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「南の方の街でも起きたらしいぞ?」
「おっかねぇ話だぜ。」
スタスタスタ……
「ん?おお、配達かロシェク?」
「ええ、南の街まで。」
「気ぃ付けろ?最近よく聞くアレ、そっちでも起きたんだってよ。」
「ああ、例のですか。」
配達の仕事に出る前、道で話していた顔見知りの人に話しかけられる。内容は最近よく話題に上がる行方不明事件についてだった。どうやら被害者は全てが僕と同じくらいの年齢の男の子らしく、働き始めたばかりの僕を心配してくれているのだろう。
「まぁでも僕なら大丈夫じゃないですか?あんまり男の子っぽくないですし。」
「うははっ!ちげぇねぇなっ!」
「コイツのは冗談だが気をつけろよ?噂じゃ悪魔に連れ去られたなんてことも聞くしよ。」
「ご心配ありがとうございます。では僕はこのへんで。」
自虐を交えながらそそくさとその場を後にする。昔から女の子のようだと言われ続けてきた僕は、こうして働くようになっても同じであった。今ではある程度向き合えてはいるが、それでも男らしくありたいという思いは変わらず、常に落ち着いた頼れる人物を目指しているのだ。
「ふぅ、今日は遠いから急がないと……」
タッタッタッタッ……
スッ……
「っ!?」
ドンッ!
ドサッ!!
「ぅわっ゛……」
「すまない、大丈夫かな?」
「ぃ、いぇっ、こちらこそ……っっ……」
小走りしながら道の角を曲がった瞬間、何かとぶつかり尻もちをつく。こちらを気遣う声に、慌てて顔を上げて謝罪しようとする僕だが、その声の主を見た瞬間言葉を失ってしまう。
「おや?どこか痛むのかい?」
「……はっ!だ、大丈夫ですっ……」
「そうか、ほら手を。」
「ありがとう、ございます。」
グイッ
それはこの辺りでは見たことない人物で、銀髪ショートカットの目を見張る程の美人であった。パンツルックだったため、一瞬男性か女性かわからなくなるが、膨らんだ胸元で女性だと判明する。手を引かれ立ち上がった僕は、男装の麗人ともとれる人物に恥ずかしい所を見られたと、慌ててその場を去るのだった。
「し、失礼しましたっ……」
タッタッタッタッ……
「…………彼にしよう♡」
そのため彼女が小さく呟いた言葉など、聞き取れる筈がないのであった。
◆◆◆
「マズイっ……マズイマズイっ……!!」
ダダダッ!ダダダッ!ダダダッ!
「フシューーッ!!フシュゥゥ゛ーーッ!!」
時刻は夕暮れ、ほとんど日が落ちかけている中、僕は獣の群れに追いかけられていた。どこかで安全なルートから外れてしまったのか道はかなり荒れており、あまり人が通った形跡はない。それはつまり、誰かが助けに来る可能性も低いということで、僕は必死に馬を走らせる。
ぐらぐらっ……ぐらぁっ!!
「ぇ……」
どしゃぁぁっ!!
「ぐぁッ゛……!ま、まってっ゛……」
「フシュルルゥ゛……!!フシュゥゥ゛……!!」
「ぁ……ぁぁぁ゛……」
しかし荒れた道で走らせられる程、馬を操る技術の無い僕はバランスを崩し放り出されてしまう。そのまま走り去る馬を目で追いかけるのも束の間、興奮した鼻息に後ろを振り向くと、飢えた目をした獣達が僕を見つめていた。
「ゃだ……こないでっ゛……死にたく゛……」
「「「ァ゛ァウ゛ッッ!!!」」」
「ひっ゛……!」
ゥ゛インッッ゛!!
