■ ヒトイヌ公園が冬季に行っている、ヒトイヌ勉強会。それに参加することを決めたある一組のカップル。結果、彼女たちはとんでもないことになっていきます0w0クワッ!
■ 何事も経験が大事とはよくいったものですーw-ウム 今後海咲ちゃんに着せるときにこの経験がきっと役立つことでしょう0w0クワッ!
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物事を理解するには、百のことを聞くよりも、一のことを体験する方がいいという。
いわゆる『百聞は一見に如かず』という奴だ。
どれほど理屈を学んでも、想像力を働かせても、実際にやるのとそうでないのとでは、大きな差があるというのは、私とて理解している。
しかしまさか、ここでそれを持ち出されるとは正直思っていなかった。
「…………」
海咲ちゃんが私をじっと見つめている。普段なら可愛いと思うだけなのだけど、そこに普段とは違う感情が覗いているように見えるのは気のせいだろうか。
いつもと違う感情とは言っても、好奇心とかそういう類のものだったから、嫌な感じはしないけれど。
ヒトイヌ公園が冬季に行っている、ヒトイヌ学習会。
座学に関しては、独学ではわからなかったことも色々知れて非常にためになったのだけど、実技でまさか私の方がヒトイヌになるように言われるとは、正直予想もしていなかった。
「……理屈はわかる、のよねぇ……」
ヒトイヌ拘束というのは、普通は取らないような姿勢を取り、普通は着ないような特殊な服を着ることになる。
ゆえにそれがどんな風になってどんな風に感じるかは、理屈で考えて想像力を働かせることにも限界があった。
実際、初めて海咲ちゃんとヒトイヌ拘束を試した時には、それが不足していて彼女に辛い思いをさせてしまったわけだし。
そのことを考えると、私自身がヒトイヌ拘束を体験して、どんな風に負荷がかかって、どんな風に感じるかを理解しておくことは非常に重要で、極めて大事なことであるといえる。
それはそうなのだ。頭ではわかっている。
けれど、やはり私がヒトイヌになるというのは、かなり戸惑いを覚えることだった。
ちなみに、学習会で同じように座学を受けていた人たちも、かなり戸惑っている様子で、それぞれのパートナーと話し合いをしている。
一人で来ていた人に関しては、すでにいなくなっていた。帰ってしまったのか、それとも一人でヒトイヌ拘束を受けにいったのかはわからない。
実技に関してはそれぞれ別で受けることになるらしく、個室に通されているみたいだった。
(むむむ……さて、どうしようかしら)
海咲ちゃんの安全を確保するという意味では、きちんと受けておいた方がいいというのはわかる。
けれど、ヒトイヌ拘束がどういうものなのかはしっかり理解できているので、ものすごく恥ずかしいことになるのは間違いない。
(かといって自分が嫌なことを海咲ちゃんにするのは……いや、でもそういうのとはちょっと違う気もするし……)
そんな風にぐるぐると思考を巡らせてしまっていると、不意に海咲ちゃんが私の前に立った。
真剣な表情を浮かべている彼女に、思わず硬直してしまう。
「み、海咲、ちゃん?」
彼女は真剣な顔のまま、じっと私を見つめてきていた。
「…………」
そこにはただ、私を信じている光があった。
こんな時まで無言というのは海咲ちゃんらしいと言うか、ひと言くらい言ってくれてもいいとも思いつつーー私は彼女に告げた。
