1.100倍巨人の襲来
街の中心に、超高層ビルが林立している大都会。
競い合うように天へ伸びる金属とガラスの塔が張り巡らされて、その輪郭を朝の光が差し込み、反射した陽光が通りへ落ち、行き交う人影を細長く引き延ばす。
高架を渡る車両の低い唸り。歩道に溢れる広告の電子音。遠くで引き裂かれるようなサイレン。
都市は呼吸してと錯覚するほどの喧騒がそこにはあった。
都心を起点に、放射線状に広がる中層ビルと雑居ビル。
その隙間を縫うように地下鉄と道路が走り、毛細血管めいた網を張り巡らせていた。巨大で、過密で、息苦しい大都会。
地上では人が流れ、自動車が絶え間なく吐き出される。
その一角、白と黒のメイド服に身を包んだ少女エレナは立ち止まり、ため息めいた息を空へ逃がした。
(わざわざ来てみれば……結局は、この程度ですか)
視線の先にあるのは、どこかで見たような建造物ばかり。
文明の成熟を誇示するには、あまりにも凡庸な景色だった。
ここは惑星アルヴァークを代表する大都市のひとつ。
かつて王家の一員セレスティアと、その従者である自分に無礼を働いた報いとして、玩具にされ、潰えた戦艦。その母星だ。
恒星間航行を実現する文明なら、もう少し目を引くものがあるかと思ったが……。
彼女の瞳に映るのは、銀河全体で見れば中程度。特徴のない、文明社会のテンプレートでしかない。
(ですが……)
エレナの口元が、わずかに歪む。
(あのお方が来てくだされば、話は別)
面白みのない街。
だからこそ、壊し甲斐があるといもの。
不穏な笑みを隠すこともなく、エレナは雑踏へ溶け込むように歩いたそのとき……。
ズゥン......!低く、重い音が辺りに響く。空気そのものが震え、街全体が軋むような感覚。
「……来ましたか」
呟いた直後、遠方から悲鳴とざわめきが雪崩れ込んできた。
反射的に顔を上げると、そこにあったのは、常識を踏み越えた光景。
高層ビルと肩を並べ、あるいは見下ろすほどの巨大な女性が聳えている。
都市の只中に、唐突に現れた“存在”。
それは人型でありながら、あまりにも巨大。
堂々と、揺るぎなく、そこに立つ。
背中まで流れる銀色の長髪が風を孕み、白磁のような肌。
鋭く澄んだ青い瞳。白いブラウスに、紺色のタイトスカート。
服越しでも隠しきれない、豊かな曲線。
黒いストッキングに包まれた脚、膝下まで伸びる白いブーツ。
街が凍りつく中で、エレナだけが、恍惚とした表情でその巨影を見上げていた。
「あぁ……セレスティア様。なんと、素敵な……」
エレナがそう呼んだ“彼女”は、見た目だけなら若い女に過ぎない。
だが、その隣に立つ高層ビルが180メートルあるにも関わらず、それを越えている大きさ。つまり彼女は190メートル近くあるのだ。
街の中で100倍に引き伸ばされた肢体は、もはや人体という範囲に留まらない。
見上げた先にある顔や肉体が空を遮る影となり、人間たちに己の矮小さを刻み付ける。
周囲の建造物を従え、見下ろすというより、選別するかのように都市を眺め回す巨大な存在。セレスティアは、静かにそこに立っていた。
『……来てみれば、この程度か』
低く、けれどよく通る声。
その一言が、街全体を嘲る刃となる。
次の瞬間、彼女の左足がゆっくりと持ち上がった。
逃げ場を探す間もなく。影が覆い、空が消えると、それは落ちてきた。
ずゥゥゥゥン、と臓腑を叩く衝撃。
大地が沈み、空気が裂け、音が遅れて追いついてくる。
視界の端でビルが紙細工のように潰れ、砕け、粉塵となって舞い上がり、炎を噴いた車両の黒煙が逃げ惑う人々を包み込む。
現実であることを拒んでいた人々の意識は、揺れと轟音によって無理やり引き戻された。
どこからでも叫び声が上がる。押し合い、へし合い、転び、誰かに踏まれる。
だが、上空に聳える影は、そんな地上の混乱など初めから数に入れていない。
ズン……
ズン……
一歩ごとに、都市が悲鳴を上げる。
地面を伝ってくる震えは、足元から骨へ、骨から心臓へと忍び寄り、人間がいかに脆いかを執拗に教えてくる。
巨人セレスティアははるか上空で微笑んでいた。
楽しげに。慎重にすら見える足運びで、密集した建物と人の流れを選び、踏む場所を探しているようだ。
より多くのものを踏み潰すために、巨人は意図的に群衆が集まる場所に脚を踏み下ろす。
逃げる者にとって、その歩みは災厄そのものだった。
しかし彼女にとっては、ただの散策。
靴底が触れるたび、街は形を失い、命は音もなく消えていく。
「……ふふ、こんな退屈な街も、セレスティア様がいらっしゃれば、ようやく面白くなりますわね」
エレナは微笑みを浮かべたまま、恐怖に支配された群衆の流れに逆らい、ただ一人、巨大な影へと歩みを進める。
「わたくしも……見上げる側に回る機会は、そう多くありませんもの。もっとよく見えるところへ参りましょうか」
踏みしめられる都市の悲鳴を背に、彼女はゆっくりと前へ出た。
空を覆う存在を、愉しむように。
***
都市が震撼する中、ただ一人だけセレスティアだけが平然と歩いていた。
高層ビルの森を見下ろすその視線には、自分と街を見比べて、出来の良し悪しを確かめるように楽しむように。
人間たちが年月を積み重ねて築いた街。
それは、彼女の白いブーツに触れた瞬間、卵殻のように砕け散る。
踏み出すたびに粉塵が立ち、構造物は意味を失い、形だけが崩れ落ちていく。
この街に立つ自分の姿は周囲に比べて圧倒的であり、まさに“巨人”である。
6車線の大通りですら、両足を揃えれば余白はほとんど残らない。
路上には放棄された車列が連なり、その隙間を必死に走る人間たちが見える。
彼らは玩具のような車より小さく、地面に蠢くそれらは、もはや“虫けら”でしかなかった。
そんな小さな人間たちの真上にセレスティアは、脚を上げた。
白い靴底が影を落とし、次の瞬間、衝撃が大地を叩く。空気が歪み、衝撃波が波紋となって広がった。
ヒールがアスファルトへ深く沈み込み、ガラスが一斉に砕け散る。
逃げ遅れた人影は、塵のように跳ね飛ばされて、動かなくなる。
セレスティアは胸のうちに溢れる優越感に浸りながら、脚を持ち上げると、踏み固められた足跡の中で、潰れた車体が折り重なっていた。
足跡の底面には原形をとどめていない人間と思われる物が赤い鮮血が滲んでいる。
「くく、そんなところをうろついているから踏み潰されたんだぞ?」
セレスティアは愉悦を隠さない口調で嗤うと、今度は反対の脚を持ち上げ、目の前の10階建てほどの商業ビルに向かって叩き落した。
グシャァアア!!
耳をつんざくような破壊音とともに、ブーツの底がビルの屋上に炸裂すると、鋼鉄とコンクリートで構成された建築物は一瞬にして、木っ端みじんに弾け、建物は一瞬で質量を失った。
立ちこめる煙が晴れたあと、そこに残ったのは、威圧的に鎮座する白いブーツだけだった。
周囲の建物は、どれも彼女の履物以下の存在でしかない。
軽く触れただけで倒れ、踏めば終わる。セレスティアにとって全くの価値のないもの。せいぜい踏まれるために存在しているようなものだ。
その下を走る人間など、どこに足を下ろしても踏みつぶすことのできる、取るに取らない存在でしかない。
「このサイズで街を歩くというのも中々悪くないな……くくっ、もっと愉しませて貰うぞ」
低く響く声とともに、彼女は歩を進める。
踵が落ち、靴裏が道路幅いっぱいに広がり、雑居ビルが踏み躙られる。
ただ歩いているだけで、都市は削られ、命は消えていく。
巨人は愉快そうな表情を浮かべて視線を巡らせれば、ほとんどの建物が腰にも届かない。
その足元で、群衆が必死に逃げ惑っている。セレスティアから見て虫けらサイズの群衆は巨大な足から逃れようと必死に走っている。
彼らが必死に逃げていると、白い巨塔が空から落ちてきてきた。ズンっと、重い衝撃に尻餅をついた者たちが、恐怖に歪んだ顔で空を仰ぐと、彼らの目に女巨人ブーツを振り上げている光景が映る。
黒いストッキングに覆われた巨大な脹脛からふくらはぎ、太もも、ミニスカートに包まれたお尻……まるで雲の上にあるかのような脚が、ゆっくりと動き出すのを見て、本能が理解する。
だが、逃げる時間は与えられない。
そして、無情にも靴底が落ちてくると、嫌な音が地面に広がった。
セレスティアは、誇示するようにその身体を晒しながら、遅すぎる足並みで逃げる人々の頭上に次々と足を落としていく。
流れる銀髪、ブラウスの生地を盛り上がげている豊満な胸。窮屈そうにスカートに収まる丸いお尻、強靭さを感じる太ももと、引き締まった脹脛、滑らかな曲線を描く足首……それ自体は、目を奪うほど美しい。
だが、その美は、ありとあらゆるものを踏み潰す破壊を撒き散らす存在だった。
巨大な姿で歩き回れば、あちらこちらに破壊をまき散らし悲鳴と怒号が入り乱れる。
