■ ヒトイヌ公園が冬季に行っている、ヒトイヌ勉強会。それに参加することを決めたある一組のカップル。結果、彼女たちはとんでもないことになっていきます0w0クワッ!
■ ヒトイヌの講義は2時間くらい、結構ガチな感じで行われましたーw-ウム ……実際こんな学習会があったら私が参加したいです0w0クワッ
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ヒトイヌの勉強会は、かなり理詰めで行われた。
ヒトイヌプレイなんていう特殊なプレイを説明する以上、性的な話からは逃れられないだろうし、少し気まずい感じになるんじゃないかと思っていたけれど――そうでもなかった。
「――当公園ではアナルプラグに尻尾飾りをプラスした器具を提供しておりますが、尻尾飾りに関しては安物の場合、汚れの付着や運動時に踏みつけてしまうなど扱いの難しさがあります。ゆえに皆様が個人としてヒトイヌプレイを行う再には、この子のようなボリュームのある尻尾飾りは避け、プラグ単独、あるいは短い尻尾飾りを選ぶことをおススメいたします」
「その尻尾飾りを購入することは出来ないのですか?」
「申し訳ありません。こちらは当公園の秘匿技術が用いられて作成されているものとなりますので、販売や貸し出しは基本的には行われておりません。そもそも、比較的頻繁にメンテナンスを必要とする道具となりますので、公園内以外で使うのは現実的ではないのです」
真面目に話をする職員さんと、受講者さん。
私はその話を聞いてメモしながら、考えを巡らせた。
(なるほど、公園内でしか出来ないこと、使えない道具……それがあることでこの公園の価値を担保しているわけね……)
メンテナンスが必要というのも嘘ではないのだろうけど、そういった思惑もあると思われた。
実際、そうでもなければこんな巨大な施設の維持管理が出来るわけがない。
少しでも公園に多く来てもらうために企業努力も怠っていないというわけだ。そういう姿勢が見えると、少し安心する。
(気楽に来られない距離だから、貸出とかあれば嬉しかったけど……存続するためには必要なことよね)
そういうスタンスであると思えば、逆に信頼にも繋がる。
私がそんな風に考えている間にも、話は進んでいく。
「基本的にヒトイヌ拘束というのは施された者にはほとんど何も出来なくなる拘束です。ゆえに、ご主人様側である方が細心の注意と警戒を持って楽しまなければならないものなのです。くれぐれも、興奮はしても思考は冷静に保ってプレイするようにしてください」
若干耳が痛い。やってみたいという軽い考えで海咲ちゃんにヒトイヌ拘束を施し、痛い思いをさせてしまっていたからだ。
ちゃんと準備をしていたつもりで、出来ていなかったのは反省しなければならないだろう。
そんな風に、座学の時間には注意なども含めて十分参考になる話を聞かせて貰えた。
それなりに長い時間になったけれど、それだけの価値はあった。
説明してくれていた職員さんが軽く手を打つ。
「さて。これで勉強会の前半は終わりです。後半では実際にヒトイヌ拘束を体験していただくことになりますが、その前に十分ほど休憩を取ります。トイレなどにはこの時間に行っておいてください」
いよいよだ。ヒトイヌ拘束を施すということは、それなりに整えておかなければならない。
私は装着する側ではあるけれど、途中で行きたくなっても困るので、私も行っておくことにした。
「海咲ちゃん、行きましょうか」
「……ん」
他の受講者たちもほぼ全員動き出す。
ふと、視線を感じて振り返ると、説明をしてくれていた職員さんの傍に待機しているヒトイヌの子がじっとこちらを見ていた。
(そういえばあの子、ずっとあの状態で待機していたわね……あの体勢は意外と楽なのかしら?)
