「あら、ごきげんよう。」
教室には女生徒が一人。私に気が付くと、優し気な微笑みを向けてくる。
見覚えのない顔だがこの学校の制服を着ているし、こうして教室に居るということはうちの生徒なのだろう。
「……貴女の仕業なの?」
「えぇ、えぇ。その通りよ。なかなか面白い趣向でしょう?」
一体何が面白いというのか。
朝、目が覚めてすぐに身体の異変に気が付いた。混乱し、取り乱す私のスマホにメッセージが届いた。放課後この教室に来るように、と。
メッセージはそれだけで、その後は返信しても全く反応はなかった。普段ならこんな怪しげな呼び出しを受けることはない。けれどもタイミング的に異変に関わっているかも知れない、他に手掛かりがないといった状況から応じざるを得なかった。
「それで? 使ってみたのかしら。」
「使うって、なんのこと?」
何となく、予想は出来た。けれどもそれを『理解している』と思われるのも癪だった。
「あらあら。初心なねんねじゃあるまいし。カマトトぶらなくたっていいのよ。」
なんだろう。見た目は同年代の学生なのに、会話がかみ合ってないような不気味さ抜けない。
「まあいいわ。それよりも実際に身体を観たいわ。アナタの裸を見せてちょうだい。」
「なっ……」
そりゃあ最終的にはそうなることも覚悟はしていた。けれどもいきなり言われるとは思わなかった。
「あら、お嫌? それでもいいのだけれど、だったらわざわざ時間を取ってあげる意味はないわね。これで帰らせてもらうけれど、それでもよいかしら。」
「ま、待って。」
手がかりである彼女を逃げしてしまったらずっとこのままなんてことも有りえる。
「だったら脱いでもらえる? 先生たちが巡回に来ても面倒だから出来るだけ早くね。」
「……分かった。」
まずは上着に手をかける。異変のせいで朝から腰を曲げることが出来なくなってしまっている。周囲には筋肉痛だとして誤魔化したけれど、一日中ずっとぎこちない動きだったはずだ。上半身は起こしたまま、上着を脱いで机へと乗せる。
「すっごい寸胴ねぇ。色気の欠片もないじゃない。」
「それはっ……」
昨日までなら腰にはしっかりとしたくびれがあった。こんな体型になったのは今朝からだ。つまり自分でこんな姿にしておいて、まるで私のせいであるかのように馬鹿にしてるのだ。
身体の異変はそれだけじゃない。ヘソもなくなっているし、代わりと言っていいのか身体の中心には上下に伸びるミミズ腫れの様な跡が出来ていた。
「当然下着も脱ぐのよ。」
「くっ。」
悔しいけれど、断ることは出来ない。曲げられない身体に苦労しながらもなんとかブラジャーを外す。大きさと形の良さで密かに自信を持っていた胸が変わり果てた姿で露わになる。耐え切れず両腕で抱え込むようにして隠してしまう。
「ほら、手も離して。折角の身体が観えないじゃない。」
「うぅ……」
けれども当然許してもらえるはずもない。手を離すと、胸のふくらみは本来あるべき場所から一気に滑り落ちる。詰め物をしていたって訳じゃない。その証拠に胸自体は私の身体と繋がっている。
ただ、胸の位置が随分と下がってしまったってだけだ。年を取って垂れた胸、ともちょっと違う。きちんとした丸みを帯びた膨らみはしっかりと残っている。ただその位置が低く、お腹の前あたりになってしまっているってだけだ。加えて胸の膨らみは中信がボールの様に硬くななっていて巨大なしこりが出来ているかのようだ。しこりの周囲はずっと軟らかくなっていて、重みのせいで胸の先端は下がってしまっている。さらに言えば乳首も見当たらなくなってしまっていた。
ブラジャーをつければ無理やり元の位置でキープできるから友達にもばれては居ない、はずだ。けれどもブラジャーを外してしまえばこれだ。
「手が止まってるわよ。まだスカートが残っているじゃない。」
「分かってる。」
胸と同じように大きく変わってしまったのがスカートの下だ。脱げば不自然なほどピンクに染まった下腹部が現れる。後ろ側に膨らみがあるのはこれまで通りと言えるかもしれないけれど、腰とお尻の境目にははっきりとした段差が出来てしまっている。
言われる前にショーツを下ろす。本来存在している女の子の部分とお尻の穴、これまで個別に存在していた3つの穴は、細長い一本の切れ目の中に隠れてしまっていた。何度かおしっこを出した時に、切れ目から流れ出す確認できた。けれどそれ以外の穴は確認する気にもなれなかった。
「こうしてみると……本当に無様な姿ね。」
「ひどい。貴方のせいなんでしょう?」
「それは否定しないわ。ところで、この身体を観て気づくことはなかったのかしら。」
気づくこと?