しかし彼女自身はそれを特に気にする様子もなく、むしろ自分がもたらす破壊を楽しんでいる様子であった。
「虫けら同然のような連中が、いったい何処に逃げるつもりなのか……ふふっ、まあいい、貴様らがどう足掻こうと変わらぬさ」
巨人の放つ嘲笑と共に響くのは、悲鳴と轟音が混ざり合い、街は一つの音に還元されていく。
彼女が歩く度にアスファルトは罅割れ、雑居ビルは紙屑のように踏み潰される。
歩幅75メートルという圧倒的な移動速度でビル群の中をまっすぐに突っ切るように巨体を揺らしてのし歩く。
ビルとビルの隙間は巨人セレスティアにとって狭い空間だ。左右に並び建つビルは彼女の体が通るスペースを僅かに開けているだけ。
そんな狭い路地のような空間を、彼女は止まることなく、その巨体をビルの隙間にねじ込む様に入っていく。
巨大な肉体は張り出した腰から建物の側面に触れてしまう。だが、たったそれだけのことなのに、触れただけで外壁はビキビキと亀裂を走らせ、腰がかすれば建物は傾く。だが、それでもセレスティアが通るにはまだ狭い。
「私が通るには狭いな。道を開けろ」
彼女の左手が伸び、屋上を覆う。指が沈み、軽く力を入れるだけで、ビルは根元から折れた。
反対側では、タイトスカート越しの丸みが集合住宅を擦り、へし折ってしまった。
自分が割り入ったことで崩れゆく建物の様子を一瞥しておきながら、セレスティアは何も言わずにそのまま通り過ぎる。
彼女にとってこの程度、単純な障害物除去作業ぐらいの認識でしかないため、単に自分の歩行の邪魔になるモノを取り除いただけのつもりなのだ。
他にも行く手を塞ぐ高架道路に、煩わしげな視線を送るとブーツを持ち上げ振り下ろした。
本来、鋼鉄の骨組みに頑丈なコンクリートを擁する頑強な造りであるはずの高架道路。
しかし彼女の一踏みはまるで薄紙を踏み抜くかの如く、一瞬で鋼鉄の骨組みを変形させ、道路の橋桁部分を踏み抜いて地面に叩きつけると、橋桁が叩き潰され、車両の残骸が宙を舞う。
「おっとすまない……邪魔だったから、つい道を開けさせてもらった」
彼女はその惨劇に対して謝罪するどころか、むしろ愉快そうに笑い声を漏らして、踏み残した高架部分も徹底的に粉砕する。もちろんそこを通っていた車や人間は彼女の足により徹底的に踏みにじられ、原型すら留められない形となった。
路上で逃げ惑う人々の悲鳴は、巨人セレスティアの巨大な足音によって掻き消され、轟音とともに彼女のブーツが地面を踏みしめる度に、逃げ遅れた人々や自動車が宙を舞い、瞬く間に血飛沫と共に赤い斑点を作り出す。
歩くだけで甚大な被害を与えていくセレスティア。しかしそれでもまだ巨大な彼女の蹂躙はさらに続く。
鼻歌まじりで都市内を闊歩し、未曾有の大災害を引き起こしながら街を蹂躙しているセレスティアは走っている電車を見つけた。
避難民を詰め込めるだけ詰めて駅から出たばかりの列車は、巨人から早く逃げるため規定速度を大幅に無視して走っていた。
しかしその姿は、巨人の青い瞳にはミミズが地面をのたうちまわっているように遅く滑稽に映る。
「ふん、そんなものに乗って逃げられると思っているのか?」
彼女は少しのあいだ電車の行方を目で追ったあと、再び鼻歌を歌いながら歩き出した。彼女が線路沿いの家々を蹴散らしながら、1歩、2歩と電車との距離を詰めていく。
電車の乗客たちは、無数の建物たちを踏み潰しながら自分たちの乗る電車に迫ってくる巨人を見上げていた。
徐々に迫ってくる恐怖。人々の乗る電車が時速120kmを叩き出していると言うのに、どんどん巨人が近づいてくる。しかも巨人は悠然と歩いているのにもかかわらずである。
あっという間に電車との距離は数歩まで詰められ、逃げ場のない電車が巨人に捕捉されてしまった瞬間だった。
「そんなに急いで何処へ行くんだ?まったく忙しない奴らだ」
セレスティアは追い詰めた獲物を見定めるかのように電車を見下ろすと、それを追い立てるようにわざと狙いを外して巨大な足を振り下ろした。
ズドオオオオンン!!
ブーツのつま先部分が線路の真横にあった住宅地を踏みつけ、刃の如き鋭いヒールが地面を抉る。
その衝撃は凄まじく、住宅街は瞬時に灰燼に帰しただけでなく、付近一帯の建物を根こそぎ吹き飛ばし、そして、地震の如き振動が大地を激しく揺らし、地震のごとき振動を伴って地響きと爆風が電車を震わす。
それでも電車は脱線しそうになりながら走り続けた。いつもなら非常停止するような揺れだが止まるわけにはいかない。止まれば巨人の餌食になってしまうからだ。
「ほら、どうした?もっと早く逃げないと踏み潰してしまうぞ?」
セレスティアは口元に残酷な笑みを浮かべ、電車を追うスピードを少し緩める。
電車と並走する形になりセレスティアは、わざとらしく足を振り上げ、いつでも踏み潰す事ができるぞと、踏みつぶすフリをして牽制してみせ、嗤いながら電車の後を追っていた。
そして、しばらく電車を追いかけ回したセレスティアは満足したようで、冷酷に歩幅を大きく取り、片足を持ち上げると今まで遊んでいた電車に向けて振り下ろした。
ズン!!!
列車の進行方向数十メートル先に突如現れた白い巨壁、巨人の足。それは前方の線路を完全に踏み潰して塞ぐと、電車は急制動をかけたが勢いを止めきれず、ブーツの側面に衝突し激しい火花を散らしながら彼女の足元に散らばっていく。
「……この私から逃げようなどと思うこと自体が愚かなのだ。貴様らは、我が玩具となる以外の選択肢などないのだからな」
電車の残骸を冷たく見下ろすと、散らばった車両を踏み潰す為に足を上げて振り下ろした。車両はひとたまりもなくペシャンコに押しつぶされ、逃げ遅れた人々も無慈悲に命を奪われた。
最後の一両に差し掛かった時、何かを閃いたセレスティアはしゃがみこんで電車を手に取り握り潰さないようにしながら持ち上げた。
まだ乗っている人がいるか確かめるため窓から車内を覗くと、そこには生き残った人々が震えながら身を寄せているのが見える。
巨人に捕まってしまったことで恐怖に震える人々に、彼女は嗜虐的な笑みを浮かべた。
「これはまた随分とたくさん乗っているじゃないか……貴様らには特別な死に方をしてもらおう」
その言葉を聞いた人々は絶望的な表情を浮かべるが既にどうすることも出来ない。
彼らは巨人の掌の上で震えることしかできない哀れな虫けらでしかないからだ。
セレスティアは掴んだままの電車を自分の口元へ運ぶ。
彼女の形の良い唇が開かれ、中から覗く白い歯と桃色の舌がまるで生き物のように蠢き、そしてその奥には深い暗闇が広がっていた。
囚われた人間たちからは、そのあまりにも巨大すぎる口腔が口内で待ち受ける歯と喉の奥から漂う湿り気のある生温かい空気が否応なしに感じられ、その迫力に圧倒されてしまう。
「どうだ?私の口の中を見る事などそうあるまい?良く見ておくといい」
彼女の紅潮した頬、整った歯並びに大きく開かれた口は全てがあまりにも大きく、人間にとって恐ろしさを感じさせるものであった。
セレスティアはニヤリと笑うと、好奇心に輝く巨大な瞳で舐め回すように彼らを見つめている。口内の湿度と熱気を感じた彼らは、これから自分たちがどのような結末を迎えるのかを悟り恐怖におののいた。
そしてついにその時はやって来る。彼女は電車をさらに自分の口に近づけると、その大きすぎる舌が現れ、ゆっくりと車体を舐め回し始める。
ぺろっ、べろぉぉん……
巨大な蛇のように赤く蠢く舌が、列車の味を確かめるように何度も這いまわり、外装を唾液まみれに汚していく。
唾液が滴り落ちるたびに粘性の液体が光に反射してテラテラと怪しく照り輝き、そして電車の中にまで入り込んできた。
車内に染み出してくる唾液、蒸せる程の口臭が車内に充満した。
「あむぅ、うむ、うむ……ぢゅうぅ」
セレスティアは恍惚とした表情を浮かべ、貪欲に電車を味わっている。その甘美な感覚を堪能するかのように彼女の瞳は潤み、吐息は荒くなり、頬は紅潮していく。
地獄の様な車内の様子とは裏腹にその手付きは電車を弄ぶかのように妖艶で淫靡なものだった。
やがて満足したのか彼女は電車から口を離すと、その先端から糸を引く唾液を絡ませながら呟いた。
「さてと、そろそろいいかな。じゃあ頂くとしようか……あーむっ……」
電車がセレスティアの口に運ばれていき、最後に車体全体を包み込むように唇で咥え込まれ、彼女の口内に飲み込まれた。
だがこれで終わりではない。彼女は咀嚼するようにゆっくりと電車の先端に前歯を立てた。
列車のドア程の歯がねじ込まれると、車体は悲鳴を上げるように歪み、簡単に引き裂かれてしまう。
硬い金属製の車体も、彼女の口の中でまるで飴玉のように砕く。噛み砕いた欠片がさらに細かく粉砕され、口内でグチャリグチャリと不快な音を立てながら、彼女の唾液と混ぜ合わさり泡立つと、それを存分に味わったあとに飲み込んでしまう。