四つん這いの状態ではなく、正座の状態から膝を少し開き気味にしたあの姿勢。
体を隠せなくて恥ずかしい体勢ではあるけれど、あまり負荷はかからないのかもしれない。
「…………」
そんなことを考えていたら、海咲ちゃんに袖を引かれた。急に立ち止まったから何事かと思われたのかもしれない。
「ごめんなさい。行きましょうか」
私はそう海咲ちゃんに行って、彼女の前に立って歩き出した。
海咲ちゃんはいつも通り何も言わず、私の後ろを付いてくる。
トイレを済ませてホールへと戻ると、舞台の方に人が集まっていた。
どうやら待機していたヒトイヌが舞台から降りて近くに来ているようだ。
私は海咲ちゃんと視線を交わし、人だかりの傍に近づいてみる。
人垣の間から、ヒトイヌの姿が見えた。
四つん這いでトコトコと軽快に歩いている。
以前私が海咲ちゃんに拘束を施した時の動きとは比べ物にならない軽快さだ。
(確か、この公園のヒトイヌ拘束具には、体を支えるためのサポート機能もあるのよね)
手足を折り畳んだ状態に固定する拘束具は、一見するとただの革で出来た、私が海咲ちゃんに装着したのと同じようなものに見える。しかしその機能はレベルが違うのもので、個人差や動き方にもよるが数時間四つん這いで歩き回っても平気なのだとか。
その秘密はその拘束具自体に体重を支える骨組みのようなものがあり、かつ、足と手がほぼ同一の長さになるような工夫があるからだという。
そのおかげで装着者は前傾姿勢にならずに済み、特に肩への負担が和らぐ。
公園という巨大な敷地を存分に活かすための仕様なわけだ。
「……ッ、ンぅ……っ」
私が感心してそのヒトイヌを眺めていると、ヒトイヌは顔をうっすら赤くして、少し俯き気味になってしまう。私以外にも皆に見られているから、相当恥ずかしいのだろう。
しかし、そんな彼女の様子に反し、お尻に装着されている尻尾飾りはぶんぶんと左右に振られていた。
ヒトイヌ公園で使われている尻尾飾りにはいくつかの種類があるそうで、肛門の括約筋で締め付けることで尻尾を振るか振らないかを装着者が自身で選ぶことの出来るタイプと、本人の脳波を読み取って自動的に振られたり丸まったりする全自動タイプなどがある。
今回の彼女がつけている尻尾は全自動タイプのようだ。
(確か……気持ちよくなったり、興奮したりすると左右に揺れるんだったわね……)
つまり現在彼女は、たくさんの人に囲まれて注目されていることで、興奮しているということになる。
それは恥ずかしくなっても仕方のないことだろう。自分の心が暴き出されているようなものだからだ。
「フーっ……フーっ……」
彼女は呼吸を荒くして、しきりに息を吸ったり吐いたりを繰り返していた。
その姿は正直とても煽情的で、彼女の気持ちを想像するだけでこっちまで興奮してしまう。
海咲ちゃんも彼女に自分を重ね合わせて考えてしまったのか、いつもより少し鼻息が荒い。
(ふふ……これからあなたも体験するのよ)
私がそんな風に思って海咲ちゃんに囁こうとしたところ、ヒトイヌを囲んでいた人垣からワッと声が上がる。
その声に驚いて、そちらに注目すると、四つん這いになっていたヒトイヌがごろりと横倒しになって居た。
折り畳まれて短くなった手足をパタパタと動かしている。とても滑稽でありながらも、情欲をそそる動きだった。
両手両足が開かれ、ラバースーツに包まれた胴体を曝け出している。曝け出されているのは胴体だけではなく、股間もだ。ぴっちりとスーツが張り付いているそこは、ぷっくりとした恥丘の膨らみや縦に走る筋までハッキリ見えてしまいそうだった。
思わずごくりと喉が鳴る。そんな行動を海咲ちゃんが行っているのを想像して、ますます興奮が高まっていた。
ただ、それと同時に、ひっくり返ってしまったヒトイヌのことが少し心配になる。
(あんな不自由な状態でひっくり返っちゃって……起きれるのかしら?)