ボトボトボトッ……
「…………へ?」
獣相手に命乞いなど意味もなく、飛び掛かかられる僕。しかしその瞬間、空気を引き裂くような音が聞こえると、獣達の首がボトボトとその場に落ちる。
スタスタスタ……
「フフッ……大丈夫かい?ロシェク。」
「あ、あなたは、今朝の……どうして……」
「いやなに、街の人に君が南の方に向かうと言っていてね。心配だからついてきただけさ。ほら手を。」
グイッ
「あ、ありがとうございます……」
獣の死骸に気を取られていると、どこからともなくある人物が現れる。それは今朝街でぶつかったあの女性だった。手を引かれ起き上がる僕は彼女と向き合うと、朝は慌てていて気付かなかった頭一つ分以上離れた背の高さに気づく。
「…………ふむ、どうやら大きい怪我は無いようだね。それなら……」
ぽわぁ……
「これでいいだろう。」
「き、傷が治ってる?」
「そうそう、付け加えると君とぶつかった後、街の人に色々と聞いてね。君の名前、生い立ち、性格、様々聞かせてもらった結果、いつ狙われてもおかしくないだろうと思ったからこうして今ここにいるわけさ。」
「ね、狙われ?ってそれでどうして僕に追いついて……」
女性の指先が淡く光ると、落下した時の擦り傷がみるみる内に消えていく。不思議に思う中、彼女の発言に違和感を覚える。馬に乗っていた僕に恐らく大幅な遅れを持ってスタートした彼女が、その身一つで僕に追いつき、凶暴な獣達を一瞬で葬ってしまう。そんなことが人間に出来るのか、感謝しないといけない筈の僕は警戒心を抱いてしまう。
「あ、あなたは一体……」
「ああ、そういえば言っていなかったね。」
スゥゥゥ……
バサァッ……
「ぇ?」
「ワタシは悪魔と呼ばれる存在でね、人間の君とは少しばかり違うのさ。」
「あ、あくっ……!?」
ジリッ……
「おっと、そう警戒しないでも大丈夫。別に君の命を奪うつもりなんてこれっぽっちもないし、何か契約を持ちかけたりするわけでもない。」
「で、でもっ……」
僕の質問に彼女は言葉を濁すことなく答える。背中からはこれまで見えなかった翼と尻尾が覗いており、僕は最大限の警戒をしながら後ずさりをする。
「それよりも今はここを移動する方が先だ。また獣がやってくるかもしれないしね。だからほら。」
ブゥゥン……
「安全な場所へ行こうじゃないか。」
「な、なにこれ……」
「これに入れば何物にも邪魔されずにすぐ移動することができる。さぁ、おいで。」
突然何もなかった空間が、黒く渦巻きながら歪み始める。明らかに危険な香りを放つそれに、僕は今すぐにでも逃げ出したい気持ちに駆られる。
「い、いやっ、その、僕は一人で大丈夫なのでっ……」
ガサガサガサッ!!
「ひっ……!……ご、ごほんっ……」
「ふむ……これは困ってしまったね。」
「あなたには助けて頂いて感謝していますが、その、ほんとに大丈夫なので……」
スッ……
「ぇ……?」
今実際に襲ってきた獣達より、得体のしれない彼女の方が危険だと僕の中で警鐘が鳴り続けており、何とか穏便に女性から離れようとする。そうしていると、女性は屈んで僕と目線の高さを合わせてまっすぐ覗き込んでくるのだった。
じーーーー…………
「ワタシと来てはくれないかい?」
「っっ……!?」
ぞくっ……
「ぇ……ぁ……?」
『か、顔近ぁ……っていうか綺麗すぎて……ぁ、ぁぇ……?』
キュンッ……♡
「なぁ、ロシェク……♡」
