今日もため息。
カーテンを閉め切った部屋は沈鬱とした気分の吹き溜まりで、LEDの明かりが昼夜を問わず代り映えのない日常を固定している。
かといって窓を開ける気力なんてあるはずもなく。いつも通りディスプレイを見ながら刹那的な刺激を摂取して、生きることへの虚無感を薄めてごまかしていた。
外界との関りを絶つことでしかおれは生きていけない。そんな自分が嫌になるけれど、変える方法なんて知るわけがない。
だからおれは今日もひきこもる。それが駄目だとわかっていても、それしかないから。
「……今日も親父が帰ってきたら小言を言われるんだろうな」
椅子に座ったおれは、差し迫る現実に対して辟易とつぶやいた。
画面の右下にある時計に気付いたら、陰鬱な気持ちが加速する。また一日を無為に過ごしたことへの忠言は、正論ではあるが煩わしい。もどかしさが募った結果、八つ当たりだとわかっていてもストレスは消えてくれなかった。
「仕事……見つけないとなあ……」
口だけだ。わかっている。
本当はそんな気なんてない。
初めての就職でブラックを引いて、心も体もボロボロになってようやく辞めることができた。
だけど代償はでかく、気力というものが枯れ果てている。人は一度壊れたらなかなか回復しない生き物なのだというのをその時に知ったが、もう遅かった。
社会活動ができない自分に嫌気がして、その自己嫌悪で閉じこもっての悪循環。今のおれは少ない貯蓄を食いつぶしながら、死ぬのを待つだけの肉塊だ。
「はあ……」
着替えることのないパジャマにくるまって、ディスプレイからあふれる映像に溺れる。明かりの灯る夜景は人の営みだと言うが、こうしてタイムラインを流れる誰かの言葉も十分な営みだ。おれはそこに入れないから、ただ誰かがこぼした光に群がって暖を取ることしかできない。
このままおれの人生は続いていくんだろうか。そんな思考の沼から抜け出せず、最悪な想像だけが頭を駆け巡る。
「うわ、部屋がなんか陰気くせえっ! まだ外明るいんだから、カーテン開けようぜ!」
「……え?」
聞いたことのないにぎやかな声と共に、部屋に光が入ってきて彼を照らす。
窓から差し込む夕日に照らされた姿を見た衝撃を、おれは一生忘れないだろう。
明るく綺麗な黄色の毛皮に程よく暗い茶色の縞模様。それらは肉体の隆起に合わせて茂っており、影の形から彼が屈強なことがわかる。小さな丸い耳は彼に決してかわいいという印象を与えず、太い顎から醸す雄々しさに負けていた。
着ているものはシンプルなハーパンとシャツだけだが、彼の肉体を隠す方が問題だろう。なんて思ってしまうほど、その虎はかっこよかった。
「うし、じゃあついでに換気するか。ひきこもるのはいいが、定期的に窓は開けねえと駄目だぜ」
赤いたてがみを揺らしながら風を浴びる姿は楽しそうで、その溌溂とした姿に見入ってしまう。おれとは全く違うエネルギッシュでたくましい男。まさにおれの理想がそこにいる。
ぼーっと見つめて数秒、ここでようやく、こいつが不法侵入者だということを思いだした。湧き上がった疑問が恐怖心をあおり、思わず椅子から腰がずり落ちる。
なんでここに? どうやって入った? なんのために?
だが悲しいかな、人付き合いなんてほとんどなかったおれにできたのは、精悍な虎を見上げることだけだった。
「あ、わりい。そりゃいきなり出てきたら驚くよな」
虎が頭をかきながら恥ずかしそうに笑う。その仕草もいちいち愛嬌があって、親しみやすさが前面に出てきていかつさを中和する。
よかった、思ったより常識人かも――
「俺はランプト。見ての通り妖精だ」
訂正、全く常識人じゃなかった。
人の部屋に勝手に入ってくる自称妖精が常識人なわけがない。
おれはどうやって警察を呼ぼうかと、現実逃避もかねて考え込んだ。何せこの肉体だ。普通に動いたらまず勝てない。
そんなおれの内心なんてお構いなしに、ランプトと名乗った虎は続ける。
「ここに来たのはお前をパートナーにするためだ。ほら、アニメとかでよくあるだろ、魔法少女についてるマスコットみたいなやつ。それが俺だと思ってくれ」
こんなごついマスコットがいてたまるか。女児も泣くわ。
「……って、その言い草だとおれを魔法少女にしに来たのか……?」
最近よくあるTSもの魔法少女みたいなことを平然と口にされると、ちょっと興味が出る。TSしたらおれみたいなやぼったい熊も、いい感じになるのかもしれない。
「いやお前、妖精は信じないのにTSは信じるのかよ」
「人は都合のいいことを信じる生き物なので……」
「主語をでかくしてごまかすな。大体、俺は男のお前に用があるんで、TSは無理だぞ」
「えぇ……」
「なんでちょっと期待してたんだよ……」
話の流れが予想外だったのか、虎はうなりながらひげをいじっている。こんな陽の者には、自分じゃない自分になりたい願望なんてわからないだろうな。
「まあ、気を取り直してだ。俺がお前に声をかけたのは他でもない、契約しようぜってこと」
「あ、そういうの間に合ってるので……」
「そう結論を焦るなって。まずは簡単に説明させてくれよ。俺はずっとお前みたいなやつを探していたんだ」
「……おれみたいな?」
虎の視線はまっすぐおれを見つめていて、茶化す気配なんてまったくない。
こいつの話が本当なのかなんてわからないが、こんないい男に自分が選ばれたのだという事実が枯れた心に水を与えた。
詐欺の常套句だってのはわかってるんだけど、言われるとやっぱり嬉しいもんだな……。
ま、まあ、少しくらいなら話を聞いてもいいか……我ながらくそちょろいとは思うが……。
「そう、四六時中家にいて、男が好きで、ちんぽがでかいやつを!」
「すでにろくでもない話になる気しかしなくなってきたなあ!」
一瞬ときめいたおれの感情を返してほしい。なんで自称妖精の人を選ぶ基準がこんなに生々しいんだよ。
「俺ら雄妖精は人の願いを食って生きてるんだ。ま、簡単に言っちまえば性欲だな」
「夢とか希望とかの単語の意味を辞書で引いてくれ……なんだ雄妖精って」
「んなこと言われても、そういう生態なんだからしょうがねえだろ。人の願いってのは魂を昂らせるから、体から気とか精液とかになって……ああまあ、そういうのはいいか。まっ、簡単に言えば、ムラムラしたり射精したりするときに出るエネルギーが必要ってこと」
めちゃくちゃざっくばらんに説明してくれた。正直その方が理解しやすくて助かる。理解できるかどうか、というより受け入れられるかどうかは別として。
「んで、俺らは雄妖精界と人間界との接点を使って願いを集めて、それをみんなに分配して効率的に暮らしてるんだ」
「現代化の波ぃ……社会構造が妖精っぽくなさすぎる……。っていうか接点って……?」
「それそれ、お前が今見てるやつ」
なんて言われて指先を追えば、画面にはよくお世話になっているエッチなサイトが映っている。並んだサムネには裸の男たちがくんずほぐれつしていて……。
「ゲイポルノサイトが人間界との接点って嫌すぎないか?!?!」
「んなこと言われても、一番効率がいいんだぞ。みんなちんぽ握りながら見るしな」
「そうだけどっ!」
さっきからずっと、ランプトの説明はおれの理解を超えている。理解したくないという意味で。
「ネットを介して願いを集める技術が発達したことで、俺らは不特定多数に体をさらして効率よく採取することが可能になったんだ。だから俺みたいな優秀な雄妖精が、人の協力者と一緒にサイトを盛り上げてみようって試みが生まれたわけ」
「はあ……それで、おれが協力者にと……」
「そういうこと。お前にはこのサイトの登録者として男優になってもらって、俺と一緒にエッチで人気な動画をたくさん配信してほしいんだ」
「はあ……はあぁ?!?!」
思わず素っ頓狂な声が出た。いや出るだろ。なんで急にエロ動画の配信者にならないといけないんだ。
おれはランプトに比べたらやぼったい熊だし、人に見せられる体をしてるわけでもない。デブというには細く、マッチョというにはゆるいという需要皆無な体だと自覚している。あと顔もいいわけじゃないし……ひきこもってるから最近カットも行ってなくて毛皮もぼさぼさだし……。
「でもちんぽでかいだろ?」
「それで全部流そうとしないで……」
「あと俺らのサイト見てしこってばっかだろ。お前のアカウントからたくさん願いが送られてくるから、性欲も多いのはわかってんだぞ」
「…………」
ぐうの音も出ない。普通メンタルやられたら性欲って減退すると思うのだけど、おれはそんなこと全くなかった。だから病院にも行ってなくて、ただ単に人生に嫌気がさしているだけ。
言葉に詰まったおれを眺めていたランプトは、わざとらしくシャツの裾を上げて硬そうな腹筋をさらす。腰まで下ろしたハーパンからは白い腹の毛と陰毛がのぞき、思わず凝視してしまった。
「お、よかった。ちょっと願いが届いたぞ。お前の検索履歴から俺みたいなやつがタイプだってのはわかってる。だから、たくさん欲情してくれよ♡」
「検索履歴まで握られてるのかよ……」
だとしたら妖精かどうかは別としても、サイト側の人であることは疑いようもない。とはいえ、おれに配信なんてできるのか……。
「大丈夫大丈夫、まずは研修期間があるから」
「妖精の口から聞きたくない単語すぎる……でも、おれみたいな受けの悪い素人じゃなくて、すでに投稿してる人らから選べばいいんじゃないか?」
「んーまあそういう奴らも候補だったんだけど、それだと面白くねえんだよなあ」
「面白くって、なに……」
「いやな、俺ら雄妖精って願いの採取に最適化されてて……簡単に言うと俺みたいな見た目が多いわけ」
力こぶを作って雄らしさを誇示するランプトの言いたいことはわかる。つまり雄妖精とかいう胡乱な存在は、見た目最高ってこと。それを理解したうえで思い返すと、確かにこのサイトにはランプトみたいな雄が多いのもうなずける。
改めて眺めても、筋肉の盛り上がりとか顔の雄臭さとか、まあもてるだろうなって感じ。胸のでかさとか女性と張り合う気かって思うし。
「だから俺らで乳繰り合ったらそりゃ絵面はいいだろうし、実際お前とか結構はまってくれてるじゃん?」
「はい……いつもごちそうさまです……」
「でも、そうなると似たり寄ったりな絵面になっちまうから、せっかく人から協力者を選ぶのにわざわざ俺らに似たやつを選ぶ必要なくねえ、ってなるんだよ」
「それは正論かも……だからおれみたいなパッとしない奴ってことか」
「卑下するなよ。お前は十分かわいいぞ」
「さらっと口説くな」
生まれてこの方、そんなセリフ言われたことねえんだよ。
おれは誰がどう見ても垢抜けない黒熊で、毛皮すらぼさぼさなんだぞ。
こんなやぼったい熊相手にと自暴自棄になっていると、あろうことかランプトはおれの顎を指で持ち上げて、間近で目線を合わせてきやがった。
うお、顔がいい。ネコ科の頂点みたいな顔にがん見されても、思わずきょどる。綺麗というか、整っている。きりりとした眉や少し太い顎もあって、雄としての魅力が強い。好みかどうかで言うと、完全にタイプ。
「んー磨けば光りそうなんだけどな。そもそも俺らってたいてい見栄えいいから、お前みたいなやつの方が目立つし、俺としてもそっちの方が好きだぜ」
「なんだそのご都合主義的な世界……」
美醜逆転系ってこうやって生まれるんだ、とかどうでもいい感慨を抱いた。周りがランプトみたいなやつばかりだったら、見飽きるとかあるのかもしれない。贅沢すぎる悩みだ。
「だから磨いてもいいんだけど……どうせならそのままで行きたいんだよな。せっかくそんな……素材そのままだし」
ものすごく言葉を選んでくれている。案外気を使える奴なんだな。
「一応設定も考えてあるんだぜ。やっぱ配信はキャラ付けが大事だからな」
「知りたくない裏側すぎる」
「というわけで、俺とお前は今から恋人な」
「……は?」
理解できない単語が爆速で脳内を素通りしていった。誰が、誰と、なんて?