全てを飲み込むと、彼女は喉を上下させて嚥下し、喉から胃袋へと落ちていく感覚を味わいながら恍惚とした表情で、ほぅ、と息をつく。
そして、かじった個所から舌をねじ込むと車内に残った乗客へ伸ばした。彼らに当然逃げ場など無い。
差し迫る舌から逃れようと藻掻く乗客たちは助けを求めて叫ぶが、その声は巨人の口腔内に響くだけで誰にも届かない。
一人、また一人と、艶めかしく動く大きな舌に捕らえられていく。
セレスティアは舌先で彼らを一人残さず丹念に追いかけ回し、やがて舌で掬い上げると口の中に放り込んだ。
口内に入った者たちは柔らかな口腔内の粘膜と唾液のプールに溺れ、喉奥へと吸い込まれるように舌で導かれていくと、彼女の食道を通って胃の中へと落ちていくのだった。
口内で藻掻く人々の感触を味わい尽くすと、残った車体には彼女の唾液の跡が微かに残るだけで、一人もいなくなった。
「んくっ。はぁ~」
口の中のものをゴクリと飲み込んだセレスティアは手の甲で口の端についた汚れを拭い取り、幸せそうな表情を浮かべ、何事もなかったかのように立ち上がる。彼女の胃袋では消化が始まっており、腹部を優しく撫でながら呟いた。
「ふふ、私の肉体の一部となれることを光栄に思うがいい……」
セレスティアは自らの下腹部から鳩尾にかけてのラインを愛おしそうに摩りながら、熱っぽい吐息を漏らすと、誰もいなくなった列車を放り捨て、再び街の中心部へと歩みを進めた。
ピッタリとしたスカートに包まれた臀部を左右に揺らし、ビルを次々に踏み躙っていくセレスティア。
彼女が歩いた後にはブーツの靴型がくっきりと残る深い窪みが残されて、もはやそこにどんな建物や車があったのか全く分からないほどに変わり果てている。
ズシン、ズシン——
破壊の律動を響かせながら街を闊歩していたセレスティアは、ふいに歩みを止めた。
腰を折り、巨大な影を落としながら地表を凝視する。その仕草は、獲物の気配を辿る肉食獣のようだった。
「エレナの気配を感じる……この辺りにいるのか?」
低く呟き、周囲を睥睨する。
林立するビル群は、いずれも彼女にとっては掌に収まる箱庭に過ぎない。
その視線の端に、ひときわ小さな建物が映った。
屋上に、ひとり。
メイド服を纏った小さな影が、そこに佇んでいる。
地上五十メートルほどの高さ——人間にとっては見晴らしの良い場所だが、巨人からすれば太腿の下縁にも届かない。
それでもその小人は、恐怖よりも親しみを湛えた眼差しで、真っ直ぐに彼女を見上げていた。
「……ここにいたか、エレナ」
「はい。セレスティア様の偉大なお姿を、この目で拝見したく……少しでも高い場所を、と思いまして」
恭しく頭を下げるエレナを見て、セレスティアは口元を歪める。
「くく……相変わらず殊勝だな。どうだ、私の勇姿は」
「ええ。あの踏みつけの数々……すべてが美しく、妖艶でした。セレスティア様こそ、完全無欠の女性でいらっしゃいます」
「当然だ。私が美しくないはずがない」
エレナの称賛の言葉にセレスティアは満足げに鼻を鳴らし、ズンッとブーツを鳴らす。
白い靴は周囲のビルを優に凌ぐ巨塔のようで、街並みそのものを従属させているようだ。
これほど踏み荒らしたにもかかわらず、傷一つない光沢を保っているのも、その強大な力の証だ。
「それにしても本当に大きくなられましたね。お美しいですが、ちょっと怖いですわ」
「ほう、そんなに怖いか?」
そう言うや否や、セレスティアはエレナの隣にあった雑居ビルを右手で掴み取った。
拳大の建物は、握り締められた瞬間に悲鳴を上げ、メキメキと音を立てて瓦解する。
だがエレナは怯えなかった。
むしろ、微笑みを深めて言う。
「ええ……でも、それ以上に素敵ですわ。それに、セレスティア様の大きさは……まだまだ楽しみが続きますもの」
「……そうだな。今、さらに大きくしてやる。待っていろ」
瓦礫を払い落とし、エレナの真上へと右手を掲げるセレスティア。
指先から溢れ出す淡い銀光——王族の血に宿る、サイズを自在に操る秘術。
その光に触れたエレナの体はみるみるうちに肥大化し始める。ゆっくりと肥大化する彼女の肉体はビルの屋上を突き破り、さらに巨大化は進む。
ビルのフロアを上の階層から順番に突き破りながらフロアを埋め尽くし、圧迫された構造体が次々と破壊されていく。
やがて十階分を一気に貫いたところで、ビルは内側から破裂するように崩壊した。
成長が止まった時、エレナの身長はおよそ160メートル。
セレスティアより二回りほど小さいが、それでも街にとっては十分すぎるほどに絶望的な大きさで、その圧倒的な体積は彼女が纏うメイド服をパンパンに引っ張っており、胸を始めとする女性的な膨らみがこれでもかと主張している。
「あらあら、もうこんなに大きくなりましたわ……ふふっ、セレスティア様、いかがですか?今の私は?」
「あぁ、十分に巨大な姿だと思うぞ……とても魅力的だ。やはりお前は、どれだけ大きくなっても可愛らしい奴だな」
「ありがとうございます♪」
嬉しげに微笑み、軽く身体を動かして感触を確かめる。
視界に入るものすべてが、矮小で脆い。
見下ろす側に建つ優越感。
それだけで、胸が満たされる。
視線を下げた先には小さな人々がいる。巨人である彼女からは、さながらアリ程度のサイズでしか見えないその人間たちは蜘蛛の子を散らすように一斉に逃げ出し始めていた。
ほんの数秒前には同じ目線にいたはずの彼らを今では彼らが逃げる様をより高い目線で眺める事が出来る。
足元で人間たちが逃げ始めたのを見て、エレナは片足を高く掲げる。
黒いストラップシューズの靴底が、見せつけるように影を落とし、次の瞬間、叩きつけられた。
衝撃波が都市を襲う。
舗装路が隆起し、砕け、何百もの命が一瞬で押し潰される。
「んん……♡ 大きくなるのって、本当に快感ですわ……」
エレナは心地よさそうに吐息を漏らすと、その圧倒的な力の差に歓喜して身を震わした。
そして、先ほど踏み潰した舗装路に刻まれた靴型を見下ろし、満足げに微笑む。
目の前にはまだ大勢の人間がいて、彼女の靴の動きを警戒して道路の端に退避している様子が伺える。
その光景を見たエレナは、自分が踏み潰す側の立場である愉悦を感じると、両脚を交互に持ち上げては地面に叩きつけ踏み鳴らし、小人たちを悠々と跨ぎ、セレスティアの元へと歩いていく。
ズシンッズシンッという衝撃波が伝わり、周囲の建物を揺らし、窓ガラスが割れる音が響き渡る。
アスファルト舗装は蜘蛛の巣のようなヒビ割れが広がり、乗り捨てられた自動車はまるで玩具のように跳ね上がる。
逃げ遅れた人々は、彼女が繰り出す踏みつけの揺れに足を取られ、飛び跳ねる車や降り注ぐガラス片に巻き込まれて悲鳴を上げ、逃げ回る事しか出来ない。
エレナは街に甚大な被害を与えながら悠然と足を進め、セレスティアの傍らまでやってきた。
「お待たせしました。セレスティア様……♡」
エレナはセレスティアの前まで来ると、その勢いのまま彼女の巨体に抱きついた。
お互いの大きな身体が密着しあい、二人の柔らかくて豊かな乳房と肉付きのよい四肢がむにゅむにゅと変形して押し付け合い、心地の良い感触と甘い香りに満ちた空気が二人の間を包み込む。
「次は……どちらへ?」
「ふふ……一番栄えている繁華街だ」
指を絡め、肩を寄せる。
行き先を聞き、期待に満ちた表情で大きく頷くエレナ。二人は指を絡ませて手を繋ぐと、肩を寄せ合いながら仲睦まじく歩く。
二人の巨体が一歩ずつ歩くたびに大地が震え、その振動は広範囲に伝播し街全体を揺るがす程のものだ。
二人の一歩ごとに、街は震え、壊れていった。
2.1000倍になって……
『―――現在、正体不明の超大型生命体が二体、市街地を進行中です』
テレビ局のスタジオでは、男女二人のアナウンサーが硬い表情のまま緊急速報を読み上げていた。
途中、その声を遮るように、現場からの映像が入ったとのことを伝え画面が切り替わった。現場映像には手持ちカメラ特有の激しい揺れが映る。
カメラは何度も上を仰ぎ、ビルの縁をなぞり、ようやく焦点を合わせる。
そこに映ったのは・・・壁。
いや。
街そのものを見下ろす、二体の巨人の姿だ。
銀髪をなびかせ、白を基調とした装いの女。その隣に、漆黒の影のように寄り添うメイド服の女。
画面いっぱいに収まりきらない二つの肉体は、遠く一キロ以上離れているはずなのに、圧倒的な存在感で迫ってくる。
長く流れる銀髪に整った顔立ちをした巨人は、白いブラウスは胸元を大きく開らかせ、巨大で豊満な乳房の谷間が、布という拘束を嘲笑うかのように露出している。
タイトスカートはもはや腰に引っかかっているだけで、太腿の大半が剥き出しだ。
黒のストッキングに包まれた脚が持ち上がるたび、ヒール付きの白いブーツが唸り声のような音を立てる。
ズウウウウン!!
