今日もため息。
カーテンを閉め切った部屋は沈鬱とした気分の吹き溜まりで、LEDの明かりが昼夜を問わず代り映えのない日常を固定している。
かといって窓を開ける気力なんてあるはずもなく。いつも通りディスプレイを見ながら刹那的な刺激を摂取して、生きることへの虚無感を薄めてごまかしていた。
外界との関りを絶つことでしかおれは生きていけない。そんな自分が嫌になるけれど、変える方法なんて知るわけがない。
だからおれは今日もひきこもる。それが駄目だとわかっていても、それしかないから。
「……今日も親父が帰ってきたら小言を言われるんだろうな」
椅子に座ったおれは、差し迫る現実に対して辟易とつぶやいた。
画面の右下にある時計に気付いたら、陰鬱な気持ちが加速する。また一日を無為に過ごしたことへの忠言は、正論ではあるが煩わしい。もどかしさが募った結果、八つ当たりだとわかっていてもストレスは消えてくれなかった。
「仕事……見つけないとなあ……」
口だけだ。わかっている。
本当はそんな気なんてない。
初めての就職でブラックを引いて、心も体もボロボロになってようやく辞めることができた。
だけど代償はでかく、気力というものが枯れ果てている。人は一度壊れたらなかなか回復しない生き物なのだというのをその時に知ったが、もう遅かった。
社会活動ができない自分に嫌気がして、その自己嫌悪で閉じこもっての悪循環。今のおれは少ない貯蓄を食いつぶしながら、死ぬのを待つだけの肉塊だ。
「はあ……」
着替えることのないパジャマにくるまって、ディスプレイからあふれる映像に溺れる。明かりの灯る夜景は人の営みだと言うが、こうしてタイムラインを流れる誰かの言葉も十分な営みだ。おれはそこに入れないから、ただ誰かがこぼした光に群がって暖を取ることしかできない。
このままおれの人生は続いていくんだろうか。そんな思考の沼から抜け出せず、最悪な想像だけが頭を駆け巡る。
「うわ、部屋がなんか陰気くせえっ! まだ外明るいんだから、カーテン開けようぜ!」
「……え?」
聞いたことのないにぎやかな声と共に、部屋に光が入ってきて彼を照らす。
窓から差し込む夕日に照らされた姿を見た衝撃を、おれは一生忘れないだろう。
明るく綺麗な黄色の毛皮に程よく暗い茶色の縞模様。それらは肉体の隆起に合わせて茂っており、影の形から彼が屈強なことがわかる。小さな丸い耳は彼に決してかわいいという印象を与えず、太い顎から醸す雄々しさに負けていた。
着ているものはシンプルなハーパンとシャツだけだが、彼の肉体を隠す方が問題だろう。なんて思ってしまうほど、その虎はかっこよかった。
「うし、じゃあついでに換気するか。ひきこもるのはいいが、定期的に窓は開けねえと駄目だぜ」
赤いたてがみを揺らしながら風を浴びる姿は楽しそうで、その溌溂とした姿に見入ってしまう。おれとは全く違うエネルギッシュでたくましい男。まさにおれの理想がそこにいる。
ぼーっと見つめて数秒、ここでようやく、こいつが不法侵入者だということを思いだした。湧き上がった疑問が恐怖心をあおり、思わず椅子から腰がずり落ちる。
なんでここに? どうやって入った? なんのために?
だが悲しいかな、人付き合いなんてほとんどなかったおれにできたのは、精悍な虎を見上げることだけだった。
「あ、わりい。そりゃいきなり出てきたら驚くよな」
虎が頭をかきながら恥ずかしそうに笑う。その仕草もいちいち愛嬌があって、親しみやすさが前面に出てきていかつさを中和する。
よかった、思ったより常識人かも――
「俺はランプト。見ての通り妖精だ」
訂正、全く常識人じゃなかった。
人の部屋に勝手に入ってくる自称妖精が常識人なわけがない。
おれはどうやって警察を呼ぼうかと、現実逃避もかねて考え込んだ。何せこの肉体だ。普通に動いたらまず勝てない。
そんなおれの内心なんてお構いなしに、ランプトと名乗った虎は続ける。
「ここに来たのはお前をパートナーにするためだ。ほら、アニメとかでよくあるだろ、魔法少女についてるマスコットみたいなやつ。それが俺だと思ってくれ」
こんなごついマスコットがいてたまるか。女児も泣くわ。
「……って、その言い草だとおれを魔法少女にしに来たのか……?」
最近よくあるTSもの魔法少女みたいなことを平然と口にされると、ちょっと興味が出る。TSしたらおれみたいなやぼったい熊も、いい感じになるのかもしれない。
「いやお前、妖精は信じないのにTSは信じるのかよ」
「人は都合のいいことを信じる生き物なので……」
「主語をでかくしてごまかすな。大体、俺は男のお前に用があるんで、TSは無理だぞ」
「えぇ……」
「なんでちょっと期待してたんだよ……」
話の流れが予想外だったのか、虎はうなりながらひげをいじっている。こんな陽の者には、自分じゃない自分になりたい願望なんてわからないだろうな。
「まあ、気を取り直してだ。俺がお前に声をかけたのは他でもない、契約しようぜってこと」
「あ、そういうの間に合ってるので……」
「そう結論を焦るなって。まずは簡単に説明させてくれよ。俺はずっとお前みたいなやつを探していたんだ」
「……おれみたいな?」
虎の視線はまっすぐおれを見つめていて、茶化す気配なんてまったくない。
こいつの話が本当なのかなんてわからないが、こんないい男に自分が選ばれたのだという事実が枯れた心に水を与えた。
詐欺の常套句だってのはわかってるんだけど、言われるとやっぱり嬉しいもんだな……。
ま、まあ、少しくらいなら話を聞いてもいいか……我ながらくそちょろいとは思うが……。
「そう、四六時中家にいて、男が好きで、ちんぽがでかいやつを!」
「すでにろくでもない話になる気しかしなくなってきたなあ!」
一瞬ときめいたおれの感情を返してほしい。なんで自称妖精の人を選ぶ基準がこんなに生々しいんだよ。
「俺ら雄妖精は人の願いを食って生きてるんだ。ま、簡単に言っちまえば性欲だな」
「夢とか希望とかの単語の意味を辞書で引いてくれ……なんだ雄妖精って」
「んなこと言われても、そういう生態なんだからしょうがねえだろ。人の願いってのは魂を昂らせるから、体から気とか精液とかになって……ああまあ、そういうのはいいか。まっ、簡単に言えば、ムラムラしたり射精したりするときに出るエネルギーが必要ってこと」
めちゃくちゃざっくばらんに説明してくれた。正直その方が理解しやすくて助かる。理解できるかどうか、というより受け入れられるかどうかは別として。
「んで、俺らは雄妖精界と人間界との接点を使って願いを集めて、それをみんなに分配して効率的に暮らしてるんだ」
「現代化の波ぃ……社会構造が妖精っぽくなさすぎる……。っていうか接点って……?」
「それそれ、お前が今見てるやつ」
なんて言われて指先を追えば、画面にはよくお世話になっているエッチなサイトが映っている。並んだサムネには裸の男たちがくんずほぐれつしていて……。
「ゲイポルノサイトが人間界との接点って嫌すぎないか?!?!」
「んなこと言われても、一番効率がいいんだぞ。みんなちんぽ握りながら見るしな」
「そうだけどっ!」
さっきからずっと、ランプトの説明はおれの理解を超えている。理解したくないという意味で。
「ネットを介して願いを集める技術が発達したことで、俺らは不特定多数に体をさらして効率よく採取することが可能になったんだ。だから俺みたいな優秀な雄妖精が、人の協力者と一緒にサイトを盛り上げてみようって試みが生まれたわけ」
「はあ……それで、おれが協力者にと……」
「そういうこと。お前にはこのサイトの登録者として男優になってもらって、俺と一緒にエッチで人気な動画をたくさん配信してほしいんだ」
「はあ……はあぁ?!?!」
思わず素っ頓狂な声が出た。いや出るだろ。なんで急にエロ動画の配信者にならないといけないんだ。
おれはランプトに比べたらやぼったい熊だし、人に見せられる体をしてるわけでもない。デブというには細く、マッチョというにはゆるいという需要皆無な体だと自覚している。あと顔もいいわけじゃないし……ひきこもってるから最近カットも行ってなくて毛皮もぼさぼさだし……。
「でもちんぽでかいだろ?」
「それで全部流そうとしないで……」
「あと俺らのサイト見てしこってばっかだろ。お前のアカウントからたくさん願いが送られてくるから、性欲も多いのはわかってんだぞ」
「…………」
ぐうの音も出ない。普通メンタルやられたら性欲って減退すると思うのだけど、おれはそんなこと全くなかった。だから病院にも行ってなくて、ただ単に人生に嫌気がさしているだけ。
言葉に詰まったおれを眺めていたランプトは、わざとらしくシャツの裾を上げて硬そうな腹筋をさらす。腰まで下ろしたハーパンからは白い腹の毛と陰毛がのぞき、思わず凝視してしまった。
「お、よかった。ちょっと願いが届いたぞ。お前の検索履歴から俺みたいなやつがタイプだってのはわかってる。だから、たくさん欲情してくれよ♡」
「検索履歴まで握られてるのかよ……」
だとしたら妖精かどうかは別としても、サイト側の人であることは疑いようもない。とはいえ、おれに配信なんてできるのか……。
「大丈夫大丈夫、まずは研修期間があるから」
「妖精の口から聞きたくない単語すぎる……でも、おれみたいな受けの悪い素人じゃなくて、すでに投稿してる人らから選べばいいんじゃないか?」
「んーまあそういう奴らも候補だったんだけど、それだと面白くねえんだよなあ」
「面白くって、なに……」
「いやな、俺ら雄妖精って願いの採取に最適化されてて……簡単に言うと俺みたいな見た目が多いわけ」
力こぶを作って雄らしさを誇示するランプトの言いたいことはわかる。つまり雄妖精とかいう胡乱な存在は、見た目最高ってこと。それを理解したうえで思い返すと、確かにこのサイトにはランプトみたいな雄が多いのもうなずける。
改めて眺めても、筋肉の盛り上がりとか顔の雄臭さとか、まあもてるだろうなって感じ。胸のでかさとか女性と張り合う気かって思うし。
「だから俺らで乳繰り合ったらそりゃ絵面はいいだろうし、実際お前とか結構はまってくれてるじゃん?」
「はい……いつもごちそうさまです……」
「でも、そうなると似たり寄ったりな絵面になっちまうから、せっかく人から協力者を選ぶのにわざわざ俺らに似たやつを選ぶ必要なくねえ、ってなるんだよ」
「それは正論かも……だからおれみたいなパッとしない奴ってことか」
「卑下するなよ。お前は十分かわいいぞ」
「さらっと口説くな」
生まれてこの方、そんなセリフ言われたことねえんだよ。
おれは誰がどう見ても垢抜けない黒熊で、毛皮すらぼさぼさなんだぞ。
こんなやぼったい熊相手にと自暴自棄になっていると、あろうことかランプトはおれの顎を指で持ち上げて、間近で目線を合わせてきやがった。
うお、顔がいい。ネコ科の頂点みたいな顔にがん見されても、思わずきょどる。綺麗というか、整っている。きりりとした眉や少し太い顎もあって、雄としての魅力が強い。好みかどうかで言うと、完全にタイプ。
「んー磨けば光りそうなんだけどな。そもそも俺らってたいてい見栄えいいから、お前みたいなやつの方が目立つし、俺としてもそっちの方が好きだぜ」
「なんだそのご都合主義的な世界……」
美醜逆転系ってこうやって生まれるんだ、とかどうでもいい感慨を抱いた。周りがランプトみたいなやつばかりだったら、見飽きるとかあるのかもしれない。贅沢すぎる悩みだ。
「だから磨いてもいいんだけど……どうせならそのままで行きたいんだよな。せっかくそんな……素材そのままだし」
ものすごく言葉を選んでくれている。案外気を使える奴なんだな。
「一応設定も考えてあるんだぜ。やっぱ配信はキャラ付けが大事だからな」
「知りたくない裏側すぎる」
「というわけで、俺とお前は今から恋人な」
「……は?」
理解できない単語が爆速で脳内を素通りしていった。誰が、誰と、なんて?
「俺とお前でカップル垢。俺はちょっとMっ気のあるバリネコで、お前は俺を躾けつつたまに他の雄に貸し出ししたものを動画にする彼氏な」
「おれ最低じゃん?! お前みたいな恋人がいたら大事にするに決まってるんだが!」
「んへへ、嬉しいこと言ってくれるけど、これ設定だからな? やっぱコラボの可能性は残しておかねえと駄目だし、普通の彼氏なら配信しねえからこれで勘弁してくれよ」
「か、顔出しは……?」
「俺はする。人間界に知り合いいねえし。お前はマスクしてくれりゃいいぞ」
「それなら、いい……いいのか……?」
なんかもう怒涛の展開すぎて感覚がマヒしている気しかしない。そもそもエロ動画のカップル垢ってなんだよ。
「別に吹聴するわけじゃなくって、あくまでそんなテイストでってことな。んで、今までの話で問題ないなら、契約してくれよ」
ランプトが指を振ると、古めかしい羊皮紙と羽ペンが出てきた。今日日現代社会でついぞ見かけることのない一式は、妖精という存在に信ぴょう性を持たせてしまう。
「うわ、なんだこれ……急に現れたぞ……」
「ふふん、これが妖精の魔法だ。んで、これが契約書な。もちろん月の給料はサイトの運営費から出るし、動画が人気だったらインセンティブもあるぞ」
「すんげえ普通……!」
ちゃんと月給制なことに驚く。雄妖精が思ったより現代になじんでいる、っていうかなじみすぎだろ。さすがに興味をそそられたので、ちょっと読んでみてもいいかな……。
なになに……本契約書(以下「本契約」という)は、契約妖精(以下「甲」という)および契約者(以下「乙」という)との間で締結されるものであり、以下の条項に基づき、両当事者は相互に合意する……。
「中身があまりにも現代すぎる……」
「そりゃ現代社会で使うんだから当然だろ。いきなり妖精王が注ぐ誓いの盃に宣誓しろって言われても、お前らにゃなんのことだかさっぱりわかんねえだろ」
「どっちかというと、そっちのほうが見たいけど……本当にあるのなら」
「うーん、持ってきてもいいんだが、破った場合罰金じゃなくて命とか呪いになるから、俺としちゃあんまりお勧めしねえぞ。何か問題があったとしても、できるだけ平和に済ませたいんだよな」
「やっぱいいです……」
ファンタジーはファンタジーでも、ガチの西洋ファンタジーかよ。もっとゆるいなろうチックな奴にしてほしい。
一応社会人やってたから契約書は読んだことあるけど、さすがに内容はよくわかんないな……。少なくとも変なことは書いてなさそう……というか、あまりにフォーマットが現代社会すぎる、確かに読みやすいけどさ……。
なんだか変なことに巻き込まれた気もするが、こんないい男とやれて就職できるとなれば心の天秤が傾くのは必然だ。
おれの日常に飛び込んできたまたとない機会。詐欺かもしれないという一抹の不安はぬぐい切れないが、ここを逃したら駄目だという焦燥がある。
こいつが帰った後、またひとり暗い部屋に戻るのはもう嫌だ。
だからおれの手は逃げるように名前を書いていた。
「あ、それからこれも書いてくれ。提出しねえとだから」
……住所とか振込口座の情報とかもいるのかよ。完全に就職じゃん。
全部書き終えてから渡すと、虎が喜色満面で尻尾を躍らせた。
「よっしゃ! ありがとうな! これで契約成立……穴蔵 熊笠(あなくら くまがさ)っていうのか。でもまあ、アカウント名のアナグマで呼ばせてもらうぞ。うっかり本名ばれはお前も嫌だろ」
「それはそう……ってか、やっぱアカウント名もばれてるんだ……」
「そりゃお前は願いをたくさんくれるお得意様だからな。俺のことは普通にランプトでいいぞ。どうせこの世界で俺のことなんて誰も知らねえんだ」
これで大体説明は終わったと言わんばかりだが、不安が消えるわけもない。本当にこれでおれはこの自称妖精と契約してしまった。今はせめていい方向に転がるよう祈るしかできない。
顔出し名前出しを受け入れるエロの権化は、なぜかおれをひょいっと抱き上げてベッドへと運んだ。
成人男性を易々と運ぶ剛腕にうっかりときめきかけるが、のしかかった虎が鼻面を首筋に押しつけてくると、そんな情緒なんて一気に吹き飛んだ。
「んじゃ♡これからちゃんとセックスしようぜ♡お近づきのしるしに、体の相性は見とかねえとだろ♡」
「そんな急に……! おれまだ風呂も入ってないんだけど……!」
「さいっこうじゃねえか♡俺、雄臭いのだーい好き♡欲望の匂いって感じでぶちあがるだろ♡」
おれのパジャマをたくし上げて腹を撫でながら、うっとりと笑う虎。男らしくてかっこいい相貌でそんなことされたら、股間が元気になるのは必然だった。
「淫乱妖精すぎる! とにかく、そろそろ親父も帰ってくるし、こんなところで盛るのはまずいって!」
「勃起しといてなに焦ってんだよ♡俺のことが好みなら、とっとと抱けばいいだろ♡これからたくさんエッチする仲になるんだからよ♡アナグマ♡」
「いや、だから……!」
「往生際が悪いぜ♡童貞ってわけでもねえだろうに……」
そこまで言って何か思い当たることでもあったのか、ランプトは少し考えてから恐る恐る口火を切った。
「え、まさか、まじで?」
「…………悪いかよ」
「いや、まあ、人によっちゃそういうのもいるだろうし……うん、そこは個人の主義主張だな」
「気を使ってくれて嬉しいけど、いいって。お察しの通りおれは童貞だよ」
「宗教上の理由とか……?」
「ただ単に相手がいなかっただけだが?」
「あ、うん、なんかごめんな」
おれはお前と違ってモテねえの。なんで脱童貞してる前提なんだよ。
しゅんとひげをしおれさせた虎は体を倒しておれを抱きしめる。筋肉の重さがのしかかるけど、ぎゅっとされる安心感で帳消しだ。ランプトは反省の意味を込めているのか、頭を撫でながら考え込んでいた。
「うーん、じゃあ設定変えた方がいいか? どM淫乱バリネコ虎野郎がでかちんぽ童貞彼氏を捕まえて、自分好みにしていくとか……」
「それはまあそれで……色々教えてほしいのは事実だし」
「こっちだったらお前も素で行けそうだしな。だったら脱童貞は大事なイベントだし、撮影しねえと……」
筋肉で覆われた巨漢の虎の腕の中は、想像以上にいい。自分に甘えてくれるのだと思うと嬉しくなる。本当は撫で返したいのだけど、体重で抑えつけられているので身動きできないのが難点か。
「となると、いくつか練ってきた動画案も改訂がいるか。最初はいくつか撮り溜めたいから、研修って意味でも脱童貞セックスをして……」
なんだかものすごく考え込んでいる。どうやら企画運営もランプトがやるらしい。妖精も人手不足なんだろうか。
虎が悩んでいる間も、おれはずっと撫でられ続けていて。たまに鼻面にキスもされてる。
昨日までのおれがこれを見たら、絶対夢だと思うだろうな。動画でしか見ないような極上の雄が、おれに甘えてくるんだから。
「んーちんぽ硬くなっちまったな♡やっぱ俺のこと好きなんだろ♡あーあ、童貞じゃなかったらここで食っちまってたのに♡」
「ずっと股間とか胸とか押し当ててくるからじゃん……」
「アナグマって抱き心地いいからつい、な。そういうところも好きだぜ」
「平均よりちょっとぽっちゃりしてる程度だと思うんだけど……」
「ほら、俺の周りって筋肉ばかりのごつごつした奴か、ガチムチかデブみたいな極端な奴、それとほっそい美少年かすらっとしたイケメンか、って感じだからこういう……緩い感じ? なかなかいねえんだよなあ」
話を聞いてる分には容姿の平均が馬鹿みたいに高そう。要は雄妖精の見た目はホモ受けするか、女性受けするかの二極化していて、おれみたいなだらしない体はいないから珍しいってことね。まじで美醜逆転系か?
「だから、ぬいぐるみ抱いてるみたいで結構気に入ってるぞ♡とっとと欲も金も稼いで、いいベッド買おうな♡」
なんて言いながら頬ずりされると、現実かどうか疑わしくなってしまう。普通ならモテの最前線にいるような雄々しい虎が、おれなんかを素敵だと言ってすり寄ってくるんだ。誰かおれの頬をつねってくれないかと、頼みたい気分になった。
「でっけえちんぽがぐいぐい当たってるぞ♡はあ、たまんねえ♡今からこれを俺好みにできるのかよ♡♡もうぜってえ俺以外で勃起させねえ♡このデカマラは俺が独占な♡」
「う、おぉ……」
つねってほしいとは思っていたが、ランプトがしたことはごつい両手で包むことだった。うっとりとした雌顔でささやかれると、ちんぽは完全に萎えることを忘れてしまう。
「あーキスしてえ♡でもこの調子だとキスもまだだろ?♡♡動画的に絶対初体験は記録しねえとだし……♡でもしてえ♡♡いーっぱいキスしながら一日中すごしてぇ♡」
「ランプトって、キス、好きなのか……?」
「だーい好き♡雄妖精の中にはケツマンで欲望を食うのが好きな奴も多いけど、俺は断然口派なんだよ♡アクメ決めながら欲望流し込まれるのも嫌いじゃねえが、キスしてると幸せな気分になるんだよなあ♡♡」
「ひょっとして、恋人設定もおまえの趣味……?」
「そういうこと♡慣れてきたらキス耐久動画とかもやってみような♡」
真正面から恍惚を叩きつけられて、おれは興奮していた。願わくば、このままキスしたとすら思っている。
こんないい雄とできるなんて、今後おれの人生であるわけないんだ。ひきこもった暗い世界で、こいつはまさに光明だった。
この先どんなスケベなことをするんだろうかと、思わず胸が高鳴る。虎の肢体はでかくたくましく、鼻孔をくすぐる匂いもおれをひきつけてやまない。シャツの下にある肉体を想像しただけで、涎が出そうだ。
だがそんなおれの興奮に冷や水を浴びせたのは、聞きなれた怒声だった。
「なにをしているっ!」
ドアを開けたまま固まり、憤慨をあらわにする熊。おれを一回り老けさせた顔は毛皮よりも濃く黒いラウンドひげが目立っていて、怒りの表情がよく映える。マズル周辺の毛は体よりも明るいせいで、ひげの黒さがよく際立っていた。
会社帰りのスーツに包まれた体は太く、運動を欠かさない筋肉があるとおれは知っている。加齢によって膨らんではいるが、十分立派なガチムチ。そういう趣味の人からすれば、うちの親父は垂涎ものだろう。
ランプトはおれと見比べてすぐ血筋に気付いたらしく、にこっと明るい笑みを浮かべた。さっきの恍惚からの切り替えを考えると、外面もいいらしい。
「あ、お邪魔してます。俺は熊笠の恋人で……」
「うちでそんな汚らわしい行為をするな! とっとと出ていけ!」
聞く耳持たずに親父は叫ぶ。こいつはいつもそう。人の話なんて全く聞いてくれない。
っていうか、ランプトは今しれっと恋人とか言ったな。まあベッドに押し倒されているから、明らか友人の距離感ではないんだけどさ。
「おっと、もしかして、俺はお父さんに認められてねえ感じ?」
「いや、単純にホモ嫌い。見ての通り。時代遅れの石頭だから」
「それは困ったな……ここを撮影現場にしたいんだけど……防音くらいなら何とでもなるが、許可が得られないのは痛いな」
親父のことだから、ゲイ動画配信で稼ぐとか聞いたら烈火のごとく怒り狂うだろう。
今だっておれを見る目には嫌悪と憤怒が色濃い。何度見ても息が詰まる視線をもらって、おれの体がこわばった。
「熊笠、お前は仕事も見つけずこんな男を家に上げて……いい加減にしろ」
「それは悪かったと思うよ。けど、さすがにプライベートな空間に踏み込まないでくれ」
「私はお前を心配しているんだ! いつまでだらけているつもりだ!」
「生活費は入れてるだろ。それに、家事だってしてるし……」
「男のくせに働かないなんて駄目に決まってるだろうが! 早く嫁を連れてこいと何度言ったらわかる!」
「……そんなんだから母さんに逃げられるんだよ」
確かに会社の重役で稼ぎはいいけど、性格が終わっている。
いい学校、いい就職先、四角四面な言葉ばかりで家族の事なんて蔑ろ。こいつは自分が働いてさえいればいいと思っているんだ。
おれが仕事を辞めた時もさんざんなじってきたしな。就職して家を出ていた間に母さんは嫌気がさして離婚してる。この人と二人っきりになんてするんじゃなかったなと後悔してるくらいだ。
昔はこんなんじゃなかったんだけどな……。
「こりゃ予想以上に古いな。妖精でもわかるぞ」
ベッドから立ち上がった虎が感心しながら親父を眺めてつぶやいた。
「俺らは特に流行に敏感だから、価値観を合わせるのも大事なんだよ。でも、こういうのも需要あるんだよなあ」
「……なんて?」
今すごいこと言わなかったかこいつ?
「見た目はすげえいい。しかもダディ。これはいけるよな……」
「待て、待てランプト。言いたいことはわかるが、こいつは無理だ……」
「アナグマとの親子丼とか、絶対受ける。俺ら妖精に血筋はないから、これは新ジャンルの開拓なのでは……よし!」
絶対よしじゃない。こいつろくでもないことを考えてるぞ!
だけどおれが止める間もなく、ランプトは満面の笑みで憤怒の熊相手に向かっていく。どちらも背丈が高く分厚いため、はたから見ると圧がすごいが、虎は全く気負っていない。
「実は今、熊笠とお金稼ぎについての相談をしてて、お父さんにも手伝ってほしいんだ」
「人の話を聞いてなかったのか。私は出てけと言ったはずだ」
「そのことでちょーっとばかし話を聞いてくれねえかな♡お父さんにとっても悪いことじゃねえぜ♡」
「お父さんと呼ぶな!」
「まあまあ、話は向こうでな♡アナグマも怖がってるだろ♡それに子どもいるってことは非童貞だし……いいよな♡俺もむらむらしてるし♡んふふ♡♡♡」
「あ、おい! 押すな! なんだその力は……!」
巌のような親父がランプトに押され、慌てた声を出す。確かに虎は剛腕を持っていそうな見た目だが、加えて魔法もあるからな。ただの人に太刀打ちできるはずもない。
虎の尻尾がうねうねと機嫌よく動いていることから、完全にやるつもりなんだろう。まあ、おれもあの親父は一回痛い目を見た方がいいとは思っていたし、止めはしない。
性癖がばれてからというもの、気の迷いとかずっと言われるのは辟易しているんだ。
「アナグマも見学するか?♡」
「絶対断る。誰が親父のなんて見るか」
「いつか見ると思うけど……まあいいぜ♡じゃ、お父さん♡あっちで話し合おうな♡」
「待て! なんのつもりだ! ここは私の家だぞ! 熊笠、警察を呼べ! こんなやつの好き勝手にさせるわけには……!」
残念だけど、この家にあんたの味方はいない。今まで嫌悪してた行為、自分で味わってみるといいさ。一発やっただけで何が変わるかは知らないが、人生経験って意味ではいいだろ。
「ところで寝室ってどこだ? 風呂場でもいいけど」
「ここから出て、突き当たって左。風呂場は一階の奥な」
「お、ありがとな♡」
わめき続ける親父を押してランプトは部屋を出ていく。おれはその背を見送ってから、ベッドを抜ける。
じゃ、そろそろ晩御飯の準備でもするか。買い物は昨日行ったからいいけど、ランプトも食うのかな……まあ一応作っておくか。親父は生活能力皆無のくせに、態度だけはいつもでかいんだよなあ。
なんてため息をつきながら、漏れ出る嬌声が大きくなる前にキッチンへと避難することにした。
****
「というわけで、同棲の許可がもらえましたー! いえい!」
リビングでご飯を食べながら、嬉しそうな虎の報告をもらう。おれはよくやったの意味も込めて、お椀にお替りをよそってやった。雄妖精は欲望が主食だが、普通のご飯も食べるようだ。
どんな話し合いをしたのかは察するが、親父が折れた結果、ランプトの居候と動画配信事業が認められた。これでまずは第一段階突破だ。
「んで、その親父は? 降りてきてないけど」
「あー……やりすぎちまってさ、寝落ちかましてる」
「どんだけ盛ったんだよ」
「かなり? 動画を気にしなくていいから好き勝手やっちまった♡あ、部屋はちゃんと片付けてきたからな」
ニコニコ顔でご飯を食べるランプトのおかげか、リビングがかなり明るい。親父は食事を家族で食べるものだと思っているせいで毎日の食事が苦痛だったけど、今日は溜飲も下がっているし飯がうまい。作ったのはおれだが。
「んで、寝るとこはアナグマの部屋にするつもりなんで、今日は来客用の布団借りるな」
「わかった。ならランプトがシャワー行ってる間に出しとくよ」
「ありがとな。お前って気が利くし優しいし、いい男だよな。ちんぽのでかさで選んだけど、こりゃ大当たりだ」
「別に普通だって。あの親父に一泡吹かせてくれたんだ、感謝の気持ちだよ」
「噴いたのは潮だけどな♡」
噴いたんだ親父。もう絶対ノンケに戻れないだろうな。
「あ、アナグマって食事時にこんな話題嫌なタイプか?」
「別に。仕事決めろって詰められるよりずっと楽しいから平気」
「了解。でももう仕事も決まったし、お父さんも認めてくれたし、大手を振ってセックスできるな♡♡」
「ああ、どM彼氏による調教だっけ。お手柔らかにな」
「そのことなんだが……」
二杯目のお椀を空にしながら、虎は楽しそうに言った。
「やっぱ当初の予定通り、お前には最初からちょっとSっ気ある彼氏になってもらうことにしたわ♡」
「なんでだ?!」
「いやーさっきはお前の童貞を活かそうと思ったけど、お父さんが来たならそっちのほうがいいかなって。お前にはお父さんを食ってもらわねえとな♡」
「絶対無理だろ……あの親父相手に立つ気がしねえ……」
「んへへ♡大丈夫だって、俺がしっかりプロデュースして、どんなホモだろうと誘惑できるようにしてやるからさ♡」
「それはもうプロデュースというよりかは調教な気がするなあ」
ランプトの頭の中にはこれからのプランがちゃんと決まっているんだろう。それがどう転ぶかわからないが、おれはワクワクしている。自分が何かに打ち込んでいるって感覚は久しぶりだからな。
結局台所を片付け終わっても親父は降りてこなかった。食事の用意はしとくので、起きたら勝手に食べるだろう。親父はおれの倍以上食べるので、ちゃんと準備しとかないと冷蔵庫が空になるんだ。
後はランプトのために布団出して……とか考えていたら、食事後にリビングを出ていた虎が戻ってきた。
「お疲れー洗ってくれてありがとうな」
「まあいつもやってることだし、それに食洗器に突っ込むだけだから」
「でもめんどいことに変わりはねえだろ、次は俺が洗うから使い方教えてくれよ」
なんてにこやかで気が利く好青年。さっきも作ってくれたから自分が洗うとか言ってくれたのに、おれがとっさに遠慮してしまったんだ。
少し話したくらいだけど、スケベってことに目をつぶれば好青年すぎるな。妖精ってみんなこうなのか。
「まさか、人と一緒で十人十色だよ。雄妖精が人をパートナーにするのは珍しいんだぞ。やっぱ存在が漏れるかもしれねえし慎重なんだ。俺は性格も加味して認められてるってわけ。自分で言うのもなんだけどな」
「本当に自分で言うことじゃないけど……ランプトなら納得だよ」
「お、好感触。俺もアナグマのこと好きだし、なら両思いだな!」
「彼氏っぽくなってきたじゃん」
「あはは、だなあ」
ランプトのおかげでリビングが明るい。なんか、この家にいて久しぶりに呼吸ができてる感じがする。明るい黄色の毛皮が温度を上げてくれている気さえしていた。
そんな虎は手に持ったスマホをいじりながらソファに座り、おれを呼ぶ。隣に座ると肩同士、もといおれの肩とランプトの腕がくっついて密着して、本物の恋人みたいになった。
「妖精ってスマホ持つんだな」
「そりゃサイト運営してるくらいだぜ。俺みたいなやつにはちゃんと支給されるんだよ」
「雄妖精界ってどんなところなのかまじで気になってきたな……」
「いつか行く機会があったら案内したいけど……あんまりお勧めはしねえな。妖精って気まぐれだし、捕まって肉ディルドにされたら困る」
「でもそっちの方が妖精らしい気もするなあ……」
「あはは、そうかも。俺らも昔は人をさらって欲望を絞ってたんだけど、今はいろいろ変わったからさ。文明開化ってこと。まっ、俺みたいな人間界に詳しいやつばかりじゃねえし、昔ながらの妖精はいまだに人を惑わして楽しんではいるんだけどな」
やっぱり十人十色か。確かにそれならランプトが認められるのもわかるな。
「あ、でも雄妖精人間界支部なら案内できるぞ。撮影スタジオとかあるし、シチュを変えたいときは使うだろうしな」
「夢も希望もない!」
今日だけで妖精という単語の持つ意味がかなり雄臭くなってしまった。妖精ってこんなに現代的なんだ……。
いやこれは逆に夢と希望が詰まりまくっているのかもしれない……童貞卒業できるし……。
なんてたわいもない話をしているが本題は別にあるようで、虎は持っていたスマホの画面をおれに向けてきた。
「これ、俺のSNSのアカウントな。お前もリアルのあるならフォローさせてくれよ」
「アカウントもあるんだ……おれはリアルのはないなあ。体さらしたこともないし……」
「んじゃあパスワード教えるから俺のアカウントを共有にしようぜ」
「え、いいのか……?」
「そりゃこれから俺のハメ撮りとかたくさん乗せるんだし、そっちの方が楽だろ」
まあランプトからすれば企業垢みたいなものだろうし、いいのか。
さっそくのぞいてみると、ランプトのアカウントにはぎりぎり性器が見えない程度の写真が並んでいた。顔は隠れているが、体だけでも最高峰だ。筋肉の盛り上がりが冗談みたいに大きく、凹凸の幅がでかい。隣に本物がいるというのに、思わず見入ってしまった。
「さすがに最初からエロ乗せると動画出した時のインパクト減るし、小出しにしてる。これでもリアルのお誘い、結構もらってるんだぜ♡」
「まあそりゃそうでしょ。こんなの見たら誰だって好きになる」
「でーも、今はお前の恋人だぜ♡」
おれの純情をくすぐって、ランプトはぐっと肩を抱き寄せる。そのままスマホで自撮りすれば、やぼったい熊と凛々しい虎の仲睦まじい写真の完成だ。
「お、いい感じ♡あとはお前の顔が映らないように切り取って、プロフに使えば彼氏持ちってわかるだろ♡顔出しにはちょうどいいな♡」
「とか言いながらしれっと待ち受けにするなよ……毛並み整えてないんだからさあ」
「んへへ♡恋人っぽいじゃん♡」
にへらと笑いながら虎は嬉しそうだ。仕事に一生懸命というよりかは、この関係性を愉しんでいるみたい。写真の中の虎も心底幸せですって感じのオーラを出してるし、なんかこっちまで嬉しくなる。
でも妖精だからなのか、ランプトの性格だからなのか知らないが、この無防備さで近づかれたらうっかり好きになっちゃうだろ!
