おれの国には最強がいる。
ジェイルラル=クリン=アーミライト、おれの大好きなジェルだ。
『神風』とうたわれるほどの速さを持ち、戦えば傷ひとつ負わずに敵をせん滅させる。まさに最強にふさわしい狼。
正直、おれってポジション的に異世界チート枠だと思ってたんだけど、ジェルには勝てる気がしない。おれがスキルを発動する前に斬られて終わる。対人には強い自覚はあるけれど、おれのスキルはどちらかというと搦め手が主なので、戦いとかそもそも向いてないし。
だけど、コハクが戻ってくるときの騒動を経て、最強格が二人も増えた。
『鉄塊拳』ゴライザと『土神』ウィザロン。
圧倒的防御力を盾にすべてを薙ぎ払う狂犬を傷つけることがまず難しい。さらにはおれとのあれこれで覚えた『効果無効』や『空気抵抗』のおかげで、あらゆるものを打ち消し、吹き飛ばしながら進む姿はまさに重戦車のようだ。
ジェルと相打ちした時はさすがに死にかけていたから、おれは心配だけどね。
だけど傭兵街で派閥を築き上げた時には、傭兵街の全戦力を一人で相手にしたと後から聞いた。それで勝ってるんだから怖すぎる。狂犬が過ぎるでしょ。本当にあいつは自分の命を軽く扱いすぎ。
ウィザロンは土神だけあって超広範囲攻撃とかいう兵器並みのスキルを兼ね備えていて、多数を相手取ることを得意としているらしい。実際に見たことあるのは周辺の地形を変えたりしてる程度だけど、それでも十分強い。
そもそも自身の周辺を聖域化するスキルもあるらしくて、ふいをうつとかしないと絶対勝てない。そう考えたらおれのスキルがばれてる時点で勝ち目がねえなー。
この三人のおかげで我が国の兵力はえげつないことになってる。
個人で大軍を相手取れるレベルだと、周りの国もあせるよね。
しかも、だ、もとから歴史を紐解いても類を見ないほど、二つ名持ちが多いときている。
遠距離せん滅を得意とし城すら燃やせる『華炎』。
潜入暗殺お手の物で兜の中身は誰も知らない『影に満ちた鏡』。
結界ごと突撃をかまして周囲を圧殺する『騎士道走行』。
大多数相手は苦手だがタイマンにおいては無類の強さを誇る『茜差す栄光』。
『竜の冠』や『墜落する三日月』はいなくなってしまったが、その代わりヤードが最近『混濁した海』という二つ名をもらったし、フォグやコハクも強さ的には比肩するだろう。
それに、傭兵街から『戦勝鬼』と『技能泥棒』も来た。この二人はこの二人で別枠のやばさがあるんだよな。スキル的にも結構特殊なタイプだと思う。
つまり、兵力として見れば、前よりもずっと強くなったというわけだ。
さて、ではそんな中、内乱を制したコハクが新たに作った部隊が注目を浴びないことがあるだろうか。いやない、あるわけがない。
ゴライザが始めた騒動とはいえ、対外的にはコハクの王位継承という大義名分がある以上、諸外国の目はどうしてもコハクが大部分を持っていくことになる。
そんなコハクが作った部隊。しかも『戦勝鬼』を副隊長にして、『華炎』が部下にいるという異常事態だ。
当然隊長は誰だ? あいつは何者なんだ? と言われるのは自明の理だよね。
「……というわけなので、お前の行動にはコハク王子の威信がかかっている。行動には気を付けるように」
「はーい」
いつも通りおれはフォグから小言をもらい、いつも通りに返事をしておいた。
白竜宮の一室でベッドに横たわるおれのそばでたたずむフォグは、相変わらず真面目が服を着ている態度で注意喚起をする。そのメンタルは素直にすごいと思う。
なにせ、周りでは屈強な男たちが白濁まみれでぐったりとしているからだ。
エロで育成という頓珍漢なコンセプトのもと発足したおれの部隊は、こうやってまぐわうことが日常茶飯事になっていた。
まずは普通の部隊のような訓練をして、そのあとエロでスキルを鍛えるというルーチンになっている。おれの相手は機会が均等になるように設定されており、今日はトリドスだった。
「ふふっ、フォグ君は真面目だな❤」
おれを肉厚霜降りボディに埋めながら、トリドスは熊へと視線を向ける。角がでかすぎる雄牛はベッドで寝ながら振り返ることができない様子だ。
黒い毛皮は甘い匂いを漂わせ、雌であることへのアピールは欠かさない。おれとさんざんやったせいで雄臭さは強いものの、とろけるようなでかい胸に視界が占められると脳が混乱しそうになる。
「これが仕事なのだから、構わないと思うがね。それに、私のような雌はこうして愛でてもらわないとすぐ欲求不満になってしまう。リンドン君も頑張っているのだから、私たちも気持ちよくならねばならんだろう?」
なんて言われるとフォグも反論できない。年上で戦闘経験豊富だし、ギルド長として人を見てきたトリドスだ。フォグも『竜の爪』副隊長の職歴はあるけれど、やっぱり経験の差はでかい。
名前が挙がったリンドンはスキル研究の第一人者だ。今は協力して効率的にスキルを育てる方法を模索している。
実験と評していろんなエロをやらされているおかげで、隊員のみんなは少しずつ強くなっていると思う。それが効率を重視した結果なのか、彼らの素質によるものなのかはまだ判断がつかないけど。モウダンをはじめとして、元から強い連中の集まりだからね。
究極的には二つ名クラスを量産することが、リンドンの目標らしい。完全に世界のパワーバランス壊れちゃう。
「……よし、ある程度のデータは集まったな」
リンドンは長いウサギの耳を動かしながら、ほくほくした顔で手元のノートにいろいろ書きこんでいる。
ウサギの持つ『触手解析』のスキルは相手の深くに触手を埋めるほど解析精度が増す。おかげで隊員たちは上下の口に触手をはめられて、いきながらけいれんしていた。
……絵面があまりにも地獄。
さらにここから『スキル改造』などで他人を捻じ曲げられるスキルホルダーなのだから、あまりにたちが悪いとしか言いようがない。ちなみに自分のことは棚に上げた。
そんなリンドンは触手を消してからおれに向き直り、すぐさまフォグのおっぱいに視線を吸い寄せられて鼻の下を伸ばした。わかりやすいが過ぎる。
「だいたいの仮説は立ったよ。あとは君からなんの恩恵を受けていない人に対して検証したいところだが……結構激しい行為になると予想されるから頑丈な方が良い」
「うーん、それじゃあ候補を募ってみるしかなさそうだね」
「一応こちらで候補を絞っているのだけれど、『茜差す栄光』ファンダル、『騎士道走行』グランド、などがいいと思うんだ。『影に満ちた鏡』は一度君とやってるから、正確なデータにはならないだろうから除外したよ」
「二つ名持ち限定なんだ」
「やはり元からの才覚もあって結果がわかりやすいからね。今したいのは方法の最適化で、一般人にどれほど有用なのかは、時間がかかることを踏まえて最適化が終わった後で検証したいんだ。二つ名持ちがさらに強くなるのはそっちにとってもいいことだろ? 結果が出ることは確定なんだ、後はその方法だけが知りたい」
そこで耳をそばだてていたフォグが口を開いた。
「だが、それじゃあ残りの二つ名持ちはあの二人しかいないだろ。検証するにしても、二回までが限度になるな。それにあの二人がすんなり頷いて……ああいや、ファンダルはたぶん行けるか……」
「そのくらいわかっているよママ! 僕ちゃんだって大事な二つ名持ちを使いつぶすようなことはしないさ! だからこうしてデータをしっかりとって、後は『竜の爪』の人らにも問診して、スキルの芽生えた時期に行っていたエロなどからちゃんと仮説を立てたよ! 褒めてママーーーーっ!!」
「おーおー、えらいぞリンドン、えらいえらい」
「えへへぇ……」
このウサギは本当にフォグの前だと駄目さ加減が爆増するな……。これでファンダルとジェルも狙って、ママハーレムを築こうとしているのだから怖すぎる。放置してたら駄目なタイプのやつ。
リンドンがおれのスキルで進化したらどうなるのかわからないから、フォグから絶対手を出すなと言われている。コハクが自分の得意を伸ばしてスキルに絶対耐性を獲得したことから、ろくでもないことにしかならないのはわかる。
……でもリンドンの性癖は欲しいなとはこっそり狙っていたりはする。『性癖抽出』を使えばマザコンが取れるのは確定だ。そして、ここにはフォグとトリドスがいる。困ったら彼らの包容力で解決できるのだ。最終手段にはなるだろうと、おれは見積もっていた。
「なので、こちらからコハク王子には提案しておく。ひとまずここまでかな。僕は戻ってデータ作業でもしようか。今日やったプレイ内容をまとめておいてくれ。明日もらってまたまとめるから」
「ああ、わかった。頼りにしている」
「ママのためにも、僕ちゃん頑張るよ!」
フォグの一言で速攻キャラを崩したリンドンは、スキップしながら部屋を後にした。なんか、扱いなれてきてるなーとは思う。
「さて」ウサギを見送ったフォグが口火を切る。「今後の予定だが、もうすぐゴライザの部隊と合同の演習がある。これが何のために催されているか、覚えているよな?」
「コハクが編成し直した軍の力を見せるためです!」
げんこつは怖いのでちゃんと覚えておいたよ。フォグは優しいけどスパルタなのだ。
特にここ最近はおれを隊長として立派な人にしようと奮闘しているせいで、詰め込み方が半端ない。教育ママじゃん。ただエギザクタ家でメンタル壊すくらいの教育をされてきた遍歴が、おれへの扱い方から垣間見えるのが何とも寂しい。
本人も自覚があるみたいだけど、小さいころからのくせはなかなか抜けないようだった。別におれはフォグが優しいのを知ってるから冗談半分で流せる。そうしないと気に病んじゃうしね。
熊はおれの答えを聞いて満足そうに鼻息を鳴らし、教育の成果を噛みしめているようだった。
「その通り。ゴライザやウィザロン様を編入させるために軍部は大改造が行われた。元帥だった親父をすげ替え、おれらの部隊も作られた。その結果を他のやつらに見せることで、コハク王子の権力を知らしめる……いうなればけん制するってわけだ」
こういう話はあんまり実感がわかないので、なるほどとだけつぶやいておいた。政治関係の話は縁がなかったから、そういうものだという風にしか思えない。
それから延々と流されるフォグの情勢解説をぼーっと聞いていると、おれの頭を抱きしめていたトリドスが固い手で撫でてくれた。先ほどの問題を答えられてえらいということなのだろう。そういう意図で選んだわけではなかったんだけど、副隊長二人の包容力が強すぎる。
「演習内容などに関しては通達が来てたが……読んでねえよな」
「……え、そんなのあったっけ?」
「お前は一応隊長だから、情報はしっかり届くようになっているはずだ。というか、おれがこの前確認したよな? 読んでおけよって。お前に関係あることなんだから、伝達物は把握してもらわねえと困るぞ」
「う、ごめん。読んでても内容が頭に入ってこなくて……」
「まあ、急に隊長なんてやってるんだ、情報量が多くて大変なのはわかるがな」
となんとか怒られずにすんだ。実際部隊としてのスケジュールだけじゃなくって、育成方針とかも考えないといけないから、考えることが多いんだ。新設部隊ということで、成果のアピールのためにいろいろやらされたりするしね。
そのすべてを把握してくれるフォグはもはや副隊長というよりかは秘書だな。最近訓練も頑張ってるおかげでさらに胸も腹も膨らんできたし、エッチな秘書って実在してたんだと感慨深くなる。
「おい」熊のジト目が刺さる。「変なこと考えてただろ」
「なぜわかる……」
「お前の考えそうなことくらいお見通しだ。まだやりたりないっていうのか?」
「そういうわけじゃないけどさ、フォグがあんまりやってくれないような気がして……」
「おれはもう十分お前とやって、スキルも強化されてるからな。優先度は低い」
「やりたくないわけじゃない?」
「……まあな」
バツの悪そうな顔でそっぽを向く熊の頬は、ほんのりと色づいているように見えた。真面目過ぎてため込むタイプだからなぁ。新しい副隊長業務に真剣すぎて、息抜きが必要だと思う。
ベッドから手を伸ばしてフォグの黒い袖を引っ張ると、重い体が傾ぐ。思えば最近フォグとはやってない。こんな凄惨なエロ現場にいて、やってないなんておかしな話だ。
トリドスもそう思ったのか、おれごと横にひいて場所を開けてくれた。キングサイズのベッドなのに、フォグがはみ出しそうな隙間しか空かなかったけど。
「フォグ君も気にせずやってもいいだろうに❤スキルが鍛えられてるとはいえ、そんな調子じゃすぐ部下に抜かされるぞ❤❤」
「余計なお世話だ。それに、隊長がこいつなんだ、副隊長が強くなけりゃいけないってわけでもねえだろ」
ごもっともではある。だけど、フォグは抵抗らしい抵抗もせず、こうしてベッドまで手繰り寄せられてくれる。
おれらの部隊の服は黒い軍服で、前まで着ていた青と違って引き締まって見える。だが、脱ぎやすいようにと随所に工夫がされているため、熊の豊満な体はすぐさまさらけ出されていく。
どうせ普通の訓練はもう終わっているんだ。後は盛るだけでも問題はない。実際他の連中はリンドンが帰った後も楽しんでいるようだし。
「しょ、しょーがねえな」わざとらしくフォグがため息をついて。「確かにこれも訓練だ。付き合ってるよ」
素直じゃない奴。それじゃあと熊のたくましく太い体を抱き寄せた時。
「ご主人、いるか」
地を這うような低い声がおれのことを呼んだ。
****
『鉄塊拳』ゴライザは山のように膨らんだ腹とずば抜けて高い背丈を持つ、がっちがちに膨らんだ暗灰色の犬だ。限界まで肉を詰め込んだ四肢は筋肉の盛り上がりがすさまじく、筋繊維からして常人と違うのではと思わせるほどにごつく発達している。
顔つきは常に不機嫌をまき散らしているように鋭く、初対面時には吐きそうになったことすらある。口を開けば牙が顔をのぞかせることも、恐ろしさに拍車をかけている要因だろう。
つまるところゴライザという男は、常時殺気駄々洩れ屈強強面犬とかいう、道ですれ違ったら全力横跳びで逃げるくらい圧のある男なのだ。
「ごっ主じーん❤❤ご主人ご主人ご主人っ❤❤❤」
そしてそんな最恐わんちゃんから全力で甘えられているおれは、顎下をわしゃわしゃと撫でていた。
「んーー❤❤ご主人のなでなで好きぃ❤❤なあ、もっとわんちゃんの全部をいい子いい子してくれよご主人~~❤❤❤」
話したいことがあると呼び出されてゴライザの家にやってきたとたん、大砲の玉みたいな巨体にベッドまで連行された。
一緒に住んでいるトリドスが白竜宮にいるおかげで、憚るものがないのだろう。尻尾はもうはちきれんばかりに揺れ、低い声に可能な限りの媚びを煮詰めている。
忠犬の性癖を発露させたゴライザは、おれの前では狂犬から駄犬に代わる。
全裸に首輪スタイルで腹を見せながら喜びにのたうっているなんて、部下のアリギラドらに見られたら確実に終わる光景だろう。まさかあの狂犬が飼い主に可愛がられることが生きがいの駄犬だなんて、誰も思わない。
「ごめんなご主人~❤話があるって呼びだしたのに❤二人っきりになっちまうと、我慢できなくなっちまったんだわん❤ご主人にいい子いい子してもらいたくって、ちんぽびんびんにしちまう駄犬でごめんなさいだわん❤❤❤」
もはや不機嫌顔なんてどこにもない。でれっでれに蕩けた駄犬の顔があるだけ。
舌まで垂らしてハフハフしている様は、狂犬の名折れが過ぎる。可愛らしいからつい甘やかしてしまうおれも悪いんだけどさー。
腹を見せた降参スタイルの股間では、太いちんぽがビンビンにそそり立っている。根元から伸びる袋には、ごろんとしたでか金玉がはっきりと浮かび上がっていた。
巨体に見合った雄々しさの塊はしかし、犬としての喜びがあふれてびしゃびしゃだ。股間周りの毛は先走りで湿り、それがなお情けなさを生み出していた。
「あおーん❤❤ちんぽいい子いい子っ❤俺のちんぽに、いい子いい子してぇ❤❤ご主人にいい子いい子されないと、俺の忠犬ちんぽは満足に射精もできねえんだよぉ❤❤」
「待って、それって相当長い間満足してないってことじゃ……」
おれがコハクの所に飛ばされて、王都で怪我をして、それから今までまともに相手をしてあげた記憶がない。
お見舞いに行くのも遅れてしまったくらいだし、あの時はトリドスが来てしまった。それからおれも隊長になって忙しかったから、こうしてここに来るのも久しぶりな気がする。
その間ずっと、ゴライザは性欲を持て余していたってこと?
「そうだぜ❤❤マンコほじったり、腰振りも試してみたけどよ❤ご主人のいい子いい子じゃなきゃ、本当の意味で満足なんてできねえんだ❤寂しがり屋のわんちゃんを一人にするなよぉ❤❤」
「それは……ごめん」
「ご主人も悩んでたみてえだからいいんだぜ❤でも、もう我慢できねえんだ❤❤だから一回❤一回だけいかせてくれっ❤❤俺のちんぽからビューって❤いい子いい子、してぇえぇ❤❤❤」
でっぷりした金玉には、これまでの騒動の間ずっとため込まれて精子がうごめいているのか。そう思うって握れば、ずっしりとした重みがある。おれとの経験によって性豪になっていることもあり、かなりの量がありそうだな。
思えばゴライザはちょっと会えなくなっただけで、寂しさこじらせて舐めまくってくる忠犬だったのだ。今まで会えなかった時間で見れば最長と言っていいだろう。
そりゃこうなる。本当はおれの顔を舐めたりキスしたりしたいはずなのに、必死に抑えているだけなんだ。相変わらずけなげすぎる忠犬だ。どこぞの猫とは大違い。
「ううおぉぉっ❤❤❤」
「たくさん溜めたんだ」
「溜めたぁ❤ご主人のことを想ってオナっても、全然っ❤気持ちよくなぐってぇ❤❤ご主人の手じゃねえと❤俺ぇ……❤❤」
もじもじと太ましい腰を動かしてゴライザが弱々しい声を出す。ゴライザを知っている人が聞いたら耳を疑うような声だが、おれにとっては聞き慣れたものだ。
ゴライザはおれのために怒って、立ち上がってくれた。
そして自分が怪我をしてまでジェルの洗脳を解除してくれた。
そんなゴライザがおれでなければ満足に射精できないと嘆き、乞うている。さすがにそれは不義理がすぎるというもの。今までたくさん頑張ってくれたんだ、お返ししないとね。
「よし。ゴライザ、話ってすぐ済むやつ?」
「おう❤ただ、ご主人たちと訓練してほしいってだけだからぁ❤❤はふはふっ❤」
それだけなら時間もかからなさそうだ。それに、そういう話はフォグとかがいたほうが良いだろうに、わざわざおれだけを呼んだということはやっぱりこういうことを期待してたに違いない。
「じゃあゴライザ」
「なんだ、ご主人❤❤」
おれの言葉に期待したのか、尻尾の揺れが大きくなりシーツがぐちゃぐちゃになっていく。ようやく射精できるのだとちんぽが期待に震えているところ申し訳ないけれど、せっかくなのだ、ゴライザには心行くまで気持ちよくなってほしい。
それが、おれにできる精いっぱいの恩返しだから。
「お散歩しよっか」
というわけでおれはゴライザのリードを引っ張って町を歩くことにした。
日はまだ高く、昼を過ぎたばかり。普段はセックス訓練の後にご飯を食べるようにしていたから、実は腹ペコだったりする。
……戦闘訓練とセックス訓練を午前に詰め込んだせいで、毎日早起き過ぎるのが本当に難点なんだよなぁ。午後からみんな各自任務があるからしょうがないのだけど、さすがに詰め込みすぎだよ。社会人って大変。
「ご、ご主人……❤❤」
足元から響く不安そうな声に我に返れば、ゴライザが体を丸めながらこちらをうかがっていた。
全裸でたくましい体をさらけ出しながらも、首からリードをつながれた姿は誰が見ても変態わんちゃんだと言うだろう。それは、おれ以外の前で決して忠犬を見せないゴライザにとって、最も避けたいことだというのは知っている。
王都だけあって町には賑わいが満ちており、往来は激しいものだ。そんなところにぽつんとうずくまる黒く大きな犬は、おれの足に縋り付いていた。
「大丈夫。周囲には催眠をかけてあるから、ゴライザのことは大型犬としか思われないよ。お散歩、したかったんでしょ?」
「したかった❤❤ここに来てから、室内犬みてえな扱いばかりで……それも嫌いじゃねえけど、俺はご主人とこうしてお散歩したかったんだぜ❤❤」
「じゃあ今日はたくさん遊ぼうか」
「おう❤❤」
実際道行く人らはゴライザに全く注意を払わない。こんなにごつくいかめしい黒犬が変態プレイをしているとくれば、人目を引かないわけがないというのに、だ。
ゴライザもそのことを受け入れ始めてきたようで、おずおずと四つん這いで歩き始めていく。
整えられているとはいえ、町の床にはいろんなものが落ちている。さらに石畳だから、膝が痛くないか、普通なら心配するところだろう。
だがこいつは『鉄塊拳』なのだ。
単純なスキルレベルも高く、最高峰の身体能力を持つ化け物の一人。
そんな奴が石畳程度に後れを取るわけもなく、なんならこすったところで毛の一本さえ抜けない。
その証拠に、本人はばれないことを確認した瞬間にはもう走り出しているけれど、顔は喜色のままなのだ。
「一応、怪我とかしたら言ってね」
「問題ねえよ❤生半可な剣じゃ俺に傷ひとつ付けられねえ❤❤俺はご主人の忠犬で❤立派なボディーガードだからな❤わん❤❤」
お座りの体勢でおれを見上げる目には自信がみなぎっている。そりゃ最強の一角でジェルの洗脳を解いた立役者だもんね。そこらの人が徒党を組んだところで、負けるヴィジョンが見えない。
そもそも元が巨体過ぎるせいで座っていても目線がそんなに下がらないのだ。大型犬というか魔獣と言われてもおかしくないくらいでかいぞ。
「ご主人❤早く行こうぜ❤わんわん❤❤」
リードを軽く引っ張って催促されるので、おれも歩き出す。ちゃんと首で引っ張るところに忠犬根性がうかがえて、完全に犬になっているのがわかる。
おれ程度の腕力じゃリードを引っ張ったところで首が締まるわけもないとはいえ、ちょっと躊躇してしまうな。
「心配するなよ❤」そんな懸念を見透かして犬は胸を張る。「ご主人が本気で引っ張ったところで、苦しいわけがねえ❤お散歩でテンション上がっちまってるから、ちゃんとリードしてくれよ❤❤」
あの『鉄塊拳』がここまで下手に出ていると知ったら、みんな驚くだろうな。
尻を振って意気揚々と四つん這いで歩き出す犬は本当に嬉しそうで、ちょいっと手に持った紐を引っ張るとすぐさま方向転換してくれた。
町は賑やかで人混みが激しいというのに、ゴライザは遠慮なく分け入って進んでいく。自分こそが一番だという態度は忠犬になっても変わらないようで、尻尾を振りながら堂々とした態度だ。
踏まれてもまるで動じておらず、剣が効かないと豪語するだけある。それどころか体当たりで人波をどかしていくくらいだ。根性が座りすぎている。
「おら❤おらぁ❤俺のご主人の邪魔するんじゃねえぞ❤❤道を開けろ❤❤今俺のご主人とお散歩中なんだ❤前に立ちふさがるなんておこがましいんだよ❤❤」
やくざ犬か???
