彼女の全てが罅割れて壊れていく、『栄光』を汚すのとは違うがこれも一つの尊厳破壊というやつだろう。
「でもこのままってのも流石に飽きが来るやろなぁ、ふふ……そろそろ気絶させてもええで? 思いっきりやったってや」
「ワカリマシタ、マイラサマ!」
「はひぃ!? んひゃあ、あがあっひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!? そ、んなぁ!? きゅうにつよおっおおおおおははははははっはっはっはっっ!? あが、ぎゃひゃひゃひゃひゃ!?」
急に上がったくすぐり責めの速度にマリーは狂ったように笑い出す。
気絶させたとして、責めは終わらないだろう、次の責めへのインターバルだ。
勿論それをマリー本人も理解している、終わりでは無い、始まりの為の気絶だ。
「やだぁはははははははっ!! もう、ゆる、ゆるひてぇへへへへへへへへ!! こんな、こんなのやだぁっひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!」
「ふふ、子供の様に泣きわめいてかわいらしいやん? でもまだまだ、起きたらまたこそばしたるで?」
「ひひゃっひゃひゃひゃひゃひゃっあああああっあああははははははははは!! いぎぃひひひひひひひひっああっんがあああああっははははは!! ■■■■■――!!」
最後にはもう言葉に出来ないような声を上げながら、糸が切れた人形の様にぷつり、と動かなくなってしまう。
本当に気絶したのか、スライムは少し足の裏を触ったりする。
しかしぴくぴく、と体が動くだけで反応は薄い。
「マイラサマ、キゼツシチャイマシタ」
「はいおつかれさん。しばらく休んでええで、その間に……」
うん? その間に、何だろう?
なんでこっちに向かって歩いてくるの?
「エーナはん」
「は、はい」
「ちょっと付き合って欲しいんやけど? あんさんも好きやろ? くすぐられるの……さっきから股が濡れてる匂いするで? うちが直接くすぐったるから、部屋にいこか?」
「へ? ひゃ、ひゃい」
バレてた。