さっきのキスしたがってた顔を思い出すと、胸がドキドキする。あんな顔で詰められて拒めるわけねえ。
おれが頭を振って都合のいい妄想を押し出している間に、ランプトは作業を終えたようだった。
「そんで投稿しとこ、彼氏できたけど……ハメ撮りしたいって。ネットに乗せたいとか言われても……顔文字入れてっと。よし、とりあえずこれで釣っとくか。まずは短い動画を上げて反応見ようぜ」
「うわ……緊張してきた。おれにできるかな……」
「できるって、俺と一緒に住むんだぜ。童貞時代なんて思い出せないくらい、たくさんエッチしような♡」
半立ちの股間を撫でながらささやかれると、嫌でも引き込まれてしまう。今からおれはこの虎の恋人で、エロ動画で稼ぐんだ。昨日までは考えもしなかった道に、ランプトはおれの手を取ってぐいぐいと引っ張っていく。
「すっげえ人気になって、同胞に願いを供給しながらお金も稼ぐ! その頃には、俺らも本物の恋人同士になってるかもな♡」
「コラボはするくせに……」
「あはは♡まあそれはご愛敬ってことで♡こうして人相手に事情を明かして協力を要請するなんて滅多にねえんだ、末永く付き合ってくれると助かるんだよ♡」
「新しい試みだっけ。うまくいくといいけど……」
「いく。俺とアナグマなら絶対大丈夫だ。なんたって俺の選んだ男だぞ」
「ちんぽの大きさじゃねえか!」
「まあそう言うなって♡」
ご機嫌取りなのか、ランプトはおれを抱きしめ深い谷間にうずめてくる。セックスしてきたはずの胸からは、清潔な雄の匂いしかしない。シャワーを浴びた形跡もないが、魔法で何とかしたのかも。
……なんてことを考えないといけないくらい、おれは思考をそらすのに必死だった。
薄手のシャツから感じる肉厚さ加減が本当にやばい。え、これ、本当の雄の胸なのかと疑うレベル。親父もまあでかいほうではあったけど触ったことはないし、ましてや押し当てられるとか……。
「お、固まっちまったな♡これから好き放題するS彼氏になってもらうんだから、早く慣れてくれよー?♡」
「おれも早く慣れたいよ……毎回こんな緊張するの恥ずかしいし……」
「んへへ♡欲望漏れてるぜぇ♡かーわい♡アナグマのかわいいところは俺が独り占めな♡みんなの前ではSっぽく頼むぜ♡」
喉をごろごろ鳴らして、ランプトはおれの頭に顎を置いて笑った声を出す。人懐っこすぎる……虎のくせに大型犬みたいだ……。
できる気がしないけど、そんなこと言おうものなら契約を打ち切られるかもしれない。正直こんな幸運、今後二度とないんだ。やれるだけ頑張らないと。
心の中で気合を入れなおすと、それを読んでいたかのように虎がおれをおっぱいから解放した。そしてスマホを差し出す顔は満面の笑みだ。
「んじゃ、まずは短いの一本、撮ってみようぜ♡」
「え、今から……?」
「おう♡アナグマ抱いてたら我慢できなくなっちまった♡」
確かに虎は火照った顔をしていて、ハーパンの股間には蛇のような形がくっきりと浮かび上がっていた。人の事でかいとか言った割には、こいつもなかなかのものを持っている。
おれの緊張を見抜いたのか、虎は緩い笑みで背中を叩いてくれた。
「どうせやり直しが効くし、編集もするんだ♡好きなように撮ってくれよ、アナグマ♡」
とは言うけれど、どうしたら……。
えっと、こいつはプロフで顔を出したのが初めてで、性器はまだ見せてない。だから急に全部見せるのはこいつとしてもよくないだろうし……。
だったら……おれは録画ボタンを押して、ランプトのハーパンに手を入れた。
「んあ♡ちょ……急にやめろよ♡しかも撮ってるじゃん♡俺、恥ずかしいから嫌だって言ってんのに……♡」
さすが慣れているのか、変わり身の早さがすごい。一瞬にして彼氏にハメ撮りを強要されるけどちょっとまんざらでもない感出してきた。顔は映してないとはいえ、見た人は声だけでわかるだろう。
その証拠に股を閉じる気配もなく、おれの好きにさせてくれている。ぶっといちんぽを握れば、甘くとろけた声が嬉しそうに弾むのがばっちり収録された。
「おんっ♡まじで撮るのかよぉ♡まあいいけど、ネットに上げるのはなしだからな♡っていうか、言ってくれれば自撮りくらい送ってやるのに♡」
すご、声だけでおれの事大好きなのが伝わってくる。あくまで男らしいしゃべり方なのに、エロいというか……あ、こいつウケなんだなってわかる。
握ったちんぽがどれだけ太くて硬くとも、小刻みに動く腰の艶やかさが印象の上書を許さない。ランプトは男らしさの中に被食者としてのエロスをにじませていた。
しかも駄目押しとして、どこから取り出したのかわからないチューハイの缶をテーブルに置いて、酔っぱらって大胆になってますよとアピールし始めた。
出したところは何も見てなかったし、おれはあんなの買ってない。だから多分魔法だろう。羽ペンならよかったけどチューハイ缶だと一気に俗っぽくなるな。
「……ん、なあ♡人のちんぽ握っといてなにもしねえの、おねだり待ちか?♡撮影されてるからあんまりしゃべりたくねえのに♡ひどい奴ー♡」
絶対そんなこと思ってない甘えた声が、おれの心臓に突き刺さった。よくかわいい声を鈴の転がるようなと表現することはあるけれど、こいつの声は低いくせにそう言いたくなる魅力がある。
おれは演出だと知ってるからまだ耐えられるけど、そうじゃないこの動画を始めて見る人は、ランプトのことを押せばやれそうって思うんだろうな。実際は完全な捕食者なのに。
「ほら、俺のちんぽ、しこってくれよ♡いつもみたいにさ♡いいだろー♡でも言っとくけど、撮影中は絶対生ハメ禁止だからな♡恥ずかしいだろ♡」
動画の外では生でやってますよと匂わせながら、尻尾でおれの手を撫でてきた。その仕草があまりにエロすぎて、おれの脳が茹る。童貞には刺激が強すぎるってこれ。
覚悟を決めて、おれはスマホを操作してランプトの股間にフォーカスを当ててから、もう一方の手を動かしていく。
巨根の虎ちんぽはハーパンに先端を浮かばせており、亀頭の大きさが視聴者の想像力を刺激する。まずはゆっくりしこってやると、虎がにんまりと嬉しそうに鳴いた。
「おおぉん♡あーすっげ♡手コキ気持ちいぃ♡なあなあもっとくれよ♡撮影とかいいからさ、セックスしようぜ♡俺今すっげえエッチしてえかも♡」
わざとらしく腰をかくつかせながら蕩けたことを耳元で囁かれると、おれの理性がもたない!
きょどるおれに優しくもエッチな顔を向ける虎は、そっとおれからスマホを取り上げるとレンズの面を下にしてテーブルに置いた。
「こうして俺におねだりさせる気なんだろ♡変態♡いいぜ、そっちがその気なら♡たーっぷり甘えてやる♡んへへ、愛してるぞ♡ちゅっ♡」
おれの鼻面で響かせるわざとらしいリップ音が、動画終了の合図になった。
ランプトはスマホを見て録画を確認してから、ハグ付きでおれに向き直る。
動画で見せたエッチな雰囲気ではなく、気のいいお兄さんみたいな顔で。
「おし、いい感じだぞ! なんだよ、ちゃんとできるじゃねえか」
「しゃべってないしな。口を開くとすぐぼろが出そうだったから……」
「ま、最初はそれでもいいさ。匂わせの塩梅もちょうどいいし、これなら興味は引けるよな♡」
「だといいんだけど……」
「心配するなって。例えこれが駄目でも、続けていけば蓄積はあるからさ。こういうのってどれだけ継続できるかって側面もあるんだ」
「正論だな。お前もここに住むんだし、機会はいくらでもある。地道にやっていこうか」
「その意気その意気、そんで俺らには最終兵器のお父さんがいるからな、これは跳ねるぜー」
「ええ……まじで親父呼ぶのかよ……」
「いいじゃねえか。お父さんにも認めてもらいたいんだろ? それに、俺ら妖精にはない血筋ってのはこのサイトじゃかなり目立つんだ。んへへ、楽しみだな」
ランプトは本当に楽しそうで、おれに抱き着きながら未来に希望を持っている。まあそりゃ一族の代表に選ばれるくらいだ、優秀だろうし期待されてるんだろうな。おれと違って。
誰の目から見ても雄々しくかっこいい虎の相貌に、彫刻さながらの肉体美を持つランプトだ。ちょっとスキンシップ過多なところはあるが、十分いい男と言っていいだろう。
「じゃあ、本番しようぜ♡」
そんな虎がにへらと笑みの質を変え、おれのちんぽをズボン越しに撫でる。
とっさのことで固まったおれに、甘い声が吹きかかる。
「あんなことしてたら興奮しちまった♡お前の童貞喪失記念は動画にしなくていいし、練習だと思って俺とセックスしようぜ♡」
「うお……♡でもお前、さっき親父とやってただろ……」
「ん、でも、アナグマは別だからさ♡俺がもともと選んだのはお前だ♡ちんぽがでかくて、性欲旺盛で、願いもザーメンもたっぷりため込んだいい男♡お前は気付いちゃいねえけど、雄妖精からしちゃ、お前ってかなりモテるんだぜ♡」
評価点が普通の人と違うっていうのはさておいても、本当かどうか疑わしい。どう見てもランプトの方がモテるだろ。
「んへへ♡信じてねえな♡じゃあ今夜はたっぷり教えてやる♡俺がおまえの事、だーい好きだってな♡♡」
言うが早いか、ランプトはおれの股間の前でしゃがみ込み、ズボンを遠慮なく下ろした。
「んおっ♡♡でっけえぇ♡♡」
さっきから興奮が煮詰まっていたおれの強直は解放されたとたん、弾むように飛び出した。
緩やかな弧を描く肉槍の先端はぷっくりと膨らんでいて、赤子の拳よりも大きい。根元から先まで寸胴のように太い形をしていて、圧がすごいと我ながら思っている。
きちんと剥けた巨根、童貞のくせにオナニーばかりして色が沈着したそれは、見た目だけなら確かに好まれるかもしれない。
実際虎は鼻を何度も動かして、口から舌先がまろび出ている。五感のすべてで味わいたいと訴えるその姿勢に、おれは安堵した。実際見せてがっかりされたら嫌だなと思っていたが、杞憂で何よりだ。
「んっ♡雄臭え♡お父さんと似てるのはやっぱ親子だけど、こっちの方がいいちんぽだよなあ♡」
おれより先の親父のちんぽを食った妖精から嬉しい評価が下される。ランプトはズボンを脱がせる手つきも慌ただしく、このちんぽを堪能したいと目を潤ませていた。
「今日が童貞卒業記念日だ♡どこでしたい?♡ベッドか?♡それともここか?♡」
「……どこでも。ランプトとならどこでだって良い思いできるだろうし……♡」
「んへへー♡信頼してくれてありがとな♡だったらここでやっちまおうか♡俺のおマンコもさっき使ったばかりでトロトロだから、気持ちいい思いさせてやるよ♡」
とはいうものの、ランプトは根本や幹をちゅっちゅっとついばむだけ。もちろんそれだけでも十分気持ちいいし、俯瞰する虎の顔がものすごくよくて興奮するんだけど。
「はぁでっけえ♡最高♡俺の恋人のちんぽでかすぎ♡んっ♡でもせっかく最初なんだし、ちゃんとしたいよな♡恋人になった記念の初夜♡二人でたくさん思い出作ろうな♡」
屈強な虎は立ち上がって、シャツをたくし上げる。間近で行われるストリップにおれは言葉を無くして、凹凸の激しい肢体から芬々と放たれるフェロモンで呼吸困難になっていた。
でかい胸の上にシャツを乗せて、次はハーパンを根本が見えるまで下ろす。中途半端な格好だが、それが余計におれの意識を吸い付ける。
「いい欲望が来るなあ♡もしかして、自分で脱がせたかったか?♡♡だったらやり直してもいいぜ♡」
にんまりとした顔でシャツを戻し、虎はおれの膝の上に乗る。ずっしりと重い筋肉の感触は現実という証で。精悍な虎の匂いを嗅ぎながら、恐る恐る手が動く。
対面座位の体勢になると、筋肉が作る壁の圧に興奮する。分厚い肉体は熱く、裾を握った時に少し触っただけでこいつも興奮しているのがわかった。
「緊張しなくていいからさ♡俺、お前のしたいようにされるのが嬉しいんだ♡実はどMなの、本当なんだぜ♡」
「そ、そうなんだ……」
「だからリードするよりされたいタイプなんだ♡お前の設定って俺の好みでもあるんだよ♡俺、求められるのに超弱いの♡だからお前から来る欲望が濃くなるほど、すっげえ嬉しい♡」
「私欲入りすぎだろ……!」
「んへへー♡そっちのほうが上がるし許してくれよ♡あ、でも、今みたいなうぶでかわいいアナグマも大好きだぞ♡これからお前の欲望は♡ぜーんぶ俺で発散しような♡♡」
人の額にキスを落としながら、心底幸せそうに虎は顔を緩ませている。昨日までのさみしさを思えば、今目が覚めても驚かない。あまりに都合がよすぎるから。
だけど、おれはこの先を望んでいる。欲望に逸った手が、ゆっくりとシャツをたくし上げていく。
毛皮越しでもわかる硬そうな腹筋が露わになると、次は鍛えて膨らんでいるのにエロさを醸す胸筋が顔を出す。左右で下向きに突き出している乳首は当然のように大きく、白い毛の中で異質な光沢を赤々と放っていた。
「うわ、エロ……♡」
胸の半分までシャツを上げると手が止まり、おれは乳首をガン見する。こんなの見過ごせねえよ。
「お、嬉しいこと言ってくれるじゃん♡アナグマっていい反応してくれるから、やっぱかわいいよなあ♡」
「いや、これ見せられたら、おれみたいなやつは誰だってこうなるって……ランプトはかっこいいし、おれ好みだし……♡」
「んへへへへ~♡嬉しいな♡ほら、俺の見た目って雄妖精の中だと別に普通だし、同族で乳繰り合っててもここまでいい反応してくれねえんだよ♡だから俺らの中でも配信が好きな奴って、こういう誉め言葉にすげえ弱いんだよな♡」
「桃源郷か……?」
ランプトみたいな雄のたまり場って考えると、もはやそれだけで価値があるだろ。観光ツアーとか企画したらものすごくはやりそう。
「んーでもアナグマにはこのままでいてほしいから、雄妖精界に連れていくのはやっぱなしな♡俺、恋人に目移りされると嫉妬するタイプなんだよ♡」
「自分はコラボするくせに……」
「仕事なもんで♡」
いけしゃあしゃあと言ってのけるランプトはずるい男だ。だからこんなやつに心を乱されたくないと思うんだけど、胸筋に力を入れてぴくぴくされるとそんな決意は一瞬で溶ける。エロすぎ。
声に出さずとも早く脱がせてくれよとせがまれて、おれは服を握りしめて続きをした。
「んっ♡」
脳みそをくすぐるような甘い声と共に、ランプトはされるがまま腕を上げる。裾が胸を超えるとおっぱいがボルンと落ちて、同時に腋がさらされた。くぼみに深さは筋肉の大きさを思わせ、たくましいという言葉の意味を突きつけられる。
「前、見えねえんだけど♡ひょっとしてこのままいじるのが好きとか?♡そういうSっぽいの嫌いじゃねえよ♡♡」
「いや、別にそういう意味じゃないけど……」
服で顔を覆われた虎が楽しそうな声を出すが、おれにそんな意図はない。ただランプトの体があまりにエッチだから、処理が止まってしまうだけ。
逐一スケベに反応するの、童貞臭すぎるからやめたい。
我に返ってからすぐ服を脱がせきると、虎の上裸が完成する。
ランプトの体はまさに生きる芸術だった。
筋肉のつき方は人それぞれとはよく言うが、こいつほど綺麗な体はないだろう。
隆々とした肉体はどの角度から見ても整っていて、雄々しさを突き詰めると綺麗になるのだとおれは初めて知った。エロいよりも先に綺麗だと思ってしまったんだ。ごつい肩幅で作られたシルエットはそんな言葉とは無縁のはずなのに、おれの口は勝手につぶやいていた。
「んへへへ~♡♡そうか?♡そうかそうか♡アナグマは俺の体、気に入ってくれたんだな♡♡」
「あ、ああ……正直すごいと思う」
「よかったー♡これでも人の欲望を取るために頑張って鍛えたからな♡いくら雄妖精が好まれる見た目に生まれるとはいえ、努力が要らないわけじゃねえんだ♡」
虎は本当に嬉しそうに声を弾ませている。ああやっぱり、ランプトは努力してここにいるんだと実感した。
だから何もせず家に引きこもっていただけのおれがこの綺麗な虎を抱いていいのかと、不安が胸中をよぎった。
「ほ、本当に、おれが抱いていいのか?」
「なに当たり前の事言ってんだよ♡お前に抱かれたくてここに来たんだぜ、俺は♡♡」
だけどそんな曇天もまばゆいばかりの太陽が追い払ってしまった。北風と太陽の逸話で言うならば、こいつの前だとどんな雄も服を脱いでしまうんだろう。
なんか、あまりに唐突な幸福の過剰摂取に、躊躇してしまっている。おれにとって都合がよすぎるから、卑屈な心が耐えきれていない。
もうおれ、ランプトに惚れてるかも。童貞がちょろすぎる……。
おれが見惚れているのがばれたのか、虎はここぞとばかりに力こぶを作ったりポーズを決めて、アピールをしてくれる。ぐっと力むと隆起した筋肉が膨らんで、キレが抜群によくなった。
「うお、すげえ……!」
「んへへ♡好きに触っていいんだぜ♡俺の事、たくさん愛でてくれよ♡♡」
甘い囁きに導かれるまま、おれは鍛え抜かれた体に手を伸ばす。
慎重な指先は臆病の裏返しで、いまだに決心がつかない心を反映している。
だけどそんなもの、熱く硬い筋肉に触れた瞬間、溶けてなくなってしまった。
まず最初に柔らかい毛並みに指が沈む。見た目通りの感触で、整った毛並みは滑らかだ。抜け毛の少なさはこまめに手をかけている証拠だから、表面の艶もそれを肯定している。
そして、その下の筋肉は鋼のようだった。
おれのために力んでくれた体は指先をはじき、生半可な圧には屈しない雄々しさがうかがえる。そのまま媚びるように手でなぞり、筋肉の形を堪能するだけで心臓がはねてしまう。
理想の雄を鋳型に雄性を注ぎ込んだかのような造形、ランプトを表するならそうとしか言えない。このたくましさはおれを虜にしてやまなくて、震えてか細い吐息が虎のひげを揺らす。
「うっれしそーな顔♡遠慮なんてすんなよ♡ほら、胸とかがっちがちだぜ♡リラックス状態の方がいいなら力抜くけど?♡」
「いや……今はこのままで……本当にすごい……♡」
胸板、いやもうこれは板じゃない。山だ。こんなに硬いのに盛り上がっていて、少し押したところでびくともしない。ぱんぱんに雄が詰まっている。
揉んでいるつもりだけど指が食い込むわけもなく、ただ硬さを確かめるだけの作業にしかなっていない。だけどそれでいい、おれはただ、ランプトのすごさを堪能したかった。
「んぅ♡欲望垂れ流しじゃん♡かわいいー奴♡お前と一緒なら飯には困らなさそうだな♡この家に永久就職したら駄目か?♡」
「いいよ」
思わず言ってしまった。もう考えるまでもない、今日会ったばかりなのに、おれはこいつにずっといてほしいと願っていた。
「んへへ♡嬉しいぜ♡夢だったんだ、人と暮らすの♡俺らは人の好みとかを調査はするけど、接触には結構制限があったからな♡♡……おんっ♡」
幸せにゆるんでほわほわしたことを言っていたが、指先が乳首に触れた瞬間に音は性質を変えた。甘さは耳にこびりつく様なものになり、頭蓋で何度も反響する。
こいつの乳首は当然のようにでかい。おれの指先といい勝負をするくらいで、シャツとか着たら絶対に浮く。胸もでかすぎて下を向いているから、一瞬だけ乳牛を彷彿とさせた。
「乳首の触り方もこれから覚えていこうな♡お父さんをぶっ飛ばせるように鍛えねえと♡」
「ランプトは?」
「俺は何されても感じる淫乱乳首だから、なんの準備もいらねえよ♡アナグマに触られてると、おっぱいも嬉しいって感じちまうんだ♡」
また男をたぶらかすようなことを言って、ランプトは腋を締めた。そうするとぎゅっと山脈は盛り上がり、鎖骨に乳がデルタを作る。卑猥な三角湖から川へと続く谷間は、水なんか流れないほどに筋肉で密着していた。
圧がすごい。胸筋もさることながら、左右から押し付ける腕の太さも規格外だから、筋肉の塊が迫っている感覚が欲望に突き刺さっている。
じくじくとうずく興奮からとげを抜くように、おれは実った乳首をつまんで軽く引っ張った。
「んおおぉぉん♡♡あ、すっげ♡アナグマの手、やば♡もっと、もっと♡」
「痛くは、ないよなこれ……」
「ん、全然平気♡むしろもっと強くでもいいぜ♡俺はちょっと痛いくらいも大好きだからな♡」
そういえばどMだったと思い出し、だったらと力んでみた。
「お゛っ♡おおぉ♡雄の手ぇ、やべえ♡あー好き♡ギンギンの欲望流し込まれながらいじられるの、まじであがるぅ♡今から俺を抱くんだって、心が理解させられちまってる♡さいっこぉ♡そのまま俺をぉ♡欲望のはけ口にしてくれぇ♡♡♡」
字面だけ聞いたらすごいこと言ってるけど、欲望を食べる妖精からしたら普通なんだろうな。でも無理矢理犯される意味でもいいって思ってそうだな……。
虎の乳首は弾力がよくて、敏感だ。だけど色は綺麗で白に映える桃色をしている。ぷっくり膨らんだ乳輪をひっかくと野太い喘ぎが漏れ、尻尾がぎこちなく揺れる。とろんとした目は完全に雌の顔で、光彩がハートになっていそうだ。
「あっ♡そうだ、うまいじゃねえか♡俺の目を見つめて、願いを流し込まれると♡おマンコが屈服しちまうんだ♡もう体中で、お前が欲しいって言ってる♡な、なあ、そのままもっと引っ張ってみろよ♡俺がどれだけ淫乱か、この機会に知ってくれ♡」
「う、うん、こう……かな」
「んおおぉぉぉ♡♡たっまんねえぇ♡あ゛ぁ゛ん♡そのまま、指でぇ、こりこりされるの、すっげえ効くっ♡おっぱいやっべええぇえぇ♡♡♡」
太い首から野太い嬌声を出して、ランプトは顔をのけぞらせた。ごつい喉仏がせわしなく、ただ喘ぐためだけに使われている。なんて思うと、頭の片隅がじんっとしびれるような興奮にめまいがしそうだった。
「んへぇ♡ぎもちいぃ♡お、俺、さっきみたいなわらかせるより、わからせられる方が大好きだからぁ♡欲望を注ぎ込んで、俺に興奮するんだって腹いっぱいわからせてくれるアナグマのこと、だーい好き♡」
甘えてゆだっているような、だけど雄らしく低い声が、おれの自尊心を満たしていく。
雄妖精からすればおれが青天井に興奮してるのなんてお見通しで、だから嬉しいのだと笑いかけてくれる。欲望をぶつけられることこそ本懐だと言わんばかりの態度は、おれから遠慮を奪い去ってしまう。
だから、指先は乳頭を変形させる勢いで挟む。
「お゛っおぉ――――」
そして、ひときわ大きな嬌声で吠えようとする虎の口を、おれは口でふさいだ。
「んお゛ぉ゛?!♡♡♡」
「んっ……♡」
初めてのキスは何の味もしなくて、けれど何よりもおいしい。乳首を引っ張ってもっと寄ってほしいと言外に語りながら、舌を差し込んでいく。
「んふぅうぅ♡♡♡お゛っお゛っ♡」
意を汲んでくれたランプトがおれの頭を抱えて、キスが深くなる。なめくじのような舌が絡みついてくると、背筋に快楽が走った。
こういう時は目を閉じるのがいいのかもしれないが、おれはランプトを見たかった。幸せそうに目を細めておれを受け入れてくれた虎は、接合部でちゅぷちゅぷと唾液をかき混ぜながらされるがままだ。
その気になればキスでおれを骨抜きにできるだろうに、食われることを愉しんでいる。舌を引き抜こうとすればまとわりつかせ、もっともっととおねだりする虎は本当にエッチだった。
「んっ♡おいひいぃ♡アナグマの欲望♡こんな、たくさんっ♡俺ぇ、しあわへぇ♡」
キスが好きだと言ってた通り、虎は抱えた腕を放す気配がなかった。味わうように舌をゆっくりと動かして、おれの唾液を舐めとるのに夢中だ。何かが吸われている気は全くしないけど、欲望が駄々洩れになっている自覚はある。
だってこんないい雄がおれとキスして嬉しそうにしてくれてるんだぞ。ちんぽは今にも射精しそうだし、こいつの腹に当たっただけで暴発してもおかしくないほどいきり立っている。
「んへ♡んへ♡アナグマ♡大好き♡俺でもっと、興奮して♡乳首攻めと、キス♡頭おかしくなるほどすんげえ♡」
言われなくても、これまでの人生で一番興奮してるよ。
なんて口を動かすよりも、舌で応えた。
どれだけ時間が経ったのか、正確にはわからない。部屋に響くリップ音の協奏曲が終われば、唾液まみれの口たちは名残惜しそうに糸を引きながら離れていく。
ランプトはもったいないと言わんばかりに口回りを舐めとってから抱き着いて、おれに頬ずりをかましてきた。
「んへへぇ♡アナグマのファーストキス、もーらいっと♡おいしかったぁ♡純粋な人の欲望がこんなにうまいなんて知らなかったぜ♡♡」
「よかった。がっついたけど、あんまりうまくできなかったよな……」
「んー?♡そりゃ初めてなんだし当然じゃね♡動画じゃねえんだしうまいとか下手とかは今どうでもよくて、大事なのは気持ちだろ♡俺に興奮してキスしたいって思ってくれたアナグマの気持ち♡すんげえ嬉しかったぞ♡♡」
頬をこすりつけながらこんなこと言われると、好きになっちゃうって! もう遅い気がするけど! 男殺しが過ぎる!