しかもたまに振り返っては『役に立ってますよね?』と目線でアピールしてくる。これで好感度稼げてると思ってる当たり、狂犬は健在だと痛感する。催眠中じゃなかったらいたたまれなくなってたぞ。
どかされた人らはちょっと視線を向けるだけで、誰もがゴライザを大型犬だと思っている。まあ普通、こんなデカい犬がそばにいたらビビるだろうけど、そこも催眠でいい感じにごまかしている。超広範囲に薄い暗示をばらまくなんてあんまりやったことなかったけど、何とかなっているようでよかった。
……歩くたびに範囲が更新されるから結構しんどいが、ゴライザが楽しそうだから頑張らないとね。
扇動する大型犬はのっしのっしと闊歩し、鍛え上げられた尻が目の前で揺れている。突き出した腹が少し地面とこすれているようだが、本人はまったく気にしていなかった。
「散歩楽しい?」
「もちろん❤久しぶりにご主人がしてくれた散歩だ❤もう嬉しすぎてずっといってるみてえになってるぞ❤」
うん、四つん這い出歩くゴライザの足の間から、ナメクジが這ったような跡が続いてるから察してたよ。さっきから生殺しの状態だとはいえ、散歩してるだけでこれはさすがに舌を巻く。忠犬性癖の元祖なだけはある。
「人目とか気にならないならよかった」
「別に有象無象に見られたってかまわねえよ❤ご主人が催眠をばらまいてくれてるおかげで、俺の地位は安泰だからな❤❤」
あくまでおれだけの視線が欲しいとゴライザは吠える。露出狂に目覚めたらどうしようかと懸念したが、この調子だと問題なさそうだ。ゴライザにとって、他人の目など基本的にはどうでもいいらしい。
こうして忠犬を隠しているのも部下からの信頼を失わないようにという配慮から来ているから、ばれないとなったとたんに活き活きし始めているわけだ。
「んで、どこに行くんだ?❤行きたいところがあれば、俺に乗ってもいいぞ❤❤」
「せっかくの散歩だからもうちょっとこのままで歩くよ。お昼がまだだから、広場で買い食いでもしようと思ってね」
この前ヤードに教えてもらった屋台、まだやってるかな。日替わりとかだったら他の物を食べよう。
「わかった❤ならこっちだな❤❤」
すでに地理を頭に入れているのか、ゴライザの足取りに迷いはない。派閥のトップをやっていただけあって、優秀なんだよな。前はヤードに案内してもらっていたから、ちょっと自信がなかったんだよね。助かった。
黒く大きな背中が太陽の下で広がっている。気温が高いわけではないけれど、ごつごつとした背筋には汗が浮かんでいるのが見える。おれに負担をかけないよう、四足歩行でも早めに移動しているせいだろう。
「もうちょっとゆっくりでもいいよ」
「別にこの程度❤何の問題もねえ❤せっかくご主人とお散歩できるっつうから、気持ちが急いてんだ❤久しぶりすぎて待ちきれねえんだ❤わんちゃんは寂しかったんだぞ❤❤」
「そっか、なら今日はたくさん遊ぼうね」
「あおーん❤❤❤❤」
元気のいい返事をもらい、おれらは広場へと向かう。
ゴライザのやくざムーブによってすんなり到着したここは、前見た時と変わらぬ活気を蓄えているようだった。
さて、ここで前食べたお肉がまた売ってるかなぁ。
なんて周りをきょろきょろしていると、突然声がかけられた。
「おんやぁ、すげえでかい犬だな。あんたの飼い犬かい?」
黒い熊の男性が物珍しそうな視線をゴライザへと向けている。見た目から言って、戦いが得意そうな印象を受ける。
軽装の隙間から見える体はちゃんと鍛えているのがわかり、その手には本物の大型犬がつながれていた。
「そうだよ。ゴライザって言うんだ」
「いい犬だな。おっと自己紹介が遅れたな、おれはタズィ、魔獣を専門に狩る冒険者だ。こっちは相棒のガンラ。見ての通り魔獣だが、人に危害は加えねえよ」
訂正、魔獣だった。どう見てもちょっと大きな犬だと思ってた。
ゴライザと比べたら小さいってだけで、普通に考えるとでかすぎるか。
「くぅーん……」
下に伸ばした犬歯が特徴的なガンラは、なぜか耳を伏せてたじたじだ。
……なぜか、では全くなかった。ゴライザが全力でガンつけていた。威圧感で魔獣を圧倒するな。
「おーガンラがこんなにおびえるなんてめったにねえぞ。よほど強い犬なんだな」
「あ、ははは……そうだね……ところで何か用?」
「いや、あんたの犬が珍しいもんでつい声をかけちまっただけだよ。見ての通り、魔獣には目がなくてな」
怯えるガンラをなだめながらニカッと笑う熊。フォグやらグリッジやら素直じゃない熊ばかりだったから、てらいのない笑顔は新鮮だ。最近はフォグもこんな顔をするようになったとは思うけど、頻度は多いとは言えない。
というかなんでゴライザはガンラを威嚇してるんだ。落ち着け。
「ご主人の忠犬は俺一人で十分だ」
「初対面の魔獣に嫉妬するな!」
これは撫でようとしたら機嫌を損なうな。犬としての独占欲が高すぎないか?
「どうしたんだ?」
「なんでも……」
タズィが不思議そうな顔をしてきた。暗示のせいでゴライザの発言は全く理解できないんだった。
……待てよ。せっかくのお散歩だ、少し遊んでもいいかもしれない。
『暗示』のスキルを発動。タズィに命令を上書きして、違和感をより感じにくくした。
「よかったら、触ってみる?」
「ご主人! 俺ぁご主人以外に懐くつもりなんて、さらさら――――」
「ちょっとだけだから、ね?」
「くぅん……」
頼み込むとしぶしぶゴライザは頷いてくれた、おれ以外に触られるのもだめなのかよ。
「おっ、触ってもいいのか? ありがてぇ」
「ご主人に頼まれなかったら、誰がてめえなんぞに……!」
嬉しそうに顔をほころばせるタズィに、ゴライザのうめき声は全く届かない。ごつい手でわしゃわしゃと頭や背中を撫で、その下蓄えられた筋肉に感銘を受けている。
「おおぉ……すげえな、こんなたくましい犬を初めて見た……おれより鍛えてるんじゃねえか?」
「そうだろうね。ゴライザはおれの自慢なんだ」
「ご主人……」
世界中を探したって、こんなに強くて、かっこよくて、賢い犬はいないだろう。
ゴライザのような雄が忠犬でいてくれて、おれはとても助かっているんだ。
「ご主人~~~~❤❤❤❤」
感極まったゴライザが尻尾を振りながらおれの足に頭をこすりつけている。へたすると靴を舐めそうな勢いだ。よほどうれしかったのだろう、足元で水たまりが広がった。嬉ションみたいに先走りを出すな。
ゴライザは忠犬を人前にさらすことを好まない。
だからおれはずっとゴライザがいかにかっこいいかと、他人に言う機会を持てずにいた。せっかくのお散歩なのだから、飼い犬自慢をしたっていいはずだ。
そしてそれはゴライザも一緒だろう。忠犬として褒められる経験なんてなかったものだから、それはもう誇らしそうにお座りの体勢を取って遠吠えをあげている。
「俺こそがご主人の一番❤❤一番強くて頼りがいのあるわんちゃんなんだ❤❤あおーん❤❤」
「ねー」
「わおん❤」
大きな頭をぐしゃぐしゃにする勢いで撫でても、返ってくるのはもっと❤という期待だけ。最近『鉄塊拳』としてしか活動できていなかったようだから、より忠犬ムーブに熱が入っているのだろう。
暗示が効いているとはいえ、今のおれらはどう見ても仲睦まじい相棒だ。黒い熊はこわもてのゴライザがここまで懐いている驚きに目を丸くしながら、ガンラを引き寄せて抱きしめた。おれらの関係がうらやましくなったのかもしれない。
「おお、相当あんたに懐いてるみたいだ。こんなデカい犬をここまで懐かせるなんて、相当いいブリーダーがいたんだな」
「秘訣を教えてあげようか?」
「そいつは願ったり叶ったりだな。実のところ王都なんて始めて来たもんで、おれと同じようなハンターなんていねえと思ってたんだ。ギルドに行っても、魔獣を相棒にするなんてはやってねえみてえだしよ……」
なるほど、完全なお上りさんか。ジェルの家と王宮ぐらいしか知らないおれが言うなという話ではあるが、それならなおのこと暗示のかかりもいいだろう。
「ゴライザ、ちんちん」
「わう❤」
膝立ちさせればでかく張った腹の下からにょきっと極太ちんぽが顔を出す。ゴライザは舌を出した荒い息でこっちをしっかりと見ているのだけど、膝立ちでもおれより背丈が高いから威圧感が半端ない。
これから何をされるのか、ゴライザは大体わかっているのだろう。
期待にあふれる先走りがその量を増して、とろとろと地面と糸を引いているのだから。
「うちのゴライザはちんちんをいい子いい子するとすごい喜んでくれるんだ」
むき出しの亀頭を掌でこすってあげると、忠犬は屈強な背中をそり返して吠えた。
「あおーーーーんっ❤❤❤❤」
人の集まる広場で恥知らずな咆哮を上げる『鉄塊拳』。
それでも群衆は誰も不審を覚えることはなく、それどころか熊にいたっては神妙な顔でなるほどとつぶやいている始末。
人前で撫でられているゴライザは尻尾どころか尻まで振って歓喜を表現し、表情筋をでれでれに溶かしている。久しぶりの忠犬扱いが欲求不満と結びついて、今にも射精してしまいそうになっていた。
「ご主人❤ご主人❤もっともっとおぉ❤もっと俺の忠犬ちんぽ❤いい子いい子してええぇぇ❤❤❤へっへっへっへっ❤❤❤」
「うん、わかったよ。よしよし」
「あおーーーーん❤❤❤❤」
「……と、こんな風にすごい喜んでくれるんだ」
「へー、王都ではこう躾けるのか。勉強になるな」
しげしげと眺めるタズィの前で、忠犬ちんぽがびくんびくんとのたうって汁をまき散らす。ここまでされてなおゴライザの視線に羞恥などは一切なく、ただおれから与えられる快楽を貪っているだけ。忠犬としての自分に誇りを持ちすぎてない?
「あおーん❤ちんぽきもちいいぃ❤❤これが❤ずっとほしかったんだ❤ご主人❤だーい好きだぞ❤❤早く俺のこと、飼ってくれよおぉ❤❤毎日散歩して❤いい子いい子で忠犬射精させてくれぇ❤❤❤」
「なるほど、確かによく懐いているみたいだ。おれもガンラにやってみようか」
なんて言うと横の魔獣が『え?』みたいな顔で飼い主を振り返った。人じゃないから暗示のかかりがよくなかったかな。おれのせいで主従関係が崩壊するのは申し訳ないから、あとで記憶は消しておかないと。
そう考えたら最初にゴライザが格付けをしてくれて助かったかもしれない。ガンラに攻撃されたらゴライザが完膚なきまでにぶちのめしてた。これで動物虐待は避けられたな。
「じゃあ、試しにやってみる?」
「おれが触っても大丈夫なのか? 見たところ、あんたにしか懐いていないようだが」
「大丈夫大丈夫。ね、ゴライザ?」
「……っち、しょうがねえな❤本来ならご主人以外が俺に触るなんて絶対にごめんだが、そのご主人が言うなら従ってやるよ❤❤」
ずいっとちんぽを突き出しながら、ゴライザの眼光は鋭い。おかげでタズィが不安そうじゃないか。
このままだと話が進まなさそうだから、おれは後ろからでかぶつわんちゃんに抱き着いて、腹や胸を揉んでご機嫌取りをする。むっちむちで手が弾力のいい肉に沈んでいく感触は、控えめに言って最高だ。
大きなものが与える無条件の安心感が掌から染みこんでくる。そこに性欲を混ぜ込んだおかげで、我ながらいやらしい手つきで揉んでいると思う。
「んーー❤ご主人のなでなできもひぃ❤❤好きっ❤好きぃ❤❤❤」
「ありがとう、ゴライザ」
「いいってことよ❤俺は忠犬だぜ❤ご主人の言うことには、絶対服従なんだ❤❤わんわん❤でも、きちんとできたら後でちゃんとご褒美をくれよだわんっ❤❤」
おれが目線で合図を送ると、熊はゆっくりと手を伸ばしてきた。目線はゴライザに合わせたまま逸らすこともしない。魔獣の扱いに慣れているせいだろう、安心させるように話しかけてきさえした。
「怖くないぞ。おれはお前に危害は加えねえ。お前のご主人だって、それはよーくわかってるはずだ」
「はんっ❤てめえごときが俺を傷つけられるわけねえだろ❤いいからとっとと忠犬おちんぽをいい子いい子しやがれ❤❤」
向こうはちゃんと犬に話しかけているつもりで、それがものすごい違和感を生んでいる。熊が笑顔を浮かべているのは相手を警戒させないためだとはいえ、ゴライザに効くわけはない。
それでも忠犬はちゃんとちんちんのまま、後ろから抱き着くおれに頬をすり寄せて待っている。つくづく忠犬だと思う。
受け入れられたことを悟って、タズィの武骨な手がついにちんぽをつかんだ。
「あおーん❤❤」
「よーし、いい子だ。……それで、これからどうすればいいんだ?」
「いつもしこってるようにするといいよ」
「なるほど、任せてくれ。相手もいないから毎日しこってるんだ、そういうのは得意だぞ」
暗示のせいか恥ずかしい情報をぽろっと漏らしたな。結構モテそうなのにね。
王都は初めてみたいだし、田舎ではこういうタイプはモテないのかもしれない。言われてみると毛並みはぼさぼさだし、話し方もどこかなまっている気がする。
とはいえ、体はしっかり大きく鍛えられてるし、いかついけど笑うと人懐っこくて可愛らしい感じもする。男女問わず、人から好かれるような気がするんだけどなぁ。
おれがフォグを見慣れてるせいで熊に求めるハードルが高いのは自覚しているけど、それを差し引いてもいい雄だと思う。フォグはあれで身分も才能も教育も全部持った引く手あまたな物件だから、比較対象にしたら絶対だめ。
「こうか? おれは裏筋をくちゅくちゅってするといいんだが、どうやらゴライザも気持ちが良いみたいだな。ほーれよしよし」
「わうわうっ❤はん、手つきは慣れてるみてぇだが❤やっぱり『愛撫』がねえとこんなもんか❤❤俺のご主人の足元にも及ばねえぜ❤❤お゛おおぅ❤❤ふーっ❤ふーっ❤」
「うーん、やっぱりあんたの方が嬉しいみたいだな。おれならもう射精してるはずなんだが」
真っ赤な顔で意地を張るゴライザを見るに、おれの手じゃないと嫌だとアピールしてるみたいだ。さっきからの興奮でいついってもおかしくないのに、必死に耐えている。
「そんなに耐えなくてもいいのに」
「せっかくのお散歩なのに❤ご主人以外の手でいくなんてぜってぇ嫌なんだよ❤わんちゃんの金玉はご主人に会えなかった分のザーメンをためてんだ❤せめて最初くらいはご主人がいいんだよ❤❤」
「けなげが過ぎる……」
つくづくこんなけなげな人を放置してた罪悪感があるな。
そこまで言うのなら、最初はおれがいかせてあげよう。
おれはちんぽを握る熊の手をやんわりと押しのけて、その場を入れ替わって前に座ることにした。握ってみると、熱く脈打ったちんぽがまるで鉄の杭のように硬くいきり立っているのがわかる。
それだけでゴライザからはふっ❤と可愛らしい吐息が漏れ、期待がさらに硬度を増していく。喜びが大きかったのか、体がでかすぎておれの指くらいはありそうな血管が膨らみ、追従して鈴口がパクパクと開閉して汁を噴いた。
「じゃあお手本を見せるね」
「ああ、頼む」
「わおん❤」
ゴライザのちんぽはでかいから、両手を使って思いっきりしごく。
すでにぬるぬるで滑りがいいちんぽは湿った音をたてながら、持ち主へと快楽を叩きつけた。
「あおーーん❤❤これだよこれぇええぇっへええぇ❤❤俺のご主人のいい子いい子がぁ❤一番気持ちいいんだあああぁ❤❤❤あぁ、もっと俺の忠犬おちんぽおぉ❤いい子いい子じでえええぇ~~~~❤❤❤」
「うん、わかったよ。今まで我慢出来てて偉かったね。いい子いい子」
「んへへへぇ❤❤ご主人❤ご主人❤俺の大好きなご主人~~~~❤❤❤わんちゃんいっぱい出すぞ❤今までご主人に会えなかった分の寂しさ❤ぜーんぶ忠犬ちんぽからびゅーびゅーするっ❤❤んへ❤あおーん❤」
先ほどから限界を我慢していたせいで、爆発するのは早かった。
腰が動いているせいで金玉が踊っているのだが、それが射精を前にしゃくり上げているように見える。この大きな玉から生産されたザーメンが、ゴライザの尿道を登っているのだろう。
「ふへえええぇ❤❤こ、このままじゃ俺っ❤ご主人にザーメンぶっかけちまう❤んでも❤このままいい子いい子じでほじいぃいぃ❤❤❤」
「『精液操作』で全部取れるから、気にせず出していいよ」
「あ、ありがとうなご主人❤❤ちんぽ❤ちんぽ❤いい子いい子すきぃいぃ❤❤❤」
だらしなく垂れた舌からこぼれる唾液が丸い腹に染みこんでいく。その下で腰だけがカクカク動くのは、それだけ快楽が強いということだろう。
ちんちんの体勢で悦に浸るゴライザをタズィは真剣な目で見ていた。参考にしようという腹積もりなのだろうが、無駄な努力でしかないよ。だって、そのガンラはドン引きした目をゴライザに向けてるから。魔獣の表情って案外わかりやすいな。
「わ、わんちゃんいぐ❤いぐいぐぅ❤ご主人~~❤忠犬ちんぽげんがいいぃ❤もうだめだあああぁ❤❤❤」
射精に向けてぐっと硬くなったちんぽに、おれは驚きを禁じ得なかった。ここからさらに硬くなるんだ……殴ったら鈍器にできそうだな。
「ふんぐうぅぅ~❤いぐっ❤いっぐうぅうぅ❤❤ちんぽいぐ❤いっちまう❤❤ご主人にいい子いい子されて久しぶりに出すぅぅ❤ああぁ~たまんねええぇぇ❤へっへっへっ❤❤」
「じゃあ広場のみんなに聞こえるくらい、大きな声でいこっか。おれにゴライザの強いところを見せてよ」
「わがっだぁ❤任せろご主人❤ご主人のわんちゃんはぁ❤世界で一番強くてかっこいいんだってことっ❤見ててくれ、んぐおぉ❤あっ❤おおぉおん❤❤」
ちんぽと同じように腹も力み、丸い腹に腹筋が浮かんで鋼へと変化する。こうなればたとえタズィが剣を振るったところで、傷ひとつつかないだろう。
「あおーーーーーーーん❤❤❤❤❤」
だが、そこから出てきたのは快楽に蕩けた犬の遠吠えでしかなかった。
余りの声量と覇気に、広場に集まった人たちが驚きながら視線を向けた。例え暗示影響下であっても、ゴライザの将としての風格は確実に人目を引きつける。
そして、ゴライザはいく。
自分が主に愛されている犬だと満足そうに見せつけながら、満たされた射精を空へと向けて。
「あおーーーーーーーーーーーん❤❤❤❤❤❤❤」
さらに大きな遠吠えを合図として、極太ちんぽからこれまた極太な白が飛ぶ。おれの、ゴライザの頭上を越えた白は、広場の噴水よりも高くはじけていく。
スキルによる強化があるとはいえ、さすがに飛ばしすぎだろ。太陽を受けてきらきら輝くザーメンを見上げながら、おれはあんぐりと口を開けるしかできなかった。
「んぎもぢいぃいぃいぃぃぃ❤❤❤ご主人のいい子いい子さいこおおぉお❤❤もうこれじゃなきゃダメなんだ❤ご主人じゃなきゃ、こんな気持ちよく射精できねえええええぇぇぇ~~❤❤❤」
衆目を集めていることなど頭に残ってないのだろう。ゴライザは腰を突き上げながら射精の快楽に脳みそを焼かれている。忠犬がばれたくないから我慢していたゴライザにとって、胸を張りながらの射精は相当気持ちが良いはずだ。
「おーおー❤忠犬ちんぽどまんねっ❤尿道馬鹿になっちまうよおぉ❤❤忠犬ザーメンびゅるっびゅるでぇ❤幸せえええぇ~~~~❤❤❤」
あまりに強い勢いで飛ばしているものだから、タズィが呆然となっている。雄ならこれがいかにすごい射精かわかるせいで、その精力に感嘆しているはずだ。おれのスキルの影響を受けたやつらの中でもこの射精はすごい方だからね。
本人が言うだけあって、よっぽどため込んでいたんだな。子宮に出したら着床確実どころか、一気に三つ子くらいできそう。それほど濃い精液がびゅるびゅるあふれ出している。
腹が出ていなかったらもっと高く飛んでいただろうに。発射角が小さくなったせいでザーメンは遠くまで飛び、広場に集まった人たちに雄犬の精液臭がまとわりつくことになる。
「ご主人~❤すんげえ気持ちよかったぜ❤お散歩中の射精はやっぱり最高だよな❤❤わんわん❤ご主人様ありがとうだわんっ❤❤❤」
だが当の本人は他人のことなど全く意に返さず、おれだけを見据えて、射精後の残滓を垂らすちんぽを尻尾のように振っている。他人のことなど気にかけない性質は忠犬になっても変わらないのだ。
ちんちんのポーズを取っていなかったらその場で抱き着いて、顔中舐めまわされていたかもしれないな。
まあそれは別にいいんだけど、まずは飛び散った精液を集めないと。最近『忠犬』の性癖を集めてなかったからもったいないしね。こんなに濃いんだ、さぞかし性癖も濃いに違いない。
「……すんげえな」
ゴライザに待てをしてから精液を集めていると、熊から賞賛をもらった。
「こんな射精初めて見た……王都って本当にすごいところなんだな……」
王都は全く関係ないけど、タズィの中ではそう結論づいたみたいだ。その股間はいきり立ち、先端にはシミができていた。ゴライザのことは犬だと思うように暗示をかけたのに、だ。
……やっぱ悪影響出る前に記憶を消さないと。本能的に人だと見抜いて発情してるならいいんだけど、そうじゃなかったら大問題だ。主にガンラにとって。
「はんっ❤」忠犬は誇らしそうにちんぽを突き出して。「何が王都だ❤これはご主人の忠犬である俺だけの特権なんだよ❤ご主人の手でこんなに出せるのも❤俺がちゃんと忠犬だからなんだ❤てめえには一生無理だね❤」
「ちゅ、忠犬になれば……おれも気持ちよくなれるのか……?」
やっっっっっば、会話が駄目な方向に傾き始めた。暗示がよくない具合に作用してる。しかも会話できてるってことは、暗示が興奮で解け始めてるみたいだし、かなりまずいことになる予感がひしひしと伝わってくるぞ!