「っっ゛……!?♡♡」
キュンッ♡♡キュンッ♡♡
改めてその美しすぎる顔に正面から見据えられ言葉を失う。先程は気付かなかった淡い水色に艶めく唇が動き、名前を呼ばれた瞬間、心臓の鼓動が一気に高鳴り今何をすべきだったかを忘れてしまう。
ぽわぁ……♡♡
「はわ……♡」
『目が光って……♡♡き、きれいぃ……♡♡』
キュンキュンッ♡♡
「さぁロシェク♡着いてきてくれるかい?♡」
「は、はい……♡♡あなたについていきます……♡♡」
「フフッ♡あなた、ではなくルインだ♡わかったね?♡」
「ぁ……♡る、ルインさん……♡♡」
こうして妖しく光るルインさんの目に見つめられ、何が何だかわからなくなった僕は、ただ彼女の言う通り黒く渦巻く空間に誘われるのだった。
◆◆◆
ブゥゥンッ……
「到着だ。」
「こ、ここは……?」
「ここはワタシの住む国さ。さぁこっちだ、ワタシの家に招待しよう。」
「ぁ、は、はいっ。」
長いのか短いのか不思議な感覚を味わった後、僕の目の前には見たことの無い景色が広がっていた。しかし周りの確認をする暇もなくルインさんが歩き出し、僕は慌てて後を追いかける。
スタスタスタ……
「あ、あのルインさん……」
「何かな?」
「国ってことはその、ここはやっぱり……」
「ん?ああ、君の想像通りここにはワタシ以外にも多くの悪魔がいる。ただ安心してくれていい、間違っても君が危害を加えられることは無い。ワタシが守るからね。」
「ぁ……そ、そうですか……♡♡」
キュンッ……♡♡
「この通りを抜ければ大広場だ。君が気にしている者達も見ることができるだろう。」
歩きながら不安な気持ちを隠せない僕だったが、ルインさんの凛々しい発言にときめいてしまう。そんな状態のまま、大広場へと続く通りを抜けたその時だった。
「……へ?」
ばちゅんっ♡♡ばちゅんっ♡♡♡
どちゅっ♡♡どちゅっ♡♡どちゅっ♡♡♡
「ォ゛ッ♡♡ぉぁ゛っ♡♡」
「イぐっ♡♡イぎまひゅぅ゛ッ♡♡♡」
「あははっ♡またイった♡♡」
「ほらほら♡もっとおっきなアクメ声出さないと他の子に負けちゃうよ?♡♡」
「な、なに、これ……?っっ゛……♡何だこの匂いっ゛……♡」
そこにはルインさんと同じように翼の生えた女性と、僕と同じくらいの年齢であろう男の子達が数多くいた。それだけならいいのだが、問題はその格好としていることで、ほとんどが布面積の少なすぎる服を着ており、中にはほぼ裸の者もいた。そしてその全員が体を重ね合わせていたのだった。辺りにはむせかえるような匂いが漂っており、僕は自分でもわからない感覚に襲われる。
「あそこにいる女性達が他の悪魔、このサキュバスの国の民だ。」
「さ、さきゅっ゛……!?」
「そしてそこで交わっている男の子達、彼らは君と同じ人間。最近流行っているようでね、多くのサキュバスが若い男の子を攫って自身のペットにしているんだ。あまりいい趣味とは言えないだろう?」
「さらって……っっ゛!ま、まさかっ゛……」
ルインさんの言葉に驚愕しながら気づいてしまう。これが話題の行方不明事件の真相なのだと。しかし彼女はどこか他人事で、まるで自分が今していることは関係ないのだと言いたげだった。
「ああ、ワタシは彼女達とは違うから安心するといい。それに君も理解しているだろう?ワタシは何か乱暴なことをした訳でもなく、君の意思でここに来たのだから。なぁロシェク……?♡」
「っっ……!」
ゾクッ……!!