「……今回は、あなたに任せてもいいかしら?」
そうやって相手を信頼して身を委ねるというのも、きっと今後のプレイで役に立つ経験になるはずだ。
(……きっと。……たぶん)
ちょっと自分に言い聞かせるようなテンションになってしまったけど、間違ってはいないはず。
そう信じて、私と海咲ちゃんは、私がヒトイヌになる側として、学習会の実技の部に挑むことになった。
更衣室という名の個室に私と海咲ちゃんは通され、そこで待つように言われた。
しばらくして、公園の職員さんが私たちの更衣室にやって来た。
その手に色々な装備品を抱えているのを見て、思わず息を飲んでしまう。
「お待たせしました。今回ご用意したのは、もっとも基本的なヒトイヌ拘束のセットとなっております。汎用品ではありますが、ある程度のサイズのブレには対処できる仕様ですのでご安心ください」
ある程度、ということは、それによって適応できるくらいのサイズは把握されているということだ。
少し不気味に感じたが、今どきいろんな手段で大まかなサイズくらいは把握できるだろう。あまり気にしないことにした。
「なお、ヒトイヌ公園に会員登録していただければ、専用のヒトイヌ拘束具一式をお作りいたしますので、ぜひご検討ください」
(なるほど、そうやって会員を増やす努力もしているのね)
強かな話だ。それくらいでなければ、公園の運営を維持できるわけがないから、納得である。
そんなことを考えつつも、私の目線はその職員さんが持ってきた拘束具に釘付けになっていた。
なにせそれが、これから私が装着するものなのだから。
用意された道具のうち、目立つのは全身を覆うラバースーツだろう。
首から下を全部覆うような構造になっていて、人が脱皮したものと言われても納得できたかもしれない。ただし、手足の先の指は分かれていなくて、一つにまとめるような形になっていた。
それはつまり、それを身につければ指が使えなくなって、自分では何もできなくなるというわけだ。
(な、中々徹底してるじゃないの……っ)
拘束の厳しさを想像して、私は思わずごくりと喉を鳴らしてしまった。緊張によるものであって、決して興奮しているわけではないーーと思う。
それを身につけている海咲ちゃんを想像して興奮しているという話ではあるのかもしれないけれど。
そんなことをつらつらと考えてしまう私は、他の拘束具にも目を向ける。
ラバースーツの次に目立つのは、両手両足に被せるであろう、手足の拘束具だろうか。
手足を曲げた状態で、上から被せるような装着方法であろうそれは、太いベルトが二箇所にあって、とても私の力で千切れるような強度ではなさそうだ。
ラバースーツの仕組みだけでも十分だろうに、そこまで拘束する必要はあるのだろうか。
(無力感を味わうためと思えば……これくらいは必要なのかしら)
確かにこれほどの拘束を施されたら、もうその状況を受け入れるしかない気がする。
海咲ちゃんの場合は必要ないかもだけど、人によってはそれくらいしっかり拘束されなければ、ヒトイヌになりきれないのかもしれない。
サイズ的には一番小さいかもしれないけど、存在感が抜群に強いのは赤色の首輪だろう。
そのカラーリングはあえてなのかもしれないけれど、いかにも犬が首に巻いているような見た目の首輪であり、自分の立場を自覚させるためにはそれくらい露骨な方がいいのかもしれない。
(……さっきから、考えすぎ?)