急いで記憶を消さないと。
……と思っていたおれの体が、たくましい手によって抱きかかえられた。丸太のようなぶっとい手足を前にするとおれは無力で、されるがままゴライザに頬ずりされてしまう。
「馬鹿野郎が❤ご主人は俺のなんだよ❤おとといきやがれ❤❤」
「うわっと!」
「ごめんなご主人❤あいつがあまりに分不相応なことを言ってきやがるもんだから、待てができなくなっちまった❤ご主人が大好きすぎる駄犬を許してわん❤❤」
ぺろぺろしたかと思ったら、すぐさま熊にガンつけ始めるゴライザ。変わり身が早すぎて心構えをする前にもろに威圧を浴びてしまって、胃の中が大混乱し始めた。気軽に人を失神させるほどの殺気を出すな。
おれはできるだけゴライザの顔を見ないようにしながら、自分の中に芽生えた感情を整理できていないタズィがこれ以上深淵に浸かる前に記憶を消しておく。
今日おれらとは会わなかった。ただ広場で愛犬と戯れていただけ。いいね?
「……う、あ?」
念のためガンラにもかけておこう。無駄に警戒されて、熊が思い出したら面倒だ。
「よし記憶操作終了! このままずらかるよゴライザ!」
「おうとも❤じゃあご主人を抱えたままいくか❤二足歩行だけど、嫌なら這って駆けるぞ❤」
「このままでいいから!」
リードをつないだ犬に抱かれながら、おれらは広場を後にする。お腹が減っていたんだけど、食事は別のところで取ることにしよう。
****
結局あれからすぐゴライザの屋敷に戻ってきたおれは、ソファに座って豪勢な料理をふるまわれていた。お昼を食べるために広場に行ったということをゴライザはちゃんと覚えていて、帰ったとたんに厨房に指示を飛ばしてくれたのだ。
ちなみに使用人たちにもちゃんと暗示はかけてある。ここはまだトリドスと一緒に住んでいるから、使用人たちも入り乱れているんだ。
おかげで、まだ忠犬のままでいられると喜んだゴライザは、おれの太ももに頭をのせてくつろいでいる。いまだ全裸と首輪スタイルのまま、顎を乗せながらソファの上でゴロゴロしていた。
これ、スープとかこぼしたら大変そうだな。熱さとかは感じないだろうけど、毛皮が汚れると申し訳ない。
「ご主人~❤❤なでなでして❤❤」
「ん……ほら」
「わふん❤❤はっはっはっ❤❤❤」
おれの数倍はあろうかという体躯を誇る狂犬が、でれでれになって何度も体をこすりつけてくる。最近構ってなかった分のたまり方がえぐい。こいつが求めるのはあくまでおれなんだと痛感した。他の誰でも代用できないんだな。
もしおれが元の世界に帰ったら、多分ずっと待ってそうだな。今なら忠犬ハチ公の話を泣きながら聞ける気がする。まあ帰る気なんてもうないけどさ。
「そういえば」ふわふわのパンを食べながら聞いてみる。「結局話って何だったの? 訓練してほしいってことらしいけど」
「あぁ?❤ただ俺の力を見せつけるために協力してほしいってだけだぜ❤どうにも俺は他の二人に比べるとなめられてるみてぇだからな❤❤」
ゴライザをなめてる奴がいるとは思わなかったので、うっかりパンが喉に詰まりかけた。誰だそんな命知らず。
「……うぐぅ?!」
「ご主人?! 大丈夫か、背中叩いてやるからな!」
「いっだあぁ!!!」
背中に走る衝撃で思わず叫んでしまった。異世界転移するときに味わったトラックの衝突より強かったぞ?!
馬鹿力が過ぎる! 背骨が折れるかと思った。
「だけど、呼吸は楽になった。ありがとうゴライザ」
「当然のことをしたまでだ。ほら、水でも飲んどけよ」
すっかり元に戻ったゴライザが肩を抱きながら水を渡してくれたので、ありがたく頂戴する。寄りかかってみると、本当におれより数倍でかいのだと実感する。厚みがまず常人とはかけ離れてるもん。
元の世界に居たら百貫デブだと言われそうな体重だけど、このほとんどが筋肉なんだよなぁ。人類の極致みたいな体形してるわ。
「まさかゴライザをなめてる人がいるなんて思わなかったよ」
「案外多いぜ。ジェイルラルと比べて、俺を格下だと思ってやがる。さらにウィザロンまで来たとなりゃ、この国では俺なんて新米みてぇなもんなんだよ」
「そもそもその最強格の座に行ける人が何人いるんだよって話でさ……」
三人しかいないうちの新参って、もはや価値観バグるぞ。
まあ言いたいことはわかるけどね。ジェルの強さはけた違いで、国の中にはまだ『神風』を信奉する人がいるんだ。グリッジが政権を握っていた中でもジェルが隊長をやれていたのは、その人たちのおかげでもある。
で、今度はその人たちがジェルと比べてゴライザをなめているわけか。
「それで、今度の合同演習で俺の力を見せつけてやりてえんだ。てめえらが妄信してるジェイルラルなんぞ俺の敵じゃねえぞってな!」
「なるほど、確かに今度の演習はかなり注目を集めてるってフォグが言ってたから、見せつけるにはちょうどいいのか」
「そういうことだ。ただ、まあ……ご主人にとってあいつが大事だっていうのも理解してるし、実際拳を競わせるわけじゃねえけど、俺のこと見下しているゴミ共の嘲笑をぶち抜いてやる」
「ゴライザは負けず嫌いだからなあ」
だから傭兵街にいたころは独立派として息巻いていたのだ。ジェルに絶対勝つという意気込みは昔から変わっていない。
それでも王宮での騒動の時には、自分の身を犠牲にしてまでジェルの洗脳を解除する視野の広さを見せてくれた。相当勝ちたかっただろうに、大局を優先して抑えてくれたのだ。
「……別に」ゴライザの顎がおれの頭に乗る。「あの頃とは勝ちてぇ理由が違うんだけどな」
「あれ、そうなんだ」
「昔の俺は全部が気に食わなかったからな。今はあいつに勝ったところで何も変わらねえってのは理解してる。だけど、それでも俺が勝つ」
ゴライザがぐっとおれを引き寄せ、弾力のいい体に埋める。
「俺が……俺こそが、ご主人の一番だって知らしめないと気がすまねえんだ。他のどんな奴より、俺こそが強くて頼りがいのあるわんちゃんだって、認めてもらいてえんだ」
「……そっか」
独占欲の強い忠犬だからなぁ。おれがジェル最強だと思ってるのが気に食わないんだ。いつになってもやっぱり根っこは変わらない。負けず嫌いの狂犬だ。
でも、そういうところを含めてゴライザのことは嫌いじゃない。
向上心があるってことだからね。それが高じて派閥を持ったって考えると、普通にすごいことなんだよなぁ。
「俺はご主人のわんちゃんだから、演習とはいえ勝とうなんておこがましい限りだ。だからせめて、いい戦いがしたい。少なくとも周囲に最強の座を一考させる程度には、爪痕を残してやらねえと気がすまねえんだ」
「それで訓練したいってことか。それはいいけど、別に勝ってもいいからね。おれは気にしないよ。そもそも合同演習って勝ち負けがあるのかすら知らなかったし」
「それはあのくそ猫が決めたことだ。ご主人の所は人数が少ないから、代表を戦わせてはどうかってな……はんっ、腹の中まで腐ってやがる」
確かに、今のリブラは元帥という立場だからそういうことにも口出しできる。
だけどどうしてゴライザは怒っているのだろうか。おれの所の人数が少ないのは本当で、その内容も妥当な気がするけど。
「あいつは俺がご主人に勝てないって知ってるんだよ。一応あのくそ猫もご主人の犬だからな。だからこの演習は俺が無様に負けるさまを想定して組まれてるんだ」
「リブラからしたらいやがらせ程度の意味しかなさそうだけど……」
「だが、俺からしたらジェイルラルと名声の差ができることになる。結局『神風』の前には『鉄塊拳』は勝てねえってなるわけだ。……あのくそ猫、一度本気で頭蓋骨かち割ってやろうか」
待って待って待って、殺気抑えて! 牙をむいてうなると本当に怖いんだから!
食べたもの吐く!
「うおっ! ごめんなご主人……」
でかい手が背中を撫でてくれて何とか事なきを得た。危なかった。
「……あれ、その話だとまるで大将戦みたいなのがあっておれが出る前提な気がするけど」
「まるでどころかその通りなんだが……ひょっとして、ご主人はまだ概要を聞いてねえのか?」
フォグにぶん投げてて全く知らなかったんだが!
そう言えば、さっき確認しろって言われてたわ!
「無理! ゴライザと戦うなんて絶対無理!」
「俺だってごめんだね。だけど、こちらが取り下げたとあっちゃ何を言われるか分かったもんじゃねえ。敵前逃亡なんて馬鹿にされちまったら、そいつの顔面を血まみれにしちまうかもな。だからご主人は適当に戦ってくれりゃいい。俺が適当なところで負けるからよ」
「じゃあおれが取り消す! 別の人をあてがうから!」
「……本当か?」
ゴライザがびっくりした顔をしているけど、なんでおれらが戦う前提なんだよ。
無理に決まってるでしょ。ぶん殴るだけでスキル効果全除去する奴だぞ! 元から最強だったのにおれのせいでさらに強くなった化け物だぞ!
そりゃ確かにゴライザが本気で戦うわけはないと思うけど、殺気一つでおれは降参するね。間違いない。
そんな無様なところを見せたくはないから辞退一択。これで確定。今度絶対フォグに言っておかないと……。
「ご主人……俺のために……!」
なんかゴライザが感極まってるけど、完全に自衛のためでしかないからね?!
おれが無様さらしたなんてジェルにばれたくないだけ!
「ご主人~~~~❤❤❤大好きいいぃぃ~~~~❤❤❤❤」
「聞いてな……ぶぎゃ!」
そして襲い掛かる『鉄塊拳』全力の抱擁。食べたもの出るっ!
おれの太ももよりでかい腕と巨木より太い体幹のプレスに、吐かないようにするので必死だった。毛並みは整えているおかげでふわふわなんだけど、それを押しつぶす筋肉量が台無しにしている。
鋼の肉体って言うじゃん? あれまじだから。硬すぎて怖いくらいだもん。
「ご主人ご主人ご主人~~~~❤❤やっぱり俺のご主人は世界で一番最高だぜぇ❤❤ご主人みたいな主を持てて、俺はぁ❤世界一幸せなわんちゃんだあああぁぁ❤❤」
さらに顔中舐めまわされ、全力で嬉しさを表現してくる。急に駄犬になったゴライザが覆いかぶさってくるから、体重がもろに腹にかかった。だから死ぬって。
「ご主人❤」
それから舌入りディープキスで呼吸も塞がれるコンボ。完全にむさぼられてる。
「ジュプッ❤んちゅぅ❤ご主人っ❤れろっ❤好きぃ❤んっ❤んんむぅ~~❤❤❤」
舌がおれの中で暴れまわって、呼気すら奪われている。とっさのことでおれの脳は混乱してて、スキルを発動することすらできなかった。
「ありがとうなごすじんっ❤❤ジュプジュプゥ❤俺ぇ❤ぜってぇ❤❤チュウゥ❤世界一のわんちゃんになるからよぉ❤❤ご主人の❤んふぅ❤意志は❤無駄に❤しねえぇ❤❤❤」
しゃべるかキスするかどっちかにしてくれ! たまに牙が唇に当たるんだよ! 勢いが強すぎる!
ドーム型の腹肉が何度も押し当てられているから、絶対腰がへこへこしてる。さっき出したばかりなのに、もう次を求めているのがすぐに分かった。
腕力で勝てるわけがないのでされるがまま口を犯され続け、ようやく解放されたときには、おれらの顔は唾液でべたべたになっていた。
「す、すまねえご主人❤つい興奮しちまって……❤」
飛び掛かった自覚はあるのか、耳を伏せた駄犬が顔を拭いてくれた。自分を後回しにしてるせいで口周りに泡がついていて、駄犬感が倍増している。
ただの自衛のためなので、そこまで喜ばなくてもいいのに……。
「ご主人にとっても今回の演習が大事なのによ、俺のために譲ってくれたんだ。嬉しくないわけねえだろ」
「そうみたいなんだけどさ、いまだに政治闘争とかピンと来なくて」
みんなをスケベスキルで最強にする。
その目標は揺らがない。だけど、だからと言って地位が欲しいかと聞かれたら首を横に振る。
おれはただ、大好きなみんなが無事でいてほしいだけだから。彼らの上に立ちたいわけじゃないんだ。
「だから、ゴライザが元気でいてくれれば、おれはそれでいいんだ」
「……」
「はぁ……我ながら草食系で、ゴライザからすると情けない奴に見えるよねぇ」
欲しいものをすべて己の実力でつかみ取った『鉄塊拳』だ。おれみたいな軟弱者、普通なら好かれるわけもない。こうして思うと、いくら『忠犬』とはいえ、よくおれのことを主だと仰いでくれるよね。
「……いや」
大きな犬はおれから目を逸らす。いつも真っすぐなゴライザにしては珍しい。
「ご主人は立派だよ。間違いねえ。俺が保証する」
「うん? そうかな」
完全に忠犬フィルターがかかってるな。おれが立派なわけないだろ。
ゴライザから教えてもらわなかったら、演習の内容も知らなかったくらいだ。
「ご主人」ゴライザが顔を擦りつけながら。「誰が何と言おうと、俺のご主人は最高だ。ご主人以外に忠義を尽くすつもりもねえ。だから、この忠犬わんちゃんをもーっと可愛がってくれ❤❤」
「わかったよ」
分厚い体は熱く重い。くっついているだけでその熱が興奮に置換していきそうになる。ここで盛ってもいいけれど、そろそろ帰らないとフォグになんて言われるか。
別に今日は何か予定があるわけじゃないからそこまで厳密じゃないし、そもそもおれの仕事はエロだから、遅くなっても構わない。
頭をなでなでしてやると、尻尾がやばい速度で揺れる。残像が見えるくらいって怖い。
「せっかくご主人が譲ってくれた機会だ❤俺が最強だってことを、国中に轟かせてやる❤❤」
「頑張って。訓練に関してはおれよりフォグに聞いたほうがいいだろうし、また今度話し合おっか」
「わかったワン❤ご主人ご主じーん❤❤これで話したいことは以上だ❤ ❤だから、今日はこれから俺のことを――」
などと言いながらまたも巨体がおれを埋め始めた時、ゴライザが何かに気づいたようだ。
忠犬から狂犬へと戻った視線は鋭く、おれには感知できないものをつかみ取る。
「……ちっ、帰ってきやがったか。もっと働いてくりゃいいのによ」
「ああ、トリドスが帰ってきたんだ」
ここから玄関までどのくらいあると思ってるんだ。いったい何をしたらそんなセンサーを持てるのか不思議すぎる。
部外者がいるとなれば、忠犬の時間は終わりだ。人一倍プライドが高いゴライザはすぐさま新しい制服に袖を通していく。この前全裸に首輪を見られたばかりなのに、一応気にするんだ。
きりりと引き締まった顔が鋭いせいで、表情を消しているだけなのに不機嫌面に見えてしまう。さっきまでの落差のせいで余計にそう思う。
「これからご主人におマンコもおちんぽもいい子いい子してもらうつもりだってのによぉ……空気の読めねえ奴だぜ」
着替えも済めばそこにいるのは凛々しい『鉄塊拳』だ。最強の一角としてたたずむ、一騎当千のスキルホルダー。
おれの隣に座って肩を引き寄せれば、はたから見ればゴライザがはべらせているかのよう。本人の尊大な態度やでかすぎる体形と合わせて、似合いすぎている。
「ご主人、ごめんな。俺ばかりが気持ちいい思いをしちまって。今度はきっと俺がご主人を気持ち良くしてやるからな」
確かにおれは出してないからなぁ。訓練でたくさんしてきたとはいえ、ゴライザを可愛がってはいないんだ。でも、まあいいかな。
「ゴライザが楽しんでくれればいいや。今まで放置してたこっちが悪いしね」
「ご主人……❤❤」
感極まってまた抱きつぶされそうになったので、今のうちに抑えておこう。一挙一動に感動されたらこっちの身が持たないから!