このままだとちょろすぎて悲しくなるので、無駄な努力で会話をそらそうとした。
「ら、ランプトは人とするの初めてなのか?」
「そっ♡同胞とはあるけど、人は初めて♡サイト経由で配給される欲望はいろんな人の混ざりものだから、味があんまりよくねえんだ♡じいちゃんも一人から絞った欲望はうまいって言ってたけど、まじだったんだなあ♡こんなの味わったら、もう戻れねえかも♡」
「安定供給可能だけど味が悪いって……ディストピア感あるな……」
「あはは♡そーかも♡まっ、だから人をさらって絞る妖精が後を絶たないんだけどな♡♡」
「こわ……」
「大丈夫♡アナグマには俺がいるだろ♡アナグマは俺の協力者だから、手を出そうものなら同胞が黙ってねえ♡だから安心して俺が独占するぞ♡」
それは結局ランプトに絞られるだけなのでは。と思ったけど、むしろ望むところだったので言わないでおいた。喉を鳴らして頬ずりかます屈強な虎に、おれは完全に絆されている。実は妖精じゃなくて淫魔でしたって言われても、受け入れる自信があるわ。
抱き返すために乳首から手を放し、分厚さを噛み締める。耳元で聞こえるランプトの声は心底幸せそうで、心地よい体温におれまでゆるんでしまう。
でも、そうは問屋が卸さないと股間が痛む。さっきからずっと限界まで勃起しているんだ。興奮でマスクしていた痛みが徐々に顔を出し、次へ行けと発破をかける。
「んへへ♡がっちがち♡口から欲望を食ってもこんなにうまいんだ♡マンコから取ったらぶっとんじまうかもなあ♡ザーメンの方がやっぱり欲望は濃いし、今から楽しみだな♡」
ちゃんと察してランプトはおれから降りる。テーブルに体を預ければ、でかい尻がずいっと差し出されて遠近感が狂う。肉を限界まで詰め込んだのかといぶかるほど大きな塊が二つ、はち切れんばかりに膨らんで視界を埋めた。
「せっかく最初なんだし、腰振りたいよな♡下手とか気にしなくていいから、思う存分犯していいぞ♡二人でいい初夜にしような♡」
ふりふりと揺れる巨肉があまりにエッチすぎて、おれは言葉を失う。
画面で見ていた平面的な映像なんかじゃない。本物の雄肉がここにある。
縞模様が引き伸ばされてるように見えるのは気のせいじゃないだろう。尻がでかすぎて模様が悲鳴を上げている。少し弾むだけでふさぁとそよぐのだが、たわむ肉の波が強すぎて飲み込まれているようだ。
双方の尻が縄張り争いしてるのかと思うほど中心線は肉で埋まっている。屈伸するとたまに少し奥がのぞくけど、それを見てしまうと本当に駄目になりそうな予感がある。
「お゛っ♡欲望がびんびんに来てるぜ♡尻にも興奮してくれんだ、嬉しい♡でもさっきキスしちまったから、味が薄く感じちまうなぁ♡早くそのデカマラでぶち犯してくれよ♡」
後背位でおれを誘う虎は本当にエッチだ。もう言語中枢麻痺しててエッチしか言えないかも。それくらいエッチすぎる。
背中もごつごつとしてて男らしいし、肩幅が太すぎて腰が細く見えるバグがある。比べればおれの胴体よりずっとでかいのに、肩と尻がそれ以上にでかいせいだ。
「んへ♡怖がるなよぉ♡ここはお前のこと、ずーっと待ってるぞ♡」
欲望を感じ取れるランプトはおれを誘うために尻まで手を回す。それから肉に手を沈めて左右にぐっと開けば、おれの予感が的中したことを知る。
「えっろ……♡」
思わず呆然とつぶやくくらい、ランプトのマンコはエッチだった。
淫乱な割にそこは乳首と同じく綺麗な色をしていて、使ったことがあるとはとても信じられないほどだ。でも、無毛の粘膜はしっかり濡れていて、親父を食った跡が鮮明に残っている。
あそこを親父は使ったのだ。そう考えると背徳感が興奮へと変わり、体は勝手に動いて虎の尻をつかむ。
射精間近の強直をあてがえば、細長い尻尾が硬直した。
「おほぉ♡欲望濃すぎっ♡まだ入ってねえのに、すんげえ感じる♡んへへ♡興奮してくれてるの、嬉しすぎる♡入れられそうか?♡」
「多分……」
「最初は難しく感じるかもだけど♡俺は笑わねえからさ♡好きに試してみてもいいぞ♡手マンしたかったらしてもいいしな♡♡♡」
そうは言ってくれるけど、ここまでおぜん立てされて今更前戯なんて無理だ。ランプトが驚くほど、おれは興奮している。もう一刻も早く、ハメたくてしょうがないんだ。
尻はランプトが開いてくれてるから、おれは自分のものを持って差し込むだけでいい。
なんてわかっているのに、ぬめっているマンコで亀頭は滑り、谷間でちんぽで撫でるだけになる。
「んおぉ♡」
宣言通り、虎は笑わなかった。ただおれの動きを期待に満ちた目で見ているだけ。
情けなさは感じている。だけど、それ以上に興奮している。
自分の吐息が頭で反響しているんだ。落ち着いてできるわけがない。
だけど何度か繰り返してようやく先端が埋まると、虎は格段良い反応をしてくれた。
「おおぉおぉん♡♡♡入ったなぁ♡やっべ♡マンコで感じる欲望熱すぎ♡」
本当は丁寧に入れるべきなのはわかっている。でも、亀頭でランプトを感じたら止まれなくなって、でかいと知っている強直を一気にめり込ませてしまった。
「んおおおぉおぉっほおぉぉ♡♡♡♡♡ひぃ……開く、開くううぅ♡俺のマンコ、こじ開けられてるっ♡んへぇ♡たっまんねえぇえ♡♡アナグマのちんぽあっつっ♡欲望がたぎってるなあぁ♡さいっこおおぉぉ♡♡♡」
入る。入る。入る。おれの童貞ちんぽが、飲み込まれていく。
自他ともに認める巨根はランプトの肛門を広げて、みちみちと音が聞こえるようだ。おれは結合部に視線がくぎ付けで、童貞が失われていく瞬間を脳裏に収めていた。
それは名残惜しいとかでは全くなくて、ただでかい尻の中心で肛門を広げてちんぽを飲み込むランプトがエロすぎるから。
「あ、まだ、入るのかよぉ♡すんげぇ♡こんなの、雄子宮まで届くじゃねえか♡ちんぽよすぎ♡まじ♡すっげ♡お゛っほぉ♡欲望が入り込んでくるっ♡脳が溶けるうぅ♡」
「お、雄子宮って、多分この行き止まりの奥……だよな……」
「ん゛っへへ♡届いちまったなぁ♡そうそう♡そこだぜ♡でも、お前の腰が当たってねえから……」
「うん、まだ入るけど……」
「さいっこぉ♡さすが俺の選んだデカマラだ♡もうぜってえ他の妖精に渡さねえからな♡俺だけのアナグマ♡♡お前を一番満足させられるのは、俺のおマンコだって思わせてやる♡」
尻を小刻みにゆすりながらアピールされると、本当に股間に来る。ただでさえもういきそうのに……。
最高の雄を犯している自覚がちんぽを膨らませている。そのくせ中は熱くてねっとりしていて、おれのちんぽにスライムがまとわりついてくるようだ。
おれだってオナホぐらい使ったことはあるけど、それとは比にならないくらい気持ちいい。ランプトとできているという精神的なものなのだろうが、ちんぽはこっちを選んでいる。
「俺のおマンコはどうだ?♡これでも同胞からの評判は悪くねえんだけど、緩かったら言ってくれよ♡頑張って締めるからさ♡♡」
「気持ちよすぎる……多分これ、動いたらすぐ終わると思う……」
「んへへぇ♡だろうな、さっきから欲望が濃すぎて腹が膨れてんだ♡でも、何度も言うけど俺は笑わねえからさ♡お前の好きにしていいぜ♡俺はアナグマが喜んでくれることが、一番嬉しいんだ♡」
ランプトなら入れただけでいったとしても褒めてくれるだろう。そんな気がする。
だから気負うことなく、欲望のままに。おれは腰を動かした。
「んふうううぅぅ♡内臓全部持ってかれてるみてえなちんぽっ♡最高♡お゛おおぉ♡」
引き伸ばされた肛門がちんぽに追いすがる光景はものすごくエロい。
けどおれにそれを堪能する余裕なんて無い。無数の舌でなめられているかのような快楽を浴びせられて、いかないようにするので精いっぱいだった。
「ううぅ♡ランプト、気持ちいいよ……!♡」
「んへ♡俺もだぜ♡雄子宮ハメは慣れたらでいいからさ♡今日はおマンコにご挨拶してくれ♡これから俺の番になる、旦那ちんぽだぞって♡♡」
おれがもう限界なこと、ランプトはわかってる。こんな状態で結腸まで来いとは言わないあたり、理性はしっかり残っているのだろう。
それから突き入れるとちんぽが貪欲なマンコ口にしゃぶられて、金玉が準備運動を始めた。いくらおれが早すぎると待ったをかけても、膨れ上がった本能は種付けを求めてやまない。この雄を自分のものにしたいと思っているし、きっとランプトも求めている。
「旦那ちんぽすんご♡おぉ~♡ぎもぢっ♡腹の圧やばすぎ♡同胞の中にだって、ここまででけえのは珍しいぞ♡こんなの、俺らだけじゃなくって、ホモからもモテるに決まってる♡童貞でいてくれて、ありがとうな゛っ♡」
「う、うん……」
別にランプトのためにとっておいたわけじゃないんだけど、今はもうそんな気しかしていない。この雄に童貞を捧げられるなら、今まで無縁だったことも素直に受け入れられる。
「でも、ごめん、もう、駄目そうなんだけど……♡まだ一往復しかしてないのに……♡」
「いいって♡むしろ初めてなのに、たくさん頑張ったな♡こんなに興奮しといてよくもったよ♡普通なら暴発しててもおかしくねえんだ♡♡このままぶちまけるまで、たーっぷり犯してくれよな♡♡♡」
尻をきゅぅっと締め付けながら媚びを売られると、おれの中で獣が叫んだ。
ちゃんとしたいという見栄とかそういうのは消え去って、この雄を孕ませたいという原始の意思が腰を支配した。
さっきは一往復でも根を上げた抽挿を、今度は無遠慮に素早く。感じる快楽も鋭くなり、ランプトの嬌声もさらに強くなった。
「んおほぉおぉおぉ~♡すっげ♡すっげ♡人ちんぽやっべ♡気持ちいいのに、願いもくれて♡頭馬鹿になりそうなくらい嬉しくなるっ♡お゛んおおぉっ♡♡でかちんぽいいっ♡最高っ♡んへへへぇ~♡♡」
「はっ……はっ……♡」
気持ちいい。打ち付けるたびに破裂音とか水音とかで、マンコからひどい音が鳴っているけど、そんなことにかまっていられない。ひだを殴り倒して奥へと進ませるたびに、気持ちよさが駆け上がってくる。
テクなんて何もない獣欲に任せた抽挿だけど、ランプトは背中をしならせて喜んでくれている。涎をこぼしながら笑う雌を見て、満たされない雄はいない。おれはそう確信した。それくらいランプトを見ていると満たされるんだ。
「ぎんぼちいいぃ♡おっほ♡これ好き♡好きぃ♡奥までごりごりぎで、脳みそまで届いでるっ♡♡俺、ちんぽに支配されちまってるううぅうぅ♡♡んほおぉ♡このちんぽだーい好きいいぃぃ~~♡♡♡」
「はぁ♡はぁ♡」
「お、俺ぇ、お前のためなら、ハメ撮りでも何でもする♡だからちんぽもっとぉ♡俺以外抱いちゃ嫌だからな♡このちんぽは、俺だけのものっ♡絶対、絶対だからなぁ♡♡んひいぃ♡ぎもちいぃところに、届いでるううぅ♡好き♡好きいいぃぃ♡♡」
おれは熱した鼻息を漏らしながらちんぽを何度も打ち込んでいく。ランプトのマンコはずっとむしゃぶりついてきて、オナニーでは考えられないほどの快楽で迎えてくれる。
結腸までは入らないけど、行き止まりを小突いている感覚はある。そこに当てると虎はいっそう声を高くして鳴いてくれるから、おれはぎりぎりまで引き抜いて突っ込むんだ。
「ほひいぃ♡格付けされてるっ♡デカマラに、わからせられる♡さいっこぉ♡このちんぽに、雌にされるの好き♡んへへっ♡んお゛っ♡♡お゛~~~~♡♡おマンコいぐうぅ♡♡」
きゅっとランプトのマンコがさらに締まった。
「い、いっだっ♡アクメ決めたっ♡脳みそいっでるから♡お゛お゛お゛ぉ゛ん゛♡アクメおマンコずぼずぼぎでるっ♡お、俺、雄やめさせられちまってるうううぅぅ♡♡女の子になる♡このデカマラの、お嫁さんになるううぅっ♡♡」
「ら、ランプト……♡」
「んほおぉぉぉ~~♡♡娶られるううぅぅ♡アクメ中に、雄見せつけられでる゛っ♡こ、こんなん、好きになっちまうだろ♡♡お前のデカマラにマンコ型取りされちまったらぁ♡もうお前としかエッチできねえじゃん♡♡ずりいぃよ♡ちんぽよすぎいいぃぃ♡♡」
さらに気持ちよくなったマンコに、狂ったかのように乱れるランプトのアヘ顔。それはおれのちんぽを刺激するには十分すぎる。
足元にはランプトが漏らしたであろう汁が滴っていて、足を動かすたびにぴちゃっと水音がする。アクメを決めてるんだ、射精していても不思議じゃない。
やばい、マンコってこんなに気持ちがいいんだ。柔らかい内壁がきつく締まってきて、搾り取られてるみたい。ここに出したら気持ちがいいって、本能に訴えかけてくる。
もう無理。いきたい。この中に思いっきりぶちまけたい。
おれは尻肉を食い込むほど強く握って、腰を力いっぱい叩きつけた。
すると最後の防波堤だった結腸入口に、亀頭がずっぽりと入ってしまった。
「んっほおおおぉおおぉぉおおぉ~~~~~~♡♡♡♡♡♡」
瞬間、虎は背筋を限界までそらして叫んだ。
「はいっだあああぁ~~♡♡俺の子宮にちんぽっ♡ちんぽ届いちまってるううぅ♡孕みます♡孕ませてくださいいいぃ♡♡ここ、お前専用の孕み袋にするから♡ザーメン♡ザーメンザーメン♡ほっし♡欲しいぃ♡♡」
ランプトの顔はもうすごいことになっている。歪み切った表情に涙と鼻水をこぼし、雄としては完全に終わった顔だ。男らしい造形は今や、快楽に壊されていた。
だけどそれがすごくちんぽにくる。しかも結腸入口はさらにきつくて、先端がぬぽぬぽと刺激されていた。
ただでさえ無理なのに、こんなことされたらもつはずない。
「ぐぅ……♡」
「お゛っおおぉん♡ちんぽびぐっでしだぁ♡射精だろ♡早くだじでえぇ♡お前のためなら、何でもするからぁ♡ハメ撮りでも♡青姦でもいいぞぉ♡だから♡なっ♡このままザーメンぐださいいぃいぃ♡♡♡♡」
しゃべると情けない声が出そうだから必死に抑えているのに、ランプトは一人で盛り上がっている。でも、興奮が濃くなるから気に入ってるのはばれてるんだろう。雄々しい虎の痴態は、おれを射精させるのは十分すぎた。
だからもう一度結腸の入り口をこじ開けて、おれができる最奥へとちんぽを送り込む。
「っほおおおぉ♡子宮にくるっ♡奥に種付け♡嬉しいぃ♡俺の卵子にザーメンぶっかけてくれよおぉ♡♡ふへ♡んへへへへぇ~♡♡」
「ふぅー♡ふぅー♡」
作れるはずのない子どもを求めて、虎はデカ尻と尻尾を振っておねだりをしている。合間合間にオホ声を響かせながら、結合部の汚い音でおれを誘っているんだ。
そんなに言うのならあげよう。おれの金玉はもう射精へのカウントダウンを刻んでいる。
尿道からこみ上げてくる感覚はいつもの比じゃない。おれは多分、人生で一番の射精をしようとしている。
「出るぞ……♡もう……♡」
「んへっ♡早く、早くぅ♡もう俺ぇ待ちきれねえよ♡♡お前の濃い欲望、たーっぷり注いでくれぇ♡♡」
尻尾がおれに巻き付いて媚び、それがとどめとなった。
鈴口が開いて、最奥に射精する。
「んぐぅ……♡♡」
「んおおぉおぉおぉぉ♡♡♡濃いいいぃぃ♡すっげええぇ~♡こんなうまくて濃い欲望食ったの♡生まれて初めてだああぁ♡♡」
ちんぽどころか自分という存在すべてが漏れ出ているんじゃないか。そう思うほど射精の勢いは強い。雄妖精がやってるサイトを見ながらしこっていた時だって、こんなに量はなかった。尿道が破裂しそうなほど、ザーメンが我先にと飛び出している。
精液はすぐに虎を膨らませて、マンコから逆流し始めた。蛇口を勢いよくひねったホースみたいな射精だ。いくらランプトが巨漢でも受け止めきれなかったらしい。
「ふおぉん♡腹、いっぱいぃ♡俺のマンコから、あふれるううぅ♡幸へぇ♡好き♡好き♡このちんぽ好きいいぃぃぃ♡♡」
「ふぅ♡ふぅ♡」
「こんなちんぽぶら下げてたら♡絶対他の奴らに食われちまうぅ♡お、俺が守らねえと♡このちんぽは俺の♡俺だけのものだ♡♡んへへへへ♡♡まだ出るのかよ♡すんげぇ♡俺、元から人のこと好きだったけど♡もうアナグマにべたぼれかもぉ♡♡好き好きぃ♡」
なんか嬉しいことを言ってくれているけど、射精にすべてのリソースを持っていかれているので応えられない。こういう時に気の利いた返事とかキスの一つでもできればいいんだけど、童貞にそれを求めるのは酷だと思ってほしい。
だから代わりに精液で許してもらおう。脱童貞射精は自分でも驚くほど多く、金玉が休むことを忘れている。ぐりぐりと腰を押し付けながら奥に注ぎこむと、ランプトは上ずった声で鳴いた。
「んほぉ♡腹が満ちてくるぅ♡すっげすっげ♡このまま力をためていけば♡妖精王にだってなれるかもしれねえな♡でもぉ♡たとえ俺が上位妖精になっても♡アナグマとはずーっと一緒だからな♡♡」
なんかよくわからない概念が急に来たけど、ランプトがおれから離れることはないと言ってくれた。何も考えられない頭では、それだけで十分だった。
やがて少しして、ようやく射精も落ち着いてくるとおれは呼吸を思い出した。
全神経をランプトへと向けていたせいか、噛み締めすぎて息を忘れてしまっていたらしい。
「……っふはぁ! はぁはぁ……」
「おーお疲れ♡たっくさん出したな♡いい願いだったぜ♡♡」
ここは経験の差か、おれより早く復帰した虎が労ってくれた。ハメたままにこやかな顔をされては、ギャップでまた立ちそうになる。
「んへ♡まだ願いが届くのかよ♡性欲すげえな♡そういうところも好きだぜ♡」
「でもさすがに……疲れたよ……」
「だろうな♡今日はいろいろあったから、ゆっくり休んだ方がいい♡ちんぽも萎えてきてるし、一緒に風呂でも入るか♡背中流してやるよ♡」
「そんなことされたら絶対立つじゃん……」
たわいもない会話をしている間にも、萎えたちんぽがマンコからずるりと抜け落ちる。
するとそこから白濁がぼたぼたとあふれ出してきた。ランプトがどれだけマンコを締めようとしても、おちょぼ口のようになった肛門から零れ落ちてしまう。
「おぉほぉ♡やっべ♡マンコ馬鹿になっちまった♡んへへ♡だったら……見とけよアナグマ♡」
おれを興奮させることに躊躇なんてない虎が、きばんでマンコを広げた。くぱあと擬音が聞こえそうな仕草で肛門が口を開け、半固形状のザーメンが排出されていく。
ぷぴゅぷぴゅっと下品な音が、デカ尻から奏でられている。火口みたいなマンコだけでもエロいのに、そこからザーメンを漏らすなんて反則だ。今のランプトはスケベの化身となっている。
「んほおぉおぉ♡ザーメン排出アクメたっまんね♡♡アナグマぁ♡見えてるか♡これぜーんぶお前が俺に興奮して出した子種なんだぜぇ♡んへへ♡本当に赤ちゃんできちまったかもな♡♡」
「うわ……エロ……」
もうそれしか言えない。動画より現実の方がずっとエロい。こんな雄々しくてでかい尻がしていい仕草じゃないだろう。
案の定おれのちんぽはまたすぐ臨戦態勢へと移行して、絶対に孕ませたいとやる気十分だ。
「んへっ♡だったら次はお風呂場でやろうぜ♡庭でもいいぞ♡俺の魔法を使えば防音とかも簡単だからな♡♡」
「え、いや……それは……」
恐ろしいことを言われている気がするけど、それも悪くないと思っている自分がいる。ランプトとならどんなセックスも気持ちいいに決まっているんだから。
下を見ればおれのザーメンの他に透明な水たまりがあった。おそらくランプトが出した潮とか先走りかな。後背位ではわからなかったけど、かなり漏らしていたようだ。
掃除しないとなんて冷静に考えていると、ふとリビングのドアに見慣れた巨体がいることに気が付いた。
「……あ、親父」
おれと似た黒い熊だが、ホモ受けに特化したような見た目をした大きな体。本人は絶対拒否するだろうが、ガチムチに膨らんだ体はやはりそう言わざるを得ない。胸元にある月の模様が明るい胸毛のようで、雄として完成されていると思う。
「…………」
少し前は汚らわしいと叫んでいた顔は何か思案しているようで、じっとおれらを見つめている。そして親父は怒るでもなくただ無言で、そのまま踵を返して部屋を去っていく。
リビングで盛っているなんて、昨日の親父だったら発狂していたはずだ。ランプトの教育は成功したのだろうか。
「親父……」
「んへへ♡心配するなよ♡別に洗脳とか催眠とか、そういう魔法は使ってねえから♡ただちょーっとばかりホモセックスの気持ちよさってのを教えてやっただけだからさ♡♡」
「そんなこと考えたこともなかったんだけど……できるのか?」
「んーまあ、ちょっとだけな♡俺が使えるのは認識を阻害するとかその程度だぜ♡上位妖精になればもうちょいすごいことができるけど、まあ趣味じゃねえなあ♡魔法で作られた興奮より、素のままで食う欲望の方がうまいだろうし♡♡」
「欲望に味ってあるんだ……」
「まあなんとなくだけどな。後は俺の気分の問題。どうせなら仲睦まじくやりてえじゃん♡」
その意見には賛成だけど、親父はどうしたんだろうか。あれだけ嫌悪していた行為をしたせいで、あの石頭にも何か変化が訪れたのかもしれない。
だったらいいなと思いながら、おれは作りおいていた料理を温めなおす。初めてセックスをしたがすごく疲れている、抵抗していた親父ならなおの事だろう。
「それ、お父さんに持っていくのか?」
「まあね。何も食べずに帰っちゃったし」
「そっか、なんだかんだ言いつつお父さんの事好きなんだな」
「そりゃね。話の通じない人だけど、悪いとこばかりじゃないし。不器用なだけなんだよ」
「ひょっとして俺、余計なお節介でもしちまったかな」
「いいや、ランプトが来なかったら絶対おれのこと犯罪者かなんかだと思ってただろうから、ちょうどよかったよ。ホモなんてやめろとか無理なことばっか言ってくるんだよなあ」
「あはは、やめようと思ってやめれたら苦労しねえよな」
ランプトが胸をなでおろしながら笑ってくれるから、おれも笑い返せる。動画配信とかまだ懸念が無くなったわけじゃないけど、ただひきこもってた時に比べたらましだから。
少し頑張ってみようと思えるんだ。
****
おれが撮った短い動画はそこそこ人気だったようで、ひとまず安心した。
まあそりゃランプトとかいう魅力的な雄があんな甘々な態度を取ってるんだ、気にならないわけがない。おれだって視聴者の立場だったら期待を込めて反応してる。
それに、期待せざるを得ない要素がもう一つあって……。
『お、俺ぇ、お前のためなら、ハメ撮りでも何でもする♡だからちんぽもっとぉ♡俺以外抱いちゃ嫌だからな♡このちんぽは、俺だけのものっ♡絶対、絶対だからなぁ♡♡んひいぃ♡ぎもちいぃところに、届いでるううぅ♡好き♡好きいいぃぃ♡♡』
昼飯を食べながら、昨日のセックス音声が耳に飛び込んでくる。リビングで流していい物じゃないけど、そんなのは昨晩の段階で終わった話だ。
「なんで急にハメ撮りとか言い出したのかと思ったら、録音してたのか……」
「そういうこと♡せっかく彼氏持ちの設定にしたんだから、有意義に使っていかないとな♡……うん、これも美味い」
トーストをかじりながら得意気に耳を揺らすランプトは、愛らしいけど抜け目ない。親父を巻き込んだりとか、着実に準備を進めている。
おれからスマホを取り上げた後、ランプトは撮影を止めていなかった。おかげであの時の音声が全部収録されてしまっていて、虎の媚びた嬌声が世界に発信されていた。映像はないけれども、何が起こったのかを知るには十分すぎる。
「んへへ、音声だけではあるが、俺がハメ撮りを認める流れとしちゃ悪くねえだろ♡むしろ音声だけの方が想像力掻き立てられるかなーって」
「わからなくはないけどさ」
しかもSNSには『これも上げろって言われたんだけど……最悪、録音してたのかよ。でも昨日のセックスすっげえ良かったから、しょうがねえな♡』とか言ってるので、全部の責任がおれにきてる。着実におれの人物像も歪み始めていた。
あの動画を見たらランプトが乗り気なのもわかるから、次はどんなのが上がるかと期待されているはずだ。
果たしておれにできるのかと緊張するけど、ランプトは平常運転だ。食後のお茶を飲みながら、のんびりとしたもの。
「今日これから美容室に行って毛並み整えてくるんだろ。その間俺はお父さんと準備しとくから、ゆっくりしてきていいぞ」
「そう、わかった。だったらついでに買い物行ってこようかな。何か欲しいものある?」
「あれ、あれ欲しいな。アイスクリーム。人間界行ったら食べてみたいと思ってたんだ」
「雄妖精界にないんだ」
「主食が願いだから、こういう食文化は発達してねえんだ。デブ型の妖精が体重維持大変だよーって言うくらいだからな」
「そんな苦労があるんだ……じゃあ買ってくるよ、バニラでいい?」
「おう!」
ランプトがウキウキなので、本当に楽しみにしてるのがわかる。昨日のことがあったからなのか親父も仕事休んでるし、三人分買ってこようかな。
というわけで何とかみすぼらしい見た目から脱してから帰ってくると、ランプトが待ちきれない様子で出迎えてくれた。
「おかえりー! 荷物持つぞ」
「ああ、ありがとう。キッチンまでお願い」
「……うん、いい男度がさらに上がったな。かわいいぞアナグマ」
「……ありがと」
まじまじ見つめられながらド直球に褒められると普通に照れる。さらに額にキスまでくれたのなに。おかえりのキスって本当にする人いたんだ……。
昨日これ以上にすごいことしてたけど、それとこれとは別。甘酸っぱさは興奮とは違う感情だ。
なんて勝手にどぎまぎしながらリビングまで行くと、そこには親父がいた。
「……おかえり」
「え、ああ、ただいま」
親父は休日でもシャツとスラックスだ。世間で言うところのパンツ一丁でぐーたらしているという親父像はうちでは当てはまらない。石頭だけど真面目なんだ、だから石頭なのかもしれないが。
そんな親父は気まずそうにしながらも席を立つことなく、おれらの片づけを黙って見ている。いつもなら仕事がどうとか今後がどうとか小言の雨なのに、冷蔵庫の整理が終わるまで口を開くことはなかった。
「これ、親父の分。食べるか?」
「ああ……いただこう」
買ってきたカップアイスを渡すと、素直に受け取ってくれた。小さなスプーンも渡すけど、ふたを開けずに考え込んでいる。
「抹茶……私の好物、覚えていたのか」
「当たり前じゃん。っていうかおれ、いつも親父の分も晩御飯作ってるんだけど」
「そうだな……そうだった、お前は……」
なにやら当たり前のことを再認識しているような感じだが、本当にどうしたんだ? ランプトと一発やったことが、そんなに衝撃的だったのだろうか。
空気がしんみりとしてしまったが、そこに響くわざとらしく元気な声。ランプトはわかっていてやっている。
「なあなあ、俺の分は?」
「もちろんあるよ、ほらこれ。お高めのいいやつ買ってきたから、堪能しろよ」
「やったね。ありがとうなアナグマ!」
にぎやかな声のおかげでおれの呼吸も軽くなった気がする。ほっと一息ついてから自分のアイスを取り出して、ケトルの電源を入れた。
「紅茶飲む人」
「はいー!」
「……頼む」
三人分のアイスと三人分の紅茶。当然ランプトは母さんの代わりにはならないけど、ぎこちないながらも歯車は回っている気がする。
でもまあ、こういう団らんも悪くないか。ランプトが来るまで、おれと親父は会話らしい会話なんてまるでなかったもんな。ぎくしゃくするのは当然だ。
おれも早く慣れないとなあ。いつまでもランプトに間を取り持ってもらうのも、申し訳ないし。
そんなランプトは温かい紅茶と冷たいアイスを心底楽しんでいるようで、あっという間に平らげてしまった。また今度も買ってくるか。
「あ、そうだアナグマ。これ見てくれよ、お父さんのアカウントな」
差し出されたスマホには顔を隠した黒熊のアイコン。明らかに親父だ。
穴蔵 羆(あなくら ひぐま)の名前からヒグマと名乗っているのだろう、親父にはよく似合っていると思う。
プロフにはバツイチ、息子一人と例の三つの数字だけという簡素さ。親父らしいと言えばそう、ランプトはすでに親父の事をだいぶ理解しているな。
開設したばかりだからか投稿も少なく、股間にバスタオルを当てて顔をスマホで隠した自撮りがあるだけ。だけどタオルから太い竿は浮かんでるし、膨らんだ腹は硬そうで張りが強いのも十分わかる。月型の胸毛とラウンド髭と、そしてへそ下に密集する黒い陰毛。
やっぱこうして見ると親父ってこの界隈でモテそうな見た目だよなあ。おれにも受け継いでくれよその才能。遺伝したの胸の白月だけだぞ。
でも親父がここまで乗ってくれるとは思わなかった。おれらの行動を黙認してくれるだけでも十分だったのに。
まさか、本当におれと絡むつもりなんだろうか……。
「ランプトさんが、これがお前のためになるからと……」
おれの意外そうな視線を受けて、目をそらしながら親父は言う。
この先は親子丼だってことに気付いているのか親父。本当にそれでいいのか親父。
「まあ任せてくれよ、お父さんのアカウントも俺がしっかり運営するからさ」
だけどランプトは自信満々に舵を取っているので、口をはさむのもためらわれる。少しの付き合いだけど、ランプトはおれらが本当に嫌だって言えばあきらめてくれると思っている。だからこんなことをするのも、親父がどこかで許可を出したからなんだろう。
そんな姿はまーったく想像できないが。
「アナグマが出かけている間に、いくつか写真を撮り溜めしておいたんだ。お父さんの見た目がいいから、俺も張り切っちゃったぜ」
スライドショーで流れる写真は確かにどれもいい。顔と性器は隠れているが、豊満な胸とか腹だけでもエッチだし、黒い毛が生えている腋見せや根本だけのドアップとかたまらない。これが親父じゃなかったらおれも即登録してる。
「まずはこういう写真だけで行く予定なんだ。エッチなパンツとかこなれた感じ出すよりも、こういう方がお父さんらしいだろ。バツイチになってから初めてのホモ活がテーマな」
相変わらずランプトはしっかりしてる。今はまだ知られてないから親父の写真に対する反応は薄いけど、これからなんだろうな。人気を得るってやっぱり大変だ。
そしていつかはおれと親父がやると……こうして考えると、おれも着実に親父とやる心づもりになってる気がするな。今はできる気がしないが、先のことはわからない。
「ランプトさんからお前のやろうとしていることは聞いている」
食べ終わった親父がおもむろに口を開く。
「……それがお前の仕事だというのなら、好きにしなさい。私も応援する」
「え、あ、うん、ありがと……」
まさか黙認だけじゃなく、応援されるなんて。たった一晩で何が起こったんだ。
「ごちそうさま」
律儀に食器を片付けて、親父はリビングを去っていく。
その背中はいつもより落ち着いていて、肩も怒っていない。ようやくおれは昔の親父をそこに見た気がした。
だけどあまりの変化に不安になったから、親父がいなくなったのを見計らってつい聞いてしまう。
「……なあ、ランプト。お前本当に催眠とかしてないんだよな」
「あはは。してないしてない。大体俺にそんな能力ないって。妖精が使える魔法なんてかわいいものだよ」
「じゃあ親父はなんであんなしおらしいんだよ。相当手ひどく犯したのか?」
「でもねえって。俺はただ……あー、まあ内緒な。お父さんも考えることがあったんだろ」
「えーなんだよそれ。気になるじゃん」
「んへへ、ごめんな。ただお父さんもお前の事が好きだってことは覚えといてくれよ」
何やら意味深なことを言うだけで、教えてくれる気はないようだ。
ランプトは紅茶のお代わりを飲みながら、ほほえましい顔をしている。元気というよりも温かい視線は、おれをむず痒くさせた。
「いいよなあ、家族って。俺らにはないものだからさ」
「ああ、言ってたな。妖精に血筋がないって」
「そ、俺らは突発的に生まれて、それから施設に送られるんだ。こっちで言うなら幼稚園みたいなところだな。そこで適性を調べられて、ある程度育ったらもう自立だ。先生はいたけど家族はいない。妖精王だって一番強い妖精がそう名乗ってるだけだからな」
「そうなんだ。でも昨日じいちゃんって言ってなかったか?」
「それが俺の先生。古い妖精でさ、自分で願いを取るよりも後進の育成をしてる。結構偉い妖精で、人のことに詳しいんだ。だからこっちの昔話とかよくしてくれて……お姫様の話とか、鬼退治の話とか……俺はそれが大好きでさ、一度人間界に行ってみたいって思ってたんだ」
だからランプトはいつも楽しそうなんだ。自分の夢を追いかけて、ようやくこれたから。家族を羨ましいって思うのも、憧れからきているんだろう。
素直にすごいなと思う。おれみたいにだらだら生きてるわけじゃなくて、やりたいことがしっかりしてる。人と妖精という違いはあるけど、こいつはいつだって一生懸命だ。
「で、人間界はどうだ?」
「最高。アナグマにも会えたからな」
「またこいつは……」
満面の笑顔で人をたぶらかすようなことを言うな。惚れちゃうだろ。
でも、このまま人との協力関係がうまくいかなかったら帰宅命令とか出されるのかもしれない。それはおれも困る。ランプトにはまだいてほしいんだ。
「んで、今日も動画、撮るんだろ。ネタはあるのか?」
だからおれも自分にできることをしっかりしないと。今までみたいにだらだらしてたら、ランプトがいなくなってしまう。
「休憩しなくていいのか? 買い物とかで疲れてるだろ。それに晩御飯の準備もあるだろうし、動画は全部終わってから体力があればで大丈夫だぞ」
「いいやつすぎるって……。どうせならやること全部終わらせた方が、夜もゆっくりできるしさ。早く動画撮った方がランプトも編集とか余裕持ってできるから、みんなにとってもいいだろ」
「んへへ。ありがとうなアナグマ。お前を相棒にもてて、俺は幸せだ!」
「大げさだって……」
おれだってお前が来てくれて幸せだよ。
なんて素直に言えるわけもなく、ランプトが使った食器を洗ってごまかすのだった。
****
「……んぼぉ♡♡」
精悍な虎の口から大蛇のような一物が吐き出されていく。
太くグロテスクな肉の塊はギンギンで、喉奥から抜け出す時にぬぽりと汚い音が嗚咽と共にこぼれていった。
「んっ♡でっかぁ♡やっぱお前のちんぽさいっこぉ♡」
それでも黒い熊の股ぐらに顔をうずめる虎は嬉しそうな声を出す。
唾液まみれの口にも構わず汚い肉棒に頬ずりをして、先走りを浴びながら腰をかくつかせる。これをハメられたところを想像しているのか、尻尾は画面端で忙しない。
目が潤み、舌を出す顔は完全に魅了されている。ぬらぬらと輝く巨根に鼻面を押し付けて、舌先でぺろぺろと媚びる所作には親愛が多分に含まれていた。
「だからずりいって♡撮影させなきゃしゃぶらせてくれねえってさあ♡このデカマラ見せられて、俺が我慢できるわけねえじゃん♡♡」
むっとした顔でレンズを睨むが、蕩けた顔では誘っているようにしか見えない。俯瞰で見る虎の肢体は分厚く、熊と比べて筋肉が発達しているのがわかる。殴り合えば確実に虎の方が勝つだろうと、視聴者なら全員思うだろう。
だが、それでも虎は熊に恭順を示す。それは目の前のちんぽが大好きだからだと、誰の目にも明らかだった。
「変態♡」すねるようなかわいい声で。「ちんぽバキバキじゃねえか♡撮影されて喜んでるのはどっちだよ♡……え、俺がエッチだから興奮したって?♡んへへ♡しょうがねえなあ♡♡」
まんざらでもない様子で、虎は肉棒の頬をくっつけて笑う。
「そんじゃあ、俺の恥ずかしいところ♡ぜーんぶ録画しろよ♡♡」
****
「んへへ、いい感じじゃん。登録者も増えてきてるし、順調順調」
短いフェラ動画を投稿した翌日、ランプトは上機嫌に話しかけてきた。
リビングでテーブルを囲み、昼ご飯を食べている最中だ。蒸した肉まんを頬張る虎は熱かったのか、はふはふと慌てて呼吸に忙しい。
人間界のいろんなものに興味があるランプトのために、おれは献立を考えるのが最近楽しい。親父は何を食べても何も言ってくれなかったからさ。
お茶を渡しながらスマホをのぞいてみると、確かに評判は悪くなさそうなのがわかる。自分のちんぽをさらすのなんて初めてだから緊張したけど、この調子ならアンチが湧くとかなさそうだ。ランプトみたいな雄とおれって、本当に不釣り合いだからさ……。
「なーに言ってんだよ。こんなでっけえちんぽもってりゃ、嫉妬されるのは俺の方だぜ」
「そうかなあ……」
「そうそう。俺がお前を大好きだってことにも理由付けできるしな。こんなデカマラ、そうそうお目にかかれねえよ♡」
肉まんに息を吹きかけながら画面をスワイプすると、そこには確かに『でか♡』とか『おれもしゃぶりたい♡』とかコメントがある。
全身で比べたら総合力の差でランプトには大敗するけど、一部分だけを切り取っていいように見せているんだろう。食生活とか運動とかちょっと意識し始めたけど、ランプトに比べたらまだまだだから。
「お前はそのままでも十分かわいいって言ってるのになあ」
「そう言ってくれるのは嬉しいけど、ランプトに甘やかされてると絶対駄目になるから」
「別に甘やかしてねえし。本心なんだぜ」
「だからだよ!」
この虎、少し一緒に暮らしただけで人を駄目にするタイプの妖精だとすぐに分かった。
何をしても褒めてくれるし、かわいいって言うし、家事も魔法で助けてくれる。挙句の果てに毎日大好きアピールしてくるんだ。
セックスだってほぼ毎日してるし、キスしない日はない。おかげでちょっとは上達したと思うけど、ランプトにはまだまだ翻弄されっぱなしだ。
溺れてる。おれは今、ランプトに溺れている。
「あ、そういえばこれもなかなか評判良かったぜ」
とか言いながらさらに投稿を見せてきた。動画の後に投稿した写真のようだ。
そこにはランプトが口からザーメン交じりの涎を垂らしながらおれのちんぽで目隠しした写真と共に、『たくさん飲ませてもらった♡♡』と書いてある。改めて見ると、涎とザーメンで汚れたおれのちんぽ、グロすぎるな……。
「よーし、想定通り射精までの動画が欲しいってコメントも来てるな。いい感じっと。次は……このデカマラをパイズリでもしようかな♡」
「結構ゆっくりだよな。もうセックスしてるんだし、ハメ撮りに手を出すのかと思った」
「いやーさすがに早いって。もうちょっとじらさねえとな♡一回やっちまえばより過激なものを求められるのが常だ。アナグマと末永くするためにも、ここら辺の塩梅は大事だろ」
そう言われたらぐうの音も出ない。ランプトはおれと長く付き合うための方法を考えてくれているんだ。
肉まんを平らげる姿は愛嬌があるけど、頭の中ではいろんなことを想定している。おかげでネット上でのランプトは、ハメ撮りは恥ずかしいけど彼氏ちんぽに逆らえない淫乱ってキャラが見事に定着しつつある。
筋骨隆々とした見事な体もあって、着実にファンは増えている。そりゃこの見た目でちんぽ狂いとくれば、人気出ないわけないし。
「ってわけじゃねえんだよなあ。このサイトだと俺みたいな雄妖精は普通に埋もれるんだよ。得られた願いに応じて王から褒美が出るとなりゃ、みんな人気出そうと必死だ。だから俺はちゃんとキャラ付けして、丁寧に運営してるわけ」
「ここがあまりにも群雄割拠しすぎてんだよなあ……他のサイトなら全員一級品だぞ……」
さすが雄妖精が運営しているだけはあって、レベルがあまりにも高すぎる。実際サムネで比べると、悲しいけど確かにランプトが埋もれている可能性は否めない。
少し検索するだけでも筋肉やらガチムチやら、その筋からしたら最高級の雄がひしめいている。今もライブでは霜降り体形のトカゲがスリットを画面いっぱいにアップして、しこっているサムネがあったりする。この過激さを考えると、ランプトはかなり控えめなんだな。
雄妖精が運営しているゲイポルノサイト、通称フェアリーホールはこの手のサイトの中じゃ最王手だ。投稿されてる動画も多いし、居座っている雄もレベルが高い。
一視聴者として通っている時には思いもしなかったが、改めてこんなところで人気を出す必要があるのだと考えると、ハードルの高さにしり込みしそうだ。
「昔はなあ、雌妖精と協力して男女ものもやってたからそこまで難しくなかったんだけど、願いの配分かなんかで揉めたらしくて、以来個別にやってるからこんなことになってんだよ」
「なるほどねえ。確かになんでゲイサイトが人間界との唯一の接点だろうとは思ってたけどさ……」
「おかげで今ここは激戦区。ま、他のサイトに比べたらはるかに有名だし、願いの量も安定して多くもらえるからいいんだけど、その分生き残りが難しい」
お代わりの肉まんを食べながら、ランプトはサイトのランキングをクリックした。
すると性器のドアップや筋肉強調、雄々しくもスケベな絵がいくつも流れていく。そのどれもがエッチだけど、ランプトの動画はどこにもない。
「過激なエロにすりゃさ、ある程度は人気出るんだよ。でも、俺がしたいのはそうじゃねえ。何のために人に協力を要請したって話になるからな。俺はここにあるのとは違う、もっとエロくて、もっと興味を引けるようなものが欲しいんだ」
そう語る虎の目は真面目だった。人間界のおいしいものに喜びながらも、目標を見失っていなかった。
だから丁寧に運営している。人目を惹きつけて、今後が気になるような、そんなキャラ付けをして。一過性じゃない、本当の人気を得ようと四苦八苦している。
やっぱりランプトは本当にいろんなことを考えていた。雄妖精には到底及ばない凡庸な見た目のおれを選んだのもそのためなんだろう。このエッチなサムネの海にあっても埋もれないような、そういうものを追い求めた結果なんだと思う。
「なので、これからも頑張ろうな。お父さんの方も順調だしな」
肉まんを口に詰め込みながら、今度は親父のページに飛ぶ。
雄臭さ満点のガチムチ黒熊は最初の投稿から次第にエスカレートしていて、最新の投稿ではおっぱいをアップしながら自分で揉み解している。片手を上げた腋からは黒い毛が見えており、雄の塊って意味ではランプトをしのぐ。だからなんでこの才能がおれにほとんど受け継がれてねえんだよ。
ランプトよりむっちむちな胸では綺麗な乳首がピンク色に輝いており、今までいじってこなかったのがまるわかりだ。おかげで下種な欲望を秘めたコメントがいくつか付くようになっていた。
素材はいいが不慣れ。ゲイに興味はあるけど何をしたらいいのかわからない。親父の写真はまさにそういう雰囲気を醸し出しており、男を釣る針としちゃものすごくでかい。
「あ、ちなみに」コメントの一つを虎が指さして。「こいつ、俺の友人な。ちょっと協力してもらってるんだ」
「さっきライブしてたトカゲか?! 協力ってなんのだ……?」
「やっぱやるには相手がいるだろ。でも俺はもうお前に入れ込んでる設定上難しい。だから後腐れなく安全な相手になってくれってお願いしたんだ。あ、もちろん振りだけな。事後写真っぽいものだけあげて、匂わせる程度だぞ」
「だったらいいんだけど……」
さすがに親父をこんな道に深入りさせるのは申し訳ない。そこはランプトもわかっているようで安心した。
「なので、これから機を見て二人の撮影会をする予定だ。向こうはやるからには本物の欲望を絞りたいーって言ってるんだけど……」
「それは駄目だ。親父に迷惑がかかる」
「だよなあ。しかもお父さんって別にホモじゃないから、大した欲望絞れねえんだよ。なので、俺がいつかコラボするってことで納得してもらう。作戦通りにいけば、俺らは人気者だしな!」
にっと笑う虎の顔を見て、おれは何も言えなかった。
ランプトの案は妥当だ。親父が男に興奮しないから、代案を提示している。しかも最初からコラボすると公言していたし、狙いも十分わかる。
けどランプトが他の男に抱かれるのを黙認するのも、ちょっとなあ。あんまり良い気がしない。いや、契約彼氏なので何様だと言われたらそれまでなんだけど……。
「……それはおれじゃ駄目なのか?」
「え?! アナグマが、か?」
「そう、欲望を絞りたいのなら、おれがやるのが一番じゃないか? 経験も積めるし、親父を差し出さなくても済むし」
「んーまあ、そうではあるんだけど……」
歯切れ悪く言葉を濁す虎は珍しい。別に変なことを言ったつもりはなかったんだが、どうしたんだろうか。
「俺としては、お前にはあんまり他の雄妖精と関わってほしくねえんだよ。単一の欲望の美味さを知られたら、絶対個人的にモーションかける奴が出る。俺が例外なだけで、基本的に人と関わるのはあんまり推奨されてねえんだ」
「お前が特例っぽいのはなんとなくわかってたけど……となると、昔みたいにさらって絞る妖精が増えるってことか?」
「そういうこと。あと単純に俺が嫌だ。アナグマは俺のだから。こう……胸のあたりがもやもやする」
「お、おう……」
まさか素直に嫉妬されるとは思わなかった。確かにやってる最中はずっと俺のだと言っていたけどさ。
だからそう言ってもらえるのは普通に嬉しかった。なんか本当に恋人同士みたいだな。
しかしこの翌日、件のトカゲから返信をもらったランプトはむすっとした顔で切り出した。
「……駄目だった。だったらせめてアナグマがいいとさ」
リビングでたこ焼きを頬張りながら虎は口をとがらせる。一緒に買い物に行って、たこ焼きを買ってた時はあんなに笑顔だったのに。
おれは冷蔵庫を整理する手を止めることなく、じゃあどうするのかと聞いた。
「まあ向こうの言いたいこともわからなくはねえ。あいつはそこそこ人気があるから、悠長に未来の約束するより、今の方が大事だ」
「動画も結構人気だよなあ。おれも何度かライブ見てたし」
「俺らの設定で考えても、アナグマが他の雄を抱くのは相違ない。むしろそれに嫉妬した俺がハメ撮りに積極的になるっつうシナリオも描けるから、悪くねえんだ」
そこで虎はたこ焼きを一気食いしてから、声を張り上げる。
「でも俺が嫌なんだよ~~! アナグマは俺のなのにぃ!」
「親父を抱かせようとしてるくせに……」
「お父さんは別だろ! むしろ俺は家族仲が良くなる方が嬉しいから、お前とお父さんにはもっと仲良くなってほしいんだよ!」
「セックスで家族仲が良くなるかなあ?!」
たびたび思うけど雄妖精のセックスって軽すぎるから、友好を深める意味でしかないよな。そりゃ家族って概念もないなら、近親相姦なんて衆目にさらして欲望を得る手段の一つ程度の考えなんだろう。
人について詳しくて優しい好青年なんだけど、やっぱり妖精だよなあ。
だけどおれはそんなランプトにかなり絆されているので、冷蔵庫を閉めてから虎を抱きしめる。
「別に一回やるだけだろ。何が変わるわけじゃない」
「そりゃそうかもだけどさあ……」
そこで虎は何がおかしいのか、急に緩い笑みを見せてきた。
「んへへ、なんかこういうの良いな。恋人っぽい」
「そうか?」
「映画とかで見たぞ。ふてくされた相手を抱きしめてなだめるシーン。そうするとなんですぐ許しちまうんだろうと思ったけど……うん、悪い気はしねえ」
太く黄色い腕で抱き返しながら、ランプトは尻尾を弾ませる。向こうの方がずっと体格がいいので、結局おれが収まる形になった。
「でもこういう時って、たいていキスもセットじゃねえの?」
「わかったよ」
少し背伸びして口を合わせると、それで虎の機嫌は完全に直ったようだ。
「んへへ、しょうがねえな。俺らの宣伝だと前向きに考えてやるか。アナグマはそれでいいのか?」
「まあ向こうがそう言うなら。親父を差し出すよりはね」
「なんだー? ひょっとしてやる気なのか? 俺さみしいぜ」
「仕事なもんで♡」
いつかの意趣返しをしてやると一瞬だけ虎が鼻白んだが、すぐさま大笑いに移行する。
そのまま抱き上げられてソファに倒れこむが、筋肉のおかげか全く痛くなかった。おっぱいがクッションのようにおれの顔を包むけど、にぎやかな声は子守歌とは程遠い。
「あはは! なら仕方ねえ! 仕事だもんな! どうせなら俺のアナグマがいい男だってこと、見せつけてきてくれよ!」
「確約はできないけど、まあ、頑張るよ」
向こうもランプト並みにいい男だからさ。何度も言うけど、おれは本当に平々凡々なホモなんだよ。
果たしてこいつの言ういい男とは、雄妖精基準なのかランプトだけの基準なのか。前者であってくれればいいけど。
「でも何かあればすぐ助けを求めてくれよ。俺らはパソコンから向こうを監視できるからな」
「何それ、初耳なんだけど。こわ」
「あれ、言ってなかったか。サイト経由で願いを取る応用みたいなもんでな、魔法を使ってパソコン画面をカメラにできるんだ。ほら、そもそも俺がどうやってアナグマを見つけ出したんだって話になるだろ」
「あーまあ、確かに。あの時はそれどころじゃなかったから……ってことは、サイト見てしこってたのも……」
「ばっちり見てる。だからちんぽでかいって知ってたわけだ。でもこれはプライバシーの侵害だし多用はしてねえ。サイトの信用にも関わるから、王が制限をかけてんだ。あくまで俺のパートナー探しに使っただけだからな」
妖精の口からプライバシーの侵害って単語出てくるのいまだ慣れないな。ネットリテラシーもそうだけど、よく教育されてるわけだ。
「でもお前に何かあるのは問題だから、その時は全力で使う。だから安心して抱いてこい!」
その何かある前提の話をされると逆に怖いんだけど。おれ、本当に取って食われるのかな……。
なんて少しの不安を抱えながら、啖呵を切ったことをちょっとだけ後悔していた。
****
『友人の彼氏と遊んでもらった♡♡見た目貧弱そうで気乗りしなかったけど、ちんぽ見た瞬間マンコ濡れちまって、俺の方から股開いちまった♡♡子宮まで来て孕ませようとしてくんのマジ最高っ♡ハメ撮り好きらしくて気が合うから、今度動画呼びてえな♡♡』
という投稿には、おれの生ハメ後の汚れ切ったちんぽで目隠ししたむっちり緑トカゲの写真がついている。この前のランプトと同じ構図にしたのはわざとだ。トカゲは舌から涎を垂らしながらピースしていて、ものすごくエッチだった。
親父とは違って腹が膨らんでいないタイプのガチムチだったが、抱き心地がよすぎた。しかも乳首にピアスつけてて、雄を誘う気満々。完全に界隈になじんでいた。何事もなく終わって何よりだが、個人的な連絡先は押さえられている。
『そんでこれが今回のやつ♡こんなにアクメしたの久々すぎてまだマンコうずいて止まんね♡今日は仕事絶対手につかねー♡♡雌アクメが体中に残ってる気がするぜ♡♡』
トカゲの設定上、昼は社会人ということになっている。その投稿にはおれのちんぽでごりごりに犯されてアヘ狂っている動画が付随していた。おれが顔出しNGというのもあるが、トカゲのムチムチな肉体が画面いっぱいに埋まり、正常位で潮吹きしてる光景はなかなか圧巻だ。
でも、今のおれはそんな思い出に浸っている余裕なんてない。
「……これがお前の新しい仕事か?」
テーブルを挟んだ向かい側、親父が何とも言えない顔でおれを見ているのだから。
間に置かれたスマホからはトカゲのあへあへとした嬌声が垂れ流しになっており、おれの胃が死んでいる。ランプトがいてくれればよかったのだが、あいつは動画編集のために引きこもっていた。対抗心が燃えているのか、絶対これよりエッチなものにする! と張り切っていた手前、止めるのもはばかられた。
「えと、まあ、そういうことになるかな……」
「そうか……」
帰宅したばかりの親父はスーツ姿のままで、威圧感がすごい。ただでさえ顔立ちとひげでこわもてなのだ、昔から何もしてなくてもにらんでいると言われる作りをしている。
リビングに来て早々これを見せられたおれは生きた心地がしない。最近の親父はおとなしかったけど、さすがにこれは看過されないだろう。
「親父はどうしてこれを……?」
「ランプトさんが教えてくれた。私の写真を撮るために、お前が体を張ってくれたと」
「そ、そっかあ……」
別にそれは言わなくていいと思うな! わざわざ親父の神経を逆なでしないでほしい!