「俺とお前でカップル垢。俺はちょっとMっ気のあるバリネコで、お前は俺を躾けつつたまに他の雄に貸し出ししたものを動画にする彼氏な」
「おれ最低じゃん?! お前みたいな恋人がいたら大事にするに決まってるんだが!」
「んへへ、嬉しいこと言ってくれるけど、これ設定だからな? やっぱコラボの可能性は残しておかねえと駄目だし、普通の彼氏なら配信しねえからこれで勘弁してくれよ」
「か、顔出しは……?」
「俺はする。人間界に知り合いいねえし。お前はマスクしてくれりゃいいぞ」
「それなら、いい……いいのか……?」
なんかもう怒涛の展開すぎて感覚がマヒしている気しかしない。そもそもエロ動画のカップル垢ってなんだよ。
「別に吹聴するわけじゃなくって、あくまでそんなテイストでってことな。んで、今までの話で問題ないなら、契約してくれよ」
ランプトが指を振ると、古めかしい羊皮紙と羽ペンが出てきた。今日日現代社会でついぞ見かけることのない一式は、妖精という存在に信ぴょう性を持たせてしまう。
「うわ、なんだこれ……急に現れたぞ……」
「ふふん、これが妖精の魔法だ。んで、これが契約書な。もちろん月の給料はサイトの運営費から出るし、動画が人気だったらインセンティブもあるぞ」
「すんげえ普通……!」
ちゃんと月給制なことに驚く。雄妖精が思ったより現代になじんでいる、っていうかなじみすぎだろ。さすがに興味をそそられたので、ちょっと読んでみてもいいかな……。
なになに……本契約書(以下「本契約」という)は、契約妖精(以下「甲」という)および契約者(以下「乙」という)との間で締結されるものであり、以下の条項に基づき、両当事者は相互に合意する……。
「中身があまりにも現代すぎる……」
「そりゃ現代社会で使うんだから当然だろ。いきなり妖精王が注ぐ誓いの盃に宣誓しろって言われても、お前らにゃなんのことだかさっぱりわかんねえだろ」
「どっちかというと、そっちのほうが見たいけど……本当にあるのなら」
「うーん、持ってきてもいいんだが、破った場合罰金じゃなくて命とか呪いになるから、俺としちゃあんまりお勧めしねえぞ。何か問題があったとしても、できるだけ平和に済ませたいんだよな」
「やっぱいいです……」
ファンタジーはファンタジーでも、ガチの西洋ファンタジーかよ。もっとゆるいなろうチックな奴にしてほしい。
一応社会人やってたから契約書は読んだことあるけど、さすがに内容はよくわかんないな……。少なくとも変なことは書いてなさそう……というか、あまりにフォーマットが現代社会すぎる、確かに読みやすいけどさ……。
なんだか変なことに巻き込まれた気もするが、こんないい男とやれて就職できるとなれば心の天秤が傾くのは必然だ。
おれの日常に飛び込んできたまたとない機会。詐欺かもしれないという一抹の不安はぬぐい切れないが、ここを逃したら駄目だという焦燥がある。
こいつが帰った後、またひとり暗い部屋に戻るのはもう嫌だ。
だからおれの手は逃げるように名前を書いていた。
「あ、それからこれも書いてくれ。提出しねえとだから」
……住所とか振込口座の情報とかもいるのかよ。完全に就職じゃん。
全部書き終えてから渡すと、虎が喜色満面で尻尾を躍らせた。
「よっしゃ! ありがとうな! これで契約成立……穴蔵 熊笠(あなくら くまがさ)っていうのか。でもまあ、アカウント名のアナグマで呼ばせてもらうぞ。うっかり本名ばれはお前も嫌だろ」
「それはそう……ってか、やっぱアカウント名もばれてるんだ……」
「そりゃお前は願いをたくさんくれるお得意様だからな。俺のことは普通にランプトでいいぞ。どうせこの世界で俺のことなんて誰も知らねえんだ」
これで大体説明は終わったと言わんばかりだが、不安が消えるわけもない。本当にこれでおれはこの自称妖精と契約してしまった。今はせめていい方向に転がるよう祈るしかできない。
顔出し名前出しを受け入れるエロの権化は、なぜかおれをひょいっと抱き上げてベッドへと運んだ。
成人男性を易々と運ぶ剛腕にうっかりときめきかけるが、のしかかった虎が鼻面を首筋に押しつけてくると、そんな情緒なんて一気に吹き飛んだ。
「んじゃ♡これからちゃんとセックスしようぜ♡お近づきのしるしに、体の相性は見とかねえとだろ♡」
「そんな急に……! おれまだ風呂も入ってないんだけど……!」
「さいっこうじゃねえか♡俺、雄臭いのだーい好き♡欲望の匂いって感じでぶちあがるだろ♡」
おれのパジャマをたくし上げて腹を撫でながら、うっとりと笑う虎。男らしくてかっこいい相貌でそんなことされたら、股間が元気になるのは必然だった。
「淫乱妖精すぎる! とにかく、そろそろ親父も帰ってくるし、こんなところで盛るのはまずいって!」
「勃起しといてなに焦ってんだよ♡俺のことが好みなら、とっとと抱けばいいだろ♡これからたくさんエッチする仲になるんだからよ♡アナグマ♡」
「いや、だから……!」
「往生際が悪いぜ♡童貞ってわけでもねえだろうに……」
そこまで言って何か思い当たることでもあったのか、ランプトは少し考えてから恐る恐る口火を切った。
「え、まさか、まじで?」
「…………悪いかよ」
「いや、まあ、人によっちゃそういうのもいるだろうし……うん、そこは個人の主義主張だな」
「気を使ってくれて嬉しいけど、いいって。お察しの通りおれは童貞だよ」
「宗教上の理由とか……?」
「ただ単に相手がいなかっただけだが?」
「あ、うん、なんかごめんな」
おれはお前と違ってモテねえの。なんで脱童貞してる前提なんだよ。
しゅんとひげをしおれさせた虎は体を倒しておれを抱きしめる。筋肉の重さがのしかかるけど、ぎゅっとされる安心感で帳消しだ。ランプトは反省の意味を込めているのか、頭を撫でながら考え込んでいた。
「うーん、じゃあ設定変えた方がいいか? どM淫乱バリネコ虎野郎がでかちんぽ童貞彼氏を捕まえて、自分好みにしていくとか……」
「それはまあそれで……色々教えてほしいのは事実だし」
「こっちだったらお前も素で行けそうだしな。だったら脱童貞は大事なイベントだし、撮影しねえと……」
筋肉で覆われた巨漢の虎の腕の中は、想像以上にいい。自分に甘えてくれるのだと思うと嬉しくなる。本当は撫で返したいのだけど、体重で抑えつけられているので身動きできないのが難点か。
「となると、いくつか練ってきた動画案も改訂がいるか。最初はいくつか撮り溜めたいから、研修って意味でも脱童貞セックスをして……」
なんだかものすごく考え込んでいる。どうやら企画運営もランプトがやるらしい。妖精も人手不足なんだろうか。
虎が悩んでいる間も、おれはずっと撫でられ続けていて。たまに鼻面にキスもされてる。
昨日までのおれがこれを見たら、絶対夢だと思うだろうな。動画でしか見ないような極上の雄が、おれに甘えてくるんだから。
「んーちんぽ硬くなっちまったな♡やっぱ俺のこと好きなんだろ♡あーあ、童貞じゃなかったらここで食っちまってたのに♡」
「ずっと股間とか胸とか押し当ててくるからじゃん……」
「アナグマって抱き心地いいからつい、な。そういうところも好きだぜ」
「平均よりちょっとぽっちゃりしてる程度だと思うんだけど……」
「ほら、俺の周りって筋肉ばかりのごつごつした奴か、ガチムチかデブみたいな極端な奴、それとほっそい美少年かすらっとしたイケメンか、って感じだからこういう……緩い感じ? なかなかいねえんだよなあ」
話を聞いてる分には容姿の平均が馬鹿みたいに高そう。要は雄妖精の見た目はホモ受けするか、女性受けするかの二極化していて、おれみたいなだらしない体はいないから珍しいってことね。まじで美醜逆転系か?
「だから、ぬいぐるみ抱いてるみたいで結構気に入ってるぞ♡とっとと欲も金も稼いで、いいベッド買おうな♡」
なんて言いながら頬ずりされると、現実かどうか疑わしくなってしまう。普通ならモテの最前線にいるような雄々しい虎が、おれなんかを素敵だと言ってすり寄ってくるんだ。誰かおれの頬をつねってくれないかと、頼みたい気分になった。
「でっけえちんぽがぐいぐい当たってるぞ♡はあ、たまんねえ♡今からこれを俺好みにできるのかよ♡♡もうぜってえ俺以外で勃起させねえ♡このデカマラは俺が独占な♡」
「う、おぉ……」
つねってほしいとは思っていたが、ランプトがしたことはごつい両手で包むことだった。うっとりとした雌顔でささやかれると、ちんぽは完全に萎えることを忘れてしまう。
「あーキスしてえ♡でもこの調子だとキスもまだだろ?♡♡動画的に絶対初体験は記録しねえとだし……♡でもしてえ♡♡いーっぱいキスしながら一日中すごしてぇ♡」
「ランプトって、キス、好きなのか……?」
「だーい好き♡雄妖精の中にはケツマンで欲望を食うのが好きな奴も多いけど、俺は断然口派なんだよ♡アクメ決めながら欲望流し込まれるのも嫌いじゃねえが、キスしてると幸せな気分になるんだよなあ♡♡」
「ひょっとして、恋人設定もおまえの趣味……?」
「そういうこと♡慣れてきたらキス耐久動画とかもやってみような♡」
真正面から恍惚を叩きつけられて、おれは興奮していた。願わくば、このままキスしたとすら思っている。
こんないい雄とできるなんて、今後おれの人生であるわけないんだ。ひきこもった暗い世界で、こいつはまさに光明だった。
この先どんなスケベなことをするんだろうかと、思わず胸が高鳴る。虎の肢体はでかくたくましく、鼻孔をくすぐる匂いもおれをひきつけてやまない。シャツの下にある肉体を想像しただけで、涎が出そうだ。
だがそんなおれの興奮に冷や水を浴びせたのは、聞きなれた怒声だった。
「なにをしているっ!」
ドアを開けたまま固まり、憤慨をあらわにする熊。おれを一回り老けさせた顔は毛皮よりも濃く黒いラウンドひげが目立っていて、怒りの表情がよく映える。マズル周辺の毛は体よりも明るいせいで、ひげの黒さがよく際立っていた。
会社帰りのスーツに包まれた体は太く、運動を欠かさない筋肉があるとおれは知っている。加齢によって膨らんではいるが、十分立派なガチムチ。そういう趣味の人からすれば、うちの親父は垂涎ものだろう。
ランプトはおれと見比べてすぐ血筋に気付いたらしく、にこっと明るい笑みを浮かべた。さっきの恍惚からの切り替えを考えると、外面もいいらしい。
「あ、お邪魔してます。俺は熊笠の恋人で……」
「うちでそんな汚らわしい行為をするな! とっとと出ていけ!」
聞く耳持たずに親父は叫ぶ。こいつはいつもそう。人の話なんて全く聞いてくれない。
っていうか、ランプトは今しれっと恋人とか言ったな。まあベッドに押し倒されているから、明らか友人の距離感ではないんだけどさ。
「おっと、もしかして、俺はお父さんに認められてねえ感じ?」
「いや、単純にホモ嫌い。見ての通り。時代遅れの石頭だから」
「それは困ったな……ここを撮影現場にしたいんだけど……防音くらいなら何とでもなるが、許可が得られないのは痛いな」
親父のことだから、ゲイ動画配信で稼ぐとか聞いたら烈火のごとく怒り狂うだろう。
今だっておれを見る目には嫌悪と憤怒が色濃い。何度見ても息が詰まる視線をもらって、おれの体がこわばった。
「熊笠、お前は仕事も見つけずこんな男を家に上げて……いい加減にしろ」
「それは悪かったと思うよ。けど、さすがにプライベートな空間に踏み込まないでくれ」
「私はお前を心配しているんだ! いつまでだらけているつもりだ!」
「生活費は入れてるだろ。それに、家事だってしてるし……」
「男のくせに働かないなんて駄目に決まってるだろうが! 早く嫁を連れてこいと何度言ったらわかる!」
「……そんなんだから母さんに逃げられるんだよ」
確かに会社の重役で稼ぎはいいけど、性格が終わっている。
いい学校、いい就職先、四角四面な言葉ばかりで家族の事なんて蔑ろ。こいつは自分が働いてさえいればいいと思っているんだ。
おれが仕事を辞めた時もさんざんなじってきたしな。就職して家を出ていた間に母さんは嫌気がさして離婚してる。この人と二人っきりになんてするんじゃなかったなと後悔してるくらいだ。
昔はこんなんじゃなかったんだけどな……。
「こりゃ予想以上に古いな。妖精でもわかるぞ」
ベッドから立ち上がった虎が感心しながら親父を眺めてつぶやいた。
「俺らは特に流行に敏感だから、価値観を合わせるのも大事なんだよ。でも、こういうのも需要あるんだよなあ」
「……なんて?」
今すごいこと言わなかったかこいつ?
「見た目はすげえいい。しかもダディ。これはいけるよな……」
「待て、待てランプト。言いたいことはわかるが、こいつは無理だ……」
「アナグマとの親子丼とか、絶対受ける。俺ら妖精に血筋はないから、これは新ジャンルの開拓なのでは……よし!」
絶対よしじゃない。こいつろくでもないことを考えてるぞ!
