■ ひょんなことから幽体離脱が出来るようになった少女のお話。幽体には魂の声を響かせ、それを聞いた者にいうことを利かせられる能力があった。それを使って少女がすることとは――
■ ジャンルが行方不明。一応、洗脳とかMCとかになるのでしょうか……? 中編くらいの長さでさくっと書く予定です。例によってハッピーエンド……というか、憎い相手を洗脳しまくって社会的にグチャグチャに……とかいうドロドロした感じのお話ではありません。彼女がその能力で洗脳するのは主に「ひとり」だけです(ΦωΦ)フフフ…
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私が自分の身体がエッチなものなのだと気づいたのは、いつものようにオナニーをしていて盛大にイった時のことだった。
頭の中が真っ白になるような感覚があって、妙に身体が軽くなったような気がして――気づいた時には、私は半透明の身体になってふわふわ浮かんでいた。
風船みたいに漂う感じがとても気持ち良くて、しばらく何も考えられなかった。
ただその感覚はずっと続いていて、それが絶頂の余韻というわけではないことに気づいた私は呆然とする。
(え……な、なにこれ!? ええ……!? う、浮いてる……!?)
私は自分の身体を見下ろそうとして、その身体が奇妙に細長く伸びていることを知った。
正確には、腰から下の身体がお餅みたいに引き延ばされていて、その先は私自身の頭に繋がっていた。例えるなら、ランプの細い先端の穴から飛び出している、ランプの魔神みたいな感じだろうか。
細長く伸びてしまっている下半身に特に痛みとかはない。そもそも私の体は半透明で、俗な言い方をするなら霊的なものになってしまっているようだった。
そんな状態でふわふわ浮かぶ私の下に、私自身の身体が横たわっていた。
オナニーしてアソコを弄っていたので、裸でガニ股になっているという、なんともひどい格好だ。
表情も目を見開いて半分白目を剥いているので、一層悲惨なものだった。
でも、そんな悲惨な姿にも関わらず、汗ばんで少しテカっている様子はとてもエッチに見える。
ぴくぴくと痙攣しているのも、悲惨ながらなんとも言えない魅力を醸し出しているように感じるし、すごく性的な感じがした。
意識がふわふわ浮かんでしまっていて、正直それどころじゃなかっったけれど、官能的と言ってもいいんじゃないかと思う。
そう思いつつも、一体全体何が起きているのか、全く理解できなかった。
ふわふわ浮かぶ身体も動かせるんだか動かせないんだかよくわからない。移動することはほとんど出来なかった。
一応、動けることは動けるのだけど、身体と繋がっているからそれ以上は動けない。ちょっと頑張れば細長く伸びた身体がさらに伸びる感覚があったけれど、どこまで離れていいのかわからない。
ただ、身体から距離を取ると無性に怖くなって、必要以上に離れない方がいいことが本能的にわかった。
(これってもしかして……幽体離脱……って奴? 本当にあったんだ……!)
自分に起きている現状は、そうとしか思えない。
ある意味すごい神秘体験をしているという事実に、私は興奮する。
(魂ってほんとにあるんだ……! ふわふわ浮かんでるのは結構気持ちいいし、何か面白いことも出来そうだよねぇ……)
そんなことを考えながら、私はしばし幽霊の状態を堪能する。
官能的ながらもみっともない状態でひっくり返っている自分の体は、ぴくぴくと痙攣するばかりだ。
(戻れるのかしら……?)
私は不安に思い、その体に触れようとしてみる。
半透明の私の体はずぶずぶとその体の中に沈み込み――どうやら、時間はかかっても元に戻ることは出来そうだ。
そのことに少し安心する。
(さすがにこのままじゃ困るところだった……だって――)
私はそう考えていたが、実はこの時、そんな場合じゃなかった。
なぜなら。
私の部屋のドアが、コンコンと軽くノックされたからだ。
「めぐ~。ご飯できたよ~」
母親が呼びに来たからだ。元々私がオナニーを始めたのは、夕食までちょっと時間が空いたから、少し楽しむだけのつもりだった。
それが思いがけず盛り上がってしまったのと、幽体離脱という予想外のことが起きて、私が想像していた以上に時間が経ってしまっていた。
お母さんが部屋に呼びに来てしまうくらいに。
(やばっ……!)
私は慌てて自分の体に戻ろうとしたけど、完全に元に戻るまでには時間がかかってしまいそうな抵抗がある。
ずぶずぶと体に霊体を沈み込ませていくけれど、とても間に合わない。
そして、ノックしても反応がないとなれば、当然。
「めぐ? 寝てるの?」
遠慮なくお母さんは扉を開けてしまう。
(ダメーーっ!!)
こんな姿をお母さんに見られるなんて、恥ずかしすぎて死ねる。
私は慌てて手を振り回して、自分を隠そうとした。
扉を開いたお母さんが、ひょっこり顔を覗かせて、目を見開く。
「あらぁ………………」
叫ぶでも、声を荒げるでもなく。
困惑しているという、すごく生々しい声がお母さんの口から零れた。
(なんでもない! なんでもないから! 忘れてぇええ!!)
いまの私の声が聞こえるかどうかもわからない。
ただ、そう叫ばずにはいられなかった。
すると、不思議なことが起こった。
『娘のあられもない姿を見てしまった』と言わんばかりだったお母さんの表情が、すっと抜け落ちた。
のんびり屋のお母さんが浮かべそうもない表情を浮かべていて――私は困惑する。
(あ、あれ……? おかあ、さん……?)