「ち、ちがっ、僕はそういうつもりじゃっ゛……」
「フフッ……♡♡」
スッ……
「ぁ、や、やめっ゛……♡♡」
「…………♡♡」
じーーー…………♡♡
『ま、またっ゛……♡♡ルインさんに見つめられるとあたま゛……♡♡だ、だめっ゛、かっこよすぎるぅ゛……♡♡♡』
キュンッ♡♡キュンッ♡♡♡
僕が望んでここへ来たと言わんばかりの発言に、否定しようとするが再び顔が触れ合う程の距離で見つめられ、何も考えられなくなっていく。頭の中はルインさんのことで一杯であり、彼女を否定する気持ちがどんどん薄れていってしまう。
「さぁ♡ワタシのお家へおいで♡ロシェク♡♡」
ニコッ……♡♡
「っっ゛!?♡♡♡」
キュンキュンキュンッ♡♡♡
「は、はひ……♡♡いきましゅぅ……♡♡」
そしてまたしてもルインさんの言いなりになった僕は、彼女の住む家へと連れていかれるのだった。
◆◆◆
「フフッ♡よく来てくれたね♡さぁそこに座ってくれたまえ♡♡」
「…………」
ぽすっ……
「まぁまぁそう警戒しないでくれ♡隣、失礼するよ♡」
すっ……♡♡
「っっ……」
ルインさんの家に入った僕は正気を取り戻し、改めて警戒心を強める。何の皮かわからないソファにおずおずと座り込むと、すぐ隣に彼女が腰を下ろす。僕は身を固くして何をされるのかと緊張する。
「ふむ……随分と嫌われてしまったようだ♡」
「……る、ルインさんは僕に何をするつもり、ですか……?」
「フッ♡言っただろう?ワタシは君のことが心配で後を追っていただけだと♡何かをしようというつもりも、無理に契約を迫るつもりもない♡♡そうだね、しいて言うなら君を守るためだろうか♡♡」
「ま、守る……?」
「ああ♡さっき見ただろう?広場で起こっていたことを♡」
「広場の……っっ……♡♡」
先程広場で見た光景を思い出す。サキュバス達にされるがままの、あられもない恰好をした男の子達。その声、漂う匂い、生々しいそれらが蘇ってくる。
「あそこにいた彼女達や既にその相手を見つけている者は別として、それ以外のサキュバス達は日夜獲物となる男の子を探していてね♡♡君のような可憐な子はいつ攫われてもおかしくない、だからこうして君を保護したというわけさ♡♡」
「え、獲物って……じゃあルインさんは違うってことですか……?」
「勿論だとも♡もし不幸にもワタシ以外のサキュバスに見つかっていたら君はさぞ恐ろしい目に遭っていただろうね♡♡そう、例えば……♡♡」
警戒を緩めることはなくも、もしかしたらと希望を抱きながらルインさんに質問する。すると彼女は、もし別のサキュバスに出会っていたらという仮定の話を始めるのだった。
「まずサキュバスは好みの相手を見つけると、言葉巧みに自身の巣に誘い込む♡まぁ時には半ば無理矢理だったり、魅了の魔術を使ったりすることもあるがね♡」
「魅了……」
「そして巣に連れ込まれた獲物はサキュバスに捕まったのだと気づくがもう遅い♡そもそもが人間は魔物に勝てるわけがないのに、その上巣に誘い込まれてしまったのだから♡♡獲物は恐怖で言うだろうね、助けて、家に帰して、と♡」
「……」
「だが残念ながらそれは無理な話だ♡サキュバスは本能に従う悪魔♡捕まえた、それに自分の好みの獲物を逃がす筈がない♡♡そしてそのために獲物の体を改造することもいとわない♡♡」
「か、改造っ……!?」
ビクッ……