こわもてを維持しながらもどこか嬉しそうな大型犬は可愛らしい。確かに攻撃的なところもあるけれど、基本的には理性的な忠犬だ。
おれは昔のゴライザを知らないけれど、理性的な面を知っているから、なんで狂犬なんて呼ばれてるのかわからない。戦闘スタイルが荒々しいからかな。
この調子だと狂犬と呼ばれることはなくなるだろうなー。
なんて思いながら、おれはゴライザの丸々とした腹に抱き着いて、トリドスを待つことにした。
****
ゴライザという男は砂漠のような存在だ。
そう言ったのは誰だったかゴライザは覚えていない。
ただ、その通りだなと思ったことだけは覚えていた。
傭兵街にいたころのゴライザは満たされない飢えに悩まされ続け、いらだちのままに拳を振るっていた。
殴っても、殴っても、殴っても満たされない。
食べても、食べても、食べても満たされない。
天才と評される能力は彼を強くはしたが、満たしてはくれなかった。むしろ、誰と戦っても満たされることはない、空虚さを与えていた。
派閥のトップに上り詰めたのはただ単に、地位を得れば飢えが満ちるだろうかと思ったからで、それ以上の理由はない。
そして、地位を得たところで彼は何ひとつとして満足しなかった。
そんな彼が唯一満たされたのは、自分より強い存在と戦う時だけ。
だから手当たり次第に殴り続け……傭兵街で最強と言われ、相手が消えた。
だからこそ『狂犬』と人は言う。
自暴自棄な戦いを繰り返すくせに、誰よりも戦果を挙げる狂犬と。
次に、地位を手に入れた彼は他の娯楽にも手を出した。
酒や女、果てには薬まで。娯楽に属するものすべてを試し、むさぼりつくした。
だが、賭博は動体視力と観察眼の良さから勝ちまくり。
酒や薬は状態異常耐性が高すぎて効きやしない。
身体能力が化け物ゆえに女を抱くのも一苦労だった。
結果として彼の飢えを満たすものは、何一つとして存在しなかった。ただ積み上げた地位と金だけが彼の手元に残り、一層いらだちを募らせるだけだった。
なぜ自分が飢えているのか、それすらもわからないことが苦痛でたまらなかった。生まれ持ったものだろうと言われたところで、納得できるわけがない。
彼に残ったのは拳での楽しみだけであり、傭兵街を独立させようとしたのも、そうすればもっと強い敵と戦えるからでしかない。そのためにどうでもいい利益を語り、派閥として立ち続けた。
彼は自らを満たすためなら何でもやるつもりだった。たとえそれが法に背こうとも構わない。ゴライザという男は、自分こそが世界の中心であると信じていた。
狂犬と評されていようとも、彼が大局を見る目を持っているのは事実。このまま進めば、ゴライザは傭兵街を掌握していただろう。
――――『彼』に出会ったのはそんなときだった。
「……まさか君がそこまでおとなしくなるなんてね。私もまったく思わなかったよ」
広い食堂にトリドスの声が響く。牛はマナーよく切った肉を口に運びながら、向いに座ったゴライザを眺めた。
「はんっ」くだらなさそうに犬が吐き捨て。「てめぇに言われたくはねえな。ギルドを裏切ってこっちに付いた不忠な牛がよ」
「そう言われると痛いな。だが、後悔はないよ。今の仕事の方が性に合っている。私はもともと、新人の育成がしたくてギルドに入ったのだからね」
鬼のいる軍勢は必ず勝利するとまで言わしめた牛、『戦勝鬼』トリドスは巨大な角に似合わない柔らかな笑みを浮かべ、ナフキンで口元をぬぐう。
元はゴライザと同じく冒険者上がりだったが、ギルド長という立場が彼にマナーを染みこませたようだ。
遅くなってはジェイルラルが心配するからと、異世界人は帰った。ゴライザとしては泊まっていってほしかったのだが、牛の手前駄犬として鳴くのもはばかられた。
「ちっ」それが不機嫌な態度に直結して。「俺らが傭兵街にいたころ、てめぇの育成した新人どもはこっちに全く流れてこなかったじゃねえか」
「それは当然だろう。私はもともと育成した冒険者を向こうの国、ホスタットに流すことを条件にギルド長の立場をもらったんだ。それに、独立派だった君に戦力を渡すほど耄碌してないぞ」
他者の育成に心血を注ぐトリドスは傭兵街では名の知れた教育者だった。冒険者の育成だけでなく、カルハバと協力して教育水準を引き上げる活動をしていた。
その性質が異世界人によって引き出されたことで包容力が強まり、今の性癖になったのだろう。そういう意味では忠犬となったゴライザと大して変わらない。
ただ、ゴライザの場合、そのような性質があることに本人すらも気づいていなかった、という話である。
「私は今の君の方が好ましいよ。昔は本当にただの狂犬だったからな」
「はあ、それは別に否定しねえ。あのころに比べりゃ、ちったぁ考えをまとめるようになった」
「人はそれを大人になったというのだろうね」
「知ったような口を利くんじゃねえ」
一世代前に伝説を作ったトリドスはゴライザより年上だ。しみじみ言われてしまうと、ゴライザの中にくすぶっている反骨精神が煩わしそうにうなるのも当然だった。
ゴライザもマナーは特に悪いわけではない。派閥のトップに位置するために、たいていのことは習得済みだ。
有り余る才覚をすべて自分のために使う。昔の狂犬はそういう男だった。
「そういえば、件の演習についてだが」トリドスがナフキンで口を拭きながら。「うちの隊長が辞退したため、君の相手は私が勤めることになった」
帰り際に異世界人が全力で、自分は出ない! と念押ししていったおかげか、トリドスは今後のことを憂いなく口にすることができる。
「みたいだな、勝ちの目が出てきてありがてえ話だ」
「もとよりフォグ君も彼が直接出るとは思っていなかったからね。私かフォグ君のどちらが相手をするかで話し合っていたのだが、今回は私が引き受けることにしたよ。新参として力量を示さねばならないのは、私も同じだからね」
「まあそうだろうな。てめぇは教育者でもあり、バーサーカーでもあるからな。ご主人からもらった力を試したくてうずうずしてんだろ」
「それもあるが……」
トリドスは手に持ったグラスを揺らし、ワインを波打たせる。もったいぶったように口の中で言葉をためながらも、弧を描く瞳だけはじっとゴライザに向けられていた。
「あの部隊で働いて一番に感じたことは、誰もが出世欲というものに薄いということだ」
「だろうな。『華炎』のように変わったやつもいるが、大体はジェイルラルの配下だったやつらだ。隊長の気風を受け継いでるんだろ。フォグのやつは隊長を蹴っている。そうでなければ編成に時間を取られて、こんなにすんなりと俺が隊長にはなれなかったしな」
「異世界人の彼に至っては、私たちを自分より強くしようとしている。スキルの有用性や希少性を、当然のように分け与えてくれた」
それが彼の戦略だとはいえ、根本にはお人好しというのがある。そのことについて、両者の見解は一致していた。
「だから、今回の演習で自らの有用性を示すことがどれだけ大事かわかっていないんだ。フォグ君の方はわかっているだろうが、組織としての調和を優先している節がある」
「それで責任を理解しているお前が出るってわけか。まあいいんじゃねえか。政権をとったとはいえ、コハクの立場は不安定。ここで軍部の力を見せることで反抗する意欲をそいでおけば、俺としても楽でいい」
異世界人の部隊だけでなく、ジェルが隊長を務める『竜の爪』も基本的には政治に疎い。今はリブラが元帥になったこともあって、生半可な手段でちゃちゃを入れてくる手合いも減っているが、今後何があるのかわからないのだ。
王家直属の二部隊がこれでは、確かにトリドスも心配になるというもの。明らかに、彼らの部隊は政治的弱点と言える。
そういう意味でもやはり、この二人は似た者同士だ。
派閥を率いてけん制し合っていたため、互いの力量をある程度認めている。
「もう少し落ち着いたら、カルハバを城に呼ぼうと思っているんだ。今は傭兵街の教育機関や魔術ギルドの運営に忙しいが、彼ならここでもうまくやっていけるはずだ」
「……てめえ、軍部だけじゃなく政治中枢にも影響力を出すつもりだな」
「しょうがないだろう、私の可愛い子たちは政治が苦手なのだから」
異世界人が率いる部隊だけでなく、ヤードがいる『竜の爪』もトリドスにとっては庇護対象だ。雌としての自覚と包容力が膨らんだ今の彼は、自分のためではなく彼らのために動いている。
黒牛はグラスの中でワインをくゆらせ、ゆっくりと口に含んでいく。傭兵街でも十分な地位にいたトリドスだが、やはり王都のワインは味が違うと舌鼓を打つ。
「要するに、何が言いたいのかというと……」
空になったグラスを置いて、牛の口がにやりと笑う。
その顔は以前の『戦勝鬼』そのものだ。
「発言力を得るために、最強とうたわれる君を倒そうと思っているから、そのつもりで頼むよ」
「……はっ」
あからさまな宣戦布告。傭兵街では誰も逆らわない頂点だった彼が求めていた、血沸き肉躍る戦いの誘いだった。
忠犬となってから久しく忘れていたこの昂ぶりを前に、ゴライザは牙をむいて愉悦を表現する。自然と殺気があふれ出し、控えていた執事の肩が震えるほど。
空気すら怯える気概をまとい、巨体は剣呑に笑っていた。
「最強の座を俺に奪われたてめえが、性懲りもなく挑んでくるってのかよ。タイマン向けのスキルじゃねえくせに、わざわざ?」
「私も成長している。決して一方的な試合にはならないと約束しよう」
「いいぜ! てめえがどこまで食らいつけるか、楽しみにしてやる!」
トリドスがゴライザの知っているままだとしたら、勝負になることはない。どんな小手先の手段を弄しようと、拳でスキルのすべてを黙らせれば済む話なのだから。
だが、それでもこの牛は勝算をもっている。元最強という肩書では満足できず、狂犬を組み敷こうとしていた。
「うちの隊長が言っていたのだがね、三人より四人の方が収まりがいいらしい。なんだったか……四天王、だとか」
「はんっ、ご主人がどういう意図で言ったのかは知らねえが、そもそも最強は俺一人で十分なんだよ」
「だが彼の発言力は無視できるものではない。最強と評される武人の四人目を決めるとなれば、それはもう荒れるだろうね」
ただでさえ今のコートリル王国には過去最大人数の二つ名持ちがいるのだ。その中であと一人を決めることは至難の業だろう。
「つまり、だ、てめえはその四人目になることで発言権を増そうとしてて、そのために俺を倒したいってことだ」
異世界人の四天王という趣旨をコハクあたりに聞かせれば、あっという間に広がるだろう。その枠づくりと、そしてそこに収まるためにトリドスが動いているのだと、ゴライザは気づいた。
「なに、私も元最強として、その名が持つ影響力がどれだけすごいかは知っているからね。四席目があるのなら、ぜひとも座りたいと思っているだけだよ」
「つくづく油断ならねえ奴だな。だが、てめぇに務まるのかよ」
「当然。これでも『戦勝鬼』なのでね」
現時点で『混濁した海』の名をもらったヤードを筆頭に、最強の座に近い雄はかなりの数に上るのだ。そんな彼らを差し押さえて、自分こそが最強だと牛は言ってのける。
場所が変わったところで、人の営みは変わらない。
誰もが強くなろうとし、最強という肩書を欲している。
それに気づいた時、ゴライザの胸には奮い立つほどの歓喜が沸き上がってきた。
彼らのすべてを下し、自らこそトップだと証明できた時。
(ご主人は喜んでくれるだろうか……)
強い相手と戦いたいという感情はなくなったわけではない。
だが、それ以上に大好きな彼に喜んでほしいという感情が強かった。自分こそが彼の一番であり、最も頼れる存在なのだと知らしめる。
(んで、最終的にはジェイルラルなんかより俺と一緒に暮らすんだ。そしたら毎日散歩してもらって、いい子いい子してもらって……俺がご主人を守る)
金も地位も名誉もいらない。彼が欲していたのは、ただ自分を満たしてくれる小さな手。それだけでよかった。
気づいてしまえば、なんてことないくらい単純で。だからこそずっと気づくことなく、渇望だけを持て余してしまっていた。
最強の四席目を決める。それはゴライザにとって好都合でしかない。
自分こそ最も強いのだと知らしめるいい機会だと、狂犬は肉に食らいつくのだった。
****
なんとかゴライザの相手をすることは避けられた。
危うくみんなの前で無様をさらすところだったよ。ジェルにばれたら死にたくなっていたはず。
演習はおれの想像以上に人気で、広めの演武場には人がひしめき合っていた。
耳を澄ませてみれば、どちらが勝つのか非合法の賭けすら行われているようで、モウダンがしれっと自軍の勝利につぎ込んでいた。違法じゃないんだ……。
ちなみに、おれが出ないと知った時は泣きながら出てくれと縋り付いて来たけど、自業自得だとフォグに一喝された。かわいそう。
周りにはヤードやジェルといった『竜の爪』のメンバーだけでなく、全く知らない顔もたくさんいる。ファンダルもランドも、グランドもいるな。本当にみんなが注目してたんだ……出なくてよかったぁ。
「それまでっ!」
審判役の人が声を上げ、試合が終わる。
さすがにゴライザの部下である竜のアリギラドや虎のスレイスはおれによってそこまで強化されていないので、負けるのもしょうがないかな。元の実力で考えても、こっちはモウダンとか『華炎』がいるので……。
というかうちらが強すぎるだけなので、気にしないでほしい。
「これで今のところ全勝か。まあ想像通りだな」
自陣の席で隣に座っているフォグが話しかけてきた。
「フォグは出なくてよかったの?」
「ジェル様の前で『乳霧』は使いたくねえ……」
「ああ……」
「それに、これでコハク王子の提唱する育成が問題ないことが実証されたから、さすがにおれまで出るとやりすぎなくらいだ。あくまでおれの目的は、コハク王子についている軍部がどれほど強いかを見せつけることだからな」
フォグは個人の名声にはあまり興味がないタイプだから、これでいいと納得している。そういうところも真面目委員長だと思う。そうじゃなかったら隊長職を蹴ってまで来てくれなかっただろう。
ただ前にゴライザから話を聞いた感じ、ここで力量を見せつけておくのって結構大事みたいだけど。
「まあそうだろうな」あっさりと熊は同意する。「もともと軍部が力を競うという行事自体がなかったんだ。こうして互いの力量を把握させて見せつけることで、畏怖を手に入れることだってできるだろう」
「ああ、今までなかったんだ。なんで?」
「ジェル様という最強がいるというのと、あのくそ親父が軍部の結託を防ぐために交流を妨害してたからだな」
「本当……君のお父さんの名前ってちょいちょい見るよね……」
「あんなのでも元帥だったからな」
やっぱりゴライザの言う通り、ここで勝つことが名声を高めることになりそうだな。
「フォグも出ればよかったのに。結構強くなったじゃん」
「それはあくまでおまえのおかげだからな。まだスキルをものにできてないところもある。確かにおれはジェル様が目標だから、いつかは最強の座が欲しいとは思う。が、それは今じゃねえ。副隊長が最強の座をもらっても、めんどくさいだけだ」
あくまでおれを立ててくれているというわけだ。真面目過ぎる。
だけどおれは気にしないというのに、フォグは全体を見すぎている気もするな。せっかくグリッジから自由になったんだから、もっと好きにしていいのに。
「……? これでも十分好きにしているつもりだぞ」
「うーん、真面目。君がいいならいいけどさ。でもいくらフォグがおれの顔を立ててくれたところで、トリドスはそう思ってなさそうだけどね」
「だな。あいつも派閥を率いていた猛者だ。ここでの戦いが注目を集めていることの意味を、しっかりと理解している。少なくともゴライザらと肩を並べたいんだろう」
「そうなると最強が四人。四天王ねえ……」
試合に向かう前、トリドスはしきりにそれを気にしていた。せっかく二つ名持ちが多いのだから、正式にそう言う名称を作ってもいいかもしれない、と。
やっぱりいくつになっても男の子的なわくわく感ってあるんだな。
「……ことはそう単純じゃないとは思うが、そういう面があるのは否定しないな」
「やっぱりフォグも欲しい?」
「言っただろ、いつかは最強の座に就きたいって」
「そうだったね。フォグならすぐいけるよ」
「お前がそう言うと、本当にすぐな気がするな」
などとだべっているうちに、最後の試合がやってきた。
ゴライザ対トリドス。傭兵街の最強と元最強が競うとあって、注目も一入だった。
黒い軍服を身に着けた牛と、赤い軍服を身に着けた犬。
フォグが引き継ぐはずだった『華炎』の部隊を引き継いだゴライザは、いつになく殺気立っているように見えた。
正直、二人の手の内をおれは知り尽くしている。だけどどちらが勝つかと聞かれたら、わからないと答えるだろう。
トリドスも強気になるのはわかるからね。タイマンとか苦手だったのに、最近克服したからなぁ。おかげでマジで隙が無い化け物が誕生したと思う。
「お手柔らかに頼むよ」トリドスが微笑んで。
「俺はただぶっ飛ばすだけだ」ゴライザが牙をむく。
両者気合十分で、離れて見ているおれにも殺気がびんびん突き刺さる。近づいたら吐くね、間違いなく。隣でフォグがそっと袋を準備しているけれど、できるなら吐かないようにしたいよ。
これだけ人がいるのに、沈黙が重い。みんな期待してるんだ。彼らの戦いがどれほどすごいかを。
おれだってそう。ゴライザもトリドスも好きだからどちらも勝ってほしいけど、勝者は一人しか生まれない。
そして審判からの合図が放たれて、本日一番の大勝負が、ついに幕を開けた。
「ではまずは私からいこうか」
先に動いたのはトリドス。手に持ったメイスを振って、スキルを発動させた。
「『剛腕』」
なんとも簡単なスキルではあるけれど、そのレベルはかなり高い。
訓練所で見た時は、片手なのに地面を割ってたから。食らうと骨ごと粉砕されると思う。
おれなら両手でも持ち上げられなさそうな重さに加えて、高レベルスキルが付与された一撃だ。並大抵の人ならすぐ死ぬ。おれなら死ぬ。
が、相手はゴライザだ。拳を突き出してメイスを受け止めるだけじゃなく、はじいてさえ見せた。
「ふむ、さすがだな。この程度では傷ひとつ負わんか」
「余裕かましてんじゃねえぞ。うらっ!」
攻守が反転し、今度はゴライザが拳を振るう番だ。
はじいた隙を縫うように懐に潜り込み、殴りかかる。おれだと一連の流れを目で追うことがやっとなんだけど、トリドスの顔に焦りはない。
ゴライザには『空気抵抗』という空気を固めるスキルがある。それで拳の先を固めて射程を伸ばしたり、攻撃を防いだりと、多岐にわたる使い方ができるユニークスキルだ。
正直懐に入られた時点で、ゴライザの勝ちの目は濃厚になっている。あの巨体からは想像もつかないほど機敏な動きで攻められれば、捌くのは困難だろうな。
でも、牛の顔は揺るがない。
っていうか、もう術中だろうしね。
「……おや」
なんともわざとらしい声を出した牛に、狂犬の拳がめり込んだ。
だが、それは肉を穿つことはなく、トリドスの姿はふっとかき消えてしまった。
「……ちぃ!」
驚いたゴライザだが、反応は迅速だ。すぐさま前に飛び出して反転し、涼しい顔でメイスを振るう牛を視界に入れなおした。
……いや、なんで背後にいるってわかったんだよ。あの一瞬で何を理解してんだ。
「これはラッキーだったかな」
「っけ、いけしゃあしゃあと……!」
トリドスの振るったメイスは地面をえぐると、地割れがゴライザに向かって広がり始めた。確か『食らいつく地牙』ってスキルだったかな。対象に土で出来た牙を食らいつかせる技で、当たればかなりのダメージになるはず。
ウィザロンクラスになるとここら一帯丸呑みできるらしいから、タイマン用にかなり抑えている感じがある。ウィザロンが別格なだけと言われたらそう。
ひびがゴライザを飲みこもうと口を開く瞬間、ゴライザは拳で地面をぶん殴る。
すると地割れは収まり、いや、押さえつけられてしまい、牛は肩をすくめて首を横に振った。
「『効果無効』、厄介なスキルだね」
「勝ちに行くと豪語するだけはあるじゃねえか。ご主人から新しいスキルをもらってはしゃぐのは構わねえが、実力差を見る目も曇っちまったのかロートル?」
「はあ、君の話し方はやはり品がない。傭兵街にいる時もそうだったが、最強の名を冠していたのだから人々の規範になるという意識を持てと、何度進言したと思っている」
「あいにく、そこらの有象無象の評価なんぞ、俺には不要なもんでな」
「その割には、最強の名に固執するじゃないか。不要なら私がもらってもいいんだぞ?」
「てめえには荷が勝ちすぎてるって言ってんだよ」
会話をしながらもゴライザの視線はあたりを抜け目なく探っている。今のスキルを解析しようと、必死に頭を回転させているはずだ。
この世界で何度か戦いを経験してわかったことは、スキルの多さは武器の多さということだ。
それは個々人のスタイルに寄るとはいえ、使えるスキルが多いに越したことはない。
例えば『騎士道走行』のグランドは『結界造形』というスキルを極めた単一型。
対して『茜差す栄光』のファンダルは基礎スキルをまんべんなく鍛えた分散型。
基本的にはユニークスキルというのはそれだけで強いし、極めれば二つ名持ちにだってなれる。ジェルみたいなユニークスキルを持ちながら多くのスキルを極めているのは、本当に異例中の異例なのだ。
おれのエロスキルは対象にそんなユニークスキルを習得させるということで、そりゃ強いわなってなる。現にヤードは二つ名持ちになったしね。
んで、トリドスは元からユニークスキルを持っているくせにまんべんなく強い分散型だ。元最強の名はだてではない。コハクと同じく、天性の才を持って生まれた、まごうことなき天才。
それが今おれとのエロによって鍛えられ、派生して、レベルアップしているとなれば、ゴライザが警戒するのも当然だ。
おれだってトリドスの相手するのは嫌だもんなぁ。なんだかおれが勝てない相手がどんどん増えてる気がする。まあ、みんなが最強になってくれればそれでいいんだけど。
「ふむ」牛が余裕を含ませた笑みを浮かべて。「見合ってばかりでは終わらないだろうに。狂犬も牙を抜かれてしまったということかな」
「んな煽りが効くかよ。でもまあ、てめえの言う通りでもある。殴ってみねえとそのスキルの正体はつかめなさそうだ」
一瞬で巨体を消したゴライザだが、すぐさまトリドスの背後を取ると思いっきり拳を振り上げた。いや早すぎ。物理法則が仕事してないじゃん。
それにしても、よくこの状況で殴りかかろうと思うな?!