振り下ろされた一歩で、地面が沈む。
舗装路が砕け、建物が傾き、衝撃が遅れて映像を揺さぶった。
その隣を歩くのは、漆黒のメイド服を纏った巨人。
肩までの黒髪、宝石のように妖しく光る紫の瞳。
身長は銀髪の巨人より低い。だが、肉の量感はそれを補って余りある。
胸部と臀部は重力を誇示するように張り出し、スカートは常に持ち上げられ、白い太腿が露わになっている。
一歩ごとに、肉が揺れ、服が引き伸ばされ、その振動が周囲の建物を内側から破壊していく。
アスファルトが裂け、車両が跳ね、粉塵が噴き上がる。
彼女たちが歩く、それだけで街は壊れていった。
カメラマンは震える手でズームを調整し、その凶悪な光景を必死に捉えようとする。
二体の巨女は明確にこちらへ向かって進んできていた。
白いブーツが、進路上のビルを蹴り潰す。
続いて、黒いストラップシューズが、意思を持つかのように同じ場所を踏み抜く。
建物は原型を失い、街は踏み跡に変わる。
『―――っ、うわああ!!』
カメラマンの悲鳴と同時に、画面が大きく跳ねた。
次の瞬間、白革の靴が視界を覆う。
銀髪の巨人のブーツだ。
山のようにそびえるその靴底は、ヒールだけで五階建ての雑居ビルを超える高さ。
それが持ち上がった瞬間、カメラはその裏側を余すことなく映し出した。
瓦礫、ガラス、金属片。
押し潰され、圧縮された車両らしき塊が、靴底に張り付いているのがはっきりと分かる。
続けざまに、黒髪の巨人の黒いストラップシューズが迫る。
25メートルを優に超える靴底が画面いっぱいに広がり、落下した。
轟音。衝撃。
空が暗転する。
二つの巨体が頭上を通過し、画面は完全に影に沈んだ。
彼女たちは、こちらを一瞥もしない。
談笑するように視線を交わしながら、ただ通り過ぎるだけだった。
その最中もカメラは真上を向けて、巨人たちを取り続けた。
その結果、カメラには二つの巨大な尻が否応なく映り込んだ。
銀髪の巨人の腰から覗くのは、黒い紐状の下着。尻肉の谷間に深く食い込み、張りのある肉の質感を露骨なまでに強調している。
黒髪のメイドスカートは高く舞い上がり、白いパンティが完全に露出していた。
柔らかな布地が肉に密着し、歩くたびに形を変えながら、巨大な臀部の動きを隠すことなく晒している。
左右交互に揺れる二つのヒップ。
破壊と官能を併せ持つ、二つの魅力的な肉体が同じリズムで刻まれていく。
だが次の瞬間、画面が急激に暗くなった。
黒髪のメイドの靴底がストラップシューズがカメラマンめがけて振り下ろされようとしていた。
逃げる余裕はない。25メートルプールサイズの巨大な靴底が真上から降ってきているのだ。
カメラに悲痛な叫び声が空しく響き、落ちてくる靴底がフレームいっぱいになったと同時に画面がブラックアウトした。
轟音とともに画面は黒く染まり、暗転する。そこで映像は途切れてしまい、画面は砂嵐模様に切り替わった。
スタジオは沈黙する。
『……次の映像をご覧ください』
男性アナウンサーの声で、別角度の映像へ切り替わる。
上空から――ヘリコプターによる俯瞰映像だ。
二体の巨大な女が、悠然と街を踏みしめて歩いている。
その歩幅は通常の人間とは比較にならないほど大きく、一歩ごとに足元にあったはずの建造物たちが踏み潰され、跡形もなく破壊されている光景が克明に映し出されていた。
一歩ごとに建造物が消え、粉塵が立ち昇り、街は跡形もなく塗り替えられている光景。
それを楽しげに会話を交わしながら進む巨人たちの姿には、緊張も焦燥もない。
それが日常であるかのように。
『軍の発表では、両者は160から200メートルの体格を持ち、多数の犠牲者が出ているとのことですが、混乱を極めており詳細はわかっていません。詳細な情報が判明次第随時報告されるとのことで、政府としても警戒レベルを引き上げる方針となっています。現場からは以上です』
テレビ画面の左上にはテロップで死者・行方不明者の数が刻一刻と増え続けており、被害規模はさらに拡大の一途を辿っているという情報を女性アナウンサーは深刻な表情で淡々と読み上げていく。
だがそのような絶望的な現状とは対照的に、テレビ画面に映る巨人たちは相変わらず楽しげに街中を歩くように踏みしめ、ビル群を踏みつぶし、練り歩いている。
そして一瞬だけ。
黒髪の巨女が、こちらを見上げたように見えた。
だが、次の瞬間、強烈な風圧がヘリをおそったのか、映像は乱れ、ノイズに飲み込まれて中継は途切れてしまった。
***
ヘリのカメラが捉えていた市街地では、二体の巨影、セレスティアとエレナが、肩を並べるようにして悠然と歩を進めていた。
その進行方向には、ネオンと高層建築が密集する繁華街が広がっている。
二人が一歩踏み出すたび、低く唸るような轟音が街を震わせる。
舗装路は悲鳴を上げ、建物は耐えきれずに軋み、やがて粉塵となって崩れ落ちていった。
逃げ惑う人々の列を見つけると、二人はまるで遊戯に興じるかのように進路を変える。
追い詰め、怯えきったところで足を止め、そしてゆっくりと、確実に、群衆の上に踏み下ろす。
圧殺の衝撃は一瞬で、抵抗のかけらも感じさせず、次の瞬間には悲鳴も存在も掻き消えている。
あるいは、わざと足音を大きく響かせ、彼らの逃走本能を煽り立るだけ駆り立ててから、何事もなかったかのように踏み潰してしまう。
そのすべてが、彼女たちにとっては取るに足らない戯れだった。
「ふふ……やはり、この大きさで歩くのは格別ですわ♪」
エレナは弾んだ声でそう言い、足元のビルを靴裏で軽くなぞるように踏み砕く。
黒いストラップシューズが地面に触れた瞬間、アスファルトは脆い菓子細工のように砕け散り、その下にあった車両や人影は、走馬灯を走らせる暇すら与えられずに消え失せた。
「ああ……何度繰り返しても、飽きるということがない」
セレスティアもまた愉しげに応じ、巨大な脚を前へと運ぶ。
張り出した太腿がビルの外壁を薙ぎ倒し、瓦礫の雨が路上に降り注ぐたび、下方からは断続的な絶叫が響いた。
白革のブーツが地面を踏み鳴らすごとに、衝撃波が走り、逃げ遅れた人々や車両が宙を舞う。
それらが再び地面に叩きつけられる音すら、次の踏み込みの轟音にかき消されていく。
まさに、蹂躙という言葉が相応しい光景だった。
二体の巨人の進軍によって、街は完全な混乱状態に陥っている。
逃げ惑う群衆の怒号と悲鳴、そのすべてを覆い尽くすように、重低音の足音が一定のリズムで鳴り響く。
その遥か上空を、小さなヘリコプターが必死に旋回していた。
報道用の機体だろう。一定の距離を保ちながら、二人の姿を追い続けている。
それに気づいたのはエレナだった。
「セレスティア様……あの羽虫、少々目障りですわね」
巨大な指先が空を指し示す。
高度はあるものの、視界から外れるほどではない。
だからこそ、不快だった。
「身の程を弁えぬ虫けらが、私の頭上を飛ぶとはな……」
セレスティアは低く嘲るように呟き、右手を掲げる。
淡い光が二人を包み込んだ瞬間、彼女たちの肉体は再び、急激な膨張を始めた。
そのスピードは凄まじく、見る見るうちに肉体は大きくなっていき、建物を跨いでいた脚は、やがて街区そのものを覆い尽くすほどに巨大化する。
膨張する四本の脚に押し潰され、周囲の街並みは悲鳴すら上げる間もなく崩壊していった。
靴に触れた建造物は粉砕され、ビル群は連鎖的に崩れ落ち、更地へと変貌していく。
セレスティアの身長は1,900メートルを超え、エレナもまた1,600メートルに達していた。
脚を僅かに動かすだけで大地は裂け、踏みしめるたびに地震のような揺れが発生し、巨大な陥没が連続して刻まれていくほどに成長していた。
その結果、先ほどまで二人を見下ろしていたはずのヘリは、今や腰下を不安定に漂うだけの存在となっていた。
乱れた気流に翻弄され、制御を失いかけた機体を、セレスティアは容易く摘み取る。
親指と人差し指の間に挟まれたヘリは、抵抗らしい抵抗もできない。
「ほら……貴様たちの望んでいた映像だ。存分に撮るがいい」
そう言って、彼女は顔を寄せ、カメラに向かって優雅に微笑み、碧眼を細めてウィンクする。
画面いっぱいに映るその顔は、美しさと圧倒的な威圧を同時に孕んでいた。
人間にしてみれば、セレスティアの口の大きさは50メートルにも及び、もしその口が開かれれば、人間など容易く呑み込める。
そう直感させるには、十分すぎる大きさだった。
「ふふ……そんなに怯えるな。もっと“良いもの”を見せてやろう」
指先に僅かに力が籠もり、金属が悲鳴を上げる。
だが、すぐに力を抜く。
潰すのは、まだ先だ。
セレスティアはヘリを摘んだまま、エレナの前へと移動し、もう一方の手で彼女のスカートを捲り上げた。
露わになるのは、白い布地に包まれた豊満な隆起。
なだらかで、柔らかく、巨大な肉の曲線が、カメラの前に容赦なく晒される。
「どうだ?うちのメイドの下着は」
「あぁん、もう……///セレスティア様……♡」
「ふふ、もっと見せてやるからな。たっぷり撮ってくれよ?」
嗤いを含んだ声とともにセレスティアは、指に挟んだヘリをそのまま、エレナの下腹部の前へと運ばせた。
白い布地の向こうに盛り上がる肉の稜線は、巨大な質量を持ちながらも柔らかく、わずかな接触にも形を変える。
二本の指がわずかに閉じられるだけで、ヘリの外殻は軋み、機体全体が歪んだ。
圧力は均等に、逃げ場なく加えられ、内部からは金属が悲鳴を上げるような音が漏れ出す。
「どうだ。こうして近くで見れば……よくわかるだろう」
セレスティアの声は愉悦を帯び、指先の動きはあくまで緩慢だった。
潰すには至らない、だが逃れられない――その絶妙な力加減。
ヘリは、エレナの下着に押し当てられる。
白い布地は凹み、内側の柔らかさを確かに伝え、その感触に応じるように、エレナの腰がわずかに震えた。
「……あ……」
押し付けられるたび、布越しに秘肉が形を変え、ヘリの硬質な輪郭が埋め込まれていく。
その度に、機体の各所から歪みが連鎖し、リベットが浮き、ガラスに細かな亀裂が走った。
「ほら、ちゃんと映っているか?」
セレスティアはヘリを下着の上でこねくり回す様に、指を僅かに回転させる。
硬い金属と、抗いようのない柔肉――その対比を、逃げ場のない距離で突きつける。
エレナの呼吸は次第に荒くなり、布地の中心には確かな変化が滲み始めていた。
白は徐々に色を深め、圧力と熱を受け止める痕跡が、否応なく視界に入る。
「ふふ……、エレナの大事なところも、貴様たちのカメラに見られて興奮しているようだぞ?」
セレスティアはそんなことを言いながら、下着に沈み込ませるように少しずつ力を加えていく。
「あ、あぁっ♡セレスティア様ぁ……♡」