「ああ♡我々はサキュバス♡最も得意とすること、それは……♡♡」
「快楽による支配♡♡」
「っっ……♡♡」
ぞくぞくっ……♡♡
不意にルインさんの声が近くなる。耳元で囁かれたその声に背筋が甘く震えてしまう。さらにいつの間にか密着するぐらい彼女との距離が縮まっていることに気づく。
「快楽で頭が一杯になるように、そしてより自分好みの反応をするように♡♡例えばある者は獲物の乳首を手の指よりも大きく肥大化させ、服が掠めるだけで絶頂に至るように改造し……♡♡」
「……♡」
「またある者は本来無い筈の性器を作り上げ、オスという性でありながら子を孕める体に改造したそうだ♡♡勿論、味わう快楽は通常の何倍にも増幅させてね♡♡そうなってしまえば人間というのは脆いモノだ♡陵辱の限りを尽くされ、終わらない快楽を与え続けられた結果その身に待つのは……♡♡サキュバスの愛玩ペット♡♡」
「ひっ……♡♡」
ぞくぞくぞくっ♡♡
「ペットと言えば聞こえは可愛らしいが、とどのつまりは眷属にされるということ♡自由など無く、主の気の向くままに愛され、淫蕩の沼へと共に沈んでいくだけの存在♡♡当然人間では壊れてしまうような快楽も眷属ならば耐えられる、いや、耐えさせられてしまう♡♡そんな恐ろしい日々を過ごし続けるのさ♡♡」
「ペット……眷属……♡♡」
ふる……♡♡ふる……♡♡
「……おや?♡ロシェク、まさか君……♡♡」
「そうなってしまうのも悪くない♡なんて考えてはいないかな……?♡♡」
「っっ゛……♡♡」
ビクゥッ!?♡♡
まるで自分が体験してきたかのように、その光景を鮮明に想像してしまう。サキュバスという淫欲の権化に一生囚われ、付き従う眷属にされている自分を。勿論その主は隣に座るルインさんで、彼女ならそれも悪くないなどという歪んだ考えが頭に浮かんでしまう。そして悪魔である彼女はそんな僕の隙を見逃さない。
「いぇ゛っ……そんなことないですっ゛……♡♡」
「フフッ♡そうかい?♡確かにいくら眷属といえど元は人間♡あまりにやり過ぎれば苦痛や重大な障害、最悪その命が散ってしまうこともあるだろう♡♡」
「や、やっぱり、そうですよね……♡うん……危険、危険だ……」
「まぁワタシならばそんなことは万に一つもありえないがね♡♡」
「ぇ……?」
「こう見えてワタシは一途で誠実だと自負していてね♡眷属一人だけに愛を注ぎたいと考えているんだ♡だから私は眷属に苦痛なんて与えないし、命の危機などもってのほか♡♡純粋な快楽だけを与え心地よい淫蕩の日々を、その生が尽きるまで送らせる♡♡ああ、ちなみに眷属になった時点でその命は主と共有、つまりその快楽はワタシが生きている限り終わることは無いということ♡♡なに、心配することは無い♡それを苦痛に感じることは無いし、もし眷属が少しでも拒否すればすぐにやめるさ♡♡そんなことはありえないと思うがね♡♡そうだね、もう少し具体的な方が想像しやすいだろうか♡例えば朝目覚めた時、当然同じベットで抱きしめられたままの眷属は……おや?♡」
「ぁ、ぁ゛ぁ、ぁぁぁ゛…………♡♡」
くら……♡♡くら……♡♡
「……フッ♡♡」
クイッ……♡♡♡
自分に言い聞かせるようにその考えは危険だと呟いた直後、頭の中に次々とルインさんの言葉が流れ込んでくる。それは危険を訴えていた僕の思考を押し流し、何が正しくて何が間違っているのかをぐちゃぐちゃにしてしまう。そんな風に混乱する中、彼女は僕の顎に指を添え目を合わせたのだった。