おれなら怖くて無理だわ。
「さすがと言うべきか、単細胞と言うべきか。ともあれ、こちらとしてはありがたい限りだ」
「はんっ、どうせ殴り合いは俺の方が強いんだ、なら距離を取る方が愚策だろうが」
「おごりもいきすぎれば身を亡ぼすぞ」
振り返ったトリドスがメイスを打ち、ゴライザを迎え撃つ。
その結果はさっきと同じように、牛が負ける。観客の誰もがそう思っただろう。
だけどおれらは知っている。トリドスのスキルは相手を、たとえゴライザといえど打ち負かすことができるのだと。
「……はっ!」
今度はじかれたのは犬の方。驚愕を張り付けた顔はその衝撃を物語り、わずかに対応が遅れてしまった。
それを見逃すトリドスではなく、追撃のメイスが丸々とした腹に思いっきり食い込んだ。
「ぐぅっ!」
すぐさま距離を取ったゴライザを見るトリドスは不満気だ。多分、これでけりをつけるつもりだったんだろうな。
「私のスキルを全部乗せた一撃だったのだが……さすが『鉄塊拳』か。防御能力の高さは舌を巻くよ」
「どういうことだ……俺の拳が、打ち負けた……? ああそうかよ、そういうことか」
どうやらゴライザはなにか合点がいったようだけど、理解が早すぎて怖い。
あの一回の打ち合いでトリドスのスキルを理解したってこと?
え、ねえフォグ、最強ってみんなこんなもんなの?
「まあそうだな。おれらは戦いの中で相手のスキルを探ることがほとんどだから、経験豊富になればなるほど判断も早いんだ。それに、もともとトリドスのスキルはばれるのが早い方だろうしな」
怖すぎ。おれが出なくて本当によかった。
狂犬は血反吐の混じった唾を吐き捨てながらにんまりと笑う。牙をむくその顔は喜色ではあるが怖い。狂犬の名に恥じない顔だ。
「俺を打ち負かしたくせに打撃は大したことがねえ。それに俺の拳は『効果無効』で大抵のものは効かねえ。ってなりゃ、てめえが強くなったんじゃねえ、『俺が弱くなったんだ』」
「ご名答。だが、大したことないは傷つくな。これでもかなり鍛えたつもりだったのだがね」
「強くなってるのが自分だけだと思うなよ。にしてもてめえ、まさかバフだけじゃなくデバフまで覚えやがったのか。どうりでタイマンに自信があるわけだ」
鬼のいる軍勢には気を付けろ。伝説を作り上げた『戦勝鬼』トリドスは超大人数バフを得意とする二つ名持ちだった。自らの軍勢を一律に強化することで、人数差をひっくり返すほどの戦力を与える。
他者を強化できるスキルは一般的ではあるが、トリドスの場合、その対象範囲があまりに広いのだ。一つの軍なら余裕で強化できるし、その効果量も一般とは比べものにならない。
だからこそ、鬼のいる軍勢は常に勝利してきたというわけだ。そりゃ一人が十人相手できるようになれば、並大抵のことでは負けないわな。
その分タイマンは苦手だったのだが、おれとの特訓によって最近デバフスキルも獲得した。これによりバッファーデバッファーがトリドス一人で済むようになったというわけ。
……かなりえぐいな。ゲームで考えればこいつ一人で良いってなるわけじゃん。バランス調整バグってるよ。
「それで、わかったところでどうするんだい? 君が長引かせてくれたおかげで、身体能力はかなり下がってると思うのだが」
「この程度で俺をどうこうできると思うなら、てめえの判断はかなりさび付いてるぜ」
「そう思うのならかかってくるといい。今の君は……そうだな、通常の半分程度の力しか出せないはずだがね」
「だからなんだよ。時間経過とネタ晴らししたことを考えれば、ここが下限だ。つまり、てめえのデバフはもうねえ。これならてめえを倒す程度、造作もねえな」
その判断は間違いじゃない。トリドスのデバフはどうしても時間がかかるのが難点だけど、効果量は相当高い。半減でもかなり強いスキルなんだよなぁ。
えぐすぎる。いくらゴライザとはいえ、半分の力ではさすがにトリドスには勝てないでしょ。
しかも最初に姿を消したスキル『視線誘導』の謎も解けてないみたいだし、突貫は今度こそ致命傷になりかねない。
強くなったとはいえ、トリドスはやはりタイマンより大人数での戦いを得意とすることに変わりない。そして、観客が多い今だからこそ『視線誘導』の効果も尋常じゃないくらい強くなっている。
あれは文字通り全員の視線を誘導するスキルだし、人数が多ければ多いほど『つられる』特性を持っている。気配をどれだけ読んでも、視線はつられてしまう。不意を打ったり幻覚を見せたりと、とにかく嫌らしいスキルだと思う。
バフを超広範囲に撒くユニークスキルだけじゃなく、デバフと『視線誘導』も得たトリドスは本当に隙が無い。これで会得したのが攻撃性能の高いスキルじゃないあたり、教育者としての性格が出てるよなぁ。サポーターの最高峰だよ。
……ん、でもさフォグ、デバフかかっててもゴライザなら『効果無効』で打ち消せるんじゃない?
「出来はするが、それをしたらバフもかけ直しだな。いくらゴライザとはいえ『身体強化』などもいくつもかけてあるだろう。だから総合したら現在の方が能力値が高いはずだ。かけ直してもいいが、その隙をトリドスは逃さない」
なるほどね。ゲームで言うなら一手番消費させるって感じね。達人同士の戦いなら、それだけで立派な隙ってわけだ。ますますおれが出なくてよかった。おれはいまだ『身体強化』などの基本スキルの一つも覚えてないんだわ。
「これでトリドスが優勢になったが、ゴライザもここで終わることはないだろう。そもそもあいつは素のタフネスも尋常じゃないからな。倒すだけで一苦労だ……お、ゴライザが動いたぞ」
フォグの言う通り、ゴライザが飛び出して仕掛けた。正直速さに陰りはないように見えるけど、これで実力半減してるって本当かよ。
大砲の玉よりもでかい狂犬が拳を振るえば、何本もの軌跡ができる。ジャブひとつ取っても残像ができるほどに早く、一発一発が弾丸より強い。そんなものが雨のようにトリドスへと注がれるが、果たして大丈夫なのだろうか。
「拳にキレがないな」
肉厚な牛はメイスで拳をいなしながら、たまに攻撃を繰り出している。なんで反応できているのかさっぱりわからないが、観客席の雰囲気から察するにちょっとすごいことレベルらしい。もっと驚いてもいいと思うんだけどね。『空気抵抗』の範囲すら把握されてるんだぞ。
いやまあ、事前の名声から考えればこのくらい当然なのかもしれないけどさ。
「それなら一発食らってみればどうだ?」
「冗談はほどほどにしてくれ。せっかくのバフが全部消えてしまうじゃないか。本当に、一発でも当たれば全部打ち消すなんて、彼もろくでもないスキルを目覚めさせたものだよ」
「てめえほどじゃねえよ。隠し玉、まだ残してんだろ?」
「もちろん」
攻撃して回避して、攻撃して回避して。まるで舞踏のように拳とメイスが交わって、何度も硬質な音を奏でた。おれは目で追うのがやっとなのに、あの二人は隙を伺いながら的確な一撃を加え続けている。
ゴライザは見た目通りどっしりとした体幹を持っていて、体は軽やかなのに安定感がすごくてブレがない。筋力と遠心力でメイスを振るうトリドスも負けてはおらず、ゴライザの作り出す空気の壁を粉砕して本体に迫る。
まさに頂上決戦と言ってもいいくらい白熱した試合だ。
さっきまでの試合もすごかったけど、こっちのほうが明らかにレベルが高い。それを観客も感じているんだろう、周囲を包む緊迫感が明らかに違った。
「このままでいいのかい?」牛が口角を歪めて。「たしか君は最強を見せつけたいんじゃなかっただろうか? このままだとそれは敵わなさそうだね」
「誘ってくれるじゃねえか。いいぜ、そこまで言うなら食らってみろよ」
最強格の残り二人、ジェルとウィザロンはそれぞれ風と土を使わせれば世界一と言っていいだろう。圧倒的速度に加えすべての能力を万能に使えるジェルと、超広範囲を支配下において環境すら管理するウィザロン。
そのスケールのでかさに比べたら、ただ硬く強いというだけのゴライザは劣る。
……それが周囲の評価らしい。まあ確かにあの二人は一騎当千どころか一騎当万だからなあ。
だけど、ゴライザだって負けてない。それをおれはよく知っている。
忠犬としてでれでれしていた片鱗すらもなく、ぎらぎらと輝く瞳で牛を見据えて、ゴライザは命じた。
「――――ひれ伏せ」
命令を発した瞬間、周囲の空気が一気にのしかかる。トリドスは上体を曲げながらもなんとかこらえているが、立っているのがやっとのようだ。
「ぐおっ! ……これはっ!」
「あー確かに弱ってるみてえだな。普段の威力ならてめえの骨くらい砕いちまうってのによぉ」
「『空気抵抗』か……まさかこんなに強いとは」
「俺だとてわかってるさ。俺のスキルはあいつらに比べて、暴力が足りねえって。だから鍛え上げた! ご主人からもらったスキルを極めに極め、誰もが俺にひれ伏すようにな!」
空気が圧となって周囲を押し込む凶悪なスキル。その支配域の中では、ゴライザしか立つことができない。
遠距離だろうと近距離だろうと関係ない。すべてはゴライザに届く前に地に頭を垂れるのだから。
しかも、それだけじゃないんだ。それに気づいたトリドスは歯噛みしながらも勝気に笑ってみせた。
「私の撒いたスキルが全部消えている……! ははっ、やるじゃないか。最強を目指すだけはある」
「目指してんじゃねえ。最強なんだよ俺は」
「まさか『空気抵抗』と『効果無効』を合わせてくるとは思わなかった。これは少々……分が悪いかな……」
ゴライザの隠し玉に周囲にどよめきが走る。さすがにジェルを見慣れた面子であっても、これには度肝を抜かれたらしい。おれも鼻が高い。
これによってゴライザの周囲ではスキルの効果は一切合切認められなくなった。どんなスキルであったとしても、この重さの前では何の意味もない。
コハクの『スキル無効化』に近い能力だけど、無効化に関しては専門な分コハクの方が強いと思う。そもそもコハクの能力はパッシブに近くて、スキルを使った攻撃はなんであれ効かないってチートだし、おれの植え付けた性癖とかも選んで消せるから使い勝手がいいんだ。
「んで」傲慢な笑みを浮かべて歩み寄りながら。「どうするんだ、トリドス? この領域下ではどんな小細工も無駄だ。俺に殴られる前に、とっとと降参したほうがいいぜ」
「……あいにく、私にも守りたいものがあってね。私の可愛い子のために、もう少し粘ってみようと思う」
「殊勝なことで」
この場でスキルの恩恵にあずかれるのはゴライザだけ。そうなれば、いくらデバフがあるとはいえ、トリドスはピンチだ。
それでも牛は胸を張り、メイスを構える。瞳の闘志は消えてない。まだ戦う気だ。
「確かに君の『効果無効』は厄介だ。バフデバフを得意とする私とは、相性が悪い」
ゴライザが警戒して歩みを止めたのは、強者の勘のようなものだろう。いまだ勝つ気でいるトリドスの隠し玉を警戒している。
そしてそれは正しい。なぜなら『効果無効』には致命的な弱点が一つあるからだ。
「だが、君へのデバフが消えていないことから、スキルの発動はできるということ。そして、私にとってはそれだけで十分なんだ」
そう、それがコハクの『スキル無効化』との決定的な違いだ。コハクはスキルの影響だけでなく発動自体を無力化するのに対して、『効果無効』は発動を許してしまう。ただ効果が現れないだけなんだ。そして、選んで消せないということは自分を効果範囲に選べないということ。
つまり、ゴライザに対してのスキルは通ってしまうということだ。
「ふふっ、まあ君らしいと言えばらしいのかな。傭兵街にいた時から、すべての攻撃を受け切って相手を叩きのめしていたからね。そのころに比べたら今の方がずっと良心的だとは思うが……」
相手の力量をコントロールするトリドス相手では『効果無効』も完全ではない。もちろん本人もそれをわかっているはずで、警戒しているに違いない。だからこそ、今までこの合わせ技を取っておいていただろうしね。
だけど、それだけではちょっと足りなかったね。
「『増減集中』」
「……はぁ?!」
先に膝をついたのはゴライザだ。驚きの声を上げながら、急に脱力してしまった。
おそらく、今のゴライザは立つことすらできないだろう。正確に言えば、立つだけの力がない。生きるために必要な力さえ削られて、犬は苦しそうにうめいた。
「んだ、このデバフ量……呼吸すら苦しいとか、ありえねえだろ……」
「タイマンは苦手、その評価は覆りそうかな?」
「急にデバフが増えた……これはいったい……」
「終わったあとで教えてあげよう。今は君にとどめをささないといけないからね」
周囲を押さえつけていた『空気抵抗』も弱まった今、トリドスは悠々と歩くことができる。ゴライザも自身に『効果無効』をかけてデバフを打ち消すことはできるけど、さすがに間に合わなさそうかな。
トリドスの必殺技、『増減集中』は周囲のバフデバフを一体に集約するスキルだ。
実はこっそり観客にデバフを撒いてたんだよな。それをゴライザに一気にまとめたってわけ。
単体に与えられる効果量には限度があるけれど、それをひとまとめにすることで限界突破することを可能にした裏技みたいなスキル。バフもデバフも、いきすぎると身体能力に影響を及ぼして死ぬらしいから、まじの必殺技だよ。バフだと体がはじけるかもだって、怖すぎ。
『視線誘導』もそうだけど、タイマンでさえ多人数を要求するスキルが多い。トリドスの強さって本質は変わらないけど、それをしっかり伸ばしていった結果なんだろうな。
「悪く思わないでくれ。私にも目標があるんだ」
「……なに勝った気でいるんだよ。腑抜けてんじゃねえぞ」
「なんだって?」
ゴライザはまだ凶悪な顔をしたままで、負ける気など毛頭ないと言わんばかりだ。
でも、これ以上ゴライザには新しいスキルはないはずだ。この状況を打破できるスキル、持ってたっけ?
おれが首をひねっていると、フォグが教えてくれた。
「上だ」
「上……あ」
二人の頭上高くに浮かぶ透明な拳。光の屈折でわずかに輪郭が見える程度に透けているそれは、『空気抵抗』で空気を固めたものだろう。
たしかジェル戦では自身近くしかスキル効果がなかったはずだけど、考えてみれば今は周囲に圧をかけているんだ。効果範囲は広がったに決まってる。
トリドスもそれに気づいたようで、迎え撃つためにメイスを構えた。
おそらくこれが最後になる。両者だけでなく、おれらもそれを肌で感じていた。
スローモーションで流れる景色の中、隕石のように拳が落ちてくる――
「つぶれろくそ牛」
「迎え撃とう狂犬」
デバフで弱り切ったゴライザとバフをはがされ『視線誘導』すら使えないトリドス。
条件は五分ってところかな。どちらが勝っても不思議じゃない。
空気の拳はでかく、おれ程度ならぺちゃんこになるだろう。それが重力を伴って落ちてくるんだ。トリドスの感じる圧は相当のはずだ。
だけど牛はひるむことなくメイスを振りかぶる。バフなんてない、今まで鍛えた筋肉の力だけのくせに、怯えなんてまるで見えなかった。
それはゴライザも同じ。生きることがしんどくなるほどの弱体化を受けているくせに、瞳だけは鋭く輝いている。ああ、あれこそが狂犬なんだと、肌で理解させるほどの威圧感があった。
トリドスのメイスが拳と拮抗して、あたりの空気が余波で震えた。牛ははじかれることなく耐え、それどころかメイスで打ち返そうとしている。なんでバフがないくせにここまで強いんだよこいつら。
「ふんむううぅぅぅっ!」
牛の筋肉が隆起して、荒々しい鼻息が漏れる。軍服が悲鳴を上げて引き延ばされているが、肉体も同様に悲鳴を上げているはずだ。普段包容力ましましで落ち着いたトリドスの顔が、真っ赤になって歯を食いしばっていた。
「うおらああぁぁぁっ!」
犬は牙をむいて叫び、一つの拳に神経を注ぎ込んでいる。瞬きすら忘れて、視線で敵を穿つように。よろよろと立ち上がり、持てる力すべてを振り絞っているようだ。
拮抗は長くは続かず、やがて、特大の破裂音と共に拳が消えた。
残されたのは……息も絶え絶えな牛と犬。
二人はそれでも立っている。ぼろぼろになりながら、なんでまだ立てるんだよ……。
「はあはあ……やるじゃないか『鉄塊拳』」
「ちぃ……まさかてめえがここまでやるとは思わなかったぜ『戦勝鬼』」
強化もない体で無理をしたトリドスはふらついていて。
弱った体で無理をしたゴライザもふらついている。
このままいけば、どちらかが死ぬまで止まらないんじゃないかと。そんな恐怖さえ抱いてしまう。
最強の座ってそこまでしてほしいものなのかな。正直、もう見ていられなかった。
「――――さすがにここまでだな」
それは白い霧と共に紡がれた言葉であり、二人の間に大きな熊が割り込んできた。
「フォグ君、気持ちはわかるが私はまだ戦えるよ」
「てめえっ、邪魔すんじゃねえ!」
「やる気があるのは結構だが、これは演習だ。怪我人が出ることは本意ではない。そうだろ?」
と言いながらおれに視線をくれたので全力で頷いておいた。ありがとうフォグ!
