「巴くん、どうかしら?」
そう言いながらアイドルの川島瑞樹はくるりと回ってみせる。試着している水着を見せびらかすためだ。
「お、おう。似合っとるの、ミズキ」
無邪気な瑞樹の問いかけに対して、名前を呼ばれた少年――村上巴は、少しぎこちなく返事をした。彼は同じくアイドルであり、瑞樹とは『フォーリンシーサイド』というユニットでコンビを組んでいる。
「ありがとう。巴くんも、似合ってるわよ」
瑞樹にそう言われると、巴は恥ずかしそうに顔を赤らめた。
「いや、わしは……。その……。ミズキはこういう水着も似合うじゃろうが……こがいな水着、わしには……」
巴はしどろもどろだ。それも無理はない。彼が着ているのはフリルたっぷりのビキニ。少女が着れば“愛らしい”という評価だろうが、巴のような十三歳の少年が着るには煌びやかすぎる。けれどこの煌びやかさは、女装少年アイドルについて回る“下腹部”の造形の問題も覆い隠してくれる優れモノであるのも確かだった。
――そう。村上巴という少年は、女装少年アイドルとして活動しているのだ。これ自体は別に世間でも珍しいことではない。むしろ巴の端正な顔立ちと歌唱力は高く評価されていて、女装少年アイドルの中でも人気はトップクラスと言ってよかった。
「まあまあ、そう恥ずかしがらず。せっかく私たちらしく海での撮影なんだし、一緒に楽しみましょ♡」
そういって瑞樹は巴の方へ身体を寄せる。露出した彼女の肌が自分の肌に触れて、巴は思わず声を上げそうになった。普段から嗅いでいるはずなのに、今日は一段と濃厚で鮮明になった瑞樹の香りが鼻をくすぐる。
「お、おう! 一緒に最高の撮影するんじゃ!」
しかし、巴は努めて冷静に返事をする。裏返る声や上がる語尾を抑えられていると思っているのは、少年ゆえのご愛敬。
「そうだ。二人で写真撮って、SNSにもあげておきましょ」
「そ、そうじゃな。宣伝は大事じゃって、プロデューサーもゆうとった……」
瑞樹がスマートフォンを取り出す。こうして二人並んで自撮りをするとき、カメラを構えるのはたいてい瑞樹の役目だ。巴はあまりこうしたことを積極的にしないし、身長の差もあるせいで瑞樹の方が撮影をしやすい。
「ほら、巴くん笑って~」
瑞樹に言われて微笑む巴。板に付いてきたアイドルとしての仕草だ。けれど、シャッターが切られてから瑞樹が出来映えを確認している間、彼の視線は盗み見るように瑞樹の胸元や、ローライズなボトムスのせいでくっきりと浮かび上がった鼠径部に注がれていた。
――――帰宅後。
「ッ……ぅ……♥ ふぅ……♥ ふぅ……♥」
全員が寝静まった屋敷の中で、巴が小さく呻き声を上げていた。色っぽく、艶めかしい。まだ声変わりする前の、男性とも女性とも付かない声。歌唱時の圧倒的な声量を感じさせないような小さな声で、巴は喘いでいた。
「ぅっ……♥ ミズキ……♥ ミズキ……♥」
頭から布団を被っている巴の目の前で煌々と輝くのはスマートフォンの画面だ。映し出されているのは、川島瑞樹のSNSアカウント。今日一緒に撮影した写真が載っている。
瑞樹が目一杯に腕を伸ばし、巴と密着して撮影したツーショット。自分自身の水着姿を見るのは恥ずかしいが、それよりも巴の視線を引きつけるのは瑞樹だ。
みっちりとビキニに詰め込まれた乳房。その柔らかさであったり、間近に迫ったときのニオイまでを知っている巴にとっては、劇薬に近い写真だ。
瑞樹の整った顔、文字通り瑞々しい肌。そんな色々な要素を拾い集めるように視線へ納めながら――
「はぁ……♥ はぁ……♥」
ちゅくちゅく……♥ ちゅくちゅく……♥
巴は自分のペニスをシゴいていた。
(ミズキ……♥ ミズキ……♥ すきじゃ……ミズキ……♥)
思い返せば一目惚れだったのだと思う。瑞樹と一緒のユニットを組めると知ったときの興奮は今でも忘れていない。そういった感情ひとつひとつが、無視できない情欲になって健全な巴の精神を狂わせていく。
(ミズキの……こん胸や……口で……♥)
「ッ、う…………ッ!!!♥♥♥」
びゅっ……♥ びゅっ……♥
ぱんぱんに勃起したペニスが限界になって、先端から白濁液を漏出させる。健康的な精液はあらかじめ添えられていたティッシュに着弾し、そのまま無情にも吸収されていってしまうのだ。
「く……ぅ……♥ はぁ……♥ ふぅ……♥」
こんもりと盛り上がった掛け布団全体が揺れるくらいに激しく呼吸し、息を整える巴。そうして快感を享受していると、それに続いてムクムクと強烈な罪悪感が首をもたげてきた。
(何しとるんじゃ、わしは……。ミズキは大切なユニットの相棒じゃっちゅうのに……)
そう。瑞樹はあくまで仕事仲間。少なくとも、彼女は巴のことをそう思っている、と彼は考えていた。
それに、こんなことをしているのがバレて瑞樹に嫌われたらと思えば――巴の小さな心臓は、キュッと嫌な音を立てるのだ。
しかし、これは女装少年アイドルの宿命だった。身近にいるのは魅力的な女性たち。アイドルとして活動する以上、どうしてもこういった“性”の問題は避けて通れない。だからこそ、彼らの現役時代は短く儚い。
健全な青少年であることを考えれば、巴の反応は当然だった。むしろ、これ以上のことに踏み込まないあたり真面目だとも言える。
(――やめじゃやめじゃ、こんなこと……)
しかし、その真面目さ故に巴は悩み、自己嫌悪に陥るのだ。
スマートフォンの画面を消して、自慰の痕跡を綺麗に拭き取る。紙屑をゴミ箱に捨てて、巴は眠りについた。
(今度の撮影、うまくいくといいのぅ……)
■ ■ ■ ■ ■
――はい、オッケーです!