「大丈夫かい♡ロシェク?♡♡」
ずいっ……♡♡
じーーーーーー…………♡♡♡
「ぇぁ……?♡っ゛……!?♡♡♡」
『か、顔ちかぁ゛……♡♡ルインさんに心配され……ってだめぇ゛♡♡かっこよすぎるぅ゛っ♡♡♡』
キュンキュンッ♡♡キュンッ♡♡♡♡
「だ、だいじょうぶ、でしゅ……♡♡♡」
ルインさんの瞳に覗き込むように見つめられる。鼻先が触れ合う程の近さで見る彼女の顔はあまりに凛々しく、まるで恋する乙女のようにときめきが止まらない。
「フッ♡それはよかった♡さて、どこまで話したか……ああそうだ、朝目覚めた時の話だったね♡♡愛すべき眷属の朝はワタシの胸の中から始まる♡微睡の中ワタシに包まれた眷属、それを起こすのは当然ワタシの……キス♡♡」
「っ……♡♡」
ドキッ……♡♡♡
「まずは触れるだけの優しいキス♡♡そして一瞬離れた後、反応するように微かに開いた眷属の唇を覆うような熱烈なキス♡♡ワタシの唾液を流し込まれ、乾いた喉が潤うまでじっくりと、ね♡♡」
「……ごくっ♡♡」
ちらっ……♡♡
つやぁ……♡♡ぷるんっ……♡♡
「……♡♡気になるかい?♡一体どんなキスなのか♡♡」
「ぁっ゛……いやっ゛……♡♡」
これだけ近ければ視線の動きなどバレバレで、ルインさんの話に釣られるように淡く艶めく唇を見てしまっていることに気づかれる。あの唇にされるキスで頭が一杯なのも彼女はお見通しだった。
「隠す必要などないさ♡なら試してみようか?♡」
「へっ……?」
「もし嫌なら頭を引いて拒否するといい♡♡」
すすす……♡♡
「まっ゛……♡る、ルインさんっ゛……♡♡」
「……♡♡」
じーーーーー…………♡♡♡
予想外の言葉に間抜けな声を漏らす僕。しかしルインさんは至って真面目で、そのままゆっくり近づいてくる。慌てて制止しようとするが、改めてその瞳に見つめられた僕は―――
「ぁ……♡♡」
ちゅっ……♡♡♡
「…………っ゛~~~~ーーーーーーーー♡♡」
キュンキュンキュンッ♡♡♡キュぅ~~~ッ♡♡♡♡
その柔らかく、一瞬でも蕩けてしまいそうなキスを受け入れてしまったのだった。
「フフッ♡♡どうだい?♡これで君の好奇心は満たせたかな?♡♡」
「ぁっ♡ぇっ……♡♡つ、つづき、は……?♡♡」
ぱく……♡♡ぱく……♡♡
「おっと♡すまない♡さっきも言った通りワタシは誠実なサキュバスでね♡眷属でもない者にこれ以上の愛を与える訳にはいかないんだ♡♡」
「はぇ……?そ、そんなぁ……♡ぁ……けん、ぞく……♡♡」
ドキッ……♡ドキッ……♡♡ドキッ……♡♡♡
しかし一瞬で唇を離してしまうルインさんに、戸惑いながらぱくぱくと口を開閉する。その理由を教えられ落胆する僕だが、すぐにその解決策に気づき、鼓動がはっきり聞こえる程鳴り響いていく。
「ワタシも残念だ♡♡」
「もし君のような可憐で愛らしい男の子が眷属だったら♡と思わずにいられないよ♡♡」
ニコっ……♡♡
「っぁ……♡♡♡」
…………♪♡♡
その時、僕の中で何かが堕ちる音がした。
「…………ります……♡♡」
「ん?♡何かなロシェク?♡♡」
「け、眷属に、なります……♡♡ならせてください……♡♡ルインさんの眷属……に♡♡」