「はあ、うちの隊長がそう言うんじゃしょうがない」
「まあ、ご主人の命令なら……」
「わかってもらえたようで何よりだ。それじゃあこの勝負は引き分けってことでいいよな。目的は果たしたみたいだしな」
フォグに言われて気づいたけど、観客たちはざわめいて口々に二人への称賛をつぶやいている。
ゴライザが想像以上に強かったとか、トリドスならジェルに並ぶんじゃないかとか。
彼らの目論見としては、これ以上ないほどうまくいっているはずだ。
だったら、もう戦わなくていいんじゃないかな!
「それもそうだな。私としては、四席目に座れる可能性をつかめただけで良しとしよう」
「ふん、勝敗が付かなかったのは納得がいかねえが、別の機会にぶっ飛ばしてやるよ」
「その時は私が勝つだろうね」
「は? 俺に決まってんだろうが」
いがみ合う余力があるようで安心する。もう互いのスキルは解除しているようで、あとは身体能力の向上ですぐ元気になるだろう。
こうして、軍部を改革してから初めての演習は幕を下ろしたのであった。
****
「ごめんなご主人……あんな大見得切ったのに、あの牛すら倒せねえなんて……」
案の定、ゴライザは落ち込んでいるようで、おれに抱き着きながら鼻を鳴らしていた。
演習が終わった後に見舞いがてら家を訪れたら、速攻で部屋に連れ込まれてしまった。予測していたこととはいえ、忠犬への様変わりが早い。
「別におれはゴライザに怪我がなければそれでいいよ。体調は問題ないんでしょ?」
「それは大丈夫だ。バフさえかけられれば、腕が折れても数日で治る」
「相変わらず規格外が過ぎる……」
普通はいくらスキルがあっても数日じゃ無理なんだよなぁ。さすが瀕死から爆速で完治するだけはある。
すでに包帯すらない濃い灰色の巨体は全裸でおれに甘えまくっており、特注巨大ベッドの上をごろごろとじゃれ付き合っている。
こんなところトリドスに見られたらもう言い訳のしようがないと思うんだけど……。
「あいつなら遅くまで帰ってこねえよ。まだ城にいるんだろ」
「え、聞いてないんだけど」
「ふん、あの牛……自分はいつもご主人といい思いをしているから、今回は頑張りに免じて譲るとか余裕ぶっこきやがったんだよ。この前も邪魔して悪かったってことで、気を効かせたみてえだな」
「ああ、そういう……それならそっちに顔を出してからくればよかった」
「別にいいだろ。来てほしかったら事前に言ってるはずだ。どうせフォグと今後のことで話し合ったりしてんだろ」
「今後?」
「演習は成功した。なら、後は地盤固めだろ。コハクに与さない貴族連中へのけん制と、権力闘争の動き方とか、やらなきゃならねえことは腐るほどある」
「元気すぎる……」
まあゴライザがこんなに元気なのだから、トリドスも大丈夫そうではあるけどさ。怪我がなかったおかげで、復帰も超早い。
フォグもトリドスも政治はできる方だし、まあ何とかなるでしょ。
おれはぶっとい腕に抱かれたまま、ゴライザの分厚い胸に埋められている。演習終わりにシャワーを浴びたのか、すっきりとした香水の匂いが男らしさを引き立てていた。
すでに何度も抱き着かれているというのに、ゴライザの肉に体が埋まる感覚にはいまだに慣れない。筋肉が、というか腹が膨らみすぎているから、みちぃと埋もれてしまうのだ。
「でもまあ、一応感謝はしている。こうして俺がご主人を独り占めできるんだからな❤❤」
「この前も結局散歩だけで終わっちゃったしね」
「当然今日はその続きをしてもらうつもりでいたんだが、引き分けだったしなぁ。ご主人に俺のかっこいいところを見せられなかったのが残念でならねえ」
「え、かっこよかったよ」
トリドスとぶつかり合うところは本当に手に汗を握った。どちらが勝っても不思議じゃなかったんだし、かっこよくないわけがない。
それに『効果無効』の弱点を考えれば、トリドスの能力は苦手な部類だろう。それなのに引き分けに持っていったのだから、大したものだと思う。
抱きしめられて不自由だったけど、おれはなんとか腕を伸ばして忠犬の頭を撫でてやる。そしたら力がさらに入って痛くなってきた。痛いけど、まあ、頑張ったしちょっと我慢しよう。
「くぅん❤くぅん❤❤」
「頑張ったね、いい子いい子」
「ご主人~~~~❤❤❤大好きだぁ❤❤次はぜってぇ勝つからよ❤そしたらもーっと俺を褒めてくれぇ❤❤わんわーん❤❤❤」
でれでれの忠犬が頬ずりしながらおれを抱き枕にする姿には、演習時の面影なんてまるでない。ゴライザの部下がこれを見たら、多分泣いて逃げるだろうな。
しかも腰へこしてちんぽをこすりつけ、気持ちよくなっているときた。すでに巨根は準備万端で……というか、おれと会うときは大抵フル勃起している気がするけど、これでいつでもできる構えにはなっている。
だけど、抱きしめられたままで身動きが取れないな。でも今日はゴライザの頑張りを褒めに来たんだし、好きにさせてあげようか。
……おれも飼い主根性が染みついてきたなぁ。
「ご主人❤ご主人❤❤」
合同訓練時は凛々しい顔ばかりで、あの時の散歩以来二人っきりは久しぶりだ。
だから忠犬ムーブにも熱が入っているのだろう。よしよし。
「ご主人~❤引き分けちまったわんちゃんをもっと躾けてほしいわん❤ご主人のちんぽで俺の全部をいい子いい子して❤もーっと強くしてほしいわん❤❤そうすれば、もう負けねえからよ❤」
頬を一舐めしてからおれの服を丁寧に脱がせていく忠犬の鼻息は荒い。
これから行われることに対しての期待が、硬いちんぽと揺れる尻尾によく表れていた。
「ご主人❤脱がせていくぞ❤」
ゴライザはおれの肌を撫でまわし、感触を味わっている。おれから抵抗ひとつないことを確認して、鼻面をこすりつけてはくぅんと鳴いた。
なんとも大きな手だ。おれを這いまわるそれはグローブかと思うほど膨らんでいるが、それでいてごつごつとした節を持った男らしい手だった。
おれの頭さえも一握りでつぶせそうな力を持つ掌が、甲斐甲斐しく撫でさすって奉仕している。全裸にした後、ベッドに沈むおれを見下ろして、忠犬は満足そうに頷いた。
「はあはあ……ご主人~……❤俺、もう、おマンコ我慢できねえよ……❤❤」
太い腰を艶めかしく回す豪傑はおれが欲しいと、切ない視線を降り注いでいる。
ご無沙汰になった肛門が急かすのか、今日のゴライザはいつも以上に明け透けだ。
それもしょうがないとは思う。散歩ですら久々だったのだ、挿入なんておれがコハクの所に飛ばされて以来だろう。
この忠犬がおれ以外に股を開くとは到底思えないし、ずっと我慢してたに決まってる。きっとマンコはもう準備万端で、しっとりと濡れそぼっていることだろう。
ああでも、さすがにこのまま素直にしては、ゴライザも肩透かしを食らうかも。こいつは躾けてほしいと言っているんだ。もう少し犬扱いしてあげたほうが喜ぶかもしれないな。
だから、忠犬の頭を押して、おれの股間へと導いてやる。
すんなり従ったゴライザの鼻面は、幹と袋の間へと突っ込むことになった。
「おおぉ❤❤ご主人の匂いいぃ……❤❤❤」
「ゴライザ、ちんちん」
「わんっ❤❤」
そして体を回転させて、ベッドの上で寝ころんだままちんちんのポーズを取らせてやる。どちらかと言えば降参のポーズかな。
おれはゴライザの上で膝立ちになって、またも根元を鼻に押し付けた。この方が体勢が楽だし、なによりゴライザの顔以外がよく見えるのだ。
「ふっごおぉ❤❤❤」
「ゴライザ、待て」
「わんっ❤❤」
手足を丸めたゴライザは威勢のいい返事をしたものの、鼻息の荒さが悪化している。敏感な部分にかかるからくすぐったいな。けど、これくらいは我慢しないとね。
「お゛~❤❤マンコに来る匂いだぁ……❤ふごっ、ふごぉ❤❤ご主人のちんぽ❤❤ちんぽぉ❤❤」
それどころかよだれが滴ってる気がする。なんかべたべたするもん。
ちょっと腰を引いてみれば、忠犬の視線が追いすがる。顔の中心におれの一物があるせいで、ゴライザがより目になっていた。もはや無様をさらすことに抵抗なんてないようで、瞬きすら忘れて見入っているようだ。
ちんちんのポーズをしながら、股間を押し付けられる。昔のゴライザなら発狂して殺しに来るであろう体勢も、忠犬になった今ならご褒美と変わりない。
その証拠にごん太でかちんはビンビンで、たまに震えては先走りをびゅるっと吐き出している始末だ。腹がでかいから、こうして上からのぞかないと見れないんだよね。
「おおぉんっほぉ~❤❤お゛っ❤お゛っん゛❤」
「待てだぞー。舐めたりしたら駄目だからね」
「わがっでるぅ❤❤俺はぁ❤立派なわんちゃんだがら゛ぁ❤❤い、いぐら、大好きなご主人ちんぽをぉ❤突きつけられてもぉ❤まだ、いげるぜ❤❤❤」
ほんとかなぁ。さっきから腰がカクカクしてるし、先走りの量も増えてる。興奮だけでいきそうになってないか。
もはや正常という概念がどこにあるのかすらわからない体たらくだ。犬という立場に傾倒しすぎている。
「ちんぽ臭脳に来るっ❤くるうぅ❤❤わんちゃんの頭ぁ❤馬鹿になっちまう❤❤ご主人のことしが❤がんがえられなくな゛っるぅ❤❤」
「それはそれでいつも通りな気がするけど……まあいいか、ゴライザ、口開けといてね」
「ふぁい❤」
今度はぽっかり空いた忠犬の口腔内にちんぽを挿入して停止してみた。
ゴライザは驚いたようだったけど、噛むのは我慢してくれたみたいだ。結構怖かったけど、信じてたぞ。
「あ、へぇ❤ほしゅひんの、ひんぽぉ……❤❤」
「ゴライザ、待てだからね」
「ひゃいいぃ……❤❤❤」
大口を開けたまま、しゃぶることも舐めることも禁じられたゴライザ。腰のかくつきがすごくて空気とセックスしてるみたいになっているが、何とか耐えているようだった。
「おひぃ❤ほひゅひん……❤お゛っ❤お゛っ❤」
もはや過呼吸の様相を呈しているけれど、この体勢だと表情を見ることはできない。
たまに揺らして口蓋に亀頭をこすりつけると、ネジのとんだ声がする。どうやら相当興奮しているようで、本当に馬鹿になってるみたいだ。
「あぁ~❤ほひゅひんんんん❤❤あおーーん❤❤❤のおぉ❤おっ❤おおぉぉおぉん❤❤」
しゃべることもできないせいで、わかるのは喜んでるってことくらい。ゴライザのちんぽはいつ爆発してもおかしくないほどいきり立っていて、血管がグロテスクに浮かび上がっている。
「あううぅ~❤❤❤――――お゛っほぉ❤❤」
あ、今アクメ決めたな?
射精まではいかなかったけど、濁った汁がちょっとだけ飛んで腹にかかった。本当に興奮だけでいっちゃったよ。
「すごいねえ……」
忠犬からちんぽを引き抜いて顔をのぞき込めば、これまた見事なアヘ顔が。舌ははみ出してるし目は裏返ってるしで、人の尊厳が終わりきってる。
「ご、ご主人~❤ごめんなぁ……俺ぇ、我慢できなかったっ❤ご主人のちんぽがやばすぎて❤頭、おかしくなっちまって……❤待てされてたのにぃ❤」
「射精してないしいいよ。ちょっと意地悪すぎたかな」
「ご主人……❤❤」
「だから今のはノーカンでいいよ。うん、良くできたね、いい子いい子」
「あおーん❤❤」
丸い腹を撫でると、尻尾が勢い良く揺れた。顔はでれでれに蕩けたままだったけど、少しだけ瞳に理性が戻っている。
「ありがとうなご主人❤でも俺も、ご主人のちんぽしゃぶるの我慢したぞ❤❤俺は忠犬だから❤頑張ったんだぜ❤❤」
知能指数蕩けてる。誇らしげな顔でちんちんを決めて、ご褒美が欲しいと訴えている。
「それじゃあご褒美に何が欲しい?」
「……何でもいいのか?❤❤」
「一つだけね。いい子いい子もどこか一か所」
全部認めるとゴライザは忠犬から駄犬に代わるので、ある程度の保身は必要なのだ。むさぼられるのも大変なんだぞ。
おれとしてはさすがにそろそろおマンコへのいい子いい子を求めてくるだろうと思っていた。ずっと我慢してたし、この待てで限界なんてとっくに超えてるはずだから。
それでもゴライザはおれを引っ張ってベッドに倒れ込ませると、でかい体できつく抱きしめてきた。ちょっと痛いけどもう慣れた。ゴライザはただ、嬉しそうにつぶやく。
「じゃあ、今日は泊まっていってくれ❤俺と一緒に寝てほしい❤」
「それだけでいいの?」
「もちろん。ご主人が俺の前から消えてからずっと、一緒に寝てねえだろ。たまに遊んでくれても、すぐ帰っちまう。傭兵街を出た日から、俺はご主人を抱いて寝てねえんだ」
「そうだったね……」
「いい子いい子もいらねえ。褒めてもらえなくてもいい。俺はご主人の犬として、そばにいたいんだ。俺は、ご主人が思っている以上に、ご主人のことが大好きな犬なんだぜ」
おれが元の世界に帰るかもって聞いたら泣きだすようなゴライザだ。会える時間が減っていることを、結構気にしていたのだろう。
あー、そう考えると、おれも配慮が足りなかったな。お散歩程度じゃ満足しないってこと、わかってたのに。
「ご主人。俺は決してご主人のスキルによって懐いてるわけじゃねえんだ。もちろん最初こそ、そうだったかもしれねえ。だけど今は、俺は俺の意志で忠犬やってんだ。それをもっと理解してくれねえと、わんちゃんは寂しいぞ」
『忠犬』性癖の祖だからね。これはもともと君の中に根付いていた欲望だ。
おれはただ、それを最初に自覚させただけ。
「それでも俺は、ご主人の忠犬だ」
愛おし気に頬ずりしながら、ゴライザは誇らしそうに笑う。ぴんと立った耳がせわしなく動き、喜色の感情に揺れ踊った。こわもてが花咲くように柔らかい表情をするものだから、おれは自分の浅はかさを思い知る。
「今まで寂しい思いをさせてごめんね」
「別に構わねえよ。俺はご主人を束縛したいわけじゃねえんだ。ただ、たまには構ってほしいってだけでな。これでも聞き分けのいい犬だと思ってるんだぜ? こんな強くて律儀な忠犬を持てて、ご主人は幸せ者だろうな」
「うーん、ここまでアヘっておいてプライドの高さが何にも変わってないのすごいな。じゃあお詫びに今日は全部やろうか。お泊りもいい子いい子もぜーんぶ」
「本当か!❤❤」
犬の目が捕食者を思わせる鋭い光を放つから、おれは一瞬自分の発言を悔やんだ。が、一瞬だ。
さすがに今日くらいはゴライザのために使おうと決めた。精も根も絞られる程度、全然許容範囲。
「ゴライザはしたい体位ってある?」
「俺はご主人がいい子いい子してくれるなら、何でもいいぜ❤」
「だよねぇ」
「でもまあ、強いて言うなら正常位か❤今はご主人の顔を見ながらしてえ❤❤」
「おっけー。ならゴライザ、ちんちん」
「あおん❤❤」
特注ベッドに小さな山が横たわる。いつ見ても圧巻の腹だなあ。
体の分厚さが常人の比じゃないので、初見の人は気圧されること請け合いだ。暗示がなくとも、タズィは魔物だと勘違いしたかもしれない。
おれはでっぷりとした金玉を揉みながら、空いた手で腹を撫でてやる。『愛撫』は出力弱めにして、じっくりと快楽を染みこませていく。
「いい子いい子。ゴライザは本当に忠犬だなぁ」
「あおん❤あおーん❤❤ご主人にそう言ってもらえることが、俺の誉だぜ❤❤」
良い雰囲気をはさんだというのに、犬のちんぽは萎える気配がまるでない。デカマラはおれの手で握り切れないほど大きく、笠がきのこみたいに開いた凶器だ。血管の太さ一つとってもおれとは体のつくりが違うのだと思い知る。
そんな巨根は先ほどからの粗相のせいで雄臭さが煮詰まっており、すぐにでも暴発してしまいそうなほどこわばっている。
「一発出しておかないと、入れたらすぐいっちゃいそうだね」
「そうだな❤もう金玉の中が煮詰まってしょうがねえ❤ご主人❤ご主人❤わんちゃんのおマンコにいい子いい子して、忠犬ザーメンぴゅっぴゅっさせてくれよぉ❤❤❤ご主人の飼い主ザーメンでおマンコマウンティングしてほしいわん❤❤」
「うんわかった」
おれが豊満な尻に視線をずらすと、ゴライザはちんちんを解除して太ももを持ち上げてくれた。尻肉が分厚すぎて広げないとマンコが見えないのだ。
ゴライザの恥部はもうネットネトで、先走りと同じように愛液も駄々洩れだったみたいだ。肛門は開閉を繰り返しては泡を吐き、とろりと汁をこぼしていた。
「あっは❤ご主人が俺のおマンコ観察してる❤やっべ❤ご主人とおもちゃしか知らねえ忠犬マンコに、いい子いい子してほじいぃ❤」
「うわぁ、とろとろだね」
「当然だろうが❤俺のおマンコはご主人がいつ生ハメしてもいいように常時熟れてんだよ❤だからお散歩中だろうとなんだろうと、ハメたくなったらいつでもいい子いい子してくれていいんだからな❤❤」
健気がすぎる忠犬は赤らんだ顔で牙をむいて笑う。こんなに淫乱なくせに、自慰だけで過ごしてきたのか。
ためしにマンコ肉を撫でてやると、巨体が大きく震えた。『愛撫』の出力を少し上げたのもあるだろうが、久しぶりということで湧いたゴライザの狂喜が大きすぎるせいだろう。
「あおーん❤❤ご主人のなでなで❤ご主人のなでなですきぃぃぃ❤❤❤もっと❤おマンコいい子いい子じでええぇぇぇぇ~❤❤❤❤」
縁をなぞっただけでこれだ。このでかい筋肉の鎧はおれを誘うために、ベッドで身をよじることしかできなくなっている。これだと本当にすぐ一発目を出してしまいそうだ。
ということで、まずは指を一本。
巨体に比べれば何とも細く頼りないものが、うごめく柔肉の窄まりへと消えていく。
「うっ、おぉぉん❤❤」
目の前で震える巨根から濁った汁がぴゅーと飛ぶ。この調子だと、絶頂はすぐだな。
根元まで入れてから内壁のぬくもりを指先で軽くひっかくと、暗い灰色がベッドをきしませた。体がでかすぎるせいで肛門筋も分厚いように感じる。毎回思うけど、『愛撫』が無かったら気持ちよくならないんじゃないかな。
「おおぉぉ❤ご主人のなでなでぇ……❤❤」
そこからさらに二本、三本と投入していき、バラバラに動かしていく。貪欲さが現れているマンコがグチャグチャと鳴るのはおれが指を動かしているせいなんだけど、まるで咀嚼されているような気になってしまう。
ゴライザの中は大体知り尽くしている。指をまとめて浅いところにある前立腺をじっくり押し込んでやると、腹を押し出してのけぞり始めた。
「おおおおぉおぉ~~❤❤❤おっんほおおぉおぉ❤❤❤」
「ゴライザ、待て」
「んっぎぃ❤ここでかぁ?!❤❤ご、ご主人っ❤そりゃねえよおぉおおおぉぉ❤❤❤」
まあさすがにおれも完遂できるとは思ってない。
なにせ『愛撫』だけじゃなく、『雄特攻』などが乗った手腕だ。すでに絶頂間近のゴライザに耐えられるわけがないだろう。
筋肉の塊がスプリングを弾ませて、咆哮を放つ。暴れたいほど強い快楽だろうに、おれを気遣って何とか抑えているのがわかる。こんな重量にのしかかられたら普通にやばいし、向こうもそれは理解している。
「んぎいぃいぃぃいいぃぃぃ❤❤❤おっほおぉ❤マンコやべえ❤気持ちいいのが止まんねぇ❤❤ご主人のなでなでがっ❤一番、よすぎるぅ❤❤」