「「ありがとうございました」」
最後の一枚を撮影し終わり、瑞樹と巴は異口同音にスタッフへ向けて頭を下げつつ礼を言う。撮影は滞りなく完了。瑞樹も巴も、仕事ということを感じさせないくらいの楽しみようだった。
「巴くん、撮影お疲れさま」
「おう。ミズキもお疲れさまじゃったの」
撮影を無事に終えた安堵感から、巴は心底嬉しそうに微笑んで瑞樹の労いに答えた。一日中見ていたせいで、何となく彼女の水着姿にも慣れてきた。今は、前のような強烈な情欲がにじみ出てくることも無いように思える。
「喉乾かない? お姉さんが一杯奢ってあげるわ」
「じゃったら、ごちそうになるかのぅ。一緒に行こうか?」
別に飲み物ならスタッフに言えばすぐに貰える。けれど、瑞樹が奢りたいというのなら、その好意に甘えることも大切だと巴は学んでいた。この性格が、巴が瑞樹のみならず事務所の女性アイドルたちから好かれる理由の一つだった。
ちょうどそんなことを話しているとき、巴だけがプロデューサーから呼ばれた。どうやら、撮影場所の都合で、巴だけ先に着替えてほしいらしい。。
「いいわ、気にしないで。行ってきて」
「合点じゃ」
瑞樹に促されて巴はスタッフとプロデューサーがやんややんやと話し合っている撮影ピットへと駆け出していく。瑞樹はそれと反対方向で佇むする海の家へと歩を進めていった。
(まあ、こっちの方がしっくりくるの)
スカジャンへ袖を通して、巴はそんなことを思った。いま着ている服は男物の服。アイドルとして活動するうちに女装にも慣れたが、やはりこちらのほうが着やすいのは言うまでもなかった。
晴天で海辺とは言え、人のいない時間を狙ったせいで日が暮れてくると少し肌寒い。スカジャンがあってちょうどいいくらいだ。こんな中で、瑞樹は寒くないのだろうかと心配そうに巴は辺りを見回す。
「ん……? ミズキ、おらんのか……」
とっくに飲み物を買って帰ってきていると思った瑞樹がいない。着替えているのかと思ってスタッフに尋ねても、そうではないらしい。
別に気にするようなことはない。瑞樹の方が大人だ。そんな理性よりも先に不安になって、巴は駆け出した。方向はわかっている。砂に足を取られながらも、飛ぶように巴は駆けていった。
「――――ちょっと、貴方たち? 私、興味無いって言ってるんだけど?」
果たして、巴の不安は的中していた。瑞樹は海の家から少し歩いたところで、数人の男たちに絡まれていたのだ。
絡まれている、というよりもナンパだ。今日一日精を出してナンパに励んだものの成果無し。結局そのままトボトボ帰ろうとしたら、極上の美人が一人でいる。そんな状況では、彼らが息巻くのも無理はなかった。もっとも、流石戦果ゼロというだけあって引き際がわかっていない。瑞樹ですら顔をしかめてしまうような下手なナンパだ。
(もう、どうしようかしら……。あんまりしたくなかったけど、スタッフさん呼んで……)
そんなことを瑞樹が考えていたときだった。
「おい、おのれら……」
瑞樹を囲む男たちの背後から、ドスの利いた低い声が響いてくる。
男たちが振り返る。そこには瑞樹が囲まれているのを見て駆けてきた巴がいた。
正直、一笑に伏されてもおかしくなかった。巴は十三歳の少年。相手は大人数人だ。何だこのガキは、とありがちな罵倒の一つや二つ言われかねない。
けれど、そうはならなかった。理由は明快。迫力が段違いなのである。男たちのような馬鹿でもわかる威圧感。荒くれ者たちを統べる“村上”の跡取りとして、巴は圧倒的すぎる覇気を放っていた。
「――おのれら、何しとるんじゃ?」
声を荒げるでもない。ただ静かに、低い声で巴は訊ねた。大きな声で威嚇する必要も、自分を大きく見せる必要もない。ただ訊ねる、それだけでいいのだ。
男たちは一気にしどろもどろになる。十三歳の巴が、数人の大人を圧倒している。その光景は男たちの方へ同情を抱いてしまうくらいの滑稽さだ。
「もう一回訊かんとわからんか? わしの言葉がわからんわけじゃあないじゃろ?」
巴の問いかけに、男たちは答える術を持たなかった。まあ広島弁に戸惑ってもいるのだが、言葉の意味が分かるか否かが問題ではないのだから。
まさに蜘蛛の子を散らすと言った有様で彼らは逃げていく。そうして、砂浜に残されたのは巴と瑞樹だけになった。
「はぁ~……」
巴は小さく息を吐いた。緊張とか恐怖が解けた合図――ではなく、ただ単に男たちの胆力の無さに嘆息したのだ。
「情けないのぅ……。わしんトコにはおらん人種じゃな……。すまんかった、ミズキ。わしが頼んだばっかりにこんな――」
「巴くん、ありがとう……!」
次は、巴が“情けなく”なる番だった。
瑞樹は飛びつくように巴へ抱きつく。ちょうど彼の頭を胸元と自分の頬で包み込むような、混じりっけ無しのハグ。そんなもの、明らかに不意打ちだ。
巴は、自分の呼吸が止まってしまったのかと錯覚した。けれど、心臓の音が響くみたいに鳴っていて生きているのだと実感する。
次の瞬間、瑞樹の感触を巴の全身が余すところ無く感じ始めた。乳房の柔らかさ、ニオイ、緊張で火照っていた肌の熱さ、吐息の音。巴自身が本能的にマズイと思っても、彼の五感は瑞樹を貪ることをやめない。
「あっ……! み、みず……ミズキ……?」
「もう、困っちゃうわね、私ったら……。すぐにスタッフさん呼べばいいのに……。なんとなく怖かったのかしら、やっぱり……。いい歳なのに、笑っちゃうわね」
自嘲気味に囁く瑞樹と、しどろもどろになる巴。彼の赤みがかった髪と同じかそれ以上に真っ赤になる顔。そのどれもこれも、抱きついている瑞樹からは見えないせいで彼女は巴がどういう感情でいるのかわかっていない。
「あっ、ごめんね。こんなオバサンに抱きつかれても、嬉しくないわよね」
「あっ、え、いや……! そ、そうじゃあ、ない……!」
冗談っぽく言いつつ巴から離れる瑞希。しどろもどろになりながらも、瑞樹を傷つけてはいけないと気の利いたことを言おうとする巴。けれど、先ほどまであんなにハッキリかつ流暢に紡げていた言葉が、今は巧く出てこない。
けれど、巴の気持ちは、彼の言葉ではなく身体が、ハッキリと瑞樹へ向けて告げていた。
「あ、あら……?」
困惑する瑞樹の声。彼女の視線は、巴の下半身へ吸い込まれていた。通気性がよくゆったりとした着心地のはずなズボン。それがナニかに押し上げられるように、中心部だけ張っているのだ。
巴は当然、瑞樹ですらしっかりとその意味を把握している。巴は、瑞樹に抱きつかれただけで勃起してしまったのだ。
「あ……。ご、ごめんね巴くん」
瑞樹は咄嗟に謝る。
「私、つい浮かれちゃって……。男の子ならこういうこともあるから、気にしないで。で、でも巴くんも、こんな年上のおばさんじゃ嫌よね~……」
冗談めかして笑いながら巴を安心させようとする。瑞樹。けれど、そんな彼女の言葉が、巴にとっては何より一番許せなかった。
「そ、そがーなことじゃあない……!」
先ほどまでハッキリと出なかった言葉が、激しい勢いを伴ってあふれ出てくる。思わず瑞樹が驚いてしまうくらいだ。
ぐっ……!
今度は巴が腕を伸ばす。瑞樹の細い腰、巴の腕でも回ってしまうくらいだ。そのまま、巴は一気に力を込めて瑞樹を抱き寄せる。彼自身が信じられないくらい軽い。対する瑞樹は、巴の予想外な力の強さに驚いて声も出せなかった。
(あっ……!? う、うそ……。私、巴くんに抱きしめられてる……?)