セレスティアはさらにヘリをグイグイと押さえつけると、柔らかな秘部が形を変え、パンツのクロッチの部分に食い込ませていく。
「ん……♡はぁ……っ♡セレスティア様ぁ♡ヘリが……♡」
エレナがそんな言葉を口にするたびに、セレスティアの嗜虐心を煽った。それと同時にエレナの膣内からは愛液が溢れ出し、クロッチ部分に広がる。
「ほら、見ろ……エレナの愛液がどんどん出てきて……シミがどんどん広がっていく……」
「はぁ……はぁ……♡セレスティア様ぁ♡ああん……♡はいっ……♡」
エレナの呼吸は荒くなっていき、エレナ自身も快楽を享受していた。
小人の抵抗も虚しく、巨大な指と彼女の太ももがヘリを押し潰していき、悠々と自分の下着にこすり付けてしまう圧倒的な力強さ。
自分が絶対的な存在であり、人間など蟻よりも小さい生物だと感じる瞬間でもあり、エレナは快感と支配感で恍惚とした表情を浮かべていた。
「ああっ……♡はぁ……んっ♡」
エレナの喘ぎ声が大きくなるにつれて、愛液の量が増え、彼女の下着は薄い生地を通して透けてしまいそうだ。
そして、とうとう限界を迎え、一際大きな声で喘いだ瞬間、同時にヘリが潰れて砕け散る。
後に残ったのは、濡れぼそったクロッチ部分にへばり付いた粉々のヘリの残骸だけだ。
「あはは……すごいな、貴様の愛液で壊れてしまったぞ……」
「あ……っ♡セレスティア様ぁ……♡わたくしっ……♡」
絶頂の余韻に包まれたエレナの頬は、熱を帯びた紅に染まり、理性を溶かしたような表情を浮かべていた。
セレスティアはその顎に指をかけ、逃がさぬように持ち上げると、ためらいもなく唇を重ねる。
エレナは言葉を失い、ただ静かに瞼を伏せた。拒む素振りはなく、すべてを委ねるという意思だけが、わずかな吐息に滲んでいる。
触れるだけだった口づけは、ほどなくして欲求を帯び、互いの舌を探り合う深いものへと変わった。
絡み合う感触と、湿り気を含んだ息遣い。その姿はあまりにも淫靡で、荒れ果てた街の只中にあることすら忘れさせる。
「……ん……セレスティア様……」
「……エレナ……」
名を呼び合う声は低く、甘く、執拗だった。
ようやく唇が離れると、二人の間に細い橋のように名残が伸びる。
それを舌先で掬い取ったセレスティアは、満足げに微笑んだ。一方、エレナは顔を赤らめたまま視線を伏せている。愛されているという実感が、胸の奥を満たしているのだろう。
セレスティアは彼女の耳元へ顔を寄せ、囁くように問いかけた。
「……さて、どうする? まだ足りないか」
「……はい……もう少し……」
「なら、あれを使おう」
「……はい……♡」
蕩けきった表情で頷いたエレナの視線の先には、周囲の建造物とは明らかに異なる、異様な高さを誇る細長い構造物がそびえていた。
二人は並んで、ゆっくりと歩き出す。
巨躯が動くたび、地表はうねるように軋み、建物は耐えきれずに崩れ落ちていく。
セレスティアのブーツは300メートルを超える規模へと肥大し、ヒールだけで中層ビルを踏み越えられるほどだった。
その重量が地面へ伝わるたび、街全体が悲鳴を上げる。
一方、エレナのストラップシューズもまた、250十メートルを超える質量を備え、踏み込むだけで周囲に亀裂を走らせる。
歩行という単純な動作だけで、都市は秩序を失い、瓦礫へと変わっていった。
その様子を見下ろしながら、二人の内に静かな高揚が満ちていく。
抵抗も、抗議も、すべてが足元で潰えていく。その瞬間、胸の奥に冷たい優越が確かに宿った。
「……実に愉快だな」
「ええ……ただ歩いているだけなのに……♡」
破壊された街路を踏み越えながら、彼女たちは目的の場所へと辿り着く。
「これは……見事な塔だ」
「本当に……天へ伸びる茎のようですわ……♡」
二人はそう言って笑い合う。
エレナが形容したように、二人の眼下に屹立する巨大な塔は天を貫かんばかりの威容でそびえ立っていた。
全長はおよそ800メートルほどあり、塔全体を支える鋼材の強度は非常に高く設計されており、非常に高い剛性を誇る。
この土地が世界有数の大都市となっていった過程で、都市の象徴として崇められた建造物。
しかし今は、彼女たちの視線の遥か下にある。
セレスティアの身長は1,900メートルを超え、存在そのものが塔を圧倒していた。
力の差は歴然としている。捻れば、折れる。ただそれだけの脆弱な存在だ。
「……やってみせろ、エレナ」
「はい……わたくしが……♡」
潤んだ瞳で応え、エレナはスカートを持ち上げ、ゆっくりと塔を跨ぐ。
今の彼女にとって、電波塔は繊細な細工品にも満たない。
膝が塔の遥か上を越え、足が降ろされる。
地面は耐えきれずに沈み込み、建物群は一瞬で押し潰された。
残されたのは、巨大な靴跡と、原型を失った街の断片だけだった。
1,600メートル級の巨体が塔を跨ぐ光景は、もはや暴力的なまでに支配的だ。
塔の先端は、彼女の腿の終着点に届くかどうかという位置にある。
「……よく見ていてくださいね?」
深く息を吸い、エレナは腰を落とす。
左右に開かれた脚が大地を支配し、その中心で、塔は抗う術もなく挟み込まれる。
(……セレスティア様の前で……)
羞恥心と期待感の入り混じった感情に、エレナは興奮を抑えきれない様子だ。
1000倍サイズの彼女の肉体が興奮して乱れる息遣いと共に、濡れぼそったショーツを塔へ擦るように、ゆっくりと腰が動き出した。
そのわずかな動きだけで、塔は大きく揺れ、地表全体が共鳴する。
5,000万トンという質量がもたらす圧力は、街の構造そのものを否定するかのようだった。
たった一人の巨人による自慰によって、大地が揺れ動き、街は壊され、象徴は辱められていく。
その惨状がたまらなく気持ちがいい。
この星の人間たちのご自慢の建築物は、たった一人の巨人の自慰で蹂躙され、無残に打ち砕かれているのだ。
これほど滑稽で愉快なことは無い。
見上げる無数の視線、崩れゆく威信、それらすべてを陰部で受け止めて、背筋がゾクゾクするのを感じながら、更に快楽を貪るように塔へと腰を押し付けるようにして押し付けた。
「んん……♡あっ……♡セレスティア様ぁ……♡もっと……もっと見てください……♡」
エレナは羞恥心を覚えつつも、それ以上に強い愉悦を感じていた。
地上から感じる視線。自分たちがあんなに頑張って作ったものが、大都市の中心で誇らしげに建っていた象徴が、巨人の陰部によって汚されているのを黙って見ている事しか出来ない無力感。
そんな風に彼らの自尊心やプライドを蹂躙し、陵辱して踏み躙っていると思うと堪らない。
小人たちのシンボルを自分の秘所で穢していくとゾクゾクとした快感に襲われ、征服欲を満たすことができるこの感覚が病みつきになりそうで困ってしまうほどだ。
エレナは、塔に愛液をたっぷりと塗りたくり、そして自らの欲望を満たしていく。目の前のセレスティアも、自分の痴態をじっと見つめながら興奮を高めているようだ。
彼女の息も荒くなってきており、口元に手を当てたりして隠しているが、興奮していることは明らかだ。エレナが秘部を擦りつける痴態を彼女は興味津々といった様子で凝視していた。
足元の街にはたくさんの人がいた。
きっと皆、自分の行動を見ている。
だが、誰も止めることはできないし、そもそも止める資格なんて誰にもない。なぜなら、自分よりも遥かに小さくて弱い存在が、何をしようが無駄な抵抗でしかない。
そして、そんな矮小な人間たちを遥かに超越した絶対者である自分の権能の象徴でもある、この肉体を使って自由気ままに遊んでみせる。
この優越感こそが、彼女にとって何物にも代えがたい愉悦となる。
「あっ……あんっ……♡セレスティア様ぁ……♡もっと見てください……♡わたくしが……街のシンボルを壊していきます……♡」
エレナは、塔に愛液を塗りたくりながら腰を振り続ける。快感がどんどんと蓄積されていき、絶頂寸前まで高まっていく。
もう我慢できない!早くイキたい!!
そう思った瞬間、エレナの体重に耐えきれず塔がピシリと音を立てて亀裂が走った。
セレスティア興奮を隠し切れない。エレナの乱れ切った姿を見てるだけで体が熱くなる。
思わずスカートの中に手を忍ばせ、ショーツの上から割れ目を指でなぞってしまう。
それだけでゾクゾクとした快感が走り、軽く絶頂を迎えそうになる。
彼女の秘密の園からあふれ出る蜜液が黒色のタイツを濡らし、ストッキング越しに透けて染み出してしまう。
やがて、蜜は大きな雫となってセレスティアの脚の間に落下すると、真下にあったビルに直撃した。
粘性のある液体はビルのフェンスや屋上階段室などを粉砕した後、へばりつき、建物に奇妙な模様をつけた。
しかしそれだけで終わらず、その後も幾度となくセレスティアの股間から分泌される透明な粘液が、ビルや道路に無慈悲に振り注いで足元の建物をことごとく崩壊させた。
だが彼女は、自らの粘液で崩壊していく建物のことなど全く気にすることなく、夢中で秘所を弄り続けてしまっていた。
そんな様子を見ていたエレナは、嬉しさがこみ上げてしまう。
愛する主人が自分の自慰行為を見て興奮していることが嬉しい。自分に夢中になってくれているのがとても幸せだ。
だが、まだ足りない。もっと気持ちよくなりたい。
セレスティアの視線を独占したいという思い、小人より自分を見つめてもらいたい。
エレナはさらに激しく腰を振り、塔へ愛液を塗りつけるマーキングを強めていく。
「んはぁあぁんっ♡♡気持ちいっ♡」
エレナの口から放たれる下品な叫びは、まるでケダモノのような鳴き声を思わせる。
その声量は凄まじく、周囲の空間を振動させ、低周波となって周囲の人間たちの鼓膜を震わす巨大な地震のような音だ。
彼女はそれ程の大きさを誇る巨人なのだ。
そんな存在を前にしてセレスティアは興奮冷めやらぬ様子で、自身の秘所に手を添えている。
たまらなく我慢が出来ない。エレナが欲しい。この可愛らしい眷属が欲しいのだ。
あの滑らかな肌に触れ、甘い香りを嗅ぎ、柔らかな身体を抱きしめたい。
そんな欲望に支配された彼女は、とうとう最後の境界線を越えてしまうことに決めたのである。
セレスティアは、ちょうど彼女の正面に来るように立つと、そのままエレナと塔の間に脚を入れ込んできた。
ズシン!!!
高層ビルの瓦礫が盛り上がってできあがった地面にセレスティアのブーツが勢いよく落下する。大地が割れ、放射状に亀裂が走り、衝撃波が周囲の街並みを粉砕した。
「セレスティア様……?」
上気した頬に濡れた瞳で見上げるエレナに対して、セレスティアは彼女の頬に両手を添えると、そのまま引き寄せて唇を重ねてきた。
「んむぅ!?」
いきなりのことで驚くエレナだったが、すぐにセレスティアが抱きつくように身体を密着させて彼女を押し倒す様にのしかかってきた。
ズドオオオオンン!!