こんなの絶対怒られるに決まってる!
だけど親父は何度か言いかけた口を開閉して、言葉を濁している。最近はずっとそうだ。おれの前で煮え切らない態度を取って、怒ることもなく戻っていく。
それでも今日は違った。ややあって語り掛けられたのは、おれが予想もしない内容だった。
「正直に言ってしまえば、私はお前になんと言うべきなのかわからない」
「へ?」
「普通に考えたらやめろと言うべきなのかもしれないが、お前がようやく真面目に仕事をする気になったのだから、応援した方がいいのかもしれないと思っている」
「お、親父? どうしたんだ? いつもならこんなもの汚らわしいとか怒ってるだろ? 親父はだって、自分が正しいと思ったもの以外、絶対認めないのに……」
「そうだな、私はそういう男だった」
あまりにしおらしすぎる。おれの知ってる親父じゃない。
おれが動揺している姿を見て、親父は力なく笑う。ランプトが来るまでは怒り狂ったところしか見ていなかったから、笑顔を向けられるのはずいぶん久しぶりなように感じる。
「だが、それでは駄目だとランプトさんが教えてくれてな。本当に今更だが……私はお前たちを愛していたんだよ」
「え、ええ?! 本当にどうしたんだ親父?! ランプトに何言われたんだ?」
「少しな。お前たちが私のことを心配してくれていたのに、私はそれに気付かなかった。そればかりか、今度はお前まで無くしてしまうところだった」
何を言っているのかわからないんだけど、親父は親父なりに自分のことを反省しているようだった。ランプトは本当に何を言ったんだろうか。
「ここ最近はずっと考えていた。私は、あまり良い父親ではなかったのだなあと」
「そ、そんなことないって。おれみたいなひきこもりを息子に持たせて、申し訳ないと思ってるし……」
「だが、お前が戻ってきた時、もっと優しくすべきだった。そのお詫びというわけではないが、お前のやることにできるだけ付き合おうと思っている」
「でも、それってほら……最終的におれと親父がさ……」
さすがに言葉を濁してしまったがどうなるのかはわかるだろう。ランプトの計画通りにいけば、おれらはやるのだ。
親父は物憂げに目を伏せて考え込んでいたが、やがてため息とともに言葉を吐き出した。
「……お前がいいなら」
「まじかよ……」
本当に分からん。親父はどうしちまったんだ!
何が親父に決意させたのかは知らないが、このままじゃおれが親父を抱いてしまう!
でも親父からは弱々しいとかそういう印象を全く受けない。言葉こそしおらしいが、おれの目をしっかりと見つめ返してくる。自分で考えて決めたんだろう。なんでそんな結論になったのかわからないという一点さえ除けば、今の親父は好ましいまである。
あんなにホモ行為を嫌悪してたのに。どういう風の吹き回しか。
こうなったらやけになって、おれは親父の胸倉をつかんで唇を奪った。
「……んおぉ?!」
血のつながった熊同士での口づけは一瞬で終わったが、親父はぽかんとしたまま。怒るでもなくただじっとこちらを見る目には、昔のような優しさがあった。
「……これでも、いいってのかよ」
そんな目で見つめられたからなのか、おれの中から罪悪感が湧いて顔をそらす。急にふと昔のことが思い起こされてしまって、恥ずかしくなってきた。小さい頃はパパが大好きだったよ。
「ああ、好きにしてくれ」
「そうかい……」
わかんねえ。全くわかんねえよ。
一番わかんねえのは、親父とキスしたっていうのに全然嫌じゃない自分だ。あのまま行けば先ができると、確信すらあった。
「親父、おれは今の親父の方が好きだ。けど、本当に息子とやっていいと思ってるなんて、おれの知ってる親父じゃありえない」
「……そうだろうな。私も気の迷いなんじゃないかと思っている」
「わかってるならいいけどさ……」
おれは高鳴り始めた心臓をごまかすように、急いで部屋へと向かった。これ以上ここにいたら本当に一線を踏み超えてしまいそうだ。
「熊笠」
だけどそんなおれを親父は止める。振り返ればそこにはでかい胸があって、気づけばおれは昔みたいに抱きしめられていた。
「お、親父……?!」
「お前は自分の好きなことをしなさい。私はもうとやかく言わん。お前はもう大人なのにな……私はそれを忘れていた」
「いや、それは……えっと……」
優しい言葉を言ってくれているのはわかるのだけど、さっき抱く抱かないの話をした後のこれなので、正直感情が迷子だ。出っ張った腹の弾力と胸のでかさが直にきて、良くないことを考えようとしている。
でも、耳には親父の優しさが届いているから、おれは目をつむって抱き返す。
こうして抱きしめられたこと、本当に小さい時以来かも……。
「人が変わったのか……?」
「変わりたいと思っている。今更過ぎるがな」
「そ、そうか……別に今更なんて言っても遅すぎることはないと思うぞ……うん」
「こうやってお前を抱くのも久々だ。本来なら、傷ついて帰ってきた時にすべきだった」
「それはもういいよ……おれは怒ってるわけじゃないし……」
腕の回らない黒熊の体は山さながらだ。仕事用の香料はちょっと濃くて、その中に年経た大人の匂いが混ざっている。でもこれが親父の匂いなんだと思えば、別に嫌ではない。
親父に何があったのか見当もつかないけれど。
とりあえず、今は久しぶりのぬくもりに浸っていたかった。
****
『ああ、うん。母さん? 家に着いたよ。そっちはどう?』
黒い熊の青年が部屋で電話をしている。部屋の片付きようから、来て早々だということがわかる。
『ごめんね、あなたが大変な時に離婚しちゃって……』
『いいって、タイミングが悪かっただけだから。あの父さんと一緒じゃ息が詰まるのはわかるからさ』
『あなたが仕事を辞めたことで、あの人、怒り狂っててね……居づらいならこっちに来てもいいのよ?』
『大丈夫、貯金はしてるよ。それに、母さんだって離婚したばかりで生活大変でしょ。父さんはほら、金ならあるから』
負担になりたくないと強がる息子に、母は申し訳なさそうにため息をついた。
『本当によくできた子。あの人は熊笠が失敗だと思ってるの。それが私には耐えられなかった』
『……まあ、父さんが求めるような会社には入れなかったからね』
『だからってあなたの人生なのに……あの人はすべて自分の思い通りにいかないと納得できないの。一度反抗期らしい反抗期をしてみなさい。そうすればあの人も反省するから。駄目でも私のところにくればいいの。私が離婚したところで、あの人、理由なんて絶対わかってない。何度も言ったのに……』
『あはは……おれは昔から素直だったらしいね。今もそうだけど、二人の事好きだからさ……』
『ごめんね……』
『あ! そういう意味じゃないから! あの、おれは、離婚してても、二人の事父さんと母さんだと思ってるってだけだから……!』
息子はあくまで明るい口調のまま話を続けていく。月日が経ってからの離婚だ。母親の意思は尊重したかった。
『母さんは生活が大変だろうし、親父も生活が大変になる。親父、家事なんて出来ないからさ。誰かがいないと、生活できないんだよなあ』
『そうね。でもだからってあなたが苦労を背負うことはないのに』
『おれが好きでやってるからいいんだよ。それに親父のこと、放っておけないし。ほら、あの人うるさいわりにさみしがりやでしょ』
『そう、いつもどこかに行くときはいつ帰ってくるのか聞いてくるの。それで帰ってきたらいつもより近くに座るのよ。素直じゃないの。……わかってはいるんだけどね』
長い付き合いだが、もろもろが積み重なって耐えきれなくなったのだろう。自分が緩衝材になれればよかったのにと、息子は就職で家を出たことを少し後悔していた。
でもそれは声に出さない。二人の門出を祝うかのように、無理矢理明るいトーンで会話をつなげた。
『だから母さんも、風邪とか引いて困ったときは呼んでよ。おかゆくらい作りに行くから』
『じゃあその時はお願いしようかな。あなたの元気な顔が見たいときは呼ぶわ』
『絶対仮病じゃんそれ……』
そう言いながら、親子は仲睦まじそうに笑った。
****
おれがトカゲ妖精とやってから少しして、ランプトが沈鬱な表情で編集作業をしていることに気付いた。ランプトに与えられた部屋にはなんかいいパソコンとか三枚くらいのディスプレイとか、およそ妖精という単語からかけ離れた内装になっている。
どうやら今どきの妖精という存在は、動画編集もできるらしい。魔法で何とかするとかじゃないんだ。
「大丈夫か、ランプト。ほら、お昼持ってきたぞ。最近根を詰めすぎなんじゃないか?」
「アナグマ~……」
サンドイッチを置いてから近づくと、虎はおれを引き寄せて膝に乗せた。
抱きしめて顔を腹に埋めてくるので撫でてやると、小さな耳がぴこぴこと動く。あまり裏表のないこいつだから演技ってわけでもないだろうし、何やら嫌なことがあったのだろう。
「んで、どうしたんだ?」
「うちの上司から、進捗が思わしくないってぇ……」
「そ、そうか……ってか、上司とかいたんだ……」
「上司っていうか、雄妖精と人との交流を総括する妖精な。俺がアナグマと仲良くやってるからって、最近もう数ペアお試しで作られたんだよ」
「ああ、つまり後輩ってことか。それがどうしたんだ?」
「そっちの方が、俺らより人気があるんだよ~~!」
おれを抱きながら首を傾けて、ランプトはパソコンを操作する。おなじみのフェアリーホールのランキングには、確かに見たことないコンビがちらほらあった。もともとサイトの常連だから、新顔はすぐにわかる。
見目麗しい、というよりか見目ごつい二人組は確かに目立つ。ランプトと違って、ちゃんと見栄えのいい相方を選んだようだ。
「おかげで俺が人間界にうつつを抜かしてさぼってるんじゃないかって怒られちまってさあ……。そうじゃねえんだってことを今まで撮影した動画付きで説明したところ」
「そうなのか、それはごくろうさま」
妖精って言われなかったらただのフリーランスみたいだな。と思ったけど、さすがに今言うことじゃないので黙っておいた。
確かにランプトの動画はまだ本番すら出してなくて、じわじわと過激になってはいるがランキングにあるようなものと比べたら見劣りするだろう。新顔たちは即座に耐久セックス配信とかやっているみたいで、顔出しもしててなりふり構わない感じがする。
「でも、こんなの続くわけねえんだ。過激なだけなんて相手をとっかえひっかえしないともつわけねえ。俺はそんなのしたくねえんだよぉ……」
「スタートダッシュでバズれば人気はどうとでもなるっていうのはあるからなあ……」
「それはそうだけどぉ! でも、俺が目指してるのはちげえんだ! 俺はどの動画を見ても同じ味になるんじゃなくて、その時の変化を記録していきたいの!」
一緒に仕事し始めて大体わかってきたが、ランプトは関係性を重視するオタクなんだ。エロに至るまでの空気を大事にするタイプで、やって終わりを求めてない。だからおれを恋人設定にしたし、徐々にハメ撮りにはまっていく過程を作っている。
出会ったその夜のうちに人の童貞食ったやつとは思えない発言だけど、本人はいたって真面目だったりする。
もともと家族とか恋人とか、妖精になじみの薄いものにあこがれているやつだ。それを自分なりに解釈して、サイトに新しい風を吹き込もうとしている。
問題は、それが爆発するのはどうしても遅くなるってこと。
「それはおれもわかってるよ。だから上司に認めてもらえるといいな」
「絶対認めてもらう。そのためにこれからの計画書も作ったんだ。俺とアナグマ、そしてお父さんの家族計画は絶対に邪魔させねえ!」
「しれっと嫁入りしようとするな」
弱音を吐いたことで燃え上がったのか、虎模様の尻尾がやる気十分に揺らめいている。おれは邪魔にならないよう頭を数回撫でて降りようとしたが、顎を差し出されたのでそこも撫でておいた。
「んーんへへ。アナグマも撫でるの上手になってきたな」
「そりゃ毎日やってるからな。収益もゆっくりだけど上がってるんだ、お前は自分の作りたいものを撮ればいい」
「そのつもり……なんだけど、成果が出なかったら帰って来いって言われるのかなあ。それはすげえ困る」
「新しい試みなんだろ。だったらそんな早く切ることはないんじゃないか。失敗しても損するわけじゃないんだしさ」
「だと思うんだけど……けど! 俺とアナグマとお父さんの動画が駄目出しされるの納得がいかねえ! 絶対に人気を出してみせる!」
すっかりおれらの一員になった気でいる虎は、瞳に炎を燃やしてやる気に満ちている。役目に対しての真面目さもあるが、後輩に負けてられないというプライドもあるんだろう。
おれもランプトとの生活にありがたみを感じているから、このまま何事もなく進めばいいな。じゃないと親父とやることになりそうだし。
ちょっと手持ち無沙汰になったから、後ろにあるソファに座って眺めることにした。
大きめのソファは部屋の主気取りで鎮座しているが、親父の撮影用だ。同じリビングでやったら一目瞭然だから、部屋を変えるためにわざわざ買ったんだ。
今日は買い物もなくていいし、時間に余裕がある。スマホを手に取るとさっきまで見ていた親父のSNSページがそのままになっていて、おれが話をつけてきたトカゲ妖精とのツーショットが映っていた。
もちろん顔から下だけだが、豊満でたくましい体に緑の手が這っているのは何があったのか察するには十分だ。演出とはいえ、親父がここまでやってくれることにいまだ慣れない。
トカゲの投稿には親父の腹を枕にしている写真が投稿されていて、『動画撮影NGだったけど美味そうだったからついやっちまった♡♡ゲイ初心者だったから優しくタチしたけど、今度は掘ってくれねえかな♡』なんてコメントもついていた。
「アナグマー、微弱だけど願いが届いてるぜー。なーに見てんだよ♡」
いつの間にか迫っていたランプトがおれと並んで座り込む。虎が顔を肩に預けて覗けば、隠す間もなく原因を特定される。
「ふーん、あれだけ言ってたのに、やっぱお父さんに興奮するのか。いいことじゃん♡」
「……ランプトのせいだからな」
おれは断じて自分の父親に興奮するような男ではなかったが、ここ最近はそう言えなくなってきている。
親父のアカウントは過激さを増していて、このソファに座ってオナニーをしている動画もある。おれに似たごん太デカマラを両手で激しく抜く光景は、血のつながりを超えた興奮を焚きつけてきた。
顔が見えないっていうのも拍車をかけてるよな。漏れ出る声は明らかに親父なのに、なんだか別人みたいに感じてしまう。
「お父さんはアナグマに似て、ちんぽはでかいしザーメンは多いしで、大当たりなんだよなあ♡」
「逆逆、おれが親父に似たの。どうせならひげとか生えてほしかったもんだ」
「年取ったら生えてくるかもよ。親子ってやっぱり似てるんだな。血のつながりってこういうことなんだって実感してきたぜ」
「妖精にはないから、珍しいんだろ」
「そういうこと。見ただけで親子だってわかるなんて、ちょっと不思議な感覚だなあ」
画面の親父とおれを見比べられるのが恥ずかしくて、そっと電源を落とす。ランプトはおれの肩に手を回し、頬をくっつけてきた。ごつい雄の腕に抱かれながら、子猫みたいなスキンシップ。それがランプトの魅力だと思う。本人には言わないが。
「俺、アナグマがお父さんとキスしてないって聞いてびっくりしたもんな。近親相姦の知識はあったけど、それって子どもの遺伝の話であって、同性なら問題ないからやりまくってると思ってた」
「だから最初親子丼で盛り上がってたのか……」
「なので俺は今、並行してアナグマがお父さんに興奮するように手を尽くしてるわけ」
「なんでそんな余計なことするんだよ……」
おれが親父に発情するようになったらどうするんだよ。ただでさえ見た目だけならゲイ受けすさまじいんだぞ。
「前にも言ったと思うけどさ、血筋とかにあこがれてるんだ。血は水よりも濃いって言うだろ。じいちゃんの話を聞きながら、俺にもあったらいいなってずっと思ってた」
「そんないいもんじゃねえと思うけど……要するにセックスで仲良くさせようっていう魂胆、まだあきらめてなかったのかよ」
「んへへ♡どうせやるなら仲良くなってほしいじゃん。だから俺はアナグマを選んだんだからな。アナグマだってお父さんの事、大事にしてるだろ」
「それは……まあそうかもな」
今までのやり取りを見れば、把握されるのも当然か。
おれはなんだかんだ言われても、親父のことは嫌いになれない。ちょっと前は確かに口うるさいし、ゲイにも理解がなかったから辛辣な言葉が多かった。
けど、それより前は確かに優しかったんだよな。
煮え切らないおれの言葉をどう受け取ったのか、虎はさらに抱き寄せながら嬉々として口火を切った。
「俺さーもう言っちまうけど、人間界には恋しに来てんだよ」
唐突の爆弾発言に、思わず面食らってしまった。
でも冷静に考えたら、関係性にあこがれを抱くこいつらしいなと思った。そもそも最初の設定の時点で、自分の好みだって言ってたもんな。
「そうなのか」
「お、全然驚かねえな。わかりやすかったか? でも仕事は真面目にしてるから許してくれよ」
んへへ、といつもの緩い笑顔を向けられると心が温かくなるから。おれは体重を預けたまま、傾聴の姿勢を取った。
「家族とか恋人とか、そういうこっちの世界での当たり前が欲しかったんだ。妖精にも恋はあるけど、こっちほどしっかりしてなくてな。次の日には別の妖精を恋人だって言ってたりするのが往々にしてある。要は妖精にとって恋人ってのは、その日の気分で決めるコーディネートみたいなもんなんだ」
「家族とかないなら結婚もないだろうしな、そういう枠組みって考えがないんだな」
「そう、だから俺はそれが嫌でさー。人間界と協力するための企画が進行してるって聞いて、すぐさま飛びついた。じいちゃんは俺の事気にかけてくれてたから、それからはもー勉強勉強。パソコンなんてほとんど触ったことねえのに、動画編集とかいろいろかじったぜ。これでも雄妖精界じゃ動画撮影技能で王宮に就職できるくらいなんだぜ」
急に動画撮影技能で王宮に就職できるとか言われてもイメージが追い付かない。ファンタジーと現代文明の混ぜ方が適当だから、拒否反応起こってるって。
でもこいつの話はおれの想定通りで、ツッコミはするが特に驚くことでもなかった。努力家なことなんて、家での作業を見てればわかる。ランプトはいつだって全力を出している。
血筋とかそういうものへのあこがれや、配信を成功させたいというやる気。今まで憧れてきたすべて手に入れようとまい進する姿は本当にまぶしいくらいだ。
「でも俺は妖精だから。本当の恋を知らねえ」
小さくつぶやかれた声音は硬く、さみしそうな色をしていた。
だけどこっちに向き直った時には明るく元気な笑顔に戻っていて、ランプトの気遣いの一端が見えた気がした。
「だからそういうのも含めて、俺は人間界でもっと勉強してえんだ。そのためにも頑張らないとな!」
「もう十分頑張ってるだろ。妖精の労働基準法、どうなってるんだよ」
「んー、労働って一部のもの好きがする行為だからなあ。配信で集めた願いを配ってるおかげで最低限の生活はできてるから、基準とかいらねえんだ」
「文明社会の中に妖精社会が垣間見えるとまじで脳が処理に困るな……」
おれは本当に雄妖精界ってもんにどういうイメージを持てばいいんだろうな。
とはいえ、軽口を叩きながらも、手にバトンを渡された気分だった。ランプトがしゃべったんだから次はおまえの番、なんて無言の圧力を勝手に感じて、勝手に折れて。誰も求めてないのにおれの口は動いていた。
「親父はさ、真面目過ぎるんだよ。社会的規範をものすごく大事にしてる。そのせいでおれはああすべきとか、こうすべきとか、正解を押し付けようとしてくるんだ」
「でもそれはアナグマのためだってこと、本人もわかってる」
「おれに対しての理解が深すぎる……でもそうだよ、だから嫌いになれねえんだよなあ……。あの人、おれを怒るときに恥ずかしいとかそういう外聞に関しては一切言わねえの。ただ真面目にしろとか、これから先どうするとか、おれの心配ばっかり」
「愛されてるじゃん。羨ましい」
「みたいだな。この前そう言われてびっくりした。不出来な息子を見てられないってだけかと思ってたよ。後は言い方さえ何とかしてくれりゃ、母さんとも離婚しなかったのにな」
そんな母さん曰く、親父のあの押し付けるような言い方はそれしか知らないからだそうだ。
おれという息子に対してどう接していいのかわからない。きちんと出世して家庭を持っていた親父にとって、仕事を辞めたゲイの息子なんて埒外なんだろう。
「まっ、簡単に言えば、おれはいい息子じゃないから、親父の覚えが悪い。そんだけだ」
「素直じゃねえのは血筋か。アナグマはいい息子だぞ。理想ばっかり追ってる俺が言うんだ、間違いねえよ」
にぃっと笑って衒いもなく言われるから、おれは言葉に詰まってしまった。多分おれは他の誰かにそう言ってほしかったんだと思う。そうすれば、親父の雷にもちょっとは胸を張って言い返せたのにな。
おれも親父も、二人だとぎくしゃくして会話にならない。だから緩衝材として、ランプトがいるんだ。
「それに、お父さんだって変わろうとしてる」
「お前のおかげでな。何をしたのか未だにわかんねえんだけど……」
「別に大したことじゃねえよ。アナグマがいい息子だから、お父さんも考え直してくれたってだけだぜ」
「またこいつは恥ずかしいことをストレートに……」
でもそれがこいつのいいところでもある。聞いてるこっちが恥ずかしくなるようなことを、平気で言ってのけるんだ。
ランプトは明るい毛皮を揺らしながら自分のスマホを取り出して、こちらに向ける。そこには全裸正常位で股を広げる親父が全面に映っていた。
胸に白月を持つガチムチラウンド髭の黒熊。間違いない親父だ。
親父がなんかすげえ格好してる!
「な、んだこれ……?!」
「お父さん、アナグマのためにって頑張ってるんだぞ♡」
ラウンドひげに包まれた顔は羞恥で動きがぎこちなく、ぶっとい太ももが閉じようか悩んでいる。ドーム状の腹は余分な段差などない半円で、ぱっつんぱっつんに膨らんでちんぽを抑えている。おかげで親父の巨根は腹にそってしか立つことができず……いや、待て、親父勃起してる……こんな体勢をしながらか?