そうしてお互いがお互いに対して驚いていて――瑞樹は、自分が巴に抱きしめられていると気が付くまで、少し時間がかかってしまった。
どれだけ年齢差があっても、身長差があっても、これは巴が瑞樹に抱きついているのではない。瑞樹が巴に抱きしめられているのだ。それだけは、巴も瑞樹もハッキリとわかっていた。
「――わし、ミズキのことが好きじゃ……」
身長差はどうしようもない。元々女性としては長身の瑞樹だし、巴の顔は彼女の胸元へ埋まるような形。顔を見上げようかとも考えたが、まるで幼子が甘えるような姿勢になってしまう気がしてやめた。
「年齢とか……そがいなこと関係ない……。ずっと、初めておうた時から……ミズキのことが好きじゃ……」
ぎゅう、と巴の腕の力が強くなる。柔らかい瑞樹の身体よりも、今は自分の拍動が瑞樹に伝わっていないかが気になった。
(わし……なんてこと言っとるんじゃ……。こがーなこと言って……ミズキに嫌われたら……ユニットだって……)
先ほどまでの勢いはどこへやら。巴の心がシナシナと元気を無くしていく。そもそもいきなり抱きしめるような真似をして、これではさっきの男たち以下の軟派な人間だ、と自己嫌悪に陥る。
すまん。そう言って、瑞樹から離れ、このまま駆け出していなくなろうとした。その瞬間だった。
「巴くん……」
名前を呼ばれて、そして背中から瑞樹に抱きしめられた。
「み、ミズキ……」
「巴くん……。私、巴くんより倍以上も年上なのよ……? 事務所にだって、きっと学校にだって、私より若くて可愛い女の子、たくさんいるんじゃない……? それなのに……私なんかで、いいの……?」
「あ、当たり前じゃ……! ミズキが、ミズキが、一番綺麗じゃ……!」
瑞樹の不安そうな問いかけに対して、巴は一切の迷い無く断言した。
フッ、と瑞樹が微笑んだ音が聞こえる。その微笑みの意図がわからずに不安になるのは、まだ巴が若いからだ。
そんな巴にかまわず、瑞樹は彼を抱きしめたまま腰を落とす。そうすれば、あっという間に瑞樹の顔が巴の目の前だ。
「あっ……」
間近で見る瑞樹の顔。その美しさに声を失う巴。そんな彼に対し畳みかけるように瑞樹の顔が迫ってきて――
「んっ……♡」
ふたりの唇が、重なった。
しばらく、海へ落ちていく夕焼けを背に抱き合いながら唇を重ねている二人。
「――――ありがとう、巴くん」
そうして唇を話した後、瑞樹はそう言って微笑んだ。
■ ■ ■ ■ ■
巴と瑞樹が撮影用のピットに戻り、ホテルに帰るまでの間、プロデューサーが“もし喧嘩でもしたのか?”と心配するくらい、ふたりの様子はぎこちなかった。
けれど、そうではない。正直、巴は先ほどの瑞樹との抱擁とキスを思い出して勃起を抑えるのに必死だったし、瑞樹は瑞樹で自分でも大胆すぎたかと行為を反省しているところだった。
そうしてホテルに帰り、食事をとり、深夜。
「いいかしら……?」
瑞樹は巴の部屋の前に立って、そう言った。
ラフな格好だ。宿に備え付けの館内着だが、上半身はほとんど浴衣に近い。そんな浴衣を、肌着も無しに身につけている。その無防備さに巴は目を見張ったが、何とか平静を装って瑞樹を部屋に招き入れる。
巴が察することが出来るはずもないが、瑞樹は覚悟を決めてきていた。だからこそ、今の瑞樹の格好を見て巴が劣情を催したとしても、それは何ら不思議では無いのである。
ふたり一緒にベッドへ腰掛ける。恥ずかしげに下腹部を隠そうとする巴。だが、その両手を瑞樹が握って制した。砂浜での時と同じように、テントを張った館内着のズボンが見える。
「隠さないで、巴くん♡」
「じゃ、じゃけど……ミズキ……。わし、こがーなの……」
「いいのよ♡ 褒められているみたいで、光栄だわ♡」
そう言いながら、瑞樹は巴の身体に自分の頭を預けた。身体の柔らかさに驚く巴だが、瑞樹が倒れてしまうのが心配で逃げ出すことも出来ない。
そのまま、ゆっくり、ゆっくりと、瑞樹の手のひらが巴の内ももを撫でる。そうしているうちに、もう隠しようがないくらいに巴のペニスは完全に勃起してしまっていた。
「そんなに緊張しないで、巴くん……♡」
「き、緊張なんか……しとらん……♥」
「そう?♡ なら、よかったわ♡ ――ねえ?♡ 巴くんのココ、触ってもいいかしら?♡」
瑞樹に訊ねられると、小さく頷いた。寄り添う頭の感触で首肯を感じ取った瑞樹は、細い指をゆっくりと巴の膨らみに向かって伸ばす。
さす……♡ さす……♡
「ッ……♥」
巴は、声をあげないようにするため必死だった。ぐっと下腹部に力を入れて、必死に嬌声を堪える。くすぐったいような、切ないような。自分で弄ぶのとは明らかに異なる感触が下腹部に走る。
「ここ、すごくおっきいね……♡ こうされるの、イヤじゃない?♡」
瑞樹は巴に問いかける。巴は何とか呼吸を整えて返事をしようとするが、そもそも瑞樹が自分の部屋に来ているということ自体が非現実的すぎて、すでに心臓が張り裂けそうだった。
「ッ……♥ い、イヤじゃ……ない……♥」
「そう……♡ じゃあ、しばらくこうしていていい……?♡」
さす……♡ さす……♡ かり……♡ かり……♡
「ッ……♥ んっ……♥ ッ……♥」
服の上からだというのに、途方もなく気持ちいい。巴は、自分の腰が情けなく浮いていってしまうのを必死に堪えていた。
「ねえ、巴くん……?♡ おちんちん……見ていいかな……?♡」
「あっ……♥ そ、それは……♥」
“見ていいか?”と訊ねられると、巴は答えに窮してしまった。そんな困惑を瑞樹に気取られないようにと巴は押し黙るが、瑞樹には巴の心境が手に取るようにわかる。
瑞樹とて大人の女性。踏んできた場数が違うのだ。だから――
「巴くん……私に、おちんちん……見られたい……?♡」
瑞樹のねっとりとした声。包容力のある声色に反して快活なしゃべり方をする瑞樹だが、こうしてゆっくりと湿り気のある話し方をされると、途端に淫靡な香りをまとい始める。
その甘ったるさと、頭の上で漏れ出てくる吐息に対して、巴が抵抗できる筈もなかった。
こくっ……こくっ……。
巴が二回三回頷くのを感じると、瑞樹は手を伸ばす。ズボンのような形になっている館内着。その腰紐を解き、するりと下ろす。巴は本能的に腰を上げて脱衣を幇助してしまっていた。
ぴくっ……♥ ぴくっ……♥
ひくひくと痙攣するペニスが顔を表した。年相応のサイズだが、勃起をすれば立派な男性器の様相だ。けれど、しっかりと被った皮と一本の毛もなく晒されている素肌が幼い印象をにおわせている。