「…………♡♡自分が何を言っているかわかっているのかい?♡サキュバスの眷属になる、つまりあの広場の子達のように自分の人生を捨て、主の思うままに快楽を与えられるだけの存在になるということ♡♡そう、ワタシの愛玩ペットになりたい♡♡君はそういうのかな?♡♡」
「は、はひっ゛……♡♡ぼくはルインさんの、ぺ、ペットになりたい、でしゅっ゛……♡♡」
「……ロシェク♡♡」
「は、はっ゛……んむぅ゛ッ!?♡♡♡」
ぢゅむぅっっ♡♡
「ぢゅるっ♡♡ぢゅるるっ♡♡♡れろぉっ♡♡ぁむっ♡♡ぢゅぶるっ♡♡♡ぢゅろぉっ♡♡♡ぢゅぢゅぅぅ~~っ♡♡♡」
「へぁ゛むっ♡♡る、るいっ゛♡♡ぢゅへぁ゛っ♡♡んむっ゛♡♡っっ~~~゛♡♡♡」
びくっ♡びくびくっ♡♡びくんっ♡♡♡
突然ルインさんの唇に口内の自由を奪われる。貪られるようなそれは果たしてキスと呼べるのか怪しいもので、僕はただ体を震わせることしか出来ない。
「ぢゅっ♡♡ぢゅぷぁっ♡♡フッ♡フフフっ♡♡嬉しいよロシェク♡君から眷属になりたいだなんて言葉が聞けるとは♡♡こんな可愛い子にお願いされては断る訳にはいかないね♡♡」
「ひゃへっ゛……♡♡ぇぁ゛ぁ……?♡♡や、やっはぁ゛……♡♡」
「早速と言いたいところだが、眷属にするには手順があってね♡サキュバス毎に違うんだが、ワタシの場合はキスの交換だ♡♡」
「き、キス、の……?♡♡」
「ああ♡まずは……♡♡」
パチンッ♡♡
サァァァ……♡♡
「ぇっ……?ふ、服が……♡♡」
僕のお願いは受け入れられ、ルインさんの眷属になれることに歓喜する。どうやらそれが実現するのはまだ先のようで、手始めにと彼女が指を鳴らすと、僕の着ていた服が光の粒となって消えてしまう。
「これがワタシのキス……♡♡」
ちゅぷっ……♡♡ぽわぁぁ……♡♡♡
「んっ……♡♡ぁ……♡♡ルインさんの跡……♡♡♡」
服が消え去り、素肌となった僕の鎖骨の下辺りにルインさんがキスを落とす。淡く光った後唇を離すと、そこには彼女の唇と同じ形、同じ色のマークが付けられていた。
「フフッ♡これは君の体に残り続け消えることは無い♡♡つまりワタシの眷属だという証さ♡♡」
「証……♡♡」
ぞくっ……♡♡
「そして交換する君のキスだが……♡♡」
クイッ♡♡
「ぁっ……♡♡る、んっ゛……♡♡」
ふにっ……♡♡
証を刻まれたことにほの暗い愉悦に浸っていると、再び彼女の人差し指が顎に添えられる。そして今度はそのまま親指で僕の唇に触れると、まるで何かを塗り込むようになぞるのだった。
つつーーっ♡♡つつぅーーっ♡♡♡
「あぁ……♡♡よく似合っているよロシェク♡♡」
「ぇ……?」
「ほら♡ごらん♡♡」
ブゥン……♡♡
「こ、これ、ルインさんと同じ……♡♡」
「そうだ♡ワタシとおそろいのカラーリップ♡といっても薄まることも、取れることも無いがね♡♡」
ルインさんは何もない空間から手鏡を取り出し僕に向ける。そこは彼女と同じ淡い水色に唇を染めた僕の顔が映っていた。
「さて、それで君にキスしてもらうのは……♡♡」
スクッ♡♡
クルンッ♡♡
「る、ルインさん……?急に立って何を……」
「ここに♡ね♡♡」
パチンッ♡♡
サァァァ……♡♡♡
「ふ、服がっ……♡って、へ……?」
不意に立ち上がった彼女は僕の正面に立ち、見下ろしてくる。その背の高さに改めて圧倒されていると再び指が鳴り、同時に服が光になっていく。そして僕の目の前に現れたのはあまりに予想外のものだった。