「お父さんさ、初心者とは思えないほど適応が早いんだぜ♡お母さんがいなくなって、相当溜まってたんだろうな♡♡ホモセックスのために慣らしながら、毎日射精してんだ♡そういうところも親子そっくりだろ♡」
やかましいと一喝すればいいのに、おれの口からは言葉が出なかった。
腹肉を持ち上げようと頑張るちんぽは年のわりに硬く、食い込んでいるのがわかる。へそまで続く陰毛のジャングルはちんぽのためのクッションみたいだ。画面を反転にすれば、ベッドに横たわる大蛇が完成するだろう。
下から縞模様の手、おそらくランプトの手が伸びてきて、親父のケツに指が沈む。張りの良さは毛皮があってもごまかせない。そっと尻肉を割れば、綺麗なアナルが露わになる。
血のつながった肉親のケツだというのに、目が離れてくれない。勃起したまま食い入るように見つめていた。
「んへへ♡すっげえ欲望垂れ流し♡もう認めちまえよ♡アナグマはお父さんを犯したいんだろ?♡俺がすぐ叶えてやるからさ♡♡」
「でも、親子だし……」
「いいだろ別に♡互いの気持ちがあれば、問題なんてどこにあるんだよ♡」
反論が欲望に防がれている間に、映像は進む。
親父の尻に指が一本、二本と入り込み、くちゅくちゅとかき混ぜられていく。
『んあっ♡あっ♡あっ♡』
今まで聞いたことのない、親父の艶やかな声。ひげ面は情けなく緩んでいるが、嫌悪は全く見えない。あれだけおれの性癖を嫌っていた親父が、ランプトの指で蕩けている。
『――――お゛っっっっっ♡♡♡♡♡』
いいところに当たったのか、太い体がはねる。舌を突き出してのけぞったせいでもう表情は見えないが、代わりに元気よく跳ねるちんぽが感情を代弁してくれた。
『お゛っん♡っほぉ♡ぞご、すごいっ♡♡ぎくうぅぅ♡♡おおおぉぉん♡♡♡』
「お父さんの尻、もうすげえマンコになってるぜ♡初めてやった日から毎晩ずっと開発してきたんだ♡そろそろ食いごろだぜ♡」
『おおぉん♡お゛っほぉお♡あだるっ♡そごおぉ♡おぉおぉぉ♡♡♡』
「前立腺こねくり回してやると、お父さん、すっげえ喜ぶんだよ♡あ、でもまだ処女だから、初めてはアナグマに譲るぜ♡お父さんの初めてはやっぱり息子が食べた方がいいよな♡」
親父の嬌声とランプトの解説を交互に聞いていると、頭がおかしくなりそうだった。確かにおれと親父のセックスを撮るなら事前に慣らしておく必要がある。おれはまったく考えていなかったが、親父は毎晩手マンされて喘ぎ狂っていたのだ。
分厚い体が何度も跳ね、ちんぽから透明な汁が噴く。ランプトの手腕によって、親父はすっかりアナルの快楽にはまっていた。
『んおぉ♡おっおっおほぉ~~~~♡♡♡ぎもぢいぃいぃ♡♡』
「この調子だと、初セックスはもうすぐだな♡お前もお父さんも、準備はいいみたいだし♡」
こんなの見せられて、平常心でいられるわけがねえ。さっきから股間が痛いほどいきり立っていて、今すぐにでもしこりたい気持ちでいっぱいだ。それを抑えているのは、これは親父なのだという事実だけ。
でも、だからこそ余計に興奮している。親父のオホ声はランプトより濁っていて汚い。家の中では長だと言わんばかりの態度で偉そうにしているくせに、虎の指先だけでよがっている姿にギャップを感じずにはいられない。
SNSに上げている写真だってオナニーとか全裸とかがほとんどで、こんな雌らしいものはない。ネットでも家でも、あくまで親父は家長であり雄としてふるまっているのに、その虚像がおれの中で粉々になっていく。
『んおっんおっ♡お゛おおぉぉ♡♡――――おっっっっっほおぉ♡』
「あ、メスイキしたな♡お父さん、メスイキすると中がきゅーって締まるからきっと気持ちいいぞ♡」
『ま、まっでくれ゛♡いっだ、からぁ♡おおぉん♡指、止め――っほおぉ♡♡ぎぼぢよすぎるううぅうぅ♡♡♡』
アクメを決めても快楽を注がれ続け、親父は壊れたように暴れている。
腰を突き上げて本能で逃げようとするのだが、ランプトの指は食いついて離れない。さらに嬌声が濁り、ちんぽからは濁った淫液が断続的に漏れ続けていた。
ケツ初心者にやりすぎだろ。こんなの毎日やられたら誰だっておとなしくなるわ。
「ん、これか? メスイキ十回が毎日のノルマなんだ。雄妖精だと初期でももっとやるんだけど、お父さんは人だからこれくらいかなって」
「毎日?!」
しかも抑えていてこれらしい。改めて雄妖精って性的なことに特化しすぎだろ。
つまり親父は毎朝何食わぬ顔で仕事に行っていたが、夜にこんな声を上げながらメスイキを繰り返していたと……。よく普通に仕事できてたな。そういうところは石頭の利点だと思うわ。
「でもやりすぎだ」
「え、そうなのか……。お父さんから何も言われなかったから、こんなもんだと思ってたが……ちょっと減らした方がいいか?」
「できれば。このままじゃ親父がアクメ中毒になる」
「ん? でも、その方が気持ちいいセックスができるだろ?」
「そういうところほんっとに妖精だなっ!」
血筋に対する価値観がわからないのは百歩譲っていいとしても、快楽を重視しすぎるのは一般的な妖精らしい。
ちゃんと人について勉強してきた根はやさしい好青年だから油断してた。こいつはこれでも人間界に来るのが初めての、妖精なんだ。
動画からなんとか目をそらしてランプトに人の性生活についてこんこんと諭せば、虎は肩を丸めてしゅんとなる。怒っているわけではないが、やりすぎると親父やおれが大変なのでわかってほしい。
特に親父は会社の重役だし、下手なことしてばれたら色々大変なんだ。
「……なるほどな、わかったよ。あんまりやりすぎないように注意する」
「いや、おれがちゃんと言っとけばよかったんだよな。ランプトだって、人間界初めてなんだし」
「男ってみんな毎日アクメ決めないと満足しないとばかり……これからも気づいたことがあったら何でも言ってくれよ。俺はアナグマやお父さんに迷惑はかけたくないんだ」
すごく良いやつなんだけど、妖精っていう価値観とエロ動画の見過ぎによって人のこと性欲モンスターだと思ってる節があるだろ。おれと多分親父も性欲が多いほうだから、他の人をおれら基準で語るなよ。
……自分で言ってて悲しくなってくるな。
「ってことは、やっぱ俺はいい相手を引き当てたってことか。アナグマがいてくれてよかったぜ」
前向きな虎はおれの顔にキスの雨を降らせていく。こういう感情表現がオーバーなのも、映画とかで学んだからなんだろうな。素直な性格と相まって、すごく似合ってるのでいいんだけど。
なんて考えていたら、膨らみ始めた股間を撫でられてつい体がはねる。とっさに目をやると、虎はいたずらっ子の笑みを浮かべていた。
「根詰めて疲れたし、息抜きにセックスしねえ?♡」
「さっきの話覚えてるか。人はそんな毎日盛ったりしねえの」
「でもアナグマは性欲多い方なんだろ♡だったら俺と一緒じゃん♡それに、アナグマと毎日セックスしててもなんともねえだろ♡」
「まあな……けど今日親父が早く帰ってくるから、あんまり時間取れないぞ」
「んへへ♡わかったぜ♡ならさくっと一発やっちまおうぜ♡」
少し前ならセックスをこんな手軽にするなんて考えもしなかったな。今はランプトと休憩がてらにやってるくらいで、おれも十分毒されてきている。
けど、おれは性欲が多いほうだし、これくらいの方が毎日楽しい。
さっきの忠言もおれという反例のせいでどこまで響いてるのか怪しいもんだ。
「あ、でもさ……」
おれの額にキスを落として、虎は柔らかく笑った。
「もしアナグマが本当に俺と恋をしてみたいって言うのなら、いつでも大歓迎だぜ。妄想の恋人セックスしか知らねえ俺に、たくさん教えてくれよ♡」
それにすぐさま答えられるようなら、今まで童貞やってねえ。
おれは自分がなんで今まで童貞だったのかを噛み締めながら、赤らんだ顔で目をそらした。
****
暗い部屋にコール音が鳴る。布団にくるまっていた熊が手を伸ばすと、スマホから聞きなれた声がした。
『あ、母さん? どうしたの急に……』
『心配になって。あれからお父さんとはどう?』
『変わりないよ。毎日仕事を探せとかいつまでそうしているんだとか、小言の雨あられ。同じこと言いすぎて、よく飽きないなと思うよ』
努めて明るく返す息子だったが、帰ってきた返事は物憂げだ。
今なら虎の妖精が空気を明るくしてくれるが、この頃家には二人だけ。それは熊笠にとって、厳しい環境だった。
『その声、泣いてたでしょ』
『……なんで』
布団を握って言葉を詰まらせると、向こうの声がさらに硬くなる。失敗したなと思ったが、今更取り繕えはしない。だからわざわざ電話だったのだと、息子は母の手際の良さに舌を巻く。
『何年一緒にいたと思ってるの。お父さんから、何か言われたんでしょ』
『……まあね』
こうなったらもう隠す必要もないと、沈んだ声で続けた。
『さっき、親父が部屋に入ってきて……まあちょっと怒られたんだ。仕事まだ決まってないのが気に入らないみたいでさ。お前はやる気が足りない。頑張らないと社会から見捨てられるとか……そんなのばっかり』
『まだ辞めたばかりじゃない。そんなにすぐ動けるようなら辞めてないでしょ』
『親父にはわからないんだよ。おれが甘えてると思ってる。だからだらけるなって怒るんだ』
『本当にあの人は……うちに来なさい。そんなところにいたってよくなる気分もよくならないでしょ』
『それは、そうなんだけど……』
煮え切らない態度が言葉にもにじみ出ている。黒熊は少し間をおいてから、慎重に口を開く。
『ごめん、もうちょっとここにいるよ。まだ頑張れるから』
『無理しないの。私なら平気、少しは落ち着いてきてるからね』
『そうじゃなくて……いや、それもあるけど、まだ親父を一人にできないよ』
一人でリビングに座っていると、疲れがにじんだため息を吐くことを息子は知っている。酒の量も増えたことに気付いており、ここで自分がいなくなれば歯止めがかからなくなると危惧していた。
『そっか……』
返答は優しい声だった。呆れるでもなく包み込むような。
『わかった。あなたも大人だから、あまりとやかく言わない。でも、どうしても目に余るようなら、強制的に部屋から引っ張り出すからね』
『はは、母さんの細腕じゃ無理でしょ』
『あなたを叩くくらいはできるの』
『大人扱いしてないじゃん』
『いつまでたっても子どもは子どもなの』
母と息子の関係は良好だ。だからどちらの意見も理解できている。
あの父親が無理だというのも、一人にはしておけないのも。
両方わかっているからこそ、あまり深くは反対できない。母親は会話をしながら、頑固なところは親子そっくりだと嬉しくもさみしい気持ちになった。
『ありがとうね、熊笠。あなたがいてくれてよかった』
『そんな大したことしてないよ。どうせひきこもってるだけだから。それより、そっちはどうなの? 風邪とか引いてない?』
そう言いながら気遣う息子の優しさが、少しでも父親に届けばいいのにと。
なんて無駄なことを願いながら、明るく声を出した。
****
緊急で話したいことがある。そうランプトに言われて、おれと親父はリビングに集まっていた。仕事帰りの親父はシャツにネクタイという完璧装備で、醸される圧も強い。パジャマ姿で隣に座ると、おもむろにランプトが口を開いた。
「この前俺が上司に怒られた話はしたと思うんだけど……」
「だからさぼってないことの証明に説明をしたって聞いてるけど……なにか芳しくなかったとか?」
「いや、実は……事態がちょっと変な方向に行っちまってさ……」
要領を得ない話し方だったが、ランプト自身も整理しあぐねている印象を受ける。そんなに大変なことなのだろうか。親父の方を見ても、いつも通りむすっとした顔で何かを考え込んでいるようだった。
「俺の後に人と契約した妖精が何人かいるって教えただろ? あいつらが少しはめをはずしすぎちまったみたいでさあ……」
「というと?」まだ要領を得ないので続きを促した。
「人から直接絞り取る願いってすげえ美味いんだよ。だから味を占めて、相手をとっかえひっかえ……つまり、契約相手じゃない奴ともやりまくってるわけ」
「それってランプトが言ってたコラボとは違うのか?」
「ちっげえ! 全然ちげえ! 見りゃわかるけど、こんなのはコラボでも何でもない。ただやってるだけだ」
テーブルに置かれたスマホには、この前見た人が確かにいろんな相手とやっているサムネが並んでいた。
「撮影っていう最低限の体裁をとっちゃいるが、クオリティは高くない。編集すらさぼってるしな。完全に自分で願いを絞るのにはまっちまってる。よくねえ傾向だ」
言われてみれば、前ランキングに乗っていた動画に比べると荒いという印象を受ける。ハメ撮りだと素人臭さもおいしいものだが、それにしても雑すぎる。
普段ランプトの作る動画ばかり見ていたせいで目が肥えているのか、顔を上げると憮然とした虎と視線がかち合う。どうやらおれも同じ意見だとばれたらしい。
「こんな品質だから視聴回数も減っているし、願いを雄妖精界に送れねえ。これじゃあ本末転倒だ。何のために俺らがこの世界に来たのか、目的を見失ってる」
「つまり」今までの話を聞いてついに親父が口を開いた。「ランプトさんは雄妖精全員に帰還命令が出されるかもしれないと恐れているわけだな」
「そう! そういうこと! このままじゃ人との軋轢につながるし、そうしたら妖精がサイトを運営してるってのもばれちまうかもしれねえ。だったらその前に全員引き上げさせる可能性がある、っていうのが俺の意見だ。実際そういう流れもできてるらしく、上司が困ってる」
その考えはわからなくはない。ランプトの話によると、妖精の存在はできるだけ人にばらしたくないらしく、制御の利かない同胞を野放しにするとは思えない。
だったらランプト含めた全員を雄妖精界に引き揚げさせるというのも、予想できる範囲だ。
「でも!」そこでランプトが拳を振り上げて。「俺はまだ帰りたくねえ! まだまだ撮りたいものが沢山あるし、おいしい物だって食べたりねえ! それに、アナグマやお父さんとも、もっと一緒にいたい! 願いのためじゃなくて、俺の夢のために!」
虎が真剣な視線をおれらに向けると、体の底からぞくりと粟立つ感触がした。真摯な熱意はおれには熱すぎる。仕事をしていた時でさえ感じたことのない情熱という単語が、こいつにはよく似合っていた。
「じゃあどうするんだ? いくらランプトでも、王から言われたら逆らえないんだろ」
「だから、言わせない。俺だけは真面目に働いているんだってことを証明して、お目こぼしをしてもらう」
どうやって、なんて今更おれらは言わない。その方法なんて一つしかないこと、今までの事で十分わかっている。
案の定ランプトが提案してきたのも、大体想像通りだった。
「少し予定を早めて、俺とアナグマのハメ撮りを出す。今SNS上でも順調で、俺もまんざらじゃねえ感じを匂わせてる。設定上は俺が興味出てきたってところだから、一気に道を踏み外してもおかしくねえ。意外性もあるし、一発派手なのを撮れば食いつくはずだ」
「ようやく溜めの期間が終わったのか。長いような短いような不思議な感じだったな」
「これからセックスのバリエーション考えねえとなあ。それで……二人に頼みがあるんだ」
今更かしこまって、虎がこちらをうかがう。
「顔を隠す予定だったけど、それなしにしてもいいか? いつか親子でやるって関係上、顔は見せたいんだ。二人は並べば似てるし、血を感じる。絶対話題になるはずなんだ」
「えっ?! 待て待て、最悪おれはひきこもってるからいいけど、親父は無理だろ。会社にばれたらろくなことになんねえって!」
「そうだな、私も遠慮したいところだが……」
そこで親父がおれに視線を向ける。前までならキレながら部屋を出ていっただろうが、今はランプトの進退にも関係してきている。だからおれのためを想っての仕草なのだろう。
あの親父がこんなことをするなんて、やっぱりむず痒いな……。
「それは大丈夫! 上司にも相談して、二人の動画に魔法をかける予定だから!」
「いや、そう言われても……おれらは魔法になじみがないから、何が大丈夫なのかわかんねえよ」
「簡単に言えば認識阻害だ。二人の顔はわかるけど、それが現実世界のアナグマやお父さんとは結び付きにくくする。これで動画を見てる最中は顔がわかるし、認識はできるけど、二人だとは気づかれない」
「本当にそんなことできるのか……?」
「できる。そもそも欲望をパソコン越しに回収する技術があるんだ。魔法を届けられたっておかしくねえだろ。パソコン越しの光景を見たりもできるって前も言ったろ? 俺ら雄妖精はそういう方面に強いから、問題はねえ」
「確かに言ってたけど……上司が許してくれたんなら、問題なさそうではあるか……」
「上司にとってもこの計画が進行するかは大事だからな。選ばれた妖精が人間界で問題を起こして計画がとん挫したら、当然責任が問われる」
「今雄妖精界の話してるのか? それとも現実社会の話か?」
「こんな話くらい、中世でもあっただろ」
「そうかもだけどぉ……」
だから雄妖精界のイメージが現実社会にしかならねえんだって。ビルとかあっても驚かねえわ。
つまりおれらの動画や配信は魔法とセットになっていて、顔出ししても身元はばれないようになってるってことか。さすが魔法。逆に安心した、魔法ってすごいんだな。
日夜動画撮影や編集にかかりきりになってるランプトを見ていたら、魔法の存在が疑わしかったからな……。
「でも、そんなに強い魔法をかけられないから、あくまでばれにくくするっていう程度だ。もし二人のことが好きで好きでたまらないって人が見たら、ばれる可能性がある。それに転載とかされると効果が薄まるっていう問題もあるから、完全な対策とは言えねえんだ」
「じゃあ、それはちょっと……」
今度はおれが親父を見る。真面目に働いて今の地位を手にした親父にしてみれば、こんなリスクを負うなんて考えられないはずだ。
それに、おれのせいで親父が不幸になってほしくない。ただでさえ巻き込まれて尻の開発をされてるのに。この前ランプトが見せてくれたあの動画……いや考えるな、エロすぎて立つ。
「私は構わん」
だが、雑念を振り払っている間に、あろうことか当の本人があっさりと許諾していた。
「親父っ?! 本当に分かってるのか? もし誰かにばれたらどんなことになるのか、わからないんだぞ?!」
瞠目しているおれと違って、親父はどっしり腕を組んで構えたままだ。口持ちがわずかに歪んでいることから、不安ではあるのだろう。
ならなんで頷いたんだよ……こんなの受ける必要ねえじゃん……。
「これが最善なのだろう? 私はこういうのに疎く、てんでわからん。だからお前たちの意見に従う。それだけだ」
「だからって……ばれるかもしれねえってのに……」
「言っただろう、応援すると」
親父はそれだけ言って、ランプトの話を聞く体勢に戻る。最近ずっと思っていたことだが、今の親父は覚悟が完全に決まっている。自分が抱かれることも、顔をさらすことも、すべて受け入れているんだ。
説得したランプトもその理由をわかっているはずだ。だからおれだけがわからない。どうして親父がこんな変わってしまったのか。
「……そんなに意外か?」
こちらを見ずに問われたから、恐る恐る答えを返す。
「まあな。前までなら絶対やらなかっただろ。帰ってきてからおれの応援とか、したことなかったじゃねえか。ゲイ行為に興味が出てきたって言われた方がまだ理解できる。最近ランプトとやってるみたいだし――」
「アナグマ。言いすぎ」
「……悪い」
「いいんだ。事実だからな。私はお前にそう見えていたんだと、改めて理解した」
やんわりとランプトがたしなめてくれて助かった。このまま取り返しのつかないことを言ってしまうかもしれなかった。蓄積して積みあがった疑問が倒れてきて、存外耳障りな音を立ててしまった。
「ごほん」虎がわざとらしく咳払いで空気を入れ替えて。「ならお父さんはいいってことだな。アナグマはどうだ?」
「親父がいいんならおれも反対しねえよ。そもそも親父のリスクが一番でかいんだからな」
「よっしゃ、ありがとう二人とも! 絶対人気が出るようにするから任せてくれ!」
何はともあれ、ランプトが嬉しそうでよかった。おれとしてもランプトに帰られるのは困るから、できるだけ力になりたい。
「ん、アナグマはいつでも俺の力になってくれてるぞ。おいしいご飯をいつもありがとうな」
「いいやつ……!」
こんなことを臆面もなく言える奴だから、恋人くらいすぐにできそうな気がする。つまり、放置してちゃ駄目だってことだ。
でもこんないい男とおれが釣り合うなんて到底思えねえ。体も技能も、ランプトは努力して手に入れている。おれなんかじゃ……。
「そ、そうだな……」なんだか親父がぼそぼそと。「お前にはいつも……助けられている」
「親父っ?!」
なんだなんだと驚いてしまうが、親父は照れくさそうに眼を伏せている。そうしていると普通に好みだから困る。本当に困る。
「そうと決まればさっそく準備しねえとな! 上司も協力してくれるから、今までより規模のでかい動画を撮れそうなんだ。んへへ、腕が鳴るぜ!」
虎はおれと親父を生温かい目で見つめている。血筋とかはわからないにしても、感情はあるんだ。おれらの間にあるぎこちない空気なんて、とっくにばれてるに決まってる。
「今からさっそく相談してくるんで、ちょっと家を空けるぞ。その間、親子水入らずで楽しんでくれ」
気を利かせられる奴だから、こういう時の行動も素早い。ランプトは挨拶を手短に済ませてから、その姿を颯爽と消した。フリーランス的な行動しかしてないから忘れがちだが、こいつも魔法を使えるんだよな。目の前でやられると、まだ多少びっくりする。
「…………」
だけどランプトがいなくなったとたん、空気が重く感じられる。あの明るい黄色が視界にないと、部屋には黒しか残らない。
「親父、さっきはごめん。言い過ぎた」
「いいんだ。私の日ごろの行いが悪かったせいだ。気にしていない」
そしてまた沈黙。おれも親父も、今更どうやって会話していたのか思い出せない。
考えてみれば、ブラック辞めて帰ってきてからまともな会話をした記憶がない。親父は正論を押し付けるばかりで、おれはそれから逃げていたから。
「……してみるか?」
そんな重苦しい圧の中、親父が何かを言った。
「え、もう一回言ってくれ」
「予行練習をしてみるかと言ったんだ」
「練習って……なんの?」
「決まっているだろう。……子作りだ」
おれは言葉が止まった。親父が変わったとは思っていたが、まさかセックスを打診されるとは想像だにしていなかったのだ。
山のような黒い熊の体はわずかに揺れているが、おれをまっすぐに見つめている。親父が本気なのだということが、嫌でも伝わってきていた。
「わかんねえよ……なんで親父はそんな急に変わっちまったんだよ」
「言っただろう。私はお前のことを応援すると。今の私にできることは、それくらいしかない」
「だからなんで。親父は……」
今は止めてくれるランプとはいない。だけど、言うなら今しかないと思った。
隣に座る親父の視線を受け止めて、ゆっくりと口を開いた。
「おれの事なんて、出来損ないだと思ってるだろ。仕事もせずに甘えてばかりで、同性愛者なんて異端だから、駄目な息子だって……」
「違うっ!」
声を荒げられて無条件に言葉が終わった。親に叫ばれるとどうしたってこうなっちまう。
だけど親父は叫んだことに対して申し訳なさそうに目を伏せる。今までそんなことなかったくせに。いつだって叫んではおれに正論を押し付けてきた。
「すまない。だが、私はお前を駄目な息子だと思ったことはない……本当だ。だから家内が……あいつがどうしてお前に対する私の態度に怒っているのか、今までわからなかった」
そう、だから母さんは父さんに愛想をつかして出ていった。親父は自分の思い通りにならないと気が済まないから。家庭も、息子も。
「私はただ、お前に幸せになってほしかった。私のように出世して、家庭を持って、そうしてくれればいいと思っていた。それが正しいのだと……」
言いづらそうに区切ってから、親父は続ける。
「だが、あいつは家を出ていき、お前も私と話した後に泣いている……違うんだ、私は家族をこんな風にしたいわけじゃない。私はお前たちを愛している。本当なんだ……」
親父があまりに痛ましそうな顔でしゃべるから、おれは言葉をかけられない。
思えば離婚してからおれが帰ってきて、親父は母さんのことについて何も言わなかった。おれに心配かけさせまいとしていたんだ。一人で酒を飲みながら抱え込んで、親父は親父なりにおれらのことを考えていた。
だけどどうしていいのかわからないから、怒鳴ってばかりだったのかもしれない。親父は不器用だから。
「ランプトさんがお前たちの会話を見せてくれなかったら、私はずっと勘違いしたままだった。お前はいつでもここを出ていけるのに、私のことを案じてくれている。お前は優しい子だ……」
「ランプトがおれらの会話を見せたって……もしかして、パソコン越しの映像が見れるってやつ……?」
「そうだ。妖精はパソコンを通していろんな景色を見れるようで、お前があいつと話している光景を見せてもらった。どうやら過去の映像を録画していたようだな」
「それでか……」
ここにきて急に魔法の存在感が出てきたな。つまりおれが母さんと話した内容も、おれが泣いてるってことも全部ばれてて、親父はこんな態度になったわけか……。
「それに自分を客観的に見ると、なんてひどい親なんだろうと思うんだ。ただ怒鳴りながら自分の考えを押し付ける様を見て、あまりに情けなくて泣きそうになった。私はこんな親になりたかったわけじゃなかったのに……」
ああそうか、過去の映像が見れるってことは自分のやってたことも押し付けられるんだ。冷静になって見返したらかなりダメージが高かったのか。昔の親父はもうちょっとマイルドだったもんな。
「親父は不器用だから……それに、離婚したばかりで大変だっただろ……」
「それでもお前は私をかばってくれるのか。そうだな、お前は最初から、私のことを心配してくれていた。それなのに私ときたら……」
そこで親父は体全体を回し、おれとすべてで向かい合う。
「熊笠。私は仕事より、お前の方が大事だ。私が働くのは家族に楽をさせるためでしかない。そのはずだったのに……私は間違えてしまった。働いていればいい父親だろうと甘えてあいつを無くし、さらにはお前まで出て行ってしまうところだった……」
「親父は仕事が好きなんだとばかり……」
「もちろんやりがいは感じている。だがそれは家族を犠牲にするほどではない。だからお前がいいのなら、どうか、愚かな父の罪滅ぼしだと思って受け取ってほしい」
「じゃあ、親父は別におれとしたいわけじゃないってことか……?」
考えてみれば当然だ。なにせ親父はかなり頑固な石頭。変わろうとする気概はあるけれど、さすがに親子でやるのはハードルが高すぎる。
「それは、そうだな……親子で、と思う気持ちは当然ある。だが、私の凝り固まった考えがお前を害していたんだ。少しは羽目を外してもいいだろう。同性愛者にしても、私の偏見だったわけだからな。ランプトさんと話しているお前は本当に楽しそうで、だからこそ、私が間違っていたんだと思わされるんだ」
やっぱり覚悟が決まりすぎている。社会的に駄目だとしても、それがおれのためになるのなら受け入れていた。
「それに……ランプトさんから、体を合わせればより仲が深まると。もっと話せばいいのにとも言われているが、お前とどう話せばいいのかわからないんだ。また間違えるくらいなら、私はなんでもするつもりだ」
「それは絶対唆されてる! あいつにとってセックスは……いや、まあ、確かにそれでランプトと仲良くなった気はするけど……!」
出会い頭に童貞食われているせいで絆されているので否定材料が乏しかった。それだけでは当然ないけれど、原因の一端を担っているのは間違いない。おれの馬鹿。
「ならいい。私はお前の好みだと言われている。悪いが、証拠としてはしたないサイトにあるお前のお気に入りを教えてもらったからな……」
「あいつ! 職権乱用が過ぎるだろ!」
親に性癖ばれはさすがにアウトだ! ああ畜生、妖精だから親にばれる恥ずかしさがわかってねえな! 今度絶対教えてやる! もうばれて恥ずかしいものはねえけど!
「だから、私のことは気にせず、お前はランプトさんとどうやって人気を出すのかを考えればいい。それがお前の仕事だというのなら、私は何も言わない」
「親父……」
ここでおれが拒めば親父はもう抱かれようとはしないだろう。
でもおれは親父が毎晩ランプトと開発しているのは知っている。変わりたいと願っておれの性癖を受け入れ、尻を開発してるんだぞ。あの親父が。
あと、親父とどうやって話せばいいのかわからないのはおれも同じだ。仕事という体裁で動画の話をすることでようやく会話ができている。共通の話題という意味では、親父も似たようなものだと思う。
受け入れていいのかと問う心の声は現代価値観の忌避だ。でも親父はそれを凝り固まった声と言う。
それならまあ、おれも見習うか。親父がこんなに覚悟決めてるんだぞ。
「わかった。後悔するなよ」
「今以上することはないと断言できる。本当はあいつが出ていったときに気付くべきだった」
だったらもうとやかく言うのも野暮だろう。おれは向かい合った親父の腹を軽く押して、湾曲にそって指を這わせていく。
でかく硬く膨らんだ腹はシャツを押し上げて山を作っている。そして胸も大きく、多少腹肉にしなだれかかってはいるが、これまた立派に張り詰めていた。
太るにも才能がいるというが、親父はその典型例だろう。運動をすればするほど筋肉は応えてくれるらしく、固太りのような体形を維持できている。これで健康診断に引っかかるのは腹囲だけなの、まじで才能だって。
「う、ずいぶんといやらしい手で触るな……」
「怖気づいたならいつでも言ってくれよ」
「大丈夫だ、続けてくれ……」
どうやら親父は今ここで食われると思っているのか、硬く目をつぶって耐えることを選んだ。さすがにこんなところでするつもりもない、これは確認だ。おれが親父を抱けるのかどうか、確かめるだけ。
「親父はちゃんと運動してるよな」
「ああ、会社の健康診断で毎年言われるから、ジムくらいはな。ストレス発散にもちょうどよかった。ただ、どうにも腹だけはへこまないものでな……」
「いいんじゃねえの。おれは好きだよ、この腹」
「そ、そうか……」
結論、抱ける。全然普通に抱ける。
一瞬で答えが出たわ。なんだこの腹、肉がぎっちぎりじゃねえか。固太りって簡単にくくっていい腹じゃない。レスラーって言っても通じるだろ。
もともと親父は学生時代ラグビーをしてたから、運動自体は得意だ。体格がいいから誘われて、そこそこ活躍したらしい。文武両道の才能も受け継いでほしかったな。
こうなったら胸も気になってきた。腹肉との境目に手を差し込めば、案の定ずっしりとした肉の重みを感じられる。シャツがなければもっと奥まで差し込めただろうが、これでも十分すごい。というかまだ奥があるのに驚きだ、どれだけ胸がでかいんだ。
「熊笠……お前、すごい顔をしているぞ」
「うっ、やっぱり……?」
「そんなに欲情しているのか……私に」
「やっていいって言ったのは親父だろ」
「それはそうだが……続けてくれ」
とは言われても、今は抱くつもりなんてないんだ。これ以上やったらおれが止まれなくなる。
ちょっと会話を挟んだことで理性が少し戻ってきた。手を放して終わりと告げると、親父のひげ面が複雑そうな顔になる。どうして止めたのだと、その視線は問うていた。
「別に今日はやらないって。親父の覚悟も見たし」
「試したのか。まあいい、私としてもお前がやれそうだということがわかった。まさか本当に私に欲情するとは……思わなかったが……」
ちょっと残った歯切れの悪さはまだ社会的価値観を噛み砕けていない証拠だろう。むしろ石頭が怒りださなかっただけでも十分成長だと思う。
だけど親父が次に言葉を吐くときに浮かんだ表情は、まぎれもない安堵だった。
「だが、悪い気はしないな」
「……いいんだ、息子に興奮されても」
「嫌われるよりはずっといい。お前には嫌われてもおかしくないことをしたと思っている」
「そんなに家族が好きなら、もっと早く気付けばよかったのに……」
「耳が痛いな……」
そうしたら母さんだって家を出ていかなかったのにとは思うが、そんなことは本人が痛いほどわかっているはずだ。おれが言うことじゃない。
だけど、これだけは言っておかなくちゃいけない。おれは親父の太い首に抱き着いて、甘えるように頬を当てる。こんなことができるなんて、少し前は全く思ってなかった。
「おれは別に、親父が抱かせてくれなくても嫌いにならないから」
「わかっている。お前はそういう子だ。だが、私はお前の役に立ちたいんだ。それに……今まで嫌悪してきた同性愛的な行為をよく知るべきだと思った。私は頭が固いから、自分で体感しなければ納得できないんだ。それがお前に対する贖罪でもある。愚かな父を許してくれ……お前はずっと、私たちの息子でいてくれたのに……」
「いいって、そんなの。おれはずっと前から許してる。愛してるよ、親父」
「私もだ」
抱き返してきた腕は少し震えていて、それは言葉も同じだ。おれは初めて、親父が自分から弱さを見せてくれたと思った。
休日だってのに服をしっかり整えるのもそう。親父はおれに模範を示し続けてきた。こうあるべきと決めて自分にも当てはめてきたから、それ以外を認めなかった。
母さんがいなくなって、おれの目の届かないところで酒を増やしたのも同じ理由だろう。でもおれは気付いていたし、親父ならそうすると思っていた。だから一人にはできないって、ずっと言ってる。このままおれがいなくなれば、誰もこの人を止められない。
「あんまり酒を飲みすぎるなよ。親父には健康でいてもらわないと困るんだ」
「そうだな……気を付ける。お前は前から気付いていたんだな。私が、お前たちがいないと駄目だってことに……」
「まあ、親子だし……」
頭は固いし人の話は聞かないけど、親父は本当におれらを愛してくれている。ただちょっとすれ違ってただけ。親父は自分からこういう話をしないせいで、今まで直す機会がなかった。もっと人の話を聞けとは思うが、そのせいで痛い目を見たのでもういいよ。
そういう意味でもランプトが来てくれてよかった。だから、あいつが残りたいって言うなら、おれも協力する。
もう親父を抱けることもわかったし、気負いもない。そもそも性欲って観点から見ると、親父は本当にエッチだからな。その才能を少しでもわけてほしいと何度思ったか。
後はおれも覚悟を決めるだけ。あいつの求めるちょっとSの入った撮影好きな彼氏になるって。
……でも童貞止めたばかりのおれには、ハードルが高くないかな。
****
さびれた公衆トイレに大型の虎が一人立っている。窓の外を見れば黒一色で、深夜だというのがわかるだろう。小便器の前にいる虎は靴だけを履いたほぼ全裸であり、鍛え上げた肉体とふてぶてしい一物を惜しげもなくさらしていた。
「な、なあ、本当にここでするのか? 誰か来たらどうするんだよ……」
だが、今の虎は肉体の雄々しさには似つかわしくないほど弱気な態度で、太い眉もおびえに歪ませている。肩を丸めた姿勢には従順がうかがえて、逆らう気などないと言外に語っているようだった。
「ハメ撮りって、ベッドでやるもんだとばかり……え、たまにはいいだろって……それはお前だけだろ。自分だけ服着やがって……」
すねたような声を出すが、本気で怒っているわけではない。これまで動画を見てきた人なら、この虎が怯えの中に興奮を混ぜているのにも気付くだろう。
実際虎の一物は徐々に硬度を上げており、へそを優に超える巨根が存在感を出し始めていた。
「んで、なにすりゃいいんだよ……は? ここに手をついて尻を出せって、お前まさか、ここでやるつもりか?!」
小便器の上にある段差を見てから、虎は驚愕の視線をカメラに注いだ。
「お、おま……無理に決まってるだろ! お前のちんぽ突っ込まれて、俺が声を抑えられるわけねえって! そしたら絶対ばれる!」
そのあと押し問答が少し続き、いつも通り虎が劣勢だ。
結局虎の拒否なんてものは、もっと激しくしてほしいというアピールに他ならない。見ている人に都合のいい妄想を抱かせる男。視聴者から見た虎はそういう男だ。
「なあ、頼むって。他の事なら何でもするからさ。ここはさすがにまずいって。ただでさえ最近顔出しの動画ばっかり上げてるだろ。身バレしないか冷や冷やしてんだぞ」
すると彼氏らしい黒熊の男はズボンから一物を取り出した。これさえあれば虎が言うことを聞くとわかっている手慣れた動作だ。
「……んおぉ♡」
案の定、虎の表情は蕩けた。
まるでマタタビを嗅がされたかのように一瞬で瞳が濁り、反論から語気が失われていく。無意識に屈強な股が閉じることが、すでに格付け済みの証だった。