お母さんの様子がおかしいことに気付き、私は思わずそう呼びかけてしまう。
だけどお母さんは相変わらず焦点の合わない目を真っすぐ前に向けているだけで、何も答えてくれない。
私はとんでもないことが起きているのではないかと直感する。
(お、お母さん? 聞こえてる? 左手をあげてみて?)
私がそう呼びかけると、お母さんは私の言ったとおりに左手を上にあげる。
その際、お母さんは勢い余って思い切り手をドア枠の上部にぶつけてしまっていた。
かなり痛そうな音がしたけれど、お母さんは顔を歪めすらしなかった。
その事実に私はおかしなことが起きていることを確信する。
(も、もしかして……この状態の私が言うことを利いちゃうの!?)
もし本当にそうだとすると、とんでもない話だ。
(え、えっと、お母さん。お母さんは私を呼びに来て声をかけた。けれど、ドアは開けずにそのままリビングに戻った。部屋の中は何も見なかった。そんな感じでお願い)
だいぶいい加減な指示だったけれど、お母さんはこくりと頷くと、扉を閉めてリビングの方へ去っていった。
パタパタとお母さんの足音が遠ざかるのを確認してから、私は脱力する。脱力するべき体がないけれど。
(こ、これ……とんでもない状態なんじゃ……?)
お母さんだから指示を聞いてくれたのか、それともまさか誰でも関係なく指示を出せるのか――使いようによっては、とんでもないことになりそうだ。
私はふと、自分と重なりかけている体に視線を落とす。
このまま元に戻ることは出来そうだけど、また幽体離脱することは出来るのだろうか。
(……と、とにかく一度戻らないと……!)
自分に言い聞かせるように呟いた私は、再度体に重なっていく。
霊体が体にほとんど重なりかけた時、なんだか吸い込まれるような感じが全身にして――
「――はっ!」
びくん、と体が跳ねる。
慌てて体を起こすと、あられもない自分の体がいつものように視界の下半分にあった。
どうやら無事に戻れたみたいだ。
「はぁ……よかった……」
とりあえず無事に元に戻れたらしい。私は急いでタオルでアソコや手を拭いて、脱ぎ捨てていた服を着直す。
色々と試してみたいけど、ご飯を食べないとまたお母さんが呼びに来るかもしれない。
お母さんの状態も確認しておきたかった私は、身支度を整えると急いでお母さんの待つリビングへと向かった。
そこではお母さんが何事もなかったかのようにご飯の準備をしてくれていた。
「あ、めぐ。遅いわよ。冷めちゃうじゃない」
「ご、ごめんなさい……」
いつも通りだ。少なくとも、娘のあられもない姿を見た直後の親の態度ではない、と思う。 親はそういうの結構隠すのが上手いっていうし、すっとぼけている可能性もまだある。
けれど、お母さんは隠し事とか上手い方じゃないと思うし、そういう感じは全くしない。
やっぱりさっきの私の言葉が、強制力を持つ言葉として作用していると考えるべきだろうか。
私はご飯をよそうお母さんの手に、痣があることに気付く。
「お母さん、その手……ど、どうしたの?」
さっきぶつけたところだ。思った以上に痛々しいので、相当な勢いでぶつけてしまったようだった。
お母さんは私の指摘に自分の手を見て、肩を竦める。
「そうなのよぉ。どこかにぶつけたっぽいんだけど……ぶつけた覚えがないのよねぇ……」
お母さんは心底不思議そうに首を傾げていた。やはり、さっきあったことを完全に忘れている。
とりあえず、恥ずかしいところを見られたことはなかったことになったようで、ほっとした。
実際には覚えていてすっとぼけてくれている可能性も一応はあったけど、少なくとも私の感覚ではそんな感じはしない。
(やっぱり、あの状態でした指示は完全に聞くってことかぁ……うわぁ……)
いわゆる一種の洗脳能力といえるかもしれない。
もしもそうだとしたら、恐ろしい話だった。
(へ、下手に使わないようにしよう……絶対ヤバい)
思わず口に出したことが実現するとか、恐ろしくて仕方ない。
それこそ何かの間違いで『死ね』とか言っちゃったらそれを聞いた人は本当に死んでしまうかもしれない。
(まあ、まだまたあの状態になれるかどうかはわかんないけど……)
さっきはたまたまああなっただけで、同じ状態になろうとしても出来ないかもしれない。
そうだとすると、急いで戻ったのはもったいなかったかもしれないけれど、それほど遠くに行けそうな感じもなかったし、さっさと戻ってしまってよかったのかもしれない。
(もう二度と起きないかもだしね!)
奇跡は起きないから奇跡、という。そう考えれば、一度起きた奇跡は、二度も三度も起きないと考える方が自然だ。
私は夢を見たようなものだと結論づける。
その晩、私はまた幽体離脱をしてしまっていた。
ふわふわと浮かぶ体の感覚に浸りながら、私は出ないため息を深々と吐くフリをする。
(夢じゃなかったかぁ……)
浮かんでいる私の真下には、夕食前の時と同じで、オナニーしていた私の体がある。
今回もオナニーで絶頂すると同時に体から霊体が飛び出してしまっていた。
どうやら絶頂するのがトリガーになっているみたいだ。
(昨日まではそんなことなかったんだけどな……? いったい、何が原因でこんな体質に……?)
こうなってしまった理由がわからない。私は腕を組んで唸る。
こうして私は、絶頂する度に魂が体から抜け出て、幽体離脱状態になるという、とても奇妙な体質になってしまったのであった。
使いようによってはすごく有用そうな能力だったけれど――私はその能力を、普通とは違う方向に使うことにした。
つづく