ビキビキビキビキッ♡♡♡ビキキィィッ♡♡♡
「な、なっ゛……♡なに、これ゛……?♡♡」
「おや?♡言っていなかったかな♡ワタシはふたなり、つまりペニスを持つサキュバスなのさ♡♡」
ドクッ♡♡ドクッ♡♡ドクッ♡♡♡
「ぺ、ぺに、ひっ゛……♡♡お、おっきぃっ゛……♡♡ぅんぅっ゛……♡♡」
キュンッ♡♡キュンッ♡♡♡
ドキドキッ♡♡ドキドキッ♡♡♡
それはガッチガチに勃起した男性器で、長さも太さも僕どころか人間という種からは考えられないサイズであった。しかし、その姿を見ても何故か嫌悪感を抱くことは無く、むしろルインさんという男装の麗人と呼ぶに相応しい彼女を、さらに好ましく思う要素になってしまうのだった。
「その反応♡どうやらこの姿も気に入ってくれたようだね♡♡」
「こ、ここに、キスするんですか……?♡♡」
「ああ♡ワタシのペニスね♡♡」
「ぅ、ぅぅ゛……♡♡お、おちんぽに、なんて……♡♡」
「っ♡♡」
ビキビキッ♡♡
ドクドクッ♡♡ドクッ♡♡♡
「ひぁ゛っ♡♡」
「っとすまない♡♡君があまりにも愛らしい言葉を使うものだから♡♡」
『おっきいし、ドクドクいってて……♡で、でも、かっこいいよぉ……♡♡』
キュンッ♡♡キュンッ♡♡♡
見れば見る程異様な大きさのおちんぽだが、ゴツゴツとしていながらもまっすぐに伸びたソレに雄々しさと美しさを感じてしまう。普通なら唇を触れさせるなど考えもしないのに、今はどんどんと恋人のようなキスをしたい気持ちが増幅していく。
ビキッ♡♡ビキキッ♡♡♡
「さぁ♡ロシェク……♡♡」
「ぁ……♡ぁ……♡♡」
すす……♡♡
『かっこいい、おちんぽ……♡♡おちんぽ……♡♡す、き……♡♡♡』
ちゅっ…………♡♡♡
「…………♡♡」
「ぷぁ……♡んっ……唇の跡が……♡♡」
「あぁぁ……♡♡これで契約は成立だ……♡♡♡」
吸い込まれるようにおちんぽへ顔を近づけた僕は、心の中で愛の告白をすると先端よりも少し下、反り返った竿の裏側に口づけをする。そしてゆっくりと離れると、そこには淡い水色の小さなキスマークがくっきりと残されていた。
ぽわぁぁっ♡♡♡
「っっ゛!?♡♡」
ゾクゾクゾクゾクッ♡♡♡
「君はワタシのモノだ……♡♡ロシェク♡♡」
キィンッ……♡♡♡
「ぁ………♡♡♡っっ゛ーーーーーーーーーー~~~~~~~~~………………♡♡♡♡♡」
キスマークが光り出した途端背筋が甘く震えて止まらない。そしてルインさんが僕の名前を読んだ直後、何かが弾ける音と共に僕の頭の中は真っ白になり、多幸感と感じたことのない快楽で全身が満たされ絶頂を迎えるのだった。
とぴゅる……♡♡ぴゅる……♡♡とぷ……♡♡とぷぷ……♡♡
「へぁぇ゛……?♡♡ほぁ゛……?♡♡」
くら……♡♡くら……♡♡♡
「フフ……♡♡なんて愛らしい……♡♡こんな子がワタシの眷属になってくれるなんてね♡興奮でおかしくなってしまいそうだ♡♡でも大丈夫♡嘘はつかないとも♡君が嫌なことはしないし苦痛なんて与えない♡♡だからそう、すぐに君が快楽のみを感じられる体にしなければ♡♡そうだろう?♡ワタシの愛しい眷属君?♡♡」
壊れた蛇口のように少量の精液を垂らし続ける僕は、未だ夢見心地のまま。そしてそんな眷属を見下ろす主は、美しい顔をいやらしく歪ませながら語りかけるのだった。