「ぁ……ぅ……♥」
あまりの事態に巴の思考がバグってしまう。すぐ隣に瑞樹がいて、自分はペニスを露出していて、そしてそこに瑞樹の細い指が伸びてきている。
「元気ね、巴くん……♡ 私でこんなにしてくれたの……すごく、うれしいわ……♡」
つん……♡ つん……♡
瑞樹の指先がペニスをつつく。つつかれた何倍もの反応でペニスは震えた。
「巴くん……♡ おちんちん、ひとりでいじったりしてるの……?♡」
「そ、それは……♥」
「怒らないから、教えてほしいなぁ……♡ 私、巴くんを気持ちよくしたいから……♡ 好きなこと、してあげたいし……♡」
「ぅ、ぅ……♥」
自分の妄想が現実になるかもしれない。そもそも、いまペニスを瑞樹にいじられているというだけで夢心地だ。それから、さらに踏み込める……。その誘惑は、十三歳の性欲旺盛な青少年にとっては甘い誘惑すぎた。
「その……♥ 普段は、ミズキの写真とかで……しとる……♥」
「私の写真……?♡ 嬉しいわね……♡ この前の水着の写真も、使ってくれたの……?♡」
「そ、そうじゃ……♥ んっ……♥」
すりすり……♡ すりすり……♡
皮の上から亀頭を撫で回すように指先で弧を描く瑞樹。巴の口から切なそうな吐息が漏れる。
「それで……どんなことを想像してるの……?♡」
「んっ……♥ あっ……♥ み、ミズキの……指や……手で……いじられたり……♥」
「じゃあ、こういうことね……♡ いま、嬉しい……?♡」
「う、うれしいに……♥ き、きまっとろーが……♥ んっ……♥」
「ふふっ♡ よかった……♡ それから……あとは……?♡」
「あ、あとは……♥ その……♥ ミズキの、胸で……挟まれたり……とか……♥」
ぴくっ……♡ ぴくっ……♡
自分の欲望を語るだけで、巴のペニスがぴくぴくと揺れる。
「あら……♡ 私のおっぱい、好きなんだ……♡ そうしたら、今日の水着も好きだった?♡」
「だ、大好きじゃ……♥ き、昨日も……二人で……撮った写真で……♥」
「ふふっ……♡ 嬉しいわ……♡ それじゃあ……巴くんが大好きな、手コキとおっぱいで……気持ちよくしてあげようかしら……♡」
そう言いながら、瑞樹は指の動きを変えた。くりくりと勃起したペニスの先端を弄ぶ動きから、くにくにと上下に刺激する動きへ。
「くぁ……ッ♥♥♥」
辛抱たまらず、巴の口から吐息が漏れた。いつも自分でシゴいているのとは全く異なる快感。同じ動きの筈なのに、他人の手で刺激されるとこれだけ気持ちいいのかと驚く。
くにくに……♡ しこしこ……♡ しこしこ……♡
瑞樹の手コキによって、ペニスはさらにサイズを増していく。若い精力に対して瑞樹も目を見張るくらいだ。
そうしてペニスがもっとも大きなサイズになったところを見計らって、瑞樹はベッドから降りた。
「……?♥」
なにが起きるのか理解できない巴。そんな巴に妖艶な視線を送りながら、瑞樹はゆっくりと浴衣になっている館内着の上半身をはだけさせていく。
「み、ミズキ……♥」
なにが起きるのか、いやもうなにが起きるのかはわかる。わかる故に、巴は何も言えずに固唾を飲むことしかできない。
す……す…………ぽにゅん……♡
はだけた浴衣の中から、瑞樹の乳房がまろび出てくる。その乳房の揺れる様子や、むにりと形が変わる弾力まで、全て巴にはスローモーションに見えた。
「どう……?♡ 私の、おっぱい……♡」
乳房の柔らかさを誇示するように腕をキュッと締めて巴を見つめる。87センチの乳房。もちろん、事務所の中では瑞樹より胸の大きなアイドルはたくさんいる。それでも、巴にとっては唯一無二な恋いこがれた女性の乳房。
巴の視線が釘付けになるのは、無理もないことだった。
(ふふっ……♡ 可愛いわね、巴くん……♡)
巴にとっては夢のような時間であるが、それは瑞樹にとっても同じだった。同業の美少年。彼が自分に恋い焦がれていたことは間違いなく瑞樹にも嬉しい出来事だった。
それに加えて、初物。初物喰いの喜びは何も男性だけにあるわけではない。女装少年アイドルとして活動している同僚に対し、これから様々な快感を刻んでいく。その期待感と喜びには、あらがえない魅力があった。
「このおっぱいで、気持ちよくしてあげるわね……♡」
“おっぱいで気持ちよくする”。その一言で、巴は目眩を覚える感覚がした。自分は今から何をされるのか。理解できていても現実味がない。
しかし次の瞬間、何よりもリアルな“感触”と共に、瑞樹の乳房は巴のペニスに覆い被さってきた。
むにぃ……♡
「はッ……ぅ……ッ♥♥♥」
ついに巴の口から声が漏れる。ペニスはあっさりと乳房の中に飲み込まれてしまった。すべすべの肌。ダイレクトに伝わる乳房の熱量。乳圧。まるでペニスが全身になったかのような錯覚だ。
しかし、それだけでは変わらない。
「これだけじゃ、シコシコしても気持ちよくないわよね……♡ ほら、こうやって……んれぇ~……♡♡♡」
だらぁ~……♡♡♡
くちゅりくちゅりと口の中で唾液をこね合わせて粘り気を出した後、瑞樹はゆっくりと谷間にその半透明の粘液を垂らしていく。わざとらしく舌を伸ばし、糸を引く様子まで見せつけるようにしながら、大量の唾液を流し込む。
「あ、あつ……い……♥」
身体から離れたくせに、唾液は驚くくらいの熱量を持っていた。その熱に気圧されて、巴は呻く。砂浜での様子からは想像も出来ない、子供らしい反応で瑞樹を楽しませる。
「巴くん、気持ちいいかしら?♡」
瑞樹に見上げられて、その妖艶な顔と自分のペニスを包んでいる乳房のコントラストを見て、巴が正気でいられるはずもない。必死に首肯で応えるのが精一杯だ。
「じゃあ、もっと気持ちよくしてあげるわね♡」
だが、瑞樹はそんないっぱいいっぱいな巴に対しても容赦がない。まるで生娘を貪るのを楽しむが如く、巴の反応ひとつひとつを見ながら次の行動を決めていく。
瑞樹が次のターゲットにしたのは、巴のペニス――その先端だった。ぴんっ、と勃起しているもののまだ皮を被ったかわいらしい肉棒。その先端はいま瑞樹の乳房に包まれているので、まずは掘り起こすところから始めないとならない。
むにっ……むにゅん……♡
「あっ……♥ あっ……♥ そ、そがーに……乱暴に……♥ や、やわらか……♥」
「ふふっ♡ そうよ♡ おっぱいって、大きいくせにとっても柔らかいの♡ だから、こうして乱暴に扱っても大丈夫なのよ♡ けど、巴くんが他の人のおっぱいを揉むときには、優しくしてあげないとダメよ♡」