それでも体内で暴れまわる快楽に抗いきれず、ベッドが壊れそうなほどに尻を振っている。通電でもしたのかと思うほどだが、当の本人は満足そうだ。やっとほしいものが近くに来たのだから。
「ご主人❤ご主人っ❤もっと❤もっとなでなでしてくれぇ❤大好きっ❤ご主人ご主人っ❤俺のご主人っ❤❤❤」
匂い攻めからの快楽攻めで、完全に脳みそ蕩けてるな。駄犬モードになってる。
「お、俺っ待て頑張るからよ❤ご主人の命令なら何でも聞くっ❤どんなことだってやるぞ❤❤ご主人大好き❤だから❤俺のこと飼ってくれよおぉおぉぉ~❤」
自らを広げる手を離してちんちんのポーズを取ったかと思えば、そのまま体を揺らしておねだりし始めた。尻尾の勢いが強すぎて指が抜けそう。
太い眉をでれでれにして、いかつさがマイナス方向に振り切っている。短いマズルからは舌がはみ出し、唾液や嬌声が溢れかえっていた。
「飼ってほしいって、具体的にはどんな感じ?」前立腺を押し込みながら聞いてみた。
「うっほあああぁぁ❤❤毎朝っ、ご主人を起こして❤なでなでしてもらっでぇ❤んぎもぢぃ❤あ゛っ❤ああぁ~……❤❤」
「それでそれで?」さらに優しく揉みこんであげる。
「おほおおぉおぉおぉ~~~~❤❤❤お゛っ❤散歩っ❤散歩じでもらうっ❤庭でもまちながでも゛っ❤どこでもいいがらっ❤❤ひゃあぁ❤ご主人と、お散歩ずる゛っ❤❤❤❤」
「なるほどね」指をまとめたドリルで思いっきり削岩。
「がっ……おおぉおぉぉぉん❤❤おほぉ❤あああぁぁ~~~~~~❤❤❤❤ぎもぢいいぃいぃ❤❤あど、ごんなふうにっ❤なでなでっしてもらう゛❤❤ご主人が、つらいときとか❤俺がっ❤守るがら゛❤なにがあっでもっ❤俺が守るっ❤そじだら、いい子っいいごおぉおぉじでもらうっ❤❤」
もはや涙鼻水まみれの顔はぐしゃぐしゃだが、目だけは明るい未来を夢想して輝いている。忠犬になったゴライザにとって、その生活はまさに理想なのだろう。
それにしても、よく耐えれているなと驚いてしまう。絶対途中で射精すると思ったのに。
ちんぽはもういってるのかわからないほど汁まみれだけど、本気汁はまだだ。大振りの金玉もぶら下がって待ちわびているというのに、ゴライザはまだ持ちこたえていた。
「へへっ❤俺ぁご主人のちゅーけんだがらぁ❤❤命令は❤守るぜっ❤❤あおん❤あおおぉん❤❤」
「ひょっとして、何かスキルでも使ってる?」
「んなのがなくでもぉ❤っほぉ❤ちゃんと言いつけをっ❤守れるからちゅーけんなんだ❤❤俺はっあぉん❤ご主人の忠犬❤んおおぉぉん❤❤可愛いわんちゃんだぞぉ❤❤❤」
さすがにここまで来るとおれが折れるしかない。ちょっと前まで駄犬成分強めだったのに、しっかり忠犬らしくなってきてるじゃないか。
……忠犬らしいってなに、とは我ながら思うけど。
スキルで無理矢理いかせることはたやすい。それでお仕置きするのもたまにはいいかもしれないけど、今回はその根性を称えよう。
「頑張ったね」
「……それじゃあご主人!❤❤」
「うん、もういいよ。……ゴライザ、よし!」
「ハフハフハフッ❤❤やった❤やっとご主人のなでなででいける❤❤おマンコ気持ちよくしてぶっ放せるぅうぅ❤❤ご主人ご主人ご主人っ❤❤❤わんちゃんの大量射精見てくれ❤この前の散歩より、ご主人だけの方がこんなに出るんだぞ❤❤」
この前タズィにしごかせたこと、ちょっとだけ根に持ってそうだな。
本当にプライドの高い忠犬だ。
ようやくの射精とあって、ゴライザの神経すべてがちんぽに集中している。さっきから一回たりとも触れられていない雄の象徴は、お構いなしに特濃大量白濁をぶち上げた。
「――――――あおおおぉぉーーーーーーん❤❤❤❤」
これほどまでに噴火という単語が当てはまる射精はない。
なんておれが思うほどに、ゴライザの射精は激しかった。
煮詰まって半固形になったザーメンがとめどなく噴き出して、頭上高く飛ぶ。それは丸い暗灰色の腹の上でゼリーのように震えては落ちていくほどに濃い。
当然おれの顔にも遠慮なくかかるおかげで、鼻が曲がりそうなほどの雄臭さに包まれてしまう。まるでマーキングされているようだ。ここまで匂いが強いと、シャワーを浴びたくらいじゃ取れないんじゃなかろうか。
「ちんぽこわれ゛るぅ❤あはぁ❤すっげえ、すんげええぇぇ~~❤❤❤」
この一滴一滴には赤ちゃんの元が含まれているのだ。子宮に出していたら双子どころではなかっただろうな。こんなに強い精液が全部、空気中に放たれて落ちていく。
「ぎっもぢいぃいぃ❤お゛っほおぉ❤あぁたまんね❤やっぱご主人とする射精が最高なんだ❤❤❤好き好きしゅきだああぁ~~❤❤ご主人だいしゅきぃ❤❤❤」
見た目だけではない、雄としての強さをこれでもかと誇示するゴライザが尻でいっているというギャップに、おれも当てられてくらくらしてきた。だてに金玉がでかいわけじゃないわ。
でも射精するいきり立った巨根に目を奪われていたけれど、これはまだ挿入前、本番はここからなのに。精力もつのかな。
「んなのもつに決まってんだろぉ❤❤ご主人となら、俺はどれだけでもできるんだぜ❤❤」
体中をザーメンまみれにしたゴライザがおれを引っ張り、抱き寄せてきた。二人の間で精液がぬるつくが、構うことなくおれを舐めまわしていく。
「ご主人❤最高に気持ちよかったぞ❤でも汚しちまってごめんな❤わんちゃんがしっかり綺麗にするからよぉ❤❤❤」
「ありがたいけどさ、まだ終わりじゃないでしょ?」
ゴライザの痴態を目の前で浴びたせいで、おれも興奮してるんだ。
今日は演習ってことで訓練がなかったこともあるな。毎日してたエロがなかったんだから。
だから、ゴライザを抱きたい。
なんて言いながら鼻面にキスを送ると、びっくりした目が返ってきた。
「ご主人が、俺と❤❤」
「別に何度もやってたから今更じゃない?」
「そりゃそうなんだけど……やっぱご主人から求められると嬉しいからな❤ははっ、じゃあもっとやろうぜご主人!❤」
耳を立ててうきうきとした手つきで正常位になったゴライザがおれを呼ぶ。いったばかりのちんぽを奮い立たせ、膝裏を抱えて尻を突き出している。
でかい体を支える尻と太もものでかさもバグってるせいで、あんまり可動域がなさそうなのに。それでも手が届くのは獣人特有の体の柔らかさなのかもしれない。
その中心ではほぐしたケツマンコが汁を吐いているようだ。残念ながら尻を広げないと拝めないので、漏れ出す愛液だけしか見えていないのだけど。足を上に引っ張ってもケツ肉がでかすぎるってどういうことだよ。
おれはそっと尻に手を伸ばして触ってみると、強い弾力にはじかれる。筋肉の塊だもんな。何度触っても驚くわ。
「ご主人❤ご主人❤」
「どうしたの?」
「種付けプレスしてほしいわん❤ご主人のわからせちんぽで、わんちゃんを躾けてくれよぉ❤❤」
ゴライザを? この巨体を? おれが?
確か最初に出会ったときにしてたと思うけど、この筋肉の塊を組み敷くのって結構疲れるんだよね……。ましてやあの時に比べて筋肉も増えたし、腹もでかくなったと思う。それをおれが抱えられるのか、いや無理。あの時の自分、頑張ったんだな……。
「俺がご主人のわんちゃんになりたいって気付かされたみてえによ❤ご主人に教えてほしいんだ❤俺はご主人のだぞって❤❤だめか?❤」
「いいけど、あの時より君が強くなったからうまくできるかわからないよ」
「枕を下にひいときゃいけるだろ❤❤」
「そうかなぁ……」
だけどまあ、これはご褒美なのだから、できる限り要望には応えようじゃないか。
おれはゴライザの足をつかんで前に倒してみる。
膨らんだ腹に引っかかるけれどまあ、できないことはない、かな。尻の高さを上げたおかげでやりやすくはなってる。
ぐいっと体重をかけると、ゴライザの顔が期待に華やぐ。ザーメンやら何やらで汚れ切った毛皮に構うことなく、忠犬は口角を舐め上げてマンコを差し出した。
「ごー主人❤❤俺はいつでもいいぜ❤❤」
先ほどほぐしたばかりだし、もういけるかな。
身を乗り出しても胸までしか届かない大男がおれに脚を絡めて、早くほしいと尻を小刻みにゆする。両手は広げて待ち構えており、完全に大好きホールドの構えだ。
あのむっちり突き出した腹と胸の合間に埋められることを覚悟しておこう。
「じゃあ、入れるよ」
腰を突き出して尻肉をかき分ける。もはや見なくたってゴライザのマンコがどこにあるのかはわかるんだ。
「う、おぉん❤」
亀頭が粘膜にくっついて、犬の鼻が鳴る。指であれだけ大量に出したというのにそこはいまだに火照っており、柔らかくはまれているような気さえした。
そこからさらに進めると、つぷりと、肉をかき分ける感触がした。
「おおぉ~❤ハフハフハフッ❤❤ご主人のちんぽだああぁ~~❤❤」
まだ亀頭を差し入れたばかりだというのに、駄犬は両手を閉じておれを捕らえようとしてくる。それで一気に入ってつらいのは本人なのだけど、舞い上がっているせいでそこまで考えが至らないみたいだった。
「あ、ちょ……!」
「ご主人~~~~~~❤❤だいしゅきいぃいぃ~~~~❤❤❤」
下手したらおれの胴体よりでかい剛腕に抱き寄せられると、伴ってちんぽも奥へと至る。
ずぶずぶと、情緒も何もない無遠慮な侵入は突発的な快楽を生んで、犬の相貌がのけぞって吠えた。
「うぅおおぉぉ~~~~ん❤❤❤❤ごりっできだああぁ❤❤ご主人のちんぽ❤ちんぽ~~~~❤❤あおおおぉぉぉぉん❤❤❤❤」
勢い良く立たせた足の指がおれの後頭部に当たる。どうやらかなりの衝撃を感じていたようだ。だから言ったのに。
「はひはひっ❤ご主人のちんぽがはいっでる❤俺のちゅーけんおマンコにいぃ❤ああぁっはぁ❤たっまんねぇ❤ご主人のちんぽは俺のいいところに当たる最高のちんぽ❤わんわーーん❤❤」
「こら、危ないでしょ」
「んひぃ❤ごめんな❤わんちゃん我慢できなくってよ❤おマンコされて駄犬になっちまった❤あまりに久々だったからよ❤幸せすぎて死んじまいそうなんだ❤❤わかるだろ、俺のおマンコ❤ご主人のためだけのおマンコ❤とろっとろだぞ❤❤」
アクメ決めたはずなのにすぐさま復帰してデレ顔を見せるゴライザ。おれをぎゅーと抱きしめながら悦に浸っている。
先ほどの射精のせいで胸の谷間にくすぶる淫臭が、ゴライザの汗と混じってどぎついことになっていた。香水なんて雄フェロモンに取って代わられている。今おれの鼻を満たすのはゴライザの匂いだけだ。
そんなものが豊満な肉と共に押し寄せてくるのだから、おれの思考回路が鈍化するのもしょうがないだろう。
大好きホールド決めているのなら足を持つ必要もない。おれは片手では収まりきらないほどに膨らんだ胸を両方揉んで、ゴライザを堪能する。
すっごいむっちむち。肉が張ってるけど程よく柔らかいから指からこぼれそうになる。腹肉の方が硬いのは密度の問題なのだろうか。
「はふっ❤ご主人、俺の体ならどこでも好きにしていいぞ❤ご主人に撫でられると、どこだって幸せなんだ❤❤」
手の動きに合わせてマンコ肉が蠕動して、ちんぽに絡みつく。淫獣として成長したゴライザの中はまさに雄のための性器であり、ヒダひとつひとつがちんぽを悦ばせる方法に熟達しているようだった。
柔肉は舌のようでいて、触手のようでもある。精神性が反映されているのか、搾り取ってやるという意志に満ちていた。
「おれしか知らないのに、すごい成長したね……!」
「そりゃもちろん、喜んでもらえるように訓練は欠かしてねえからな❤張り型を咥えこんで、たーっくさん慣らしておいたんだよ❤❤だからご主人以外は使ってねえからな❤本当だぞ❤」
別にそんなことを疑っているわけじゃないんだけど、忠犬としては死活問題なのだろう。おれはお詫びの意味も込めて、丁寧に腰を動かしてやった。
「そういう意味じゃないから、気を悪くしないで」
「うっおおぉおぉん❤❤全然っ、平気だぜ❤ご主人以外がぁ、俺を使おうものならっおぉん❤頭蓋骨が砕けるまでぶん殴ってやる゛っ❤信じてくれていいぜっ❤❤❤ぐるるうおおぉおぉぉ~❤」
しれっと狂犬を出さないで。こいつはやると言ったら絶対にやるタイプだから、心臓に悪い。
すでに何度確認したのかわからないけど、ゴライザは肉が分厚い。全部分厚い。宇宙服だってここまで分厚くなかっただろうと思うくらいに分厚い。そしてほどんど筋肉だというのだから恐ろしい限りだ。
そのせいで豊満すぎる尻肉ではおれのちんぽは普段よりも浅くしか入らない。
だから的確に狙い打つ必要がある。先ほど前立腺を確認したのもそのためだ。抱きしめられて可動域も少ない現状、できる最善を尽くして、おれはゴライザを犯す。
「あおおおおぉぉーん❤❤❤あ、あだるぅ❤ご主人のちんぽは、いっづもぉ❤俺のいいどごろをっほおおぉ❤あででぐるがら、たっまんね゛っ❤❤いいっ、すんげええいいいいぃ~~❤❤」
肛門筋もしっかりしてるから締め付けが強すぎる。柔肉との落差にちんぽがすぐ爆発しそうだ。
そのくせ奥へと飲みこむように動くから、気を抜くとすぐ絞られそうになる。
だが、それも上等。これでもおれはエロスキルがメインだからね。あっさりと白旗を上げることはない。
主導権を握ろうと胸にある手に力を入れれば、ぐにぃとつぶされた肉がはみ出していく。こんなデカいおっぱいを片手で収められるわけがないのはわかっていても、実際にやるとやっぱり興奮する。
「お゛っ❤おおっんっほおぉおぉおぉ~~❤❤腰、はやぐなっだぁ❤あぁああぁ、あだる❤あだるうぅ❤」
「おれのちんぽはゴライザが普段使ってるやつより奥まで入らないかもしれないけど、思いっきりよがってくれ」
「んなの関係ねえ!❤❤ご主人のちんぽは最高なんだ❤おおぉ❤俺を気持ちよくじでくれる❤こんなの、おもちゃじゃ無理なんだよぉ❤だから俺はご主人のちんぽ大好きだぞ❤ちんぽ以外も大好きだけど❤全部❤ぜーんぶ大好きっ❤❤❤」
誰よりもでかい体を持つゴライザだが、やってる最中は大型犬だと実感する。崩れた顔面も拍車をかけていて、リブラあたりに見られたら馬鹿犬と笑われそうだ。
だけどおれはそれを可愛いと思う。全身全霊でじゃれついてくる犬が可愛くないわけないだろ。
そうなると、おれのちんぽにも熱が入ろうというもので、この忠犬を絶対にいかせてやろうと決意が固まった。
でも、持てるスキルを駆使して腰を振るも、何故だかゴライザに変化はない。手マンよりたくさん出させてあげたいのに、狂乱は起こらなかった。
「もしかして、『効果無効』使ってる?」
「もちろん❤ご主人に本気出されたら俺なんてキャンキャン吠えるだけのわんちゃんになっちまうだろ❤」
「それだとあんまり気持ちよくないんじゃ……」
「んなことねえよ!❤ご主人とできるだけで、俺は十分気持ちが良いし幸せなんだ❤ただ、今度はご主人をたっくさん堪能したいってだけだ❤❤」
それでさっきからじゃれつきが強かったのか。この手に触れるだけで、大抵のスキルは消されてしまう。今はバフもいらないから自分にかけてもいいもんな。きっと『愛撫』も効いてないだろし、よがってたのは本当に気持ちが良いからってことか。
無効系を使われると本当におれは弱いなぁ。
「だからご主人❤」大きな手がおれの頭を包み込んで。「俺にいっぱいなでなでさせてくれ❤❤」
普段とは違って撫でる方を希望して、忠犬はおれをまさぐり始めた。頭から頬、そして背中まで、おれという存在を噛みしめるように。
「んへっ❤久しぶりのご主人だぁ❤あー幸せ❤ちんぽにぶち犯されるのが、こんなに幸せだったなんてなぁ❤んっほぉ❤ご主人に出会えた俺は果報者だぁ❤❤」
あいにくゴライザの短いマズルじゃおれとキスすることはできないけれど、その分うっとりと舌を出す相貌がとてもよく見えた。
どうやらイチャイチャセックスをご希望みたいだけど、おれの中で煮え立つ感情は早く解放させろとうるさいんだ。ピロートークまで急ぐから、許して。
「んー、俺ぁ別に、あっん❤ご主人とこうして触れ合ってるだけで幸せなんだけどよぉ❤おっおっ❤飼い主ちんぽつよぉ❤へへへぇ❤ご主人にこんなに想われて、俺は幸せなペットだぜ❤❤❤」
ヤードともそうだけど、最近スキルに頼らないセックスをすることが増えてきているおかげか、ゴライザを気持ちよくするのはそこまで難しくはない。そこだけは救いか。
もはや遠慮もなく、犬マンコの弱点を徹底的になぶる。
胸を揉む余裕も全部腰にまわして、必死に叩きつけた。
おれ程度の力じゃ本気で殴ったってびくともしない、まるで鉄塊みたいな体だ。腰を振るのに遠慮する必要なんてあるはずがない。
そしてスキルも抑えられてるんだ、こっちも全力を出さないと一緒に気持ちよくなれない。
「あおおぉ~~ん❤❤やっぱスキルなんてなくてもよぉ❤ご主人は最高なんだっ❤❤これからも、俺はっ❤ご主人専用のわんちゃんとして❤あっうぅん❤立派になってみせるぞおぉ❤❤」
指でやったときよりも急所を深くえぐり、前立腺をサンドバックにする。そうするとゴライザの中が締まりを強くして、柔肉が不規則に跳ねてしごいてくれる。
だから快楽が発生しておれの腰が引けそうになるけれど、負けじと突き出してはぜん動する内壁をかき分けて進ませる。
体全部でおれに抱き着くゴライザは耳をパタパタさせて鳴き、いたるところを撫でてくれる。それがまた興奮を生むから、おれはもう止まることができなかった。
「はあ……はあ……」
「激しっいぃ❤おマンコいいっ❤んあぁ、もっとくれぇ❤❤んぎもぢいいぃいぃぃ❤❤どうだご主人!❤俺がっ、ご主人のために鍛えた忠犬マンコっ❤たっぷり堪能じでぐれよおぉおぉ~❤❤❤」
「気持ちいいよっ、本当に……君はやればやるだけよくなってる気がする……!」
「そりゃ、よがっだ❤毎日おもちゃを咥えこんでた甲斐があるってもんだ……おっ、今ちんぽ震えたな❤へっへっへっ❤言うまでも、んあ、ねえことだけどよ❤中で出してくれよ❤俺がしっかり受け止めるからよぉ❤❤❤」
おれも当然そのつもりだったから、これ以上特に何も言うことなく快楽を貪っていこう。
犬の胴体は抱き着いても腕が回りきる気配がまったくなく、しかもザーメンで滑りやすくなっているため、つかんで腰を振るのが難しい。そのくせ筋肉の塊が快楽に何度もびくつくものだから、まるで荒波に乗っているような気分になる。
怒涛のようにおれへと快楽が押し寄せて、金玉が種付けすべきだと指示を出す。
だけど、それだとゴライザがいかないかもしれない。先ほどの手マンに劣るなんて、さすがになけなしのプライドが傷つく。
とは言っても、またヤードの時みたいに頼み込むしかなさそうだなぁ。なんてぼやけた頭の片隅で考えていると。
「なあご主人❤」
忠犬の声と共に、きゅうっとマンコ肉が締まった。
「俺はご主人の忠犬だぜ❤だから一言、一緒にいけって命じるだけでいいんだ❤❤そうすれば俺は何をしてでもご主人に合わせるからよ❤❤」