爆音にも等しい轟音を立てて、エレナは地面へと押し倒された。
二つの1000倍を超える巨体が重なり合った結果、二人の重みは街のすべてを飲み込む。
彼女たちがいる場所を中心として放射状に大きく地殻が引き剥がされ、周辺の建物が衝撃波と共に根こそぎ薙ぎ払われ、倒壊を免れた建物も窓ガラスは粉々に砕け、高速道路の一部が崩落し、車やトラックなどが宙を舞った。
二人の巨乳が押し潰され、互いの太腿が絡み合い、両者の柔らかい秘所が密着した。
巨人二人に挟まれた塔は根元から折れ、二人の股間に挟まれる形で消滅してしまった。
だが、今の二人にとってそんな些末な事柄は重要ではない。今は互いの盛り上がった情熱を確かめ合うように舌を絡ませ、唾液を交換するキスを続ける。
「んんっ……ぷはぁ……」
「はぁ……はぁ……」
数十秒ほど濃厚な接吻を続けた後、ようやく口を離したが、それでもなお二人は離れることはない。互いの身体を寄せ合い、強く抱きしめ合う。
「エレナ……好きだ……」
「わたくしもです……セレスティア様……大好きです……」
お互いの体から滲み出てくる汗の匂いと蒸れた下着の臭いが混ざり合い、その刺激的な香りがさらに二人の興奮を高めた。
セレスティアはエレナの首筋にキスをしながら、右手で乳房を揉みしだし、左手はパンツの中に侵入し、クリトリスを摘まみ上げる。
「ひゃうんっ♡」
突然の強い刺激に思わず声を上げてしまうエレナ。しかし、嫌がる素振りは全く見せず、むしろもっとしてほしいというように自ら腰を浮かせ、セレスティアの手に押し付けるように動かす。
快楽に身悶えるエレナの姿を見て、セレスティアはますます興奮を抑えることが出来ない。
彼女のピンク色の乳首を指先で弄ったり、引っ張ったりすると、彼女は甲高い嬌声を上げ、ビクビクと痙攣する。
その反応があまりにも可愛らしくて、何度も同じ動作を繰り返す。
ああ、本当に可愛い。食べてしまいたいくらい愛おしい。
彼女の全てを貪り尽くしたい。そんな黒い欲望が芽生えてくる。
「エレナ……脱がすぞ?」
「はいっ♡セレスティアさま♡」
セレスティアの問いかけに対し、エレナは迷うことなく答えた。その瞳は期待に満ちており、頬を紅潮させながら待ち望んでいる。
そんな彼女の期待に応えるべく、セレスティアは彼女のメイド服の裾に手をかけ、一気に脱がすと、彼女の下着姿が露わになった。
均整の取れた美しい肢体。まるで芸術品のように整ったプロポーション。
滑らかな曲線を描く腹部には一切無駄な贅肉はなく、キュッとくびれたウエストラインから続くヒップへ向けての緩やかな傾斜。
胸元には大きな双丘が存在し、張りのある弾力性を感じさせ、股間部分を覆う布面積の少ない白いレースのショーツが非常に扇情的だ。
清楚さと淫靡さを兼ね備えた理想的な美女と言っていいだろう。
そんな彼女の裸体をじっくりと眺めるセレスティア。その視線を感じてか、エレナの顔はどんどん赤く染まっていく。
「とても綺麗だよ……エレナ」
「あうぅ……セレスティア様ぁ……そんなに見つめられたら恥ずかしいですぅ……」
「いいじゃないか。今日は特別なんだ……こんな綺麗な身体を前にしたら興奮しない方がおかしいだろう?」
「もう……セレスティア様ったら……♡」
そんな会話を交わしながら、セレスティアはエレナの下着を取り払うため、ブラジャーのホックを外し、最後にショーツに手をかけ、ゆっくりと下ろした。
「はぁ……♡」
ブラとショーツが落ち靴も脱がせると、彼女の裸体が完全に露出する。
恥ずかしさからなのか、腕で隠そうとする仕草を見せるが、結局は諦めたのか大人しくなった。
その様子を見て満足げに微笑むセレスティアは、自分も身に纏っていたブラウスを脱ぎ、続けてブラも外した瞬間、彼女の豊満なバストが揺れながら現れ、エレナはその大きさと迫力に思わず息を飲む。
続いてスカートも脱ぎ捨て、黒いストッキングとショーツも引き剥がすように脱ぎ、そのまま空へ放り投げた。
黒くて細長いストキングが一瞬、羽根を得たかのように膨らみ、空気を抱いてから大地へ落ちる。
落ちる先はもちろん街の真上。何百メートルもの高さから、空を覆いつくすようにストッキングが街を横断する形で墜落していくと、街の人間には到底受け止められない巨大な黒い薄布に、街は瞬時に覆いつくされた。
幸いセレスティアのストッキングは極端に薄くて軽い素材であったため、ビルを押しつぶすことはなかったものの、突如降り注いだ巨物に多くのビルは覆い被さってしまい、巨人の体温を残した温かい薄布が太陽を遮ってしまう結果になった。
その光景を尻目にセレスティアは最後に残ったブーツも脱いで、己の全裸となった姿を晒す。
1,900メートルの裸体、それは地上から見上げれば空を埋め尽くすほどの巨大な山だ。
彼女の巨大な乳房が、重力に逆らうように突き出ており、直径200メートルはある爆乳の頂点にはピンク色の突起があり、乳輪もまた大きな円を描いている。
腰回りは細くくびれており、腹筋の筋が浮き出るほど引き締まっていながら女性特有の柔らかさを保っている。下腹部には薄く割れた腹筋があり、その下には陰毛が生えそろった陰部があり、そこはすでに愛液で濡れて、太陽の光を反射してテカテカと光っていた。
「うふっ♡なんて素晴らしい眺めでしょうか」
「お前の体も綺麗だぞ……エレナ」
その言葉に照れながらも嬉しそうに微笑むエレナの表情はとても幸せそうで、見ているだけでセレスティアも幸せな気分になるほどだ。
「さぁ、続きを始めよう」
「はい♡」
そう言って再び抱き合うと、セレスティアはエレナの身体に跨り、彼女の唇に自分の唇を重ねる。
彼女の口内に舌を入れ込み、歯茎や頬の裏などを舐め回し、それに応えるようにエレナも舌を動かし始め、二人の唾液が混ざり合う。
多くの建物と道路と車をベッドにして、二人は互いの体を擦り合わせた。
二人の身体の下には、まだ生き残っている小人たちもたくさんいる。
きっと今頃、自分達の痴態を眺めながら逃げ回り、嘆いているのだろう。そんな想像をするだけでゾクゾクしてきた。
巨人二人はお互いの身体に舌を這わせながら、相手の敏感な箇所を探り当てては弄り回していく。
乳首を中心に攻めるエレナに対して、セレスティアは首筋や耳、脇の下と様々な場所にキスマークの痕跡を残す。
「んんっ……♡ふぁ……あんっ……♡」
二人の吐息が熱を帯び、さらなる盛り上がりを見せると、二人は抱き合ったまま大都心の真上で転がりはじめた。
ズズズン!!ズシンッ!!ドスゥーンッ!!
巨体の上下が入れ替わる度に周囲に被害が広がっていく。
巨大な二人が大地に寝そべりながら暴れているのだ。当然、その影響は計り知れない。
背中の真下では無数の建物が圧縮され、巨大な脚の下では無数の車と人間が踏み潰され、街中には土埃が舞い上がり、あちこちで炎上している。
二人がどれだけ巨大になろうとも、決して小人に気を使うことはない。彼女たちにとって、この惑星の人間はただの小さな虫であり、どう扱おうが気にする必要はないと思っている。
それどころか、こうやって自分たちの都合で街を壊滅させることに快感を覚える節すらあるのだ。
二人は身体を上下に入れ替え、抱き合いながら絡み合うと、汗ばんだ身体に建物や道路の瓦礫が張り付く。
それをお互いの濡れた肌で擦り合わせると、何とも言えない気持ちよさを与えてくる。本物の街を使った天然ローションだ。巻き込まれた小人は巨人の身体の快感のために、その小さな命を弾かせていた。
「ああっ……♡エレナぁ……もっとぉ……!」
「セレスティア様ぁ……♡わたくしもですぅ……♡」
二人は興奮に任せてお互いを求め合い、乳首同士をこすり合わせるように胸を密着させる。
絡み合う二対の指先。擦り合わせる二つの舌。
汗ばんだ肌と肌が吸い付く。
巨大な山脈のような肉塊が擦れ合うたびに言いようのない快感が溢れ、空を割る嬌声が響き渡る。
「エレナ……♡エレナっ♡」
「あぁんっ♡セレスティアさまぁっ♡」
どちらからともなく再び唇を重ねた。
もはや言葉はいらなかった。ただひたすらに欲求に従って体を重ね合わせるだけだ。
絡みつく唇からは混ざり合う唾液がとめどなく溢れてくる。
二人の股間からは大量の潮が噴出しており、洪水のような勢いで周囲を水浸しにしていく。
二人の体重と水分を含んだ土砂によって、大地は急激に軟化したため、建物はその底なし沼のような地面に沈むか、巨体にすり潰されて沼の底の一部と化す。
「あぁ……気持ちいいっ……♡エレナ……もうダメだ……♡逝きそうだ……♡」
「わたくしもです……♡セレスティア様ぁ……♡一緒にいきましょう……♡」
次の瞬間、二人の秘所から勢いよく潮吹きが始まった。
その勢いは凄まじく、まるで間欠泉の如く大量の水柱が街に向かって打ち上げられ、超高層ビル群などはあっという間に呑み込まれてしまい、周囲一帯は二人の混ざり合った愛液、その量と勢いによって押し流されてしまう。
そして、二人の愛の残滓だけと変わっていくのだった。
3.1万倍になってトイレを……
「はぁ……はぁ……気持ち良かった……♡」
「えぇ……とても……♡」
二人の眼下には、もはや都市と呼べるものは何ひとつ残っていなかった。
愛液の奔流は津波となって街区を洗い流し、建造物は骨組みすら残さず潰え、瓦礫と化して地平に沈んでいる。
ここがかつて栄華を誇った大都市であったなど、想像できる者はもはや存在しないだろう。いや、想像という行為そのものが、この光景の前では無力だった。
セレスティアはその惨状を見下ろし、満足げに口元を緩める。
エレナはその身体にすり寄り、甘えるように頭を預けた。撫でられるまま、安堵しきった表情で瞳を閉じ、完全に身を委ねている。
心地よい疲労の余韻に浸っていたそのとき、セレスティアの脚に、微かな衝撃が触れた。
視線を落とすと、素肌の表面で小さな光点がいくつも弾け、白い煙を引いて消えていく。
どうやら、この惑星の軍隊が攻撃を仕掛けてきたらしい。
「セレスティア様……軍が……」
「そのようだな……」
見渡せば、空と地を埋め尽くすほどの戦闘機と戦車が、いつの間にか二人を包囲していた。
夢中で交わっている間も、彼らは攻撃を続けていたのだろう。しかし、その必死の抵抗は、昂揚の只中にあった二人の意識には一切届いていなかった。
命を賭して攻撃を続ける者たちの眼前で、己たちの存在すら認識されぬまま、性行為を続ける巨人。
その屈辱と無力を思えば、哀れですらある。
だが、その想像は、同情と同時に、確かな興奮をもたらした。
「はははっ……無様なものだな……」
セレスティアはそう言いながら、空を舞う機体を掌で払い落とし、足元に集まる戦車群を、何の感慨もなく踏み潰す。
この惑星の兵器が自分たちに通用するわけがない。たとえどんな武器を使ったとしても、どんな大人数で攻めてこようと、無意味なことだ。
どれほど数を揃えようと、どれほど威力を誇ろうと、それは虫けらの抵抗に等しい。
払うことも、踏み潰すことも、息をするより容易だった。
「ふふっ……可愛らしいですね……♡」
「そうだなエレナ。私たちを前にして勇敢なことだ」
セレスティアの言う通り、確かに小さな人間にしては随分と頑張っている方だと思う。自分達の力の万分の一にも満たない力しか持っていない癖に、それでも尚、抗おうとする姿は感心するほどだ。
まぁ、それでもこの程度の戦力では自分たちに気付いてもらえる力はない。
この小人たちの努力は空しく、自分達に傷一つ負わせる事が出来ていない。全くの無価値と言っていいだろう。
だが、そのとき、セレスティアの脳裏に、一つの遊戯が浮かんだ。
「……さて、エレナ。この者どもに特別なプレゼントを送ってやりたいと思わないか?」
「あら、何か考えがおありなのでしょうか?」
「もちろんだとも。これからこの人間たちと一緒に楽しい時間を過ごそうじゃないか」
セレスティアは楽しげに立ち上がり、エレナの手を取る。
目の前には、なおも諦めず布陣する人間たち。愚かで、無謀で、しかし必死な者たち。
彼らを一瞥した後、セレスティアはエレナを抱き寄せ、静かに、強く念じた。
瞬間、二人の身体が光を帯び、さらに巨大化を始める。
彼女たちはつい先ほどまで、1000倍級の巨人であった。
けれど、今彼女達はそのサイズを超え、1万倍規模の超巨人となり、大都市を跨ぎ越えるほどの巨躯へと成長を遂げた。
ズズゥウウウゥゥゥウウンンン!!!!
