■ 箱詰倶楽部の社長は、如何にして箱詰倶楽部の社長になると至ったのか。頑なに本名を明かさない訳とは。かつての恋人とはどうなったのか。いま、彼女の秘密のベールが脱がされ――るわけではないかもしれません。彼女が箱詰倶楽部を立ち上げたのは、大体皆さんが想像している通りだと思いますーw-ウム
■ というわけで、箱詰倶楽部が作られた(正確にはそれを目指した)経緯でした。次回でこのお話は終わりです。その次はヒトイヌものとか書きたいと思っていますーw-ウム
■ 今回、実験的に文章の書き方というか、行間の取り方を普段とは変えてみてます。「読みやすい」か「読みにくい」かご意見いただけたら幸いです。コメントでも色々ご指摘いただけると嬉しいですーw-ペコリ
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ユイによって箱詰めにされた私は、窮屈な箱詰めの息苦しさ、そして体内に仕込まれた責め具の刺激によって、過去最高の絶頂を迎えてしまった。
もうそれで終わってもいい、そんな気分で全てを投げ出して、二度と目覚めなくても後悔はなかったけれど。
ユイの手によって私は蘇生された。
体の半面に空気が当たっている感じがする。
身体自体横を向いていて、どうやらユイの手で再び横に寝かされ、スーツケースの蓋が開かれたみたいだった。
息をするたびに、新鮮で冷たい空気が肺の中に入ってくる。
「フーッ……♡ フーッ……♡」
まだ絶頂の余韻が残っている。
呼吸して体を震わせるたびに、ジワジワ快感が全身へと広がり、頭が痺れてまともに考えられない。
そんな私に、ユイが声をかけてきた。
優しく頭を撫でられているのがわかる。
「気が付いた? ずいぶん気持ちよさそうだったわね♡」
「ンぅっ……!♡」
声をかけてきながら、ユイの手が私の股間を弄って来る。
彼女の指先が私の股間に突き刺さっているバイブに触れ、グリグリと軽く動かしてくる。
そんなに激しく動かされているわけではないのに、そのわずかな動きだけで、私の体は激しく反応してしまう。
「ンぃっ、んぅ……♡ んっ、ふぅ……!」
「気持ちいいのね。すごく締め付けて、離さないのが分かるわ。ふふふ……そんなに気持ちよく感じられるなら、まだ遊んでも大丈夫そうね♡」
嬉しそうに口にするユイ。
どういうことか気になったけれど、ボールギャグも噛まされた状態ではどうにもならない。
ただ、ユイの行動を受け入れるしかない。
ユイはもう一度私の頭を撫でると、スーツケースの蓋を閉めてしまう。
体の側面部全体に圧がかかり、私は再びスーツケースのに閉じ込められた。
ガチャガチャと鍵が閉められる音がして、私は自力では脱出できなくなる。
「よい、しょ……!」
「ンぅっ……!」
ユイはどうやら私の詰められたスーツケースを起こしたみたいだ。
先程と同様に、体に感じる重力の方向が変わる。
ただし、今度は全くの逆ーー頭が下を向くようにされていた。
狭い空間で、後頭部と肩に自分の体重がかかる。
「ふぐっ……! んう、んううう……!」
「苦しいでしょ。向きを変えておいたのよ」
楽しげに種明かしをするユイ。私はそれに応える余裕もなくーーそもそも言葉を発することができないけれどーーただ呻くことしかできない。
狭い箱の中、逆さまになった自分の体にかかる自分の体重。
スーツケースの底面に押し付けられ、首の骨がミシミシ悲鳴を上げていた。
普通に呼吸することも難しく、懸命に空気を取り込もうとするほどに、苦しさは増した。
「ん、ふぐ、うぅ……!」
普通なら単に苦しいだけの状態。
けれど、私にとっては、この上ない快感を生み出す状態だった。
スーツケースの壁に重力で押し付けられる狭苦しい感覚も、私にとってはとても嬉しい。
逆さまを向いていることで、足と腰の方には少し余裕が生まれている。
余裕と言っても、ちょっと揺らすことができる程度のことでしかないけれど、そのわずかな空間でお尻を震わせる。
「んぅ……! ふ、うぅ……! ふぐ、ぅ……♡」
箱の中というわずかな空間で震えていると、その振動を大きくするかのように、体の中に差し込まれている棒がまた動き出した。
さっきは股間を床に押し付けるような形になっていたので、その振動が奥に伝わってくるような感じだったけど、今度は私の穴の中を激しく動き回る。
