ん……眩しい。
もう朝?
でも、なんか変。
窓からの光じゃない。真上から当たってるような……電気、消し忘れて寝ちゃったんだっけ?
「う、眩しっ……」
なにこれ。
目を開けたら飛び込んできたのは丸くて大きな照明。1m以上はありそうだ。私の部屋じゃないってこと? でもこれ、なんだかどこかで見たことがあるような……
「え、あれ?」
身体が起こせない? それに足も動かせないし……ひょっとしてベッドに縛り付けられているの?
自由に動かせる首を使って周りを見れば薄緑の壁。
そうだ、分かった。ドラマとかで見た手術室に似ているんだ。天井のライトも手術室で見た……そうそう。無影灯ってのに似ているんだと思う。
でもなんで?
部屋で寝てたと思ったけど、知らない間に病院に運び込まれたとか?
「お目覚めになりましたかぁ。」
「え……誰?」
いつの間に部屋に入ってきたのか、白衣の女性が立っていた。
あれ? でも手術をする人って白衣じゃないはずだよね? それにこの人、白衣の下はスーツみたい。
「うふふふふ。雰囲気を出すためにこんな格好をしてみましたがぁ、私はお医者様じゃあありませんからねぇ。」
「は、はあ。」
医者じゃない? いや確かに恰好からしても医者っぽくは見えないけど……
じゃあここも病院じゃないってこと? 意味が分からない。
「さて。それじゃあ本題に入りましょうかぁ。実はですねぇ。アナタにプレゼントをすることになりましてぇ、それでこちらにお越しいただいたんですよぉ。」
「プレゼント?」
それでなんでベッドに縛り付けられているのか画理解できないんだけど。
「はい、プレゼントというのはこちらですねぇ。」
「え、何? これ。」
テーブルに置かれているのは半透明な巨大なボール。それが4つも並べられているせいで今にもテーブルから落ちそうになっている。
よく見ればボールの中にも小さなボールが1つずつ入っているのが見える。
「これはですねぇ。インプラント用のボールなんですよぉ。」
「インプラント?」
ってなんだっけ。
「聞いたことありませんかぁ? 例えばぁ、豊胸のインプラントみたいな言い方をされていますねぇ。」
「ホウキョウ……」
って、まさか豊胸? 手術でシリコンとかを入れて胸を大きくするって話を聞くことがあるけれどまさかそのこと?
「分かったみたいですねぇ。おそらくはご造像の通りですよぉ。これはぁ、身体の中に埋め込んで編かさせるためのボールなんですねぇ。」
「埋め込むって、いくら何でもこんな……、」
胸に入れるとしたら大きすぎる。こんな巨大な胸をした人なんて見たことがない。
「えぇ、えぇ。一つで4000ccありますからねぇ。最近ネットでちょっと話題になったんですがぁ、ご存じありませんかぁ?」
「そんなの、知ってるわけないじゃない。」
一体誰がそんなのを話題にしてたのか。
「あの……まさかだけど、それを私に埋め込もうとしてるなんてことは……」
「その通りですよぉ?」
何をバカなことを、とでも言わんばかりの口調で言われてしまう。いやいや、いくら何でもあんなの無理だ。仮に埋め込んめたとしたって皮膚が伸びきって裂けてしまいそう。
「そんなに心配しなくっても大丈夫ですよぉ。ほらぁ、早速始めましょうかぁ。」
「は? 裸!?」
身体にかかっていた毛布がのけられるとその下にあったのは一糸纏わぬ裸の姿だった。腕と胴体、そして足を固定するバンドだけがかろうじて身体の一部を隠してくれている。
「そりゃあそうですよぉ。服を着てたらインプラント処置が出来ないじゃないですかぁ。」
ってことは。まさか今から手術をされるの? この人、医者でもないのに?
「うふふふふ。そんな怯えないで下さいねぇ。痛くはしませんからぁ。」
手に取ったボールが私の胸の上に置かれる。当然だけれど私の胸なんかよりも何倍も大きな巨大な塊だ。
「はい、いきますよぉ。」
上からボールを押さえつけられる。一体何を……
「……え?」
スポン、とでも音がしそうな勢いでボールが胸の中に入り込んでいった?