そう言いながら、瑞樹は自分の乳房を思いっきり巴の腰へ押しつける。ほとんど押しつぶすと言ってもいい狼藉ぶりだが、それでも圧倒的な弾力を誇る瑞樹の乳房は簡単にその形を変えて見せた。
むにん……♡ むにゅん……♡
「ほら♡ 巴くんのおちんちん、出てきたわ♡ こうやって、おっぱいの間から顔を覗かせているおちんちんを……んっ……♡」
「っ~~~……♥♥♥」
巴は自分の腰が跳ねて暴れないように押さえつけるだけで精一杯だった。
(み、ミズキが……♥ ミズキが、わしのを……くわえとる……♥ っ……♥♥♥ さ、先っぽ……♥ こ、こねまわされて……♥)
瑞樹は巴のペニスを口でくわえると、その先端をモゴモゴとこね回し始める。
「ふ~……♥ んっ♥ ふぅ~……♥♥♥」
(巴くん、かわいい♡ おちんちん気持ちいいの、必死に我慢してるのね♡)
巴の呼吸や表情を楽しみつつも、瑞樹の動きは止まらない。まずは巴のペニスの先端を、被っている皮ごと丁寧にもみほぐす。そうすると、ペニスはさらに勃起を強めていくのだ。
(ここらへんかしら……♡)
れるえぅ……♡ ちゅ……♡ んちゅ……♡ れろ……♡
瑞樹の舌先が、僅かに顔を覗かせている巴の亀頭をなめ回す。それだけで、巴は失禁してしまいそうな錯覚を覚えた。瑞樹の口に粗相だけは出来ないと、必死に歯を食いしばって耐えている。
そうこうしているうちに、瑞樹の舌先が巴の亀頭と皮の間に侵入していく。たっぷりと唾液を絡め、ゆっくりと舌先をなじませていき、そして――
「んっ……♡ んちゅるれろ……♡ んちゅるるる……♡♡♡」
「ッ~~~……!!!♥♥♥」
巴の声にならない絶叫。瑞樹が、一気に巴のペニスを口全体で包み込んだのだ。それと同時に、乳圧が巧みにかけられる。巴のペニスの皮が、一気に彼の腰の方へと引き寄せられたのだ。
「ん……ッ♡ ちゅぱっ……♡ ……はい♡ 立派なおちんちんに、なったわよ♡」
瑞樹がゆっくりと口を離す。彼女の唾液でドロドロにコーティングされた巴のペニスが姿を現した。どういった口の使い方か。巧みに、指など一切使わない状態で、巴のペニスは皮が剥かれた状態になっていた。
「はぁ……♥ はぁ……♥ はぁ……♥」
巴は肩で呼吸を繰り返すことしかできない。一度か二度剥いたことはあるものの、衣服とこすれる刺激が強すぎてかぶせたままだったペニスの皮。それが、瑞樹によって全て剥かれてしまったのだ。
「巴くんのおちんちん、可愛いわね……♡ 丸くて、つるつるで……♡ 先っぽがピンク色で……♡」
「み、ミズキ……♥ そ、それ……ほめとるんか……?♥」
「あら♡ もちろん、褒めてるわよ♡」
ちゅっ……♡
そう言って、瑞樹は巴の亀頭に軽くキスをした。その刺激だけで、巴はまた二度三度と腰を震わせてしまう。
「それじゃあ、もっと気持ちよくしてあげるわね♡」
瑞樹のその言葉と共に、巴のペニスは再び彼女の乳房の中へ隠されてしまった。未だに谷間は瑞樹の唾液でヌルヌル。さらに、お互いに汗ばんできたことにより、よけいに湿り気を増していた。
ぬちゅっ……♡ ぬちゅっ……♡
「あ、ッ……っくぅ……♥♥♥ な、なんじゃ、ぁ……♥♥♥ それっ……♥♥♥」
「これ?♡ 知ってるじゃない♡ 巴くんが大好きなパイズリよ♡ 大きなおっぱいの人にしかできないんだけどね……こうやって、おっぱいでおちんちんをズリズリして、気持ちよくさせちゃうのよ♡」
ずちゅっ♡ ずちゅっ♡ ずちゅっ♡ ずちゅっ♡
説明しながらも、規則的なリズムで瑞樹の乳房は巴のペニスをシゴいていく。細い両腕で乳圧をかけながら、上下に揺れる乳房。
「ッ♥ んっ♥ んっ♥ そ、それ♥ い、いけん♥」
巴はベッドシーツを掴むことしかできない。あまりの気持ちよさに、情けなく涙があふれてくる。出来ることなら目を閉じてしまいたいが、目の前で乳房を使って自分を気持ちよくしてくれる瑞樹の動きが魅力的すぎて、視線を逸らすことも出来ない。
ずちゅっ♡ ずちゅっ♡ ずちゅっ♡ ずちゅっ♡ ずちゅっ♡ ずちゅっ♡ ずちゅっ♡ ずちゅっ♡
(ふふっ♡ 巴くん、可愛いわね♡ じ~~~っとおっぱいのこと見ちゃって♡ おちんちんもずっと暴れっぱなしだし……♡)
瑞樹も、巴の表情や仕草を見ていると自分の動きに熱がこもっていくのを感じていた。全ての動きに初な反応を返してくれる巴。倍以上も年齢の離れている少年の反応に、瑞樹も徐々に絆されてきているのだ。
たぱっ♡ たぱっ♡ たぱっ♡ たぱっ♡ たぱっ♡ たぱっ♡ たぱっ♡ たぱっ♡ たぱっ♡ たぱっ♡
その証拠に、巴の肉棒をシゴく瑞樹の動きはどんどんと速くなっていく。速度が上がる度に肉棒も暴れるが、巨大な乳の沼からは逃げられない。
ぐっ……♥ ぐっ……♥
あまりの気持ちよさに、巴の身体は反射的に開いている脚を閉じようとビクビク揺れる。だが、瑞樹の細い身体は巴の脚の間にすっぽりと収まっていて、ただただ瑞樹の身体を両脚で抱きしめるような形になってしまっていた。
ビクッ……♥ ビクビクッ……♥
「み、ミズキ……ッ♥ わ、わし……もうっ……♥」
「イきそうなの、言えて偉いわね巴くん♡ いいわよ♡ いつもオナニーしている時みたいに、私のおっぱいの中に精液吐き出して♡」
ずぱっ♡ ぬちゅっ♡ ぬちゅっ♡ ぬとんっ♡ ずちゅっ♡ ずちゅっ♡ ずちゅっ♡ ずちゅっ♡
瑞樹の動きが一気に速くなる。アイドルとして培った体力は、ココでまさしく還元されている。巴が、自分自身でペニスをシゴくだけでは絶対に得られない快楽。誰かによって刺激されることでしか得られない絶頂が迫ってくる。
「ッ~~~……♥ でるっ……♥ み、ミズキ……ッ!♥ ミズキ……ッ!♥♥♥」
「来て、巴くん♡ 出して♡ 精液、たくさん出して――――んっ……♡♡♡」
どぶりゅっ♥♥♥
ぶびゅりゅ~~~♥♥♥ ぶびゅるるるる~~~♥♥♥ びゅるるるるる~~~♥♥♥ びゅっ♥♥♥ びゅっ♥♥♥ ぶびゅびゅる~~~♥♥♥
「あッ♥ んっ、っく……♥♥♥ は、ぁぁ……♥♥♥」
(で、出とる……♥ ミズキん中に……♥)
巴は、まるで他人事のようにぼんやりと射精の感覚を俯瞰していた。しかし、背筋に走る快感も、つま先がピンと伸びてしまうような衝撃も、両方とも本物だ。そして、何より、何度も痙攣をして精液を吐き出す度に、それを全て受け止めてくれる瑞樹の乳房。その柔らかさが鮮明すぎる。
びゅるる……♥ びゅっ……♥ びゅぐ……♥ びゅっ……♥ びゅっ……♥ びゅるっ……♥