だけどおれが止める間もなく、ランプトは満面の笑みで憤怒の熊相手に向かっていく。どちらも背丈が高く分厚いため、はたから見ると圧がすごいが、虎は全く気負っていない。
「実は今、熊笠とお金稼ぎについての相談をしてて、お父さんにも手伝ってほしいんだ」
「人の話を聞いてなかったのか。私は出てけと言ったはずだ」
「そのことでちょーっとばかし話を聞いてくれねえかな♡お父さんにとっても悪いことじゃねえぜ♡」
「お父さんと呼ぶな!」
「まあまあ、話は向こうでな♡アナグマも怖がってるだろ♡それに子どもいるってことは非童貞だし……いいよな♡俺もむらむらしてるし♡んふふ♡♡♡」
「あ、おい! 押すな! なんだその力は……!」
巌のような親父がランプトに押され、慌てた声を出す。確かに虎は剛腕を持っていそうな見た目だが、加えて魔法もあるからな。ただの人に太刀打ちできるはずもない。
虎の尻尾がうねうねと機嫌よく動いていることから、完全にやるつもりなんだろう。まあ、おれもあの親父は一回痛い目を見た方がいいとは思っていたし、止めはしない。
性癖がばれてからというもの、気の迷いとかずっと言われるのは辟易しているんだ。
「アナグマも見学するか?♡」
「絶対断る。誰が親父のなんて見るか」
「いつか見ると思うけど……まあいいぜ♡じゃ、お父さん♡あっちで話し合おうな♡」
「待て! なんのつもりだ! ここは私の家だぞ! 熊笠、警察を呼べ! こんなやつの好き勝手にさせるわけには……!」
残念だけど、この家にあんたの味方はいない。今まで嫌悪してた行為、自分で味わってみるといいさ。一発やっただけで何が変わるかは知らないが、人生経験って意味ではいいだろ。
「ところで寝室ってどこだ? 風呂場でもいいけど」
「ここから出て、突き当たって左。風呂場は一階の奥な」
「お、ありがとな♡」
わめき続ける親父を押してランプトは部屋を出ていく。おれはその背を見送ってから、ベッドを抜ける。
じゃ、そろそろ晩御飯の準備でもするか。買い物は昨日行ったからいいけど、ランプトも食うのかな……まあ一応作っておくか。親父は生活能力皆無のくせに、態度だけはいつもでかいんだよなあ。
なんてため息をつきながら、漏れ出る嬌声が大きくなる前にキッチンへと避難することにした。
****
「というわけで、同棲の許可がもらえましたー! いえい!」
リビングでご飯を食べながら、嬉しそうな虎の報告をもらう。おれはよくやったの意味も込めて、お椀にお替りをよそってやった。雄妖精は欲望が主食だが、普通のご飯も食べるようだ。
どんな話し合いをしたのかは察するが、親父が折れた結果、ランプトの居候と動画配信事業が認められた。これでまずは第一段階突破だ。
「んで、その親父は? 降りてきてないけど」
「あー……やりすぎちまってさ、寝落ちかましてる」
「どんだけ盛ったんだよ」
「かなり? 動画を気にしなくていいから好き勝手やっちまった♡あ、部屋はちゃんと片付けてきたからな」
ニコニコ顔でご飯を食べるランプトのおかげか、リビングがかなり明るい。親父は食事を家族で食べるものだと思っているせいで毎日の食事が苦痛だったけど、今日は溜飲も下がっているし飯がうまい。作ったのはおれだが。
「んで、寝るとこはアナグマの部屋にするつもりなんで、今日は来客用の布団借りるな」
「わかった。ならランプトがシャワー行ってる間に出しとくよ」
「ありがとな。お前って気が利くし優しいし、いい男だよな。ちんぽのでかさで選んだけど、こりゃ大当たりだ」
「別に普通だって。あの親父に一泡吹かせてくれたんだ、感謝の気持ちだよ」
「噴いたのは潮だけどな♡」
噴いたんだ親父。もう絶対ノンケに戻れないだろうな。
「あ、アナグマって食事時にこんな話題嫌なタイプか?」
「別に。仕事決めろって詰められるよりずっと楽しいから平気」
「了解。でももう仕事も決まったし、お父さんも認めてくれたし、大手を振ってセックスできるな♡♡」
「ああ、どM彼氏による調教だっけ。お手柔らかにな」
「そのことなんだが……」
二杯目のお椀を空にしながら、虎は楽しそうに言った。
「やっぱ当初の予定通り、お前には最初からちょっとSっ気ある彼氏になってもらうことにしたわ♡」
「なんでだ?!」
「いやーさっきはお前の童貞を活かそうと思ったけど、お父さんが来たならそっちのほうがいいかなって。お前にはお父さんを食ってもらわねえとな♡」
「絶対無理だろ……あの親父相手に立つ気がしねえ……」
「んへへ♡大丈夫だって、俺がしっかりプロデュースして、どんなホモだろうと誘惑できるようにしてやるからさ♡」
「それはもうプロデュースというよりかは調教な気がするなあ」
ランプトの頭の中にはこれからのプランがちゃんと決まっているんだろう。それがどう転ぶかわからないが、おれはワクワクしている。自分が何かに打ち込んでいるって感覚は久しぶりだからな。
結局台所を片付け終わっても親父は降りてこなかった。食事の用意はしとくので、起きたら勝手に食べるだろう。親父はおれの倍以上食べるので、ちゃんと準備しとかないと冷蔵庫が空になるんだ。
後はランプトのために布団出して……とか考えていたら、食事後にリビングを出ていた虎が戻ってきた。
「お疲れー洗ってくれてありがとうな」
「まあいつもやってることだし、それに食洗器に突っ込むだけだから」
「でもめんどいことに変わりはねえだろ、次は俺が洗うから使い方教えてくれよ」
なんてにこやかで気が利く好青年。さっきも作ってくれたから自分が洗うとか言ってくれたのに、おれがとっさに遠慮してしまったんだ。
少し話したくらいだけど、スケベってことに目をつぶれば好青年すぎるな。妖精ってみんなこうなのか。
「まさか、人と一緒で十人十色だよ。雄妖精が人をパートナーにするのは珍しいんだぞ。やっぱ存在が漏れるかもしれねえし慎重なんだ。俺は性格も加味して認められてるってわけ。自分で言うのもなんだけどな」
「本当に自分で言うことじゃないけど……ランプトなら納得だよ」
「お、好感触。俺もアナグマのこと好きだし、なら両思いだな!」
「彼氏っぽくなってきたじゃん」
「あはは、だなあ」
ランプトのおかげでリビングが明るい。なんか、この家にいて久しぶりに呼吸ができてる感じがする。明るい黄色の毛皮が温度を上げてくれている気さえしていた。
そんな虎は手に持ったスマホをいじりながらソファに座り、おれを呼ぶ。隣に座ると肩同士、もといおれの肩とランプトの腕がくっついて密着して、本物の恋人みたいになった。
「妖精ってスマホ持つんだな」
「そりゃサイト運営してるくらいだぜ。俺みたいなやつにはちゃんと支給されるんだよ」
「雄妖精界ってどんなところなのかまじで気になってきたな……」
「いつか行く機会があったら案内したいけど……あんまりお勧めはしねえな。妖精って気まぐれだし、捕まって肉ディルドにされたら困る」
「でもそっちの方が妖精らしい気もするなあ……」
「あはは、そうかも。俺らも昔は人をさらって欲望を絞ってたんだけど、今はいろいろ変わったからさ。文明開化ってこと。まっ、俺みたいな人間界に詳しいやつばかりじゃねえし、昔ながらの妖精はいまだに人を惑わして楽しんではいるんだけどな」
やっぱり十人十色か。確かにそれならランプトが認められるのもわかるな。
「あ、でも雄妖精人間界支部なら案内できるぞ。撮影スタジオとかあるし、シチュを変えたいときは使うだろうしな」
「夢も希望もない!」
今日だけで妖精という単語の持つ意味がかなり雄臭くなってしまった。妖精ってこんなに現代的なんだ……。
いやこれは逆に夢と希望が詰まりまくっているのかもしれない……童貞卒業できるし……。
なんてたわいもない話をしているが本題は別にあるようで、虎は持っていたスマホの画面をおれに向けてきた。
「これ、俺のSNSのアカウントな。お前もリアルのあるならフォローさせてくれよ」
「アカウントもあるんだ……おれはリアルのはないなあ。体さらしたこともないし……」
「んじゃあパスワード教えるから俺のアカウントを共有にしようぜ」
「え、いいのか……?」
「そりゃこれから俺のハメ撮りとかたくさん乗せるんだし、そっちの方が楽だろ」
まあランプトからすれば企業垢みたいなものだろうし、いいのか。
さっそくのぞいてみると、ランプトのアカウントにはぎりぎり性器が見えない程度の写真が並んでいた。顔は隠れているが、体だけでも最高峰だ。筋肉の盛り上がりが冗談みたいに大きく、凹凸の幅がでかい。隣に本物がいるというのに、思わず見入ってしまった。
「さすがに最初からエロ乗せると動画出した時のインパクト減るし、小出しにしてる。これでもリアルのお誘い、結構もらってるんだぜ♡」
「まあそりゃそうでしょ。こんなの見たら誰だって好きになる」
「でーも、今はお前の恋人だぜ♡」
おれの純情をくすぐって、ランプトはぐっと肩を抱き寄せる。そのままスマホで自撮りすれば、やぼったい熊と凛々しい虎の仲睦まじい写真の完成だ。
「お、いい感じ♡あとはお前の顔が映らないように切り取って、プロフに使えば彼氏持ちってわかるだろ♡顔出しにはちょうどいいな♡」
「とか言いながらしれっと待ち受けにするなよ……毛並み整えてないんだからさあ」
「んへへ♡恋人っぽいじゃん♡」
にへらと笑いながら虎は嬉しそうだ。仕事に一生懸命というよりかは、この関係性を愉しんでいるみたい。写真の中の虎も心底幸せですって感じのオーラを出してるし、なんかこっちまで嬉しくなる。
でも妖精だからなのか、ランプトの性格だからなのか知らないが、この無防備さで近づかれたらうっかり好きになっちゃうだろ!
さっきのキスしたがってた顔を思い出すと、胸がドキドキする。あんな顔で詰められて拒めるわけねえ。
おれが頭を振って都合のいい妄想を押し出している間に、ランプトは作業を終えたようだった。
「そんで投稿しとこ、彼氏できたけど……ハメ撮りしたいって。ネットに乗せたいとか言われても……顔文字入れてっと。よし、とりあえずこれで釣っとくか。まずは短い動画を上げて反応見ようぜ」
「うわ……緊張してきた。おれにできるかな……」
「できるって、俺と一緒に住むんだぜ。童貞時代なんて思い出せないくらい、たくさんエッチしような♡」
半立ちの股間を撫でながらささやかれると、嫌でも引き込まれてしまう。今からおれはこの虎の恋人で、エロ動画で稼ぐんだ。昨日までは考えもしなかった道に、ランプトはおれの手を取ってぐいぐいと引っ張っていく。
「すっげえ人気になって、同胞に願いを供給しながらお金も稼ぐ! その頃には、俺らも本物の恋人同士になってるかもな♡」
「コラボはするくせに……」
「あはは♡まあそれはご愛敬ってことで♡こうして人相手に事情を明かして協力を要請するなんて滅多にねえんだ、末永く付き合ってくれると助かるんだよ♡」
「新しい試みだっけ。うまくいくといいけど……」
「いく。俺とアナグマなら絶対大丈夫だ。なんたって俺の選んだ男だぞ」
「ちんぽの大きさじゃねえか!」
「まあそう言うなって♡」
ご機嫌取りなのか、ランプトはおれを抱きしめ深い谷間にうずめてくる。セックスしてきたはずの胸からは、清潔な雄の匂いしかしない。シャワーを浴びた形跡もないが、魔法で何とかしたのかも。
……なんてことを考えないといけないくらい、おれは思考をそらすのに必死だった。
薄手のシャツから感じる肉厚さ加減が本当にやばい。え、これ、本当の雄の胸なのかと疑うレベル。親父もまあでかいほうではあったけど触ったことはないし、ましてや押し当てられるとか……。
「お、固まっちまったな♡これから好き放題するS彼氏になってもらうんだから、早く慣れてくれよー?♡」
「おれも早く慣れたいよ……毎回こんな緊張するの恥ずかしいし……」
「んへへ♡欲望漏れてるぜぇ♡かーわい♡アナグマのかわいいところは俺が独り占めな♡みんなの前ではSっぽく頼むぜ♡」
喉をごろごろ鳴らして、ランプトはおれの頭に顎を置いて笑った声を出す。人懐っこすぎる……虎のくせに大型犬みたいだ……。
できる気がしないけど、そんなこと言おうものなら契約を打ち切られるかもしれない。正直こんな幸運、今後二度とないんだ。やれるだけ頑張らないと。
心の中で気合を入れなおすと、それを読んでいたかのように虎がおれをおっぱいから解放した。そしてスマホを差し出す顔は満面の笑みだ。
「んじゃ、まずは短いの一本、撮ってみようぜ♡」
「え、今から……?」
「おう♡アナグマ抱いてたら我慢できなくなっちまった♡」
確かに虎は火照った顔をしていて、ハーパンの股間には蛇のような形がくっきりと浮かび上がっていた。人の事でかいとか言った割には、こいつもなかなかのものを持っている。
おれの緊張を見抜いたのか、虎は緩い笑みで背中を叩いてくれた。
「どうせやり直しが効くし、編集もするんだ♡好きなように撮ってくれよ、アナグマ♡」
とは言うけれど、どうしたら……。
えっと、こいつはプロフで顔を出したのが初めてで、性器はまだ見せてない。だから急に全部見せるのはこいつとしてもよくないだろうし……。
だったら……おれは録画ボタンを押して、ランプトのハーパンに手を入れた。
「んあ♡ちょ……急にやめろよ♡しかも撮ってるじゃん♡俺、恥ずかしいから嫌だって言ってんのに……♡」
さすが慣れているのか、変わり身の早さがすごい。一瞬にして彼氏にハメ撮りを強要されるけどちょっとまんざらでもない感出してきた。顔は映してないとはいえ、見た人は声だけでわかるだろう。
その証拠に股を閉じる気配もなく、おれの好きにさせてくれている。ぶっといちんぽを握れば、甘くとろけた声が嬉しそうに弾むのがばっちり収録された。
「おんっ♡まじで撮るのかよぉ♡まあいいけど、ネットに上げるのはなしだからな♡っていうか、言ってくれれば自撮りくらい送ってやるのに♡」
すご、声だけでおれの事大好きなのが伝わってくる。あくまで男らしいしゃべり方なのに、エロいというか……あ、こいつウケなんだなってわかる。
握ったちんぽがどれだけ太くて硬くとも、小刻みに動く腰の艶やかさが印象の上書を許さない。ランプトは男らしさの中に被食者としてのエロスをにじませていた。
しかも駄目押しとして、どこから取り出したのかわからないチューハイの缶をテーブルに置いて、酔っぱらって大胆になってますよとアピールし始めた。
出したところは何も見てなかったし、おれはあんなの買ってない。だから多分魔法だろう。羽ペンならよかったけどチューハイ缶だと一気に俗っぽくなるな。
「……ん、なあ♡人のちんぽ握っといてなにもしねえの、おねだり待ちか?♡撮影されてるからあんまりしゃべりたくねえのに♡ひどい奴ー♡」
絶対そんなこと思ってない甘えた声が、おれの心臓に突き刺さった。よくかわいい声を鈴の転がるようなと表現することはあるけれど、こいつの声は低いくせにそう言いたくなる魅力がある。
おれは演出だと知ってるからまだ耐えられるけど、そうじゃないこの動画を始めて見る人は、ランプトのことを押せばやれそうって思うんだろうな。実際は完全な捕食者なのに。
「ほら、俺のちんぽ、しこってくれよ♡いつもみたいにさ♡いいだろー♡でも言っとくけど、撮影中は絶対生ハメ禁止だからな♡恥ずかしいだろ♡」
動画の外では生でやってますよと匂わせながら、尻尾でおれの手を撫でてきた。その仕草があまりにエロすぎて、おれの脳が茹る。童貞には刺激が強すぎるってこれ。
覚悟を決めて、おれはスマホを操作してランプトの股間にフォーカスを当ててから、もう一方の手を動かしていく。
巨根の虎ちんぽはハーパンに先端を浮かばせており、亀頭の大きさが視聴者の想像力を刺激する。まずはゆっくりしこってやると、虎がにんまりと嬉しそうに鳴いた。
「おおぉん♡あーすっげ♡手コキ気持ちいぃ♡なあなあもっとくれよ♡撮影とかいいからさ、セックスしようぜ♡俺今すっげえエッチしてえかも♡」
わざとらしく腰をかくつかせながら蕩けたことを耳元で囁かれると、おれの理性がもたない!