「いや、いやいや……なんで!?」
どう考えたって押し付けただけでボールが身体の中に入り込むなんてありえない。けど、目に映っているのは巨大に膨らんだ肌色の塊。半透明だったボールは肌に包まれてしまって直接見ることが出来なくなっている。
片方の胸だけが巨大に膨らんでしまったかのような、バランスの悪いめちゃくちゃな見た目になってしまった。
「ふふっ。ちゃあんと身体の中に入り込んでいますからねぇ。」
「ひっ!?」
女性が塊の表面を撫でる。ありえないことに、胸を撫でられる感覚が脳に送り込まれてくる。
「これで終わりじゃあありませんよぉ。」
「うそ……」
次のボールが手に取られ、逆の胸の胸に乗せられる。
「や、やめ……ひゃうっ!?」
さっきと同じように、もう片方の胸にもボールが入り込んでしまった。
左右のバランスは良くなったものの、人の身体として考えるなら胸ばっかりが大きくてとんでもなくバランスの崩れた身体としか思えない。
「もちろんこれで終わりじゃありませんよぉ。ほぉら。まだ2つも残っているじゃぁありませんかぁ。」
「え……」
2つって、それも私に埋め込むつもりなの? でもどこに? まさか、胸を4つにするとか!?
「このままでは難しいのでぇ、ちょおっと回ってくださいねぇ。」
「え? ええっ!?」
縛られたままだったのにいきなり身体が回転してうつぶせになっていた。というか、巨大な胸のせいで上半身を思い切り反らした体勢になって……って、あれ? 胸、ほとんど潰れてない? 上半身の体重がかかっているはずなのにほとんど球体のままから変わってない。
「残りはぁ、こっちですよぉ。」
「え、そこって……」
次のボールが押し当てられたのはお尻の穴付近だ。まさか、これお尻の穴に押し込むつもり!? 普通に考えれば入るわけないんだけど、胸の例もあるし……
「はい、行きますよぉ。」
「い、いや……んんっ!?」
一瞬お尻の穴が開いたような気がした。けど次の瞬間に違和感があったのはその隣、お尻の肉の方だった。元々丸みを帯びていたお尻の片方が馬鹿みたいに巨大になってしまっている。
「もう片方も入れましょうねぇ。」
「や、やめ……」
やめて欲しい。でもこのままだと片方だけお尻が大きくなってしまってバランスが悪いし……
「ひんっ!?」
やっぱり一瞬お尻が広がる感覚があって、逆のお尻も大きく膨らんでしまっていた。
「はい、これでインプラント処置は終了ですよぉ。一つで4000cc、合計16000ccのボールがインプラントされたわけですねぇ。水でしたら16㎏の体重増加になるんですがぁ、基本的に中身は空気ですからから大した重さではないはずですよぉ。」
身体をベッドに固定していたバンドが外される。自由になったおかげで腰を浮かせることが出来て身体を反らせる必要はなくなった。けど……
「何、この胸……」
自由になった手で胸を触ってみる。表面は柔らかな肉で覆われているものの、すぐ下に硬い塊が存在しているのがはっきりとわかる。いくら押してもそれ以上指が沈み込むことはなかった。
「何しろインプラントが入っているんですからねぇ。基本的に揺れることもありませんからぁ、運動の時もそこまで邪魔になることはありませんよぉ。」
この大きさの時点ですでに邪魔だし、揺れないってことはそっちの方が不自然なわけだし、私が自分で望んでこんな風に胸を大きくしたと思われるかもしれないってことじゃ……
「あとぉ、もう一つ気を付けてほしいことがあるんですねぇ。」
「気を付ける?」
身体を起こして女性に向きなおろうとした瞬間、ガランと大きな音がした。それも身体のあちこちから。
「分かりましたかぁ? インプラントの中にも小さなボールが入っていましたよねぇ。身体の動きに合わせてボールが動いてこうして音が鳴るんですよぉ。」
「は?」
それって、私が動くだけで音が鳴るってこと? 身体の中に埋まっているんじゃ止めようもないじゃない。
「それを止めるための方法が一つありましてぇ、おっぱいやお尻を思い切り振り回していただければ結構ですよぉ。」
「振り回すって、どういうこと?」
「はい。中途半端な動きですと中のボールが動いて音を鳴らすんですがぁ、勢いよく揺らすことで小さなボールがインプラントの内側に張り付いてくれるんですねぇ。
張り付くから動かなくなる、ってこと?
「もっとも一定時間ではがれてしまいますからぁ、音が鳴りだすたびにおっぱいやお尻を振り回していただく必要がありますがねぇ。」
何それ……
「さてさて。処置も済みましたしお帰り頂きましょうかぁ。」
「お帰りって、ここはどこ……」
あれ? めまい……が……
「え。」
ここ、このベッドって、私の部屋? じゃあ今のって夢だったの? だったら胸やお尻は……
「い、いやぁぁぁぁぁぁぁっっ!?」