ぐねぐね動くそれが私の穴の中を激しく掻き回し、私はただでさえ苦しい呼吸がさらに苦しくなる。
「ふぐっ、んぐぅう……! んっ、んく、くぅぅ……!」
体を動かそうとしても、自分の意志ではほとんど動かせない。
体を動かせば動かすほどスーツケースの底面に押し込められ、体がその形に固まっていく感じさえする。
ある意味では、この上なく箱詰めを味わえていると言えた。
苦しみと、それと同じくらいの気持ちよさが体を襲う。
「んぅ……! ふ、ぐうぅ……!♡」
息苦しさによるものか、それとも気持ちよさによるものか。
私の意識は薄れ、思考が鈍り、ただその状態を味わうことしかできなかった。
でもそれだけで十分だった。十分すぎるくらいで、何度も意識が飛びそうになる。
私のそんな状態を知ってか、知らずか。ユイが傍に立ったのが分かった。
何をするつもりなのかと思っていたら、ユイは私が詰められているスーツケースを転がし始めた。
「ふぐ……っ♡ ん、んんっ……♡」
「ちょっとお散歩しましょうか」
「んぅっ!?」
ユイの信じられない提案に、私は思わず体を震わせてしまった。
確かにスーツケースにはキャスターが付いているから、ユイの力でも動かすことは可能かもしれない。
でも、段差は越えられるのだろうか。バリアフリーの作りになっているとは言え、完全にフラットと言うわけでもない。
引っかかって転倒したら、その衝撃はどれほどのものになるだろう。
それにそもそも、今の私は全裸より恥ずかしい状態なのに、もしも途中でスーツケースが壊れて蓋が開いてしまったら。
最悪の想定ばかりが頭に浮かび、心臓がドクンドクンと激しく高鳴る。
「ふぐ、うぅ……!♡」
呻き声はどこまで外に聞こえているのだろう。
道行く人に気づかれてしまうんじゃないか。
それなら出来る限り声を潜めなければならない。
私は本当に大丈夫なのか、不安になりながらも、想定していなかった状況に、すごく感じてしまう。
「……はぅ……♡ んんぅっ……♡」
「外に出るなんて危険なことをしようっていうのに……そんなに気持ちいいの?」
静かな家の中では声がよく響いているらしく、ユイが私の呻き声に反応してそう呼びかけてきた。
ゆっくりと私が詰められたスーツケースが動き始めて、私の身体にその振動が伝わってくる。
狭い空間の中で、自分の体温がどんどん増しているのがわかる。むせ返るような暑さの中、私はぶるりと体を震わせる。
「ふぁっ、ああっ…!♡ んあぁっ♡」
(だ、だめ……全然、声が、抑え、られな……!♡)
とても我慢できるような状態じゃなかった。
体が勝手に痙攣し、狭苦しい空間の中で体の中から湧き上がる快感に翻弄され、意識が飛びそうになる。
そんな私の声を聞いて、ユイが少し呆れ気味の声をかけてくる。
「これじゃあすぐ気づかれちゃうわね。まあ、スーツケースに詰め込まれた変態がいるって気づける人はそういなさそうだけど…♡」
「フゥッ♡ んううう♡ んあうううっ♡」
からかうようなユイの言葉に反論することはできない。
ただひたすら、快感に悶えるだけだ。
ゴロゴロと頭の下でキャスターが動く音と振動がしていて、私の頭と思考を痺れさせる。
窒息しそうな苦しみが襲ってきて、今にも意識が飛びそうになる。
それと同時に、私はひたすら強い快感に浸っていた。
逆さまになった体の内側から、熱いものが滴っていくのが分かる。
ドロドロしたそれは私の膣から溢れた愛液だ。逆さまになっているというのに、身体に収まりきらず溢れている。
着ているラバースーツの内側に広がって、下腹部からお腹、胸のあたりにまで流れてきているのがわかる。
「〜〜〜〜〜〜ッ!♡」
その感触を強く意識すると同時に、また身体が反応して激しく震えた。
股間から溢れ出したものはとうとう胸も超えて首元まで到達する。
その感触というより、全身愛液まみれになったという事実に感じるものがあった。
小さい絶頂を何度も繰り返し、意識が散り散りになりかける。
そこに、ひときわ強く大きな振動が全身を襲った。
「ーーーーッッッ!!!♡♡♡」
頭の中が真っ白になって何もわからなくなる。
ユイが何か言っていたような気がしたけれど、私はただひたすら体を快感に震わせ、その気持ちよさに全てを委ねた。