きょどるおれに優しくもエッチな顔を向ける虎は、そっとおれからスマホを取り上げるとレンズの面を下にしてテーブルに置いた。
「こうして俺におねだりさせる気なんだろ♡変態♡いいぜ、そっちがその気なら♡たーっぷり甘えてやる♡んへへ、愛してるぞ♡ちゅっ♡」
おれの鼻面で響かせるわざとらしいリップ音が、動画終了の合図になった。
ランプトはスマホを見て録画を確認してから、ハグ付きでおれに向き直る。
動画で見せたエッチな雰囲気ではなく、気のいいお兄さんみたいな顔で。
「おし、いい感じだぞ! なんだよ、ちゃんとできるじゃねえか」
「しゃべってないしな。口を開くとすぐぼろが出そうだったから……」
「ま、最初はそれでもいいさ。匂わせの塩梅もちょうどいいし、これなら興味は引けるよな♡」
「だといいんだけど……」
「心配するなって。例えこれが駄目でも、続けていけば蓄積はあるからさ。こういうのってどれだけ継続できるかって側面もあるんだ」
「正論だな。お前もここに住むんだし、機会はいくらでもある。地道にやっていこうか」
「その意気その意気、そんで俺らには最終兵器のお父さんがいるからな、これは跳ねるぜー」
「ええ……まじで親父呼ぶのかよ……」
「いいじゃねえか。お父さんにも認めてもらいたいんだろ? それに、俺ら妖精にはない血筋ってのはこのサイトじゃかなり目立つんだ。んへへ、楽しみだな」
ランプトは本当に楽しそうで、おれに抱き着きながら未来に希望を持っている。まあそりゃ一族の代表に選ばれるくらいだ、優秀だろうし期待されてるんだろうな。おれと違って。
誰の目から見ても雄々しくかっこいい虎の相貌に、彫刻さながらの肉体美を持つランプトだ。ちょっとスキンシップ過多なところはあるが、十分いい男と言っていいだろう。
「じゃあ、本番しようぜ♡」
そんな虎がにへらと笑みの質を変え、おれのちんぽをズボン越しに撫でる。
とっさのことで固まったおれに、甘い声が吹きかかる。
「あんなことしてたら興奮しちまった♡お前の童貞喪失記念は動画にしなくていいし、練習だと思って俺とセックスしようぜ♡」
「うお……♡でもお前、さっき親父とやってただろ……」
「ん、でも、アナグマは別だからさ♡俺がもともと選んだのはお前だ♡ちんぽがでかくて、性欲旺盛で、願いもザーメンもたっぷりため込んだいい男♡お前は気付いちゃいねえけど、雄妖精からしちゃ、お前ってかなりモテるんだぜ♡」
評価点が普通の人と違うっていうのはさておいても、本当かどうか疑わしい。どう見てもランプトの方がモテるだろ。
「んへへ♡信じてねえな♡じゃあ今夜はたっぷり教えてやる♡俺がおまえの事、だーい好きだってな♡♡」
言うが早いか、ランプトはおれの股間の前でしゃがみ込み、ズボンを遠慮なく下ろした。
「んおっ♡♡でっけえぇ♡♡」
さっきから興奮が煮詰まっていたおれの強直は解放されたとたん、弾むように飛び出した。
緩やかな弧を描く肉槍の先端はぷっくりと膨らんでいて、赤子の拳よりも大きい。根元から先まで寸胴のように太い形をしていて、圧がすごいと我ながら思っている。
きちんと剥けた巨根、童貞のくせにオナニーばかりして色が沈着したそれは、見た目だけなら確かに好まれるかもしれない。
実際虎は鼻を何度も動かして、口から舌先がまろび出ている。五感のすべてで味わいたいと訴えるその姿勢に、おれは安堵した。実際見せてがっかりされたら嫌だなと思っていたが、杞憂で何よりだ。
「んっ♡雄臭え♡お父さんと似てるのはやっぱ親子だけど、こっちの方がいいちんぽだよなあ♡」
おれより先の親父のちんぽを食った妖精から嬉しい評価が下される。ランプトはズボンを脱がせる手つきも慌ただしく、このちんぽを堪能したいと目を潤ませていた。
「今日が童貞卒業記念日だ♡どこでしたい?♡ベッドか?♡それともここか?♡」
「……どこでも。ランプトとならどこでだって良い思いできるだろうし……♡」
「んへへー♡信頼してくれてありがとな♡だったらここでやっちまおうか♡俺のおマンコもさっき使ったばかりでトロトロだから、気持ちいい思いさせてやるよ♡」
とはいうものの、ランプトは根本や幹をちゅっちゅっとついばむだけ。もちろんそれだけでも十分気持ちいいし、俯瞰する虎の顔がものすごくよくて興奮するんだけど。
「はぁでっけえ♡最高♡俺の恋人のちんぽでかすぎ♡んっ♡でもせっかく最初なんだし、ちゃんとしたいよな♡恋人になった記念の初夜♡二人でたくさん思い出作ろうな♡」
屈強な虎は立ち上がって、シャツをたくし上げる。間近で行われるストリップにおれは言葉を無くして、凹凸の激しい肢体から芬々と放たれるフェロモンで呼吸困難になっていた。
でかい胸の上にシャツを乗せて、次はハーパンを根本が見えるまで下ろす。中途半端な格好だが、それが余計におれの意識を吸い付ける。
「いい欲望が来るなあ♡もしかして、自分で脱がせたかったか?♡♡だったらやり直してもいいぜ♡」
にんまりとした顔でシャツを戻し、虎はおれの膝の上に乗る。ずっしりと重い筋肉の感触は現実という証で。精悍な虎の匂いを嗅ぎながら、恐る恐る手が動く。
対面座位の体勢になると、筋肉が作る壁の圧に興奮する。分厚い肉体は熱く、裾を握った時に少し触っただけでこいつも興奮しているのがわかった。
「緊張しなくていいからさ♡俺、お前のしたいようにされるのが嬉しいんだ♡実はどMなの、本当なんだぜ♡」
「そ、そうなんだ……」
「だからリードするよりされたいタイプなんだ♡お前の設定って俺の好みでもあるんだよ♡俺、求められるのに超弱いの♡だからお前から来る欲望が濃くなるほど、すっげえ嬉しい♡」
「私欲入りすぎだろ……!」
「んへへー♡そっちのほうが上がるし許してくれよ♡あ、でも、今みたいなうぶでかわいいアナグマも大好きだぞ♡これからお前の欲望は♡ぜーんぶ俺で発散しような♡♡」
人の額にキスを落としながら、心底幸せそうに虎は顔を緩ませている。昨日までのさみしさを思えば、今目が覚めても驚かない。あまりに都合がよすぎるから。
だけど、おれはこの先を望んでいる。欲望に逸った手が、ゆっくりとシャツをたくし上げていく。
毛皮越しでもわかる硬そうな腹筋が露わになると、次は鍛えて膨らんでいるのにエロさを醸す胸筋が顔を出す。左右で下向きに突き出している乳首は当然のように大きく、白い毛の中で異質な光沢を赤々と放っていた。
「うわ、エロ……♡」
胸の半分までシャツを上げると手が止まり、おれは乳首をガン見する。こんなの見過ごせねえよ。
「お、嬉しいこと言ってくれるじゃん♡アナグマっていい反応してくれるから、やっぱかわいいよなあ♡」
「いや、これ見せられたら、おれみたいなやつは誰だってこうなるって……ランプトはかっこいいし、おれ好みだし……♡」
「んへへへへ~♡嬉しいな♡ほら、俺の見た目って雄妖精の中だと別に普通だし、同族で乳繰り合っててもここまでいい反応してくれねえんだよ♡だから俺らの中でも配信が好きな奴って、こういう誉め言葉にすげえ弱いんだよな♡」
「桃源郷か……?」
ランプトみたいな雄のたまり場って考えると、もはやそれだけで価値があるだろ。観光ツアーとか企画したらものすごくはやりそう。
「んーでもアナグマにはこのままでいてほしいから、雄妖精界に連れていくのはやっぱなしな♡俺、恋人に目移りされると嫉妬するタイプなんだよ♡」
「自分はコラボするくせに……」
「仕事なもんで♡」
いけしゃあしゃあと言ってのけるランプトはずるい男だ。だからこんなやつに心を乱されたくないと思うんだけど、胸筋に力を入れてぴくぴくされるとそんな決意は一瞬で溶ける。エロすぎ。
声に出さずとも早く脱がせてくれよとせがまれて、おれは服を握りしめて続きをした。
「んっ♡」
脳みそをくすぐるような甘い声と共に、ランプトはされるがまま腕を上げる。裾が胸を超えるとおっぱいがボルンと落ちて、同時に腋がさらされた。くぼみに深さは筋肉の大きさを思わせ、たくましいという言葉の意味を突きつけられる。
「前、見えねえんだけど♡ひょっとしてこのままいじるのが好きとか?♡そういうSっぽいの嫌いじゃねえよ♡♡」
「いや、別にそういう意味じゃないけど……」
服で顔を覆われた虎が楽しそうな声を出すが、おれにそんな意図はない。ただランプトの体があまりにエッチだから、処理が止まってしまうだけ。
逐一スケベに反応するの、童貞臭すぎるからやめたい。
我に返ってからすぐ服を脱がせきると、虎の上裸が完成する。
ランプトの体はまさに生きる芸術だった。
筋肉のつき方は人それぞれとはよく言うが、こいつほど綺麗な体はないだろう。
隆々とした肉体はどの角度から見ても整っていて、雄々しさを突き詰めると綺麗になるのだとおれは初めて知った。エロいよりも先に綺麗だと思ってしまったんだ。ごつい肩幅で作られたシルエットはそんな言葉とは無縁のはずなのに、おれの口は勝手につぶやいていた。
「んへへへ~♡♡そうか?♡そうかそうか♡アナグマは俺の体、気に入ってくれたんだな♡♡」
「あ、ああ……正直すごいと思う」
「よかったー♡これでも人の欲望を取るために頑張って鍛えたからな♡いくら雄妖精が好まれる見た目に生まれるとはいえ、努力が要らないわけじゃねえんだ♡」
虎は本当に嬉しそうに声を弾ませている。ああやっぱり、ランプトは努力してここにいるんだと実感した。
だから何もせず家に引きこもっていただけのおれがこの綺麗な虎を抱いていいのかと、不安が胸中をよぎった。
「ほ、本当に、おれが抱いていいのか?」
「なに当たり前の事言ってんだよ♡お前に抱かれたくてここに来たんだぜ、俺は♡♡」
だけどそんな曇天もまばゆいばかりの太陽が追い払ってしまった。北風と太陽の逸話で言うならば、こいつの前だとどんな雄も服を脱いでしまうんだろう。
なんか、あまりに唐突な幸福の過剰摂取に、躊躇してしまっている。おれにとって都合がよすぎるから、卑屈な心が耐えきれていない。
もうおれ、ランプトに惚れてるかも。童貞がちょろすぎる……。
おれが見惚れているのがばれたのか、虎はここぞとばかりに力こぶを作ったりポーズを決めて、アピールをしてくれる。ぐっと力むと隆起した筋肉が膨らんで、キレが抜群によくなった。
「うお、すげえ……!」
「んへへ♡好きに触っていいんだぜ♡俺の事、たくさん愛でてくれよ♡♡」
甘い囁きに導かれるまま、おれは鍛え抜かれた体に手を伸ばす。
慎重な指先は臆病の裏返しで、いまだに決心がつかない心を反映している。
だけどそんなもの、熱く硬い筋肉に触れた瞬間、溶けてなくなってしまった。
まず最初に柔らかい毛並みに指が沈む。見た目通りの感触で、整った毛並みは滑らかだ。抜け毛の少なさはこまめに手をかけている証拠だから、表面の艶もそれを肯定している。
そして、その下の筋肉は鋼のようだった。
おれのために力んでくれた体は指先をはじき、生半可な圧には屈しない雄々しさがうかがえる。そのまま媚びるように手でなぞり、筋肉の形を堪能するだけで心臓がはねてしまう。
理想の雄を鋳型に雄性を注ぎ込んだかのような造形、ランプトを表するならそうとしか言えない。このたくましさはおれを虜にしてやまなくて、震えてか細い吐息が虎のひげを揺らす。
「うっれしそーな顔♡遠慮なんてすんなよ♡ほら、胸とかがっちがちだぜ♡リラックス状態の方がいいなら力抜くけど?♡」
「いや……今はこのままで……本当にすごい……♡」
胸板、いやもうこれは板じゃない。山だ。こんなに硬いのに盛り上がっていて、少し押したところでびくともしない。ぱんぱんに雄が詰まっている。
揉んでいるつもりだけど指が食い込むわけもなく、ただ硬さを確かめるだけの作業にしかなっていない。だけどそれでいい、おれはただ、ランプトのすごさを堪能したかった。
「んぅ♡欲望垂れ流しじゃん♡かわいいー奴♡お前と一緒なら飯には困らなさそうだな♡この家に永久就職したら駄目か?♡」
「いいよ」
思わず言ってしまった。もう考えるまでもない、今日会ったばかりなのに、おれはこいつにずっといてほしいと願っていた。
「んへへ♡嬉しいぜ♡夢だったんだ、人と暮らすの♡俺らは人の好みとかを調査はするけど、接触には結構制限があったからな♡♡……おんっ♡」
幸せにゆるんでほわほわしたことを言っていたが、指先が乳首に触れた瞬間に音は性質を変えた。甘さは耳にこびりつく様なものになり、頭蓋で何度も反響する。
こいつの乳首は当然のようにでかい。おれの指先といい勝負をするくらいで、シャツとか着たら絶対に浮く。胸もでかすぎて下を向いているから、一瞬だけ乳牛を彷彿とさせた。
「乳首の触り方もこれから覚えていこうな♡お父さんをぶっ飛ばせるように鍛えねえと♡」
「ランプトは?」
「俺は何されても感じる淫乱乳首だから、なんの準備もいらねえよ♡アナグマに触られてると、おっぱいも嬉しいって感じちまうんだ♡」
また男をたぶらかすようなことを言って、ランプトは腋を締めた。そうするとぎゅっと山脈は盛り上がり、鎖骨に乳がデルタを作る。卑猥な三角湖から川へと続く谷間は、水なんか流れないほどに筋肉で密着していた。
圧がすごい。胸筋もさることながら、左右から押し付ける腕の太さも規格外だから、筋肉の塊が迫っている感覚が欲望に突き刺さっている。
じくじくとうずく興奮からとげを抜くように、おれは実った乳首をつまんで軽く引っ張った。
「んおおぉぉん♡♡あ、すっげ♡アナグマの手、やば♡もっと、もっと♡」
「痛くは、ないよなこれ……」
「ん、全然平気♡むしろもっと強くでもいいぜ♡俺はちょっと痛いくらいも大好きだからな♡」
そういえばどMだったと思い出し、だったらと力んでみた。
「お゛っ♡おおぉ♡雄の手ぇ、やべえ♡あー好き♡ギンギンの欲望流し込まれながらいじられるの、まじであがるぅ♡今から俺を抱くんだって、心が理解させられちまってる♡さいっこぉ♡そのまま俺をぉ♡欲望のはけ口にしてくれぇ♡♡♡」
字面だけ聞いたらすごいこと言ってるけど、欲望を食べる妖精からしたら普通なんだろうな。でも無理矢理犯される意味でもいいって思ってそうだな……。
虎の乳首は弾力がよくて、敏感だ。だけど色は綺麗で白に映える桃色をしている。ぷっくり膨らんだ乳輪をひっかくと野太い喘ぎが漏れ、尻尾がぎこちなく揺れる。とろんとした目は完全に雌の顔で、光彩がハートになっていそうだ。
「あっ♡そうだ、うまいじゃねえか♡俺の目を見つめて、願いを流し込まれると♡おマンコが屈服しちまうんだ♡もう体中で、お前が欲しいって言ってる♡な、なあ、そのままもっと引っ張ってみろよ♡俺がどれだけ淫乱か、この機会に知ってくれ♡」
「う、うん、こう……かな」
「んおおぉぉぉ♡♡たっまんねえぇ♡あ゛ぁ゛ん♡そのまま、指でぇ、こりこりされるの、すっげえ効くっ♡おっぱいやっべええぇえぇ♡♡♡」
太い首から野太い嬌声を出して、ランプトは顔をのけぞらせた。ごつい喉仏がせわしなく、ただ喘ぐためだけに使われている。なんて思うと、頭の片隅がじんっとしびれるような興奮にめまいがしそうだった。
「んへぇ♡ぎもちいぃ♡お、俺、さっきみたいなわらかせるより、わからせられる方が大好きだからぁ♡欲望を注ぎ込んで、俺に興奮するんだって腹いっぱいわからせてくれるアナグマのこと、だーい好き♡」
甘えてゆだっているような、だけど雄らしく低い声が、おれの自尊心を満たしていく。
雄妖精からすればおれが青天井に興奮してるのなんてお見通しで、だから嬉しいのだと笑いかけてくれる。欲望をぶつけられることこそ本懐だと言わんばかりの態度は、おれから遠慮を奪い去ってしまう。
だから、指先は乳頭を変形させる勢いで挟む。
「お゛っおぉ――――」
そして、ひときわ大きな嬌声で吠えようとする虎の口を、おれは口でふさいだ。
「んお゛ぉ゛?!♡♡♡」
「んっ……♡」
初めてのキスは何の味もしなくて、けれど何よりもおいしい。乳首を引っ張ってもっと寄ってほしいと言外に語りながら、舌を差し込んでいく。
「んふぅうぅ♡♡♡お゛っお゛っ♡」
意を汲んでくれたランプトがおれの頭を抱えて、キスが深くなる。なめくじのような舌が絡みついてくると、背筋に快楽が走った。
こういう時は目を閉じるのがいいのかもしれないが、おれはランプトを見たかった。幸せそうに目を細めておれを受け入れてくれた虎は、接合部でちゅぷちゅぷと唾液をかき混ぜながらされるがままだ。
その気になればキスでおれを骨抜きにできるだろうに、食われることを愉しんでいる。舌を引き抜こうとすればまとわりつかせ、もっともっととおねだりする虎は本当にエッチだった。
「んっ♡おいひいぃ♡アナグマの欲望♡こんな、たくさんっ♡俺ぇ、しあわへぇ♡」
キスが好きだと言ってた通り、虎は抱えた腕を放す気配がなかった。味わうように舌をゆっくりと動かして、おれの唾液を舐めとるのに夢中だ。何かが吸われている気は全くしないけど、欲望が駄々洩れになっている自覚はある。
だってこんないい雄がおれとキスして嬉しそうにしてくれてるんだぞ。ちんぽは今にも射精しそうだし、こいつの腹に当たっただけで暴発してもおかしくないほどいきり立っている。
「んへ♡んへ♡アナグマ♡大好き♡俺でもっと、興奮して♡乳首攻めと、キス♡頭おかしくなるほどすんげえ♡」
言われなくても、これまでの人生で一番興奮してるよ。
なんて口を動かすよりも、舌で応えた。
どれだけ時間が経ったのか、正確にはわからない。部屋に響くリップ音の協奏曲が終われば、唾液まみれの口たちは名残惜しそうに糸を引きながら離れていく。
ランプトはもったいないと言わんばかりに口回りを舐めとってから抱き着いて、おれに頬ずりをかましてきた。
「んへへぇ♡アナグマのファーストキス、もーらいっと♡おいしかったぁ♡純粋な人の欲望がこんなにうまいなんて知らなかったぜ♡♡」
「よかった。がっついたけど、あんまりうまくできなかったよな……」
「んー?♡そりゃ初めてなんだし当然じゃね♡動画じゃねえんだしうまいとか下手とかは今どうでもよくて、大事なのは気持ちだろ♡俺に興奮してキスしたいって思ってくれたアナグマの気持ち♡すんげえ嬉しかったぞ♡♡」
頬をこすりつけながらこんなこと言われると、好きになっちゃうって! もう遅い気がするけど! 男殺しが過ぎる!