今までとは比べ物にならない程に巨大化した二人。
エレナの身長は16,000メートル。
セレスティアは19,000メートル。
最早、小さな蟻程度でしかなかった人々にとっては雲を突き抜けるような超巨大巨人に昇格したに等しい。
この惑星の国家群を合わせた人類の総人口でも比較にならないほどに桁外れの超巨大生物であり、その質量と大きさは惑星の地形を容易く変形させてしまう。
二人の足が地面に着くと、あまりの衝撃に大地が悲鳴を上げるように地面が大きく揺れ動き、衝撃波が発生する。
大地は悲鳴を上げ、地形そのものが歪み始め、隆起し、陥没し、やがて新たな谷が刻まれていく。
それでも二人は気にも留めず、足元で逃げ惑う存在を眺めながら、穏やかに言葉を交わしていた。
「……随分、大きくなりましたわね♡」
エレナは自身でも把握しきれないレベルで巨大化した影響か、嬉しそうな声を上げる。
今の彼女たちは万単位の大きさにまで巨大化しているはずなのに、むしろ体調も良くなっているくらいで疲労感すら感じない。
巨大化に伴い服を纏わなくても寒さは感じないようになっていた。
それどころか、1万倍級の巨人としての全能感からか、妙に気分が高揚して火照っているようにも感じる。
「ああ、そうだな……我々が少し力を入れるだけで、この星に致命的な被害が出るからな」
セレスティアはそう言って、巨大なつま先を軽く上げる。指先だけで高層ビル以上の大きさがあり、指の関節一つとっても、それだけで巨大な岩盤のようだ。
そのまま、何のためらいもなく趾を振り下ろすと、その衝撃だけで周囲の建物が木っ端微塵になり、巨大な建物がまるで紙細工のように容易く壊れていった。
小さな人間たちはパニックになり逃げ惑っているようだが、セレスティアには関係ない。何十万人という民衆を踏み潰すことに罪悪感などなかった。
「さて、そろそろ行くとしようか」
「はい♡」
セレスティアの言葉に応えるように、エレナも一歩前に進む。万倍に巨大化した彼女たちからしてみれば、この小さな世界の移動は簡単だ。
ただ、一歩前へ踏み込むだけで、彼女たちは遠く離れた都市までも移動することができてしまう。
ズドンッ!!
その素足の一歩はあまりにも強力であり、その振動は周囲の地域を大きく揺らした。
二人が足を踏み出しただけで、大陸全体の大地が波打つように振動し、その振動によって地震が起き、各地で山崩れが起こり、湖は嵐のように荒れ狂う。
超巨大な巨人たちの移動によって引き起こされる災厄は計り知れないほど凄まじいものだった。
彼女たちの足元では、小さな都市群が地震によって甚大な被害を受けている最中だろう。しかし、そのことに彼女たちは一切関心を示していない。
この惨状は地上だけにとどまらない。上空では巨人たちを撃退するために何百という戦闘機が飛び回っていた(上空といっても巨人たちの太ももにも届かない高さなのだが)小人たちは懸命に抵抗しているようで、機銃掃射を行い、ミサイルを放つが、当然のように通用しなかった。
巨人たちにとって、その攻撃は蚊に刺された以下の痛みしか与えられない。
例え数千万発のミサイルが命中したとしても、彼女たちの肌に傷一つ付けられないどころか、流れ出る汗にすら、弾かれて終わりだろう。
だがそれよりも深刻なのは、音速を遥かに超えた移動速度で動く彼女らの肉体に乗り物で付いていくのは至難の業だということだ。
超巨大な巨人の巨体は常に移動をしている状態である。
そのため、そのスピードについていくだけでも精一杯なのだ。
加えて、彼女たちの移動により巻き起こされる竜巻のような突風によって空中で安定した飛行すら困難を極める。
当然、彼女たちの進路上に展開していた空軍は成す術もなく、迫りくる肌色の壁に追いつかれて、弾かれて爆散してしまう運命だ。
セレスティアとエレナのむっちりとした太ももや下腹部に戦闘機が次々と接触し、小さな爆発を次々と引き起こしていた。
ただ歩いているだけで、戦闘機がどんどん撃墜され、彼女らの肌にほんの僅かの爆煙が上がり舞っている。
そんなことを知ってか知らずか、あるいは気にもしていないのか分からないが、二人の巨人はお構いなしに足を進め、街を破壊し尽くす。
二人の巨神にとって数歩分あるいた距離は、小さな人類にとってはとてつもない長さを移動したことになる。
たった数歩だけで、彼女たちは既に最初に降り立った街から遙か彼方にまで移動しており、遠くにあった巨大都市にたどり着いてしまった。
二人の巨大な足は都市のすぐ目の前に鎮座しており、彼女たちの足は都市を今にも踏み潰さんとしているように見え、このまま彼女たちが足を進めれば、確実にその巨大な街が滅亡するであろうことは容易に想像できた。なにせ、相手は1万倍の超巨人なのだ。踏みつけられれば一溜りもない。
そして、その巨大都市を守るべく、多くの戦車と大砲と無数の兵士が都市と巨大な足の間に展開していた。
巨人たちにすれば砂粒ほどの大きさにしか過ぎないとはいえ、この世界の人類にとって、まさに人類の存亡を賭けた総力戦を集めたと言っていい規模だった。
大軍隊全体に走る緊張感とは対照的に、セレスティアとエレナは小人たちの必死の抵抗を見おろしながら、巨体を揺らして、くつくつと嗤っていた。
「くく……可愛いものだなぁ」
「ええ、本当に愛らしいですね♡」
地上軍はそんな巨人に対して攻撃を始める。
最大火力を誇る兵器たちが、一斉に火を吹き、大規模な爆発音とともに眩い閃光が一帯を包み込んだ。
通常ならば街を丸ごと吹き飛ばしてしまえるほどの威力である。
だが、それすらもセレスティアとエレナの皮膚を傷つけるには至らない。ムズ痒いとも感じない。
「うふふ♡痛くも痒くもありませんわね」
エレナが笑いながら言う。セレスティアも同じだ。巨人二人は、無慈悲な笑みを浮かべながら、足元の小人たちを見下ろしている。
小人の抵抗は無意味であり、それは小人たちも痛いほど分かってしまった。
目的地に着いたセレスティアはセレスティアは、ふと思い出したように肩をすくめると、片手で口元を隠すように、エレナの耳に手を当てて、そっと唇を近づけた。
あえてわざとらしく“内緒”を装う仕草だった。
「ところでエレナ……朝からずっとトイレを我慢していたんだが……今、すごく催しているんだ」
「あらまあセレスティア様。それは大変でございますね……ですが、今わたくしたちが使えるトイレなどありはしませんわ」
エレナもわざとらしく肩をすくめ、困ったふりをしてみせる。
そんな二人は自分たちの演技が可笑しいのか、顔を見合わせると、思わず笑い声をこぼした。
その朗らかな笑声が、すでに廃墟と化した大都会に反響する。
「そうだな……仕方がないから……この足元に広がる都市を使わせてもらおうか?」
「あぁ……エリュシオンの王家の者がそのような下品な行いをなさるなんて、嘆かわしいことですわ」
口では咎めるようなことを言っているが、エレナもまた楽しげな様子である。
彼女もまたこの非道な遊びに参加したいと思っているのだ。
「そうだな。だが、ないものは仕方がない。この街を利用させてもらうことにしよう」
「ええ、わかりましたわ。では、わたくしも。んふふ、軍隊の皆さま……今からここに用を足しますので、どうか沈まぬよう、しっかり受け止めてくださいませ」
二人の言葉通り、二人は同時にしゃがみ込むと、股を開いて地面に狙いを定めた。
小人たちは慌てて撤退を始めるが、すでに手遅れである。
二人は狙いを定めて、腰を突き出し、巨大な尿道口を街に向けた。
「エレナ、どちらがより多く壊せるか……勝負だ」
「望むところですわ」
視線を交わし、腹に込めていた力を解放した瞬間、黄金色の奔流が解き放たれた。
次の瞬間、セレスティアとエレナの股間から黄金色の奔流が勢いよく解き放たれ、太さ200mある大量の黄金水は滝のように降り注ぎ、足元の軍隊を一瞬にして呑み込んだ。
洪水のような激流が襲い掛かると、そこにいた兵士はひとたまりもなく流されていった。
波に巻き込まれた者は溺死し、そうでない者は軍用トラックや大砲と一緒に押し流される。
精鋭と呼ばれた部隊も、超巨人の排泄という理不尽の前では無力だった。
二人が放尿を開始してからわずか数秒。戦力は跡形もなく消え去る。
「ああっ♡」
「ふぁ……♡」
二つの奔流はそのまま都市部へと向かい、街路と高層建築を呑み込みながら進む。
巨大な都市に流れ込む大量の小水。
建物は基礎から崩れ、街区は削り取られ、都市に住む人々は一瞬にして呑み込まれ、激流の中へと消えていった。。
空気には刺激臭が立ち込め、触れたものは次々と破壊されていく。。
セレスティアは胸中で嗤った。
なんて素晴らしく愉快な景色なんだろうと。
ただの生理現象に過ぎないはずの行為が、自分達の小水によって一瞬にして都市が飲み込まれ、すべてを破壊していく光景を目の当たりにして、彼女は興奮を覚えずにはいられない。
巨大な建造物や武装された兵士など関係なく、ただただ巨大な水圧によって圧殺されていく様を見て、この上ない愉悦を感じてしまうからだ。
流し尽くした場所から身体の向きを変え、狙いを移す。
街の小人にどこにも逃場がないという事を教えるように狙いを変えながら、次々と街区を沈めていく。
消えた場所には巨大な湖が生まれ、瓦礫がわずかに水面から突き出ていた。