そうして何度かの痙攣の後、ようやく巴の射精は終わった。
「は、ふぅ……♥♥♥ はぁ……♥♥♥」
ぬりゅん……♡
巴が必死に呼吸を整えている間、瑞樹はゆっくりと乳房から巴のペニスを抜き取る。精液でべたべたになったペニスが姿を現して、精魂尽き果てたように“くたん”と倒れる。
「ほら、巴くん♡ こんなに出たわよ♡」
ぬとぉぉ……♡♡♡
瑞樹の谷間。その肉と肉がせめぎ合う部分が、瑞樹本人によって開かれる。乳房を開いてみせると、その間にねっとりとした精液の橋が架かった。
「うわ……♡ すごいニオイ……♡ 巴くん、すごく濃い精液ね……♡」
「み、ミズキの胸に……出して……♥」
「ええ、そうよ♡ とってもかっこいい射精だったわ♡ それじゃあ、がんばったおちんちんを綺麗にしないとね♡」
そう言いながら、ミズキは再び巴の脚の間に身体を沈める。そして、くったりと柔らかくなった彼のペニスの根本を掴むと、射精したばかりで敏感になったソレへ気を使うようにゆっくりと口の中へ迎え入れる。
「う、ぅう……♥」
「んちゅ……♡ ちゅぱっ……♡ ちゅっ……♡ ちゅっ……♡ ちゅれろ……♡ んっ……♡」
瑞樹の口の中で舐め回される巴の肉棒。まとわりついている精液が、ゆっくりと舌で舐め取られていく。
「み、ミズキ……♥ そがーなもん……き、汚い……♥」
「んちゅっ……♡ ふふっ♡ 優しいのね、巴くん♡ でも、汚くなんてないわよ♡ あ~……んっ♡」
ちゅぱっ♡ ちゅっ♡ ちゅれろ♡ ちゅっ♡ ちゅっ♡ ちゅるりゅ……♡
そうして瑞樹の舌によって舐め回され、射精の汚れを落とされた巴のペニス。
ソレが瑞樹の口の中から解放されたときには、すっかり再勃起が完了しているのだった。
■ ■ ■ ■ ■
「――――ほら、巴くん♡ 見える?♡」
「あ、あ、あぁ……♥」
巴のペニスを綺麗にした瑞樹は、そのままベッドに寝転がる。仰向けで、情けないくらいに大股を開いて。そうして、巴に秘所――女陰を見せつけていた。
巴は釘付けになっている。返事もほとんど生返事。構造や概念は知っていても、今まで見たことが無かった生の女陰。それを目の前で――あろうことか川島瑞樹のを目の当たりにしている。
水着の撮影を控えていたということもあり、瑞樹の秘所は手入れが行き届いていた、整えられている陰毛は、まるでモザイクのようでもあり、それ自体が興奮を煽るアクセサリーのようでもある。縮れることなく、サラサラとした瑞樹の陰毛。それを少しでもよく見ようと、巴はどんどんと前屈みになってしまっている。
「ここが膣――巴くんのおちんちんを、入れるところよ♡」
そう言われると、気が遠くなるほどの興奮が巴を包む。今から、瑞樹の膣穴に挿入する。そのことを想像するだけで、巴は自分のペニスが限界を超えて怒張する感覚を覚える。
「こ、こがーに狭いとこ……は、入るんか……?」
「ええ、大丈夫よ♡」
不安そうな巴に対して、余裕のある雰囲気の瑞樹。その経験の差というか、そういうものが今の彼には妙に刺さる。
「――――ミズキは……こういうこと、初めてじゃあ……ないんじゃろ……?」
だからだろう。巴は、誰も得をしない質問をついしてしまった。
「……うん。そうね」
瑞樹は隠すこともなく、ハッキリと答える。別に、瑞樹くらいの年齢の女性であれば珍しくはないこと。むしろ当たり前と言ってもよいかもしれない。けれど、巴くらいの年頃の少年にとっては、何となくそれが大切なことのように思えてしまうのだ。
「ほうか……」
「――――巴くんは、私が初めてじゃないと、イヤかしら……?」
この部屋の中で、瑞樹が初めて不安そうな声を出した。その声色のせいか、それとも最初から腹に決めていたのか。
「そがーなこと無い!」
巴は、ほとんど瑞樹の問いかけに被せるような勢いで、そう断言した。
流石の瑞樹も、巴の返答の速さには面食らったように目を見開く。けれど、真剣そうにこちらを見つめる巴を見ると、安心したように微笑んで――
「じゃあ、来て……♡」
そう言いながら両腕を広げて、巴を迎え入れるのだった。
「こ、こうで……ええんじゃろか……?♥」
「ええ、そうよ♡」
瑞樹の長い両脚の間に身体を埋めて、巴は自分のペニスを彼女の女陰へ密着させていた。亀頭と粘膜が触れるだけで、頭が茹だるくらいの熱が伝わってくる。
「脚を持っていいから……♡ そう♡ ほら、ココ……♡」
巴は瑞樹の脚に手をかけて、腰を前に突き出そうとする。しかし、いきなり膣穴に挿入などうまくはいかない。それをアシストするために瑞樹が自分の手で、巴のペニスの根本を摘んだ。
ぬちっ……♡ ぬちっ……♡
「んっ……♥ ふぅ……♥」
「そうそう♡ んっ……♡ 呼吸を整えて……♡ 挿入した瞬間に、イっちゃうと、もったいないから……♡」
瑞樹はそう言いながら、巴の亀頭を自分の粘膜の上で往復させる。そうしているうちに瑞樹も高ぶってきて、だんだんと粘膜の表面に愛液を浮かべてくるのだ。
「ふぅ……♥ ふぅ……♥」
「は、んっ……♡ ふぅ……♡ そろそろ、大丈夫かしら……?♡ それじゃあ……来て、巴くん……♡ 腰を、前に出して……♡」
「お、おう……♥ んっ……♥ んぁ……ッ♥」
ぬちゅっ……♡ ぬちゅるるる……♡
「ッ、っくぅぅ……♡♡♡」
巴がゆっくりと腰を前に出す。あれほど小さくて狭い瑞樹の膣穴だが、それでも巴のペニスを受け入れていく。むしろ捕食していくと言っても過言ではない。
「あっ……♥ あつ、い……ッ♥♥♥」
思わず巴が呻いた。瑞樹の膣穴は恐ろしく熱い。素肌と言うよりも、内臓の熱だ。それがダイレクトに伝わってくる。巴は思わず、瑞樹の脚を掴む手に力を入れる。
対する瑞樹も、挿入されてくる巴のペニスを感じて甘い吐息を漏らした。自分の慕ってくれる少年のペニスを飲み込んでいる――しかも、生で。興奮のあまり巴が思考を割けていない部分も、瑞樹を高ぶらせる理由の一つになっていた。
「ハァ……♥ ハァ……♥ み、ミズキ……♥ すごい……♥」
「え、ええ……♡ そうね……♡ 私も、驚いちゃった……♡ そのまま、ゆっくり動いてみて……♡」
「お、おう……♥」
ぬっちゅ……♡ ぬっちゅ……♡
「くぁ……ッ♥♥♥」
言われるがままに動く巴。それだけで、今でも感じている快感が何倍にも膨れ上がった気がした。瑞樹の膣穴が、巴のペニスを撫で回す。ナカの様子は巴には当然一切わからない。けれど、今や巴の全身の内で一番敏感な器官となったペニスは、驚くくらいダイレクトに瑞樹の膣内の様子を巴に伝えてくるのだ。