「なぁんだ。本当に初心なねんねだったのね。これを観たら思うところもあるんじゃないかしら。」
投げられたのは1枚の写真だった。ちょうどうまい具合に、目の前の机の上に着地する。
「なっ……」
写っていたのは裸の男性だった。顔は見切れているけれど、中心に収められた男性のモノは知識から想像していたよりもずっと巨大で、存在感を持ってそそり立っていた。普段だったら目を逸らしてしまうような写真。けれどもそれを見て、確信出来てしまった。
男性の股間でそそり立つモノ、男性器。その形状が、とてもよく似ているのだ。今の、私の身体に。
ピンクに染まった先端は下腹部、くびれのない本体は胴体、そして根元にぶら下がる塊は胸のようだった。男性器から頭と手足が生えている、それが今の私だった
「どう? 理解できたかしら。」
「理解って……」
私の身体が男性の性器に似ている、そんなの思ったって口に出来るはずがない。
「思ったよりも鈍いのね。これを見ても分からなかったかしら。それとも誤魔化しているだけ? あなたの身体はね、おちんちんになっているのよ。」
「ッ……」
そうなのかも、とは思ったけれどはっきりと言葉にされるとやっぱりショックは大きい。
「で、でもそんなこと、出来るはずが……」
「筈があろうがなかろうが、実際に起きていることでしょう?」
そう言われると否定することは出来なくなってしまう。
「第一、自分に起きていることを知りたかったんじゃなかったのかしら。否定していたら何も分からないわよ。」
「そうかも、知れないけれど……」
そもそも私が知りたいのはどうやったらこの身体が元に戻るのか、だ。今どうなってるかなんて正直言ってしまえばどうだっていい。だからと言って正面から否定して機嫌を損ねることも出来ず曖昧に受け取るしか出来ない。
「なら、さっそく使ってみましょうか。」
「え、使うって……ひゃっ!?」
瞬きの瞬間に彼女の姿が消えたかと思うと、胴体を両側から掴まれていた。これまでなら脇腹と呼んでいた部分で、これまでならくすぐったさを感じるのが普通だった。けれども脳に送り込まれてきたのはそれとは違う刺激……快感だった。
「ほうら、遠慮しないで悦んでいいのよ。」
「ま、待って……」
彼女の両手が大きく上下にスライドする。振りほどこうとしているのにどうにも力が入りづらい。
「ついでに説明をしておいてあげる。貴女の身体がおちんちんになっていると言ったけれど、同時に本来の身体としての機能も持ち合わせているのよ。もっともレントゲンを撮っても内臓は映らないけれどね。概念として存在していることになっているの。」
「がい、ねん?」
「理屈は覚えなくても大丈夫よ。要は普通に食事の消化も排泄もこれまで通り出来るってこと。妊娠だって問題なく出来るわ。」
妊娠って……
「さ、それじゃあ一回射精してみましょうか。そろそろ我慢も限界でしょう?」
「んんっ……」
股間からおしっこではない液体が滴っているのが感じられる。これが射精?
でも考えてみれば朝からずっと続いていたような気もする。汗かとも思っていたけれど身体を弄られるだけで量が増えるなら少なくとも汗じゃなかったってことだ。
「あっ……んひっ!?」
垂れ下がっていた胸が引きつるような感覚とともに、勝手に持ち上がってくる。
同時に身体の中心を熱い塊が下っていくような感覚。
「あっ……」
股間から、さっきまでとは比べ物にならないほどの勢いで白い液体が噴き出し床を汚していく。
「どう? 気持ちいいでしょう? これが射精。あぁ、これで妊娠したりはしないから心配しなくってもいいわよ。掬い上げて、改めて貴女の中に流し込めば分からないけれどね。」