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こちらは今ちまちまと進めているシンフォギア全年齢の話です
こちらも進捗となります
響が三人娘と仲良くなった話
響 名前
『お金が欲しくてワザと怪我したんでしょ?ふざけないでよ、人でなし』
『返してよ……私の家族を返してよぉ!』
耳にこびり付いて離れない呪詛の言葉。
私を見る目は化け物を見る目で、私に開く口は悪魔を責める口で、伸ばされる手は謂れの無い暴力で。
死ぬ命もあれば産まれてくる命もあるけれど。
『お前も死ねば良かったのに』
あぁ、なんで私は
今の今まで生きてたんだ────
「ッあァァッ……!!」
「ゆ、夢…? はぁ…はぁ… またあの夢…」
入学式前夜、立花響は悪夢にうなされていた。
汗が頬を伝いシャツまで染み込んでいる、気がつけば服にはベッタリと汗が染み込み顔は涙でグシャグシャになっており、酷いものだ。
乗り越えたと思っていたが、未だにあの光景が焼き付いて離れない。
数年前に起きたツヴァイウィングのライブでの事故
特異災害ノイズによる襲撃で多くの命が失われた、観客で生き延びたのは立花響ただ一人他の人間は塵となって消えた痛々しい事故。
一人でも助かった事は喜ばしい事 の筈だった。
どういう訳か世間は彼女を批判した。
最初は陰口から、次は悪戯とエスカレートして行き遂には暴力まで発展する事となる。
顔も知らぬ人、かつての友人
数えきれぬ程の他人が自身のエゴで彼女を断罪しようとする。
立花響 という名前を好き勝手に書き換えて
しかし、それでも彼女は輝きを失わなかった。
家族から貰った小さな勇気があったから
陽だまりが花を抱きしめたから
生きるのを諦めるなと言われたから
逃げなかった、負けなかった、泣かなかった
何をされようと、何を言われようと、どんな理不尽がどれだけ来ようとも彼女は絶対に逃げる事は無く向かい風に逆らい続けた。
そして遂に、今が過去へと変わり、全てを乗り越える事ができたのである。
だが進学をきっかけに再びあの記憶が治りかけの瘡蓋を一枚一枚丁寧に剥がすかの様に徐々に、ゆるやかに心の底から滲み出し、心を苛むのだ。
入学式が近づけば近づく程に強くなる。
どんなに優しそうな人でも私の名前を知ればまたあの目で見るのでは無いのか、そんな根拠の無い恐怖が。
「明日、ううん今日」
まるで十三階段
「怖いよ…」
こんな気持ちになるのなら
「消えて、無くなりたい」
心なんて消えてしまえ
そうして彼女は再び瞼を閉じる。
涙と汗で濡れた衣服など意にも止めず
心を殺し、意識は再び沈み始めた。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「……!」
声が聞こえる
「ひ…き!」
安心する声、大好きな声
誰の声だっけ、わからない
でもこれでようやく私もゆっくり眠れ────
「響!!」
「うわぁ!?」
無かった
安らぎに身を委ねたのも束の間、その安寧は即座に取り上げられてしまった。
あと5分だけでもダメかな…?
「う、え?お、おはよう未来」
「おはよう じゃないよ、今日入学式でしょ?このままじゃ遅刻しちゃう!」
「え、えぇ!?だって時間…」
やだなぁ未来ったら、入学式は9時からでしょ?今日は7時に目覚ましをかけたんだよ?まだ鳴ってないからそれよりも前…
「8時、15分…?」
「あ、あわわわわわ!!!!ま、待ってて未来!今すぐ準備するから!!!」
あー!もう!私呪われてるかもー!!