「と、巴くん……♡ どう……?♡」
瑞樹は巴に質問する。別に本当に感想を聞きたいわけではない。ただ、自分のナカのことを語る巴の様子が見たいだけなのだ。
「ッ……ふぅ……♥ よ、よう……わからん、が……♥ ひ、ヒダヒダが……ならんどる……♥」
「ふふっ♡ 敏感になってるのね……♡」
「そ、それと……♥ お、奥ん方に……♥ つぶつぶも、あるがーじゃ……♥」
「気持ちいい?♡」
「お、おう……♥」
「それじゃあ、ゆっくり……腰を前後に動かし続けてみて……♡ 私が手伝ってあげるから……♡」
ぎゅぅ……♡
そう言うと、瑞樹は両脚で巴を包み込むように抱きしめる。こうなれば、巴はどう頑張っても、腰を引いてペニスを抜くことが出来なくなってしまうのだ。
ぬちゅっ♡ ぬちゅっ♡ ぬちゅっ♡ ぬちゅっ♡
「んっ♥ っくぅ♥ ぁ♥ ふぅ……♥ ふぅ……♥」
「あら、巴くん♡ 腰が止まっているわよ?♡ ほら、こうやって……ぎゅっと……♡」
ぬちゅるるる……♡
「っくぅぅぅ……♥ み、ミズキ……♥」
「頑張って、巴くん♡ ほら、頑張れ♡ 頑張れ♡」
「お、おぉ……おぅ……♥」
ぬちゅっ♡ ぬちゅっ♡ ぬちゅっ♡ ぬちゅっ♡
瑞樹に励まされて、巴は腰の動き少しずつ速めていく。快感はすでにマックスだ。ペニスは瑞樹の愛液まみれにされてトロケてしまいそうだし、挿入する度にヒダが巴を迎え入れて、抜こうとすると拒むようにまとわりついてくる。
けれど、もう巴の腰も止まらなくなってくる。まるで夢中になるように、瑞樹のナカを味わおうとする。そうしてくると今度は、先ほどまで遠慮と加減で届かなかった奥の方まで、巴のペニスが届くようになっていくのだ。
「んっ……♡ んっ……♡」
ぐにゅっ……♡♡♡
「あンッ……!?♡」
それまで控えめに、若いペニスの感触を味わうように喘いでいた瑞樹だが、その声がぴょんと跳ねる瞬間があった。巴のペニスが、偶然瑞樹の奥の一番気持ちいい部分をつついたのだ。
そして、それを見逃す巴ではなかった。
「ミズキ……♥ こ、ココが、ええんか……?♥」
(あっ……♡ だ、だめ……♡ 巴くんに気持ちいい場所バレるの……恥ずかしい……♡)
咄嗟のことに、流石の瑞樹も何も言えない。真っ赤な顔で黙るだけ。けどその所作は、何よりも如実な肯定だった。
「ほうか……♥ ミズキにも、きもちようなって……ほしいからの……♥」
巴が初めて体勢を変えた。今まで瑞樹にエスコートされるように両脚で抱かれながら腰を振っていた巴が、自分から瑞樹に覆い被さるような体勢になる。腕をベッドに突いて身体を支えて、その整った顔立ちで瑞樹を見下ろすような体勢だ。
「あっ……♡ と、巴くん……♡」
「ミズキ……♥ わしももう、辛抱できん……♥」
ずちゅっ♡ ずちゅっ♡ ずちゅっ♡ ずちゅっ♡ ずちゅっ♡ ずちゅっ♡
「ん、んん……ッ♡♡♡」
巴の腰が、先ほどの自信なさげで遠慮がちな動きとは打って変わって積極的に動き始めた。思わず瑞樹が声を漏らしてしまうくらいの勢いだ。
初めての挿入、そして目の前で気持ちよくなってくれている想い人。そういった状況に“がっついている”とも言える。決して巧みな動きではない。だが、十三歳という若い肉体から溢れてくる性欲をそのまま叩きつけられるのは、瑞樹にとっても決して悪い気分ではなかった。
ずちゅっ♡ ずちゅっ♡ ずちゅっ♡ ずちゅっ♡
瑞樹の身体が揺れる。巴の腰の動きに合わせて、なすがままだ。脚は巴にからみついたままだが、それはピストンを手伝うのではなく、ただ愛しい雄を逃がすまいとする雌の本能だった。
ぽたっ……♥ ぽたっ……♥
瑞樹の身体に巴の汗の滴が落ちる。必死に腰を振っている巴の様子がたまらなく愛らしい。少年と少女の中間のようだった相棒が、明らかな男に変わっていく瞬間だ。それを感じる度に、瑞樹は自分の下腹部が疼いて仕方ない。
「ミズキ……♥ ミズキ……♥」
巴に何度も名前を呼ばれ、自分のナカで暴れ回るペニスの様子から、ミズキは彼の限界が近いことを察した。
「ミズキ……わし、もう……♥」
「いいのよ、巴くん……♡ 出して……♡ 私のナカに、全部ちょうだい……♡ もっと、ぱんぱん、って腰を打ち付けていいから……♡ 最後は、奥に、ぜんぶ……♡」
「お、おう……♥」
ぱんっ♡ ぱんっ♡ ぱんっ♡ ぱんっ♡ ぱんっ♡ ぱんっ♡ ぱんっ♡ ぱんっ♡
言われたとおりに腰の動きを加速させる巴。奥をかき回されるような状態になり、瑞樹は自分の中の理性が白く塗りつぶされていくのを感じていた。
ビクッ……♥ ビクビク……♥
「ミズキ、もう……ッ!♥」
「出して……っ♡ 全部、ナカにっ……♡♡♡」
びゅる……っ!♥♥♥
「ッ~~~……♡♡♡」
ぶびゅるるるるる~~~♥♥♥ びゅるるるるる~~~♥♥♥ どびゅるるるるる~~~♥♥♥ ぶびゅるるるるる~~~♥♥♥ びゅぶりゅるるるる~~~♥♥♥ びゅるるるるる~~~♥♥♥
「あッ、っくぅぅうぅ……♥♥♥ いかん……♥♥♥ とま、らん……♥♥♥」
(勢い、すごい……♡ 奥に全部当たってる……♡♡♡ 子宮のナカに、精液全部流し込まれてる……♡♡♡)
びゅるるるるるる~~~♥♥♥ ぶびゅるるるるる~~~♥♥♥ びゅるるるる♥♥♥ ぶびゅるるるる♥♥♥ びゅるるる♥♥♥ びゅびゅるるるる~~~♥♥♥
(ミズキんナカ……動き回って……♥♥♥ 搾られる……♥♥♥)
びゅるるる……♥♥♥ びゅるるる♥♥♥ びゅっ……♥♥♥ びゅるる……♥♥♥ びゅるっ……♥ びゅっ……♥ びゅびゅっ……♥
そうして長い長い射精が終わる。巴はもちろん、ミズキでさえも経験したことがないくらい長い射精だ。熱い精液はまるでミズキのナカでスライムのように存在感を放ち、子宮のナカでたぷたぷと波打っている。
「はぁ……♡ はぁ……♡ ふふっ……♡ 格好良かったわよ……巴くん……♡」
ぎゅぅ……♡
「ミズキ……♥」
射精の衝撃で腕がガクガクと震えている巴だったが、それでも倒れ込まないように歯を食いしばって踏ん張っている。そんな巴を受け入れるように、瑞樹は仰向けになったまま、彼を抱きしめたのだった。
巴も、別に恥ずかしがるような素振りは見せなかった。むしろ甘えるように――というよりも、自分が手に入れた女のニオイを確かめるように、瑞樹の胸元に顔を埋めていたのだった。
「――――いかん、また大きくなっちゅーが……♥」