「は? ここで抱かせなかったら他に行くって……あのトカゲか?! あいつ、お前のちんぽ食ってから調子乗ってるだろ! お前の彼氏は俺なんだぞ!」
最初にハメ撮りをしてからというもの、トカゲと黒熊の動画は何本か上がっている。そのどれもでトカゲが普段以上に喘ぎ狂っていて、熊ちんぽが気に入っているのは明らかだ。
そして、虎がそれに対してよく思ってないというのも、視聴者なら誰もが知っていることだった。
「た、確かにあいつなら乗ってくれるだろうけどさ……」
虎が言いよどんでいるうちに。熊ちんぽには芯が入っていく。雄々しい虎よりさらに雄々しく、凶器のような形が完全体へと変わる。太い血管がいくつも走るそれはグロテスクだが魅力的で、現に虎は目が離せないようだった。
「うおぉ♡でっか♡いつ見てもやっべ♡」
完全に格付けされたマンコがうずいているのか、虎は屈強な腰をへこへこと動かして舌を出している。体では虎の圧勝だが、ちんぽだけは敗北者だ。そのせいで黒熊に逆らえず、結局いつも通りに折れるのだ。
「……わかったよ♡ここでやりゃいいんだろ♡」
小便器上の段差に手を置いて、尻を突き出す虎。寄れば豊満に鍛え上げた臀部が画面いっぱいに広がって、その中心では無毛のつぼみが開花を待っているのが映る。
そこは濡れていて、少しついた泡がすぼまりのひくつきに合わせて呼吸のように揺れている。ここに来るまでにほぐしてきたのか、ハメられる準備はすでに整っていた。
「んっ♡お前って本当に俺のおマンコ撮るの好きだよな♡変態♡しょうがねえから、ここでやってやるよ♡」
尻をくねらせて卑猥な踊りを披露する虎から映像は横に逸れ、くの字に曲がる体を収められる位置へと移動する。アングルが下からのものに変われば、誰もがカメラを置いたのだとわかるだろう。
画面に黒熊の足が入り、そのまま虎の後ろへと。極悪凶器ちんぽで尻を叩けば、媚びた声と共に縞模様の尻が弾む。しょうがないと言いながらも、その顔は蕩けた喜色満面だった。
「んへ♡やべ、んなことされたらマンコ開いちまう♡♡さっさとやっちまおうぜ♡このデカマラぶち込んで♡俺をたくさんいかせてくれよ♡♡」
だが熊は動かない。肉棒で尻を打つだけで、その先に進む気配がない。
これには虎も焦って、媚びを強めておねだりをする。分厚い筋肉の塊をセックスアピールへと貶めながら、デカ尻を揺らした。
「なあ♡ここまで来といてお預けなんてねえだろ♡俺、お前に従順な良い彼氏じゃん♡え、ちんぽに弱いだけだろって?♡んへへ、それはそーう♡だってしょうがねえだろ♡このちんぽが最高すぎるのが悪い♡他のちんぽなんて考えられねえもん♡♡」
屈強な肉体を持つ虎が少し大きいだけの黒熊に媚びを売る光景は、誰が見ても倒錯的だ。本来なら虎が圧をかけるなりすれば、熊に逆らえる道理があるはずもない。
しかし実際は主導権を熊が握り、化け物みたいな一物に虎は躾けられている。男してのプライドをすべて投げ捨てた甘い声を出し、おねだりを楽しんでいた。
「早くちんぽ♡ぶち込んでくれよ♡さっきさんざん手マンされたせいで♡おマンコうずいてたまんねえんだ♡いつでも犯していいからさ♡ちんぽくれ♡頼むよぉ♡♡」
「撮影してるってこと、忘れてないか?」
「忘れてねえ♡けど、最近撮られてるって思うと体が火照っちまって♡マンコ収まらねえんだ♡お、お前のせいだぞ♡お前が俺の恥ずかしいところを撮影してネットに上げるから♡癖になっちまった♡♡」
虎のアカウントには段々と過激になる過程が動画として積み重なっている。ただのストリップに始まり、最新ではアナニーも出した。カメラを意識した言葉も増え、付いたコメントにも『興奮してくれてありがとう♡』と返すようになった。
今ではコメントや評価を欲しがる態度を出し始めており、大衆に阿っているのは明らかだ。もっと褒めればもっと過激なエロが見れるかもしれない。そう思わせることで、この虎は男心をくすぐっていた。
「これだってどうせあげるんだろ♡だったら目いっぱいスケベにしてやろうぜ♡見てるやつらがちんぽおっ立てて、満足できるようにさ♡♡だからちんぽ早くぅ♡♡」
深夜のトイレを照らす安っぽい蛍光灯をスポットライトにして、黄色い尻が興味を引こうと必死だ。自ら肉棒にこすりつけながら喉を鳴らし、さっきまであった不安もすべて快楽へと置換しているようだった。
「んへへ♡おねだりさせるの楽しんでるだろ♡しょうがねえやつ♡お前のちんぽのためならこんなこともできるってこと、見せてやるよ♡♡」
虎がカメラに近いほうの片足を上げると、いきり立つ肉塔と垂れ下がってぶらつく袋が画角に収まった。立派なちんぽも今は犯されるのを待つお飾りで、涎を垂らす犬を彷彿とさせる。
熊が足を持って腰をくっつければ大きさの違いがはっきりと突きつけられ、それが虎の雌性を刺激してやまない。ここまで入るのだと教えてやれば、お飾りから糸をひきながら先走りがこぼれた。
「んおぉ♡でかすぎだろ♡いっつも雄子宮ガバガバにされちまってんだ♡♡もうこれじゃなきゃ満足できねえんだよ♡なあ♡なあ♡おマンコしてくれよ♡俺のことハメ撮り大好き露出魔に調教してもいいからさ♡このちんぽのためなら何でも言うこと聞くぜ♡」
「……ふうん、ちんぽがもらえれば誰だっていいんだ」
「意地悪なこと言うなよお前が大好きなのが大前提だろ♡愛してるって♡俺ら体だけじゃなくて他も相性良いし♡いい恋人だと思わねえか♡」
ちんぽ欲しさに金玉をぶらぶらさせながら言っても説得力など皆無だが、どうやら熊の溜飲は下がったようだ。
亀頭を当てがうと慎重に進ませていき、見事な大きさがあっさり飲み込まれていく。
「んお、お、おぉおぉ♡♡きたきたきた♡デカマラ♡すっげぇ♡♡アクメしてるとこ撮られるの♡脳焼けるって♡まじ♡すっげすっげぇ♡♡」
一段と蕩けた声はもはや壊れているのではないかと疑うほどゆだっていて、のけぞった顔から舌がはみ出している。
鈴口からはびゅるりと先走りが漏れ、今すぐにでも達してしまいそうだ。小便器を前に漏らす醜態をさらしながらも、虎の頭にそんな羞恥はない。
「おおぉほ~~♡まじたっまんねえぇ♡俺ん中、征服されてる♡何度味わってもこれ、すんげ♡もう雄に戻れねえって♡♡さいっこぉ♡♡♡」
やがて熊ちんぽがすべて収まると同時に、画面が暗転していき――
****
「よし、いい感じだ! お前もちょっと板についてきたんじゃねえの?」
「あんまり嬉しくない言葉だけど、慣れてきたとは思うよ」
完成した動画を編集部屋で見ながら、おれは複雑な気持ちを持て余していた。
ソファに並んで座りスマホをのぞき込むと、自分が思ったより前のめりになっていたことに気付く。それだけ没頭していたようだ。
うん、よくできてる。ランプトの恥じらいながらもちんぽ欲しさに流されるところとか、最高だもんな。
まさか初めてのハメ撮りが野外だとは思わなかったが、意外性という意味じゃ悪くない。普段から裏でエッチばかりしてる設定だし、こうまでしないと設定上のランプトから羞恥を引き出せなかったのだろう。実際にもほぼ毎日やっているが。
「これで後は続きはこちらからってサイトに誘導してやれば終わりだ。上司が手伝ってくれたおかげで、野外でも安心して撮影ができるから幅が広がったな」
「人払いの魔法だっけ。実際に見ると本当に魔法ってあるんだと感心するよ。ランプトはあんまり使わないからさ」
「無理言うなって。お前のちんぽハメられながら演技までして魔法の維持なんて、そこまで出来ねえよ。それに上司は偉いだけあって魔法も上手いんで、俺もそこに関しちゃまだまだなんだ」
「まあ確かに偉そうな人ではあったよね、態度じゃなくて見た目が」
撮影に協力してくれるってことで顔合わせはしたけど、落ち着いた狼の妖精はおれらとは別の需要がありそうだった。ランプトと似たような筋肉体形に、親父と似たスーツ姿。ちょうど二人を足して二で割ったようなタイプ。
さすが雄妖精。誰と出会っても本当にかっこいい。前のトカゲからもちょくちょくお誘いはもらってるし、おれの周りでいい男が飽和し始めている。これに慣れたらもう戻れねえって。
「でもまさかコラボするとは言ってたけど、おれじゃなくてお前の方になるとはなあ。そりゃ普通に考えたら雄妖精にモテるのはお前だし、当たり前ではあるんだが……」
「おれもまさか自分が本当に雄妖精にモテるとは思わなかったよ。ランプトのお世辞だとばかり」
「俺は嘘つかねえって。実際上司からもアプローチされてただろ。俺らのラブラブセックス見たら、どんな妖精だってそうなるだろうけどな♡」
「まじで美醜逆転系でびっくりだよ……」
撮影前はきりりとした狼だったのだが、終わった後は完全に発情顔だった。どうやらおれが興奮しすぎて濃い願いに当てられたらしい。願いを食う関係上、こういうのはもろに影響を受けるそうだ。その場でフェラされたので、一発飲ませてしまった。
公衆トイレでスーツ姿のイケメン筋肉狼を床に座らせてフェラされるおれ。まじでちょっと前までは想像すらできない光景すぎる。
しかも『撮影ばれちまったけど彼氏のちんぽがすごすぎて口封じされてる♡まーた俺以外のマンコ増やしてるよ♡』なんてランプトがちゃっかり写真撮ってあげてた。おれの実像はこうやって歪められるんだな。
「まっ、あの人ならお前の願いを絞っても羽目は外さねえだろうし、安心してコラボできるな」
「最近は嫉妬しないんだな」
「ん、してほしいのか?♡でもお前、いっつも俺に確認してくれるからさ。勝手に他の雄を抱いたりしねえから仕事みたいなもんだろ。俺が一番お前に近いんだから、自慢してるみたいな気持ちになるんだ。俺の彼氏はこんなにすげえんだぞって♡」
「してほしいわけじゃないけど……ってか彼氏の設定を現実でも引っ張るのな。お前がいいならコラボ受けようかな。そっちの方がアカウント的にもいいだろ」
「まあなーお前も経験を積んだ方がいいって気付いたし、たくさんセックスしてきてくれ。でも、浮気はしちゃ駄目だぜ♡」
もはやここまでくるとどこからが浮気なのかわからんが、ランプトがそう言うなら頷いておいた。
動画の設定がランプトの理想なせいか、この虎は本当におれの彼氏みたいなふるまいをする。それが目に余るかと言えば全然そんなことはなく、むしろこっちも楽しんでいる。
こんないい男と付き合える機会なんてめったにないんだ。それにランプトは自分の理想に忠実だから浮気とかしないって確信できるしな。妖精ということにさえ目をつぶれば、最良の男だと思う。
こうやって肩をくっつけながら手を握るのは本当の恋人みたいだ。動画の外でも、おれらはいつもいちゃついている。
なんてあいまいな関係だと思うけど、これ以上踏み込むのは勇気がない。恋を知らない妖精がおれのことを本当はどう思っているのか、聞くのが怖かった。
「人気出るといいな……」
小さくつぶやかれた虎の声。あれだけいつも元気なくせに、その態度はしおらしい。
渾身の自信作なのだ、それが世間に受け入れられなかったら悲しみも一入に決まってる。ランプトはこの瞬間を撮るために今まで積み重ねてきたんだ。
「俺が思う最高の動画だ。これが駄目だったら、俺が受け入れられない気がしちゃうんだよなあ。考えすぎなんだろうけど、全部俺が好きなもんだし……」
「考えすぎだって。絶対好きな人はいる。おれもいいと思ったしさ」
それにこの動画はランプトの進退がかかっている。人と協力するはずの他の雄妖精のふるまいが目に余るせいで、撤収間近だと狼が言っていた。そうなればおれとランプトは離れ離れになり、この関係も終わる。
「これが駄目でも、お父さんとのコラボがまだある。あっちはトカゲとの接点を使って親子のゲイばれする予定で、だんだんと距離が狭まってる。お父さんのマンコもいい感じになってきたから、お前の巨根を受け入れられるはずだ」
言い聞かせるような声は自分に向けて放っているんだろう。ランプトの頭にはこれからの計画がいくつもあるけど、それは今こいつを慰めてくれない。
だから手を強く握り返して、元気を送る。こいつの努力はおれが一番よく知っている。おれが励まさないでどうする。
「人気出るよ。客観的に見てもすげえエッチだし。今までじらしてきたから本番が見たがってる奴なんて大勢いるんだ。きっと食いつく」
「……そうだよな。んへへ、ありがとうな」
鼻先にキスを送って、虎ははにかんだ。少しは気分が晴れたようだ。
投稿さえしてしまえば後は結果を見るだけ。だったら話題を逸らそうと、前から気になっていたことを聞くことにした。
「そういえば、親父から聞いたけどおれの会話を流出させたんだってな」
「うっ」虚を突かれて虎の体がこわばった。「わ、悪い。お父さんを説得するにはこれしかないって思って……さすがに妖精にもプライバシーはあるからさ。駄目なのはわかってたんだけど……」
「だから今まで黙ってたんだな。まあでも恥ずかしかったけど、それは正しかったよ。おかげであの親父が人の話を聞いてくれるようになったからな。セックスする覚悟も決まってるのは意外だったけど……」
「お父さんさ、お前の役に立ちたいって必死なんだ。よっぽどお前のことが好きなんだな」
パソコンからこっちの様子が見れるとは聞いてたし、それでおれを選んだとも聞いていた。でも、最初に提示した条件以外でも、家族思いというこいつ独自の要素があったんだ。多分最初の条件は上司に報告する用とかだろうな。
その理由なんて今更だけど、確かにこいつなら誰かを選ぶとなったらそうする。こいつはおれが母さんと話したことも、親父を心配してるのも全部理解したうえでおれのところに来たんだ。
「だから俺はさ、アナグマのこと好きなんだ。この人とだったらやっていけると思った。お前以上の人はいなかったんだよ」
「照れるな。おれはただ、親父を見捨てられなかっただけなのに」
「んへへ、俺がそういうの好きなの知ってるくせに。妖精は少し気に食わないとすぐ帰っちまうからさ、お前が耐えてるところに俺は親子の絆ってのを見たんだ」
遠い目をした虎には憧憬が色濃く表れている。ランプトはずっとそれを求めてきたから、おれらの関係に誘われたんだ。当人たちから見て破綻している関係性でも、こいつにとっては何よりも尊かったんだろう。
「でも、おれが知ってる限りだと、お前も他の妖精も結構まともそうだけどな」
「配信をちゃんと継続できてるやつらはましだから、お前が会う妖精は大半が上澄みなんだよ。上司にいたっては仕事できない妖精はまずなれねえ」
「あーそうだよな。配信やってりゃ嫌なことくらいあるもんな」
「そっ。それで炎上しないで運営出来てるだけでも、妖精としちゃ立派なんだ。あのトカゲだって、あれで結構理知的なんだぜ」
「それは話したから知ってる。ランプトの友人やってるだけはあると思ったな」
願いの搾取にこだわりすぎず、おれと定期的にやるだけのトカゲを思い出し、首を縦に振った。あいつは適切な距離感をわかってるタイプで、必要以上に絡んでこない。
それどころかランプトの事を頼んでくるくらいだ。友人だからランプトが関係性に固執してるのも知ってるし、今大変なことも当然知っている。
とりとめのない話をしているうちに落ち着いてきたのか、虎の喉がゴロゴロと鳴る。ひとまず投稿が終わったら仕事もひと段落だし、今日は腕によりをかけて晩御飯を作るか。
「……なあ」
ちょっとこわばった声がかけられる。まだ何か心配事があるのかと思い、続きを促した。
「もし俺がここに残れるようになったらさ、本当の恋人同士にならねえ?」
「……え?」
唐突に言われて思わず二の句を失った。思わず横に振り向くと、虎がまぶしい笑みを浮かべている。
「俺は正直愛とか家族とかまだよくわかってねえんだけど、アナグマとなら探せる気がするんだ。もしお前がいいなら、俺に付き合ってくれないか?」
ものすごくキラキラした目におれが映っている。おれとなら愛を探せる。そう言わんばかりの視線だった。
「う、あ……」
こんなまっすぐな告白なんてされたことないから、きょどってしまう。改めて見ても顔がいい。それに性格もいいってことは知っている。おれにはもったいないくらい、ランプトはいい男だ。
だけど頭の中で臆病な自分がうだうだ言っている。人と妖精の違いもまだよくわかってないのに安請け合いしていいのかとか、おれといて本当にランプトが愛を学べるのかとか。いろいろ一瞬で駆け巡った。
ここで思い切りよく頷けるような性格だったら、こんな年まで童貞やってねえんだ。
「い、いいけど……まずは、ほら、目先のことを何とかしなきゃ、だろ」
「あ……」
その時のランプトの顔はまさに星空が陰るようだった。
こいつは気の利くやつだから、おれが困ったことに一瞬で気付いたんだ。それが否定と受け止められるのは当然で、おれはこの時、自分が最悪な選択をしたことを察した。
「ち、違う、ランプト……!」
「そっか」
空々しい声と共に虎は立ち上がった。
「ごめんな、迷惑かけて。アナグマは仕事で付き合ってくれてるのにさ」
「違うんだって! ランプト、おれの話を聞いてくれ! おれは……!」
「ごめん」
言いつのろうとした口からはもう何も出てこなかった。虎の無理した笑顔を見てしまえば、何を言っても届かないとわかってしまったから。
「今ちょっと、聞けねえや……」
やってしまったと思った。けど、それと同時に、振られたと思ってこんな悲しそうに笑うこいつを見れば、愛を知らないなんて嘘だろうと言いたくなる。
「胸が締め付けられる気分だ。言葉で言い表せねえんだけど、すげえ悲しい。映画とかでさ、振られるシーンも見たんだけど……うん、こんな感じなんだな」
「ランプト……」
「ありがとうなアナグマ。お前のおかげで、俺はまた一つ賢くなった。これからもっと学んでいきたいから、動画撮影よろしくな!」
ランプトは本当にいいやつだ。おれみたいな優柔不断な男に対しても、誠意をもって接してくれている。おれが気に病むことのないように笑顔でお礼まで述べた。
対しておれはなんだ? ランプトのことが好きなくせに、降ってわいた幸運を受け取るのにおびえて機会を逃した阿呆。ひきこもっていた時から何も変わらない。ただ傷つかないように縮こまっているだけ。
「ランプト!」
だから、いい加減にしないと駄目だ。
お前にはすごく世話になったんだから、こんな終わり方をしちゃ駄目なんだよ。
勢いあまっておれの手は虎の尻尾を思い切り握ってしまった。敏感な部分だから全身の毛皮がぶわっと膨らんだ。
「ぎにゃ?!」
「あ、ごめん……」
完全に出鼻をくじかれた。おれの馬鹿。
でも止まったら駄目だ。そのまま立ち上がって虎を後ろから抱きしめる。何度も抱いたはずの大きな背中なのに、今までで一番小さく感じたのは気のせいじゃないだろう。
「……なんだよ」
「ごめん、でもおれの話を聞いてくれ。おれはお前に告白されて素直に嬉しかったんだ」
「いいって、気を使わなくても。お前すごく微妙な顔してたぞ」
「あれは……驚きすぎてさ。まさかランプトがおれのこと好きとか思わなくて……」
「俺、ずーっと言ってきたつもりなんだけど?」
「うっ……」
そう言われれば本当にそうなんだけど、あまりに明け透けすぎて動画の役を引きずってるだけだと思ってた。毎日してくれるスキンシップも人懐っこいなくらいな感じで、どぎまぎしないように必死に抑えていた。
「おれはだって、ランプトに惚れられるような男じゃないし……」
「あのさ、俺はわざわざお前を選んだんだぞ。数ある候補者の中から、お前を。その意味、もうちょっと考えてくれよ」
ぐうの音も出ない。ランプトがおれを選んだ理由なんて、もうとっくに知っている。こいつの好みに合致しているのが、おれなんだってこと。最初から、出会った時からずっと、こいつは素直だった。
「本当にごめん。まだちょっと、受け入れられなくて……おれなんてランプトと比べたら全然、努力とかそういうのもしてないし、目標とかもないし……」
「なんだそれ。俺がそれでも好きだって言ってるのに、それじゃあ駄目なのか?」
いつでも元気でまぶしいおれの太陽みたいな虎に、この苦悩はわからないだろう。目的のために単身人間界まで来るような明るさは、ひきこもりには焼け焦げそうなくらいなんだ。
それでもできる限り誠実に答えようと、おれは自分の劣等感を削って言葉を差し出していく。
「おれがお前の隣に立てるような人かわからなくて……愛を教えるとか大層なこと、できるかなって……」
「ふうん? 人ってやっぱり複雑なことを考えるんだな。そんなの、俺がいいって言ってる時点で心配しなくていいと思うんだがなあ」
純真無垢な妖精は首を傾げるが、次の瞬間には体をひねって抱き返してきた。そのままソファに沈むと、大きな筋肉の重みがずっしりとのしかかる。不思議な感覚が落下の威力を抑えた気がしたが、魔法だろうな。
「……じゃあ、さっきのあれ、もう一回返事くれよ。俺これでも結構真剣だったんだぜ」
おれの胸に顔をうずめた虎が言う。丸い耳が小刻みに動いて、早く言えとせっついてくる。
非があるのはおれなんだから、そこは素直に応じよう。咳払いひとつで気持ちを固めて、慎重に言葉を選びながら口を開いた。
「どれだけでも付き合ってやるよ、こんなおれでよければさ。お前が意味を理解できる時まで、ずっと。好きだ、ランプト」
「……俺も!」
がばっと顔を上げた時には、いつも通り元気な虎の笑顔がそこにあった。
「俺も好きだ! 好き! 好き! ああ、これが! これがそうなんだな!」
ランプトは大仰にキスを繰り返し、おれの顔のいたるところに愛を刻もうとしている。好きだと繰り返しながら実感するように、まるでおれこそがその形だと言わんばかりに。
「俺はお前が好きだ! この胸がはち切れそうなほど、どれだけ言ったって足りない! ずっと一緒にいてほしい! 病める時も、健やかな時も! ずーっとだ!」
「おま、それは結婚のやつだろ……!」
「違うのか? お互いを好き合ってる恋人は、家族になるんだろ?」
「まあそうだけど……そこはちゃんと過程があってだな……。というかお前、もう愛とか理解できたのか?」
「どうだろうな……わかったようなわからないような。どっちにしてもまだまだ理解が浅いから、これからお前と一緒に学んでいくつもりだ。俺は恋人も、家族も欲しい! 血のつながりなんかなくても作れるんだって教えてくれ!」
わかってはいたが、こいつの素直さは時折すさまじい重さを見せる。いうなれば結婚前提のお付き合いってことだもんな。知識不足が原因とは言え、頷くにはちょっと覚悟が必要だった。
でもランプトの顔は見たことがないほど晴れやかで、おれまで嬉しくなる。もともと好意は持っていたので、後悔なんてない。
「ってことは、お父さんが本当にお父さんになるわけだ! お父さんもこれからよろしくな!」
「……ん?」
今誰に向かって言った?
嫌な予感がして視界を旋回させると、部屋の入口では気まずそうな親父がいた。
「親父……?!」
「ただいま。まあなんだ……おめでとう、と言っておく」
「どこから見てた……?」
「お前がランプトさんの尻尾をつかんだところから。何やら騒がしいから様子を見に来たんだが……」
「じゃあほぼ全部ってことじゃねえか!」
最悪だ。よりによって告白の場面を親に見られるなんて。
親父もランプトの性格は知っているから、これが結婚前提なことも把握しているに違いない。だからお父さんと言われても、笑って受け流しているだけだ。
というかなんだかすごく嬉しそうなんだが……。
「ランプトさん、息子のことを頼む。優しい子だが、どうにも自己主張が弱いんだ。ランプトさんみたいな人に引っ張られる方が、こいつも嬉しいはずだ」
「親父っ?! いいって、恥ずかしいから!」
さっきから恥ずかしさが天元突破してる。なんでもう顔合わせみたいなことが始まってるんだよ。
ランプトはもうにっこにこで、おれを抱きしめて放す気配がない。この調子だとセックスが始まりそうだから、さすがに親父の前じゃちょっと……なんて思っていると、あろうことか親父に手招きまでし始めた。
「よかったら三人でやらねえか? これから長い付き合いになるんだしさ」
「お前、まだ残留が決定したわけじゃないんだぞ。それに恋人になるのは残れることがわかってからだろ」
「んへへ、そうだけどよ。今はすげえ気分がいいんだ。いいじゃねえか、どうせ体を知らねえ仲じゃねえんだし」
「おれはまだ親父とやったことはないからな」
「んえっ?! まじかよ!」
尻尾まで立ててずいぶんな驚きようだった。そんなに驚くことじゃねえだろ。
「いや、この前ちょっとぎくしゃくした時、俺が戻ってきたら仲睦まじかったしてっきり……」
「仲直りが全部セックスだと思ったら大間違いだからな!」
雄妖精界の治安はどうなってんだ!
「じゃあ今やっちまおうぜ。どのみち二人の設定上、お父さんはもう非処女ってことになってるし、お前も慣れとかねえとまずいだろ」
「……正論ではあるな」
親父とぶっつけ本番でセックスしてキャラを作れる気がしない。それは親父も同じだろうし、練習は必要だ。ランプトが何も言ってこなかったのは、おれらがもうやったと思ってたからだったのか。
「でも、お前も混ざるつもりなんだろ?」
「んへへ、駄目か? あんまり絡まねえようにするから混ぜてくれよ♡」
「だそうだが、親父?」
「んむ、そうだな……練習はしておくに越したことはない。しゃ、シャワーを浴びてこよう」
親父には3Pを否定してほしかったのだが、そそくさと準備のために踵を返してしまった。え、まじで3Pすんの?
告白から親子丼までのスピードが速すぎて、おれの脳みそはまだ展開についていけてない。ただ目の前でにんまり笑う虎がおれの服を脱がしていくのを、ぼんやりと眺めていた。
「んへへ♡楽しみだな、アナグマ♡」
「お前は親父ともいつもやってるだろうが……」
「お父さんとは開発だけだぜ♡処女はお前にあげた方がいいかと思ってな♡」
「気を利かせてくれてどうも……」
親父が戻ってくるまでおれはランプトとソファで絡み合い、何度もキスを繰り返す。すでにお互いは裸で、虎の肉体美を直に感じている。
筋肉の鎧は硬く、おれよりも体がでかい。抱き着かれると安心感が湧き上がってくるのだが、耳をくすぐる声は食らってくれと誘っていた。
胸筋の先端、開発済みの乳首をつねると甘さに拍車がかかる。雄々しい見た目が蕩け、勇猛さが淫乱さへと変わっていく。普段は元気でよく笑うかっこいい面が、今は雌そのものだった。
「んおっ♡おっぱいいじるのも、上手になったよなっ♡あっ♡すげ♡先端かりかり、好きッ♡んおおぉ♡」
「そりゃ毎日やってるからな♡寝室行こうぜ、ここじゃ親父が入れねえ♡」
「それもそうだな♡でも、もうちょっと……おおぉぉぉん♡♡♡」
「駄目だって♡ほら行くぞ♡」
「ひゃぁい♡♡」
甘えてくる猫の乳首を引っ張って立ち上がるとすごくいいい反応をしてくれる。こいつはちょっと手荒に扱うとすげえ喜ぶ。この筋肉でこのエロさだったら他の人からも引く手あまただろうに。おれのところに来てくれてよかった。
いつもだったらおれの部屋でやるのだが、ベッドのでかさで言うなら親父の寝室が一番だ。母さんがいないとはいえ夫婦の寝室でやるのは気が引けたが、ここしかないとランプトに押し切られてしまった。
「そもそも、お父さんのおマンコはここで開発してたからな♡」
「まあそうなんだけど……」
もはや毎晩使っているからか、ランプトは我が物顔でベッドに寝転がる。それから両手を広げておれを呼ぶので、覚悟を決めて分厚い胸に飛び込んだ。おれの体重程度、ランプトには問題ない。
「んっ♡」
おれを捕まえた虎は鼻面を押し付け、硬く抱きしめてくる。胴も腕も、体の部位すべてがおれより逞しい虎だ。どこに触れても筋肉を感じられるので、幸せになってしまう。こんな経験を日常的にしていても、それでも飽きはまだ来ない。
「あむっ♡んっ♡」
親父が来るまで先に進む気はないようで、軽いキスをしたり体を撫で合ったりと、まどろむような愛撫が続く。動画では映えを目指すためどれだけエロくが求められるが、今はそんなことを考えなくてもいいのだ。
だからおれもちょっとSの入った彼氏とかでもなく、ただの熊笠としてこいつを抱ける。それはそれとしてランプトは激しいのを好むので、どうしても手荒にはなりがちなんだが……。
「ん、アナグマ……好きだ♡」
「おれも……♡」
もうこの短期間で何度キスしたのか数えられない。噛みついては離れてを繰り返し、その間も優しい愛撫を怠らない。こんな緩やかな性行為、初めてした。
おれはもうこのまま寝落ちしてもいいくらい、このまったりした時間を気に入っている。眼前にランプトの愛おしそうな視線と見つめ合ったまま、夜を跨ぎたい気持ちすらある。
だけど、それじゃあ期待に硬くなった股間が報われない。
これからが本番だと思い出せる控えめな声が、寝室の入り口からかけられた。
「待たせたな……」
今日のメインディッシュが到着し、おれは虎との間に架けた唾液の橋を壊してそちらを向いた。
……いや、すげえわ。内心で感動してる。
親父の裸を実際に見たのは子どもの頃以来だ。ランプトが動画を見せてくれたが、あれは足を上げていたし、全身じゃなかった。
SNSで見慣れたつもりだったが、現実は写真よりずっと肉の圧が強い。強すぎる。
だから肉厚な山そのものみたいな体を前に、思わず面食らってしまった。
胸のでかさも知っているつもりだったが、改めて見ると風船のようだ。どうやったらそんな綺麗な放物線を描いた巨乳ができるのか教えてほしい。下向き乳首が左右にこぼれているが、あれは垂れているとは言わない。張り出している、だ。
中心にある白い毛皮でできた月の模様が胸毛代わりにあるのだが、角度がおれと全くちがう。胸が分厚すぎて月が上向いてるぞ。
そして腹はドーム、あれは肉で出来たドームだ。いや、シャツ越しに触った時もでかいとは思っていたが、なんで触った感触より大きく見えるんだよ。普通立ってたら重力にひかれて垂れるところが、どうしてあれだけ丸々と突き出しているのかわからない。妊婦よりでかいだろ。
手足も馬鹿みたいに太いし、ランプトといい勝負をする、というか、太ももとかは親父の方が太いんじゃねえの。雄妖精と張り合える中年ノンケ熊って存在するんだな。もうノンケかどうかは怪しいけど。
そんな親父だからタオルを持った手で股間を隠している。あれじゃあ確かに腰に巻くとか不可能だよな。考えみれば、親父がお風呂上りにタオル一丁なところ、一度も見たことがねえわ。無理だからか、納得した。
「アナグマ興奮しすぎ♡お父さんの事大好きじゃん♡」
ランプトがそう声をかけてくれるまで、おれはぼーっと親父に見惚れていた。
だってしょうがねえだろ。腹の膨らんだガチムチで想像しうる最高の体だぞ。いたる所が膨らんでいるくせに、ちゃんと凹凸があるから筋肉の存在を感じられんだ。我が親父ながら、なんつう体だ。
「……その才能、おれに少しでもあればなあ」
「だってさお父さん♡アナグマもべた惚れみてえだぜ♡」
「そ、そうか……まあ、悪い気はしないな……」
おれの食いつきっぷりに親父は面食らいつつも、安堵したように微笑んだ。欲情の視線を向けられても動じないあたり、これから先に不都合はなさそうだな。
だが親父は足を動かさなかった。決心がつかないのか、困ったようにこちらを見つめているだけ。
「親父? やっぱり無理なら別に……」
「いや、そういうわけではないが……どうしたらいいのかわからなくてな……」
そりゃそうだ。子持ちノンケだったし、受けなんて初めて。女性をリードするのとはわけが違う。だから目指すべくはランプトなんだろうけど、この明け透けさは親父には絶対無理だ。
「親父」だからおれが呼ぶしかなくて。「こっちに」
「あ、ああ……」
おずおずと歩み寄る親父は新鮮だ。いつも堂々としていて、威厳があったから。
親父がベッドに乗ればスプリングがかなり沈む。親父用のベッドでよかったかもしれん。おれのベッドだったら積載量オーバーだわ。
間近に来ると腹の圧をいっそう感じて、陰毛が伸びるへそを中心にガン見してしまう。昔はもっと小さかった気がするんだが、ジムに通いだしてからみるみる才能を開花させていった。母さんがズボン全部変えなきゃ……とか言っていたのもその頃だったはず。
あの時は親父に性的な興味なんてあるはずもなかったので流していたが、今は違う。
触ってみると毛皮の下にしっかりと筋肉を感じる。ぱんぱんだ。やばい。これすごくいい。シャツ越しとは違って、肉の熱がすごい。
「……前もそうだったが、お前は私の腹が好きなんだな」
「まあね……」
「こんなもののどこが……と思うのだが、確かにあのサイトにはこういう専門がいたな。私のような者をガチムチというらしいが……まさか自分がそういう区分の中で人気を博すとは思わなかった」
「ランプトに言われたんだな。まあそうだよ。親父は正直、その界隈じゃすごくモテると思う」
「わからんものだな。こんなむさくるしいおっさんが、ひとたび場所を変えれば人気とは。世界とは、私の知らないことだらけだ」
しみじみつぶやくのは過去の自分を反省しているからだろう。自分が思う正しいだけが全部ではないということを、親父は最近学んでいる。
おれは片手に虎を抱いていたが、そこからするりと毛皮の感触が抜けた。
「初体験ってなら、まずは二人がしっかりやらねえとさ」
「そんな気を使わなくてもいいって」
「いいんだよ。俺は家族が仲良くしてるのを見るのも大好きだからな。知ってるだろ」
これを仲よくと断言できる当たりに雄妖精の色眼鏡がうかがえるが、さすがに今更だ。それにそんなことに突っ込む余裕もないほど緊張してる。親父だという背徳感と、最高の雄という視覚情報が混ざって脳がバグってるんだ。
方や少し前まで童貞だったおれと、方や少し前までノンケだった親父。
当然そんな二人が見つめ合ったところで、事態が進展するわけもない。
「お父さん、ほら、こういう時のために俺といろいろ作戦を練っただろ」
お前そんなことしてたの?! どうやらこの雄妖精、おれら家族の仲を取り持ちたいという想いは本物のようだ。
発破をかけられた親父はおれに向かって手を広げ、恐る恐る口を開いた。
「父さんに抱き着いてきても、いいん、だぞ……?」
作戦って、これ? いやまあ確かに親父は抱き着きがいのありそうな体だけど。
とはいえおれも成人。今更親父に抱き着きたいかと問われると……ものすごく抱き着きたいです。一瞬で理性は陥落した。
やっぱり肉親というフィルターさえなくなれば、親父の体は最高だからさ。
逆らえるわけないって。
すぐさまふらふらと向かえば、ボリューム豊かな胸と腕に包まれる。ランプトとは違って弾力が強く、さらに窮屈だ。決してランプトが貧相というわけではないが、むっちりとした肉が隙間なく詰まってくるのでそう感じてしまう。
「すご……」
胸に飛び込んだつもりだが、実際は腹にしがみついているような気分だ。腕が回りきるわけもなく、おれは自分という存在が小さくなった錯覚を抱いた。
大きいものにしがみつく心地よさは安心感とセットだ。それが父親ならなおの事。腕に力を籠めると腹の反発力に押し返されるが、それもまた安らぎを産んでいた。
「気に入ったようだな……こんなことなら、もっと普段から抱きしめてやればよかった」
冗談じゃない。昔のゲイに理解のない親父に抱き着かれて勃起でもしたら、おれは家を出てる。頭を撫でてくれるのはいいが、性欲が混ざっていることは承認してほしい。
優しい抱擁は親子の情を匂わせるが、おれの鼻孔をくすぐるのは親父の男臭さだ。シャワー後とはいえご丁寧に消臭剤をつけてきたのか、ちょうどいい塩梅で雄と香が混ざり合っている。
おれは腹と胸の接点に鼻面を突っ込むが、生乾きの匂いはしない。ちゃんと乾かしてきたようだ。
「……」
親父は黙っておれの好きにさせてくれたまま、腕を放す気配はない。抱き着かせはしたが、この後のことは考えていないらしい。
だからおれから行動してみようと思い、腹に手のひらを沈めた。密度と弾力が高すぎて揉み心地がよすぎる。しかも毛皮も整えているおかげか、手触りもいい。これならいくらでも揉める。
「好きだな」
「正直に言えば……ものすごくいい」
「そうか」
親父は慣れたのか、少し力を抜いた言葉だった。ただおれの頭を撫でながら、薄く笑っている。勃起はまだしてないので、興奮より安らぎを感じていそうだ。
だがおれらの後ろでランプトがずっとお父さん頑張ってと応援しているから、まだ何かあるんだろう。
案の定親父は数回深呼吸をした後、ぐっと体をおれごと前に倒した。
「……だったら、こういうのも好きだろう」
背中にはベッドの優しい感触。そして顔には親父の腹のすさまじい密着力。
おれは今、親父の腹で顔を埋められている。
「んごぉ?!」
「お前のような奴はこうされると喜ぶと聞いたのだが……窒息したりはしないのか……?」
すごいすごいすごい! 圧がえぐい! 嬉しいけど死ぬって!
親父だって手加減して体重をかけてるはずなのに、元が重すぎて圧迫感の暴力! すっご、肉がのしかかってくる!