このままだとちょろすぎて悲しくなるので、無駄な努力で会話をそらそうとした。
「ら、ランプトは人とするの初めてなのか?」
「そっ♡同胞とはあるけど、人は初めて♡サイト経由で配給される欲望はいろんな人の混ざりものだから、味があんまりよくねえんだ♡じいちゃんも一人から絞った欲望はうまいって言ってたけど、まじだったんだなあ♡こんなの味わったら、もう戻れねえかも♡」
「安定供給可能だけど味が悪いって……ディストピア感あるな……」
「あはは♡そーかも♡まっ、だから人をさらって絞る妖精が後を絶たないんだけどな♡♡」
「こわ……」
「大丈夫♡アナグマには俺がいるだろ♡アナグマは俺の協力者だから、手を出そうものなら同胞が黙ってねえ♡だから安心して俺が独占するぞ♡」
それは結局ランプトに絞られるだけなのでは。と思ったけど、むしろ望むところだったので言わないでおいた。喉を鳴らして頬ずりかます屈強な虎に、おれは完全に絆されている。実は妖精じゃなくて淫魔でしたって言われても、受け入れる自信があるわ。
抱き返すために乳首から手を放し、分厚さを噛み締める。耳元で聞こえるランプトの声は心底幸せそうで、心地よい体温におれまでゆるんでしまう。
でも、そうは問屋が卸さないと股間が痛む。さっきからずっと限界まで勃起しているんだ。興奮でマスクしていた痛みが徐々に顔を出し、次へ行けと発破をかける。
「んへへ♡がっちがち♡口から欲望を食ってもこんなにうまいんだ♡マンコから取ったらぶっとんじまうかもなあ♡ザーメンの方がやっぱり欲望は濃いし、今から楽しみだな♡」
ちゃんと察してランプトはおれから降りる。テーブルに体を預ければ、でかい尻がずいっと差し出されて遠近感が狂う。肉を限界まで詰め込んだのかといぶかるほど大きな塊が二つ、はち切れんばかりに膨らんで視界を埋めた。
「せっかく最初なんだし、腰振りたいよな♡下手とか気にしなくていいから、思う存分犯していいぞ♡二人でいい初夜にしような♡」
ふりふりと揺れる巨肉があまりにエッチすぎて、おれは言葉を失う。
画面で見ていた平面的な映像なんかじゃない。本物の雄肉がここにある。
縞模様が引き伸ばされてるように見えるのは気のせいじゃないだろう。尻がでかすぎて模様が悲鳴を上げている。少し弾むだけでふさぁとそよぐのだが、たわむ肉の波が強すぎて飲み込まれているようだ。
双方の尻が縄張り争いしてるのかと思うほど中心線は肉で埋まっている。屈伸するとたまに少し奥がのぞくけど、それを見てしまうと本当に駄目になりそうな予感がある。
「お゛っ♡欲望がびんびんに来てるぜ♡尻にも興奮してくれんだ、嬉しい♡でもさっきキスしちまったから、味が薄く感じちまうなぁ♡早くそのデカマラでぶち犯してくれよ♡」
後背位でおれを誘う虎は本当にエッチだ。もう言語中枢麻痺しててエッチしか言えないかも。それくらいエッチすぎる。
背中もごつごつとしてて男らしいし、肩幅が太すぎて腰が細く見えるバグがある。比べればおれの胴体よりずっとでかいのに、肩と尻がそれ以上にでかいせいだ。
「んへ♡怖がるなよぉ♡ここはお前のこと、ずーっと待ってるぞ♡」
欲望を感じ取れるランプトはおれを誘うために尻まで手を回す。それから肉に手を沈めて左右にぐっと開けば、おれの予感が的中したことを知る。
「えっろ……♡」
思わず呆然とつぶやくくらい、ランプトのマンコはエッチだった。
淫乱な割にそこは乳首と同じく綺麗な色をしていて、使ったことがあるとはとても信じられないほどだ。でも、無毛の粘膜はしっかり濡れていて、親父を食った跡が鮮明に残っている。
あそこを親父は使ったのだ。そう考えると背徳感が興奮へと変わり、体は勝手に動いて虎の尻をつかむ。
射精間近の強直をあてがえば、細長い尻尾が硬直した。
「おほぉ♡欲望濃すぎっ♡まだ入ってねえのに、すんげえ感じる♡んへへ♡興奮してくれてるの、嬉しすぎる♡入れられそうか?♡」
「多分……」
「最初は難しく感じるかもだけど♡俺は笑わねえからさ♡好きに試してみてもいいぞ♡手マンしたかったらしてもいいしな♡♡♡」
そうは言ってくれるけど、ここまでおぜん立てされて今更前戯なんて無理だ。ランプトが驚くほど、おれは興奮している。もう一刻も早く、ハメたくてしょうがないんだ。
尻はランプトが開いてくれてるから、おれは自分のものを持って差し込むだけでいい。
なんてわかっているのに、ぬめっているマンコで亀頭は滑り、谷間でちんぽで撫でるだけになる。
「んおぉ♡」
宣言通り、虎は笑わなかった。ただおれの動きを期待に満ちた目で見ているだけ。
情けなさは感じている。だけど、それ以上に興奮している。
自分の吐息が頭で反響しているんだ。落ち着いてできるわけがない。
だけど何度か繰り返してようやく先端が埋まると、虎は格段良い反応をしてくれた。
「おおぉおぉん♡♡♡入ったなぁ♡やっべ♡マンコで感じる欲望熱すぎ♡」
本当は丁寧に入れるべきなのはわかっている。でも、亀頭でランプトを感じたら止まれなくなって、でかいと知っている強直を一気にめり込ませてしまった。
「んおおおぉおぉっほおぉぉ♡♡♡♡♡ひぃ……開く、開くううぅ♡俺のマンコ、こじ開けられてるっ♡んへぇ♡たっまんねえぇえ♡♡アナグマのちんぽあっつっ♡欲望がたぎってるなあぁ♡さいっこおおぉぉ♡♡♡」
入る。入る。入る。おれの童貞ちんぽが、飲み込まれていく。
自他ともに認める巨根はランプトの肛門を広げて、みちみちと音が聞こえるようだ。おれは結合部に視線がくぎ付けで、童貞が失われていく瞬間を脳裏に収めていた。
それは名残惜しいとかでは全くなくて、ただでかい尻の中心で肛門を広げてちんぽを飲み込むランプトがエロすぎるから。
「あ、まだ、入るのかよぉ♡すんげぇ♡こんなの、雄子宮まで届くじゃねえか♡ちんぽよすぎ♡まじ♡すっげ♡お゛っほぉ♡欲望が入り込んでくるっ♡脳が溶けるうぅ♡」
「お、雄子宮って、多分この行き止まりの奥……だよな……」
「ん゛っへへ♡届いちまったなぁ♡そうそう♡そこだぜ♡でも、お前の腰が当たってねえから……」
「うん、まだ入るけど……」
「さいっこぉ♡さすが俺の選んだデカマラだ♡もうぜってえ他の妖精に渡さねえからな♡俺だけのアナグマ♡♡お前を一番満足させられるのは、俺のおマンコだって思わせてやる♡」
尻を小刻みにゆすりながらアピールされると、本当に股間に来る。ただでさえもういきそうのに……。
最高の雄を犯している自覚がちんぽを膨らませている。そのくせ中は熱くてねっとりしていて、おれのちんぽにスライムがまとわりついてくるようだ。
おれだってオナホぐらい使ったことはあるけど、それとは比にならないくらい気持ちいい。ランプトとできているという精神的なものなのだろうが、ちんぽはこっちを選んでいる。
「俺のおマンコはどうだ?♡これでも同胞からの評判は悪くねえんだけど、緩かったら言ってくれよ♡頑張って締めるからさ♡♡」
「気持ちよすぎる……多分これ、動いたらすぐ終わると思う……」
「んへへぇ♡だろうな、さっきから欲望が濃すぎて腹が膨れてんだ♡でも、何度も言うけど俺は笑わねえからさ♡お前の好きにしていいぜ♡俺はアナグマが喜んでくれることが、一番嬉しいんだ♡」
ランプトなら入れただけでいったとしても褒めてくれるだろう。そんな気がする。
だから気負うことなく、欲望のままに。おれは腰を動かした。
「んふうううぅぅ♡内臓全部持ってかれてるみてえなちんぽっ♡最高♡お゛おおぉ♡」
引き伸ばされた肛門がちんぽに追いすがる光景はものすごくエロい。
けどおれにそれを堪能する余裕なんて無い。無数の舌でなめられているかのような快楽を浴びせられて、いかないようにするので精いっぱいだった。
「ううぅ♡ランプト、気持ちいいよ……!♡」
「んへ♡俺もだぜ♡雄子宮ハメは慣れたらでいいからさ♡今日はおマンコにご挨拶してくれ♡これから俺の番になる、旦那ちんぽだぞって♡♡」
おれがもう限界なこと、ランプトはわかってる。こんな状態で結腸まで来いとは言わないあたり、理性はしっかり残っているのだろう。
それから突き入れるとちんぽが貪欲なマンコ口にしゃぶられて、金玉が準備運動を始めた。いくらおれが早すぎると待ったをかけても、膨れ上がった本能は種付けを求めてやまない。この雄を自分のものにしたいと思っているし、きっとランプトも求めている。
「旦那ちんぽすんご♡おぉ~♡ぎもぢっ♡腹の圧やばすぎ♡同胞の中にだって、ここまででけえのは珍しいぞ♡こんなの、俺らだけじゃなくって、ホモからもモテるに決まってる♡童貞でいてくれて、ありがとうな゛っ♡」
「う、うん……」
別にランプトのためにとっておいたわけじゃないんだけど、今はもうそんな気しかしていない。この雄に童貞を捧げられるなら、今まで無縁だったことも素直に受け入れられる。
「でも、ごめん、もう、駄目そうなんだけど……♡まだ一往復しかしてないのに……♡」
「いいって♡むしろ初めてなのに、たくさん頑張ったな♡こんなに興奮しといてよくもったよ♡普通なら暴発しててもおかしくねえんだ♡♡このままぶちまけるまで、たーっぷり犯してくれよな♡♡♡」
尻をきゅぅっと締め付けながら媚びを売られると、おれの中で獣が叫んだ。
ちゃんとしたいという見栄とかそういうのは消え去って、この雄を孕ませたいという原始の意思が腰を支配した。
さっきは一往復でも根を上げた抽挿を、今度は無遠慮に素早く。感じる快楽も鋭くなり、ランプトの嬌声もさらに強くなった。
「んおほぉおぉおぉ~♡すっげ♡すっげ♡人ちんぽやっべ♡気持ちいいのに、願いもくれて♡頭馬鹿になりそうなくらい嬉しくなるっ♡お゛んおおぉっ♡♡でかちんぽいいっ♡最高っ♡んへへへぇ~♡♡」
「はっ……はっ……♡」
気持ちいい。打ち付けるたびに破裂音とか水音とかで、マンコからひどい音が鳴っているけど、そんなことにかまっていられない。ひだを殴り倒して奥へと進ませるたびに、気持ちよさが駆け上がってくる。
テクなんて何もない獣欲に任せた抽挿だけど、ランプトは背中をしならせて喜んでくれている。涎をこぼしながら笑う雌を見て、満たされない雄はいない。おれはそう確信した。それくらいランプトを見ていると満たされるんだ。
「ぎんぼちいいぃ♡おっほ♡これ好き♡好きぃ♡奥までごりごりぎで、脳みそまで届いでるっ♡♡俺、ちんぽに支配されちまってるううぅうぅ♡♡んほおぉ♡このちんぽだーい好きいいぃぃ~~♡♡♡」
「はぁ♡はぁ♡」
「お、俺ぇ、お前のためなら、ハメ撮りでも何でもする♡だからちんぽもっとぉ♡俺以外抱いちゃ嫌だからな♡このちんぽは、俺だけのものっ♡絶対、絶対だからなぁ♡♡んひいぃ♡ぎもちいぃところに、届いでるううぅ♡好き♡好きいいぃぃ♡♡」
おれは熱した鼻息を漏らしながらちんぽを何度も打ち込んでいく。ランプトのマンコはずっとむしゃぶりついてきて、オナニーでは考えられないほどの快楽で迎えてくれる。
結腸までは入らないけど、行き止まりを小突いている感覚はある。そこに当てると虎はいっそう声を高くして鳴いてくれるから、おれはぎりぎりまで引き抜いて突っ込むんだ。
「ほひいぃ♡格付けされてるっ♡デカマラに、わからせられる♡さいっこぉ♡このちんぽに、雌にされるの好き♡んへへっ♡んお゛っ♡♡お゛~~~~♡♡おマンコいぐうぅ♡♡」
きゅっとランプトのマンコがさらに締まった。
「い、いっだっ♡アクメ決めたっ♡脳みそいっでるから♡お゛お゛お゛ぉ゛ん゛♡アクメおマンコずぼずぼぎでるっ♡お、俺、雄やめさせられちまってるうううぅぅ♡♡女の子になる♡このデカマラの、お嫁さんになるううぅっ♡♡」
「ら、ランプト……♡」
「んほおぉぉぉ~~♡♡娶られるううぅぅ♡アクメ中に、雄見せつけられでる゛っ♡こ、こんなん、好きになっちまうだろ♡♡お前のデカマラにマンコ型取りされちまったらぁ♡もうお前としかエッチできねえじゃん♡♡ずりいぃよ♡ちんぽよすぎいいぃぃ♡♡」
さらに気持ちよくなったマンコに、狂ったかのように乱れるランプトのアヘ顔。それはおれのちんぽを刺激するには十分すぎる。
足元にはランプトが漏らしたであろう汁が滴っていて、足を動かすたびにぴちゃっと水音がする。アクメを決めてるんだ、射精していても不思議じゃない。
やばい、マンコってこんなに気持ちがいいんだ。柔らかい内壁がきつく締まってきて、搾り取られてるみたい。ここに出したら気持ちがいいって、本能に訴えかけてくる。
もう無理。いきたい。この中に思いっきりぶちまけたい。
おれは尻肉を食い込むほど強く握って、腰を力いっぱい叩きつけた。
すると最後の防波堤だった結腸入口に、亀頭がずっぽりと入ってしまった。
「んっほおおおぉおおぉぉおおぉ~~~~~~♡♡♡♡♡♡」
瞬間、虎は背筋を限界までそらして叫んだ。
「はいっだあああぁ~~♡♡俺の子宮にちんぽっ♡ちんぽ届いちまってるううぅ♡孕みます♡孕ませてくださいいいぃ♡♡ここ、お前専用の孕み袋にするから♡ザーメン♡ザーメンザーメン♡ほっし♡欲しいぃ♡♡」