更にその上には、必死に瓦礫へと縋りつく人影が見える。
命からがらわずかな陸地にたどり着いた人々は、わずかに残った陸地へと生暖かい洪水から何とか這い出ている。
無論、それらの小人はセレスティアのいい的だった。
小人が群がる堤防に正確に狙いを定め、狙い撃ちにした。
激流が直撃した瞬間、瓦礫の堤防は一瞬で崩壊し、そこにいた人々も一緒に濁流の中へと消えていった。
「あぁん♡それは私が狙っていた物でしたのに♡」
「すまん、すまん。あまりにもいい的だったものでつい。フフ」
残り少ない小人の居場所を奪い合い、お互いの膨大な小便で溺死させていく。時には狙いを外して近くの公園に当てる。すると緑豊かな公園は一瞬にして水没し、そこから避難しようとしていた避難民を飲み込んだ。
それだけではない。余りある二人の小水は無数の家や建物を飲み込み、さらに勢いを増して揺蕩いながら海に流れ込み、湾全体を染め上げていった。
僅か数秒で世界地図に乗ってしまいそうな黄金色の大河を作り出すほどの小水を出し切って、ようやく二人の膀胱は空になった。
すべてを出し切り、セレスティアは名残惜しげに力を込める。
最後の雫が放たれ、崩壊した世界の上に淡い虹が架かった。
「……ふぅ。すっかり空になったな」
「ええ。わたくしもです。自分の排泄ひとつで、これほど多くの命が失われたと思うと……胸の奥が熱くなりますわ」
二人の足元には、巨大な川が横たわっていた。
それは彼女たちにとっては、ほんの気まぐれに放った体液の名残にすぎない。しかし、その量は都市を丸ごと飲み込み、なお余りあるほどで、川幅は数百メートルに達し、そのまま海へと流れ込んでいる。
かつて人の営みで満ちていた街並みは、もはや影も形もなかった。
黄金色の濁流に削られ、山は削ぎ落とされ、道は断ち切られ、街区は沈み、自然環境は徹底的に破壊されている。地形そのものが塗り替えられたと言っても、誇張ではなかった。
小水の川岸には放水時に押し流された大小様々な岩の塊と土砂が堆積して、即席の堤防が出来上がっている。
川面にはわずかに顔を出している瓦礫の破片に掴まろうと必死に足掻く人影がチラホラ見え隠れしていた。運のいい人間が数十名、瓦礫の山に掴まって波間から顔を出している。
本来なら、ここにはもっと多くの住民がいたはずだ。
しかし、その姿は殆ど見当たらない。
大半は泥水とともに海へと押し流されたのだろう。汚水は海水と混じり合ってもなお色を失わず、湾内一帯を鈍い黄色に染め上げていた。
「さて……これで街の大半は消えたな」
セレスティアは、満足げに微笑む。
一万倍に巨大化した存在にとって、小水で街の一つや二つ沈めることなど呼吸にも等しい行為だ。小人たちが築いた文明など、自らの身体から溢れた汚水ひとつで滅びる程度の、取るに足らないものにすぎない。
その事実を噛み締めるたび、身体の奥が、ぞわりと疼いた。
立ち上がる際、セレスティアは軽く腰を振り、股間に残っていた雫を振り払う。落ちたそれは、平均的な成人男性一人が一年に使う量を超えるかもしれない。
直径70メートルにも及ぶ巨大な水滴は、落下点にあったビルたちをまとめて直撃し、轟音を立てて激突した。
それにより、またいくつかの建物が倒壊してしまった。
エレナもまた立ち上がり、二人は自分たちの行為が生んだ洪水を、満ち足りた表情で見下ろしていた。
「ふふ……どうやら、わたくしの方が多く沈めたようですわね」
「何を言う。どう考えても私のほうが上だろう」
互いに譲る気配はなく、街を壊滅させた『成果』を誇示し合う。
だが、二つの奔流は途中で合流し、すでに一つの巨大な河と化しており、どこまでが誰のものかなど、判別できるはずもなかった。
「ならば……実際に見ていた者に聞くのが一番ですわ」
「第三者の証言、というわけだな」
「ええ。――あの方たちに」
二人は、足元へと視線を落とす。
そこでは、粒のように小さな影が蠢いていた。都市から逃げ延びたわずかな生存者たちが、必死に避難場所を目指して移動している。全力で走っているつもりなのだろうが、巨人の視点から見れば、ほとんど静止しているに等しい。
その彼らの前に、恐るべき存在が立ち塞がる。
ずううううんん!!
エレナの素足が一歩踏み出され、道を塞ぐように現れた。
人々の頭上に巨大な影が落ち、視界いっぱいに異様な壁が立ち上がる。
直後、背後からも同じ地響きが響いた。
ずずうううううううんんんん!!
セレスティアの素足が、逃げ道を完全に断ち切ったのだ。
前後を塞がれ、行き場を失った人々は、ただ巨大な足指を見上げ、震えることしかできない。
「そこの小さき者たち」
「質問に答えてくださいますわね?」
二つの影から降ってくる声に、彼らは必死に顔を上げる。
「我々のどちらが、より多く街を沈めたと思う?」
「そう思う方の足元へ、集まってください」
二人は、それぞれ一歩、足を前に出した。
地面が揺れ、無言の圧力が小人たちにのしかかる。
やがて、人々は恐怖に追われるように動き出し、両者の足先へと群がっていく。
しばらくして見ると、数はほぼ拮抗していたが、わずかにエレナ側が多いようにも見えた。
「……どうやら、わたくしの勝ちですわね」
「ふん、こうしてしまえばこちらの方が多いだろ」
セレスティアは笑いながら、エレナの足元へ群がる群衆に足を落とした。
たったそれだけで万単位の小人の命が失われ、支持者の数は激減する。
「これで私の勝ちだな」
「あん、セレスティア様、卑怯ですわ。ならこっちも……」
エレナもセレスティアの足元にいる人間たちに足先を向け、そのまま巨大な趾先を思いっきり押し付けた。
エレナが足を上げると、先ほどまでセレスティアの趾に群がっていた人々が一人残らず消えていた。
これで、セレスティアを支持する人数も減ってしまった。
二人はその後も笑いながら、何度も何度も繰り返し、お互いの足に群がった小人たちを踏み潰し続けた。
最終的には両者の支持者数は0人となり、引き分けとなった。
しかし、二人はこれっぽっちも悔しがっていない。むしろ楽しんでいる様子だった。
「結局、引き分けか」
「ええ……ですが」
「勝負は、まだ終わりじゃない」
「……はい」
二人は言葉を交わし、再び歩き出す。
次に向かう先は決めていない。ただ一つ確かなのは、どこへ行こうとも、彼女たちにとって退屈とは無縁だということだった。
4.エピローグ
その後もセレスティアとエレナはこの惑星を好き放題に蹂躙した。
都市を全て踏み潰して壊滅させたり、霊峰を蹴散らしながら追いかけ合って遊び、二人で街を挟み撃ちにして、双方から巨大な乳房を地面に交互に押し付けて押し潰したりと、様々な方法で遊んだ。
ある時にはシックスナインの体勢になり、お互いの局部を舐め合いながらセックスしたこともあった。そのたびに二人の巨体は大地を揺るがし、天変地異をもたらしていた。
エレナの形のいいヒップが、無数の建物を押しつぶし、回転するとセレスティアの豊かな尻の肉が辺りを薙ぎ払い、大地を抉った。
互いに相手の尻の谷間に顔をうずめ、下品な音を立てて舌を這わせ、二人の腰が前後する度に、地面に大きな穴が生まれる。
そして、二人同時に果てれば、大きな潮吹きが空高く舞い、数億立方メートルもの量の愛液を辺り一面に降り注いだ。
雨のように降り注ぐ大量の液体のスコールが、至る所で洪水を引き起こし、次々と街並みを温い体温の湖に沈めてしまうが、それが二人がイクたびに洪水が発生するものだから、二人がオーガズムに達した度にできる大規模な渓谷と新しい海峡は、世界の地理を一変させてしまった。
やがて二人がまぐわった大地は、かつての姿を完全に塗り替えられた。
山脈は削れ、平原は裂け、街があった場所には愛液や汗といった体液で満たされた名もなき湖と谷が残された。
二人の巨大な身体が触れ、横たわり、離れていった痕跡は、もはや消えることのない傷として刻み込まれている。
こうして、この惑星には二人の存在そのものが『地形』として残された。
彼女たちが歩いた場所は荒野となり、休息のために身を横たえた山々は歪み、盛り上がりと陥没が入り混じる異様な大地へと変貌した。
それらはやがて、自然景観として固定され、後世には「神話の爪痕」と呼ばれることになるだろう。
遊び疲れ、巨人たちが宇宙船へと戻った後も、惑星は沈黙したままだった。
崩れた山は二度と元には戻らず、新たに刻まれた渓谷と水域は、永遠に地図を書き換え続ける。かつて生命を育んだ循環は断ち切られ、この世界は、もはや誰も生きられない場所へと成り果てていた。
だが、当の本人たちは、その結末に何の感慨も抱かなかった。
罪悪感も、後悔もない。あるのは、満ち足りた余韻と、次の楽しみへの期待だけだ。
世界を弄び、形を変え、壊し尽くすこと――それは彼女たちにとって、快楽と等価の“正しさ”だった。
「……最高だったな」
「ええ。本当に、素敵な時間でした」
宇宙船の中、二人は何事もなかったかのように寄り添い、静かに体を休める。
一つの惑星が死に絶えた事実は、遠い夢のように意識の外へと追いやられていた。
やがて、二人は再び唇を重ね、瞼を閉じる。
次に訪れる星、次に味わう愉悦、その想像だけを胸に抱きながら。
こうしてまた一つ、宇宙の片隅で、名もなき世界が静かに終わりを迎えたのだった。