とてもじゃないけれど、私だったら起き上がれる気がしない。
恥ずかしいところを晒したまま、好きなようにされてしまうだろう。
私がそんな風に考えて心配していると、ひっくり返って手足をばたつかせていた彼女は、おもむろに両手両足をぴっちりと閉じ、背中を丸めた。
すると、ぱたりと横向きに倒れる。さらにそこから体の下側になった左手と左足だけをまっすぐ上下に伸ばす。まっすぐとはいっても、手足が半分に折りたたまれていることに変わりはなかったけれど、そうすることで彼女の体はさらに半回転し、うつ伏せになりかける体勢となった。
そしてそこから左手と左足を弧を描くように動かし――気づけば、起き上がれる状態になっていた。
「わぁ……」
見事な体の使い方だった。実に手慣れている。
やはり学習会に駆り出されるようなヒトイヌだから、拘束に慣れているのだろう。
(海咲ちゃんならすぐ出来るようになりそうね)
恋人の贔屓目というわけでなく、海咲ちゃんは自己主張こそ乏しいけど、やると決めた時や私が指示を出した時は結構なんでもできる。器用というかなんというか、そういうオールマイティなところは私よりよっぽど海咲ちゃんの方がすごいのだ。
そんなことを考えているうちに、起き上がったヒトイヌはまたとことこと動き出す。
私たちの足元をすり抜けるように動き、かなり動き慣れている様子だった。
私と海咲ちゃんのすぐ傍を、ヒトイヌが移動していく。
ふと、ヒトイヌが目線を上げ、私をじっと見つめて来た。
思わずドキリとしてしまったけれど、そのヒトイヌは何も言わないまま、私たち傍を通り過ぎていった。
「…………」
海咲ちゃんが私を見て目を瞬かせている。そこに浮かんでいる疑問の色に、彼女があのヒトイヌの行動を怪訝に思っているのが伝わって来た。
「知り合い……とかではないと思うんだけど……単に偶然だと思うわ」
目元以外はほとんど隠れてしまっていたから確かとは言えないけれど。
でも、もし知り合いだったとしたら、もっと違う反応があったような気がする。
さっきの反応は知り合いのものではなかったように思う。
不思議に思っていると、ヒトイヌはそのあま入り口の方へと歩いていき、その辺りの床に右肘を押し付けた。
すると、小ホールの入口のドアが勝手に開き、そこを悠々と彼女が潜り抜けると、再び扉はしまった。
どうやらこの建物には、ヒトイヌが自由に行動できるようにするための仕掛けが色々施されているらしい。
「肘のところにICチップみたいなのが仕込まれているのかしら?」
「…………たぶん、そう」
今回の学習会で学んだのは、ヒトイヌプレイそのもので、この公園の使い方や利用方法なんかはまた別らしい。
(そういえば、ここは一人でも利用できるんだったわね……そのための仕組みってわけね)
二人組で片方がご主人様として傍についていれば、自分でドアを開ける必要なんてないけど、一人で入場して楽しもうとしたら、自力でドアを開けたり、色々する必要がある。
(結構ソロで楽しむ工夫もあるとはいうけれど……まあ、私たちにはあまり関係のないことかしらね)
そんなことを考えつつ、私たちは堰へと戻った。
舞台上に職員さんが再び現れて、私たちに向けていう。
「時間になりましたので、それではこれより実践練習を始めます。人前でヒトイヌになりたくないという場合は見学だけでも構いませんが、出来る限り参加するようにしてください」
そう言われて、私は海咲ちゃんの顔を窺った。
確かに、パートナーである者相手はともかく、ここで実際にヒトイヌになるということは、他の人に見られるということである。それを嫌がる人もいるだろう。
海咲ちゃんはどうかと言えば、特に嫌がる様子はなく、いつもと変わらぬ目をしていた。
(うん、大丈夫そうね。……さあ、いよいよこの時が……!)
私が期待に目を輝かせていると、職員さんがすっと手を挙げた。
「言い忘れていました。今回体験していただくヒトイヌ拘束ですが――」
私たちは自然と職員さんに注目する。
どんなヒトイヌ拘束が体験できるのかと思えば、職員さんが告げたのは思いがけない言葉だった。
「今回ヒトイヌ拘束を体験するのは、普段ヒトイヌに『なる側』の方ではなく、ヒトイヌに『する側』の方にしてください」
その言葉が意味することは、つまり。
今回ヒトイヌ拘束を施されるのは、海咲ちゃんじゃなくて私だった。
つづく