ランプトの顔はもうすごいことになっている。歪み切った表情に涙と鼻水をこぼし、雄としては完全に終わった顔だ。男らしい造形は今や、快楽に壊されていた。
だけどそれがすごくちんぽにくる。しかも結腸入口はさらにきつくて、先端がぬぽぬぽと刺激されていた。
ただでさえ無理なのに、こんなことされたらもつはずない。
「ぐぅ……♡」
「お゛っおおぉん♡ちんぽびぐっでしだぁ♡射精だろ♡早くだじでえぇ♡お前のためなら、何でもするからぁ♡ハメ撮りでも♡青姦でもいいぞぉ♡だから♡なっ♡このままザーメンぐださいいぃいぃ♡♡♡♡」
しゃべると情けない声が出そうだから必死に抑えているのに、ランプトは一人で盛り上がっている。でも、興奮が濃くなるから気に入ってるのはばれてるんだろう。雄々しい虎の痴態は、おれを射精させるのは十分すぎた。
だからもう一度結腸の入り口をこじ開けて、おれができる最奥へとちんぽを送り込む。
「っほおおおぉ♡子宮にくるっ♡奥に種付け♡嬉しいぃ♡俺の卵子にザーメンぶっかけてくれよおぉ♡♡ふへ♡んへへへへぇ~♡♡」
「ふぅー♡ふぅー♡」
作れるはずのない子どもを求めて、虎はデカ尻と尻尾を振っておねだりをしている。合間合間にオホ声を響かせながら、結合部の汚い音でおれを誘っているんだ。
そんなに言うのならあげよう。おれの金玉はもう射精へのカウントダウンを刻んでいる。
尿道からこみ上げてくる感覚はいつもの比じゃない。おれは多分、人生で一番の射精をしようとしている。
「出るぞ……♡もう……♡」
「んへっ♡早く、早くぅ♡もう俺ぇ待ちきれねえよ♡♡お前の濃い欲望、たーっぷり注いでくれぇ♡♡」
尻尾がおれに巻き付いて媚び、それがとどめとなった。
鈴口が開いて、最奥に射精する。
「んぐぅ……♡♡」
「んおおぉおぉおぉぉ♡♡♡濃いいいぃぃ♡すっげええぇ~♡こんなうまくて濃い欲望食ったの♡生まれて初めてだああぁ♡♡」
ちんぽどころか自分という存在すべてが漏れ出ているんじゃないか。そう思うほど射精の勢いは強い。雄妖精がやってるサイトを見ながらしこっていた時だって、こんなに量はなかった。尿道が破裂しそうなほど、ザーメンが我先にと飛び出している。
精液はすぐに虎を膨らませて、マンコから逆流し始めた。蛇口を勢いよくひねったホースみたいな射精だ。いくらランプトが巨漢でも受け止めきれなかったらしい。
「ふおぉん♡腹、いっぱいぃ♡俺のマンコから、あふれるううぅ♡幸へぇ♡好き♡好き♡このちんぽ好きいいぃぃぃ♡♡」
「ふぅ♡ふぅ♡」
「こんなちんぽぶら下げてたら♡絶対他の奴らに食われちまうぅ♡お、俺が守らねえと♡このちんぽは俺の♡俺だけのものだ♡♡んへへへへ♡♡まだ出るのかよ♡すんげぇ♡俺、元から人のこと好きだったけど♡もうアナグマにべたぼれかもぉ♡♡好き好きぃ♡」
なんか嬉しいことを言ってくれているけど、射精にすべてのリソースを持っていかれているので応えられない。こういう時に気の利いた返事とかキスの一つでもできればいいんだけど、童貞にそれを求めるのは酷だと思ってほしい。
だから代わりに精液で許してもらおう。脱童貞射精は自分でも驚くほど多く、金玉が休むことを忘れている。ぐりぐりと腰を押し付けながら奥に注ぎこむと、ランプトは上ずった声で鳴いた。
「んほぉ♡腹が満ちてくるぅ♡すっげすっげ♡このまま力をためていけば♡妖精王にだってなれるかもしれねえな♡でもぉ♡たとえ俺が上位妖精になっても♡アナグマとはずーっと一緒だからな♡♡」
なんかよくわからない概念が急に来たけど、ランプトがおれから離れることはないと言ってくれた。何も考えられない頭では、それだけで十分だった。
やがて少しして、ようやく射精も落ち着いてくるとおれは呼吸を思い出した。
全神経をランプトへと向けていたせいか、噛み締めすぎて息を忘れてしまっていたらしい。
「……っふはぁ! はぁはぁ……」
「おーお疲れ♡たっくさん出したな♡いい願いだったぜ♡♡」
ここは経験の差か、おれより早く復帰した虎が労ってくれた。ハメたままにこやかな顔をされては、ギャップでまた立ちそうになる。
「んへ♡まだ願いが届くのかよ♡性欲すげえな♡そういうところも好きだぜ♡」
「でもさすがに……疲れたよ……」
「だろうな♡今日はいろいろあったから、ゆっくり休んだ方がいい♡ちんぽも萎えてきてるし、一緒に風呂でも入るか♡背中流してやるよ♡」
「そんなことされたら絶対立つじゃん……」
たわいもない会話をしている間にも、萎えたちんぽがマンコからずるりと抜け落ちる。
するとそこから白濁がぼたぼたとあふれ出してきた。ランプトがどれだけマンコを締めようとしても、おちょぼ口のようになった肛門から零れ落ちてしまう。
「おぉほぉ♡やっべ♡マンコ馬鹿になっちまった♡んへへ♡だったら……見とけよアナグマ♡」
おれを興奮させることに躊躇なんてない虎が、きばんでマンコを広げた。くぱあと擬音が聞こえそうな仕草で肛門が口を開け、半固形状のザーメンが排出されていく。
ぷぴゅぷぴゅっと下品な音が、デカ尻から奏でられている。火口みたいなマンコだけでもエロいのに、そこからザーメンを漏らすなんて反則だ。今のランプトはスケベの化身となっている。
「んほおぉおぉ♡ザーメン排出アクメたっまんね♡♡アナグマぁ♡見えてるか♡これぜーんぶお前が俺に興奮して出した子種なんだぜぇ♡んへへ♡本当に赤ちゃんできちまったかもな♡♡」
「うわ……エロ……」
もうそれしか言えない。動画より現実の方がずっとエロい。こんな雄々しくてでかい尻がしていい仕草じゃないだろう。
案の定おれのちんぽはまたすぐ臨戦態勢へと移行して、絶対に孕ませたいとやる気十分だ。
「んへっ♡だったら次はお風呂場でやろうぜ♡庭でもいいぞ♡俺の魔法を使えば防音とかも簡単だからな♡♡」
「え、いや……それは……」
恐ろしいことを言われている気がするけど、それも悪くないと思っている自分がいる。ランプトとならどんなセックスも気持ちいいに決まっているんだから。
下を見ればおれのザーメンの他に透明な水たまりがあった。おそらくランプトが出した潮とか先走りかな。後背位ではわからなかったけど、かなり漏らしていたようだ。
掃除しないとなんて冷静に考えていると、ふとリビングのドアに見慣れた巨体がいることに気が付いた。
「……あ、親父」
おれと似た黒い熊だが、ホモ受けに特化したような見た目をした大きな体。本人は絶対拒否するだろうが、ガチムチに膨らんだ体はやはりそう言わざるを得ない。胸元にある月の模様が明るい胸毛のようで、雄として完成されていると思う。
「…………」
少し前は汚らわしいと叫んでいた顔は何か思案しているようで、じっとおれらを見つめている。そして親父は怒るでもなくただ無言で、そのまま踵を返して部屋を去っていく。
リビングで盛っているなんて、昨日の親父だったら発狂していたはずだ。ランプトの教育は成功したのだろうか。
「親父……」
「んへへ♡心配するなよ♡別に洗脳とか催眠とか、そういう魔法は使ってねえから♡ただちょーっとばかりホモセックスの気持ちよさってのを教えてやっただけだからさ♡♡」
「そんなこと考えたこともなかったんだけど……できるのか?」
「んーまあ、ちょっとだけな♡俺が使えるのは認識を阻害するとかその程度だぜ♡上位妖精になればもうちょいすごいことができるけど、まあ趣味じゃねえなあ♡魔法で作られた興奮より、素のままで食う欲望の方がうまいだろうし♡♡」
「欲望に味ってあるんだ……」
「まあなんとなくだけどな。後は俺の気分の問題。どうせなら仲睦まじくやりてえじゃん♡」
その意見には賛成だけど、親父はどうしたんだろうか。あれだけ嫌悪していた行為をしたせいで、あの石頭にも何か変化が訪れたのかもしれない。
だったらいいなと思いながら、おれは作りおいていた料理を温めなおす。初めてセックスをしたがすごく疲れている、抵抗していた親父ならなおの事だろう。
「それ、お父さんに持っていくのか?」
「まあね。何も食べずに帰っちゃったし」
「そっか、なんだかんだ言いつつお父さんの事好きなんだな」
「そりゃね。話の通じない人だけど、悪いとこばかりじゃないし。不器用なだけなんだよ」
「ひょっとして俺、余計なお節介でもしちまったかな」
「いいや、ランプトが来なかったら絶対おれのこと犯罪者かなんかだと思ってただろうから、ちょうどよかったよ。ホモなんてやめろとか無理なことばっか言ってくるんだよなあ」
「あはは、やめようと思ってやめれたら苦労しねえよな」
ランプトが胸をなでおろしながら笑ってくれるから、おれも笑い返せる。動画配信とかまだ懸念が無くなったわけじゃないけど、ただひきこもってた時に比べたらましだから。
少し頑張ってみようと思えるんだ。
****
おれが撮った短い動画はそこそこ人気だったようで、ひとまず安心した。
まあそりゃランプトとかいう魅力的な雄があんな甘々な態度を取ってるんだ、気にならないわけがない。おれだって視聴者の立場だったら期待を込めて反応してる。
それに、期待せざるを得ない要素がもう一つあって……。
『お、俺ぇ、お前のためなら、ハメ撮りでも何でもする♡だからちんぽもっとぉ♡俺以外抱いちゃ嫌だからな♡このちんぽは、俺だけのものっ♡絶対、絶対だからなぁ♡♡んひいぃ♡ぎもちいぃところに、届いでるううぅ♡好き♡好きいいぃぃ♡♡』
昼飯を食べながら、昨日のセックス音声が耳に飛び込んでくる。リビングで流していい物じゃないけど、そんなのは昨晩の段階で終わった話だ。
「なんで急にハメ撮りとか言い出したのかと思ったら、録音してたのか……」
「そういうこと♡せっかく彼氏持ちの設定にしたんだから、有意義に使っていかないとな♡……うん、これも美味い」
トーストをかじりながら得意気に耳を揺らすランプトは、愛らしいけど抜け目ない。親父を巻き込んだりとか、着実に準備を進めている。
おれからスマホを取り上げた後、ランプトは撮影を止めていなかった。おかげであの時の音声が全部収録されてしまっていて、虎の媚びた嬌声が世界に発信されていた。映像はないけれども、何が起こったのかを知るには十分すぎる。
「んへへ、音声だけではあるが、俺がハメ撮りを認める流れとしちゃ悪くねえだろ♡むしろ音声だけの方が想像力掻き立てられるかなーって」
「わからなくはないけどさ」
しかもSNSには『これも上げろって言われたんだけど……最悪、録音してたのかよ。でも昨日のセックスすっげえ良かったから、しょうがねえな♡』とか言ってるので、全部の責任がおれにきてる。着実におれの人物像も歪み始めていた。
あの動画を見たらランプトが乗り気なのもわかるから、次はどんなのが上がるかと期待されているはずだ。
果たしておれにできるのかと緊張するけど、ランプトは平常運転だ。食後のお茶を飲みながら、のんびりとしたもの。
「今日これから美容室に行って毛並み整えてくるんだろ。その間俺はお父さんと準備しとくから、ゆっくりしてきていいぞ」
「そう、わかった。だったらついでに買い物行ってこようかな。何か欲しいものある?」
「あれ、あれ欲しいな。アイスクリーム。人間界行ったら食べてみたいと思ってたんだ」
「雄妖精界にないんだ」
「主食が願いだから、こういう食文化は発達してねえんだ。デブ型の妖精が体重維持大変だよーって言うくらいだからな」
「そんな苦労があるんだ……じゃあ買ってくるよ、バニラでいい?」
「おう!」
ランプトがウキウキなので、本当に楽しみにしてるのがわかる。昨日のことがあったからなのか親父も仕事休んでるし、三人分買ってこようかな。
というわけで何とかみすぼらしい見た目から脱してから帰ってくると、ランプトが待ちきれない様子で出迎えてくれた。
「おかえりー! 荷物持つぞ」
「ああ、ありがとう。キッチンまでお願い」
「……うん、いい男度がさらに上がったな。かわいいぞアナグマ」
「……ありがと」
まじまじ見つめられながらド直球に褒められると普通に照れる。さらに額にキスまでくれたのなに。おかえりのキスって本当にする人いたんだ……。
昨日これ以上にすごいことしてたけど、それとこれとは別。甘酸っぱさは興奮とは違う感情だ。
なんて勝手にどぎまぎしながらリビングまで行くと、そこには親父がいた。
「……おかえり」
「え、ああ、ただいま」
親父は休日でもシャツとスラックスだ。世間で言うところのパンツ一丁でぐーたらしているという親父像はうちでは当てはまらない。石頭だけど真面目なんだ、だから石頭なのかもしれないが。
そんな親父は気まずそうにしながらも席を立つことなく、おれらの片づけを黙って見ている。いつもなら仕事がどうとか今後がどうとか小言の雨なのに、冷蔵庫の整理が終わるまで口を開くことはなかった。
「これ、親父の分。食べるか?」
「ああ……いただこう」
買ってきたカップアイスを渡すと、素直に受け取ってくれた。小さなスプーンも渡すけど、ふたを開けずに考え込んでいる。
「抹茶……私の好物、覚えていたのか」