***
「はっ、はっ、ま、待ってよ未来」
「頑張って響、学校はもうすぐよ!」
陸上部と現役帰宅部のうら若き乙女を一緒に走らせちゃダメだよぅ…
私が寝坊したのが悪いんだけどさ……
でも私の前を走ってるこの子は
可愛くて、運動も勉強も私より出来て
ずっと私の側に居てくれて
今日だって未来が来てなかったら私は今でも寝てたかも知れない
「やっぱり、未来は凄いな…」
なんで私の側に居てくれてるんだろう
私もそんな未来に甘えちゃってるけど
「響?」
「ううん、何でもない」
「……さぁ!ゴールはもうすぐだよ!止まってると追い抜いちゃうぞ〜!」
「あっ!待って響!」
これから先、このままで良いのかな
…きっとダメだよね
ずっと甘えてたら未来に迷惑が掛かっちゃうと思うし……っとと
「ふぅ、ふぅ…えっ…と8時……50分…?な、何とか間に合ったぁ…」
「ふふっお疲れ様、ギリギリだけど間に合って良かった でも次は寝坊しないようにしてね?」
「うぅ…気をつけます…」
「あの2人組元気だね」
「私達と同じ新入生でしょうか?」
「あの急ぎ方、まるでアニメだねぇ」
とほほ… やっぱり目立ってる…
「私これから大丈夫かな…」
…
……
「では只今をもちまして、入学式の終了とさせていただきます」
気がつけば入学式は終わっていた。
よく覚えていないけれど校長先生の話や来賓の話、あとは新入生代表の子が話をしていた気がする。
私は…正直気が気じゃなかった
これからの事が怖くて堪らない、手に汗がびっしょりだし膝も震えてる
またあの日々が続くかもしれない
『お前も死ねば良かったのに』
「ッ…」
「響……?」
「なん、でもない」
未来が顔を覗き込んでくる
けれど見せられない、見せたくない
今の私の顔を見たらきっと心配するだろう
だから、未来だけには見せる訳には
「あの… 顔色がナイスじゃありませんが…。大丈夫しょうか…?」
「え…?」
誰……?
「先程ギリギリで駆け込んでらした方ですよね?先程は元気そうでしたが……」
頭が回らない
苦しい、怖い、怖いよ
やめて 見ないで
「あ、え、えと」
私は何もしてない
ただそこに居ただけなのに
「あ、あはは… 実は寝坊で朝ごはん食べ忘れちゃって…」
「まぁ!それであんなに急いでいたんですね!」
怖くて 動けなくて 私も死んじゃうと思ってた
けど私だけ生き残った
違う、違うの 誰かを犠牲にしたんじゃない
たまたま助かっただで
『守銭奴』
『人殺し』
違う!違う!!お金なんて要らない!誰かを犠牲にしてでも生きたい訳じゃなかった!
でも生き延びていた
生き残ってしまったからこの命を大切にしようって────
『俺はもう、耐えられないんだ』
あ……
そうだ
私が生き残って、誰も得をしていなかった
(そんな事、無い)
死ぬべきは私だったのに
(違う)
そうしたら誰にも責められなかったのかな
(こんな考え間違ってる)
でも、もう遅い
(これは本心じゃない)
私の生き汚なさは筋金入りだもの
(やめて)
私は
(やめて…!)
誰かの命を啜って生き延びた
(お願いだから…)
ドブネズミだ
(誰か助けて!!!)
「あのっ!」
「うぇあぁ!?」
「やっぱり、おかしいです……そんな思い詰めた顔をしているなんて…」
そんな事無い と言いたいけれど上手く口が動いてくれない、息継ぎが出来ない魚の様に私の口はパクパク動く
けれど言葉は出てくれない 出るのただの空気だけ
息苦しくて仕方が無いのに私の肺は空気を吐き出す事しかしてくれない
けれど黙っていてはいずれ窒息してしまう
動け、動け 私はまだ生きているから
「ぁ…ぉ……、お恥ずかしながらお腹が空いちゃって…えへへ…」
精一杯絞り出した声は震えてしまってかき消えそう、粛々と進む入学式の中でも聞こえない程にか細い声だから
おかしいな、私ってもう少し元気だったと思うけど
これじゃあきっと伝わらない 話さなきゃ伝わらないのに、こんな声では話す事すら出来やしないよ
「そう、ですか… でも辛くなったらいつでも言ってくださいね? えっと……」
聞こえ、てる?
事故の後(あの時は ルビ振る)、どれだけ大きな声で叫んでも誰も聞いてくれなかったのに どうしてこの人は蚊の鳴く様な声が聞こえてるの?
「お名前はなんでしょう?」
…言いたくない
私の名前……悪名かな?
「どうして、初めて会う私に優しいの…?」
「え…?うーん…… わかりません」
えぇ……
「けれど、誰かを優しくするのに理由が要りますか?」