「じゃあ、次はどうしようかしら……♡ ねえ、こんなのはどう……?♡ 私が、こうして四つん這いになって……♡」
「み、ミズキ……♥ こがーな格好、犬みたいじゃ……♥」
「いいじゃない♡ 犬みたいに、たくさんたくさんセックスしましょう♡」
「お、おう……♥ そいじゃ……んっ……♥」
ぬぷっ……♥ ぬちゅるるるる……♥♥♥
「ッ……♡♡♡ そ、そう……♡ いい感じよ……巴くん……♡」
(これ、正常位よりもずっと奥に入る……♡♡♡ カタチ、ぜんぶわかっちゃう……♡ ま、まずいかも……♡♡♡)
ずちゅっ♡ ずちゅっ♡ ずちゅっ♡ ずちゅっ♡
「ミズキっ♥ ミズキっ♥」
「んっ♡ んっ♡ あんっ♡ んっ♡」
(やっぱり、奥まで全部入ってる……♡ 私に覆い被さって、巴くんが必死に腰振ってる♡ 体重を必死にかけて、私が逃げないようにしてる♡ ッ……♡♡♡ 赤ちゃん作る気なんだ♡ 生とか気にしている余裕ないはずなのに……本能で私と赤ちゃん作ろうとしてるんだ……♡♡♡)
「ミズキ……ッ♥♥♥ また出る……♥♥♥」
「いいわ♡ 出して、巴くんっ♡♡♡」
ぶびゅ~~~♥♥♥ ぶびゅる~~~♥♥♥ ぶびゅるるるるるる~~~♥♥♥ ぶびゅるるるる~~~♥♥♥
「み、ミズキ……♥ でとる……♥ ミズキに搾られとる……♥」
(奥、流し込まれてるみたい……♡ さっきの精液だって残ってるのに、まだまだ入ってくる……♡ 頭くらくらしちゃう……♡ あつい……♡ あつい……♡)
「み、ミズキ……♥ どがーしたんじゃ……?♥」
「ん?♡ そうねぇ……♡ 私だけされっぱなしだと悔しいし、今度は私が上になろうかなと思って♡」
「そ、そがーな目で見下ろされると……わし……♥」
「ん~?♡ どうしたのかな~?♡ 別に、怖いことをするんじゃないのよ♡ これから巴くんを……私が、騎乗位でめちゃくちゃにしちゃおう……ってだけなの♡ 幸い、巴くんのおちんちんは三回射精してもまだ元気だしね♡」
ぬちっ……♡
「んっ……♥」
「ほら、どう?♡ 自分から入れるのと、腰を落とされて挿入されるのとじゃ、ぜんぜん感触が違うでしょ……?♡」
「お、おう……♥」
「さっき巴くんは私のおまんこのこと、奥がつぶつぶになってるって言ってくれたけど……♡ そのつぶつぶで、巴くんのおちんちんの先っぽを思いっきりこねてあげるわね……♡」
ぬちゅっ……♡ ぬちゅっ……♡
「あう……っ♥ み、ミズキ……♥」
「ふふっ♡ さっきまであんなに格好良く腰を振ってたのに……可愛いんだから♡ ほら、ここはどう?♡ 巴くんは、乳首でも気持ちよくなれるのかしら……?♡」
かりっ♡ かりっ♡ くにっ♡ くにっ♡
「ふっ、うぅぅ……っ♥♥♥ んっ♥♥♥ ん、っくぅぅぅ……♥♥♥ ふぅ♥♥♥ うぅ♥♥♥」
「あら♡ 必死に声出すの我慢して可愛いわね♡ 腰動かしながら、乳首もたくさん気持ちよくしてあげるからね……♡ んちゅっ……♡ んちゅるれろ……♡ ちゅぱっ……♡ ちゅっ……♡ ちゅっ……♡」
ぱんっ♡ ぱんっ♡ ぱんっ♡ ぱんっ♡
「み、ミズキ……っ♥♥♥ ミズキ……♥♥♥」
「イっちゃいそうかしら?♡ 乳首でもたっぷり気持ちよくなりながら、騎乗位で精液出しちゃいそう?♡ いいわよ、出して♡ たくさん、出してちょうだい♡ ほら、びゅ~♡ びゅ~♡ びゅびゅびゅ~~~♡」
「ッッッ~~~……!!♥♥♥」
びゅびゅるるるるる~~~♥♥♥ びゅるるるるる~~~♥♥♥ ぶびゅるるるるる~~~♥♥♥ どびゅるるるるる~~~♥♥♥ ぶびゅるるるる~~~♥♥♥
「んっ……♡ 出てる……♡ 精液、たくさん……♡ 全部出来るまで、腰ずっと動かしてあげるわね……♡」
「ミズキ……♥ 腰、ぐりぐり回されたら……ッ♥ わし……ッ♥」
「ほら、全部……♡ 全部出して、巴くん……♡」
――――結局のところ、巴と瑞樹の交わりは夜が明けるまで続いた。
そしてその数ヶ月後、瑞樹は巴やプロデューサーの前から忽然と姿を消したのだった。
■ ■ ■ ■ ■
(えっと、今日の予約は……)
「――ミズキ……ッ!」
スマートフォンの予定表に視線を落としていた女性――川島瑞樹は、背後から名前を呼び止められて思わず足を止めた。少しばかり懐かしいイントネーションと声色。そのまま無視して歩を進めることもできたが、なぜか足は動かなかった。
「ミズキ、ずいぶんと……探したんじゃぞ……」
瑞樹が振り返る。赤い髪の少年――村上巴がいた。
「久しぶりね、巴くん……。まさか、見つかるなんて……」
「……あんまり気は進まんかったが、うちの若い衆を使ったんじゃ」
巴の言葉に瑞樹は少し驚いた。彼は私事に家の力を用いるのをひどく嫌う人間だ。その矜持を曲げてまで、瑞樹を探し出したかったのだろう。
「ミズキ……なんで……」
いなくなったんじゃ、と巴が言葉を紡ぐより速く、瑞樹が口を開いた。
「ごめんなさい。デキちゃったの」
「……え?」
予想もしていなかった答えに、巴が今度は面食らう。瑞樹は自嘲気味に微笑んで、何があったかをすらすらと語った。
まったくの油断だったが、あの夜の交わりがキッカケで妊娠してしまったこと。巴や事務所に迷惑をかけることは出来ないので、一人で産もうとしていること。しばらく経ったら、ちゃんとみんなには謝ろうと思っていたこと。
そんなことを、大人としてずるいくらいの感傷の無さで語る瑞樹。想いはたくさんあるが、それを見せても巴には迷惑だろうと、瑞樹は自我を殺しながら離していた。
だが――
ずんずん、と大股で近づいてくる巴。思わず瑞樹が後ずさりしてしまうような気迫。そうして、ふざけるなと殴られでもするのかと身構えた瑞樹を、巴は強く強く抱きしめた。
「でかした、ミズキ……っ!」
「え……?」
何が起きたか理解できない瑞樹。そんな彼女の背中を、巴が優しくさする。
「わしが……わしが十八になったら、必ず結婚する……。じゃから、それまではわしの屋敷で住んどってくれ……。わしの子供じゃ……面倒も、一緒にみるんじゃ……」
「ちょ、ちょっと……巴くん……。そんな……巴くんの、アイドルの邪魔に……」
「ならんッ!」
巴は瑞樹の迷いとか遠慮とか、そういう全てを消し飛ばすくらいの強い力でそう言った。
そのあまりの向こう見ずさ、まっすぐさに、瑞樹は思わず苦笑してしまう。そして少しだけ迷った後、巴の背中に腕を回すのだった。
「もう、馬鹿ね……巴くん……。男の子、って感じよ……」
「おう、そうじゃ。わしは、男じゃけんのぉ」