「当たり前じゃん。っていうかおれ、いつも親父の分も晩御飯作ってるんだけど」
「そうだな……そうだった、お前は……」
なにやら当たり前のことを再認識しているような感じだが、本当にどうしたんだ? ランプトと一発やったことが、そんなに衝撃的だったのだろうか。
空気がしんみりとしてしまったが、そこに響くわざとらしく元気な声。ランプトはわかっていてやっている。
「なあなあ、俺の分は?」
「もちろんあるよ、ほらこれ。お高めのいいやつ買ってきたから、堪能しろよ」
「やったね。ありがとうなアナグマ!」
にぎやかな声のおかげでおれの呼吸も軽くなった気がする。ほっと一息ついてから自分のアイスを取り出して、ケトルの電源を入れた。
「紅茶飲む人」
「はいー!」
「……頼む」
三人分のアイスと三人分の紅茶。当然ランプトは母さんの代わりにはならないけど、ぎこちないながらも歯車は回っている気がする。
でもまあ、こういう団らんも悪くないか。ランプトが来るまで、おれと親父は会話らしい会話なんてまるでなかったもんな。ぎくしゃくするのは当然だ。
おれも早く慣れないとなあ。いつまでもランプトに間を取り持ってもらうのも、申し訳ないし。
そんなランプトは温かい紅茶と冷たいアイスを心底楽しんでいるようで、あっという間に平らげてしまった。また今度も買ってくるか。
「あ、そうだアナグマ。これ見てくれよ、お父さんのアカウントな」
差し出されたスマホには顔を隠した黒熊のアイコン。明らかに親父だ。
穴蔵 羆(あなくら ひぐま)の名前からヒグマと名乗っているのだろう、親父にはよく似合っていると思う。
プロフにはバツイチ、息子一人と例の三つの数字だけという簡素さ。親父らしいと言えばそう、ランプトはすでに親父の事をだいぶ理解しているな。
開設したばかりだからか投稿も少なく、股間にバスタオルを当てて顔をスマホで隠した自撮りがあるだけ。だけどタオルから太い竿は浮かんでるし、膨らんだ腹は硬そうで張りが強いのも十分わかる。月型の胸毛とラウンド髭と、そしてへそ下に密集する黒い陰毛。
やっぱこうして見ると親父ってこの界隈でモテそうな見た目だよなあ。おれにも受け継いでくれよその才能。遺伝したの胸の白月だけだぞ。
でも親父がここまで乗ってくれるとは思わなかった。おれらの行動を黙認してくれるだけでも十分だったのに。
まさか、本当におれと絡むつもりなんだろうか……。
「ランプトさんが、これがお前のためになるからと……」
おれの意外そうな視線を受けて、目をそらしながら親父は言う。
この先は親子丼だってことに気付いているのか親父。本当にそれでいいのか親父。
「まあ任せてくれよ、お父さんのアカウントも俺がしっかり運営するからさ」
だけどランプトは自信満々に舵を取っているので、口をはさむのもためらわれる。少しの付き合いだけど、ランプトはおれらが本当に嫌だって言えばあきらめてくれると思っている。だからこんなことをするのも、親父がどこかで許可を出したからなんだろう。
そんな姿はまーったく想像できないが。
「アナグマが出かけている間に、いくつか写真を撮り溜めしておいたんだ。お父さんの見た目がいいから、俺も張り切っちゃったぜ」
スライドショーで流れる写真は確かにどれもいい。顔と性器は隠れているが、豊満な胸とか腹だけでもエッチだし、黒い毛が生えている腋見せや根本だけのドアップとかたまらない。これが親父じゃなかったらおれも即登録してる。
「まずはこういう写真だけで行く予定なんだ。エッチなパンツとかこなれた感じ出すよりも、こういう方がお父さんらしいだろ。バツイチになってから初めてのホモ活がテーマな」
相変わらずランプトはしっかりしてる。今はまだ知られてないから親父の写真に対する反応は薄いけど、これからなんだろうな。人気を得るってやっぱり大変だ。
そしていつかはおれと親父がやると……こうして考えると、おれも着実に親父とやる心づもりになってる気がするな。今はできる気がしないが、先のことはわからない。
「ランプトさんからお前のやろうとしていることは聞いている」
食べ終わった親父がおもむろに口を開く。
「……それがお前の仕事だというのなら、好きにしなさい。私も応援する」
「え、あ、うん、ありがと……」
まさか黙認だけじゃなく、応援されるなんて。たった一晩で何が起こったんだ。
「ごちそうさま」
律儀に食器を片付けて、親父はリビングを去っていく。
その背中はいつもより落ち着いていて、肩も怒っていない。ようやくおれは昔の親父をそこに見た気がした。
だけどあまりの変化に不安になったから、親父がいなくなったのを見計らってつい聞いてしまう。
「……なあ、ランプト。お前本当に催眠とかしてないんだよな」
「あはは。してないしてない。大体俺にそんな能力ないって。妖精が使える魔法なんてかわいいものだよ」
「じゃあ親父はなんであんなしおらしいんだよ。相当手ひどく犯したのか?」
「でもねえって。俺はただ……あー、まあ内緒な。お父さんも考えることがあったんだろ」
「えーなんだよそれ。気になるじゃん」
「んへへ、ごめんな。ただお父さんもお前の事が好きだってことは覚えといてくれよ」
何やら意味深なことを言うだけで、教えてくれる気はないようだ。
ランプトは紅茶のお代わりを飲みながら、ほほえましい顔をしている。元気というよりも温かい視線は、おれをむず痒くさせた。
「いいよなあ、家族って。俺らにはないものだからさ」
「ああ、言ってたな。妖精に血筋がないって」
「そ、俺らは突発的に生まれて、それから施設に送られるんだ。こっちで言うなら幼稚園みたいなところだな。そこで適性を調べられて、ある程度育ったらもう自立だ。先生はいたけど家族はいない。妖精王だって一番強い妖精がそう名乗ってるだけだからな」
「そうなんだ。でも昨日じいちゃんって言ってなかったか?」
「それが俺の先生。古い妖精でさ、自分で願いを取るよりも後進の育成をしてる。結構偉い妖精で、人のことに詳しいんだ。だからこっちの昔話とかよくしてくれて……お姫様の話とか、鬼退治の話とか……俺はそれが大好きでさ、一度人間界に行ってみたいって思ってたんだ」
だからランプトはいつも楽しそうなんだ。自分の夢を追いかけて、ようやくこれたから。家族を羨ましいって思うのも、憧れからきているんだろう。
素直にすごいなと思う。おれみたいにだらだら生きてるわけじゃなくて、やりたいことがしっかりしてる。人と妖精という違いはあるけど、こいつはいつだって一生懸命だ。
「で、人間界はどうだ?」
「最高。アナグマにも会えたからな」
「またこいつは……」
満面の笑顔で人をたぶらかすようなことを言うな。惚れちゃうだろ。
でも、このまま人との協力関係がうまくいかなかったら帰宅命令とか出されるのかもしれない。それはおれも困る。ランプトにはまだいてほしいんだ。
「んで、今日も動画、撮るんだろ。ネタはあるのか?」
だからおれも自分にできることをしっかりしないと。今までみたいにだらだらしてたら、ランプトがいなくなってしまう。
「休憩しなくていいのか? 買い物とかで疲れてるだろ。それに晩御飯の準備もあるだろうし、動画は全部終わってから体力があればで大丈夫だぞ」
「いいやつすぎるって……。どうせならやること全部終わらせた方が、夜もゆっくりできるしさ。早く動画撮った方がランプトも編集とか余裕持ってできるから、みんなにとってもいいだろ」
「んへへ。ありがとうなアナグマ。お前を相棒にもてて、俺は幸せだ!」
「大げさだって……」
おれだってお前が来てくれて幸せだよ。
なんて素直に言えるわけもなく、ランプトが使った食器を洗ってごまかすのだった。
****
「……んぼぉ♡♡」
精悍な虎の口から大蛇のような一物が吐き出されていく。
太くグロテスクな肉の塊はギンギンで、喉奥から抜け出す時にぬぽりと汚い音が嗚咽と共にこぼれていった。
「んっ♡でっかぁ♡やっぱお前のちんぽさいっこぉ♡」
それでも黒い熊の股ぐらに顔をうずめる虎は嬉しそうな声を出す。
唾液まみれの口にも構わず汚い肉棒に頬ずりをして、先走りを浴びながら腰をかくつかせる。これをハメられたところを想像しているのか、尻尾は画面端で忙しない。
目が潤み、舌を出す顔は完全に魅了されている。ぬらぬらと輝く巨根に鼻面を押し付けて、舌先でぺろぺろと媚びる所作には親愛が多分に含まれていた。
「だからずりいって♡撮影させなきゃしゃぶらせてくれねえってさあ♡このデカマラ見せられて、俺が我慢できるわけねえじゃん♡♡」
むっとした顔でレンズを睨むが、蕩けた顔では誘っているようにしか見えない。俯瞰で見る虎の肢体は分厚く、熊と比べて筋肉が発達しているのがわかる。殴り合えば確実に虎の方が勝つだろうと、視聴者なら全員思うだろう。
だが、それでも虎は熊に恭順を示す。それは目の前のちんぽが大好きだからだと、誰の目にも明らかだった。
「変態♡」すねるようなかわいい声で。「ちんぽバキバキじゃねえか♡撮影されて喜んでるのはどっちだよ♡……え、俺がエッチだから興奮したって?♡んへへ♡しょうがねえなあ♡♡」
まんざらでもない様子で、虎は肉棒の頬をくっつけて笑う。
「そんじゃあ、俺の恥ずかしいところ♡ぜーんぶ録画しろよ♡♡」
****
「んへへ、いい感じじゃん。登録者も増えてきてるし、順調順調」
短いフェラ動画を投稿した翌日、ランプトは上機嫌に話しかけてきた。
リビングでテーブルを囲み、昼ご飯を食べている最中だ。蒸した肉まんを頬張る虎は熱かったのか、はふはふと慌てて呼吸に忙しい。
人間界のいろんなものに興味があるランプトのために、おれは献立を考えるのが最近楽しい。親父は何を食べても何も言ってくれなかったからさ。
お茶を渡しながらスマホをのぞいてみると、確かに評判は悪くなさそうなのがわかる。自分のちんぽをさらすのなんて初めてだから緊張したけど、この調子ならアンチが湧くとかなさそうだ。ランプトみたいな雄とおれって、本当に不釣り合いだからさ……。
「なーに言ってんだよ。こんなでっけえちんぽもってりゃ、嫉妬されるのは俺の方だぜ」
「そうかなあ……」
「そうそう。俺がお前を大好きだってことにも理由付けできるしな。こんなデカマラ、そうそうお目にかかれねえよ♡」
肉まんに息を吹きかけながら画面をスワイプすると、そこには確かに『でか♡』とか『おれもしゃぶりたい♡』とかコメントがある。
全身で比べたら総合力の差でランプトには大敗するけど、一部分だけを切り取っていいように見せているんだろう。食生活とか運動とかちょっと意識し始めたけど、ランプトに比べたらまだまだだから。
「お前はそのままでも十分かわいいって言ってるのになあ」
「そう言ってくれるのは嬉しいけど、ランプトに甘やかされてると絶対駄目になるから」
「別に甘やかしてねえし。本心なんだぜ」
「だからだよ!」
この虎、少し一緒に暮らしただけで人を駄目にするタイプの妖精だとすぐに分かった。
何をしても褒めてくれるし、かわいいって言うし、家事も魔法で助けてくれる。挙句の果てに毎日大好きアピールしてくるんだ。
セックスだってほぼ毎日してるし、キスしない日はない。おかげでちょっとは上達したと思うけど、ランプトにはまだまだ翻弄されっぱなしだ。
溺れてる。おれは今、ランプトに溺れている。
「あ、そういえばこれもなかなか評判良かったぜ」
とか言いながらさらに投稿を見せてきた。動画の後に投稿した写真のようだ。
そこにはランプトが口からザーメン交じりの涎を垂らしながらおれのちんぽで目隠しした写真と共に、『たくさん飲ませてもらった♡♡』と書いてある。改めて見ると、涎とザーメンで汚れたおれのちんぽ、グロすぎるな……。
「よーし、想定通り射精までの動画が欲しいってコメントも来てるな。いい感じっと。次は……このデカマラをパイズリでもしようかな♡」
「結構ゆっくりだよな。もうセックスしてるんだし、ハメ撮りに手を出すのかと思った」
「いやーさすがに早いって。もうちょっとじらさねえとな♡一回やっちまえばより過激なものを求められるのが常だ。アナグマと末永くするためにも、ここら辺の塩梅は大事だろ」
そう言われたらぐうの音も出ない。ランプトはおれと長く付き合うための方法を考えてくれているんだ。
肉まんを平らげる姿は愛嬌があるけど、頭の中ではいろんなことを想定している。おかげでネット上でのランプトは、ハメ撮りは恥ずかしいけど彼氏ちんぽに逆らえない淫乱ってキャラが見事に定着しつつある。
筋骨隆々とした見事な体もあって、着実にファンは増えている。そりゃこの見た目でちんぽ狂いとくれば、人気出ないわけないし。
「ってわけじゃねえんだよなあ。このサイトだと俺みたいな雄妖精は普通に埋もれるんだよ。得られた願いに応じて王から褒美が出るとなりゃ、みんな人気出そうと必死だ。だから俺はちゃんとキャラ付けして、丁寧に運営してるわけ」
「ここがあまりにも群雄割拠しすぎてんだよなあ……他のサイトなら全員一級品だぞ……」