でも……ものすごくいい! ランプトの筋肉布団とは違った良さがあり、雄を感じるには最高のシチュエーションじゃないか。大きな腹には一定の需要があるとは知っていたが、これは納得だわ。
「嬉しそうな声を出して……こんなことでよければ、いつでもやってやる。お前には毎日世話になっているからな。今まで労ってこなかった分、好きなだけ言ってくれ」
みっちみちに腹で押しつぶしながら親父は優しい声を出している。会話らしい会話もなかったから、親父はおれが何を好きかなんて知らなかったもんな。ただの性癖なんだが、息子のことが知れて嬉しいらしい。
「お父さんお父さん、そのまま腕立てみたいに上下して腹を押し付けてやると、もっと喜ばれるぜ」
「わかった……こうか?」
「ふおぉっ?!?!」
腹が上がって下がって、肉がおれの鼻面を殴る。当たった時にむにぃってオノマトペが出てる気がするし、離れる時はボルンだな。とにかく弾力のいい音すべて詰め込んだ腹だ。
しかも離れていくと光が入ってくるから、視界が全部腹で埋まっているのがわかるんだ。近づくにつれて暗くなる臨場感もすごくて、おれの脳みそにはもう腹しかないと思う。
むにぃ、ボルン、むにぃ、ボルンの繰り返し。こんなの頭おかしくなるって。
「いや、待って、これ、やばいって……ちょっと駄目な扉が開く……」
「そういうものなのか……。ただのおっさんのメタボにも、こんな需要があるものなんだな」
「お父さんの腹をメタボって言ったら、世の壮年の方々が泣くって。こんな張り詰めたムチムチの腹、探そうと思ってもなかなかないからな」
「それはただ単に、ここまで太った人が少ないというだけではないのか……。私としては、とっとと痩せてほしいのだが……」
「「絶対やめた方がいい!」」
「そ、そうか……まあ健康診断にも引っかかっていないから、問題はないはずだ」
しれっと腹囲のことを棚に上げたが、再検査とかはないしいいのか。
こうなったら心行くまで堪能してやろうと、胸を思いっきり鷲掴みにした。
「おぉ……♡」
腹と似たような感触の弾性豊かな部位は手に吸い付いてくるようだ。指の隙間から肉が漏れるほど豊満で、片手じゃ到底収まらない。今は重力にひかれているので、先端が少しとがっているのもフィット感に拍車をかけていそうだ。
「でっか……なんだこれ♡どうやったらこんなでかくなるんだよ」
「んっ♡別に、お前の食事と運動だけだが……確かに私は人より大きくなりやすいとは思うが……」
「絶対もっと食わせる……!」
「お手柔らかにな。私も歳だから、あまり入らんぞ」
「普段からおれの倍以上食ってるだろうが」
「むぅ……まあ、そうだが……」
今はランプトもいるから、食事が大変なんだぞ。でもそれで親父の腹とランプトの筋肉が維持できるなら、全然問題ない。むしろがぜんやる気が出てきた。
おれも親父に似て大食漢だったらよかったが、逆にそのおかげでこうして腹に埋もれることができると考えたらありか。おれも腹が出てたら顔に腹肉アタックできなかっただろうしな。
「んっ、ふぅ♡いやらしい手だな♡まさか私が、女のように揉まれるとは……考えもしなかった♡あっ♡」
低くて甘い声がおれをさらに大胆にさせる。揉んでも揉んでも飽きることのない乳肉に指を食い込ませ、左右から寄せて深い谷間を作る。これだけ大きかったらパイズリなんて余裕だろうな。ジムでいやらしい目で見られてないか不安になるほど、親父は全部がでかい。
……んん、いや、待てよ。
腹肉を顔で弾ませながらふと思ったのだが、親父のジム着は基本的にタンクトップだ。性格上ゆるい服を好まないからゆとりのあるサイズじゃないので、動くと下腹が出るんじゃないのか。帰ってくるときはシャツに戻っているから盲点だった。
この腹と胸をチラ見せしながら運動するって、普通に誘ってると思われても不思議じゃない。しかもきっちりしたスーツ姿からああなるわけで……。
「エロすぎないか……♡」
「そうかっ♡本当にこの体にも需要というものがあるだと知って……驚くばかりだ。部下からも痩せろと言われ続けているのだが……♡」
ノンケの世界とは違うので、そんな言葉に耳を貸さないでほしい。親父は今のままが一番だから。
……そう冷静に考えたら、ゲイに理解を示してくれたのは嬉しいが、親父が本当に足を踏み込んだら引く手あまただろ。見た目もいいうえにしっかり金持ちだからな。
確か聞いた話、父さんは母さんと見合い結婚で恋愛経験もあんまりなかったはず。これは放置したらまずいのではないか。
「親父、おれ以外とこういう行為はしないでくれ」
「なんだ藪から棒に……するわけないだろう。私が体を預けるのは、お前たちだけだとも」
「え、俺は?」
「ランプトは例外でオッケー」
「やったね!」
「なぜお前が決める……だがまあ、ランプトさんならいいさ。今更だからな♡」
甘えていると思われたのか、親父の声は存外嬉しそうだ。押し付けてくる腹肉も勢いを増して、さらに体を揺らして鼻面をぐりぐりし始めた。親父もおれを喜ばせる方法を学び始めている。
この調子じゃ外で男を作ったりはしなさそうでよかった。今まで浮気なんてしたことなかったのは単に石頭だからだと思っていたが、そもそも家族想いだったんだろうな。本当に不器用な人。
けど肉ばかり味わっては親父が物足りないだろう。そろそろ次に行くべきかと考えていた時、またもランプトの指示が飛んできた。
「お父さん、次次」
「あれか……だがあんな卑猥なこと……」
「それこそ今更だって。これを機にアナグマをお父さん大好きっ子にしちまおうぜ♡」
もうなっているとはさすがに恥ずかしいので言えなかった。この腹と胸でおれは篭絡済みだよ。肉親フィルターがいかに分厚いかを痛感するくらい即落ちしている。
親父は腹を押し付けたまま数秒動きが止まっていたが、ややあって背筋を伸ばした。下から見るドーム腹のでかさに感嘆する暇もなく、ずいっと肉が前に出た。
「え、は……? 親父、これってぇ……」
「う、うむ……どうやら、お前のようなやつは、こういうのが好きだと……」
親父が恥ずかしがるのも無理はない。おれの真上で四股の体勢になれば、当然眼前に来るのは尻。それも特大に豊満でばるんばるんなデカ尻。
さすがに腹のように鼻面にくっつけるのはためらっているのか、おかげで光が入り込んで丸見えだ。ランプトによって開発された肛門から、体重を支えて筋肉を浮かばせる太ももまで、尻だけでなくその周辺も余すことなく観察できていた。
顔面騎乗位されてる……実の親父に、今度は尻を押し付けられてる……。
「洗ったとはいえ、不衛生だろう……嫌ならすぐに言うんだぞ……」
ひくつく肛門がしゃべっているかのようだ。親父の綺麗な粘膜が蠢くたびに、おれの頭は茹りそうになる。
しかもでっぷりとした袋がおでこにまで垂れ下がっていて、中の玉がごろりと転がっていく。金玉のでかさは完全に父親譲りなのだと理解した。そして同時に、だったら性欲もそうなんだろうとも。
「こ、これはいつまですればいいんだ……息が噴きかかって♡んっお♡お前、興奮しているのか……♡♡」
「興奮させるためにやってるんじゃないのかよ……♡」
「それはそうだが……♡あっあっ♡待て、そんな息を……おおぉ♡」
敏感になったケツマンコは吐息に反応して、びくびくと震えだす。目線を上に向けると勃起したちんぽとそこからはみ出す黒い陰毛が見え、なんだかんだ言いつつも親父だって興奮しているのがわかる。
「このまま降りてこないのか?♡」
「本当にいいのか……? 私は重いぞ」
「どうせ手加減してくれるでしょ」
「……わかった」
そして隕石みたいなデカケツが振ってきた。
おれの視界は一瞬で暗くなり、鼻面が肛門に食い込んでいく。重いがちゃんと加減しているようで、少し呼吸が苦しいくらいで済んでいる。
だけど親父は膝をついてから太ももでおれの顔を挟み込み、がっちりと固定してきた。ランプトの入れ知恵だろうが、おかげで逃げることもできず全神経が親父の尻に注がれる。
「んぐうぅ♡♡」
新しい扉がどんどん開いていく。圧倒的な巨漢に征服されるこの体勢はこれ以上ないほど雄を感じられる。親父みたいなどこも太くたくましい雄だからこそできるアピールは、金を払ってでも受けたい雄がいるのもわかってしまう。
「苦しくないか……? こんなところに顔を押し付けるなど、侮辱もいいところだと思うだが……」
「お父さん」それに答えたのは虎だ。「後ろ見てみると良いぜ♡ほら、アナグマのやつ、すっげえびんびん♡」
「む、そうだな……これで興奮するのかお前は♡だったら私はどうすればいい?♡」
「お父さんも興奮して楽しんじまえよ♡こういうのは二人とも楽しまねえとさ♡♡」
「楽しむ……と言われても……」
「オナニーとかやっちまえよ♡乳首もいじって喘いでやれば、アナグマも待ちきれねえって犯してくれるさ♡」
「そうか……」
ランプトの言葉に従って、親父は自分のちんぽを握りしこりだす。なんでわかるのかと言えば、でこに当たる金玉が腰とは別の動きをし始めたからだ。
「う、おおぉ♡おっおっ♡熊笠、どいてほしければ、いつでも、んお゛っ♡言うんだぞ……♡♡」
自分が快楽を浴びているせいか、肛門を押し付ける力も制御が効かずに強くなっている。お風呂上りで綺麗になっているけれど、親父の雄が濃く香ってきて酔ってしまいそうだ。
だから誘われるように舌を伸ばして、無毛の粘膜へとくっつけた。
「んおおぉ?!♡♡お前、そんなところをぉ♡」
太ももが反射的に締まるが、声が弾んだことから喜んでいるのは確実だ。実際肛門がきゅうきゅうと蠢き、舌先を捕まえようと躍起になっている。
だったら望むところだと差し入れてやると、親父の山のような体がビクンと跳ねた。それからしわの隙間を一枚一枚丹念に舐めていき、浅いところで抜き差しをする。
これは愛撫であり、次のためにほぐす作業でもある。わざとらしくちゅっと吸い付いたりして、ここが雌の穴だと認識させる。ランプトとの経験で、こういう下準備の大事さはわかっているつもりだ。
「ふおぉ♡おぉん♡お、お前、そんな……お゛ぉ♡汚いところを、舐めへっ♡ん、ぐぅ♡おぉ♡し、尻が、慣らされて……おぉん♡」
おれの巨根を入れるためにとランプトに開発されてるんだ、これだけでもう雄を受け入れる準備はできているだろう。シャワーでもやってるだろうし、指を入れるまでもなさそうだ。
肛門とキスを続けていると、粘着質な音が高くなっていく。扱く速度が上がっているんだろう、この調子だとすぐにでもいってしまいそうだ。
親父の精力なら一発くらいは誤差だろうし、出してもらった方が切り替えしやすいか。
「ちゅうぅ♡親父、このまま一発出しちまえよ♡息子にマンコ舐められてさ♡」
「い、言うなっ♡♡こんなことをされて、私が、興奮しているなんて……♡しかし、手が止まらんっ♡♡ずっと扱いてしまう♡」
わかるよ。さっきからすげえ音が鳴ってるから。先走りの量も親子なんだな。
「丁寧に舐めるんだな……こんな、おっさんの尻をっ♡まったく、度し難い世界だ、んっおぉ♡だが、一番度し難いのは、息子に舐められて、おぉ……喜んでいる私かっ♡」
「気持ちよくないのか……? ん、ふぅ♡結構開発されてると思ってるんだが♡」
「き、気持ちいいとも……♡だが、もっと……奥に欲しくなる……♡腹の中が切なくて、ぐぅ、たまらないというのに♡それでも気持ちがいいんだ♡♡」
親父のデカ尻に圧迫されながらオナニーの音を聞くとか、倒錯的にもほどがある。
でもおれらはそれで興奮している。おれなんてふやけるほど親父のケツを舐めまくってるしな。ちょっと前だったら想像もできない光景だが、今では絶景だ。
「んおっおぅうぅ♡出してしまうっ♡このまま、ああ♡止められんんんっ♡♡」
「いいから♡どうせ親父もおれと一緒で、一発じゃ収まらねえだろ♡」
「そ、そうだが……待ってくれランプトさん♡今撮影は駄目だっ♡こんな、こんなところをぉ♡♡」
「いいじゃねえか♡いつか動画に使えるかもしれねえんだし、素材は大事だぜ♡それに、見れないアナグマがかわいそうだろ♡なあアナグマ♡今のお父さん、乳首引っ張りながらしこってるのすっげえエッチだぜ♡」
それがすさまじくエロいのが想像できるから、絶対後で見せてもらおう。
でも今は親父を一発いかせたい。おれのちんぽも限界だし、とっとといってくれ親父。
「んおぉおぉ♡♡尻っ♡尻が変だっ♡ああ、もう♡ほしいっ♡♡♡」
だが思惑とは違って、親父は急におれの上からどいた。
急に白んだ視界で何が起こったのか考えていたが、その端で黒い山がのそのそと動いている。親父はおれに向けて大股を開くと、ひげ面を歪ませて懇願を投げた。
「熊笠……もう、入れてくれっ♡我慢できんのだ♡お前のその、巨根で、私を犯してくれ……!♡♡」
尻を責められ続けて、親父の中で理性が焼き焦げてしまったようだ。光が当たるようになったからわかるのだが、肛門周りは毛皮も唾液で汚れ切っていてくぱくぱと開閉を繰り返している。尻を自ら広げて乞う親父は、すごくエッチだった。
視線はずっとおれのちんぽにくぎ付けで、とろんとした顔をしている。完全にちんぽを前に雌顔を決めている親父は、二度とノンケには戻れないだろうな。
雄臭さという意味ではランプト以上の黒熊のおねだりは、おれの股間を性欲で打ち据える。グロテスクに膨張したちんぽは限界まで硬くなり、親父に近づくにつれて涎のように汁をこぼしていく。
「親父……すげえエロい♡」
「う、仕方ないだろう♡ランプトさんが開発してからというもの、尻が切なくてたまらんのだ♡処女はお前のために取っておくというし♡自分でいじるのも限界なんだ……♡」
山のような大男が雌顔しながら股を広げて、おれを誘っている。改めて、なんてエロいんだろうか。もう相手が肉親とか、そういうのはどうでもいい。今目の前にいる最高の雄と気持ちよくなりたい。
だけど、おれはランプトとの行為を経て知ってしまった。ただ突っ込むだけがセックスではないのだと。
さっきから腹や尻でおれを煽り立てていた親父もそうだが、このまま押し倒すより少しじらした方がいいと思う。実際そのおかげでおれのちんぽは最大限まで膨らんでいる。
「親父、ほら。これが今から親父のマンコに突っ込むちんぽだぞ♡」
「おぉ……♡」
ベッドに横たわる親父にまたがって、腰を突き出す。鼻面を横断するように伸びるおれのちんぽを見て、親父は口を半開きにして感嘆を漏らしていた。
「親父のよりでかいだろ。いい遺伝子をありがとうな」
「こんな、こんなにも……♡」
体の大きさは足元にも及ばないが、ちんぽだけは別だ。ごん太巨根の親父よりもなおでかいおれのちんぽを前に、雄熊はおずおずと手を伸ばす。何とも敬虔な仕草で撫でさすり、硬さを実感しているようだった。
さっきはおれがじらされたのだから、次は親父の番。無言で突き出していると、先端に口づけを落とされた。
「ちゅぅ♡」浮かんだ先走りをすすって。「んあ、すごい……なんと言えばいいのか、うまくはないのだが、不思議な気分だ……♡病みつきになるような……♡」
「ランプトのは舐めなかったのか?」
「ああ……ランプトさんはあくまで開発だけで、本番はお前とのためにと……♡だから、舐めたことなどないし、舐めさせたこともない♡私は自分がでかく、先走りも多いと知っていたから……だが♡」
反語で締めくくって、後は熱心に舐めていく。おれが動かないせいで、上半身を何とか起こして舌を伸ばすさまは愛おしさすらある。
一言舐めたいと言えばいいのに。やっぱり恥ずかしいのだろうか。
「おれの方がでかいから大変だろ。グロいのもわかってる。嫌ならすぐに突っ込むつもりだったけど……親父は嬉しそうだな♡」
「んっ、否定はしない……♡どうやら私もすっかり、同性愛になじんでいるようだ♡お前のちんぽに、心が逸っている♡はふっ♡んちゅうぅ♡♡」
ちょっと前にずれてあげると、すぐさま幹に舌がまとわりつく。ひげに先走りが垂れても気にせず不乱に舐める親父は……控えめに言ってもすごくかわいかった。
筋骨隆々なガチムチの熊が、おれのちんぽを両手で握りながら全長を必死に舐めまわしているのだ。興奮するなという方が無理だろう。じょりじょりとしたひげの感触さえも今は興奮材料だ。
「うぉ♡震えたな……すごく硬くて熱い♡他人のモノとは、ここまでたくましいのか♡」
「親父がエロすぎるから……すげえかわいい♡」
「こんなおっさんになにを馬鹿なことを……♡んちゅぅ♡ちゅっちゅっ♡下品すぎてお前がひかないか心配だったのだが、杞憂だったようだな♡」
「だから親父はモテるんだって♡本当に最高だ♡動画が配信されれば、みんな親父に夢中になる♡絶対いろんなところから声がかかるぞ♡」
「ふっ♡だから先ほど他の男とはするなと言ったのか♡お前がそう言うならしないと誓おう♡私はもう愛する家族を悲しませたくはないのだからな♡」
雄臭い顔を先走りまみれにしながらも、優しく親父は笑った。
おれのちんぽに頬ずりをして見上げられると、いっそうちんぽが硬くなったのがばれただろう。こんな時でもおれの父親たらんとする父性は、今となっては興奮に愛おしさを注ぐだけ。
「じゃあおれもこれからコラボとか控える。親父だけに不自由させたりはしない」
「お前は好きにしなさい。それが仕事なのだから。ただ、ランプトさんを悲しませることは許さんからな」
「……わかった。ありがとう、親父」
なんだか心がむず痒くて、でも温かい感覚で満たされている。くすぐったい気持ちは嫌いじゃないが、発散しないと落ち着きそうもない。
だからおれは腰を引いてから腹の山にはいつくばって、熊の顔に近づいた。親父は意図を察して目を閉じてくれたから、短いマズルに噛みつくようなキスを。
「ん、愛してる親父♡家族としても、男としても♡今すぐ抱きたくてたまらない♡」
「んううぅ♡お前、それは、ランプトさんの前で……はふっ♡」
「あ、俺は全然気にしねえから! 家族仲がいいことは素晴らしいからな! これからお父さん含めて3Pする気満々だし、俺もお父さんの事大好きだぞ!」
「こいつはこういう奴なんだよ♡おれとランプトは恋人だけど、親父とは家族だ♡だから好きでいいんだよ♡な、ランプト♡」
「そういうこと。俺はアナグマともお父さんとも、ずーっと一緒にエッチしてえからよろしくな!」
即座にフォローを入れてくるあたり気は利かせてくれている。ただおそらくだけど、あの雄妖精はおれらのセックスをホームビデオ感覚で撮影してる。いい思い出だと思ってそうだ。
ランプトの許しを得たからなのか、親父が積極的に舌を絡めてきた。唾液がこぼれると下にあるひげに降りかかるのだが、気にするそぶりもない。おれを抱き寄せて深く繋がることしか考えていないようだ。
「ん、うぅ♡ちゅぅ♡まったくお前たちは♡異文化に理解を示すのはいいが、んふぅっ♡社会性というものを、だな……んあ♡んっんっ♡」
「息子とキスしながら言っても、説得力なんかないだろ♡」
「それもそうだな♡だが、羽目を外すのはいいが、道を踏み外すのはよくない♡それだけは……んんんんっ!♡♡♡」
石頭の片鱗が出てきたので、キスでふさいでおく。キスなんて久しぶりなんだろう、親父の舌使いはぎこちなかった。
「親父♡愛してる♡親父♡親父♡」
「んぅ♡はふっ♡お前、ああ、私もだ♡愛している♡お前は、誰よりも大事な♡私の息子だ……♡」
情欲交じりの愛をささやきながら、おれらは口をむさぼっていく。牙が多少当たっても気にしない。涎をこすりつけ合うことに忙しいのだ。
家族としての正しい形はとうに壊れている。それこそ母さんが出ていくずっと前から。だから雄妖精を交えた今、新しい形を目指すのも悪くない。きっと親父もそう考えている。
「ちゅぷ……♡はあ♡熊笠♡お前とキスできることが嬉しい♡ああ、私は、駄目な父親だ♡もっととせがんでしまう♡」
「今更だってツッコミ待ちか♡腹とかマンコを押し付けてきたくせに♡んっ♡いい加減慣れような♡これからおれは毎日親父を抱くぞ♡」
「……それに喜びを感じてしまう私は変わったのだろう♡だが、悪くない♡お前がこんなにも嬉しそうで、私も嬉しいんだ♡♡」
それからまたキスに戻り、ずっとちゅぷちゅぷ唾液を混ぜ合わせる。
今まで言えなかった言葉を発散するかのようなキスは長く、お風呂上りの親父から汗の匂いが強くなっていた。きちんと制汗剤で処理してきたはずの体だが、フェロモンはごまかしきれないようだ。
「ん、ふぅ……♡」
唾液を滴らせながら口を放すと、親父の舌がまだ足りないと追いすがる。だけど股間はそう言ってはおらず、さっきからベッドの上でもどかしげにくねっていた。
我慢できないと股を広げてからお預けを食らっているんだ。もうこれ以上待てないと下半身が反乱を起こしているようだった。
おれが足の間に移動したことで親父も悟ったらしく、できるだけ広げて受け入れてくれる。まあ腿が太すぎるせいで狭いけど、それも込みで親父の良さだと思う。電柱より太いんじゃないのかこれ。
「んあっ……♡」
なんて思いながら撫でると上ずった声が出た。もはや全身が敏感になっているのか、期待が親父を雌にしている。
股ぐらでそびえる一物は太く、しこったこともあって泡だらけだ。誰の目から見ても十分な巨根は雄臭く、金玉もでかくベッドの上ででろんと広がっている。
だが、おれを見る熱っぽい視線は雄の快楽を求めていない。足を上げてくれと頼むと、息子持ちのガチムチ親父がすんなりおむつを換えるような体勢を取ってくれた。
「うわ……エロ……♡♡」
素直に声が出た。おれは今、親父のマンコから胸までをすべて一望できる特等席にいる。のぞき込めば腹の分厚さが遠近感を狂わせ、いかにこの黒熊がでかいのかわかってしまう。意識を強く保たなければ、またあの腹にダイブしてしまうところだった。
「お前……♡」
とっさに出かかった言葉を飲み込んだ親父はそれが意味をなさないと理解したのだろう。常識はもうおれらを縛らない。だから親父も大胆になっている。
「まったく……お前はこういうのが好きなんだろう♡」
両手を上げて腋をさらし、そこに茂る黒い体毛を露わにして親父はつぶやく。明らかにランプトの入れ知恵だろうが、それは大正解だった。
鼻の下を伸ばしたおれに満足したのか、片手は上げたままもう片手で自分の胸を揉みあげてきた。親父のグローブみたいな手でさえ余る胸肉に、吸い込まれそうな腋の毛。雄性の凝縮を浴びせられて、おれは一瞬思考が落ちた。
「ふっ♡今更恥ずかしがることもないか♡お前が喜んでくれるなら、私は何でもできるのだろうな♡♡」
「親父、好きだ……♡」
「私もだよ♡」
早く抱きたい。膨れ上がった欲望が一点を目指して忙しない。何も言わずとも、おれらは次にすることを理解していた。
理性のダムは決壊し、おれはちんぽをあてがって親父に覆いかぶさる。腹のせいで胸にすら顔が届かないので、谷間と腹が作るT字の溝の交点に鼻面をうずめるしかできなかった。
「入れるぞ……♡」
「ああ、早く入れてほしい♡このでかいちんぽで私を犯してくれっ♡」
見上げて問うても親父の顔は胸に邪魔されてあまり見えない。本当は谷間、あわよくば腋に顔を埋めたかったのだけど、親父がでかすぎて無理だった。腹がへこめばとも思うが、チャームポイントなので痩せろとは言えない。
なので身体を起こして見つめ合いながら、おれは腰を進ませる。親父は抱き着いてもいいが、俯瞰で見てもいい。どこで見てもでかさに驚かされるのだ。
「んあ、入って……ああっ♡さすがにでかいな……♡この圧迫感、んおぉおぉ♡指よりも太い、ん゛っ♡ランプトさんが……丹念に開発するのも、わかるな……お゛っおぉん♡♡」
「痛くはないか……?」
「大丈夫、だっ♡続けてくれ♡今抜かれたら、年甲斐もなくねだってしまいそうだ♡さっき頼んだのでさえ、恥ずかしかったのだぞ……♡」
「そんな親父も見たいけどな♡次見せてくれよ♡」
「しょうがない子だ……♡んおぉ♡おおぉ♡入るううぅ♡♡」
自分のプライドよりおれを喜ばせたいという気持ちが強いのか、親父は否定しなかった。ちんぽを受け入れていきながら、ただまどろむような微笑みを浮かべている。
息子にだけ見せる雌性と父性が混ざった顔。そんなの向けられて、ちんぽが反応しないわけがない。
こらえようと思っていた腰は想定より早く動き、親父のマンコを貫いた。
「……ふおぉおぉ?!♡♡♡」
最奥を小突いた時親父が鳴いて、おれは最後まで入ったことを知る。
「こんな奥まで……♡おっお゛っ♡腹が、はち切れそうだ……♡ま、待てっ♡押すんじゃない♡んおおぉおぉ~~♡♡♡」
「ごめん、親父がエロすぎて腰が勝手に……♡」
「まだ入るのかっ♡お゛ほぉ♡でかすぎるだろう♡我が息子ながら、こんな巨根とは♡♡こ、これが、ランプトさんの言っていたことか……♡♡」
親父は自分の腹を撫でまわしながら、荒く呼吸を繰り返している。涎もこぼしているところを見るに、もう少しなじむまで待った方がよさそうだ。
「ランプトはなんて?」
「それは本人に聞けばいいだろう……♡」
だがそこは気の利く男ランプト。無言で首を振って親父を促してくれた。ぐっと拳を握って応援するのは気が利いているのかと問われると微妙だが、少なくともおれは助かった。
「うっ……仕方ない♡お前のちんぽはでかくて、雄子宮なるものを易々貫くと……♡そこで抜き差しされると、もうノンケには戻れず……んっ、お前のちんぽに頭が上がらなくなると……おぉおぉん♡」
「言い過ぎだって。ランプトが文句言わないのは単に性格がいいからでしょ。それに、どうせ親父はおれらとしかセックスしないんだから、あんまり関係ないだろ♡」
「それもそうだな……♡お前以外のちんぽに満足しなくなるとも言われていたが……関係ないか……♡」
「おれは親父が求めてくれたらいつでもやるからさ♡いつでも誘ってくれ♡それに、おれも親父を誘っていいか……?♡」
「あ、ああ……いつでもいいぞ♡」
そう言ってもらえることが嬉しい。おれは親父の脚を抱えてお礼代わりに抽挿を送る。
雄子宮の入り口を乱暴にノックすると山鳴りが響く。ベッドの揺れから腹の震えまで、まさに地震を思わせるすさまじさだった。
「んおおぉおぉ~♡♡♡」
見開いた眼には驚愕が色濃く、想像以上の快楽に襲われていると知る。それから細くなる目は潤んで光り、切なく歪んだ。
「ぎ、もぎぢいぃ♡これはぁ♡あっあっ♡♡響く、響いている゛っ♡私の体中に、ちんぽがっ♡おおぉおぉっ♡♡」
「親父、気持ちいい……すげえ締まる……♡」
「お前の、ちんぽがっ♡でかすぎるからだっ♡ぐぉっ♡断じて、私が締めているわけは……んっおぉ♡中が埋まって、膨らんで、ぬぅ♡ぶっとおぉ♡」
「親父、ここが♡雄子宮な♡中に入れちまうとランプトでもアヘ狂うんだ♡」
「ひぃ♡お前……それは、まだ……♡」
「もちろんまだやらないって♡おれは親父ともっとこうしてたいからさ♡今の親父、すげえエッチで最高だぞ♡」
「う、そうか……ぬおぉぉ♡♡ちんぽでそれが本心だと、わかってしまうのが……むず痒い、んおおぉぉぉ~♡♡♡♡」
奥を小突いてやるとひげに涎が滴る。親父はシーツを握りしめながら、腹と胸をたゆませていた。おれの腰に合わせて波打つ豊満な毛皮の海は、汗で湿って動きを鈍くしている。だが、その嫣然とした光沢は飛び込みたい欲求を刺激して止まない。
「ランプト、魔法で親父の脚……固定できるか……?♡」
「もちろん♡お父さんの体だともうちょっと脚を広げた方がよさそうだし、俺に任せてくれよ♡」
「ありがとう、助かる♡」
「く、熊笠……何を……ふおおぉ♡」
虎が指を鳴らせば親熊の太い腿が開いて持ち上がる。おれの抽挿をよりスムーズにするための体位で、これでさらに処女マンの中で暴れまわることが可能になった。
親父は全部が重量級だから抱えて腰を振るのも大変なんだ。ランプトはその辺をわきまえてくれているが、親父にはまだ無理だ。
「気持ちいい、すっげえエロいよ親父……♡♡」
「おぉほぉ♡喜ぶべきだとは、わかっているが♡恥ずかしいな……♡それで、んっふぅ、お前は自由になった手で、何をする気だ……♡♡」
わずかな期待をのぞかせた疑問に、手を伸ばして応えよう。
おれは何度目かもわからない腹揉みをして、脂肪と筋肉が作った芸術に感謝を捧げる。どれだけ揉んでも飽きる気配がない。硬さの塩梅がちょうどよく、掌を沈ませて型を作っていこう。
どこを触っても最高の感触。撫でまわして大きさを確かめると、下地の筋肉が脈動したのがわかる。中を突かれるたびに力んだ腹が硬くなり、わずかに筋が浮かぶのもわかった。この太鼓腹で腹筋がわかるなんてこと、あり得るのか……。
「お前は本当に、ほおぉ♡私の腹が好きだな……♡ふっおぉん♡これでは、痩せられないなっ♡ああぁぁ♡ちんぽ、硬くなってぇ♡まったく、嬉しそうに撫でるものだなっ♡んおぉ♡」
「さっきの腹攻めでもっと好きになったからな♡おぉ……♡腹かってぇ♡なあ親父、力んでくれよ♡親父のたくましいところを見せてくれ♡」
「んぅ、しょうがない息子だな……ふんぬぅ♡」
両腕を持ち上げて力を籠めれば、親父の体はまさに巌へと変わった。
普段は脂肪でコーティングされている筋肉が膨張し、押し上げられた血管が毛皮ごと浮かんで雄々しさを示す。力こぶの隆起は地殻変動さながらで、親父は自身の体で山脈を表現しているようだった。
「ふぅーこれでいいのか……お゛お゛ん!♡♡腰が強く、うぉ、なったな♡そんな、あっおぉぉ♡犯されると、力が、入らないだろうが……♡んおっおっ♡」
しょうがないだろう。腕の太さだけでもおれの太もも以上なんだぞ。しかもあんなにでかくてむちむちしていた胸も引き締まったうえに、腹の上部にも腹筋の線がうっすら浮かんでいるんだ。なんだこの重戦車みたいな体は。
腹を堪能していたおれの手ははじかれ、もはや沈む気配もない。試しに軽く叩いてみると、鉄板を殴ったような感覚がした。
だけど下半身ではちんぽをいきり立たせたまま、大股を開いて犯されている。上下のギャップにめまいがする。興奮しすぎて視界が狭まっているようだ。
「おほぉぉ♡そんな奥ばかり、突かれるとおぉ♡おかしくなりそうだ♡♡んおっほおぉ♡お゛お゛ぉぉん゛♡そごはあぁ、っはああぁ~♡♡」
「親父……エロすぎだって……♡腰止まんねえ♡」
「んはぁ♡♡そんな顔を向けられて、嬉しいと思うとは♡ああでもたまらん♡もっと私に欲情してくれっ♡♡お前の性を引き受ける喜びにっ♡尻が……んおぅ♡昂るううぅ♡っほおおおぉぉぉ♡♡♡」
パンプした体に蕩けた顔を乗せて、親父はうっとりと笑う。親父の笑顔は珍しいのに、ベッドの上では大安売りだ。いかつい熊は見る影もなく、黒光りする鼻をひくひく動かしては親愛と情欲の視線をおれへと向ける。
だらしなさを全く感じないままここまで肥大化させられるのは天才の所業だよ。筋肉の鎧という表現がこれほどふさわしい肉体もない。腹がでかいまま硬くなったおかげで、さらなる感触が楽しめている。
そして、それは膣も同じ。力んだことで肛門が食いちぎらんばかりに噛みついてくるんだ。
「くぅ、きっつ……親父のマンコ、締まりがよすぎるって♡こんなのもう、尻じゃねえだろ……♡」
気持ちよすぎる。なんだこのキツマン。
ランプトの雄慣れしたトロふわマンコとは違って、親父のは頑固な性質をもろに受け継いでいる。おかげで引き抜くときの音の汚さは親父の方に軍配が上がる。どっちも気持ちいいし、それぞれ趣がある。おれが馬鹿みたいに興奮するのも変わらない。
「う、むぅ……♡ランプトさんからも、そうするとは言われたが……あっおおぉぉ♡んお♡お゛おぉ♡あだるぅ♡」
「じゃあもうマンコだって♡親父、言ってみてくれよ♡これからそういう台本がくるかもだしさ……♡」
「むぅ……♡♡」
ここにきて躊躇する親父を素直にさせるべく、おれはペースを落として結腸入口、つまり雄子宮に亀頭を押し付けた。
このまま親父のキツマンを犯していたらおれもいっちゃうし、小休止も兼ねている。さっきから興奮しすぎたせいで、親父の肛門周辺は粘液ですごいことになっていた。
「ふおっ?!♡おっおっ♡そこはぁ♡ああ、当てるな♡そこはまだ駄目だ♡そんなところに入れられたら、私が、本当におかしくなる♡♡♡ただでさえ、今尻がおかしいというのに……♡」
「なあ、親父♡」
「わ、わかった♡言う♡マンコだ♡私の尻は今、お前にマンコにされているっ♡♡♡」
うわ、エロ。ひげ面が真っ赤になってエロ単語をぶちまけるのは股間に来る。
おれはさらに亀頭を押し付けて、ぐっぐっと入れてほしいとねだっていた。
「あっあっ♡だ、駄目だと言っただろうに……♡♡本当に入れるつもりなのか♡♡」
「駄目か、親父……?♡おれももっと気持ちよくなりたいんだ♡親父のマンコを孕ませたい……♡」
「うおぉ……♡」
きゅうっとマンコの内壁が蠢いた。そこは熱くとろとろで、すっかり雌になっている。だからきっと受け入れてくれるはずだ。
親父は少しだけ悩んだそぶりを見せたが、ややあって恥ずかしそうにうなずいてくれた。
「好きにしろ……♡だが、優しくしろよ♡初めてのお、おマンコなんだ……♡」
「わかってる♡ありがとう親父♡♡♡」
お許しが出たからにはもう迷わない。今まで持て余していた根本部分まで押し込んでやれば、親父の子宮へと亀頭が入り込んだ。
「ふおおおぉおぉぉ~~~~♡♡♡♡♡♡」
その時の反応は劇的だった。力むために握っていた拳がほどけ、緩んだ胸筋がぼるんと落ちる。おそらく背筋がしなったのだろうが、腹がでかすぎてあまりわからなかった。
「うお、きつ……♡やっぱここすげえな……♡」
「は、入ったのか……♡ここが、雄子宮♡これが♡んおおぉおぉぉ♡♡♡」
「悪い、腰……もう止まんないわ……♡おれもずっと、出したくて♡」
ようやく恥骨で尻を殴れる。結腸入口を亀頭で広げていくと、親父の小さな耳はぴんと硬直した。雄としての防波堤を二つも突破されたことで、体中に雌の快楽が駆け巡っているのだろう。
根元まで入るとちんぽ全身が舐めまわされているみたいな心地よさに浸りつつも、子宮口と肛門が特大の締め付けで扱いてくれる。そして道中の柔肉もしっかり吸い付いてくれるから、腰が抜けそうなほど気持ちがいい。
おれの腰は引っ張ったゴムをはじいているかのようにバチュンバチュンとマンコを打ち据え、処女を食い荒らしていく。ランプトのおかげで遠慮せず動けるから、巨漢筋肉だるまを犯すのに不便はなかった。
「うごおぉ♡おっ♡おっほおおぉぉ♡♡♡これは、なんとっ♡やばすぎるっ♡こんなもの♡んぐいいぃぃ♡」
「あー♡親父のマンコすげえ♡腹も戻って揉み心地もいいし、最高ぅ♡♡親父、もっとやろうな♡親父の事、おれが一生気持ちよくするから♡」
「ふっほお♡ほ、本当だろうな♡んひぃいぃ♡こんなものを、味わったらぁ♡私はもう、女を抱ける気がせんっ♡♡♡んおぉおぉ♡♡」
「もともと母さん以外知らないくせに……♡おらっ♡♡」
「おおぉおぉん♡♡そ、そんなことは……ある、が……♡ほおぉ♡きもちぃ♡マンコたまらんん~~♡♡」
そりゃそうだろう。雄子宮にちんぽ突っ込んで、お前は雌だと快楽を刻み込んでいるんだ。性経験に乏しい親父に耐えられるわけがない。
だけどおれはそれが嬉しい。さっきのお願いもそうだけど、どうやら自分は親父を独占したがっているようだ。親父はランプトと違って不慣れだから、放っておけないというのはあるんだろう。