どうやらいかせようとしてるのがばれたみたいだ。まあ、ずっと様子をうかがってたし、勘のいいゴライザなら気付くか。
「気遣ってくれるのは嬉しいが、俺はご主人より強くなりてえ❤それはもちろん、セックスでもだ❤ご主人を守れて、リードもできる❤立派な忠犬を目指してんだ❤❤」
そうだった、こいつはおれなんかよりもずっとプライドが高いんだ。例え忠犬になったとしても、いや、忠犬になったからこそ、おれの手を煩わせることを好まない。
うーん、セックスは共同作業だし、こういうのもいいよね。
「じゃあゴライザ、一緒にいってくれる?」
「もちろん❤❤俺に任せてくれ❤ご主人はただ自分が気持ちよくなるためだけに腰を振ってていいぞ❤❤」
それならお言葉に甘えて、削岩を開始しよう。屈強な雄相手だからこそ許される力任せの行為は、なおもゴライザを満たしていくようだった。
二人にはさまれたカリ高でかちんぽがまた新しい汁を吐き出して、お腹を温めてくれるから間違いない。
忠犬であることを隠しつつも、ずっと練習してきた成果がマンコに現れているな。肛門の圧は強く、まるで噛みつかれているかのようだ。そのくせ内部はスライムみたいに柔らかいのだから、ちんぽも喜ぶというもの。
「ご主人❤そろそろかぁ❤俺ももうちょっとだ❤❤」
「こっちの限界を読んで……合わせてない……?」
「まさか❤ご主人からしたらっ、あぁ、俺はいつも通りかもしれねえけどよ❤さっきから、うぉん、心臓がうるさいくらい……興奮してんだぜ❤なにせ、久しぶりにご主人とできるんだからよっ❤❤」
普段あれだけ不機嫌面がデフォなくせして、忠犬になるとこんなにもストレートに伝えてくる。その落差がどうしても興奮材料になってしまう。
だからそれがとどめとなったのだろう。おれの限界はあっという間に擦り切れて、上り詰めて、本能が走り出す。
「おっおっおおぉおぉ❤❤ご主人のちんぽ❤いい感じに震えてきたなぁ❤❤❤」
「もう、出る……よ!」
「おう❤ビュービュー出してくれ❤マーキング❤マーキング❤んおおぉ❤たまんねええぇ❤❤❤」
種付けは本能に従って、できるだけ奥へと望む。逆らう必要も感じないので、ゴライザの尻を押し付けてぎりぎりまで深くを目指した。
それがちょうどいいところに当たったのか、ゴライザの嬌声が詰まったように打ち消える。快楽が脳の処理限界を振り切って注がれたらしく、言葉を放つ能力が機能しなかったようだ。
「かひゅっ……❤❤」
だけど次に瞬きをする間には、視線をまぶたの裏に隠した犬が高らかな遠吠えを上げていたのだった。
「あおおおぉ~~~~ん❤❤❤❤」
スキルの有無とは関係なしに、前立腺への刺激は男性共通だ。体内ではぜた快楽に頭をやられ、ゴライザはおれを抱く手を強める。だけど鍛え上げられた四肢につかまれながらも、おれの絶頂は止められない。
ゴライザのたくましい肉体に抱かれて、おれはいく。
尿道を我先にと精子が駆け上る快楽に脳内が白滅して、巨木のような暗灰色にしがみつく。毛皮から汗とザーメンが染みだすことも気にせず、おれはただ、気持ちのいいマンコに行う種付けに酔っていた。
「あおぉん❤ご主人のザーメンだぁああぁ❤❤❤はぁ、熱くってたまんねぇ❤❤おおぉおぉ❤❤マンコが喜んでっ、けいれん止まんねぇ❤❤」
「……っぐ、はぁ!」
「お゛っ❤お゛っ❤ご主人の孕ませ顔が、マンコにくるっ❤❤トリドスの言ってることが、今なら……ちょっとは理解できるなぁ❤あー、孕まされるううぅ❤❤あおーん❤❤」
ゴライザの言う通り、中出しによってマンコが絶頂間際のような挙動を示し始めていた。忠犬にとっては最大のご褒美をもらったことで、興奮が閾値を超えたのだろうか。
それにしても、マンコが執拗にまとわりついて搾り取ろうとするせいで、射精がなかなか終わってくれない。先ほどからゴライザの痴態によってため込んでいたのもあるけれど、やっぱり中が気持ちいいおかげだ。
「あぁ……気持ちいぃ……」
「はあはあ❤ご主人が俺のマンコで満足してくれてる……❤幸せすぎて、お゛おん❤俺もう駄目かもしれねえなぁ❤❤❤まっ、今更か❤❤あ、ああぁ❤いっちまう……❤❤」
中出しの喜びをトリガーに、ゴライザの柔肉が引き締まる。この忠犬は本当におれとタイミングを合わせてくれたのだ。
「ああ❤ああぁ❤ご主人~……❤❤」
ただ、勢いよく飛び出すような射精ではなく、だくだくと漏らすような射精だ。おれらの間で、また精液がべったりと広がっていく。
それでも忠犬のザーメンは多い。完全に雄としては終わっているような射精だが、本人はこれが望みだったのか、噛みしめるように恍惚とした表情でおれを見つめたままだった。
まるでおもらしのような射精。嬉ションと言われたら信じてしまいそうだ。ちんぽはまだまだ硬いのに、勢いなんて全くなかった。
「俺ぇ……ご主人の犬になれて幸せだぁ❤ご主人に会えなかったら、今頃……❤」
今頃どうなっていたのかは不明瞭だったから聞き取れなかったけど、きっと普通に出世して幸せだったんじゃないかな。その形を歪めたことに多少罪悪感はあるけれど、今も幸せそうだから許してくれると嬉しい。
「許すに決まってるだろぉ❤ご主人がいなかったら、俺はここまで幸せになれなかった❤❤」
「そんなことないと思うけどね。ゴライザって何でもできるし」
「んなことねえ。……んなことねえんだよ」
ものすごくしみじみとつぶやかれて、射精後の余韻を分かち合う抱擁を。プライドも自己評価も高いゴライザにしては珍しい態度だとは思うが、そこまで言われて悪い気はしなかった。
互いの体は汗と精でどろどろ。ゴライザなんてさらに腹肉が出ているせいで、胸や股間との密着面がえらいことになっている。賢者タイム中でぼーっとしながら隙間に手を入れてみたら、ザーメンで湿った感覚があった。毛皮洗うの大変そう。
もはや結合している必要もないから、おれはゴライザの腕の中。今度は胸の少し上、顎下に顔を置いているおかげで呼吸が苦しくなかった。
「ご主人~❤」
もはや汚れなどなんのそのと言わんばかりに、デカ犬がじゃれついてくる。
「気持ちよかったぞ❤❤ご主人とするセックスが世界で一番好きだ❤」
「おれもよかったよ」
「だけどごめんな❤ご主人といくって命令、あんまり守れなかった❤もっと強く出せると思ったんだが、中出しが嬉しすぎて脳みそが火照っちまったんだ❤❤」
「それでも合わせてくれて嬉しいよ。おれは満足した」
「くぅーん❤ありがとうなご主人❤だけど俺は納得いかねえから、次はしっかり躾けてくれよ❤さっき待てされてるときなんか、意識が飛ぶほど気持ちよかったんだぜ❤」
あれは意識が飛ぶというか、いっちゃってるって感じだったけどね。腰へこしながら勝手にいくかと思ったもん。それにしても、やはり自分に厳しい。こんなに自分に厳しいゴライザが駄犬になるのって、普通に考えたら相当レアなんだろうな。
おれの前だと日常茶飯事だけど。
「はぁぁ❤❤」
おれの背中にかかる、ゴライザの嬉しそうな吐息。しっかりと抱きしめる姿は、大事な宝物を取られまいとする意地が見えている。
久しぶりだったけど、今度からはもうちょっと頻度をあげよう。
こんなに喜んでもらえるとやっぱりおれも嬉しいしね。
シャワーに行きたいけれど、それはまた後で良いか。今はゴライザが好きなだけ堪能する時間だ。おれもこの肉布団にくるまってるみたいな体勢嫌いじゃないし。
「ご主人……」
演習で戦ってからの行為だから、結構疲れてそうだ。底なしの体力を持つと言っても、さすがに頑張りすぎだ。
「おれはここにいるよ」
「ん……」
にへらと緩んだ幸せそうな顔で、忠犬は鼻をひくつかせる。ものすごく珍しい表情、主やってるおれですらめったに見たことない、ゆるゆるの顔だ。
「もうちょっとだけ、このままでいいか?」
「いいよ。どうせ今日は泊まるからね」
「ありがとうな」
こうしておれらはだらだらと、互いを感じながらベッドでつながりあった。
べたつきや匂いなんて全然気にならないくらい満ちていて、おれは大きな体に包まれたままゴライザをたくさん撫でてあげた。
結局朝が来るまで、おれらは互いを離すことはなかった。
****
演習の効果は予想以上にすごかったみたい。
コハクが軍部を掌握してるおかげで、逆らおうという人がみるみる減ったらしい。
そりゃ、最強三人衆だけでも怖いのに、ここに来てトリドスが四席目に座ろうというんだから、勝てるヴィジョンなんて描けるわけがない。
こちらもその恩恵を受けており、白竜宮の人々がかなり丁寧になった気がする。
元から丁寧だったけど、何してるんだろうって目はあったから。やってることがやってることだけにしょうがないけれど、それがかなり緩和されている。
今日も今日とて隊員をはべらせてエロで特訓しているおれだけど、四天王の話はしっかり耳に入ってきていた。トリドスが言いふらしてるらしいけど、なんだってそんなことを……。
おかげで誰が強いだとかそういう話で王宮は持ちきりだ。男の子がいくつになってもそういうのが好きなのは、異世界でも変わりないみたい。
四席目かぁ。今回の演習でトリドスが近づいたのはわかるけど、他の候補って誰がいるんだろうね。
「他で言えば、そうだな……」そばに立つフォグが考え込んで。「やはり最近二つ名をもらったヤードか絶対防御を持つコハク王子が妥当なところか」
「いやいや」おれの横に寝そべっておっぱいを押し当てながらトリドスも続いて。「そういうフォグ君だって入っているだろうに。『強制テレポート』と『乳霧』の組み合わせはなかなかどうしてえげつないじゃないか」
その気になれば対象を『乳霧』の中にテレポートさせて完全無力化できるしね。単騎性能は結構いいんだよな。
「しかも霧に囲まれていれば相手のスキルを防ぐため私も手出しできない。それが私の今後の課題だよ。ジェル君やウィザロン君も結界を展開できるため、最強を目指すなら克服しなければならないわけだ」
おれは別に最強とかいらないけど、最近の不甲斐なさを考えるとさすがに対策は練ったほうがいい気がする。無効化持ちにとことん弱いせいで、おれの唯一といっていい特技が封殺されてるんだ。
無効化持ちなんてそんなほいほい居てたまるかと思うんだけど、実際多いんだよなぁ。
今上がったジェルやフォグもそうだし、ヤードだって粘液によってスキル威力の減算が入る。多分このまま成長すれば無効にされるだろうな。
ゴライザも自分のバフを考慮しないなら普通にできるし、コハクなんて論外。必殺が多いせいで、無効化は上位勢の基本、みたいな扱いになってる。
悩ましい話だ……おれもエロでスキルが成長したら楽なのになぁ。
「だから私が四席目の候補に挙げられたのは、単純に運がよかったというのもあるだろう。ご存じの通り、私はバフデバフが効かない相手ではめっぽう弱いんだ」
ゴライザと引き分けられたのは相性がよかったとトリドスは謙遜する。けど普通に考えて軍ひとつにバフとデバフ撒いて、敵将にはそれをまとめて付与できるってどう考えてもおかしいだろ。相性の問題なだけで、この牛も十分に一騎当万クラスだぞ。
「お前ならなんとかするだろ。こいつに強化される前からの二つ名持ちで『戦勝鬼』なんだからな」
そう考えるとやっぱ二つ名持ちってやばいわ。そこにおれの強化が入るもんだから、インフレが加速してく。トリドスなんか、ついに即死コンボを会得したしね。
こうなるとグランドとかファンダルとかも鍛えたくなるな。きっとやばくなりそう。
「ふふっ、褒めてもらえて嬉しいが、これでもロートルだからね。若い者に追い抜かれないようにするのに必死なだけだ」
デカぱいでおれをつぶしながら揉み上げると、この世の天国が訪れる。最近寄せてあげるブラを覚えたせいで軍服越しのおっぱいがましましになってて、色気と母性でリンドンが毎回興奮しすぎて死んでる。というか、鼻血だして倒れたから今日は帰らせた。
こうして考えてみると、うちの部隊はそれぞれ役割分担がしっかりしてるんだよな。得意不得意がはっきりしているというか。
トリドスはバッファーデバッファーだし。
モウダンはヒーラーか。
『華炎』はアタッカーで、フォグはどちらかと言うとタンクだ。あの乳霧は万能ではあるけど、強いて言えば防御性能の方が高いからね。
うーん、となると任務に行くときとかパーティを意識したほうが良さそうだなぁ。フォグらならそこらへんも考えてそうだから、今度参考になりそうな話を聞いてみようか。
「さて、それではしっかり特訓をしないとね❤最近たくさん揉まれているおかげか、おっぱいが大きくなった気がするんだ❤良ければ試してみるかい?❤❤」
黒牛のおっぱいの大きさは十分承知している。柔らかさがそこらの雄とは段違いで、本物のおっぱいみたいだと評判なんだ。そのくせ力むとバッキバキになるしね。雄と雌の色気を併せ持つせいで、股間への特攻力が高い。
「トリドス、こいつは今日ゴライザの所に行く予定だから、あんまり絞るなよ」
「わかっているとも。だから、あと一発だけな❤私が射精もさせずに雄を返しては、雌の名折れだろう?❤」
「そんなことないだろうが。……はあ、一発だけにしとけよ」
おれの射精権をおれ以外が決めないで!
あの演習の後、おれらの教育方針が認められたおかげで、ゴライザの部隊への出張特訓がお試しで組まれることになっていた。
リンドンの調査結果を調べる意味でも有用だったし、それに、軍の構造的におれらが影響力を強めるのはいいことだとフォグが言っていた。一応王家直属の親衛隊みたいなものだからね。かなりえらい軍だって。全然実感ないけど。
ちなみに、当のリンドンは本日欠席が確定している。トリドスのおっぱいに埋まったせいで。
なんていきさつを思い返しているうちに、霜降り巨乳がおれにのしかかってきた。手入れされて艶やかな毛皮に甘い特注の香水が合わさって、すぐ勃起した。しょうがないだろ。あまりにスケベなんだから。
「ふふふっ❤それなら最後は授乳手こきにしようか❤私が君のおちんぽをしっかり気持ちよくしてあげよう❤❤」
馬鹿でかい角に精悍な顔を持つ牛が、母性豊かな赤ら顔で笑いかけてくる。
差し出された乳首はでかく、普通のシャツならくっきり浮かび上がるほどの大きさだ。雄としてどうなのかという意見はあるだろうが、おしゃぶりにちょうどいい大きさまで鍛えたのだと、トリドスならあっけらかんと言うだろう。
しかもちゃんとミルクが出る。モウダンと似た系統だけどちょっと違っているそれは普通においしい。順調に得意を伸ばしているようで何よりだ。
水分補給もかねてしゃぶりつこうと思って口を開いたとき、同時に扉も開いた。
「ご主人、迎えに来たぞ」
山のような体躯の暗灰色の犬が低い声でうなる。いつものむすっとした不機嫌顔に、地を這うような低音ボイスは平常運転だ。
だけど、多分内心では、でれでれした顔でトリドスのおっぱいにしゃぶりつこうとしたおれを見て嫉妬してると思う。だって、眼光がいつもより少しだけ鋭いから。
「まさか君が直接迎えに来るとは思わなかった。もう少しだけ待ってくれるかい? こちらもいいところなんだ❤」
「時間厳守だ。こっちにはまだご主人のちょうきょ……特訓を待つ奴らが大勢いる。とっとと渡せ」
肩をすくめたトリドスから解放されたおれは、すぐさまゴライザに抱きかかえられてしまった。
それで不機嫌がちょっと緩和されたのか、眉間のしわがほぐれていく。
「リンドンは欠席すると報告をもらっている。代わりに誰か来る予定はあるか?」
「おれが行こう。念のためリンドンから効率的だと思われる行為をいくつか聞いておいた」
「そうか」
ぶっきらぼうに言い切ってゴライザが踵を返す。コミュニケーション取る気なんてさらさらないと言わんばかりの態度だが、これが『鉄塊拳』の普通なのだ。
後ろを付いてきたフォグと共に部屋を出て少しして、周囲に目を配った熊がため息交じりに話しかけてきた。
「お前なぁ……『忠犬』を隠したいのはわかるが、最低限の交流ぐらいはしてくれ。もう傭兵街にいたころみたいな独裁はできないんだぞ。愛想をよくしろとは言わんが、波風立てない努力はしろ」
「そのくらいわかっている。だが、この方が部下も付いてくるんでな」
「恐怖政治かよ……。ここじゃそのやり方はあまり通じないぞ。お前からも何とか言ってやってくれ」
急に話を振られたが、何を言えと言うんだ。
ゴライザが忠犬を隠したがっているのは知ってるし、あのでれでれした顔を傭兵街ここまでついてきてくれた部下に見せたくないのもわかる。
でもやっぱりフォグの言う通りだと思う。おれの世界でもパワハラは絶対だめだからね。
「……くぅーん」
小さく鳴かれると罪悪感出るけど、ゴライザのスペックは最高にいいんだから、きっといい妥協点が見つかるはずだよ。だからとっつきにくさで威厳を出すんじゃなくて、他のやり方を探そうよ。
「まあ、ご主人がそう言うなら……」
「この前の演習でお前のことを馬鹿にするやつはかなり減っただろ。強がる必要なんかないだろうに」
「別に強がってはいねえ。ご主人以外どうでもいいのは事実なんだからよ」
「そういうところだっつってんの!」
忠犬覚醒の時に立ち会っていたおかげで、フォグはゴライザの性格を大体理解している。そして真面目委員長だから、ゴライザの立ち振る舞いに関してもビシバシつっこめる貴重な存在となっていた。
おれが言えば意にそぐわなくとも従いそうだから、フォグみたいな人がいてくれて助かるよ。傭兵街で挙兵するときも手伝ってたみたいで、案外仲は悪くないしね。ゴライザにもそういう人が必要だとは思うから。
「ほらな」
そう言いながら、忠犬はおれの頬に口づけを落とす。
なにがほら、なんだろうかさっぱりわからないけど、ゴライザが得意満面なことはわかる。
「俺はご主人がいなけりゃここまで幸せになれなかった。少なくとも、こんな減らず口を叩く知り合いはできなかったな」
「減らず口言うな!」
おれ以外はどうでもいいし、フォグのことも知り合いと切って捨てる。でもこの関係性は友人と言ってもいい気がするんだよね。本人はあまり認めたがらないだろうけど。
確かに狂犬のままだったら友達とか絶対いなかっただろうなぁ。あの頃のゴライザって聞いた話、いつ爆発してもおかしくないほどとがってたみたいだから。今じゃ全く想像できねえ。
いつ聞いてもその頃の噂話って、全部嘘なんじゃないかって思うくらいだもん。
おれを抱きかかえるゴライザは、こんなにも柔らかい顔をしているというのに。
「満たされてるってのはそういうことだ。だから、これからも俺のそばにいてくれよ、ご主人」
「わかってるよ」
「へへっ、やったぜ」
たくましい腕の中で見上げたゴライザの顔が、嬉しそうにほころんだ。