さすが雄妖精が運営しているだけはあって、レベルがあまりにも高すぎる。実際サムネで比べると、悲しいけど確かにランプトが埋もれている可能性は否めない。
少し検索するだけでも筋肉やらガチムチやら、その筋からしたら最高級の雄がひしめいている。今もライブでは霜降り体形のトカゲがスリットを画面いっぱいにアップして、しこっているサムネがあったりする。この過激さを考えると、ランプトはかなり控えめなんだな。
雄妖精が運営しているゲイポルノサイト、通称フェアリーホールはこの手のサイトの中じゃ最王手だ。投稿されてる動画も多いし、居座っている雄もレベルが高い。
一視聴者として通っている時には思いもしなかったが、改めてこんなところで人気を出す必要があるのだと考えると、ハードルの高さにしり込みしそうだ。
「昔はなあ、雌妖精と協力して男女ものもやってたからそこまで難しくなかったんだけど、願いの配分かなんかで揉めたらしくて、以来個別にやってるからこんなことになってんだよ」
「なるほどねえ。確かになんでゲイサイトが人間界との唯一の接点だろうとは思ってたけどさ……」
「おかげで今ここは激戦区。ま、他のサイトに比べたらはるかに有名だし、願いの量も安定して多くもらえるからいいんだけど、その分生き残りが難しい」
お代わりの肉まんを食べながら、ランプトはサイトのランキングをクリックした。
すると性器のドアップや筋肉強調、雄々しくもスケベな絵がいくつも流れていく。そのどれもがエッチだけど、ランプトの動画はどこにもない。
「過激なエロにすりゃさ、ある程度は人気出るんだよ。でも、俺がしたいのはそうじゃねえ。何のために人に協力を要請したって話になるからな。俺はここにあるのとは違う、もっとエロくて、もっと興味を引けるようなものが欲しいんだ」
そう語る虎の目は真面目だった。人間界のおいしいものに喜びながらも、目標を見失っていなかった。
だから丁寧に運営している。人目を惹きつけて、今後が気になるような、そんなキャラ付けをして。一過性じゃない、本当の人気を得ようと四苦八苦している。
やっぱりランプトは本当にいろんなことを考えていた。雄妖精には到底及ばない凡庸な見た目のおれを選んだのもそのためなんだろう。このエッチなサムネの海にあっても埋もれないような、そういうものを追い求めた結果なんだと思う。
「なので、これからも頑張ろうな。お父さんの方も順調だしな」
肉まんを口に詰め込みながら、今度は親父のページに飛ぶ。
雄臭さ満点のガチムチ黒熊は最初の投稿から次第にエスカレートしていて、最新の投稿ではおっぱいをアップしながら自分で揉み解している。片手を上げた腋からは黒い毛が見えており、雄の塊って意味ではランプトをしのぐ。だからなんでこの才能がおれにほとんど受け継がれてねえんだよ。
ランプトよりむっちむちな胸では綺麗な乳首がピンク色に輝いており、今までいじってこなかったのがまるわかりだ。おかげで下種な欲望を秘めたコメントがいくつか付くようになっていた。
素材はいいが不慣れ。ゲイに興味はあるけど何をしたらいいのかわからない。親父の写真はまさにそういう雰囲気を醸し出しており、男を釣る針としちゃものすごくでかい。
「あ、ちなみに」コメントの一つを虎が指さして。「こいつ、俺の友人な。ちょっと協力してもらってるんだ」
「さっきライブしてたトカゲか?! 協力ってなんのだ……?」
「やっぱやるには相手がいるだろ。でも俺はもうお前に入れ込んでる設定上難しい。だから後腐れなく安全な相手になってくれってお願いしたんだ。あ、もちろん振りだけな。事後写真っぽいものだけあげて、匂わせる程度だぞ」
「だったらいいんだけど……」
さすがに親父をこんな道に深入りさせるのは申し訳ない。そこはランプトもわかっているようで安心した。
「なので、これから機を見て二人の撮影会をする予定だ。向こうはやるからには本物の欲望を絞りたいーって言ってるんだけど……」
「それは駄目だ。親父に迷惑がかかる」
「だよなあ。しかもお父さんって別にホモじゃないから、大した欲望絞れねえんだよ。なので、俺がいつかコラボするってことで納得してもらう。作戦通りにいけば、俺らは人気者だしな!」
にっと笑う虎の顔を見て、おれは何も言えなかった。
ランプトの案は妥当だ。親父が男に興奮しないから、代案を提示している。しかも最初からコラボすると公言していたし、狙いも十分わかる。
けどランプトが他の男に抱かれるのを黙認するのも、ちょっとなあ。あんまり良い気がしない。いや、契約彼氏なので何様だと言われたらそれまでなんだけど……。
「……それはおれじゃ駄目なのか?」
「え?! アナグマが、か?」
「そう、欲望を絞りたいのなら、おれがやるのが一番じゃないか? 経験も積めるし、親父を差し出さなくても済むし」
「んーまあ、そうではあるんだけど……」
歯切れ悪く言葉を濁す虎は珍しい。別に変なことを言ったつもりはなかったんだが、どうしたんだろうか。
「俺としては、お前にはあんまり他の雄妖精と関わってほしくねえんだよ。単一の欲望の美味さを知られたら、絶対個人的にモーションかける奴が出る。俺が例外なだけで、基本的に人と関わるのはあんまり推奨されてねえんだ」
「お前が特例っぽいのはなんとなくわかってたけど……となると、昔みたいにさらって絞る妖精が増えるってことか?」
「そういうこと。あと単純に俺が嫌だ。アナグマは俺のだから。こう……胸のあたりがもやもやする」
「お、おう……」
まさか素直に嫉妬されるとは思わなかった。確かにやってる最中はずっと俺のだと言っていたけどさ。
だからそう言ってもらえるのは普通に嬉しかった。なんか本当に恋人同士みたいだな。
しかしこの翌日、件のトカゲから返信をもらったランプトはむすっとした顔で切り出した。
「……駄目だった。だったらせめてアナグマがいいとさ」
リビングでたこ焼きを頬張りながら虎は口をとがらせる。一緒に買い物に行って、たこ焼きを買ってた時はあんなに笑顔だったのに。
おれは冷蔵庫を整理する手を止めることなく、じゃあどうするのかと聞いた。
「まあ向こうの言いたいこともわからなくはねえ。あいつはそこそこ人気があるから、悠長に未来の約束するより、今の方が大事だ」
「動画も結構人気だよなあ。おれも何度かライブ見てたし」
「俺らの設定で考えても、アナグマが他の雄を抱くのは相違ない。むしろそれに嫉妬した俺がハメ撮りに積極的になるっつうシナリオも描けるから、悪くねえんだ」
そこで虎はたこ焼きを一気食いしてから、声を張り上げる。
「でも俺が嫌なんだよ~~! アナグマは俺のなのにぃ!」
「親父を抱かせようとしてるくせに……」
「お父さんは別だろ! むしろ俺は家族仲が良くなる方が嬉しいから、お前とお父さんにはもっと仲良くなってほしいんだよ!」
「セックスで家族仲が良くなるかなあ?!」
たびたび思うけど雄妖精のセックスって軽すぎるから、友好を深める意味でしかないよな。そりゃ家族って概念もないなら、近親相姦なんて衆目にさらして欲望を得る手段の一つ程度の考えなんだろう。
人について詳しくて優しい好青年なんだけど、やっぱり妖精だよなあ。
だけどおれはそんなランプトにかなり絆されているので、冷蔵庫を閉めてから虎を抱きしめる。
「別に一回やるだけだろ。何が変わるわけじゃない」
「そりゃそうかもだけどさあ……」
そこで虎は何がおかしいのか、急に緩い笑みを見せてきた。
「んへへ、なんかこういうの良いな。恋人っぽい」
「そうか?」
「映画とかで見たぞ。ふてくされた相手を抱きしめてなだめるシーン。そうするとなんですぐ許しちまうんだろうと思ったけど……うん、悪い気はしねえ」
太く黄色い腕で抱き返しながら、ランプトは尻尾を弾ませる。向こうの方がずっと体格がいいので、結局おれが収まる形になった。
「でもこういう時って、たいていキスもセットじゃねえの?」
「わかったよ」
少し背伸びして口を合わせると、それで虎の機嫌は完全に直ったようだ。
「んへへ、しょうがねえな。俺らの宣伝だと前向きに考えてやるか。アナグマはそれでいいのか?」
「まあ向こうがそう言うなら。親父を差し出すよりはね」
「なんだー? ひょっとしてやる気なのか? 俺さみしいぜ」
「仕事なもんで♡」
いつかの意趣返しをしてやると一瞬だけ虎が鼻白んだが、すぐさま大笑いに移行する。
そのまま抱き上げられてソファに倒れこむが、筋肉のおかげか全く痛くなかった。おっぱいがクッションのようにおれの顔を包むけど、にぎやかな声は子守歌とは程遠い。
「あはは! なら仕方ねえ! 仕事だもんな! どうせなら俺のアナグマがいい男だってこと、見せつけてきてくれよ!」
「確約はできないけど、まあ、頑張るよ」
向こうもランプト並みにいい男だからさ。何度も言うけど、おれは本当に平々凡々なホモなんだよ。
果たしてこいつの言ういい男とは、雄妖精基準なのかランプトだけの基準なのか。前者であってくれればいいけど。
「でも何かあればすぐ助けを求めてくれよ。俺らはパソコンから向こうを監視できるからな」
「何それ、初耳なんだけど。こわ」
「あれ、言ってなかったか。サイト経由で願いを取る応用みたいなもんでな、魔法を使ってパソコン画面をカメラにできるんだ。ほら、そもそも俺がどうやってアナグマを見つけ出したんだって話になるだろ」
「あーまあ、確かに。あの時はそれどころじゃなかったから……ってことは、サイト見てしこってたのも……」
「ばっちり見てる。だからちんぽでかいって知ってたわけだ。でもこれはプライバシーの侵害だし多用はしてねえ。サイトの信用にも関わるから、王が制限をかけてんだ。あくまで俺のパートナー探しに使っただけだからな」
妖精の口からプライバシーの侵害って単語出てくるのいまだ慣れないな。ネットリテラシーもそうだけど、よく教育されてるわけだ。
「でもお前に何かあるのは問題だから、その時は全力で使う。だから安心して抱いてこい!」
その何かある前提の話をされると逆に怖いんだけど。おれ、本当に取って食われるのかな……。
なんて少しの不安を抱えながら、啖呵を切ったことをちょっとだけ後悔していた。
****
『友人の彼氏と遊んでもらった♡♡見た目貧弱そうで気乗りしなかったけど、ちんぽ見た瞬間マンコ濡れちまって、俺の方から股開いちまった♡♡子宮まで来て孕ませようとしてくんのマジ最高っ♡ハメ撮り好きらしくて気が合うから、今度動画呼びてえな♡♡』
という投稿には、おれの生ハメ後の汚れ切ったちんぽで目隠ししたむっちり緑トカゲの写真がついている。この前のランプトと同じ構図にしたのはわざとだ。トカゲは舌から涎を垂らしながらピースしていて、ものすごくエッチだった。
親父とは違って腹が膨らんでいないタイプのガチムチだったが、抱き心地がよすぎた。しかも乳首にピアスつけてて、雄を誘う気満々。完全に界隈になじんでいた。何事もなく終わって何よりだが、個人的な連絡先は押さえられている。
『そんでこれが今回のやつ♡こんなにアクメしたの久々すぎてまだマンコうずいて止まんね♡今日は仕事絶対手につかねー♡♡雌アクメが体中に残ってる気がするぜ♡♡』
トカゲの設定上、昼は社会人ということになっている。その投稿にはおれのちんぽでごりごりに犯されてアヘ狂っている動画が付随していた。おれが顔出しNGというのもあるが、トカゲのムチムチな肉体が画面いっぱいに埋まり、正常位で潮吹きしてる光景はなかなか圧巻だ。
でも、今のおれはそんな思い出に浸っている余裕なんてない。
「……これがお前の新しい仕事か?」
テーブルを挟んだ向かい側、親父が何とも言えない顔でおれを見ているのだから。
間に置かれたスマホからはトカゲのあへあへとした嬌声が垂れ流しになっており、おれの胃が死んでいる。ランプトがいてくれればよかったのだが、あいつは動画編集のために引きこもっていた。対抗心が燃えているのか、絶対これよりエッチなものにする! と張り切っていた手前、止めるのもはばかられた。
「えと、まあ、そういうことになるかな……」
「そうか……」
帰宅したばかりの親父はスーツ姿のままで、威圧感がすごい。ただでさえ顔立ちとひげでこわもてなのだ、昔から何もしてなくてもにらんでいると言われる作りをしている。
リビングに来て早々これを見せられたおれは生きた心地がしない。最近の親父はおとなしかったけど、さすがにこれは看過されないだろう。
「親父はどうしてこれを……?」
「ランプトさんが教えてくれた。私の写真を撮るために、お前が体を張ってくれたと」
「そ、そっかあ……」
別にそれは言わなくていいと思うな! わざわざ親父の神経を逆なでしないでほしい!
こんなの絶対怒られるに決まってる!
だけど親父は何度か言いかけた口を開閉して、言葉を濁している。最近はずっとそうだ。おれの前で煮え切らない態度を取って、怒ることもなく戻っていく。
それでも今日は違った。ややあって語り掛けられたのは、おれが予想もしない内容だった。
【続きは支援者限定公開となります】