意識を押し流す勢いの快感の奔流に、私は耐えきれずに意識を手放すのだった。
こうして、私の初めての本格的な箱詰めプレイは終わった。
結局のところ、ユイは部屋の中をグルグルが回っていただけだった。
最後の強い衝撃は段差に引っかかったのではなく、重さに耐えかねてスーツケースを横倒しにしてしまったとのことだった。
「倒しちゃった時はちょっと本気で焦ったわ……やっぱり、普通のスーツケスだと箱詰めプレイをするには危険ね」
「それはまあ……そうでしょうね」
無事にスーツケースから出され、拘束具も何もかも外された私はユイと感想を言い合っていた。
体に異変や異常はない。後ろ手に拘束されて自分の体重をかけてしまったから、腕に何か障害が残るかもしれないと思ったけど、案外平気だ。
拘束自体それほど厳重なものではなかったし、拘束されていた時間自体もそれほど長くなかったからだろう。
異常があったら、こんな風に悠長に話してられなかった。
「同じスーツケースでも、キャスターが四つ付いてるものもあるじゃない? あれなら結構安定して動けると思うのよね」
「それでも転倒のリスクはあるし、内側にクッションをつけたりできないかしら? それを膨らませたりすれば、圧迫感も増していいかも……」
「体にかかる圧力が増すのは良し悪しじゃないかしら? 血流が遮られて、それこそ後遺症とか……」
「そういうの治療できるお医者さんがいたらなぁ」
「あのねぇ、さすがにそれは望みすぎでしょ。そもそも、そんなほどよく膨張するクッション素材なんて、そんな都合のいい装置というか、技術力があるなら苦労しないわ」
「そうねぇ……技術も、資本も、何もかも足りないわ! こうなったら、そういう実験をしてる組織とか、機関に被験体として扱ってもらうしか……!」
「箱詰めされる実験ってなによ。エコノミー症候群を研究する施設でもそんなことしないでしょ」
「……やっぱり? そういうのがあれば、迷いなくテスターとして志願するんだけどなぁ」
「ないものねだりね……そんな風に言うなら、いっそ会社でも作ったら?」
ユイの半ば呆れた言葉に、私はぴくりと体を震わせた。
いま、ユイはなんて言った?
「ユイ……それよ! それだわ!」
「はい?」
ユイから言い出したことなのに、彼女は怪訝そうな顔をする。
私はそんな彼女に構わず、思いついたことを口に出した。
「ないなら私が作ればいいのよ! 箱詰めプレイを専門に扱うそういう会社を!」
「……マジで言ってる?」
「マジもマジ! 大真面目よ!」
「……あまりにも需要が少なすぎるような気がするけど……ニッチ産業狙いはなくはないわね」
「そうでしょうそうでしょう!」
「でもさ、大事なこと忘れてない? 貴女がその会社を作ったら……貴女はそれを活用できるの? 会社としてやること多いでしょ」
痛いところを突かれ、私は声を詰まらせる。
確かに、せっかくそのための会社を作っても、それの運営で一杯いっぱいになったら意味がない。
「それはその……受付とかは雇えばいいし……社長としての仕事も、箱詰めされたままやればいいのよ!」
「なにそれ。人を雇うのはともかく……箱詰めされたまま働くって意味わからなくない?」
「やろうと思えば何でもできる! だからユイ、私に協力して!」
私はそう言ってユイに協力を求めた。
箱詰めプレイがそうであるように、一人でできることというのは限界がある。
だけど、二人なら。
ユイが協力してくれるなら、不可能に思えることもきっと出来る。
根拠はなかったけど、私はそう信じて彼女に手を差し出した。
ユイは呆れた顔をしながらもーー最終的には私の言葉を受け入れてくれた。
「仕方ないわね……あなた一人じゃ、ころっといっちゃいそうだし、私が手を貸してあげるわ」
「ありがとう! ユイ!」
「まあ、突拍子もない事を言い出すのは今にはじまったことでもないしね」
そう言って笑うユイ。
そんなに変なことを言ってきた覚えはないんだけど、それを指摘するのは止めておいた。
藪蛇という言葉もあるからだ。
ユイは賢く口を噤む私に苦笑する。
「それじゃあ、大変だと思うけどがんばりましょうね。社長さん」
私の差し出した手をユイが強く握ってくれる。
こうして、私の箱詰めプレイ専門会社の誕生は決まった。
でも、その数週間後ーーユイは私の元から離れていった。
つづく