緊張が妙に思考を研ぎ澄ませている気がする。
果たして今の状態が研ぎ澄まされている状態なのかと言うと、ちょっと違う気がしてならないけれど。
そして、座学の時にも見た、犬の尻尾を模した飾りのついたアナルプラグ。
ヒトイヌ公園で提供されるそれは単なるプラグではなくて、相当の機能が備わっているものだ。
実際見た目からしてかなりメカメカしいもので、見た目で色んな機能があることが窺える。
(確か……抜けなくなる機能はもちろん、肛門の締め付け具合で尻尾飾りの動きが変わるのよね……)
想像したら、思わずお尻の穴に力が入ってしまった。
海咲ちゃんのアナルをイジってみたことはあったけど、自分のお尻をイジったことはない。
果たして初めてでもそんなアナルプラグを挿入することはできるのだろうか。
(ちょっと不安になってきたかも……)
一応便秘気味というわけではないし、挿入することはてきると思うけれど。
どんな感じになるのかは正直想像できない。
見た目だけの印象でいうとアナルプラグはかなり太く見える。
入らなかったらどうしようという不安がないわけではない。
「…………」
ヒトイヌ拘束のセットを見て、思わず息を呑んでしまっている私を、海咲ちゃんはいつもの感情の読みにくい顔でじっと見つめてきている。
「だ、大丈夫よ。怖気づいたりしてないわ」
そもそもこれは今後海咲ちゃんに同じことをするための予行練習なのだから。
そういったことをしようと提案したのは私だ。その責任として、装着を受け入れるべきだと考える。
改めて決意を固めていると、職員さんが忠告してきた。
「無理しないでくださいね。される方は無理だとしても、してはいけないというわけではないですから。あくまで今回は理解を深めることが目的です」
「は、はい。わかっています」
そうだ。別に自分が完璧にそれを受け入れなければならないというわけではない。
人に施そうとしているヒトイヌ拘束の理解を深めることが目的であって、これから自分がそれをしなければならないというわけではないし、そこまでは求められていない。
経験することが大事なのだから。
そう考え、改めて気持ちを入れ直していると、職員さんが促して来る。
「それでは、服をすべて脱いでラバースーツを身につけてください。最初は手こずると思いますので、パートナーの方は装着を補助して差し上げてください」
「…………ん」
そう短く答えた海咲ちゃんがラバースーツを手に持って広げる。
バサリと広げられたそのスーツは、テカテカと怪しげな光を放ち、私の目を少し眩ませた。
私はごくりと息を呑みながら、服を脱いで用意された籠の中に収めていく。
この場には海咲ちゃんと、同性の職員さんしかいないので、脱ぐこと自体は簡単にできた。
ただ、やっぱり一人だけ裸になるというのは、結構恥ずかしく、顔が熱くなっているのを感じる。
「…………っ、さ、早速、着ていきましょうか」
私は言葉を詰まらせてしまいつつ、海咲ちゃんが広げているラバースーツを手にする。
背中に空いている隙間から、その中に手足を滑り込ませていく。
まずは足からだ。スーツの中は絶妙に滑りが感じられて、まるでそういう生き物の口の中に手を入れているような感覚になる。
(んひぃぃぃ……!)
ゾワゾワする感覚をこらえながら、何とか足を奥まで挿し込む。感覚的には、非常に分厚いタイツに足を通している感覚だろうか。
タイツの材質より肌に張り付いてくる感覚は強い。あらかじめある滑りがなければ、途中で止まってしまっていたと思う。
足がぴっちり包まれる感覚にどうにか耐え、そこを越えると腰回りがラバースーツに覆われていく。
ぴちぴちとしっかりとした生地が肌を覆っていく感覚は、水着を着ている感覚に近いのかもしれない。
でも、やっぱり水着とラバースーツは着用感が全然違う。
ラバースーツは股間の輪郭を浮き上がらせるようにぴったりと張り付いて来ていて、表現しようのない感覚に思わず体を震わせてしまった。
「はぅうう……っ」
口から情けない声が漏れ出てしまう。
幸いというか、海咲ちゃんも職員さんも私の声に特に触れることはなく、淡々と続けてくれた。
次に手をラバースーツに通し、一気に体を覆ってしまう。
腕をラバースーツの袖にしっかり通すと、ラバースーツの前面が体に張り付いて来て、少し恥ずかしさは薄れた気がする。裸の胸を直接見られているのと、ラバースーツ越しに見られるのとではやっぱり結構感覚が違った。
(……ん、これ……っ、そうだった……手が使えなくなるんだった……っ)
ラバースーツの腕の先はすべての指を揃えた状態で纏めるようになっていた。
着ている途中で気づいたけれど、その腕の先端部には金属の輪っかのようなものがついている。たぶんこれを使って腕を固定するのだと思う。
少しずつ体の自由を奪われていく感覚に、私はドキドキと心臓が高鳴るのを感じていた。
そしてついに――ラバースーツのジッパーをあげる段階となった。
つづく