……なんだかこの歳になって甘えている気がして恥ずかしいが。
「マンコいい……あーすげえ♡食いついてくる……おぉ♡そろそろ、出すかも♡」
「ぐおおぉ♡これが、一生など♡本当に頭が上がらなくなるだろうにっ♡息子のちんぽに♡逆らえなくなるううぅ♡♡お゛おおぉおぉ♡♡♡んだが、ぎもぢいいいぃ~♡♡♡」
どれだけ上半身が跳ねたところで、足はランプトの魔法で固定されている。親父のちんぽはおれらの腹肉に挟まれていて、突き入れるたびにめり込んでは汁をまき散らす。
マンコは壊れたように痙攣していて、種付けを求めるボルテージが上がっているようだ。
「ああもう知らん♡熊笠♡もっと突っ込んでくれ♡もっと、ちんぽっ♡私のおマンコをめちゃくちゃにしてくれえええぇ♡♡」
「言われなくてもぉ……!♡♡」
興奮が親父の躊躇をどんどんはがしていくから、雄臭い熊親父から恥ずかしい言葉がどんどんあふれ出してくる。今前にいるのは厳格で石頭の黒熊ではなく、ちんぽをねだる一人の雌だ。
「おおぉおぉん♡♡♡たまらんんんっ♡こんな気持ちがいいのは、生まれて、初めてだああぁ~♡♡すごすぎる♡んお゛っ♡心のうちから、このちんぽが好きに……好きになってしまうううううぅ♡♡♡」
マンコは言葉よりも雄弁で、さっきからまとわりついてしょうがない。金玉袋に邪魔されて見にくいが、抜くときに引き伸ばされた肛門から泡がぷくぷくと吹く様がエロすぎて、すぐに突き入れてしまう。
そして入れたら今度は山のような体から艶やかな嬌声が飛び出すものだから、また次を欲して引いてしまう。
親父を犯しているつもりだけど、やらせてもらっている気にもなる。処女という言葉が到底似合わないような風袋の大男を犯しながら、性欲は昂るばかりだった。
「好きになってくれ♡おれも親父が好きだから♡これからも、いっぱいセックスしよう♡♡おれはもっと親父を犯したいっ!♡♡」
嘘偽りない本音をぶちまけながら、マンコにちんぽをこすりつけていく。膣肉の震えから、親父も絶頂が近いことがわかる。だから遠慮なく犯していくと、ひげに包まれた口が震えながら開いた。
「ん、私も、もっとほしい♡お前のちんぽがたまらんのだっ♡ああ、そこ♡奥にもっと♡んおおぉぉ~♡犯されるのがいいっ♡こんな、ふっほぉ♡気持ちいいものを、止められんだろうっ♡」
「ならもっと気持ちよくする♡おれもセックス頑張るから♡おれとランプトだけで満足できるように、これからも……んううぅ♡」
「お゛っほおぉ♡激しいっ♡マンコが壊れそうだというのに、ぎもぢぃ♡お゛っ♡ほおおぉぉ♡♡マンコたまらんっ♡♡ずごすぎるうぅうぅぅ♡♡♡」
おれらはもう素直に言葉を交わし、互いを愛していることも理解している。見つめ合う視線も温かく、愛情が溢れて止まらない。
だけどそれとは別に、体は絶頂間近だ。膨れ上がった欲望は今にも破裂しそうで、金玉が精子を煮詰めている感覚に急かされながらちんぽを突き立てた。
「んっほぉ♡ああっ♡いぐ♡マンコから、気持ちいいものがこみ上げて……うおおぉぉん♡♡手マンより、すごいのが♡ぐるううぅぅ♡♡」
「すげえ♡親父のマンコびくびくしてる……♡んなことされたら、おれも出す♡♡」
「だじでぐれぇ♡私のマンコに、精子をっ♡お前の濃いもので、種付けされたくてたまらんっ♡んふぅ♡どうやら私は、完全に、お前の雌になったようだっ♡♡」
その瞬間おれの背筋に走った感情は得も言われぬ衝動を巻き起こした。
親父に対する愛情や支配欲が渦巻いた汚いそれは、狂おしいほど胸を焼き焦がす。小さい頃不慣れな笑顔で抱っこしてくれた記憶が頭を流れて、すぐに現実のトロ顔に上書きされた。
もう無理だ。腰を止められない。
勢いよく打ち付けているせいで乾いた音が出ているが、鉄筋のような肢体を持つ親父に痛みなんてないに決まってる。弾んだ腹でぶたれたちんぽが汁をまき散らしながら暴れていることからも、快楽だけを感じているのは明らかだ。
「親父♡親父♡♡」
「ふおおぉお♡強いっ♡んはぁ♡マンコが感じて、駄目だ♡ぬぐおぉぉ♡息子ちんぽに、いがされるぅっ♡♡♡ちんぽがよすぎでぇ、頭が溶けそうだあああぁ♡♡」
興奮しすぎたおれはいつの間にか全体重を腹に乗せている。もっと顔を見たいと身を乗り出したせいで、掌がかなり食い込んでいた。
でも、親父に苦痛はまるでない。ちんぽが奥を犯すたびにぐぐっと力んで膨らみ、鋼になった腹肉が押し返していく。犯されて喘いではいるが、親父にとっておれはいつまでも小さな息子にすぎないんだろう。
一瞬手をどけるべきかと思ったが、この熊は横も奥行きもでかすぎて、そんなことをしようものなら腹同士がくっつくに決まってる。それにおれも射精しそうで、痛みがないなら優先順位はかなり低い。
「はぁ、親父……もう、いきそうなんだろ♡たくさん出してくれ♡」
「ああ♡そうだ♡ぬうぅ♡マンコがよすぎて抑えられんっ♡気持ちよくて、幸せなんだ……♡お゛っお゛おぉぉ♡♡お前と繋がれていることが、嬉しくて、ああ゛、たまらんっ♡♡」
「おれもだ……♡♡すぐ、おれも、いくから……親父の中、いっぱいにしてやる……♡」
中出しされることを想像したのか、膣がきゅんと締まった。親父の体は本人が思う以上に雌になっていて、ちんぽを存分にひだで舐めてくれている。
「ふっほぉぉ♡♡♡」
「んあ……♡♡」
だから、射精のカウントダウンが鳴り響いたのはおそらく同時だ。おれも親父も、意識が金玉に取られていく。
「い……ぐぅ♡もう、出るぞ♡熊笠も、私の中に出しなさい♡ふぉぉ……奥が切なくて、孕みたいんだ……♡♡」
それでも親父はおれに緩い笑顔を向ける。もう息子がどうとか言わず、ただ番の子種を求めるだけ。父親でもあり雌でもある上気した顔は、おれのストッパーを外すには十分すぎた。
だから最奥に、結腸入口をぶち抜いておれが入れられる最も奥にちんぽを押し付けて、荒く息を吐く。顎下から汗が滴って、親父の腹に落ちていった。
「ふぅー♡もとから、そのつもりだって……♡出すよ……♡んっ、ぐぅ!♡」
「お゛っほ♡おぐにくるっ♡これはたまらんっ♡あーあー♡もう駄目だぁ♡♡」
マンコが震え、ちんぽが跳ねる。おれらの煮詰まった興奮が共に射出されようとしていた。
「出す出す出す出す……親父の中に、全部出すっ!♡♡♡♡♡」
「いぐっ♡いぐいぐぅ♡初めてのちんぽで、精液が漏れるううぅうぅ♡♡♡」
結局おれらは一度も目を逸らすことなく、互いの顔を脳に刻みながら射精した。
「ぐううぅぅ……♡♡♡」
「ふほおおぉおぉぉぉ~~~~~~~♡♡♡♡♡」
だけどそれは射精までのことで、絶頂した瞬間親父は顔をのけぞって舌を突き出した。親父は舌ピンアクメを決めながら白濁をこれでもかと飛ばし、山脈に白い雨を降らせていく。
濃いうえに多い、しかも匂いがすごい。おかげでゲル状のザーメンが腹の上で振動している。さらに自分の顔まで飛ばしていて、黒いひげに白い裂傷が走った。
こういうところで血を感じるが、中出しされている親父はそれどころじゃないだろう。
「お、多いいいぃ♡♡私の腹が埋まるっ♡んほおぉ♡これでは、本当に孕んでしまいそうだっ♡♡精液でマンコが溶けるううぅ♡♡んぎもぢいいぃぃいぃ♡♡♡」
親父は魔法で固定された体を何とか動かして、ぐりぐり腰を動かしてマンコをこすりつけている。無意識の行動だろうが、そのいじらしさが金玉をさらに張り切らせるんだ。
似たもの同士だからおれだってザーメンが多い。できるだけ奥に打ち込んだのに、もう逆流し始めている。恥骨に噴きかかる感覚はスケベだが、初の中出しでよがる親父はそれ以上にスケベだから、記憶に焼き付けるのに忙しい。
「親父エロ……エロすぎだって……♡」
「ぬほおぉ♡押し付けるんじゃないっ♡今、今は駄目だ♡マンコいっでるがら♡ちんぽ、おっほおおぉぉ♡♡♡感じすぎてしまうっ♡♡アクメつんよおおぉぉお♡♡♡」
「自分から押し付けてるくせに……はぁー出るっ♡親父に中出し♡最高……♡」
山は時折びくんと痙攣しつつ、限界までのけぞってアクメに溺れている。その顔はすごくエロく、生まれて初めて見た親父のアヘ顔だ。ランプトの魔法がなかったらもっと暴れてただろうな。
おれは段々と落ち着いてきているが、親父はアクメの余韻が深いせいか、時間がかかっている。そんな姿を見せられると萎えるわけがないので、抜かずにちんぽを震わせた。
「おほおおぉぉ♡♡お前、まだこんな硬いのかっ♡我が息子ながら、こんな性欲……すばらしいなぁ♡♡ああ、私はお前を誇りに思うぞぉ♡♡」
ねっとりとした口調は脳みそが快楽で溶けている証拠だ。現にのけぞりアクメから返ってきた顔は涎と精液でぐちゃぐちゃになっている。休日でも服を着崩さない石頭のあり得ない醜態に、思わずときめいてしまった。
だが、それでも親父はおれの父親。性欲旺盛な巨根の遺伝子は負けじといきり立ったままで、すぐさま次が欲しいと尻をくねらせる。
「んおぉ……♡こんな硬いのなら、すぐ始められるだろう♡熊笠、私のおマンコに好きなだけ射精しなさい♡私は全部受け止めるぞ♡」
顔をぬぐうことなく急かす親父のひげ面がスケベすぎて困る。射精までの工程で羞恥もプライドも薄まっているせいで、性欲に正直になっていた。
「親父、ちょっとそれは……だからエロすぎるって♡」
「ふっ♡ランプトさんの開発で何度もアクメさせられたからな♡だが、それにしても初めてのホモセックスは想像以上だった♡これはやはり、もう女を抱ける気がしないな♡お前に兄弟を作ってやるのは無理そうだ♡♡」
……あの親父が冗談を言うなんて。おれは驚いて一瞬言葉に詰まった。そして、いつの頃から冗談ひとつに驚くようになったのだろうと、親父と話してこなかった人生を軽く振り返ってしまう。
そうするとやっぱり今の親父の方が好きだという結論になる。腹に飛んだザーメンを毛皮と絡めて遊ぶおれを、親父は温かい目で見ていた。
「兄弟とかもういいって♡おれには親父がいるだろ♡」
「すっかりファザコンになって♡これでは独り立ちがさらに遠のいてしまったな♡」
「出てってほしいのかよ♡」
「……親としては首肯したいところなのだがな♡さきほどお前が言った、これからも抱くという言葉に期待している私がいるんだ♡お前は自分の言葉に責任を持たないような奴ではないだろう?♡」
「まあね、だからおれはずっとここにいるよ♡安心してくれ♡」
親父は石頭だけどさみしがり屋なんだ。この広い家に一人で暮らしていたら、いつ男を連れ込むのかわかったもんじゃない。だからおれはここを出ていけない。それに、ランプトも家族で暮らしたいだろうしな。
さっきからおれらはベッドの中でスムーズに会話ができている。あれだけぎこちなかったのに、体を重ねることで段階をすっ飛ばしたのだ。
「親父、愛してる。おれはずっと親父の事が心配で、でも直接言う勇気がなかった。親父がおれみたいな駄目な息子の話なんて、聞いてくれるわけないと甘えてた、ごめん」
腹の山に手を置いたまま、熊の顔を覗きこむ。こんな懺悔ができるのも、会話に不便が無くなったから。この前親父も吐露したんだ、おれもしないと不公平だろう。
「おれは何があっても二人の息子だから、それは離れていても変わらない。まあ……親父からは離れないと思うけど、ランプトもそうだろ」
「そうそう! 俺も家族生活ってやつをやってみてえしな! 今回もいいのも撮れたし、これからたくさん思い出作ろうな!」
やっぱホームビデオ感覚で親子のセックス録画してたじゃん。おれらのせいでランプトの家族観が間違った方向に延びていきそうなので、そこは何とかしたいところだな。
「ふふ……」
親父は両手を伸ばしておれの頭を撫でた。
「そうだな。お前がどこにいても、お前は私の自慢の息子だよ」
くすぐったい愛情を受けると自然と笑みがこぼれてきた。親父の息子でよかったと、今はいろんな意味で思えるようになった。
どちらも勃起したまま和やかな空気を醸していると、そこにスマホを設置したランプトがやってきて親父の横に寝転んだ。
「ってことで次は俺も混ぜてくれよ♡俺もお父さんとやるの、楽しみにしてたんだぜ♡」
「構わんが……これじゃあ今日は寝られそうにないな」
「どうせ親父は明日休みだからいいだろ♡雄妖精はどうやら孕まないみたいだし、代わりに親父にはたくさん孕んでもらわないとな♡」
「何を馬鹿なことを♡♡」
とか言うけど、ちんぽが期待に震えているの見えてるんだぞ。すっかりおマンコされることになじんでいる。
「じゃあ俺はお父さんのちんぽに跨って……いや、腹で無理かも……」
「おれとの隙間じゃさすがにお前みたいな筋肉は入らないよな……いったんどくから、ランプトが親父とやりなよ」
「いや、せっかくの家族3Pだぜ! 俺は連結がしてえ!」
「絶対家族観間違ってるよな……」
「む、やはり痩せた方が……」
「「それは絶対しなくていいから」」
「そうか……?」
これだけは譲れないのでランプトと息が合う。親父の腹のすばらしさを知った以上、それを守るのは当然のことだった。
三人はベッドの上でごろごろと、汚れるのも構わずくっついている。ランプトが親父といちゃついているのを見て、我慢できずにちんぽを抜いて抱き着いてしまった。
団らんというには汚い行為だが、おれは幸せだ。中心にいる親父は左右それぞれで腕枕をしながら頭を撫でており、その顔は一緒で幸せに緩んでいる。おれらが腹を撫でまわすのを見て少し苦笑するが、それでもはにかんだままだった。
「俺さ、施設にいた時じいちゃんにこうして頭を撫でてもらうの好きだったんだよ」
「そうか、なら時々は撫でてやろう」
「んへへ。なら俺もお礼にお父さんのお腹撫でてやるよ」
「私は別に腹を撫でられるのが好きというわけでは……まあいいさ。好きなだけ触るといい」
ランプトはもう息子ですけどと言わんばかりになじんでおり、親父と鼻チューしながら父性を堪能している。こういう甘えるという行為も、ランプトがしてみたかったことなんだろうな。
一歩引いてみると親父が男を侍らせているような姿勢だが、腹がでかすぎてこの形が一番収まりがいいんだよな……。向かい合うと絶対腹に圧迫されるので。
「なあアナグマ、せっかくだしこれからお父さんのおっぱい一緒に吸わねえ?♡」
「いいな。さっきはいじれなかったから、しゃぶってみたかったんだ」
「むぅ……乳首は弱いんだ。お手柔らかにな」
初めて知ったが? これは俄然いじらないとな……。
よしとおれらが顔を上げてかぶりつこうとした時、どこからか音楽が鳴り響いた。聞きなじんだアラーム音はランプトが撮影に使っていたスマホからであり……おれのだった。なんでこっち使ってんだよ。
「間違えて持ってきちまってさ。でもせっかくの機会だから一瞬たりとも逃せねえしで、使わせてもらったんだ。事後承諾になってごめんな」
「まあいいけど……見られて困るものないし」
実はあのトカゲとのやり取りとか上司からのお誘いとか、まあまあ気まずいものはあるんだけどさ。ランプトならいいだろ。
にしても、なんだってこんな時間に。親父が帰宅してからのセックスなので、夜も更けている。こんな時間にかけてくる人なんて、一人しか……。
「あ」
おれは急いでスマホを取ると、案の定画面に映っていたのは母さんの名前だった。
その表情で察したのか、親父の体がこわばる。息子とセックスした後だしそれも当然か。さっきあれだけ悠然と父性を漂わせていたのに、今はあわあわと左右にせわしなく視線を送っている。ここにきて急に後ろめたさが出たようだ。気持ちはわかる。
だが出ないわけにはいかない。母さんだって忙しいのにわざわざかけてくれたんだ。
おれは立ち上がって廊下で通話しようと思っていたが、それを止めたのはランプトだった。
「お父さんはもう大丈夫だろ?」
「……そうだな」
自信満々な笑みを見て、おれは思い直す。おれと母さんの会話はすでにランプトによってばれていたんだ。今更か。
「……もしもし、母さん?」
『もしもし熊笠。久しぶり。前に話してから結構経ったけど……そっちはどう?』
うかがうような慎重な声音でおれを心配してくれるもうひとりの親。だからおれはいつまでたっても二人の息子でいたいと思うんだ。
「うん、大丈夫。あのさ、母さん……親父と話したよ」
親父の肩が大きく震えた。
「親父、おれらのことずっと愛してるって言ってた。ほんっとうに不器用だよな。だったら最初から言ってくれればいいのに」
申し訳なさそうに目を伏せる親父をしり目に、おれは自然と声がにじんでいた。
「親父はおれのこと……失敗だなんて思ってなかった。ごめんって謝られたよ。おれ、親父の息子で、いいって……ただおれの幸せのことを考えてたって……」
『そう……なんで私にも言わないのかなあ……。一緒に考えれば、熊笠のためになることがたくさんでたのに……私も気付いてあげればよかったわ』
ランプトが魔法で音声を拾っているのか、親父は本当に申し訳なさそうにうなだれている。さっきあれだけ大きかった体が小さく見えるほどに。
「だからさ、おれはこの家に残るよ。親父を一人にできないし。けど、おれは母さんの息子でもあるから、何か必要な時はいつでも言って。今度はおれから連絡するよ。心配してくれて、いつもありがとう」
『貴方……大きくなったね。よかった。あの人のところでつぶされないか本当に心配してたの。確かに今の熊笠なら、お母さん安心して任せられるわ』
優しく嬉しそうな声を聴いて、おれは胸が詰まった。この人の息子でよかったと思えるから。
でも親父はずっと居心地が悪そうだ。聞いたところ二人は弁護士を通してしか連絡していないので、話したのもだいぶ前になる。
「母さん」だからおれはお節介を焼いて。「親父そこにいるけど……話してみる?」
「なっ?!」
親父は目を見開いて固まってしまった。あれだけ堂々として職場でもてきぱき仕事をさばいている重役の姿はここにない。不安に揺れる瞳に向けて、おれは大きく頷いておいた。
『熊笠がそう言うなら。あの人がなんて言うか知らないけど……』
「親父は別にいいって。そうだろう親父?」
「う、うむぅ!」
なんかテンパってうめき声みたいな了承を投げてきた。今日だけで親父のいろんな顔が見れて、親近感が湧くな。
「はい、親父」
おれが渡したスマホを恐る恐るグローブみたいな手で取る熊の大男。壊れ物を扱うかのような手つきは、慎重さと不安がよく現れている。背筋を伸ばして座り直し、何度か咳ばらいをして気合を入れていく。
ランプトは小声で応援していて、しっかり空気を読んでいる。こいつのこういうところがおれは好きだから、手を固く握って熱をもらった。不安になっているのは、実はおれもなんだ。
「ひ、久しぶりだな……」
『ええ、変わりない?』
「ああ、熊笠がしっかりしてくれているから、仕事にも支障は出ていない」
ぎこちない義務的な会話だ。ランプトが指を振るうと二人の会話がはっきりと聞こえてきた。今は仕事の話なんてどうでもいいだろうに。おれが就職で出て行ってからしてきた会話はこんな感じなんだろうなって片鱗を見た。
でも親父はもうそれじゃ駄目だということを理解している。何度か深呼吸をして、親父は今まで言わなかったことを紡ぎだす。
「……すまなかった」
『……』
「お前たちが私が熊笠を愛していないと思っていたとは、正直まったく気づいてなかった。私はただ、これが正しいと思って行動していた。あいつを失敗だなんて思ったことなんて一度もない。だが、それがお前たちの負担になっているなんて、考えもしなかった」
『せめて私には相談してほしかったわ。貴方、熊笠の話になるといつもあれが駄目とかこれが駄目しか言わなかったじゃない。私が何かフォローしても、決して考えを曲げなかった』
「……返す言葉もない。あの時の私はそれだけが正しいと思っていて、そうじゃなければならないと信じていた。お前が出て行って初めて、もしかして私は間違っていたのだろうかと考えたんだ」
『遅いのよ……でも、それが貴方らしいわね』
「ああ、私は遅かった。だが、熊笠はそんな私を見捨てずに残ってくれた。熊笠はいい子だ。本当に……私たちの誇りだ」
『その言葉、もう少し早く聞きたかったわ。しょうがない人』
話を進めていくにつれて、母さんの声から緊張が抜けていくのがわかる。ようやくわかってくれたのだと、言わんばかりだった。その声音が優しすぎたから、親父の顔が泣きそうに歪む。
『ねえ、覚えてるかはわからないけど、貴方とお見合いで初めて会った時、すごく緊張したの。貴方って山みたいに大きいでしょ。でも、肩を丸めて私を萎縮させないようにしてた貴方を見て、この人は大丈夫だって思ったの』
「そうか……あの時は初めて見たお前が小さすぎたから、怖がらせないように必死だったんだ」
『貴方から見たら誰でも小さいわよ。でも最近の貴方は肩を丸めるどころか怒らせて、熊笠を追い詰めてた。私はそれが……貴方が変わってしまったと、思ったの』
「すまなかった……そんなつもりは本当になかったんだ。ただ……いや、これは言い訳だな。私は父としてあるべき姿を示すことだけに固執して、お前たちの気持ちを考えなかった。反省している。だから、芽吹(めぶき)。かえ――――」
母さんの名前を呼んだけど、言葉はそこで途切れた。
帰ってきてほしいと言いたいんだってことくらい、おれにもわかる。でも親父は口を何度も開閉して、目線をさまよわせて逡巡して、それを言うことはなかった。
結婚したことのないおれに二人の気持ちはわからないが、道を違えてしまったのはわかる。母さんはもう自分の人生を歩いているし、おれらの会話を聞いた親父もそれをわかっている。
だから泣きそうな顔に笑みを浮かべて、親父は言った。
「お前と過ごせたことは、私の幸せだった。見合いの相手がお前でよかったと、私は今でも思っている。愛していたよ芽吹。……今までありがとう」
『貴方と結婚出来てよかった。私も……愛していたわ。ありがとう、羆さん』
それで会話は終わったが、親父は通話の切れたスマホの画面を呆然と見つめたままだった。もう戻らないものに思いを馳せているのだろう。
おれはその背中をそっと撫でて、隣に座る。親父は反対側に座ったランプト共々抱きよせ、肩を震わせていく。おれらは何も言わない。親父の目頭から雫がこぼれていることも、嗚咽が漏れていることも。
親父は家族のことを愛している。その表現方法は褒められたものじゃなかったけど、今の親父なら大丈夫。
おれもランプトと同じで、家族の形なんてもうよくわからない。だけど、これから再出発していけると信じている。
きっと二人も同じことを考えてくれているはずだ。
****
『最近息子にもらったプレゼントをつけて出社しているのだが、案外ばれないものだな♡』
なんてコメントが付いた写真には、乳首にリング状のニップルクランプをつけた雄熊の巨乳が映っていた。マグネットで挟むタイプのもので、リングの中心に置いた乳首を左右から棒が挟み込むといったものだ。
雄熊はシャツの片胸をはだけさせており、むっちりとしたデカ乳が今にも弾みそうな臨場感がある。しかも反対側ではシャツにリングが浮かび上がっており、両方にはめているのがわかるだろう。
背景は清潔なトイレの個室で、親父はよくここで胸を出したりオナニーしたりといった写真をよく投稿していた。
会社のトイレだと言っているが、実際は雄妖精人間界支部の撮影所だ。さすがに写真は動画と違って魔法を仕込めないので、身バレ防止のために全力を注いでいる。
この写真だって胸のドアップだから顔はほとんど映っていない。黒く濃いラウンド髭と胸元の白月の対比が生えていて、さらにちょっとだけのぞく赤い舌がよく目立ったいい写真だ。これは見ている人によこしまな妄想を抱かせるに違いない。
ランプトプロデュースによって、今の親父はバツイチのド淫乱というキャラでネット活動をしていた。
「なんだこのリング……エロすぎるだろ……親父に似合いすぎだし……」
「んへへ、だろー? お父さんって本当に見た目が雄々しいから、こういうのすっげえ似合うんだよ♡本当はボンテージとか着けたいんだけど、サイズが特注すぎて時間かかっててさあ」
親父の撮影を終えて帰ってきたランプトを労い、リビングでソファに座りながら成果を見せてもらっている。肩をくっつけた仲睦まじいカップルだが、見ているものは実の父のエロ写真だ。
「これは速攻で投稿したやつだけど、まだまだ撮り溜めしたものはあるからな♡……これとか♡」
「うっわ……やっばエロ……♡♡」
さっきと同じトイレで、今度はカメラに向けたデカケツの中からぶっといディルドを抜いている写真だ。画角がひねっていることからわかる通り、あの腹でこの写真を撮るのは大変だっただろうと察した。
上半身はきっちりしたスーツなのに、露出した下半身から排出される粘液まみれの張り型との対比がエロすぎる。自撮りの関係上見下ろしになっているが、しゃがんで近距離から排出後のマンコを拝みてえ……。
「自撮りって設定じゃなかったらそっちの方がいいんだけどなあ♡ま、それはアナグマとの動画でやる予定だぜ♡」
「やるやる♡確か親父はケツもでかいからもっと映してくれってコメント来てただろ?」
「そういうこと♡やっぱり俺が見込んだ通り、アナグマとお父さんの絡みは人気だからな♡次の休日はハメ撮りしてもらう予定なんだが、構わねえか?♡」
「もちろん」
単体でも人気を博していた親父だが、息子であるおれにバレるというハプニングを経たことでその地位を不動のものにしていた。読み通り初めての顔出しハメ動画は人気が爆発し、SNSでも登録者はうなぎのぼりだ。
まあ顔見れば親父と血縁にあるなんて一発でわかるもんな。おれとランプトのアカウントがハメ撮り解禁から人気を出していたこともあって、そこに親父という起爆剤だ。ある意味予定調和とも言える。
おかげでランキングの常連にのし上がることができて、雄妖精界への帰還はランプトだけなしになった。だからこいつとはずっと一緒にいられる。それがすごく嬉しい。
「やっぱお父さんはすげえ逸材だよな。雄妖精の中にいても目立つ容貌って、改めて考えてもすげえよ。しかも俺らには父性とかそういうもんがねえから、なおさら目を引くんだろうなあ」
「まあこんないかつい熊が息子に掘られて喜んでるって、それだけで希少だからな。親父がエロいのはおれも全肯定するが」
「じゃあ俺は?」
「もちろんすっげえエロい。最高」
「んへへ♡アナグマ、愛してるぜー」
虎が嬉しそうにひげを揺らして体をこすりつけてくる。晴れて恋人同士になってから、この虎のスキンシップはいっそう激しくなった。けど、おれは嬉しいので問題ない。
たまらなくなってキスすると当然のように返ってくる。大体こんな調子でランプトが愛を知ることができるのか不安だが、当の本人は幸せそうだ。
親父ばかりピックアップしたが、ランプトだってちゃんと人気を出している。
最初は彼氏にねだられてしぶしぶ動画を出していたが、今ではそれが当然になったという設定だ。上司の力を借りれるようになった今、野外だろうがどこだろうが、ランプトの思う動画が撮れるようになっていた。
そのおかげで、この前撮った電車内痴漢ごっこの動画はすごくよかった。認識阻害されてるとわかってもすっげえ興奮したから、かなりの量を中出ししてしまった。評判もよく、願いの採取も順調だから、上司がこの前王様から褒められたとか聞いたな。いまだに王様とか出てくるの慣れない。
こうしておれも戻れなくなるような体験をしているが、ランプトを受け入れている時点でわかっていたことだ。
んで、おれは筋骨隆々の雌猫彼氏をハメ撮りで調教しつつ、ゲイ活動を始めたガチムチ親父に気付いて調教している性欲一筋の変態。なんかもうリアルでもそうなりつつあるのが怖いし、あんまり間違ってないんだよな……。
こんな半端な体形のおれが最高級の雄二人を抱えてることでアンチが湧かないか不安だったが、幸いなことにおれのちんぽは雄妖精だけじゃなく一部のウケにも好評だった。巨根に産んでくれてありがとうと親に感謝した。
「お風呂あがったが、次誰か入るか?」
いちゃついているとリビングに山が入ってくる。撮影とはいえ尻にディルドはめたりしていた親父は、帰ってくるなり早々入浴していた。撮影所にもシャワーくらいあるだろうが、どうせ家に帰るまで歩くからということらしい。
「じゃあランプト先に入るか? お前も外行ってたんだしさ。入ってる間に晩御飯準備するよ」
「んへへ♡それもいいけど、アナグマ、お父さん見てみろよ♡どうやら別に言いたいことがあるらしいぜ」
「え、なんだ……うおっ?!♡」
スマホから視線を移すと、写真なんかよりエッロい熊に思わず鼻の舌が伸びた。
親父は山だ。高さも分厚さも、本当に山のような体をしている。
だからタオルを腰に巻くとかできないので、いつものお風呂上りはしっかり着替えている。いつもなら、だ。
だが今はファンから送られてきたという面積の少ないエロ下着一枚。ちんぽと玉の形すら浮かび上がっているどころか、陰毛がはみ出しまくっている下品なパンツだけをはいて、おれらのところに歩いてきた。
その意味するところは明瞭だ。そりゃそうか、尻にディルドとか乳首リングとか、エロいことたくさんしたもんな。性欲もたまる。
親父はおれの膝に腰を下ろし、もの言いたげな視線を向けてからわき腹をつかみ、毛皮を波打たせた。自分で腹を揺らしておれにアピールするのが、最近はやりのようだ。
「……駄目か?」
短く簡素な親父らしい、だけど昔の親父なら絶対言わない言葉をもらって、おれはすぐさまちんぽを硬くした。はやりってことは効果抜群ってことなので、三桁を軽く超える親父の体重なんて苦にもならないほど興奮するんだ。
「いいよ。おれも親父の写真見て興奮したしな♡」
「んへへ♡実は俺も♡今日帰ったら絶対三人でやろうと思ってたんだよなあ♡」
おれら以外とはやらないでと言ったからには責任を取らないと。本当は撮影現場で誰かにしゃぶらせてもよかったのに、親父はそんなことをしない。いろんな人から来るお誘いも全部断っている。
そこが親父のいいところだと思う。本来家族愛にあふれた優しい人なのに、発露の仕方が本当に不器用だったんだよなあ。
「あ、そういえばアナグマ」ランプトが親父の腹を撫でながら何かを思い出した。「上司が今度の撮影について相談したいから、連絡してくれって。やりたいことに合わせるから、バイトを雇って輪姦とかでもいいってさ」
「いやそこまでしなくても……最初だしまずはさしでいいんじゃない?」
「じゃあ言っておいてくれ。連絡先は知ってるだろ。上司、お前のちんぽに夢中だからさ、大抵のお願い聞いてくれるから好きに遊んで来いよ♡」
言葉だけ聞くととても彼氏のものとは思えねえ……。
だけど雄妖精、ひいてはおれらの関係においては、これは当たり前のことになっている。おれもだいぶ雄妖精の価値観に染まったよなあ。そもそも今から親父を抱くので、大抵のことは誤差になるのはそう。
親父とは逆に、おれは撮影のたびに誰かにしゃぶらせている。上司とかもそれ目当てで付き合ってくれてる感じあるし、今度ついにハメ撮りのコラボが決まった。
あのトイレでの撮影以降、エロ自撮りさせてるって設定がランプトによって勝手に生えたせい。だからランプトのアカウントには、屈強な狼が自分で首輪つけて飼ってくださいっておねだりしながら尻を振ってる動画がある。おれは何も頼んでない。急に生えてきた。でもおれのせいにされている。
というわけで、おれはこの二人以外のオナホを複数抱える最低野郎になっていて、もう社会に出れない存在と化している。
……いや彼氏持ちなのに他の雄にしゃぶらせてる時点で言い訳のしようがねえんだけど! あと親父抱いてる……終わりだよ!
母さんに知られたら、なんてたまに怖くなるけど今のところ関係は順調だ。この前連絡したら、新しい仕事の話をいろいろしてくれた。主婦になる前はキャリアだったし、働くのも好きそうなんだよな。
なんでこの二人からおれが生まれたのか、たまにわからなくなる。
「熊笠……」
そして、雄妖精の価値観に感化された人がここにも。
親父はちんぽをギンギンにしてエロ下着を引き伸ばしているが、腹がでかすぎて根本なんて全く見えない。横からのぞきたいが、座られているのでそれも不可能。ただ当たってるなって感覚だけが状況を教えてくれる。
「撮影中ずっと尻がうずいてな……♡たまらずに帰ってきたんだ♡」
「ああ、だから家で風呂に……」
淫乱にはなったが、親父はやる前にきちんと風呂に入る。加齢臭とかがどうしても気になるらしい。おれもランプトも親父の匂いは好きなんだけど、本人がどうしてもというからさ。
そういうところで石頭の面影は残っているが、腹をゆすってねだる姿を見ると、だいぶ絆されてはいると思う。
でもおれは今の親父が好きだ。
立ち上がったランプトは親父の背後に行き、手を回して胸を揉みほぐしていく。リングをはめた痕なのか、下向き乳首はいつもより少し赤く色づいていた。
「ふぅ、おぉ♡あ、たまらん♡もっと、胸を……んおぉぉ♡」
「いつ触ってもでっけえよなあ♡揉み心地も最高だし、こんなお父さんが持てて俺は幸せだ♡でも、俺も負けないよう鍛えねえと♡お父さんばっかり人気出してちゃ、雄妖精の名が廃るってもんだ♡」
親父の事は家族でもありライバルだと思っているのか、ランプトの筋トレ熱が最近すごい。おかげで身体がさらに屈強になってきていて、ジムでボディビルに誘われたりしたらしい。
それに親父も感化されて、おれはそんな二人を見ながら食事メニューとかを頑張っている。二人がでかくなるのは大賛成だし、実際良い思いをさせてもらっている。
おれが親父とぎくしゃくしたのは趣味が合わなかったからというのもある。親父みたいにスポーツマンじゃないし、性癖だって違ったんだ。
その分ランプトはカラっとした性格でジムもよく行くから、親父と話が合う。動画という共通の話題もあるし、食卓がにぎやかなんだ。つくづく来てくれたのがこいつでよかった。
「親父」
顔を突き出してねだると、親父はすぐに応えてくれる。もはや当たり前になったキスで舌を絡ませて、唾液を交換しながら愛情を確かめていく。
「アナグマ♡俺も俺も♡♡」
そして次は肩越しに顔を出したランプトとキス。なんてただれた関係だと人は言うだろうが、それがこの家の常識だ。
配信業は順調で、願いも収益も増えている。貯蓄も潤いだしたし、愛しい恋人もできた上に親父との関係も改善した。
それも全部ランプトが来てくれたから、おれにとってこいつは希望だ。
あの時契約をしてよかった。今なら本心から言える。暗い部屋で人生を浪費していたあの時と違って、今は世界が輝いている。
「アナグマ♡」
キスから戻ってきて、虎ははにかんでいる。その気持ちはおれにもよくわかる。今が幸せだと、顔に書いてあるもんな。
「俺と契約してくれてありがとうな。アナグマがいてくれたから、俺は恋人とか家族とか、そういうものを見つけられたんだ。でもまだ、もっとわかりたいから、これからもずっと一緒にいてくれよ」
「当然だろ。おれらは恋人だし……それに、家族だ。そうだろ親父?」
「んむ、ランプトさんがよければ、これからもずっといるといい。熊笠には君が必要だ」
「親父だって喜んでるくせに……」
価値観についての是公はまだ足りていないが、それでも虎は満面の笑みを浮かべてくれるから。
おれも親父も、笑って返せるのだ。